説明

媒体処理装置の駆動制御方法および媒体処理システム

【課題】印刷処理の前に印刷ヘッドのクリーニング処理を行なう場合でも、媒体の発行時間が遅延することがない媒体処理装置の駆動制御方法を提案すること。
【解決手段】媒体発行命令が入力されると、媒体発行命令に基づいて印刷処理を開始するまでにかかる前処理時間を算出され(ステップST11、ST12)、前回クリーニング処理が行われてからの経過時間と前処理時間を加算した累積時間が所定時間以上と判定された場合には(ステップST13)、クリーニング処理が開始される(ステップST16)。媒体発行命令が発行されてから印刷処理が開始される前までの間に経過時間が所定時間に達する場合には、書き込み処理(ステップST18)と並行してクリーニング処理(ステップST16)が行われるので、クリーニング処理(ステップST16)にかかる時間分だけ媒体の発行時間が遅延してしまうことを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に対して印刷ヘッドによる印刷処理を行なう前に、スキャナーによる画像データの取り込みや、媒体に対するデータの書き込みなどの前処理を行なう媒体処理装置に関する。より詳細には、印刷処理の開始前に印刷ヘッドのクリーニング処理を行なった場合でも、媒体の発行時間が遅延してしまうことがない媒体処理装置の駆動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デュプリケータ、ディスクパブリッシャーなどと呼ばれている媒体処理装置は、CDやDVDなどの媒体に対してデータを書き込む書き込み機構と、印刷ヘッドによって媒体のレーベル面にレーベル印刷を施す印刷機構を有しており、媒体発行命令が入力されると、書き込み機構によるデータの書き込み処理と印刷機構によるレーベルの印刷処理をこの順番で行って媒体を発行する。このような媒体処理装置では、インクノズルの目詰まりなどによるレーベル印刷の印刷品質の低下を回避するために、印刷機構の印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理を一定時間経過する毎に所定のタイミングで行うようになっている。特許文献1には、前回のクリーニング処理から所定時間が経過した後において最初に印刷処理が開始される時点で、割り込み処理として、クリーニング処理を行う印刷装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−260172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
媒体処理装置において、印刷ヘッドのクリーニング処理を、割り込み処理として、前回のクリーニング処理から所定時間が経過した後において最初に印刷処理が開始される時点で行うようにすると、書き込み処理の途中で前回のクリーニング処理からの経過時間が所定時間に達した場合には、書き込み処理の終了後にクリーニング処理が行われ、クリーニング処理の終了を待って印刷処理が行われる。このため、クリーニング処理にかかる時間分だけ媒体の発行時間が遅延してしまうという問題が発生する。しかし、このような場合にクリーニング処理を行なわなければ、レーベルの印刷品質が低下する恐れがある。
【0005】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、印刷処理の前に印刷ヘッドのクリーニング処理を行なう場合でも、媒体の発行時間が遅延してしまうことがない媒体処理装置の駆動制御方法を提案することにある。また、このような駆動制御方法により印刷ヘッドのクリーニング処理を行う媒体処理装置および媒体処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、媒体発行命令が入力されると、印刷ヘッドによって媒体に印刷を施す印刷動作を伴わない第1処理と、前記印刷動作を伴う第2処理とをこの順番で行って前記媒体を発行する媒体処理装置の駆動制御方法において、
前記媒体発行命令が入力されると、前記媒体発行命令に基づいて前記第2処理を開始するまでにかかる前処理時間を算出し、
前記印刷ヘッドに対して前回クリーニング処理が行われてからの経過時間に前記前処理時間を加えた累積時間を算出し、
前記累積時間が、新たなクリーニング処理が必要となる予め設定した前記所定時間以上か否かを判定し、
前記累積時間が前記所定時間以上の場合には、前記クリーニング処理を開始することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、媒体発行命令が入力されると、この媒体発行命令に基づいて印刷動作を伴う第2処理を開始するまでにかかる前処理時間を算出し、前回クリーニング処理が行われてからの経過時間と前処理時間を加算した累積時間が新たなクリーニング処理が必要となる所定時間以上の場合には、クリーニング処理が開始される。従って、媒体発行命令が入力されてから第2処理が開始される前までの間に前回のクリーニング処理からの経過時間が所定時間に達してしまう場合には、第1処理と並行してクリーニング処理が行われ、クリーニング処理が第1処理の終了後に割り込み処理として行われることがない。この結果、第2処理の開始がクリーニング処理にかかる時間分の遅延が回避されるので、媒体の発行時間がクリーニング処理にかかる時間分だけ遅延してしまうことを防止できる。
