説明

太陽電池モジュール

【課題】 本発明の課題は、エネルギー変換効率のより大きな太陽電池モジュールを提供することである。
【解決手段】 太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面封止シート(I)、太陽電池の受光面側に位置する封止材層(II)、太陽電池セル(III)、太陽電池の非受光面側に位置する封止剤層(IV)、及び前記非受光面側封止剤層(IV)に接してなる太陽電池裏面保護シート(V)を具備してなる太陽電池モジュールであって、前記太陽電池裏面保護シート(V)が、波長変換機能と反射機能とを有し、前記波長変換機能が、吸収極大が350〜500nmにあり、発光極大が400〜700nmにあり、ストークスシフトが50nm以上であり、前記反射機能が、400〜700nmの光の反射率が60%以上である、ことを特徴とする太陽電池モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長変換機能及び反射機能を有する太陽電池裏面保護シートを具備してなる太陽電池モジュールに関する。詳しくは、太陽電池モジュールに入射されたにも関わらず、太陽電池素子に吸収されず、非受光面側に通過してしまった透過光を、太陽電池素子にとって吸収感度の良い波長に変換すると共に、波長変換された光を非受光面側から太陽電池素子及び封止剤に向かって反射することにより、太陽電池のエネルギー変換効率を増大させる機能を有する太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に対する意識の高まりから環境汚染がなくクリーンなエネルギー源として太陽電池が注目され、有用なエネルギー資源としての太陽エネルギー利用の面から鋭意研究され実用化が進んでいる。
太陽電池素子には様々な形態があり、その代表的なものとして、結晶シリコン太陽電池素子、多結晶シリコン太陽電池素子、非晶質シリコン太陽電池素子、銅インジウムセレナイド太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子等が知られている。この中で薄膜結晶太陽電池素子、非晶質シリコン太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子は比較的低コストであり、また大面積化が可能であるため、各方面で活発に研究開発が行われている。またこれらの太陽電池素子の中でも、導体金属基板上にシリコンを積層し、更にその上に透明導電層を形成した非晶質シリコン太陽電池素子に代表される薄膜太陽電池素子は軽量であり、また耐衝撃性やフレキシブル性に富んでいるので、太陽電池における将来の形態として有望視されている。
【0003】
太陽電池モジュールのうち、単純なものは、太陽電池素子の両面に充填剤、ガラス板を、順に積層した構成形態を呈する。ガラス板は、透明性、耐候性、耐擦傷性に優れることから、太陽の受光面側の封止シートとして、現在も一般的に用いられている。しかし、透明性を必要としない非受光面側においては、コストや安全性、加工性の面から、ガラス板以外の太陽電池用裏面保護シート(以下裏面保護シート)が各社により開発され、ガラス板に置き換わりつつある。
【0004】
裏面保護シートとしては、ポリエステルフィルム等の単層フィルムや、ポリエステルフィルム等に金属酸化物や非金属酸化物の蒸着層を設けたものや、ポリエステルフィルムやフッ素系フィルム、オレフィンフィルムやアルミニウム箔などのフィルムを積層した多層フィルムが挙げられる。
多層構成の裏面保護シートは、その多層構造により、さまざま性能を付与することができる。例えば、ポリエステルフィルムを用いることで絶縁性を、フッ素系フィルムを用いることで耐候性を、アルミニウム箔を用いることで水蒸気バリア性を付与することができる。
どのような裏面保護シートを用いるかは、太陽電池モジュールが用いられる製品・用途によって、適宜選択され得る。
【0005】
吸収する波長領域は太陽電池素子により異なり、非晶質シリコン太陽電池素子は600nm、多結晶シリコン太陽電池素子は700nm、単結晶シリコン太陽電池素子は800nmに、それぞれ吸収感度のピークを有し、各吸光感度の高い波長領域の光のみを吸収して光電変換するため、近紫外光域といった吸収感度の低い波長領域の光は光電変換せず、全ての波長領域を有効利用できていなかった。
【0006】
上記光電変換効率を高める方法として、太陽電池の受光側前面に紫外光を可視光に変換する光変換膜を配置することが提案されている。この方法により太陽電池素子の吸収感度の高い波長領域が増大するため、光電変換効率が向上する。(特許文献1、2、3)
しかし、この場合は太陽電池素子に直接光変換膜を形成するため、コストが高く、また、太陽電池素子が吸収できずに透過した光までは再利用されることが無い為、全ての光を有効利用できてはいないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−313877号公報
【特許文献2】特開2001−7377号公報
【特許文献3】特開2001−185242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、エネルギー変換効率のより大きな太陽電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面封止シート(I)、太陽電池の受光面側に位置する封止材層(II)、太陽電池セル(III)、太陽電池の非受光面側に位置する封止剤層(IV)、及び前記非受光面側封止剤層(IV)に接してなる太陽電池裏面保護シート(V)を具備してなる太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池裏面保護シート(V)が、波長変換機能と反射機能とを有し、
前記波長変換機能が、吸収極大が350〜500nmにあり、発光極大が400〜700nmにあり、ストークスシフトが50nm以上であり、
前記反射機能が、400〜700nmの光の反射率が60%以上である、
ことを特徴とする太陽電池モジュールに関する。
【0010】
また、前記太陽電池用裏面保護シート(V)は、波長変換機能と反射機能とを有する接着剤層(1−1)と、前記機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)とを具備するか、または、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2)と、反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(2−2)とを具備するか、または、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2)と、前記機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)と、反射機能を有し、波長変換機能を有しない他の層(6)とを具備し、前記接着剤層(1−1)又は(1−2)が、非受光面側封止材層(IV)に接することを特徴とする前記太陽電池モジュールに関する。
【0011】
また、前記波長変換材料(A)は、ベンゾキサゾイル誘導体であることが好ましい。
また、接着剤層(1−1)又は(1−2)中の波長変換材料(A)の量が、接着剤層(1−1)または(1−2)中の波長変換材料(A)を除く成分100重量部に対して、1.0×10−3〜10重量部であることが好ましい。
また、前記フィルム(2−1)又はフィルム(2−2)がポリエステルフィルムであることが好ましく、更にフィルム(2−2)は中間に発泡樹脂層を有する白色の多層ポリエステルフィルムであることが好ましい。
また、ポリエステルフィルムの接着剤層(1−1)又は(1−2)を担持していない側に、金属箔、あるいは金属酸化物もしくは非金属無機酸化物の蒸着層の少なくとも一つをさらに具備することができる。
【0012】
また、反射機能を有し、波長変換機能を有しない他の層(6)は、反射機能を有し、波長変換機能を有しない接着剤層(6−1)、反射機能を有し、波長変換機能を有しないコーティング層(6−2)、反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(6−3)のいずれかであることが好ましい。
【0013】
また、前記太陽電池用裏面保護シート(V)において、接着剤層(1−1)又は(1−2)は、水酸基を有する樹脂(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)とを含有することが好ましく、
水酸基を有する樹脂(B)が、ポリエステル系樹脂(B1)であることが好ましく、
さらにまた、ポリエステル系樹脂(B1)のガラス転移温度は、20〜100℃であることが好ましい。
【0014】
さらに本発明の太陽電池モジュールは、非受光面側封止剤層(IV)がエチレンービニルアセテート共重合体充填剤層であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
太陽電池素子が吸収できずに透過して、太陽電池モジュールの背面に到達した、太陽電池素子の吸収感度の低い波長領域の光を、太陽電池裏面保護シートを利用し、吸収感度の高い波長領域に波長変換し、反射させることで、太陽電池のエネルギー変換効率を増大させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の太陽電池用モジュールの断面を模式的に示す図である。
【図2】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる第1の態様の太陽電池裏面保護シート(V)の断面を模式的に示す図である。
【図3】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる第2の態様の太陽電池裏面保護シート(V)の断面を模式的に示す図である。
【図4】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる第3の態様の太陽電池裏面保護シート(V)の断面を模式的に示す図である。
【図5】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる第4の態様の太陽電池裏面保護シート(V)の断面を模式的に示す図である。
【図6】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる第5の態様の太陽電池裏面保護シート(V)の断面を模式的に示す図である。
