説明

太陽電池用封止膜、太陽電池モジュール及びその製造方法

【課題】発電効率の高い太陽電池モジュールを製造可能な、その硬化物の体積固有抵抗が高い太陽電池用封止膜を提供する。
【解決手段】23℃、90%RHにおける水蒸気透過率が0.1〜1g・mm/(m・24h)のエチレン系重合体と、下記一般式(1)(Xはアルキル基等、Rは1価の置換基をそれぞれ示す)で表される光安定化剤と、を含み、JIS K−7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重にて測定されるメルトフローレ−ト(MFR)が0.1〜100g/10分である、太陽電池用封止膜。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用封止膜、太陽電池モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールは、通常は、多結晶シリコン等により形成された太陽電池セルを、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)等からなる二枚の太陽電池用封止膜で挟んで積層し、更に表裏両面を太陽電池モジュール用保護シート(保護部材)でカバーした構造を有する。このような太陽電池モジュールは、表面側透明保護部材、太陽電池用封止膜、太陽電池セル、太陽電池用封止膜、及び裏面側保護部材をこの順で積層し、得られた積層体を加熱加圧してEVAを架橋硬化させて封止することにより製造される。
【0003】
加熱加圧によるEVAの架橋硬化を行うために、有機過酸化物等の架橋剤や、太陽電池セル等との接着性や長期耐久性を付与するための各種添加剤を太陽電池用封止膜に添加することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
結晶系シリコン太陽電池の多くは、単結晶シリコン基板の表裏のいずれかの面にp型領域が形成されており、他方の面にn型領域が形成されている。表裏面上には、受光面(又は裏面)で生成した電流を集電するための集電極(バスバー電極、フィンガー電極等)が形成されている。なお、受光面側に配置された集電極は入射光を遮るため、発電効率を低下させることがあった。
【0005】
有効受光面積を増加させるための一解決手法として、太陽電池セルの受光面の反対側の裏面側にpドープ領域とnドープ領域とを交互に設けて、電荷の取出構造を全て裏面側に形成することがある(例えば、特許文献2参照)。このような構造の太陽電池セルは、バックコンタクト型の太陽電池セルと称される。
【0006】
また、貫通孔(スルーホール)を設けた基板にp/n接合を形成し、スルーホール内壁及び裏面側のスルーホール周辺部まで、表面(受光面)側のドープ層を形成し、裏面側で受光面の電流を取り出すバックコンタクト型の太陽電池セルも提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−281135号公報
【特許文献2】特表2006−523025号公報
【特許文献3】特開平2−51282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
太陽電池用封止膜には、イオンマイグレーションによる発電効率低下と、帯電による太陽電池モジュールの発電効率の低下とを防止すべく、その硬化物の体積固有抵抗が高いことが要求される。但し、太陽電池用封止膜の硬化物の体積固有抵抗は、種々の要因により変動する。例えば、一般的な太陽電池用封止膜には、長期安定性を向上させるべく光安定化剤等が添加されることが多い。しかしながら、光安定剤等を添加することにより、得られる太陽電池用封止膜の硬化物の体積固有抵抗は低下する傾向にある。このため、太陽電池用封止膜の光に対する安定性の向上と、太陽電池モジュールの発電効率の向上とを両立することは困難であった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、発電効率の高い太陽電池モジュールを製造可能な、その硬化物の体積固有抵抗が高い太陽電池用封止膜を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、発電効率の高い太陽電池モジュール、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、その水蒸気透過率が所定の数値範囲内にあるエチレン系重合体と、特定の構造式で表されるヒンダードアミン系の光安定化剤(HALS)とを共存させることによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明によれば、以下に示す太陽電池用封止膜、太陽電池モジュール、及び太陽電池モジュールの製造方法が提供される。
【0012】
[1]23℃、90%RHにおける水蒸気透過率が0.1〜1g・mm/(m・24h)のエチレン系重合体と、下記一般式(1)で表される光安定化剤と、を含み、JIS K−7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重にて測定されるメルトフローレ−ト(MFR)が0.1〜100g/10分である、太陽電池用封止膜。
【0013】
【化1】

【0014】
前記一般式(1)中、Xは、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アルケニルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、又はカルバモイル基を示し、Rは、1価の置換基を示す。
【0015】
[2]前記エチレン系重合体が、エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体とエチレン・α-オレフィン共重合体の少なくともいずれかである、前記[1]に記載の太陽電池用封止膜。
【0016】
[3]前記エチレン系重合体100重量部に対する、前記光安定化剤の含有量が0.05〜1重量部である、前記[1]又は[2]に記載の太陽電池用封止膜。
【0017】
[4]架橋剤と接着力補助剤の少なくともいずれかを更に含む、前記[1]に記載の太陽電池用封止膜。
【0018】
[5]表面側透明保護部材と、裏面側保護部材と、前記表面側透明保護部材と前記裏面側保護部材とに挟持された複数の太陽電池セルと、前記表面側透明保護部材と前記裏面側保護部材との間に前記太陽電池セルを封止する封止部材と、を備え、前記封止部材が、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の太陽電池用封止膜の硬化物である、太陽電池モジュール。
【0019】