【0008】
本発明において、前記媒体発行命令が入力されると、前記媒体発行命令に基づいて前記媒体が発行されるまでにかかる媒体発行時間を算出して操作者に通知することが望ましい。本発明によれば、クリーニング処理にかかる時間分だけ媒体の発行時間が遅延してしまう場合を排除できるので、媒体発行命令に基づいて算出した媒体発行時間と、実際に媒体が発行されるまでにかかる時間との誤差が少ない。従って、媒体発行時間を高い精度で操作者に通知できる。
【0009】
本発明において、前記第1処理は、前記媒体にデータを書き込む書き込み処理を含み、前記第2処理は、前記媒体にレーベル印刷を施す印刷処理を含むことができる。
【0010】
また、本発明において、前記第1処理は、スキャナーによって画像データを読み込む読み込み処理を含み、前記第2処理は、前記画像データに基づいた印刷を前記媒体に施す印刷処理を含むことができる。
【0011】
この場合において、媒体処理装置がコンピューターと接続されて媒体処理システムの一部を構成している場合には、前記媒体処理装置に通信可能に接続されたコンピューターに前記媒体発行指令が入力され、前記コンピューターにおいて、前記前処理時間を算出し、前記媒体発行指令および前記前処理時間を前記コンピューターから前記媒体処理装置に供給し、前記媒体処理装置において、前記累積時間を算出して前記累積時間が前記所定時間以上か否かを判定することが望ましい。
【0012】
次に、本発明は、媒体に対してデータを書き込む書き込み処理を行う書き込み機構、および、印刷ヘッドによって媒体に対するレーベル印刷を施す印刷処理を行なう印刷機構を備えており、媒体発行命令を受信すると前記書き込み処理および前記印刷処理をこの順番で行なって前記媒体を発行する媒体処理装置と、前記媒体処理装置に通信可能に接続されているコンピューターと、前記コンピューターで動作しており、前記媒体発行命令が入力されるアプリケーションソフトとを有する媒体処理システムにおいて、
前記アプリケーションソフトは、
前記媒体発行命令が入力されたときに、前記印刷処理が開始されるまでの前処理時間を算出する前処理時間算出部と、
前処理時間が算出されると、前記媒体発行命令および前記前処理時間を前記媒体処理装置に送信する送信部とを備えており、
前記媒体処理装置は、
印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理を行なうためのクリーニング機構と、
前記クリーニング処理が行われる毎に前記クリーニング処理が終了してからの経過時間を計測している計測部と、
前記前処理時間を受信すると、前記経過時間に前記前処理時間を加えた累積時間を算出する累積時間算出部と、
前記累積時間が算出されると、前記累積時間が、前記クリーニング処理が必要となる予め設定した所定時間以上か否かを判定する判定部と、
前記クリーニング機構を駆動制御するためのクリーニング制御部と、を備えており、
前記クリーニング制御部は、前記累積時間が前記所定時間以上であると判定されるとクリーニング処理を開始することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、アプリケーションソフトに媒体発行命令が入力されると、このアプリケーションソフトが印刷処理を開始するまでにかかる前処理時間を算出して媒体処理装置に送信する。そして、この前処理時間を受信した媒体処理装置では、経過時間と前処理時間を加算した累積時間が所定時間以上の場合にはクリーニング処理を開始する。従って、媒体発行命令が入力されてから印刷処理が開始される前までの間に前回のクリーニング処理からの経過時間が所定時間に達してしまう場合には、書き込み処理と並行してクリーニング処理が行われ、クリーニング処理が書き込み処理の終了後に割り込み処理として行われることがない。この結果、印刷処理の開始がクリーニング処理にかかる時間分の遅延が回避されるので、媒体の発行時間がクリーニング処理にかかる時間分だけ遅延してしまうことを防止できる。
【0014】
本発明において、前記アプリケーションソフトは、前記媒体発行命令が入力されると、前記媒体が発行されるまでにかかる媒体発行時間を算出して操作者に通知する媒体発行時間通知部を備えていることが望ましい。本発明によれば、クリーニング処理にかかる時間分だけ媒体の発行時間が遅延してしまうことを防止できるので、媒体発行命令に基づいて算出した媒体発行時間と、実際に媒体が発行されるまでにかかる時間との誤差が少ない。従って、媒体発行時間通知部によって、媒体発行時間を高い精度で操作者に通知できる。