【図7】本発明の太陽電池用モジュールに用いられる第6の態様の太陽電池裏面保護シート(V)の断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の太陽電池用モジュールは、図1に示すように、太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面封止シート(I)、太陽電池の受光面側に位置する封止材層(II)、太陽電池セル(III)、太陽電池の非受光面側に位置する封止剤層(IV)、及び前記非受光面側封止剤層(IV)に接してなる太陽電池裏面保護シート(V)を具備してなる太陽電池モジュールであって、前記太陽電池裏面保護シート(V)が透過光を波長変換する機能及び反射する機能を有する。
【0018】
本発明に用いられる太陽電池表面封止シート(I)は、太陽電池の受光面側に位置するものであり、太陽光のエネルギーを損失させること無く、効率的に太陽電池素子に吸収できるための高い透明性を有し、太陽電池素子の劣化原因となる水蒸気や酸素の浸入を防ぐ高いガスバリア性を有するものであればよく、具体的にはガラス板や、フッ素フィルムと無機酸化物を蒸着した耐熱性のプラスチックフィルムを積層したものなどが挙げられる。
【0019】
本発明に用いられる受光面側封止材層(II)、非受光面側封止材層(IV)は、太陽電池素子(III)全体を受光面及び非受光面の両面から挟み込むものである。受光面側封止材層(II)、非受光面側封止材層(IV)としては、熱可塑性オレフィン系樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、アセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体を、それぞれ厚さ0.2mm〜1.0mmのシート状に成形したものが主に用いられ、該樹脂中には架橋補助剤や紫外線吸収剤などを含んでいても良い。全光線透過率の観点からエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
【0020】
本発明に用いられる太陽電池素子(III)としては、結晶シリコン太陽電池素子、多結晶シリコン太陽電池素子、非晶質シリコン太陽電池素子、銅インジウムセレナイド太陽電池素子、カドミウムテルル太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子、が例示できる。
【0021】
本発明に用いられる太陽電池裏面封止シート(V)について説明する。
太陽電池裏面保護シート(V)は、波長変換機能と反射機能とを有し、
前記波長変換機能が、吸収極大が350〜500nmにあり、発光極大が400〜700nmにあり、ストークスシフトが50nm以上であり、
前記反射機能が、400〜700nmの光の反射率が60%以上である、
太陽電池裏面保護シート(V)である。
【0022】
太陽電池裏面保護シート(V)は、種々のプラスチックフィルムや金属箔等の積層体である。前記波長変換機能を有する層と反射機能を有する層は同一の層にあっても良いし、波長変換機能を有する層が反射機能を有する層よりも受光面側に位置するものであれば、それぞれ別の層にあっても良い。
【0023】
また、波長変換機能を有する層は、上記の条件を満たす範囲において、太陽電池裏面保護シート(V)のどこに位置していても構わないが、入射光の有効活用という点から考えると、非受光面側封止材層(IV)に接する接着剤層(1−1)または(1−2)に位置することが好ましい。
【0024】
以下、図面を参照しながら太陽電池裏面封止シート(V)の種々の態様について説明する。
図2は、太陽電池裏面封止シート(V)を構成する接着剤層(1−1)が、太陽電池モジュールを形成する際、非受光面側封止材層(IV)に接する場合であって、前記接着剤層(1−1)が、波長変換機能及び反射機能を有する、第1の態様を示す。
第1の態様として、さらに(a)〜(d)の態様を例示できる。
【0025】
図2の(a)に示す態様は、波長変換機能と反射機能とを有する接着剤層(1−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)/層間接着剤層(3)/金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)/層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)が、この順序で積層されてなるものである。
【0026】
図2の(b)に示す態様は、波長変換機能と反射機能とを有する接着剤層(1−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)/層間接着剤層(3)/金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)/層間接着剤層(3)/金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)が、この順序で積層されてなるものである。
図2の(b)に示す態様は、図2の(a)に示す態様に、[金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)/層間接着剤層(3)]をさらに追加したものとも言える。このように太陽電池モジュールへの要求に応じて、太陽電池裏面封止シート(V)をさらに多層化することができる(図示省略)。
【0027】
図2の(c)〜(e)に示す態様は、波長変換機能と反射機能とを有する接着剤層(1−1)に金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)が接する場合を示す。
図2の(c)の態様は、波長変換機能と反射機能とを有する接着剤層(1−1)/金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)/層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)/層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)が、この順序で積層されてなるものであり、
図2の(d)に示す態様は、[金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)/層間接着剤層(3)]をさらに追加したものとも言える。このように太陽電池モジュールへの要求に応じて、太陽電池裏面封止シート(V)をさらに多層化することができる(図示省略)。
また、図2の(e)に示す態様は、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)の代わりに、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないコーティング剤を用いて形成したコーティング(5−2)が、太陽電池裏面封止シート(V)の受光面から最も遠い箇所に位置する。
【0028】
図3は、太陽電池裏面封止シート(V)を構成する接着剤層(1−2)が、太陽電池モジュールを形成する際、非受光面側封止材層(IV)に接する場合であって、前記接着剤層(1−2)が、波長変換機能を有し、反射機能を有しない場合であって、太陽電池裏面封止シート(V)が、反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(2−2)を具備する場合を示す。
図3に示す第2の態様として、さらに(a)〜(d)の態様を例示できる。
【0029】
図3の(a)に示す態様は、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2)/反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(2−2)/層間接着剤層(3)/金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)/層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)が、この順序で積層されてなるものである。
【0030】
図3の(b)に示す態様は、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2)/金属酸化物(4−1)/層間接着剤層(3)/反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(2−2)/層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)が、この順序で積層されてなるものである。図3の(b)の場合、金属酸化物(4−1)が、反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(2−2)よりも受光面側に位置するので、金属酸化物(4−1)は光透過性を有している必要がある。従って、図3の(b)の場合、金属酸化物(4−1)に代えて、金属箔を使用することはできない。
【0031】
図3の(c)に示す態様は、図3の(a)に示す態様における波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)の代わりに、図3の(d)に示す態様は、図3の(b)に示す態様における波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)の代わりに、それぞれ波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないコーティング剤を用いて形成したコーティング(5−2)が、太陽電池裏面封止シート(V)の受光面から最も遠い箇所に位置する場合である。
【0032】
図4は、太陽電池裏面封止シート(V)を構成する接着剤層(1−2)が、太陽電池モジュールを形成する際、非受光面側封止材層(IV)に接する場合であって、前記接着剤層(1−2)が、波長変換機能を有し、反射機能を有しない場合であって、太陽電池裏面封止シート(V)が、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)の他に、反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム接着剤層(6−1)や、反射機能を有し、波長変換機能を有しないコーティング層(6−2)や、反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(6−3)を具備する場合を示す。
図4に示す第3の態様として、さらに(a)〜(h)の態様を例示できる。
【0033】
図4の(a)に示す態様は、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)/反射機能を有し、波長変換機能を有しない層間接着剤層(6−1)/金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)/層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)が、この順序で積層されてなるものである。層間接着剤層(3)は、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないものであるが、このような層間接着剤層(3)の代わりに、反射機能を有し、波長変換機能を有しない層間接着剤層(6−1)を用いることもできる。