[6]表面側透明保護部材と、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の第一の太陽電池用封止膜と、太陽電池セルと、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の第二の太陽電池用封止膜と、裏面側保護部材とをこの順に積層して積層体を形成する工程(i)と、前記工程(i)で得られた前記積層体を加熱及び加圧して一体化する工程(ii)と、を含む、太陽電池モジュールの製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明の太陽電池用封止膜は、その水蒸気透過率が所定の数値範囲内にあるエチレン系重合体と、特定の構造式で表されるヒンダードアミン系の光安定化剤(HALS)とを含有するものである。このため、本発明の太陽電池用封止膜は、高い光安定性を有しながらも、その硬化物の体積固有抵抗が高い。従って、本発明の太陽電池用封止膜を用いれば、発電効率の高い太陽電池モジュールを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の太陽電池用封止膜、太陽電池モジュール及びその製造方法について詳細に説明する。以下の説明では「〜」を使用して数値範囲を規定するが、本明細書における「〜」には境界値が含まれる。例えば、「10〜100」とは、10以上100以下であることを意味する。
【0022】
1.太陽電池用封止膜
本発明の太陽電池用封止膜には、23℃、90%RHにおける水蒸気透過率が0.1〜1g・mm/(m・24h)のエチレン系重合体と、特定の構造式で表されるヒンダードアミン系の光安定化剤(Hindered Amine Light Stabilizer(HALS))と、が含有されている。
【0023】
(エチレン系重合体)
水蒸気透過率が高過ぎるエチレン系重合体中(樹脂中)には、クラスター状の水分子が通過可能な、水分が充填されたパスが形成されていると推測される。この場合、比較的塩基性が高いHALSは、水分子と容易に水素結合してしまい、樹脂中を移動することが困難になると推測される。一方、水蒸気透過率が低過ぎる樹脂は緻密な微細構造を形成しており、その樹脂中にはクラスター状の水分子が通過可能な上記のパスはあまり形成されていないと推測される。この場合、水素結合を形成可能な基が少なく、分子量が大きく、かつ、嵩高い立体配座を形成し易いHALSは、緻密な微細構造中を自由に動き難いと推測される。
【0024】
本発明の太陽電池用封止膜に含まれるエチレン系重合体の23℃、90%RHにおける水蒸気透過率は、0.1〜1g・mm/(m・24h)であり、好ましくは0.1〜0.7g・mm/(m・24h)である。本発明の太陽電池用封止膜は、光安定化剤を含有しているにもかかわらず、その硬化物の体積固有抵抗が低下し難い。このため、本発明の太陽電池用封止膜は、高い光安定性を有するとともに、その硬化物の体積固有抵抗が高く、帯電し難い性質を有する。このように硬化物の体積固有抵抗が高くなるのは、主材(主たる重合体成分)となるエチレン系重合体の水蒸気透過率を上記の数値範囲としたために、特定のHALSが太陽電池用封止膜の硬化物中で分極され難くなり、適度な移動が困難になるためであると考えられる。
【0025】
エチレン系重合体の23℃、90%RHにおける水蒸気透過率は、JIS K0208−1976に準拠した「透湿カップ法」に従って測定することができる。また、エチレン系重合体の40℃、90%RHにおける水蒸気透過率は、通常0.1〜10g・mm/(m・24h)であり、好ましくは0.1〜0.7g・mm/(m・24h)である。なお、太陽電池用封止膜の材料として従来用いられているエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)の水蒸気透過率は、23℃、90%RHにおいては通常5〜7g・mm/(m・24h)程度であり、40℃、90%RHにおいては通常10〜20g・mm/(m・24h)程度である。
【0026】
エチレン系重合体は、エチレンに由来する構成単位と、エチレンと共重合可能な単量体に由来する構成単位とを含む共重合体である。エチレン系重合体の具体例としては、(i)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体、(ii)エチレン・α-オレフィン共重合体、及び(iii)エチレン・環状オレフィン共重合体を挙げることができる。これらのうち、(i)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体、(ii)エチレン・α-オレフィン共重合体が好ましい。これらのエチレン系重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。また、これらのエチレン系重合体は、一種単独又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
(i)エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体の例には、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)が含まれる。エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体を構成するジエン成分の例には、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−5−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン等の環状ジエン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,7−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状の非共役ジエンが含まれる。ジエン成分の一部は、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン等のトリエンであってもよい。なかでも、太陽電池用封止膜の成形性の観点から、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネンがジエン成分として好ましい。
【0028】
エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体(典型的には、EPDM)の、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)は、0.1〜50g/minであることが好ましく、2〜30g/minであることが更に好ましい。MFRが上記の数値範囲内にあると、太陽電池用封止膜の柔軟性が高くなるとともに、加工性が高まる。このため、太陽電池用封止膜への太陽電池素子の埋め込み性が向上する。
【0029】
エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体(典型的には、EPDM)のジエン含有量は、エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体のヨウ素価が、例えば0.5〜50g/100g、好ましくは10〜30g/100gとなるように設定される。ジエン含有量が上記の数値範囲内にあると、太陽電池用封止膜の耐熱性や耐侯性が良好になる。
【0030】
エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体(典型的には、EPDM)のエチレン含有量は、例えば50〜75重量%、好ましくは50〜55重量%である。エチレン含有量が上記の数値範囲内にあると、太陽電池用封止膜の低温における圧縮永久歪が小さくなるという利点がある。
【0031】