【0015】
また、次に、本発明は、媒体に対してデータを書き込む書き込み処理を行う書き込み機構、および、印刷ヘッドによって媒体に対するレーベル印刷を施す印刷処理を行なう印刷機構を備えており、媒体発行命令を受信すると前記書き込み処理および前記印刷処理をこの順番で行なって前記媒体を発行する媒体処理装置と、前記媒体処理装置に通信可能に接続されているコンピューターと、前記コンピューターで動作しており、前記媒体発行命令が入力されるアプリケーションソフトと、前記コンピューターで動作しており、前記媒体発行命令に基づいて前記媒体処理装置を駆動制御するためのドライバーソフトと、を有する媒体処理システムにおいて、
前記アプリケーションソフトは、
前記媒体発行命令が入力されると、前記媒体発行命令を前記ドライバーソフトに送信する第1送信部を備えており、
前記ドライバーソフトは、
前記媒体発行命令を受信すると、前記媒体発行命令に基づいて前記印刷処理が開始されるまでの前処理時間を算出する前処理時間算出部と、
前処理時間が算出されると、前記媒体発行命令および前記前処理時間を前記媒体処理装置に送信する第2送信部とを備えており、
前記媒体処理装置は、
印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理を行なうためのクリーニング機構と、
前記クリーニング処理が行われる毎に前記クリーニング処理が終了してからの経過時間を計測している計測部と、
前記前処理時間を受信すると、前記経過時間に前記前処理時間を加えた累積時間を算出する累積時間算出部と、
前記累積時間が算出されると、前記累積時間が、前記クリーニング処理が必要となる予め設定した所定時間以上か否かを判定する判定部と、
前記クリーニング機構を駆動制御するためのクリーニング制御部と、を備えており、
前記クリーニング制御部は、前記累積時間が前記所定時間以上であると判定されるとクリーニング処理を開始することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、アプリケーションソフトに媒体発行命令が入力されると、この媒体発行命令はドライバーソフトに送信され、ドライバーソフトが印刷処理を開始するまでにかかる前処理時間を算出して媒体処理装置に送信する。そして、この前処理時間を受信した媒体処理装置では、経過時間と前処理時間を加算した累積時間が所定時間以上の場合にはクリーニング処理を開始する。従って、媒体発行命令が入力されてから印刷処理が開始される前までの間に前回のクリーニング処理からの経過時間が所定時間に達してしまう場合には、書き込み処理と並行してクリーニング処理が行われ、クリーニング処理が書き込み処理の終了後に割り込み処理として行われることがない。この結果、印刷処理の開始がクリーニング処理にかかる時間分の遅延が回避されるので、媒体の発行時間がクリーニング処理にかかる時間分だけ遅延してしまうことを防止できる。
【0017】
本発明において、前記ドライバーソフトは、前記媒体発行命令を受信すると、前記媒体発行命令に基づいて前記媒体が発行されるまでにかかる媒体発行時間を算出して操作者に通知する媒体発行時間通知部を備えていることが望ましい。本発明によれば、クリーニング処理にかかる時間分だけ媒体の発行時間が遅延してしまうことを防止できるので、媒体発行命令に基づいて算出した媒体発行時間と、実際に媒体が発行されるまでにかかる時間との誤差が少ない。従って、媒体発行時間通知部によって、媒体発行時間を高い精度で操作者に通知できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、媒体発行命令が入力されると、この媒体発行命令に基づいて印刷動作を伴う第2処理を開始するまでにかかる前処理時間を算出し、前回クリーニング処理が行われてからの経過時間と前処理時間を加算した累積時間が新たなクリーニング処理が必要となる所定時間以上の場合には、クリーニング処理が開始される。従って、媒体発行命令が入力されてから第2処理が開始される前までの間に前回のクリーニング処理からの経過時間が所定時間に達してしまう場合には、第1処理と並行してクリーニング処理が行われ、クリーニング処理が第1処理の終了後に割り込み処理として行われることがない。この結果、第2処理の開始がクリーニング処理にかかる時間分の遅延が回避されるので、媒体の発行時間がクリーニング処理にかかる時間分だけ遅延してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した媒体処理システムの斜視図である。
【図2】本発明を適用した媒体処理システムのブロック図である。
【図3】本発明の媒体処理システムの媒体発行動作を示す状態遷移図である。
【図4】従来例の媒体処理システムの媒体発行動作を示す状態遷移図である。