【0034】
図4の(b)に示す態様は、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2)/金属酸化物(4−1)/反射機能を有し、波長変換機能を有しない層間接着剤層(6−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)/層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)が、この順序で積層されてなるものである。図4の(b)の場合、金属酸化物(4−1)が、反射機能を有し、波長変換機能を有しない層間接着剤層(6−1)よりも受光面側に位置するので、金属酸化物(4−1)は光透過性を有している必要がある。従って、図4の(b)の場合、金属酸化物(4−1)に代えて、金属箔を使用することはできない。
【0035】
図4の(c)に示す態様は、簡単に言うと、図4の(a)に示す態様における、反射機能を有し、波長変換機能を有しない層間接着剤層(6−1)と、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)との位置を代えた場合である。但し、図4の(c)の場合、金属酸化物(4−1)が、反射機能を有し、波長変換機能を有しない層間接着剤層(6−1)よりも受光面側に位置するので、金属酸化物(4−1)は光透過性を有している必要がある。従って、図4の(c)の場合、金属酸化物(4−1)に代えて、金属箔を使用することはできない。
【0036】
図4の(d)に示す態様は、簡単に言うと、図4の(b)に示す態様における波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)の代わりに、それぞれ波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないコーティング剤を用いて形成したコーティング(5−2)が、太陽電池裏面封止シート(V)の受光面から最も遠い箇所に位置する場合である。
【0037】
図4の(e)に示す態様は、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2)/金属酸化物(4−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)/反射機能を有し、波長変換機能を有しない層間接着剤層(6−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)が、この順序で積層されてなるものである。図4の(e)の場合、金属酸化物(4−1)が、反射機能を有し、波長変換機能を有しない層間接着剤層(6−1)よりも受光面側に位置するので、金属酸化物(4−1)は光透過性を有している必要がある。従って、図4の(e)の場合、金属酸化物(4−1)に代えて、金属箔を使用することはできない。
また、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)に代えて、反射機能を有し、波長変換機能を有しない層間接着剤層(6−1)を用いることもできる。
【0038】
図4の(f)に示す態様は、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2)/金属酸化物(4−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(6−3)が、この順序で積層されてなるものである。
図4の(f)の場合、金属酸化物(4−1)に代えて、金属箔を使用することはできない。
また、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)に代えて、反射機能を有し、波長変換機能を有しない層間接着剤層(6−1)を用いることもできる。
【0039】
図4の(g)に示す態様は、簡単に言うと、図4の(f)に示す態様における、反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(6−3)に代えて、反射機能を有し、波長変換機能を有しないコーティング層(6−2)を設けた態様ということができる。
図4の(g)の場合、図4の(f)と同様に金属酸化物(4−1)に代えて、金属箔を使用することはできない。
【0040】
図4の(h)に示す態様は、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)/層間接着剤層(3)/反射機能を有し、波長変換機能も有しないフィルム(6−3)が、この順序で積層されてなるものである。
【0041】
図5は、太陽電池裏面封止シート(V)を構成する接着剤層(1−1’)が、太陽電池モジュールを形成する際、非受光面側封止材層(IV)に接する場合であって、前記接着剤層(1−1’)が、波長変換機能及び反射機能を有する、第4の態様を示す。第1の態様と第4の態様との相違点は、第1の態様の場合、接着剤層(1−1)が接着剤の塗工によって設けられるのに対し、第4の態様の場合は、接着剤層(1−1’)が接着性を有するフィルムである点である。なお、ここでいう接着性とは、非受光面側封止材層(IV)に対する接着性をいう。
第4の態様として、さらに(a)〜(f)の態様を例示できる。
【0042】
図5の(a)に示す態様は、波長変換機能と反射機能とを有する接着剤層(1−1’)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)が、この順序で積層されてなるものである。
【0043】
図5の(b)に示す態様は、波長変換機能と反射機能とを有する接着剤層(1−1’)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)が、この順序で積層されてなるものである。
図5の(b)に示す態様は、図5の(a)に示す態様に、[金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)]をさらに追加したものとも言える。図5の(f)も同様である。このように太陽電池モジュールへの要求に応じて、太陽電池裏面封止シート(V)をさらに多層化することができる(図示省略)。
また、図5の(d)に示すように、金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)の位置を代えることもできる。
【0044】
図5の(c)、(e)に示すように、波長変換機能と反射機能とを有する接着剤層(1−1)を設けることもできる。
【0045】
図6は、太陽電池裏面封止シート(V)を構成する接着剤層(1−2’)が、太陽電池モジュールを形成する際、非受光面側封止材層(IV)に接する場合であって、前記接着剤層(1−2’)が、波長変換機能を有し、反射機能を有しない場合であって、太陽電池裏面封止シート(V)が、反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(2−2)を具備する、第5の態様を示す。第2の態様と第5の態様との相違点は、第2の態様の場合、接着剤層(1−1)が接着剤の塗工によって設けられるのに対し、第5の態様の場合は、接着剤層(1−2’)が接着性を有するフィルムである点である。なお、ここでいう接着性とは、非受光面側封止材層(IV)に対する接着性をいう。
図6に示す第5の態様として、さらに(a)〜(c)の態様を例示できる。
【0046】
図6の(a)に示す態様は、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2’)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(2−2)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)が、この順序で積層されてなるものである。
【0047】
図6の(b)に示す態様は、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2’)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/金属酸化物(4−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(2−2)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)が、この順序で積層されてなるものである。図6の(b)の場合、金属酸化物(4−1)に代えて、金属箔(4−2)を使用することはできない。
【0048】
図6の(c)に示す態様は、図6の(a)に示す態様における波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)の代わりに、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないコーティング剤を用いて形成したコーティング(5−2)が、太陽電池裏面封止シート(V)の受光面から最も遠い箇所に位置する場合である。
【0049】
図7は、太陽電池裏面封止シート(V)を構成する接着剤層(1−2’)が、太陽電池モジュールを形成する際、非受光面側封止材層(IV)に接する場合であって、前記接着剤層(1−2’)が、波長変換機能を有し、反射機能を有しない場合であって、太陽電池裏面封止シート(V)が、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)の他に、反射機能を有し、波長変換機能を有しない接着剤層(6−1)や、反射機能を有し、波長変換機能を有しないコーティング層(6−2)や、反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(6−3)を具備する、第6の態様を示す。
第3の態様と第6の態様との相違点は、第2の態様の場合、接着剤層(1−1)が接着剤の塗工によって設けられるのに対し、第6の態様の場合は、接着剤層(1−2’)が接着性を有するフィルムである点である。なお、ここでいう接着性とは、非受光面側封止材層(IV)に対する接着性をいう。
図7に示す第6の態様として、さらに(a)〜(i)の態様を例示できる。
【0050】
