説明

太陽電池モジュールの製造

太陽電池モジュールを製造するため、殊に太陽電池モジュール用集光器を製造するためのa)少なくとも1つのポリアルキル(メタ)アクリレートおよびb)R1およびR2が独立に1〜20個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基であるような式(I)の少なくとも1つの化合物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールの製造ならびに相応する太陽電池モジュールに関する。
【0002】
従来技術
太陽電池または光起電力電池は、光中、殊に太陽光中に含まれる放射線エネルギーを直接に電気エネルギーに変換する電気的構成要素である。この変換の物理的理由は、内部光電効果の1つの特殊な場合である光起電力効果にある。
【0003】
図3は、太陽電池モジュールの基本構造を示す略示断面図である。図3において、501は、光起電力エレメントを示し、502は、固定手段を示し、503は、鏡板を示し、および504は、後壁を示す。太陽光は、この太陽光が鏡板503および固定手段502を通過することにより、光起電力エレメント501の感光性表面上に入射し、電気エネルギーに変換される。形成された電流は、出力端子(図示されていない)によって放出される。
【0004】
光起電力エレメントは、極端な戸外条件に耐えることができず、それというのも、この光起電力エレメントは、簡単に腐蝕し、極めて脆いからである。従って、この光起電力エレメントは、適当な材料によって覆われかつ保護されなければならない。多くの場合に、これは、光起電力エレメントが適当な固定手段を使用することにより、耐候性を有する透明な鏡板、例えばガラス鏡板と優れた湿分耐性および高い電気抵抗を有する後壁との間に挿入され、かつ貼合されることにより、達成される。
【0005】
太陽電池のための固定手段としては、しばしばポリビニルブチラールおよびエチレンビニルアセテート共重合体(EVA)が使用される。この場合、殊に架橋性EVA組成物は、優れた性質、例えば良好な耐熱性、高い耐候性、高い透明度および良好な原価効率を示す。
【0006】
太陽電池モジュールは、高い安定性を有することを意図され、それというのも、この太陽電池モジュールは、戸外で長時間使用されることが意図されるからである。従って、固定手段は、なかんずく優れた耐候性および高い熱変形安定性を有しなければならない。しかし、前記モジュールを長時間、例えば10年間戸外で使用した場合には、しばしば固定手段の光誘発される分解および/または熱誘発される分解が観察され、ならびにその結果、固定手段の黄変および/または光起電力エレメントの剥離が観察される。固定手段の黄変は、入射光の利用可能な割合の減少をまねき、その結果、電気出力の減少をまねく。他面、光起電力エレメントの剥離は、湿分の侵入を可能にし、この湿分は、光起電力エレメントそれ自体の腐蝕または太陽電池モジュール中の金属部材の腐蝕をまねく可能性があり、同様に太陽電池モジュールから得られる出力の劣化をまねく結果を生じる。
【0007】
通常使用されるEVAそれ自体は、良好な固定手段であるが、これは、加水分解および/または熱分解によって次第に分解される。時間と共に、熱または湿分によって酢酸が遊離される。これは、固定手段の黄変、機械的強度の減少および固定手段の接着力の減少をまねく。更に、遊離された酢酸は、触媒として作用し、さらに分解を促進する。更に、光起電力エレメントおよび/または太陽電池モジュール中の別の金属部材は、酢酸によって腐蝕されるという問題が起こる。
【0008】
この問題の解決のために、欧州特許出願公開第1065731号明細書A2には、光起電力エレメントおよび重合体固定手段を含む太陽電池モジュールの使用が提案されており、この場合この重合体固定手段は、エチレン−アクリルエステル−アクリル酸三元共重合体、エチレン−アクリルエステル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル三元共重合体、エチレン−アクリル酸−メタクリル酸三元共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル−メタクリル酸三元共重合体および/またはエチレン−メタクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体を含む。しかし、この種の太陽電池モジュールの耐候性ならびに有効性は、制限されている。
【0009】
また、公知技術水準から、アクリル成形材料の耐候性を適当なUV吸収剤の使用によって改善することは、公知である。
【0010】
即ち、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10311641号明細書A1には、式(I)
【化1】

〔式中、基R1およびR2は、独立に1〜20個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基を表わす〕で示されるUV安定剤0.005質量%〜0.1質量%を含有するポリメチルメタクリレート成形体を含むタンニング補助剤が記載されている。
【0011】
しかし、この刊行物には、太陽電池モジュールを製造するための形成体の使用についての指摘は何も確認することができない。
【0012】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3838480号明細書A1には、a)光によって引き起こされる損傷から保護するための安定剤としての蓚酸アニリド−または2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物およびb)難燃性有機燐化合物を含有するメチルメタクリレート重合体およびメチルメタクリレート共重合体が開示されている。