【図5】本発明を適用した別の媒体処理システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した媒体処理システムについて説明する。
【0021】
(全体構成)
図1は本発明を適用した媒体処理システムの斜視図である。媒体処理システム1は、CDやDVDなどのディスク(媒体)10(図2参照)を発行するものであり、ディスプレイ2aを備えるコンピューター2と、このコンピューター2に通信可能に接続されたディスクパブリッシャー(媒体処理装置)3を有している。コンピューター2では、ディスク発行命令(媒体発行命令)が入力されるアプリケーションソフト4が動作している。操作者によってアプリケーションソフト4にディスク発行命令が入力されると、コンピューター2からディスクパブリッシャー3にディスク発行命令が送信される。ディスク発行命令を受信したディスクパブリッシャー3は、ディスク10に対するデータの書き込み処理およびレーベルの印刷処理をこの順番で行って、ディスク10を発行する。
【0022】
(アプリケーションソフト)
図2は媒体処理システム1の概略ブロック図である。図2に示すように、アプリケーションソフト4は、ディスク10に書き込む書き込みデータを作成するための書き込みデータ作成部41と、書き込みデータの内容を表すタイトルなどを含むレーベルを印刷するための印刷データを作成するための印刷データ作成部42と、ディスク10を発行するためのディスク発行命令を発行するディスク発行命令発行部43と、ディスク発行命令などをディスクパブリッシャー3に送信するための通信部(送信部)44と、ディスク10が発行されたことを操作者に通知するためのディスク発行通知部45を備えている。
【0023】
ディスク発行命令発行部43は、操作者からディスク発行命令が入力されると、作成された書き込みデータおよび印刷データに基づいてディスク発行命令を発行する。ディスク発行命令発行部43が発行するディスク発行命令には、ディスクパブリッシャー3に書き込みデータの書き込みを行わせるデータ書き込み命令と、レーベルの印刷を行わせるレーベル印刷命令が含まれている。データ書き込み命令には書き込みデータが含まれており、レーベル印刷命令には、印刷データが含まれている。
【0024】
また、アプリケーションソフト4は、操作者からディスク発行命令が入力されると、ディスクパブリッシャー3においてレーベルの印刷処理が開始されるまでの前処理時間を算出する前処理時間算出部46と、ディスクパブリッシャー3においてディスク10が発行されるまでにかかる媒体発行時間を算出して操作者に通知するディスク発行時間通知部(媒体発行時間通知部)47を備えている。
【0025】
前処理時間算出部46は、書き込みデータ作成部41によって作成された書き込みデータのデータ量、ディスクパブリッシャー3におけるディスク10へのデータの書き込み速度、ディスクパブリッシャー3においてディスク10の搬送に要する時間などに基づいて前処理時間を算出する。前処理時間算出部46によって前処理時間が算出されると、この前処理時間は、クリーニング要否判定コマンド(Cleaning)の引数として、通信部44によって、ディスクパブリッシャー3に送信される。
【0026】
ディスク発行時間通知部47は、前処理時間算出部46によって算出された前処理時間、印刷データ作成部42によって作成された印刷データのデータ量などに基づいて媒体発行時間を算出する。ディスク発行時間通知部47は、算出した媒体発行時間をディスプレイ2aに表示することにより、操作者に通知する。
【0027】
ここで、通信部44は、ディスク発行命令が発行されると、まず、クリーニング要否判定コマンドをディスクパブリッシャー3に送信する。その後、ディスクパブリッシャー3からクリーニング要否判定コマンドに対するクリーニング要否の回答が送信されてくるのを監視しており、その回答を受信すると、データ書き込み命令をディスクパブリッシャー3に送信する。次に、ディスクパブリッシャー3から書き込み処理完了の通知が送信されてくるのを監視しており、書き込み処理完了の通知を受信すると、レーベル印刷命令をディスクパブリッシャー3に送信する。その後、ディスクパブリッシャー3から印刷処理完了の通知が送信されてくるのを監視しており、印刷処理完了の通知を受信すると、この受信をディスク発行通知部45に通知する。
【0028】
ここで、印刷処理完了の通知の受信を通知されたディスク発行通知部45は、ディスク10が発行されたことをメッセージによりディスプレイ2aに表示して、操作者に通知する。あるいは、不図示のブザーを鳴動させることにより、操作者に通知する。
【0029】
(ディスクパブリッシャー)