図7の(a)に示す態様は、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2’)/反射機能を有し、波長変換機能を有しない接着剤層(6−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/金属酸化物(4−1)もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−2)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)が、この順序で積層されてなるものである。
【0051】
図7の(b)に示す態様は、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2’)/反射機能を有し、波長変換機能を有しない接着剤層(6−1)/金属酸化物(4−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)が、この順序で積層されてなるものである。
【0052】
図7の(c)に示す態様は、図7の(a)に示す態様における、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)の各面に位置する接着剤を入れ代えたものである。
【0053】
図7の(d)に示す態様は、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2’)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/金属酸化物(4−1)/反射機能を有し、波長変換機能を有しない接着剤層(6−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)が、この順序で積層されてなるものである。図7の(d)の場合、金属酸化物(4−1)に代えて、金属箔(4−2)を使用することはできない。
【0054】
図7の(e)に示す態様は、図7の(d)に示す態様における、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)の代わりに、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないコーティング剤を用いてなる波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないコーティング層(5−2)を具備する場合である。
【0055】
図7の(f)に示す態様は、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2’)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/金属酸化物(4−1)/反射機能を有し、波長変換機能を有しない接着剤層(6−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(5−1)が、この順序で積層されてなるものである。図7の(f)の場合、金属酸化物(4−1)に代えて、金属箔(4−2)を使用することはできない。
【0056】
図7の(g)に示す態様は、図7の(f)に示す態様における、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)と/金属酸化物(4−1)との位置を代えたものである。
【0057】
図7の(h)に示す態様は、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2’)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/金属酸化物(4−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)/波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない層間接着剤層(3)/反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(6−1)が、この順序で積層されてなるものである。図7の(h)の場合、金属酸化物(4−1)に代えて、金属箔(4−2)を使用することはできない。
【0058】
図7の(i)に示す態様は、図7の(h)に示す態様における、反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(6−3)の代わりに、反射機能を有し、波長変換機能を有しないコーティング剤を用いてなるコーティング層(6−2)を具備する場合である。
【0059】
以上をまとめると、本発明において用いられる太陽電池裏面封止シート(V)は、非受光面側封止材層(IV)に接する接着剤層(1−1)、(1−1’)、(1−2)、(1−2’)が波長変換機能を有する場合、
前記波長変換機能を有する接着剤層(1−1)、(1−1’)が、反射機能をも具備するか、
あるいは、前記波長変換機能を有する接着剤層(1−2)、(1−2’)よりも非受光面側に反射機能を有する層(フィルム、接着剤層、コーティング層)を具備するものであり、どちらでも良い。
【0060】
太陽電池裏面保護シート(V)を構成する、波長変換機能を具備する接着剤層(1−2)、について説明する。
本発明における接着剤層(1−2)は、太陽電池モジュールを形成する際、太陽電池裏面保護シート(V)と非受光面側封止剤層(IV)との接着性を向上するために、太陽電池裏面保護シート(V)の最受光面側に設けられた樹脂層である。
つまり、太陽電池モジュールを形成する際、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2)と非受光面側封止剤層(IV)とが接するように、太陽電池用裏面保護シート(V)と非受光面側封止剤層(IV)とを貼着することによって、太陽電池素子が吸収できずに透過して、太陽電池モジュールの背面に到達した、太陽電池素子の吸収感度の低い波長領域の光を吸収感度の高い波長領域に波長変換し、更に、後述する反射機能を有するフィルム(2−2)等により反射させ、太陽電池素子(III)に入射させることで、太陽電池のエネルギー変換効率が増大する。
【0061】
このような波長変換機能を有する接着剤層(1−2)は、吸収極大が350〜500nmにあり、発光極大が400〜700nmにあり、ストークスシフトが50nm以上である波長変換材料(A)を含有する接着剤を、太陽電池裏面保護シート(V)を構成するフィルム(2−2)や金属酸化物層(4−1)等に塗工することにより設けることができる。
波長変換材料(A)として、有機材料でも、無機材料でも、あるいは両者を組み合わせて使用しても良い。また、蓄光の効果を有しても良い。
【0062】
有機材料としては、ベンゾキサゾイル誘導体、クマリン誘導体、スチレンビフェニル誘導体、ピラゾロン誘導体、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体、ビススチリルビフェニル誘導体、ビスベンゾオキサゾリルチオフェン誘導体、ペリレン誘導体、ピレン誘導体、ペンタセン誘導体、フルオレセン誘導体、ローダミン誘導体、アクリジン誘導体等が挙げられる。中でも、耐光性とコストの観点から、ベンゾキサゾイル誘導体が好ましい。
【0063】
無機材料としては、ZnO:Zn、ZnS:Cl、ZnS:Ag、ZnS:Cuなどの付活型無機系蛍光材料、希土類錯体等が挙げられる。希土類錯体としては、希土類イオンと有機配位子を原料成分とし、蛍光または燐光特性を発揮する公知のものを用いることができる、希土類イオンの金属元素としては、全ての希土類金属元素を用いることができ、具体的には、例えばTb、Sm、Eu、Ce、Dy、Pr、Tm、Gd、Hoなどである。また、有機配位子としては、ピリジン、ビピリジン、トリピリジン、テルピリジン、フェナントロリン、フタロシアニン、キノリン、ウトロピン、サリチル酸、フタル酸、ナフタル酸、ジフェニル酸、ピロガロールなどが挙げられる。
【0064】
波長変換材料(A)は、各材料の発光強度や量子収率、また接着剤層の厚み、シートの構成に応じて適宜選択される。接着剤層(1−2)100重量%中、1.0×10−3〜10重量%含有することが好ましく、更に好ましくは1.0×10−2〜5重量%含有することが望ましい。1.0×10−3重量%より少ないと、十分に波長変換することができないため、太陽電池のエネルギー変換効率を増大させることはできない。10重量%より多いと、後述する樹脂(B)との相溶性、及びコスト面の観点から不都合が生じる。
【0065】
コーティング法により接着剤層(1−2)を設ける場合、接着剤は水酸基を有する樹脂(B)を含有することが好ましい。
水酸基を有する樹脂(B)の水酸価は、0.1〜50[mgKOH/g]であることが好ましく、さらには0.5〜30[mgKOH/g]であることが好ましい。水酸基が少ないと後述する硬化剤との反応点が少なくなり、架橋密度が低下することで耐湿熱性が悪化する。一方、水酸基が多いと架橋密度が増加し、硬化後の接着層(1)が硬くなるので非受光面側封止剤層(IV)との接着力が低下する。
【0066】
本発明において用いられる水酸基を有する樹脂(B)としては、ポリエステル系樹脂(B1)、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂が挙げられ、これらは単独または2種以上を使用できる。さらにこれらの樹脂が複合化したものも使用できる。
【0067】
本発明でいうポリエステル系樹脂(B1)とは、カルボン酸成分と水酸基成分とを反応(エステル化反応、エステル交換反応)させたポリエステル樹脂の他、水酸基を有するポリエステル樹脂にさらにイソシアネート化合物を反応させてなるポリエステルポリウレタン樹脂、さらにジアミン成分を反応させてなるポリエステルポリウレタンポリウレア樹脂などをも含む意である。
【0068】
ポリエステル系樹脂(B1)を構成するカルボン酸成分としては、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトレヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラクロル無水フタル酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、ε−カプロラクトン、脂肪酸が例示できる。
ポリエステル系樹脂(B1)を構成する水酸基成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、3−メチルペンタンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分の他、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多官能アルコールが例示できる。
常法に従いこれらのカルボン酸成分と水酸基成分とを重合させて所定のポリエステル樹脂としたものが本発明で使用できる。
【0069】
本発明でいうウレタン系樹脂とは、水酸基を有するポリエステル樹脂以外の水酸基成分とイソシアネート化合物を反応させてなるものである。