【0013】
しかし、この刊行物には、太陽電池モジュールを製造するための組成物の使用についての指摘は何も確認することができない。
【0014】
特開2005−298748号公報Aは、有利にメチルメタクリレート単位60〜100質量%および別の共重合可能なビニルモノマー単位0〜40質量%を含むメタクリル樹脂100質量部、および2−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンおよび/または2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン0.005〜0.15質量%を含有するメタクリル樹脂からなる成形部材を提供する。この成形部材は、UV線に対する明らかなバリヤーを有し、0.5〜5mmの範囲内の厚さを有する成形部材について測定した、340nmで最大20%の透明度および380nmで最大70%の透明度を示す。
【0015】
この成形部材は、殊に照明システムのためのカバーとして使用される。しかし、この刊行物には、太陽電池モジュールを製造するための成形部材の使用についての指摘は何も確認することができない。
【0016】
発明の概要
従って、本発明の課題は、殊に高い温度および/または高い空気湿度で戸外で長時間利用する際の太陽電池の出力低下を減少させるための方法を提示することである。この目的のために、殊に優れた耐候性、できるだけ高い熱変形安定性およびできるだけ高い光透過性ならびにできるだけ少ない吸水率を達成するための方法が探求された。更に、腐蝕を促進する物質、殊に酸のできるだけ少ない遊離および太陽電池モジュールの種々の基本エレメントに対するできるだけ強い接着力が望まれた。
【0017】
前記課題ならびにさらに具体的には記載されていないが、本明細書の冒頭部で議論した関連事項から容易に明らかになる課題は、本発明の請求項1の全ての特徴を有する成形材料の使用によって解決される。請求項1に従属する従属請求項は、本発明の特に有利な変法を記載する。更に、相応する太陽電池モジュールの特許保護も請求されている。
【0018】
a)少なくとも1つのポリアルキル(メタ)アクリレートおよびb)式(I)
【化2】

〔式中、基R1およびR2は、独立に1〜20個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基を表わす〕で示される少なくとも1つの化合物を、太陽電池モジュールの製造のため、殊に太陽電池モジュール用集光器の製造のために使用することによって、簡単に予測することができたものではなく、殊に高い温度および/または高い空気湿度で戸外で長時間利用する際の太陽電池の出力低下を極めて良好に阻止することに成功する。殊に、優れた耐候性、極めて高い熱安定性、極めて高い光透過性ならびに極めて低い吸水率が達成される。更に、長時間戸外で利用した場合でも腐蝕を促進する物質は、全く遊離されず、太陽電池モジュールの種々の基本エレメントに対して極めて強い接着力が達成される。
【0019】
この目的を達成する解決は、可視波長範囲内で「有用な」光の効率的な利用を可能にする。同時に、別の波長領域、殊に電流の発生に利用することができないUV領域内は、効率的に吸収される。この吸収によって、太陽電池モジュールの耐候性は、向上される。更に、吸収によって不利に作用する、集光器の加熱は、阻止され、この場合この目的のために冷却エレメントは、使用される必要はなく、太陽電池モジュールの寿命は、延長され、およびこの太陽電池モジュールの全出力および効率は、上昇される。
【0020】
本発明による方法によって、殊に次の利点が明らかになる:
優れた耐候性、熱安定性および湿分耐性を有する太陽電池モジュールが自由に入手可能になる。前記モジュールが戸外条件に長時間晒された場合であっても、剥離は、全く起こらない。更に、耐候性が改善され、それというのも、高い温度および高い湿度の場合でも酸は、全く遊離されないからである。酸による光起電力エレメントの腐蝕は、全く起こらないので、長時間に亘って安定して持続される、太陽電池の出力は、維持される。
【0021】
更に、耐候性、熱変形安定性および湿分耐性が優れており、優れた光透過性を有し、および極めて良好な太陽電池モジュールの製造を可能にする材料が使用される。
【0022】
発明の詳細な説明
本発明の範囲内で、a)少なくとも1つのポリアルキル(メタ)アクリレートおよびb)式(I)
【化3】

〔式中、基R1およびR2は、独立に1〜20個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基を表わす〕で示される少なくとも1つの化合物は、太陽電池モジュールの製造のために使用される。この場合、この成分は、一緒になって1つの組成物中に、例えば成形材料中の混合物として、太陽電池モジュールの共通のエレメント、例えば成形部材の製造のために使用されてよい。しかし、それぞれ太陽電池モジュールの異なる個々のエレメントの製造のために別々に使用することも可能である。
【0023】
ポリアルキル(メタ)アクリレートは、個別的に使用されてもよいし、多数の異なるポリアルキル(メタ)アクリレートの混合物で使用されてもよい。更に、ポリアルキル(メタ)アクリレートは、共重合体の形で存在していてもよい。
【0024】