ディスクパブリッシャー3は、その筐体30内に、ブランクディスクなどの書き込み可能なディスク10を収納するためのディスク供給用スタッカー31と、ディスク10へ書き込みデータを書き込む書き込み処理を行うディスクドライブ(書き込み機構)32と、データが書き込まれたディスク10のレーベル面にレーベル印刷を施す印刷処理を行うレーベルプリンター(印刷機構)33と、データの書き込みおよびレーベル印刷が行われたディスク10を排出するためのディスク排出用スタッカー34と、ディスク10を筐体30内の各部分に搬送するためのディスク搬送機構35を備えている。レーベルプリンター33は、印刷ヘッド331としてインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンターであり、印刷ヘッド331をクリーニングするクリーニング処理を行なうためのクリーニング機構332を搭載している。クリーニング機構332は、クリーニング処理として、印刷ヘッド331のインクノズルからのインクの吸引動作や吐出動作、あるいは、印刷ヘッド331のノズル面のワイピング動作を行う。
【0030】
また、ディスクパブリッシャー3は、各部の駆動制御を司る制御部36を有している。制御部36の入力側には通信ケーブルやネットワークを介してコンピューター2が接続されており、コンピューター2からのディスク発行命令を受信すると、制御部36は、各部を駆動制御してディスク10を発行する。また、制御部36は、書き込み処理や印刷処理が完了する毎に、コンピューター2に各処理完了の通知を送信する。
【0031】
より具体的には、データ書き込み命令を受信すると(ステップST1)、制御部36は、ディスク搬送機構35を駆動制御してディスク供給用スタッカー31からディスク10をディスクドライブ32へ搬送する(ステップST2)。次に、ディスクドライブ32を駆動制御して、ディスク10へのデータの書き込み処理を行う(ステップST3)。その後、書き込み処理が完了すると、ディスク搬送機構35を駆動制御して、ディスクドライブ32からレーベルプリンター33へデータ書き込み済みのディスク10を搬送する(ステップST4)。しかる後に、書き込み処理完了の通知をコンピューター2に送信する(ステップST5)。
【0032】
次に、コンピューター2に送信された書き込み処理完了の通知をアプリケーションソフト4が受信すると、アプリケーションソフト4からディスクパブリッシャー3にレーベル印刷命令が送信されるので、このレーベル印刷命令を受信すると(ステップST6)、制御部36は、レーベルプリンター33を駆動制御して、ディスク10にレーベル印刷を施す(ステップST7)。レーベル印刷が完了すると、ディスク搬送機構35を駆動制御して、レーベルプリンター33からディスク排出用スタッカー34へ発行済みのディスク10を搬送する(ステップST8)。しかる後に、印刷処理完了の通知をコンピューター2に送信する(ステップST9)。
【0033】
ここで、制御部36は、レーベルプリンター33におけるクリーニング処理が行われる毎に前記クリーニング処理が終了してからの経過時間を計測している計測部361を備えている。計測部361は、クリーニング処理が行われる毎にカウンターをリセットするタイマーである。
【0034】
また、制御部36は、コンピューター2からのクリーニング要否判定コマンドを受信すると、引数となっている前処理時間と計測部361が計測している経過時間とを加えた累積時間を算出する累積時間算出部362と、累積時間に基づいてクリーニング処理が必要か否かの判定を行って判定結果を回答としてコンピューター2に返信する判定部363と、レーベルプリンター33のクリーニング機構332を駆動制御するためのクリーニング制御部364を備えている。
【0035】
判定部363は、累積時間算出部362によって累積時間が算出されると、この累積時間がクリーニング処理が必要となる所定時間以上か否かを判定し、所定時間以上の場合にはクリーニング処理が必要であると判定する。また、累積時間が所定時間よりも少ない場合には、クリーニング処理が不要であると判定する。さらに、判定結果をクリーニング要否判定コマンドの引数として、コンピューター2に送信する。ここで、クリーニング処理が必要となる所定時間とは、クリーニング処理を定期的に行うために予め設定された時間であり、本例では5時間とされている。
【0036】
クリーニング制御部364は、判定部363がクリーニング処理が必要であると判定すると、クリーニング機構332を駆動制御してクリーニング処理を開始させる。
【0037】
(媒体発行動作)
図3はディスクパブリッシャー3における媒体発行動作を示す状態遷移図である。この状態遷移図に沿って、ディスク発行命令が発行されてからディスク10が発行されるまでの間に印刷ヘッド331のクリーニング処理が行われる場合を説明する。
【0038】
本例では、クリーニング処理が必要となる所定時間が5時間に設定されている。また、操作者は、アプリケーションソフト4を操作することにより、既に、書き込みデータおよび印刷データを作成しているものとする。
【0039】
図3に示すように、まず、操作者によってアプリケーションソフト4にディスク発行命令が入力される(ステップST11)。本例では、前回のクリーニング処理から4時間55分経過した時点で、ディスク発行命令が入力されている。これにより、アプリケーションソフト4からディスク発行命令が発行される。