水酸基成分としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加したポリエーテル系ポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエン系ポリオールなどのポリマーポリオールなどが使用できる。
イソシアネート化合物としては、後述するポリイソシアネート化合物(C)と同様のものを例示できる。トリメチレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、メチレンビス(4、1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)、3−イソシアネートメチル−3、5、5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等のジイソシアネートや、これらジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、これらジイソシアネートの三量体であるイソシアヌレート体、これらジイソシアネートのビューレット結合体、ポリメリックジイソシアネートなどが例示できる。
【0070】
アクリル系樹脂を構成するモノマーとしては、一般式(a)CH=CR−CO−OR(Rは水素原子、もしくはメチル基、Rは水酸基もしくは炭素数1乃至20の置換基を有する炭化水素基を示す)で表されるアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸4ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2ヒドロキシエチル、メタクリル酸4ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等が例示できる。更にはアクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリルニトリル、メタアクリルニトリル、N−メチロールアクリルアミド、N−アルキロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、アクロレイン、メタアクロレイン、グリシジルメタクリレートなども反応性モノマーとして例示できる。常法に従いこれらのモノマーを共重合させて所定のアクリル樹脂としたものが本発明で使用できる。
【0071】
本発明におけるポリエステル系樹脂(B1)としては、ガラス転移温度(Tg)が30〜100℃のものが好ましい。ガラス転移温度が30℃よりも低いと、接着剤層(1’)の表面にタックが生じてブロッキングしやすくなったり、耐久性が低下したりする。100℃よりも高いと、接着の溶液粘度が高くなり、塗工性が低下する。
【0072】
コーティング法により接着剤層(1−2)を設ける場合に用いられる接着剤は、水酸基を有する樹脂(B)の水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤を含有することが好ましい。
水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤としては、イソシアネート化合物が好ましく、硬化後に太陽電池モジュールを構成する接着層(1−2)の耐久性の点からイソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物(C)が好ましい。
【0073】
本発明において用いられるポリイソシアネート化合物(C)としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、芳香族ポリイソシアネート、鎖式もしくは環状脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、1、3−フェニレンジイソシアネート、4、4’−ジフェニルジイソシアネート、1、4−フェニレンジイソシアネート、4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2、4−トリレンジイソシアネート、2、6−トリレンジイソシアネート、4、4’−トルイジンジイソシアネート、2、4、6−トリイソシアネートトルエン、1、3、5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4、4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4、4’、4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
【0074】
鎖式脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1、2−プロピレンジイソシアネート、2、3−ブチレンジイソシアネート、1、3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2、4、4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0075】
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3、5、5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1、3−シクロペンタンジイソシアネート、1、3−シクロヘキサンジイソシアネート、1、4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2、4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2、6−シクロヘキサンジイソシアネート、4、4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1、4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0076】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω、ω’−ジイソシアネート−1、3−ジメチルベンゼン、ω、ω’−ジイソシアネート−1、4−ジメチルベンゼン、ω、ω’−ジイソシアネート−1、4−ジエチルベンゼン、1、4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1、3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0077】
また、上記ポリイソシアネートに加え、上記ポリイソシアネートとトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、上記ポリイソシアネートのビュレット体やイソシアヌレート体、更には上記ポリイソシアネートと公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等とのアダクト体等が挙げられる。
【0078】
これらポリイソシアネート化合物(C)の中でも、意匠性の観点から、低黄変型の脂肪族または脂環族のポリイソシアネートが好ましく、耐湿熱性の観点からは、イソシアヌレート体が好ましい。より具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート体、3−イソシアネートメチル−3、5、5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレート体が好ましい。
【0079】
硬化剤としては、上記ポリイソシアネート化合物(C)の他に、周知のオキサゾリン化合物、例えば、2、5−ジメチル−2−オキサゾリン、2、2−(1、4−ブチレン)−ビス(2−オキサゾリン)またはヒドラジド化合物、たとえば、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドを含むことができる。
【0080】
本発明において用いられるポリイソシアネート化合物(C)はブロック化ポリイソシアネート化合物であってもよい。
【0081】
本発明に用いられる接着剤層(1−2)は、水酸基を有する樹脂(B)の水酸基の合計に対して、ポリイソシアネート化合物(C)中のイソシアネート基が、当量比にして1.0〜15.0になるように配合されることが好ましく、1.5〜10.0になるように配合されることがより好ましい。ポリイソシアネート化合物(C)が少ないと水酸基を有する樹脂(B)との反応がほとんど進まないので、太陽電池モジュールの耐久性向上が期待できない。ポリイソシアネート化合物(C)が多くなると硬化後の接着層(1)が硬くなりすぎるので、非受光面側封止剤層(IV)との初期接着力が低下する。
【0082】
本発明に用いられる接着剤層(1−2)は、さらに樹脂成分を含有することができる。これら樹脂を含有することによって、形成される太陽電池モジュールの耐湿熱性を向上させることもできる。
【0083】
上記樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0084】
波長変換材料(A)の他に、400〜700nmの光を反射率する顔料を含有する接着剤をフィルム(2−2)や金属酸化物層(4−1)等に塗工することにより、波長変換機能及び反射機能をも具備する接着剤層(1−1)を設けることができる。この場合、400〜700nmの光の反射率が60%以上であることが好ましい。これらの顔料を含有することによって、接着剤層(1−1)に入射した光が、表面あるいは内部で反射し、太陽電池素子(III)に入射する効率が高くなる。400〜700nmの光の反射率が60%以下であると、波長変換した光が太陽電池素子に入射する効率が低くなる。
【0085】
400〜700nmの光を反射率する顔料の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、ケイ素、アンチモン、チタン、などの金属の酸化物、硫化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、などを含有する無機系粒子が挙げられる。さらに詳細な具体例としては、シリカゲル、酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、鉛酸化物、珪藻土、ゼオライト、アルミノシリケート、タルク、ホワイトカーボン、マイカなどが挙げられる。
着色力、耐候性、コストの観点から酸化チタンが望ましい。
【0086】
本発明に用いられる接着剤層(1−1)は、水酸基を含有する樹脂(B)100重量部に対して、上記各顔料を10〜70重量部含有することが好ましく、30〜50重量部含有することがより好ましい。上記顔料が少ないと隠蔽率が低くなり、透過する光が増加するため、太陽電池素子に入射する効率が低くなる。一方、上記顔料が多くなると、接着剤層(1−1)と充填剤との密着を阻害し、接着力の低下を招く可能性がある。