(ii)エチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレンと、炭素原子数が3〜20のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。このエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと、二種類以上のα−オレフィンとの共重合体であってもよい。また、エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレン系重合体の変性体であってもよい。
【0032】
エチレン・α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等を挙げることができる。なかでも、炭素原子数が4〜10のα−オレフィンが好ましい。
【0033】
(iii)エチレン・環状オレフィン共重合体を構成する環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン誘導体、トリシクロ−3−デセン誘導体、トリシクロ−3−ウンデセン誘導体、テトラシクロ−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ−3−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ−3−ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ−4−ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−4−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ−5−ドコセン誘導体、ノナシクロ−5−ペンタコセン誘導体、ノナシクロ−6−ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン誘導体、炭素数3〜20のシクロアルキレン誘導体等を挙げることができる。なかでも、環状オレフィンとしてはテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,709,14]−4−ヘプタデセン誘導体が好ましく、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが更に好ましい。なお、エチレン・環状オレフィン共重合体は、エチレンと、二種類以上の環状オレフィンとの共重合体であってもよい。
【0034】
エチレン系重合体の水蒸気透過率は、例えば、エチレン系重合体の密度を調整することによって調整することができる。一般的には、エチレン系重合体の密度を下げると、その水蒸気透過率は増加する傾向にある。エチレン系重合体の密度を下げるには、例えば、(i)嵩高い分岐鎖を有する共重合成分(コモノマー)を用いてエチレン系重合体を調製する、(ii)高圧条件下で重合反応を行って分岐を増加させる、等の方法がある。
【0035】
エチレン系重合体は、エチレンと、エチレンと共重合可能な単量体と、接着力補助成分との共重合体であってもよい。接着力補助成分は、例えば水素結合性官能基等の極性基を有するラジカル重合性不飽和化合物である。このような共重合体は、エチレンと、α−オレフィン又は環状オレフィンと、接着力補助成分とをグラフト共重合等の方法で共重合させて得ることができる。このような接着力補助成分を共重合させて得られるエチレン系重合体は、被接合面への接着力が向上されうる。
【0036】
接着力補助成分の例には、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸又はその誘導体、ビニルエステル化合物、塩化ビニル、カルボジイミド化合物等が含まれる。なかでも、不飽和カルボン酸又はその誘導体が好ましい。
【0037】
接着力補助成分の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸(商標)(エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)等の不飽和カルボン酸が含まれる。
【0038】
接着力補助成分は、前述の不飽和カルボン酸の誘導体であってもよい。不飽和カルボン酸の誘導体としては、酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステル等を挙げることができる。不飽和カルボン酸の誘導体の具体例としては、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、2−メチルマレイン酸無水物、2−クロロマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレート、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等を挙げることができる。
【0039】
接着力補助成分は、一種単独又は二種以上を組み合わせて用いることができる。接着力補助成分としては、不飽和ジカルボン酸又はその無水物が好適であり、マレイン酸、ナジック酸、又はこれらの酸無水物が特に好適である。
【0040】
エチレン系重合体に含まれる接着力補助成分に由来する構成単位の量は、接着力補助成分に由来する構成単位以外の構成単位100重量部に対して、通常0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜4重量部である。接着力補助成分に由来する構成単位の含有量が上記の数値範囲内にあると、太陽電池用封止膜の接着力を十分に改善しながら、透明性や柔軟性等に悪影響を与えないため好ましい。
【0041】
エチレン系重合体は、重合性シラン化合物によって変性されたシラン変性体であることも好ましい。このようなシラン変性体は、エチレンと、エチレンと共重合可能な単量体と、重合性シラン化合物とを、例えば有機過酸化物を用いてグラフト共重合させることで得られる。
【0042】
重合性シラン化合物をグラフト共重合させることで、重合性シラン化合物の官能基(シリルオキシ基等)を共重合体の側鎖とすることができる。重合性シラン化合物の官能基は、共重合体の接着力を向上させるので、重合性シラン化合物の官能基の自由度を高めれば、より接着力が向上する。
【0043】
シラン変性するための重合性シラン化合物としては、特に制限なく従来公知のものを用いることができる。なかでも、エチレン性不飽和シラン化合物が好ましい。エチレン性不飽和シラン化合物の具体例には、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシシラン)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が含まれる。
【0044】
シラン変性体に含まれる重合性シラン化合物に由来する構成単位の量は、重合性シラン化合物に由来する構成単位以外の構成単位100重量部に対して、通常0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜4重量部である。重合性シラン化合物に由来する構成単位の含有量が上記の数値範囲内にあると、太陽電池用封止膜の接着性を十分に改善しながら、透明性や柔軟性等に悪影響を与えないために好ましい。