本発明の範囲内で、C1〜C18アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはC1〜C10アルキル(メタ)アクリレート、殊にC1〜C4アルキル(メタ)アクリレートの、場合によってはなおこれらとは異なるモノマー単位を含有することができる単独重合体および共重合体は、特に好ましい。
【0025】
本明細書中で、(メタ)アクリレートという表記は、メタクリレート、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート等ならびにアクリレート、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート等ならびに双方からなる混合物を意味する。
【0026】
1〜C10アルキル(メタ)アクリレート70質量%〜99質量%、殊に70質量%〜90質量%を含有する共重合体の使用は、殊に有効であることが実証された。好ましいC1〜C10アルキルメタクリレートは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、第三ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレートおよびエチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレートならびにシクロアルキルメタクリレート、例えばシクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートまたはエチルシクロヘキシルメタクリレートを含む。好ましいC1〜C10アルキルアクリレートは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、第三ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレートおよびエチルヘキシルアクリレートならびにシクロアルキルアクリレート、例えばシクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレートまたはエチルシクロヘキシルアクリレートを含む。
【0027】
殊に好ましい共重合体は、メチルメタクリレート(MMA)単位80質量%〜99質量%およびC1〜C10アルキルアクリレート単位、殊にメチルアクリレート単位、エチルアクリレート単位および/またはブチルアクリレート単位1質量%〜20質量%、特に1質量%〜5質量%を含む。Roehm GmbH社から入手可能なポリメチルメタクリレートPLEXIGLAS(登録商標)7Nの使用は、前記の記載に関連して特に有効であることが実施された。
【0028】
ポリアルキル(メタ)アクリレートは、自体公知の重合法によって製造されることができ、この場合には、ラジカル重合法、殊に塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法および乳化重合法が特に好ましい。この目的のために特に適した開始剤は、殊にアゾ化合物、例えば2,2′−アゾビス−(イソブチロニトリル)または2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、レドックス系、例えば第3アミンと過酸化物またはナトリウムジスルフィットとの組合せ物およびカリウム、ナトリウムまたはアンモニウムの過硫酸塩、または有利に過酸化物を含む(これに関連しては、例えばH.Rauch−Puntigam,Th.Voelker,"Acryl− und Methacrylverbindungen",Springer,Heidelberg,1967またはKirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.1,第386頁,J.Wiley,New York、1978参照のこと)。特に好適な過酸化物重合開始剤の例は、ジラウロイルペルオキシド、第三ブチルペルオクトエート、第三ブチルイソノナノエート、ジシクロヘキシルペルオキソジカーボネート、過酸化ジベンゾイルおよび2,2−ビス−(第三ブチルペルオキシ)−ブタンである。また、好ましくは、重合は、異なる半減期の種々の重合開始剤の混合物、例えば過酸化ジラウロイルおよび2,2−ビス−(第三ブチルペルオキシ)−ブタンを用いて実施することができ、ラジカル流は、重合の経過中ならびに種々の重合温度で一定に保持される。重合開始剤の使用量は、一般にモノマー混合物に対して0.01質量%〜2質量%である。
【0029】
重合は、連続的に実施されてもよいし、バッチ形式で実施されてもよい。重合後、重合体は、従来の単離工程および分離工程、例えば濾過、凝集および噴霧乾燥により取得される。
【0030】
重合体または共重合体の鎖長の調節は、分子量調節剤、例えばこのために公知であるメルカプタン、例えばn−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノールまたは2−エチルヘキシルチオグリコラート、ペンタエリトリットテトラチオグリコラートの存在下での単量体または単量体混合物の重合によって行うことができ;この場合、この分子量調節剤は、一般に、単量体または単量体混合物に対して0.05〜5質量%の量で、有利に単量体または単量体混合物に対して0.1質量%〜2質量%の量で、特に有利に0.2質量%〜1質量%の量で使用される(例えばH.Rauch−Puntigam,Th.Voelker,"Acryl− und Methacrylverbindungen",Springer,Heidelberg,1967;Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,第XIV/1卷,第66頁,Georg Thieme,Heidelberg,1961またはKirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.1,第296頁以降,J.Wiley,New York、1978を参照のこと)。特に、有利には、分子量調節剤としてn−ドデシルメルカプタンが使用される。