【0087】
本発明に用いられる接着剤層(1−1)または(1−2)は、さらに後述する有機系粒子、又は無機系粒子を含有することができる。これら粒子を含有することによって、積層前の太陽電池裏面保護シート(V)を構成する接着剤層(1−1)または(1−2)表面のタックを低減することができる。
【0088】
有機系粒子の具体例としては、ポリオレフィン系ワックス、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、シリコン樹脂、メタクリレート樹脂、アクリレート樹脂、フッ素樹脂などのポリマー粒子、あるいは、セルロースパウダー、ニトロセルロースパウダー、木粉、古紙粉、籾殻粉、澱粉などが挙げられる。
【0089】
前記ポリマー粒子は、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、ソープフリー重合法、シード重合法、マイクロサスペンジョン重合法、などの重合法により得ることができる。また、前記有機系粒子は、その特性を損なわない程度に不純物を含んでいてもよい。また、粒子の形状は、粉末状、粒状、顆粒状、平板状、繊維状、など、どのような形状であってもよい。
【0090】
無機粒子の具体例としては、ガラス繊維、ガラス粉末、ガラスビーズ、クレー、ワラスナイト、酸化鉄、酸化アンチモン、リトポン、軽石粉、硫酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、ドロマイト、砂鉄、カーボンブラック、などを含有する無機系粒子が挙げられる。
【0091】
また、前記無機系粒子は、その特性を損なわない程度に不純物を含んでいてもよい。また、粒子の形状は、粉末状、粒状、顆粒状、平板状、繊維状、など、どのような形状であってもよい。
【0092】
本発明に用いられる接着剤層(1−1)または(1−2)は、水酸基を含有する樹脂(B)100重量部に対して、上記各種粒子を0.01〜30重量部含有することが好ましく、0.1〜10重量部含有することがより好ましい。上記各種粒子が少ないと、積層前の太陽電池裏面保護シート(V)を構成する接着剤層(1−1)または(1−2)表面のタックを充分に低減することができない。一方、上記各種粒子が多くなると、接着剤層(1−1)または(1−2)と、積層後の太陽電池モジュールを構成する非受光面側封止剤層(IV)との密着を阻害し、接着力の低下を招く可能性がある。
【0093】
本発明では、コーティングにより設けた接着剤層(1−1)を具備する太陽電池裏面保護シート(V)の代わりに、非受光面側封止剤シートと加熱下に付着し得る樹脂と波長変換材料(A)を含有するフィルムを、接着剤を介して又は直にフィルム上に積層してなる接着剤層(1−1’)を具備する太陽電池裏面保護シート(V)として用いることができる。
非受光面側封止剤シートと加熱下に付着し得る樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂や、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらの樹脂と波長変換材料(A)を混合し、T−ダイ押出機等を用いてフィルム化し、接着剤層(1−2’)を得ることができる。
波長変換材料(A)の他に、反射機能付与剤を配合し、T−ダイ押出機等を用いてフィルム化することによって、波長変換機能及び反射機能を併せ持つ接着剤層(1−1’)を得ることができる。反射機能付与剤としては、接着剤層(1−1)の場合に例示したものと同様なものを例示できる。
【0094】
次に太陽電池裏面保護シート(V)を構成するフィルム(2−1)または(2−2)について説明する。
本発明におけるフィルム(2−1)は、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルムであって、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロペンタジエンなどのオレフィンフィルム、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、エチレン‐テトラフルオロエチレン共重合体フィルムなどのフッ素系フィルム、アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、を用いることができる。コストの観点からポリエステル系樹脂フィルムであることが望ましい。
【0095】
一方、フィルム(2−2)は、反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルムである。フィルム(2−2)は、フィルム(2−1)の場合に例示したものと同様の樹脂に、反射機能付与剤を含有させたり、中間に発泡樹脂層を含有させたりすることによって、反射機能を付与したものである。400〜700nmの光の反射率が60%以上であることが好ましい。このような反射機能を有するフィルム(2−2)を用いることによって、入射した光が表面あるいは内部で反射し、太陽電池素子(III)に入射する効率が高くなる。400〜700nmの光の反射率が60%以下であると、波長変換した光が太陽電池素子に入射する効率が低くなる。
反射機能付与剤としては、接着剤層(1−1)の場合に例示したものと同様の白色系顔料を例示できる。
フィルム(2−2)は、中間に発泡樹脂層を含有する白色の多層ポリエステルフィルムであることが好ましい。中間に空気層を有しているため、空気層と白色顔料との屈折率差によって全光線反射率が大きくなる。
【0096】
太陽電池裏面保護シート(V)は、さらに金属箔(4−2)、あるいは金属酸化物もしくは非金属無機酸化物の蒸着層(4−1)を具備することが好ましい。水蒸気バリア性付与機能を担うこれら金属箔等は、フィルム(2−1)または(2−2)の接着剤層(1−1)、(1−1’)、(1−2)、(1−2’)を担持してない側に位置する。
【0097】
フィルム(2−1)または(2−2)と金属箔とは接着剤層を介して積層されることができる。
金属箔(4−2)としては、アルミニウム箔、鉄箔、亜鉛合板などを使用することができ、これらの中でも、耐腐食性の観点から、アルミニウム箔が好ましく、厚みは10μmから100μmであることが好ましく、更に好ましくは20μmから50μmであることが好ましい。
両者の積層には、従来公知の種々の接着剤を用いることができる。
【0098】
蒸着層(4−1)は、フィルム(2−1)または(2−2)の一方の面に設けられる。接着剤層を介して片面蒸着ポリエステルフィルム同士を積層したものや、あるいは片面蒸着ポリエステルフィルムと他の蒸着フィルムとを接着剤層を介して積層したものも、用いることができる。
蒸着される金属酸化物もしくは非金属無機酸化物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウムなどの酸化物が使用できる。また、アルカリ金属、アルカリ土類金属のフッ化物なども使用することができ、これらは単独もしくは組み合わせて使用することができる。
これらの金属酸化物もしくは非金属無機酸化物は、従来公知の真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングなどのPVD方式や、プラズマCVD、マイクロウェーブCVDなどのCVD方式を用いて蒸着することができる。
【0099】
太陽電池裏面保護シート(V)は、耐候性付与のためのフッ素樹脂含有層などをさらに具備することができる。耐候性付与層(5)は、水蒸気バリア性付与機能を担う上記金属箔等(4)よりもさらに外側、即ちフィルム(2−1)または(2−2)の設けられている側とは反対側に位置することができる。
水蒸気バリア性付与層(4)や耐候性付与層(5)は、波長変換材料含有接着剤層(1−1)、(1−1’)、(1−2)、(1−2’)の形成に先んじてフィルム(2−1)または(2−2)に設けられていることが好ましい。
【0100】
耐候性付与層(5)は、耐候性に優れるコーティング剤から形成することもできるし、接着剤を用いて耐候性に優れるフィルムを貼り合せ、耐候性付与層(5−1)とすることもできる。
さらに、耐候性に優れるコーティング剤に反射機能を付与し、耐候性及び反射機能を有するコーティング層(6−2)を形成することもできる。
なお、求められる耐候性の程度は、太陽電池モジュールが使われる用途・分野によって相違し、要求に応じて適宜設計することができる。
【0101】
次に、波長変換材料含有接着剤層(1−1)または(1−2)をコーティング法によりフィルム(2−1)または(2−2)上に形成する方法について説明する。
フィルム(2−1)、(2−2)上に、またはフィルム(2−1)、(2−2)に水蒸気バリア性付与層(4)や耐候性付与層(5)を積層してなる多層フィルム上に、波長変換材料含有接着剤を塗工し、有機溶剤等の揮発性生成を揮発・乾燥させ、波長変換材料含有接着剤層(1−1)または(1−2)を形成し、本発明の太陽電池用裏面保護シートを得ることができる。
【0102】
本発明において波長変換性接着剤を塗布する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、具体的にはコンマコーティング、グラビアコーティング、リバースコーティング、ロールコーティング、リップコーティング、スプレーコーティングが例示できる。本発明では、これらの方法で接着剤を塗布し、加熱乾燥により溶剤を揮散させる工程を塗工と称する。
形成される接着剤層(1−1)または(1−2)の厚みは、0.01〜30μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。
【0103】
次に本発明の太陽電池モジュールの製造方法について説明する。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面封止シート(I)と、太陽電池の受光面側に位置する封止材層(II)、太陽電池素子(III)と、太陽電池の非受光面側に位置する封止材層(IV)と、詳述した太陽電池裏面保護シート(V)を必須の構成層とし、前記非受光面側封止材層(IV)に、太陽電池用裏面保護シート(V)を構成する接着剤層(1−1)または(1−2)が接するように、太陽電池裏面封止シート(V)を積層することによって、得ることができる。非受光面側封止材層(IV)と太陽電池用裏面保護シート(V)とを積層する際、減圧下に両者を接触させ、次いで加熱・加圧下に重ね合わせることによって得ることができる。接着剤層(1−1)、(1−2)が熱硬化性の場合、常圧に戻した後、さらに高温条件下に置いて、接着剤層(1−1)、(1−2)の硬化を進行させることもできる。
【実施例】
【0104】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ示す。