【0045】
エチレン系重合体は、公知の重合方法によって製造することができる。エチレン系重合体の製法は特に限定されない。エチレン系重合体は、例えば重合触媒の使用量が少なくてすむ気相重合法やスラリー重合法で製造することが好ましい。エチレン系重合体に金属元素を含む重合触媒が大量に残存すると、一概には言えないが、このエチレン系重合体を主材として含む太陽電池用封止膜の絶縁性が低下する傾向にある。このため、このような太陽電池用封止膜を用いて太陽電池モジュールを作製した場合、イオンマイグレーションの原因となったり、セル構造によっては発電効率が低下したりする場合がある。
【0046】
(光安定化剤)
本発明の太陽電池用封止膜に含まれる光安定化剤は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
【0047】
【化2】

【0048】
前記一般式(1)中、Xはアルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アルケニルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、又はカルバモイル基を示す。
【0049】
アルキル基の例には、メチル基、エチル基が含まれる。アルケニル基の例には、アリル基が含まれる。アルキルオキシ基の例には、メトキシ基、オクチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が含まれる。アルケニルオキシ基の例には、アリルオキシ基が含まれる。アルキルオキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基、ヘキサデシルオキシカルボニル基が含まれる。アルケニルオキシカルボニル基の例には、アリルオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基、p−クロロフェノキシカルボニル基が含まれる。アシル基の例には、アセチル基、ピバロイル基、メタクリロイル基が含まれる。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基が含まれる。アルキルオキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ基、オクチルオキシカルボニルオキシ基が含まれる。アルケニルオキシカルボニルオキシ基の例には、アリルオキシカルボニルオキシ基が含まれる。アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基が含まれる。
【0050】
アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル基、ブタンスルホニル基が含まれる。アルケニルスルホニル基の例には、アリルスルホニル基が含まれる。アリールスルホニル基の例には、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基が含まれる。アルキルスルフィニル基の例には、メタンスルフィニル基、オクタンスルフィニル基が含まれる。アルケニルスルフィニル基の例には、アリルスルフィニル基が含まれる。アリールスルフィニル基の例には、ベンゼンスルフィニル基、p−トルエンスルフィニル基が含まれる。スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基が含まれる。カルバモイル基の例には、ジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基が含まれる。前記一般式(1)中のXは、アルキル基、アルキルオキシ基が好ましい。
【0051】
前記一般式(1)中、Rは1価の置換基を示す。「1価の置換基」の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;シアノ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;カルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基等の置換又は無置換のカルバモイル基;アセチル基等のアルキルカルボニル基;ベンゾイル基等のアリールカルボニル基;ニトロ基;アミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基等の置換又は無置換のアミノ基;アセトアミド基、エトキシカルボニルアミノ基等のアシルアミノ基;メタンスルホンアミド基等のスルホンアミド基;スクシンイミド基、フタルイミド基等のイミド基;ベンジリデンアミノ基等のイミノ基;ヒドロキシ基;メトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;アセトキシ基等のアシルオキシ基;メタンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基;スルホ基;スルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基等の置換又は無置換のスルファモイル基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチオ基等のアリールチオ基;メタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基;ベンゼンスルホニル基等のアリールスルホニル基;ピリジル基、モルホリノ基等のヘテロ環基を挙げることができる。これらの1価の置換基は更に置換されていてもよい。また、置換基が複数ある場合は、同じであっても異なってもよい。更に、置換基同士で結合して環を形成していてもよい。
【0052】
前記一般式(1)で表される光安定化剤の具体例としては、下記式(1−1)〜(1−3)で表される化合物を挙げることができる。なお、前記一般式(1)で表される化合物等を挙げることができる。
【0053】
【化3】

【0054】
【化4】

【0055】
【化5】

【0056】
太陽電池用封止膜に含まれる前記一般式(1)で表される光安定化剤の量は、エチレン系重合体100重量部に対して0.05〜1重量部であることが好ましく、0.05〜0.3重量部であることが特に好ましい。光安定化剤の含有量が0.05重量部未満であると、太陽電池用封止膜の光安定性が低下する傾向にある。一方、光安定化剤の含有量が1重量部超であると、太陽電池用封止膜の硬化物の体積固有抵抗が低下してしまう場合がある。
【0057】
(太陽電池用封止膜)
本発明の太陽電池用封止膜のメルトフローレ−ト(MFR)は、0.1〜100g/10minであり、好ましくは0.5〜50g/10min、更に好ましくは0.5〜20g/10minである。なお、太陽電池用封止膜のMFRは、JIS K−7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重にて測定される。
【0058】
太陽電池用封止膜のMFRが0.1g/10min未満であると、流動性が低下し、押出成形時の生産性が低下する。一方、太陽電池用封止膜のMFRが100g/10min超であると、流動性が高過ぎるためシート成形が困難になるとともに、引張強度等の機械物性が低下する。