【0031】
更に、本発明の範囲内で、式(I)
【化4】

〔式中、基R1およびR2は、独立に1〜20個の炭素原子、特に有利に1〜8個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基を表わす〕で示される少なくとも1つの化合物は、太陽電池モジュールの製造のために使用される。脂肪族基は、特に直鎖状または分枝鎖状であり、置換基、例えばハロゲン原子を有することができる。
【0032】
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、2−メチルプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、ノニル基、1−デシル基、2−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ペンタデシル基およびエイコシル基は、好ましいアルキル基に属する。
【0033】
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびシクロオクチル基は、好ましいシクロアルキル基に属し、該基は、場合により分枝鎖状アルキル基または非分枝鎖状アルキル基で置換されている。
【0034】
特に有利には、式(II)
【化5】

で示される化合物が使用される。
【0035】
この化合物は、商業的にClariant社からSanduvor(登録商標) VSUの商品名で、ならびにCiba Geigy社からTinuvin(登録商標)312の商品名で入手可能である。
【0036】
本発明の範囲内で、場合によっては当業者によく知られている助剤を添加することは、有利である。好ましいのは、外部滑剤、酸化防止剤、難燃剤、他のUV安定剤、流動助剤、電磁線により遮蔽するための金属添加剤、静電防止剤、消泡剤、染料、顔料、付着助剤、耐候安定剤、可塑剤、充填剤および類似物である。
【0037】
本発明の特に好ましい実施態様の範囲内で、少なくとも1つの立体障害アミンが使用され、それによって耐候性は、さらに改善される。長時間戸外条件に晒された材料の黄変または分解は、さらに減少させることができる。
【0038】
特に好ましい立体障害アミンは、ジメチルスクシネート−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペラジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートおよび2−(3,5−ジ−t−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネートビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)を含む。
【0039】
更に、シラン付着助剤または有機チタン化合物の使用は、殊に有効であることが実証され、それによって、無機材料に対する接着力は、さらに改善される。
【0040】
適当なシラン付着助剤は、ビニルトリクロロシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランおよびγ−クロロプロピルトリメトキシシランを含む。
【0041】
ポリアルキル(メタ)アクリレートと式(I)の化合物との相対的割合は、原理的に自由に選択することができる。
【0042】
この割合は、有利に共通の成形材料中に存在する。特に好ましい成形材料は、それぞれ該成形材料の全質量に対して、a)ポリアルキル(メタ)アクリレート90質量%〜99.999質量%およびb)式(I)の化合物0.001質量%〜0.03質量%を含む。
【0043】
共通の成形材料中への前記化合物の混入は、刊行物に公知の方法により、例えばよりいっそう高い温度で後加工前の重合体との混合によって、重合体の溶融液中への添加によって、または加工中の懸濁されたかまたは溶解された重合体への添加によって行なうことができる。前記化合物は、場合によっては既に重合体の製造のために出発物質に添加されてもよく、さらに通常の光安定剤および熱安定剤、酸化剤および還元剤等の存在下でも吸収能を失なうことはない。
【0044】
本発明の目的のために特に好ましい成形材料は、80℃を下廻らない軟化温度を有する(ビカー軟化温度VET(ISO 306−B50))。従って、この成形材料は、殊に太陽電池モジュールのための固定手段として適している。それというのも、このモジュールが使用の際に高い温度に晒される場合であっても、何らのクリープの開始も示さないからである。
【0045】
また、特に好ましいのは、比較的高い全光透過率を有し、こうして殊に太陽電池モジュール中の固定手段としての成形材料の使用の際に、固定手段の光学的損失によって引き起こされる太陽電池の出力低下を阻止する成形材料である。全光透過率は、400nm〜500nm未満の波長領域に亘って、特に少なくとも90%である。全透過率は、500nm〜1000nm未満の波長領域に亘って、特に少なくとも80%である(Perkin Elmer社の分光光度計ラムダ19により測定した)。
【0046】
更に、1〜500kΩ×cm2の損失抵抗を有する成形材料も好ましい。短路に基づく太陽電池の出力低下は、可能な範囲で最善になるように回避される。
【0047】