【0040】
ディスク発行命令が入力されると、アプリケーションソフト4の前処理時間算出部46は前処理時間を算出する。前処理時間が算出されると、通信部44はこの前処理時間をクリーニング要否判定コマンド(cleaning)の引数として、ディスクパブリッシャー3に送信する(ステップST12)。本例では、書き込みデータのデータ量などから前処理時間は10分(600秒)であると算出されている。
【0041】
ディスクパブリッシャー3がクリーニング要否判定コマンドを受信すると、制御部36の累積時間算出部362によって前処理時間と経過時間とが加算された累積時間が算出され、判定部363によってクリーニング処理が必要か否かの判定が行われる(ステップST13)。本例では、累積時間は5時間5分となり、クリーニング処理を定期的に行うための所定時間(5時間)以上となっているので、クリーニング処理が必要であると判定される。
【0042】
判定部363による判定が行われると、その判定結果は、クリーニング要否判定コマンドへの回答としてコンピューター2に送信される(ステップST14)。本例では、クリーニング処理が必要であると判定されているので、クリーニング要否判定コマンドの結果として、必要を意味する1が渡されている。なお、クリーニング処理が不要であると判定された場合には、クリーニング要否判定コマンドの結果として不要を意味する0が渡される。
【0043】
次に、アプリケーションソフト4は、ディスク発行時間通知部47が算出した媒体発行時間をディスプレイ2aに表示する(ステップST15)。本例では、書き込みデータのデータ量や印刷データのデータ量などから媒体発行時間は12分と算出されている。より詳細には、印刷処理が開始されるまでの前処理時間が10分、印刷処理が開始してからディスク10が発行されるまでの後処理時間が2分と算出されており、この結果、媒体発行時間が12分となっている。
【0044】
ここで、本例では、ステップST13において、クリーニング処理が必要であると判定されているので、クリーニング制御部364はクリーニング機構332を駆動制御してクリーニング処理を開始させる(ステップST16)。クリーニング処理にかかる時間は2分間となっている。
【0045】
また、クリーニング要否の回答を受信したアプリケーションソフト4は、データ書き込み命令をディスクパブリッシャー3に送信する(ステップST17)。
【0046】
ディスクパブリッシャー3がデータ書き込み命令を受信すると、制御部36は、ディスクドライブ32を駆動制御してディスク10へのデータの書き込み処理を行う(ステップST18)。その後、書き込み処理が完了すると、データ書き込み済みのディスク10をレーベルプリンター33に搬送した後に、書き込み処理完了の通知をコンピューター2に送信する(ステップST19)。本例では、書き込み処理完了の通知は、前回のクリーニング処理から5時間5分経過した時点となっている。
【0047】
次に、書き込み処理完了の通知を受信したアプリケーションソフト4は、ディスクパブリッシャー3にレーベル印刷命令を送信する(ステップST20)。
【0048】
ディスクパブリッシャー3がレーベル印刷命令を受信すると、制御部36は、レーベルプリンター33を駆動制御してディスク10にレーベル印刷を施す印刷処理を行う(ステップST21)。その後、印刷処理が完了すると、発行済みのディスク10をディスク排出用スタッカー34へ搬送し、印刷処理完了の通知をコンピューター2に送信する(ステップST22)。本例では、印刷処理完了の通知は、前回のクリーニング処理から5時間7分経過した時点となっている。
【0049】
アプリケーションソフト4が印刷処理完了の通知を受信すると、ディスク発行通知部45は、ディスク10が発行されたことをメッセージによりディスプレイ2aに表示して、操作者に通知する(ステップST23)。本例では、印刷処理完了の通知は、前回のクリーニング処理から5時間7分経過した時点となっており、ディスク発行命令が発行された時点から12分経過した時点となっている。すなわち、ステップST15においてディスク発行時間通知部47がディスプレイ2aに表示した媒体発行時間と一致している。
【0050】
(作用効果)
ここで、従来の媒体処理システム1では、アプリケーションソフト4は、前処理時間算出部46を備えていなかった。また、ディスクパブリッシャー3は、累積時間算出部362を備えておらず、判定部363は計測部361の計測している経過時間が前回クリーニング処理を行ってからの経過時間が予め定めた所定時間(5時間)以上となっている場合を除いて、クリーニング処理が不要であると判定していた。クリーニング制御部364は、前回クリーニング処理を行ってからの経過時間が予め定めた所定時間(5時間)以上となっている場合に、レーベル印刷命令を受信すると、割り込み処理として、レーベルの印刷処理に先立って、クリーニング処理を開始していた。