【0105】
<ポリエステル樹脂溶液B1>
テレフタル酸ジメチル99.6部、エチレングリコール92.2部、ネオペンチルグリコール72.2部、および酢酸亜鉛0.02部を反応缶に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら160〜210℃に加熱し、エステル交換反応を行なった。理論量の97%のメタノールが留出した後、イソフタル酸77.5部、アゼライン酸166.9部を仕込み、160〜240℃に加熱し、エステル化反応を行なった。このまま反応缶を徐々に1〜2トールまで減圧し、酸価が0.8mgKOH/g以下となったところで減圧下での反応を停止し、数平均分子量が41、000、水酸基価が3.2(mgKOH/g)、酸価が0.7(mgKOH/g)、Tgが−10℃のポリエステルポリオールを得、酢酸エチルで希釈して、固形分50%のポリエステル樹脂溶液B1−1を得た。
【0106】
別途、ポリエステル樹脂「バイロン200」(東洋紡(株)、数平均分子量17、000、水酸基価が6(mgKOH/g)、酸価が2(mgKOH/g)以下、Tg:67℃)をメチルエチルケトンに溶解し、固形分50%のポリエステル樹脂溶液B1−2を得た。
【0107】
次いで、前記ポリエステル樹脂溶液B1−1と前記ポリエステル樹脂溶液B1−2とを重量比1:1で混合し、固形分50重量%のポリエステル樹脂溶液B1を得た。
ポリエステル樹脂溶液B1中のポリエステル樹脂は、水酸基価が4.6(mgKOH/g)、酸価が0.8(mgKOH/g)、Tgが28℃であった。
【0108】
なお、数平均分子量、ガラス転移温度、酸価、水酸基価は、下記に記述するようにして測定した。
【0109】
<数平均分子量(Mn)の測定>
Mnの測定はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、数平均分子量(Mn)の決定はポリスチレン換算で行った。
【0110】
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
ガラス転移温度の測定は、示差走査熱量測定(DSC)により求めた。
アルミニウムパンに試料約10mgを秤量してDSC装置にセットし(リファレンス:試料を入れていない同タイプのアルミニウムパンとした。)、300℃の温度で5分間加熱した後、液体窒素を用いて−120℃まで急冷処理した。その後10℃/分で昇温し、得られたDSCチャートからガラス転移温度(Tg)を算出した(単位:℃)。
【0111】
<水酸基価(OHV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(樹脂の溶液:約50%)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
水酸基価は次式により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
【0112】
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b−a)×F×28.25}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
【0113】
<アクリル樹脂溶液B2>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート40部、n−ブチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルメタクリレート28部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、数平均分子量が25、000、水酸基価が4.4(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが39℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液B2を得た。
【0114】
<ポリエステル樹脂溶液B3>
ジエチレングリコール117部、ネオペンチルグリコール319部、イソフタル酸192部、テレフタル酸188部、アジピン酸214部を反応缶に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら160〜240℃に加熱し、エステル化反応を行なった。このまま反応缶を徐々に1〜2トールまで減圧し、酸価が1mgKOH/g以下となったところで減圧下での反応を停止し、数平均分子量が10、000、水酸基価が19(mgKOH/g)、酸価が0.9(mgKOH/g)、Tgが0℃のポリエステル樹脂を得、酢酸エチルで希釈して、固形分50%のポリエステル樹脂溶液B3を得た。
【0115】
<硬化剤溶液>
MEKオキシムでブロックされた、イソホロンジイソシアネートの三量体と、MEKオキシムでブロックされた、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体を、重量比1:1で混合し、酢酸エチルで希釈して固形分50%の樹脂溶液としたものを硬化剤溶液とする。
【0116】
<接着剤の調整>
波長変換材料(A)、酸価を有する樹脂溶液(B)、硬化剤溶液(C)、顔料を表1に示す組成にて混合し、接着剤1〜13を得た。
【0117】
<接着シート1>
ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)製、プライムポリプロF109V、以下同)に波長変換材料として、酸化チタン(石原産業(株)製、タイペークCR−97)50重量部、及び、ベンゾオキサゾリル系誘導体(Clariant(株)製、Hostalux KCB) 1重量部をタンブラー(新栄工機産業社製、SKS50)でプレミックスした後、二軸押出機(日本プラコン社製)で、回転数300rpm、設定温度220℃の条件で混練・押出した後、ペレタイザーでカットし樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用いて、T−ダイ押出機により設定温度220℃の条件で、厚さ20μmの接着シート1を作成した。
【0118】
<接着シート2>
ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)製、プライムポリプロF109V、以下同)に波長変換材料として、ベンゾオキサゾリル系誘導体(Clariant(株)製、Hostalux KCB) 1重量部をタンブラー(新栄工機産業社製、SKS50)でプレミックスした後、二軸押出機(日本プラコン社製)で、回転数300rpm、設定温度220℃の条件で混練・押出した後、ペレタイザーでカットし樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用いて、T−ダイ押出機により設定温度220℃の条件で、厚さ20μmの接着シート2を作成した。
【0119】
<接着シート3>
ポリプロピレン樹脂を、T−ダイ押出機用いて、設定温度220℃の条件で、厚さ20μmの接着シート3を作成した。
【0120】
具体的な太陽電池裏面保護シートの例として、表2に積層構成を例示するが、その積層構成に限るものでは無い。
【0121】
[実施例1]
<太陽電池用裏面保護シートの作成>
ポリエステルフィルム(東洋紡(株)製、テトロンS、厚み188μm、以下「透明基材A」という)の両面にコロナ処理し、一方の面にポリエステル接着剤「ダイナレオVA−3020/HD−701」(東洋インキ製造(株)製、配合比100/7、以下同)をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、塗布量:10g/平方メートルの接着剤層を設け、該接着剤層に、下記の蒸着PET(三菱樹脂(株)製、テックバリアLX、厚み12μm)の蒸着面を重ね合わせた。その後、50℃、4日間、エージング処理し、接着剤層を硬化させ、ポリエステルフィルム−蒸着PET積層体を作成した。
【0122】
さらに、ポリエステルフィルム−蒸着PET積層体の蒸着フィルム面にポリエステル系接着剤「ダイナレオVA−3020/HD−701」をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、塗布量:10g/平方メートルの接着剤層を設け、該接着剤層に、ポリフッ化ビニルフィルム(デュポン(株)製、テドラー、厚み50μm、以下「保護フィルムA」という)を重ね合わせた。
その後、50℃、4日間、エージング処理し、前記ポリエステル系接着剤層を硬化させ、ポリエステルフィルム−蒸着PET−ポリフッ化ビニルフィルム積層体を作成した。
【0123】
さらに、ポリエステルフィルム−蒸着PET−ポリフッ化ビニルフィルム積層体のポリエステルフィルム面に表1に記載される接着剤1をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、塗布量:4g/平方メートルの接着剤層を設け、太陽電池裏面保護シート1を作成した。
【0124】
<接着力測定>
前記太陽電池用裏面保護シート1を2枚用意し、サンビック(株)製のEVAシート(厚み450μ、スタンダードキュアタイプ、以下同)の両面に接着剤層が接するように、前記EVAシートを2枚の太陽電池用裏面保護シート1で挟み、真空ラミネーターで温度150℃、脱気時間5分、プレス圧力1atm、プレス時間10分、アフターキュア150℃−15分で加熱加圧圧着し、接着力測定用のサンプルを作製した。
接着力測定用のサンプルの一部について、温度121℃、相対湿度100%RH、2気圧の環境条件で48時間のプレッシャークッカー試験を行った。
プレッシャークッカー試験をしなかったもの(初期)、試験をしたもの(湿熱経時後)、それぞれを15mm幅の長方形にカットし、試験片とした。各試験片について、引っ張り試験機を用いて荷重速度100mm/minでT字剥離試験を行った。
○:20N/15mm以上
△:5N/15mm以上〜20N/15mm未満
×:5N/15mm未満
【0125】
<全光線反射率の測定>
全光線反射率は、JIS−Z8722条件d記載の方法に従って、色彩色差計CM−2600D(コニカミノルタ製)を用いて、太陽電池裏面保護シート1の接着剤1面側から、波長360〜740nmの範囲で測定した。
【0126】
[実施例2〜30]、[比較例1−3]
実施例1と同様にして、表2に示す積層構成の太陽電池用裏面保護シート2−30、及び54−56を作成し、接着力及び全光線反射率を測定した。
なお、表2、3において、
白基材B:東レ(株)製、ルミラーE20、厚み50μm
発泡白基材C:東洋紡(株)製、クリスパーK1212、厚み50μm
保護フィルムB:東レ(株)製、ルミラーX10S、厚み50μm
保護コーティング液C:ミクニペイント製、スプラ#005UV、厚み15μm
【0127】
[実施例31]