記載された成分を含有する成形材料は、殊に太陽電池モジュールのための固定手段として適している。更に、この成形材料は、いわゆる集光器の製造のために使用される。これは、最小寸法の面積上に高い効率で光を集中させる、即ち高い放射照度を達成させる構成要素である。この場合、光源の画像を発生させることは、不要である。
【0048】
本発明の目的のために特に好ましい集光器は、収束レンズであり、この収束レンズは、光軸と平行に入射した光を収束させ、焦点平面内でピント調節される。この場合には、殊に光軸と平行に入射される光は、焦点にピント調節される。
【0049】
収束レンズは、両凸(両側が外向きに湾曲した)、平凸(片側が平面で、片側が凸面)または凹凸(片側が内向きに湾曲し、片側が外向きに湾曲し、この場合凸面は、特に凹面よりも強く湾曲している)である。本発明による特に好ましい収束レンズは、少なくとも1つの凸面領域を含み、この場合平凸構造は、特に好ましいことが判明した。
【0050】
本発明の特に好ましい実施態様の範囲において、集光器は、フレネルレンズの構造を有する。これは、使用される構造原理によって、一般に質量の減少および体積の減少を生じ、このことは、特に短い焦点距離を有する大型レンズの場合に有効である。
【0051】
体積の減少は、フレネルレンズにおいて、環状領域の区分によって行なわれる。全ての全領域内で厚さは、減少され、したがって、このレンズは、一連の環状帯域を有する。光は、レンズの表面でのみ屈折されるので、屈折角度は、レンズの厚さに依存するのではなく、レンズの両面間の角度にのみ依存する。従って、画像品質が前記画像帯域の構造によって劣化されるとしても、レンズは、焦点距離を維持する。本発明の第1の特に好ましい実施態様の範囲において、光軸に対してフレネルレンズ構造を有する回転対称のレンズが使用される。この回転対称のレンズは、光を単一方向に単一点で収束する。
【0052】
更に、本発明の特に好ましい実施態様の範囲内で、光を1つの平面内に収束する、フレネルレンズ構造を有する線状レンズが使用される。
【0053】
ところで、太陽電池モジュールは、自体公知の構造を有することができる。この太陽電池モジュールは、特に、有利に鏡板と後壁との間に挿入されかつ貼合されている、少なくとも1つの光起電力エレメントを含み、この場合鏡板および後壁は、有利に固定手段で光起電力エレメント上に固定されている。この場合、太陽電池モジュール、殊に鏡板、後壁および/または固定手段は、特に本発明により使用される成分、即ちポリアルキル(メタ)アクリレートおよび式(I)の化合物を含む。
【0054】
更に、本発明による特に好ましい実施態様の範囲内で、太陽電池モジュールは、
a)少なくとも1つの光起電力エレメント、
b)少なくとも1つのポリアルキル(メタ)アクリレートを含有する少なくとも1つの集光器および
c)式(I)に記載の少なくとも1つの化合物を含有する、少なくとも1つの透明な鏡板を含む。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による好ましい太陽電池モジュールを示す略示断面図。
【図2a】図1による太陽電池モジュール中に有利に使用される光起電力エレメントの基本構造を示す略示断面図。
【図2b】図1による太陽電池モジュール中に有利に使用される光起電力エレメントの感光性面を示す平面図。
【図3】常用の太陽電池を示す略示断面図。
【実施例】
【0056】
太陽電池モジュールの特に好ましい構造は、図1〜図2Bに対して場合による参照符号で以下に記載される。
【0057】
本発明による太陽電池モジュールは、特に光起電力エレメント101、光起電力エレメント101の前面を覆う鏡板103、光起電力エレメント101と鏡板103との間の第1の固定手段102、光起電力エレメント101の後側104を覆う後壁105および光起電力エレメント101と後壁105との間の第2の固定手段104を含む。
【0058】
光起電力エレメントは、特に光変換のための第1の電極としての伝導性支持体上の光活性半導体層とその上に形成された、第2の電極としての透明な伝導性層とを含む。
【0059】
これに関連して、伝導性支持体は、特に不銹鋼を含み、それによって前記支持体に対する固定手段の接着力は、さらに改善される。
【0060】
銅および/または銀を成分として含有するコレクター電極は、特に光起電力エレメントの感光性面上に形成され、有利に式(I)の少なくとも1つの化合物を含有するポリアルキル(メタ)アクリレートは、特にコレクター電極と接触される。
【0061】
光起電力エレメントの感光性表面は、好ましい形式で、有利に式(I)の少なくとも1つの化合物を含有するポリアルキル(メタ)アクリレートで覆われ、その上に特に薄手のフルオリド重合体フィルムは、最も外側の層として配置される。
【0062】
第1の固定手段102は、エレメント101の感光性表面の起伏を覆うことにより、光起電力エレメント101を外部の作用から保護する。更に、この第1の固定手段は、鏡板103をエレメント101に結合するために利用される。従って、高い透明度に加えて高い耐候性、高い接着力および高い耐熱性を有することが意図される。更に、低い吸水率を示し、酸を遊離しないことが意図される。この要件を満たすために、特に有利に式(I)の少なくとも1つの化合物を含有する、第1の固定手段としてのポリアルキル(メタ)アクリレートが使用される。
【0063】
光起電力エレメント101に到達する光量の減少を最小化するために、第1の固定手段102の光透過率は、400nm〜800nmの可視波長範囲内で特に少なくとも80%であり、特に有利には、400nm〜500nm未満の波長範囲内で少なくとも90%である(Perkin Elmer社の分光光度計ラムダ19により測定した)。更に、この光起電力エレメントは、空気から入射する光量を最大にするために、特に1.1〜2.0、好ましくは1.1〜1.6の屈折率を有する(ISO 489に従い測定した)。