【0059】
太陽電池用封止膜のMFRは、主材として含まれるエチレン系重合体の分子量に依存する。具体的には、エチレン系重合体の分子量が大きいほど、太陽電池用封止膜のMFRの値は小さくなる傾向にある。また、エチレン系重合体の分子量が小さいほど、太陽電池用封止膜のMFRの値は大きくなる傾向にある。エチレン系重合体の分子量は、重合系内における水素とエチレンとの組成比(水素(H)/エチレン)により左右されることが知られている(例えば、Kazuo Soga、KODANSHA“CATALYTIC OLEFIN POLYMERIZATION”、376頁(1990年))。このため、重合系における「水素(H)/エチレン」の比の値を適宜増減させることで、所望とする分子量のエチレン系重合体を製造することができる。
【0060】
本発明の太陽電池用封止膜中の金属残渣は0.1〜50重量ppmであることが好ましく、0.1〜45重量ppmであることが更に好ましく、0.1〜40重量ppmであることが特に好ましい。金属残渣が0.1重量ppm未満であると、エチレン系重合体の合成時に用いた重合触媒の脱灰操作が必要となる場合がある。このため、プラント固定費、用役費等が高くなり、製品コストが高くなる傾向にある。更に、脱灰処理に用いる酸又はアルカリも多量になるため、エチレン系重合体に酸やアルカリが残存する可能性が高くなる。このため、残存した酸やアルカリの影響で電極等が腐食してしまう可能性がある。一方、金属残渣が50重量ppm超であると、一概には言えないが、金属残渣の影響で硬化物の体積固有抵抗及び絶縁破壊抵抗が低下する場合がある。
【0061】
太陽電池用封止膜中の金属残渣は、主材として含まれるエチレン系重合体の合成時に用いた重合触媒(例えば、メタロセン化合物)の重合活性に依存する。重合活性の高い重合触媒を用いた場合には、モノマーに対する重合触媒の量を減らすことができるので、得られるエチレン系重合体中の金属残渣を低減することができる。このため、重合活性の高い重合触媒を用いることが、金属残渣の少ないエチレン系重合体及び太陽電池用封止膜を得るための好適な手法の一つであるといえる。また、重合触媒の最適重合温度で重合すること、重合圧力をできる限り高くすること、又は重合触媒当たりのモノマー濃度を高くすること等も、重合触媒の重合活性を上げ、得られるエチレン系重合体中及び太陽電池用封止膜中の金属残渣を低減する好適な手法である。
【0062】
また、重合触媒として有機アルミニウムオキシ化合物、メタロセン化合物と反応してイオン対を形成する化合物、又は有機アルミニウム化合物を用いる場合には、これらの重合触媒の添加量をできる限り低減することも、得られるエチレン系重合体中及び太陽電池用封止膜中の金属残渣を低減する好適な手法である。その他、様々な手法を用いて重合活性を向上させることも金属残渣を低減する好適な手法となりうる。なお、酸、アルカリ、又はアセト酢酸メチル等のキレート化剤を使用して脱灰処理することで金属残渣を低減させる手法もある。しかしながら、エチレン系重合体中に酸、アルカリ、又はキレート化剤が残留した場合には、薄膜電極の腐食が促進される場合がある。このため、このような脱灰処理によって金属残渣を低減する手法は好適であるとはいえない。
【0063】
本発明の太陽電池用封止膜は、光安定化剤のような添加剤を含有しながらも、ゲル分率が高いものである。即ち、HALSが絡んで架橋が速やかに進行し、結果的に分極し難く、体積抵抗の高い硬化物が得られると考えられる。
【0064】
(添加剤)
本発明の太陽電池用封止膜には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、上記のエチレン系重合体や光安定化剤以外の成分(添加剤)が含まれていてもよい。添加剤の具体例としては、架橋剤、接着力補助剤、架橋助剤等を挙げることができる。
【0065】
架橋剤は、太陽電池用封止膜に含まれる重合体成分を架橋反応させ、太陽電池用封止膜の耐熱性及び耐候性を向上させうる成分である。架橋剤は、一般に、100℃以上でラジカルを発生する有機過酸化物が好ましく、特に配合時の安定性を考慮すると、半減期10時間の分解温度が70℃以上である有機過酸化物が更に好ましい。
【0066】
有機過酸化物の例には、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、3−ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド等が含まれる。
【0067】
太陽電池用封止膜に含まれる架橋剤の量は、エチレン系重合体を含む重合体成分100重量部に対して、0.1〜3.0重量部であることが好ましく、0.2〜2.0重量部であることが更に好ましい。
【0068】
接着力補助剤は、太陽電池用封止膜の接着力を向上させるために添加される成分である。接着力補助剤としてはシラン化合物が好ましく、シランカップリング剤が更に好ましい。シランカップリング剤の具体例には、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス−(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、およびN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が含まれる。接着力補助剤として用いられるシラン化合物は、シラン変性樹脂であってもよい。
【0069】
接着力補助剤の安定性という観点からは、シラン化合物のなかでもアルコキシシラン類が好適に用いられる。アルコキシシラン類は、常温でpHが中性の領域において比較的安定に存在するからである。但し、アルコキシシラン類は安定性が高いために、太陽電池モジュールを作製する際に太陽電池用封止膜の接着力が発現し難いことがある。
【0070】
太陽電池用封止膜に含まれる接着力補助剤の量は、エチレン系重合体を含む重合体成分100重量部に対して、0.1〜3.0重量部であることが好ましく、0.2〜1.5重量部であることが更に好ましい。
【0071】
接着力補助剤として用いられるシラン化合物や、前述の重合性シラン化合物は、ケイ素(Si)原子に結合した反応基(アルコキシ基やハロゲン基等)を有することが好ましい。ケイ素原子に結合した反応基は、太陽電池モジュールにおいて太陽電池用封止膜が接する部材(即ち、シリコン等により構成される太陽電池セルや、ガラス等の無機物により構成される表面保護部材)と反応して、化学的結合又は水素結合等の物理的結合を形成することができるためである。このような物理的結合により、太陽電池用封止膜と前記保護部材等との接着性が大きく向上すると考えられる。
【0072】
上述のケイ素原子に結合した反応基は、活性が高いほど、反応基の数が多いほど、太陽電池用封止膜の接着性を高めることができる。一方、反応基の活性が高過ぎると、太陽電池用封止膜の保存時に接着力補助剤が反応し易く、太陽電池モジュールの製造時に接着性を付与することが困難になる場合がある。
【0073】