【0051】
この結果、従来の媒体処理システム1では、前回のクリーニング処理から所定時間が経過した後において最初に印刷処理が開始される時点で、印刷ヘッド331のクリーニング処理が割り込み処理として行われていた。このため、媒体発行命令が発行されてから印刷処理が開始される前までの間に前回のクリーニング処理からの経過時間が所定時間に達してしまう場合には、書き込み処理の終了後に割り込み処理としてクリーニング処理が行われ、クリーニング処理の終了を待って印刷処理が行われ、クリーニング処理にかかる時間分だけ媒体の発行時間が遅延していた。
【0052】
図4を参照して、従来の媒体処理システムにおける印刷ヘッド331のクリーニング動作を説明する。図4は従来の媒体処理システムにおける媒体発行動作を示す状態遷移図である。
【0053】
図4に示す例でも、クリーニング処理が必要となる所定時間が5時間に設定されている。操作者は、アプリケーションソフト4を操作することにより、既に、書き込みデータおよび印刷データを作成している。また、図3に示された例と同様に、前回のクリーニング処理から4時間55分経過した時点でアプリケーションソフト4が操作され、ディスク発行命令が入力されている(ステップST101)。
【0054】
ディスク発行命令が入力され、アプリケーションソフト4によってディスク発行命令が発行されると、通信部44はクリーニング要否判定コマンド(cleaning)をディスクパブリッシャー3に送信する(ステップST102)。従来の媒体処理システムではアプリケーションソフト4が前処理時間算出部46を備えていないので、クリーニング要否判定コマンドの引数に前処理時間は渡されていない。
【0055】
ディスクパブリッシャー3がクリーニング要否判定コマンドを受信すると、判定部363は、計測部361が計測している経過時間が所定時間以上となっているか否かによって、クリーニング処理が必要か否かを判定する。図4に示す例では経過時間は4時間55分となっているので、経過時間は未だ所定時間(5時間)に達していない。従って、判定部363はクリーニング処理が不要であると判定する(ステップST103)。
【0056】
判定部363による判定が行われると、その判定結果は、クリーニング要否判定コマンドへの回答としてコンピューター2に送信される(ステップST104)。図4に示す例では、クリーニング処理が不要であると判定されているので、クリーニング要否判定コマンドの引数として、不要を意味する0が渡されている。
【0057】
次に、アプリケーションソフト4は、ディスク発行時間通知部47が算出した媒体発行時間をディスプレイ2aに表示する(ステップST105)。図4に示す例においても、書き込みデータのデータ量や印刷データのデータ量などから媒体発行時間は12分と算出されている。より詳細には、印刷処理が開始されるまでの前処理時間が10分、印刷処理が開始してからディスク10が発行されるまでの後処理時間が2分と算出されており、この結果、媒体発行時間が12分となっている。
【0058】
ここで、クリーニング要否の回答を受信したアプリケーションソフト4は、データ書き込み命令をディスクパブリッシャー3に送信する(ステップST106)。
【0059】
ディスクパブリッシャー3がデータ書き込み命令を受信すると、制御部36は、ディスクドライブ32を駆動制御してディスク10へのデータの書き込み処理を行う(ステップST107)。その後、書き込み処理が完了すると、データ書き込み済みのディスク10をレーベルプリンター33に搬送した後に、書き込み処理完了の通知をコンピューター2に送信する(ステップST108)。図4に示す例では、書き込み処理完了の通知は、前回のクリーニング処理から5時間5分経過した時点となっている。
【0060】
次に、書き込み処理完了の通知を受信したアプリケーションソフト4は、ディスクパブリッシャー3にレーベル印刷命令を送信する(ステップST109)。
【0061】
ここで、ディスクパブリッシャー3がレーベル印刷命令を受信すると、制御部36は印刷処理を開始しようとする。しかし、レーベル印刷命令を受信した時点における経過時間が5時間5分となっている。すなわち、前回クリーニング処理を行ってからの経過時間が、クリーニング処理が必要となる予め設定した所定時間(5時間)以上となっているので、クリーニング制御部364は、割り込み処理として、レーベル印刷を施す印刷処理に、先立ってクリーニング処理を開始する(ステップST110)。クリーニング処理には2分間を要する。
【0062】
クリーニング処理が終了すると、印刷処理が行われる(ステップST111)。その後、印刷処理が完了すると、発行済みのディスク10をディスク排出用スタッカー34へ搬送し、印刷処理完了の通知をコンピューター2に送信する(ステップST112)。図4に示す例では、印刷処理完了の通知は、前回のクリーニング処理から5時間9分経過した時点となっている。