【0064】
第2の固定手段104は、光起電力エレメント101を外側の作用から保護するために、エレメント101の後側の起伏を覆うことにより、使用される。更に、この第2の固定手段は、後壁105をエレメント101に結合するためにも利用される。従って、第2の固定手段は、第1の固定手段と同様に、高い耐候性、高い接着力および高い耐熱性を有することが意図される。従って、有利に式(I)の有利に少なくとも1つの化合物を含有するポリアルキル(メタ)アクリレートを第2の固定手段として使用することは、好ましい。第1の固定手段に使用される材料が第2の固定手段に使用される材料と同じであることは、好ましい。しかし、透過率は、場合によるので、必要に応じて、充填剤、例えば有機酸化物を第2の固定手段に添加することができ、耐光性および機械的性質がさらに改善されうるか、または固定手段を着色するために顔料が添加されうる。
【0065】
光起電力エレメント101として、特に公知のエレメント、殊に単結晶シリコンセル、多結晶シリコンセル、非晶質シリコンおよび微晶質シリコンが使用され、例えばこれらは、薄膜シリコンセルにも使用される。更に、また銅−インジウム−セレン化物化合物および半導体化合物は、特に好適である。
【0066】
好ましい光起電力エレメントは、図2aおよび図2bに略示されている。図2aは、光起電力エレメントの略示断面図であり、これに対して、図2bは、光起電力エレメントの略示平面図である。これらの図において、番号201は、伝導性支持体であり、202は、後側上の反射層であり、203は、光活性半導体層であり、204は、透明な伝導性層であり、205は、コレクター電極であり、206aおよび206bは、ワニ口クリップであり、および207および208は、伝導性接着剤ペーストまたは伝導性ペーストである。
【0067】
伝導性支持体201は、光起電力エレメントの支持体として利用されるだけでなく、第2の電極としても利用される。伝導性支持体201の材料は、特に珪素、タンタル、モリブデン、タングステン、不銹鋼、アルミニウム、銅、チタン、カーボン箔、鉛メッキされた薄鋼板、樹脂フィルムおよび/またはセラミック、およびその上の伝導性層を含む。
【0068】
伝導性層201上には、特に金属層、金属酸化物層またはこれら双方が後側上の反射層202として設けられている。金属層は、特にTi、Cr、Mo、B、Al、Agおよび/またはNiを含み、これに対して、金属酸化物層は、特にZnO、TiO2およびSnO2を含有する。金属層または金属酸化物層は、有利に気相析出、加熱または電子ビーム、またはスパッタリングによって形成される。
【0069】
光活性半導体層203は、光電変換プロセスの実施に利用される。これに関連して好ましい材料は、pn移行部を有する多結晶シリコン、非晶質シリコンからなるpin接合型、微晶質シリコンからなるpin接合型および半導体化合物、殊にCuInSe2、CuInS2、GaAs、CdS/Cu2S、CdS/CdTe、CdS/InPおよびCdTe/Cu2Teである。この場合、非晶質シリコンからなるpin接合型の使用は、特に好ましい。
【0070】
光活性半導体層は、特に、溶融されたシリコンを変形して箔に変えることにより形成されるか、または多結晶シリコンの場合には、非晶質シリコンの熱処理、非晶質シリコンおよび微晶質シリコンの場合には、出発材料としてのシランガスを使用するプラズマ気相析出、および半導体化合物の場合には、イオンメッキ、イオンビーム析出、真空蒸着、スパッタリングまたは電気メッキによって形成される。
【0071】
透明な伝導性層204は、太陽電池の上側電極として利用される。この透明な伝導性層は、特にIn23、SnO2、In23−SnO2(ITO)、ZnO、TiO2、Cd2SnO4または高い濃度の不純物でドーピングされている結晶性半導体層を含む。この透明な伝導性層は、抵抗加熱蒸着、スパッタリング、噴霧、気相析出または不純物の拡散によって形成されてよい。
【0072】
ところで、その上に透明な伝導性層204が形成された光起電力エレメントの場合、伝導性支持体および透明な伝導性層は、部分的に伝導性支持体201の表面の起伏のため、および/または光活性半導体層の形成時点での非単一性のために短絡を生じうる。この場合には、出力電圧に対して比例する大きな電流損失が生じる。即ち、漏れ抵抗(分路抵抗)は、低い。従って、短絡を排除し、光起電力エレメントを透明な伝導性層の形成後に欠陥位置を除去するための処理に掛けることは、望ましい。この種の処理は、米国特許第4729970号明細書中に詳細に記載されている。この処理によって、光起電力エレメントの分路抵抗は、1〜500kΩ×cm2、特に10〜500kΩ×cm2に調節される。
【0073】
透明な伝導性層204上には、コレクター電極(グリッド)が形成されてよい。このコレクター電極は、特にグリッド、櫛、線または類似物の形状を有し、効果的に集電が行なわれる。コレクター電極205を形成する材料の好ましい例は、Ti、Cr、Mo、W、Al、Ag、Ni、Cu、Snまたは導電性ペーストであり、この導電性ペーストは、銀ペーストと呼称される。
【0074】