架橋助剤は、太陽電池用封止膜に含まれる重合体成分の架橋反応性を高めて、太陽電池用封止膜の耐久性を向上させうる。架橋助剤としては、多官能の重合性化合物を挙げることができる。より具体的には、架橋助剤としてはトリアリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアネート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の三官能の架橋助剤の他、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、エチレングリコールジメタクリレート等を挙げることができる。
【0074】
太陽電池用封止膜に含まれる架橋助剤の量は、エチレン系重合体を含む重合体成分100重量部に対して、0〜1重量部であることが好ましく、0〜0.5重量部であることが更に好ましい。架橋助剤の含有量を上記の数値範囲内とすることで、発電時の温度変化による太陽電池モジュールの出力の低下及び変動を抑制することができる。
【0075】
(その他の添加剤)
本発明の太陽電池用封止膜には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の添加剤以外の「その他の添加剤」が含まれていてもよい。「その他の添加剤」としては、着色剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、変色防止剤、耐熱安定剤、酸化防止剤等を挙げることができる。
【0076】
着色剤の例には、金属酸化物、金属粉等の無機顔料;アゾ系、フタロシアニン系、アゾ系、酸性又は塩基性染料系レーキ等の有機顔料が含まれる。
【0077】
紫外線吸収剤の例には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルフォベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;フェニルサルシレート、p−t−ブチルフェニルサルシレート等のサリシレート系;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール等のトリアジン系が含まれる。
【0078】
(太陽電池用封止膜の製造方法)
本発明の太陽電池用封止膜は、例えば、前述した成分(少なくともエチレン系重合体と光安定化剤)を含む樹脂組成物を、T−ダイ押出成形機を用いて溶融混練して溶融樹脂シートとして押出した後、冷却固化することにより製造することができる。太陽電池用封止膜の厚みは、例えば100〜2000μm程度である。太陽電池用封止膜は、加熱硬化工程におけるクッション性や脱気性を向上させる点で、その表面にエンボス加工が施されていてもよい。
【0079】
2.太陽電池モジュール
本発明の太陽電池モジュールは、表面側透明保護部材と、裏面側保護部材と、複数の太陽電池セルと、封止部材とを備える。複数の太陽電池セルは、表面側透明保護部材と裏面側保護部材の間に挟持されている。また、封止部材は、表面側透明保護部材と裏面側保護部材との間で、複数の太陽電池セルを封止している。封止部材は、前述の太陽電池用封止膜の硬化物によって構成されている。また、封止部材は、前述の太陽電池用封止膜を太陽電池セルの表面側及び裏面側に配置し、圧着封止することで形成されうる。従って、本発明の太陽電池モジュールの基本的構造は、表面側透明保護部材/封止部材/太陽電池セル/封止部材/裏面側保護部材である。
【0080】
(表面側透明保護部材)
表面側透明保護部材の種類には特に制限はなく、従来の太陽電池モジュールにおいて一般的に使用される表面側保護部材を使用できる。表面側透明保護部材は、太陽電池モジュールの最表層に位置するため、耐候性、撥水性、耐汚染性、及び機械強度をはじめとする、太陽電池モジュールの屋外暴露における長期信頼性を確保するための性能を具備していることが好ましい。また、太陽光を有効に活用するために、光学ロスの小さい、透明性の高いシートであることが好ましい。
【0081】
表面側透明保護部材を構成する材料の例には、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、アクリル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、環状オレフィン(共)重合体等からなる樹脂フィルムの他、ガラス等が含まれる。
【0082】
表面側透明保護部材として好適な樹脂フィルムは、耐侯性等の点で優れたフッ素系樹脂フィルムである。具体的には、四フッ化エチレン・エチレン・共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン・樹脂(TFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン・樹脂(CTFE)等が好ましい。耐候性の観点では、ポリフッ化ビニリデン樹脂が優れている。一方、耐候性と機械的強度を両立するといった観点からは、四フッ化エチレン・エチレン・共重合体が優れている。
【0083】
表面側透明保護部材として好適なガラスは、波長350〜1400nmの光の全光線透過率が80%以上、好ましくは90%以上のガラス基板である。なかでも、赤外領域の吸収の少ない白板ガラスが好ましい。
【0084】
また、表面側透明保護部材として用いられるガラスは、機械的強度を高めるために熱処理された強化ガラスであってもよいが、熱処理されていないフロート板ガラスであってもよい。また、表面側透明保護部材として用いられるガラスは、風圧に耐える必要があるため、その厚みは約3mmである。なお、ガラスはアルミ枠で補強されていることが好ましい。
【0085】
表面側透明保護部材と、封止部材等の他の部材との接着性を高めるために、表面側透明保護部材にはコロナ処理やプラズマ処理が施されていることが好ましい。更に、表面側透明保護部材の受光面側には、通常、光の反射を抑えるために、反射防止のコーティングやエンボス加工が施される。
【0086】
(裏面側保護部材)
裏面側保護部材の種類には特に制限はなく、従来の太陽電池モジュールにおいて一般的に使用される裏面側保護部材を使用できる。なお、上述の表面側透明保護部材と同様の材質で裏面側保護部材を構成してもよい。
【0087】
裏面側保護部材は、太陽電池モジュールへの水分の浸入を防止する機能を有する必要がある。封止部材は、吸水性及び透湿性を有することがあるので、裏面側保護部材の水分の浸入を防止する機能は重要である。但し、本発明の太陽電池モジュールを構成する封止部材は、前述の太陽電池用封止膜の硬化物であるので、従来の太陽電池用封止膜の硬化物に比して吸水性及び透湿性は低い。
【0088】
裏面側保護部材は、地面等からの反射光に対する耐光性、及び60〜100℃の温度に耐えうる耐熱性等を有することが望ましい。一方、裏面側保護部材は、太陽光の通過を前提としないため、表面側保護部材に要求される透明性は必ずしも要求されない。
【0089】
裏面側保護部材の具体例としては、(i)酸化シリコン又は酸化アルミからなる防湿膜を蒸着したPETフィルムに、白色又は黒色の難燃性PETフィルムを貼り合わせたもの、(ii)その片面又は両面に更にフッ化ビニル樹脂フィルムを貼り合わせたもの、等を挙げることができる。
【0090】
裏面側保護部材には、光の反射機能又は散乱機能を付与してもよい。裏面側保護部材に光の反射機能又は散乱機能を付与することで、光の利用効率を向上させることができる。裏面側保護部材に光の反射機能又は散乱機能を付与するための手法に特に制限はない。例えば、反射機能を付与するためには金属層を設置すればよい。また、散乱機能を付与するためには光散乱性の微粒子を添加すればよい。