ポリエステルフィルム(東洋紡(株)製、テトロンS、厚み188μm)の両面にコロナ処理し、一方の面にポリエステル系接着剤「ダイナレオVA−3020/HD−701」(東洋インキ製造(株)製、配合比100/7、以下同)をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、塗布量:10g/平方メートルの接着剤層を設け、該接着剤層に、下記の蒸着PET(三菱樹脂(株)製、テックバリアLX、厚み12μm)の蒸着面を重ね合わせた。その後、50℃、4日間、エージング処理し、接着剤層を硬化させ、ポリエステルフィルム−蒸着PET積層体を作成した。
【0128】
さらに、ポリエステルフィルム−蒸着PET積層体の蒸着フィルム面にポリエステル系接着剤「ダイナレオVA−3020/HD−701」をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、塗布量:10g/平方メートルの接着剤層を設け、該接着剤層に、ポリフッ化ビニルフィルム(デュポン(株)製、テドラー、厚み50μm)を重ね合わせた。その後、50℃、4日間、エージング処理し、接着剤層を硬化させ、ポリエステルフィルム−蒸着PET−ポリフッ化ビニルフィルム積層体を作成した。
【0129】
さらに、ポリエステルフィルム−蒸着PET−ポリフッ化ビニルフィルム積層体のポリエステルフィルム面に、ポリエステル系接着剤「ダイナレオVA−3020/HD−701」をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、該接着剤層に、接着シート1を重ね合わせ、太陽電池用裏面保護シート31を作成した。
実施例1と同様にして、太陽電池用裏面保護シート31の接着力及び全光線反射率を測定した。
【0130】
[実施例32〜53]、[比較例4〜6]
実施例32と同様にして、接着シート1〜3をそれぞれ用い、太陽電池裏面保護シート32−53、及び57−59を作成し、接着力及び全光線反射率を測定した。
【0131】
【表1】

【0132】
【表2】

【0133】
【表3】

【0134】
表3に示されるように、実施例1〜53は、接着剤層(1−1)または(1−2)に波長変換機能を有し、接着剤層(1−1)またはフィルム(2−2)に反射機能を有するため、太陽電池素子の吸収感度の低い450nm以下の波長が、吸収感度の高い450nm以上に波長変換し、反射して太陽電池素子(III)に入射することができため、反射機能をもたない比較例1及び4、波長変換機能を持たない比較例2及び5、反射機能も波長変換機能も持たない比較例3及び6に比して、太陽電池素子の吸収できるエネルギーが増大すると考えられる。太陽電池のエネルギー変換効率を増大する。従って、本発明の太陽電池用裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールは、光電変換効率の増大効果が期待できる。
なお、実施例6および実施例17は、接着剤層(1−1)または(1−2)が波長変換機能をもち、接着剤層(1−1)またはフィルム(2−2)に反射機能を有するため、全光線反射率は他実施例と同様に高いが、接着剤層(1−1)または(1−2)の形成に使用された水酸基を有する樹脂(B)のガラス転移温度が低かったので、湿熱後の接着力が低下する。
【符号の説明】
【0135】
(I):太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面封止シート
(II):太陽電池の受光面側に位置する封止材層
(III):太陽電池セル
(IV):太陽電池の非受光面側に位置する封止剤層
(V):太陽電池裏面保護シート
(1−1)、(1−1’):太陽電池裏面保護シート(V)の表面に位置し、太陽電池裏面保護シート(V)と太陽電池の非受光面側に位置する封止剤層(IV)とを積層するための接着剤層であって、波長変換機能と反射機能とを有する接着剤層(1−1)
(1−2):太陽電池裏面保護シート(V)の表面に位置し、太陽電池裏面保護シート(V)と太陽電池の非受光面側に位置する封止剤層(IV)とを積層するための接着剤層であって、波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層
(2−1):太陽電池裏面保護シート(V)を構成する、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム
(2−2):太陽電池裏面保護シート(V)を構成する、反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(2−1)
(3):太陽電池裏面保護シート(V)を構成する層間接着剤層であって、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しない接着剤層
(4−1):太陽電池裏面保護シート(V)を構成する、金属酸化物もしくは非金属無機酸化物の蒸着層
(4−2):太陽電池裏面保護シート(V)を構成する、金属箔
(5−1):太陽電池裏面保護シート(V)を構成する、耐候性付与フィルムであって、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないフィルム
(5−2):太陽電池裏面保護シート(V)を構成する、耐候性付与コーティング層であって、波長変換機能及び反射機能のいずれをも有しないコーティング層
(6):反射機能を有し、波長変換機能を有しない他の層
(6−1):反射機能を有し、波長変換機能を有しない接着剤層
(6−2):反射機能を有し、波長変換機能を有しないコーティング層
(6−3):反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面封止シート(I)、太陽電池の受光面側に位置する封止材層(II)、太陽電池セル(III)、太陽電池の非受光面側に位置する封止剤層(IV)、及び前記非受光面側封止剤層(IV)に接してなる太陽電池裏面保護シート(V)を具備してなる太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池裏面保護シート(V)が、波長変換機能と反射機能とを有し、
前記波長変換機能が、吸収極大が350〜500nmにあり、発光極大が400〜700nmにあり、ストークスシフトが50nm以上であり、
前記反射機能が、400〜700nmの光の反射率が60%以上である、
ことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
太陽電池裏面保護シート(V)が、
波長変換機能と反射機能とを有する接着剤層(1−1)と、前記機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)とを具備するか、または、
波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2)と、反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(2−2)とを具備するか、または、
波長変換機能を有し、反射機能を有しない接着剤層(1−2)と、前記機能のいずれをも有しないフィルム(2−1)と、反射機能を有し、波長変換機能を有しない他の層(6)とを具備し、
前記接着剤層(1−1)又は(1−2)が、非受光面側封止剤層(IV)に接することを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
接着剤層(1−1)又は(1−2)が、吸収極大が350〜500nmにあり、発光極大が400〜700nmにあり、ストークスシフトが50nm以上である波長変換材料(A)を含有することを特徴とする請求項2記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
波長変換材料(A)が、ベンゾキサゾイル誘導体であることを特徴とする請求項3記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
接着剤層(1−1)又は(1−2)中の波長変換材料(A)を除く成分100重量部に対して、波長変換材料(A)を1.0×10−3〜10重量部重量部含有することを特徴とする請求項3又は4記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
フィルム(2−1)又は(2−2)が、ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項2〜5いずれか記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
フィルム(2−2)が、中間に発泡樹脂層を有する白色の多層ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項6記載の太陽電池モジュール。
【請求項8】
ポリエステルフィルムの接着剤層(1−1)又は(1−2)を担持していない側に、金属箔、あるいは金属酸化物もしくは非金属無機酸化物の蒸着層の少なくとも一つをさらに具備することを特徴とする請求項6又は7記載の太陽電池モジュール。
【請求項9】
反射機能を有し、波長変換機能を有しない他の層(6)が、反射機能を有し、波長変換機能を有しない接着剤層(6−1)、反射機能を有し、波長変換機能を有しないコーティング層(6−2)、反射機能を有し、波長変換機能を有しないフィルム(6−3)のいずれかであることを特徴とする請求項2〜8いずれか記載の太陽電池モジュール。
【請求項10】
接着剤層(1−1)又は(1−2)が、水酸基を有する樹脂(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)とを含有する接着剤から形成されることを特徴とする請求項2〜9いずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項11】
水酸基を有する樹脂(B)が、ポリエステル系樹脂(B1)であることを特徴とする請求項10記載の太陽電池モジュール。
【請求項12】
ポリエステル系樹脂(B1)のガラス転位温度が20〜100℃であることを特徴とする請求項10又は11記載の太陽電池モジュール。
【請求項13】
非受光面側封止剤層(IV)がエチレンービニルアセテート共重合体充填剤層であることを特徴とする、請求項1〜12いずれか記載の太陽電池モジュール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−151094(P2011−151094A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9593(P2010−9593)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】