コレクター電極205は、有利にマスキングパターンを使用するスパッタリング、抵抗加熱、気相析出、金属フィルムを層全体に亘ってガス析出によって形成させかつフィルムの不要な部分をエッチングによって除去する工程を含む方法、格子電極パターンを光化学気相析出によって形成させる方法、格子電極のネガ型のマーキングパターンを形成させかつパターン化された表面をメッキする工程を含む方法、導電性ペーストを印刷する方法、または金属線材を印刷された導電性ペースト状にロウ付けする方法により形成される。導電性ペーストとしては、特に銀、金、銅、ニッケル、炭素または類似物が微細粉末の形で分散されている結合剤重合体が使用される。結合剤重合体は、特にポリエステル樹脂、エトキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ゴム、ウレタン樹脂および/またはフェノール樹脂を含む。
【0075】
最後に、特にワニ口クリップ206は、伝導性支持体201上またはコレクター電極205上に固定され、起電力をタップ調整する。伝導性支持体上でのワニ口クリップ206の固定は、特に、金属体、例えば銅タグを伝導性支持体上に点溶接またはロウ付けによって固定することにより達成され、一方で、コレクター電極上でのワニ口クリップの固定は、特に、金属体をコレクター電極で導電性ペーストまたはロウ付け用錫207および208により電気的に結合することにより実現される。
【0076】
光起電力エレメントは、望ましい電圧または電流強さにより直列にかまたは平行に接続される。更に、電圧または電流強さは、光起電力エレメントを絶縁性支持体中に嵌め込むことにより制御されることができる。
【0077】
図1中の鏡板103は、できるだけ高い耐候性、できるだけ良好な汚れ忌避性およびできるだけ高い機械的強度を有することを意図し、それというのも、この鏡板は、太陽電池モジュールの最も外側の層であるからである。更に、この鏡板は、太陽電池モジュールが長時間の戸外での使用の際に確実であることを保証することを意図する。本発明の目的のために適当な形式で使用されることができる鏡板は、(強化された)ガラス箔およびフルオリド重合体フィルムを含む。ガラス箔として、高い光透過率を有するガラス箔が有利に使用される。適当なフルオリド重合体箔は、殊にエチレンテトラフルオリド−エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニルフルオリド樹脂(PVF)、ポリビニリデンフルオリド樹脂(PVDF)、テトラフルオロエチレン樹脂(TFE)、エチレンテトラフルオリド−プロピレンヘキサフルオリド共重合体(FEP)およびクロロトリフルオロエチレン(CTFE)を含む。ポリビニリデンフルオリド樹脂は、耐光性に関連して特に好適であり、一方、エチレンテトラフルオリド−エチレン共重合体は、耐光性と機械的強度との組合せに関連して特に好ましい。フルオリド重合体箔と固定手段との間の接着力を改善するために、前記箔をコロナ放電処理またはプラズマ放電処理に掛けることは、望ましい。更に、機械的強度をさらに改善するために、延伸された箔も有利に使用される。
【0078】
本発明の特に好ましい実施態様の範囲において、鏡板は、有利にさらに式(I)の少なくとも1つの化合物を含有する、少なくとも1つのポリアルキル(メタ)アクリレートを含む。
【0079】
更に、鏡板は、特に光を高い効率で光起電力エレメント上に収束させ、即ち高い放射照度を達成する。特に好ましいのは、光軸と平行に入射した光を収束させ、焦点平面内でピント調節される収束レンズである。この場合には、殊に光軸と平行に入射される光は、焦点にピント調節される。
【0080】
収束レンズは、両凸、平凸または凹凸であることができる。しかし、平凸構造は、特に好ましい。更に、鏡板は、特にフレネルレンズの構造を有する。
【0081】
後壁105は、光起電力エレメント101と環境との間の電気絶縁に利用され、耐候性の改善に利用され、および強化材料として作用する。この後壁は、特に、十分に電気絶縁特性を保証し、優れた長時間安定性を有し、熱膨張および熱収縮に耐えることができ、かつフレキシブルである材料から形成されている。この目的のために特に好適な材料は、ナイロン箔、ポリエチレンテレフタレート(PET)箔およびポリビニルフルオリド箔を含む。湿分耐性が要求される場合には、有利にアルミニウムが貼り合わされたポリビニルフルオリド箔、アルミニウム被覆されたPET箔、酸化珪素被覆されたPET箔が使用される。更に、このモジュールの耐火性は、箔が貼り合わされ電気メッキされた鉄箔または不銹鋼からなる箔を後壁として使用することにより改善されうる。
【0082】
本発明の特に好ましい実施態様の範囲において、後壁は、有利にさらに式(I)の少なくとも1つの化合物を含有する、少なくとも1つのポリアルキル(メタ)アクリレートを含む。
【0083】
後壁の外側表面上に支持板を固定することができ、太陽電池モジュールの機械的強度がさらに改善されるか、または温度変化によって引き起こされる後壁の座屈および撓みが回避される。特に好ましい後壁は、不銹鋼、プラスチックシートまたはFRP(繊維強化プラスチック)からなるシートである。更に、構成材料は、後鏡板上に固定されていてよい。
【0084】
この種の太陽電池モジュールは、自体公知の方法で製造することができる。しかし、特に好ましい方法は、以下に記載される。
【0085】
光起電力エレメントを固定手段で覆うために、特に、固定手段を熱的に溶融し、スロットを通じて押出し、箔を形成させ、次に前記エレメント上に熱的に固定するような方法が使用される。固定手段の箔は、特に前記エレメントと鏡板との間に導入され、および前記エレメントと後壁との間に導入され、次に固定される。
【0086】
熱的固定を実施するために、例えば真空貼り合わせおよびローラー貼り合わせのような公知方法が使用されてよい。
【0087】
本発明による太陽電池モジュールは、特に80℃までまたはそれ以上の動作温度を有し、この場合には、殊に本発明による材料の耐熱性の効果の高い温度で効果的に利用されることができる。