【0091】
(太陽電池セル)
太陽電池セルは、半導体の光起電力効果を利用して発電できるものであれば特に制限はない。太陽電池セルの例には、シリコン(単結晶系、多結晶系、非結晶(アモルファス)系)太陽電池、化合物半導体(3−5族、2−6族、その他)太陽電池、湿式太陽電池、有機半導体太陽電池等が含まれる。なかでも、発電性能とコストとのバランス等の観点から、多結晶系シリコン太陽電池が好ましい。
【0092】
シリコン太陽電池も化合物半導体太陽電池も、太陽電池セルとして優れた特性を有しているが、外部からの応力や衝撃等により破損し易い。しかしながら、本発明の太陽電池用封止膜の硬化物である封止部材は柔軟性に優れており、太陽電池セルへの応力や衝撃を吸収することができる。このため、本発明の太陽電池用封止膜を用いれば、太陽電池セルの破損を効果的に抑制することができる。従って、太陽電池モジュールの好適な態様においては、太陽電池用封止膜の硬化物である封止部材が、太陽電池セルと直接的に接合している。
【0093】
太陽電池セルには、通常、発生した電気を取り出すための集電電極が配置される。集電電極の例には、バスバー電極、フィンガー電極等が含まれる。集電電極を、太陽電池セルの表面と裏面の両面に配置してもよい。但し、受光面に集電電極を配置すると、集電電極が光を遮ってしまうため発電効率が低下するという問題が生じうる。
【0094】
発電効率を向上させるために、受光面に集電電極を配置する必要のないバックコンタクト型太陽電池セルを用いることが考えられる。バックコンタクト型太陽電池セルの一態様では、太陽電池セルの受光面の反対側に設けられた裏面側に、pドープ領域とnドープ領域とを交互に設ける。バックコンタクト型太陽電池セルの他の態様では、貫通孔(スルーホール)を設けた基板にp/n接合を形成し、スルーホール内壁及び裏面側のスルーホール周辺部まで表面(受光面)側のドープ層を形成し、裏面側で受光面の電流を取り出す。
【0095】
バックコンタクト型太陽電池セル(特に、光を受ける面の裏面のみで電荷取り出しを行う太陽電池セル)は、電荷の取り出し部位が裏面に偏り、かつ近接している。そのため、受光面にも集電電極を配置した太陽電池セルと比較して、バックコンタクト型太陽電池セルでは発生した電荷が流れ難く、更に受光面側の封止膜内に電荷の偏りが生じ易いと考えられる。そのため、バックコンタクト型太陽電池セルは、周囲の環境、例えば太陽電池セルを封止する封止部材の電気物性等の影響を受け易いと考えられる。
【0096】
従って、バックコンタクト型の太陽電池セルの太陽電池用封止膜には、太陽電池セルの発電電荷の取り出しに影響を与え難いことが、より要求される。発電電荷の取り出しに影響を与え難くするには、太陽電池用封止膜の硬化物の体積固有抵抗が高いことが好ましい。前述の通り、本発明の太陽電池用封止膜の硬化物の体積固有抵抗は高いため、バックコンタクト型の太陽電池セルを構成するための材料として好適に用いられる。
【0097】
本発明の太陽電池モジュールには、本発明の目的を損なわない範囲で、任意の部材を適宜配設してもよい。任意の部材の例には、接着層、衝撃吸収層、コーティング層、反射防止層、裏面再反射層、光拡散層等が含まれるが、これらに限定されない。これらの層を配設する位置には特に限定はなく、これらの層を設ける目的や、これらの層の特性等を考慮し、適切な位置に配設することが好ましい。
【0098】
3.太陽電池モジュールの製造方法
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、表面側透明保護部材と、第一の太陽電池用封止膜と、太陽電池セルと、第二の太陽電池用封止膜と、裏面側保護部材とをこの順に積層して積層体を形成する工程(i)と、得られた積層体を加熱及び加圧して一体化する工程(ii)と、を含む。工程(i)で用いる第一の太陽電池用封止膜及び第二の太陽電池用封止膜は、前述の本発明の太陽電池用封止膜である。
【0099】
太陽電池用封止膜の表面に凹凸形状(エンボス形状)が形成されている場合には、工程(i)においては、エンボス形状が形成された面が太陽電池セル側に配置されるように、太陽電池用封止膜を積層することが好ましい。
【0100】
なお、太陽電池モジュールの製造方法においては、上記の工程(i)に代えて、表面側透明保護部材と、太陽電池用封止膜と、太陽電池セルが表面に設けられた裏面側保護部材とをこの順に、かつ前記太陽電池用封止膜と裏面側保護部材の表面に設けられた太陽電池セルとが接するように積層して積層体を形成する工程(i’)とすることもできる。また、同様に上記の工程(i)に代えて、太陽電池セルを表面に設けた表面側透明保護部材と、太陽電池用封止膜と、裏面側保護部材とをこの順に、かつ前記太陽電池用封止膜と表面側保護部材の表面に設けられた太陽電池セルとが接するように積層して積層体を形成する工程(i”)とすることもできる。このように、工程(i)に代えて工程(i’)又は工程(i”)を採用した場合には、特に薄膜用太陽電池モジュールの製造方法として好適である。
【0101】
工程(ii)においては、工程(i)で得られた積層体を、常法に従って真空ラミネーターを用いて、加熱及び加圧して一体化(封止)すればよい。本発明の太陽電池用封止膜はクッション性が高いため、封止の際の加圧によるセルの損傷を防止することができる。また、脱気性が良好であるため空気の巻き込みもなく、高品質の太陽電池モジュールを歩留り良く製造することができる。
【0102】
太陽電池モジュールの製造時には、太陽電池用封止膜に含有されるエチレン系重合体を含む樹脂組成物を架橋硬化させる。この架橋工程は、工程(ii)と同時に行ってもよいし、工程(ii)の後に行ってもよい。
【0103】
架橋工程を工程(ii)の後に行う場合には、先ず、工程(ii)において温度125〜155℃、真空圧10Torr以下の条件で3〜6分間、真空加熱する。次いで、大気圧による加圧を1〜5分間程度行い、上記積層体を一体化する。工程(ii)の後に行う架橋工程は、一般的な方法により行うことができる。例えば、トンネル式の連続式架橋炉を用いてもよいし、棚段式のバッチ式架橋炉を用いてもよい。また、架橋条件は、通常、140〜155℃で30〜40分程度である。
【0104】
一方、架橋工程を工程(ii)と同時に行う場合には、工程(ii)における加熱温度を145〜155℃とし、大気圧による加圧時間を6〜15分とすること以外は、架橋工程を工程(ii)の後に行う場合と同様にして行うことができる。
【0105】
いずれにしても、本発明の太陽電池モジュールの製造方法においては、架橋剤が実質的に分解せず、かつ本発明の太陽電池用封止膜が溶融するような温度で、太陽電池セルに太陽電池用封止膜を仮接着し、次いで昇温して十分な接着と太陽電池用封止膜の架橋を行えばよい。諸条件を満足できるような添加剤処方を選べばよく、例えば、架橋剤や架橋助剤等の種類及び含有量を適宜選択することが好ましい。
【実施例】
【0106】
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0107】
1.物性値の測定方法
[水蒸気透過率]