【符号の説明】
【0088】
図1: 101 光起電力エレメント、 102 固定手段、 103 鏡板、 104 固定手段、 105 後壁、
図2a: 201 伝導性支持体、 202 反射層、 203 光活性半導体層、 204 透明な伝導性層、 205 コレクター電極、 206a ワニ口クリップ、 206b ワニ口クリップ、 207 伝導性接着剤ペースト、 208 伝導性ペーストまたは半田、
図2b: 201 伝導性支持体、 202 反射層、 203 光活性半導体層、 204 透明な伝導性層、 205 コレクター電極、 206a ワニ口クリップ、 206b ワニ口クリップ、 207 伝導性接着剤ペースト、
図3: 501 光起電力エレメント、 502 固定手段、 503 鏡板、 504 後壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールを製造するための、
a)少なくとも1つのポリアルキル(メタ)アクリレートおよび
b)式(I)
【化1】

〔式中、基R1およびR2は、独立に1〜20個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基を表わす〕で示される少なくとも1つの化合物の使用。
【請求項2】
成形材料は、少なくとも1つのC1〜C18アルキル(メタ)アクリレート単独重合体またはC1〜C18アルキル(メタ)アクリレート共重合体を含有する、請求項1記載の使用。
【請求項3】
成形材料は、メチルメタクリレート単位80質量%〜99質量%およびC1〜C10アルキルアクリレート単位1質量%〜20質量%を含む少なくとも1つの共重合体を含有する、請求項2記載の使用。
【請求項4】
共重合体は、メチルアクリレート単位および/またはエチルアクリレート単位を含む、請求項3記載の使用。
【請求項5】
基R1およびR2が独立に1〜8個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基であるような式(I)の化合物を使用する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
基R1およびR2がメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、2−メチルプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、ノニル基、1−デシル基、2−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ペンタデシル基またはエイコシル基であるような式(I)の化合物を使用する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
基R1およびR2が場合によっては分枝鎖状または非分枝鎖状アルキル基で置換されている、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基またはシクロオクチル基であるような式(I)の化合物を使用する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
式(II)
【化2】

で示される化合物を使用する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
a)少なくとも1つのポリアルキル(メタ)アクリレートおよび
c)式(I)
【化3】

〔式中、基R1およびR2は、独立に1〜20個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基を表わす〕で示される少なくとも1つの化合物を含有する成形部材を含む太陽電池モジュール。
【請求項10】
成形部材は、集光器である、請求項9記載の太陽電池モジュール。
【請求項11】
成形部材は、収束レンズである、請求項10記載の太陽電池モジュール。
【請求項12】
収束レンズは、凸面領域を含む、請求項11記載の太陽電池モジュール。
【請求項13】
収束レンズは、平凸構造を有する、請求項12記載の太陽電池モジュール。
【請求項14】
収束レンズは、フレネルレンズである、請求項13記載の太陽電池モジュール。
【請求項15】
さらに光起電力エレメントを含む、請求項10から14までのいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項16】
a)少なくとも1つの光起電力エレメント、
b)少なくとも1つのポリアルキル(メタ)アクリレートを含有する少なくとも1つの収束レンズおよび
c)式(I)
【化4】

〔式中、基R1およびR2は、独立に1〜20個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基を表わす〕で示される少なくとも1つの化合物を含有する、少なくとも1つの透明な鏡板を含む太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−508801(P2012−508801A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535950(P2011−535950)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063438
【国際公開番号】WO2010/054905
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】