JIS K0208−1976に準拠した「透湿カップ法」に従って、23℃、90%RHにおける重合体成分の水蒸気透過率(%)を測定した。
【0108】
[MFR]
JIS K−7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重にて太陽電池用封止膜のMFR(g/10min)を測定した。
【0109】
[金属残渣]
太陽電池用封止膜を湿式分解後、純水にて定容し、ICP発光分析装置(商品名「ICPS−8100」、島津製作所社製)を使用して、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、及びマグネシウムを定量した。これらの金属元素の合計量を「金属残渣(重量ppm)」とした。
【0110】
[ゲル分率]
特開2008−91772号公報に記載された方法に従って太陽電池用封止膜のゲル分率(重量%)を測定及び算出した。
【0111】
[体積固有抵抗]
太陽電池用封止膜を10cm×10cm×約0.4mmのサイズに裁断した後、150℃、真空3分、加圧10分でラミネートして測定用のシートを作製した。作製したシートの体積固有抵抗(Ω・cm)を、ASTM−D257−93に準拠し、印加電圧500Vで測定した。なお、測定環境は温度23±2℃、湿度50±5%RHとした。また、測定機には商品名「R8340A」(アドバンスト社製)を使用した。
【0112】
2.使用した成分
<エチレン系重合体>
エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(EPDM)(商品名「三井EPT X−3012P」、三井化学社製、エチレン含量:73重量%、プロピレン含量:22.9重量%、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)含量:4.1重量%、水蒸気透過率:0.6g・mm/(m・24h))
【0113】
<架橋剤>
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
【0114】
<シランカップリング剤>
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
【0115】
<架橋助剤>
トリアリルイソシアヌレート(TAIC)
【0116】
<光安定化剤>
光安定化剤(1):前記式(1−1)で表される化合物
光安定化剤(2):前記式(1−2)で表される化合物
光安定化剤(3):前記式(1−3)で表される化合物
光安定化剤(4):下記式(2)で表される化合物
【0117】
【化6】

【0118】
3.太陽電池用封止膜の製造
(実施例1)
エチレン系重合体100重量部、光安定化剤(1)0.1重量部、光安定化剤(2)0.1重量部、架橋剤1重量部、架橋助剤1.2重量部、及びシランカップリング剤0.1重量部を含む樹脂組成物を調製した。調製した樹脂組成物のシ−ト状溶融ウェブを押し出し、厚さ0.45mmの太陽電池用封止膜を得た。得られた太陽電池用封止膜(樹脂組成物)のMFRは4g/10min、金属残渣は5重量ppm以下、及びゲル分率は64.9重量%であった。また、太陽電池用封止膜の硬化物の体積固有抵抗は6.61×1017Ω・cmであった。
【0119】
(実施例2、比較例1及び2)
表1に示す配合としたこと以外は、前述の実施例1と同様にして太陽電池用封止膜を得た(なお、比較例1については、重合体成分(樹脂)に各種の添加剤を配合することなく、そのまま太陽電池用封止膜とした)。得られた太陽電池用封止膜(樹脂組成物)及びその硬化物の各種物性値の測定結果を表1に示す。
【0120】
【表1】

【0121】
4.評価
表1に示す結果から、実施例1及び2の太陽電池用封止膜の硬化物は、比較例1及び2の太陽電池用封止膜の硬化物に比して体積固有抵抗が高いことが明らかである。このため、実施例1及び2の太陽電池用封止膜を用いれば、光安定性に優れ、かつ発電効率の高い太陽電池モジュールを提供可能であることが示唆される。
【0122】
また、比較例2と、実施例1及び2とを比較すると、水蒸気透過率が所定の数値範囲内であるエチレン系重合体に対して、特定の構造式で表されるHALSを添加すると、得られる太陽電池用封止膜の硬化物の体積固有抵抗が顕著に上昇することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明の太陽電池用封止膜は、その硬化物の体積固有抵抗が高く、帯電し難い性質を有する。このため、本発明の太陽電池用封止膜を封止部材の材料として用いると、イオンマイグレーションが起こり難く、かつ発電効率の高い太陽電池モジュールを製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
23℃、90%RHにおける水蒸気透過率が0.1〜1g・mm/(m・24h)のエチレン系重合体と、
下記一般式(1)で表される光安定化剤と、を含み、
JIS K−7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重にて測定されるメルトフローレ−ト(MFR)が0.1〜100g/10minである、太陽電池用封止膜。
【化1】

(前記一般式(1)中、Xは、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アルケニルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、又はカルバモイル基を示し、Rは、1価の置換基を示す)
【請求項2】
前記エチレン系重合体が、エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体とエチレン・α-オレフィン共重合体の少なくともいずれかである、請求項1に記載の太陽電池用封止膜。
【請求項3】
前記エチレン系重合体100重量部に対する、前記光安定化剤の含有量が0.05〜1重量部である、請求項1又は2に記載の太陽電池用封止膜。
【請求項4】
架橋剤と接着力補助剤の少なくともいずれかを更に含む、請求項1に記載の太陽電池用封止膜。
【請求項5】
表面側透明保護部材と、裏面側保護部材と、前記表面側透明保護部材と前記裏面側保護部材とに挟持された複数の太陽電池セルと、前記表面側透明保護部材と前記裏面側保護部材との間に前記太陽電池セルを封止する封止部材と、を備え、
前記封止部材が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の太陽電池用封止膜の硬化物である、太陽電池モジュール。
【請求項6】
表面側透明保護部材と、請求項1〜4のいずれか一項に記載の第一の太陽電池用封止膜と、太陽電池セルと、請求項1〜4のいずれか一項に記載の第二の太陽電池用封止膜と、裏面側保護部材とをこの順に積層して積層体を形成する工程(i)と、
前記工程(i)で得られた前記積層体を加熱及び加圧して一体化する工程(ii)と、
を含む、太陽電池モジュールの製造方法。

【公開番号】特開2012−38856(P2012−38856A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176357(P2010−176357)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】