【0063】
アプリケーションソフト4が印刷処理完了の通知を受信すると、ディスク発行通知部45は、ディスク10が発行されたことをメッセージによりディスプレイ2aに表示して、操作者に通知する(ステップST113)。
【0064】
図4に示す例では、印刷処理完了の通知は、前回のクリーニング処理から5時間9分経過した時点となっており、ディスク10が発行されたことは、ディスク発行命令が発行された時点から14分経過した時点で操作者に通知されている。すなわち、ステップST105においてディスク発行時間通知部47がディスプレイ2aに表示した媒体発行時間よりも、クリーニング処理に要した2分間分だけ実際の媒体発行時間が長くなっている。
【0065】
このように、従来の媒体処理システムでは、ディスク発行命令が発行されてから印刷処理が開始される前までの間に前回のクリーニング処理からの経過時間が所定時間に達してしまう場合には、ステップST110におけるクリーニング処理にかかる時間分だけディスクの発行時間が遅延していた。これに対して、上記の実施の形態の媒体処理システム1によれば、図3に示すように、アプリケーションソフト4にディスク発行命令が入力されると、アプリケーションソフト4が印刷処理を開始するまでにかかる前処理時間を算出してディスクパブリッシャー3に送信し、前処理時間を受信したディスクパブリッシャー3では、経過時間と前処理時間を加算した累積時間が所定時間以上と判定した場合には、クリーニング処理を開始する。従って、ディスク発行命令が発行されてから印刷処理が開始される前までの間に前回のクリーニング処理からの経過時間が所定時間に達してしまう場合には、書き込み処理(ステップST18)と並行してクリーニング処理(ステップST16)が行われる。この結果、クリーニング処理が書き込み処理の終了後に割り込み処理として行われ、印刷処理の開始の遅延が回避されるので、クリーニング処理にかかる時間分だけ媒体の発行時間が遅延してしまうことを防止できる。
【0066】
また、上記の実施の形態の媒体処理システム1によれば、クリーニング処理にかかる時間分だけ媒体の発行時間が遅延してしまうことを防止できるので、ディスク発行命令に基づいて算出した媒体発行時間と、実際に媒体が発行されるまでにかかる時間との誤差が少ない。従って、ディスク発行時間通知部47は、媒体発行時間を高い精度で操作者に通知できる。
【0067】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態では、アプリケーションソフト4が、ディスク発行通知部45、前処理時間算出部46、通信部44およびディスク発行時間通知部47を備えているが、コンピューター2においてディスクパブリッシャー3を駆動制御するためのドライバーソフト5を動作させるとともに、このドライバーソフト5に、これら、ディスク発行通知部45、前処理時間算出部46、通信部(第2送信部)44およびディスク発行時間通知部47を備えるように構成してもよい。この場合には、図5に示すように、アプリケーションソフト4は、書き込みデータ作成部41、印刷データ作成部42、ディスク発行命令発行部43、および、アプリケーションソフト4とドライバーソフトの間で通信を行うための通信部(第1通信部)48を備えるものとする。また、アプリケーションソフト4の通信部48は、アプリケーションソフト4が発行したディスク発行命令をドライバーソフトに送信するものとし、ドライバーソフト5の前処理時間算出部46は、アプリケーションソフト4からのディスク発行命令を受信すると、このディスク発行命令に基づいて前処理時間を算出するものとすればよい。
【0068】
また、上記の実施の形態では、コンピューター2の側に前処理時間算出部46を備えているが、前処理時間算出部46をディスクパブリッシャー3の制御部36に備えることもできる。この場合には、ディスクパブリッシャー3の制御部36がコンピューター2からデータ書き込み命令を受信すると、前処理時間算出部46がデータ書き込み命令に含まれている書き込みデータのデータ量などに基づいて前処理時間を算出するとともに、算出した前処理時間を判定部363に送信するように構成すればよい。
【0069】
また、上記の実施の形態では、ディスクパブリッシャー3の側に、計測部361、累積時間算出部362、判定部363を備えているが、これらをコンピューター2の側に備えるように構成し、コンピューター2の側からクリーニング機構332を駆動制御してもよい。
【0070】
次に、上記の例は、コンピューター2とディスクパブリッシャー3とからなる媒体処理システム1に本発明を適用した例であるが、スタンドアロンで使用されるディスクパブリッシャー3に本発明を適用することもできる。
【0071】
例えば、筐体30に設けられているスイッチを操作することにより、筐体30内に設けられた記憶部に予め記憶保持されている書き込みデータおよび印刷データを用いてディスク10へのデータの書き込み処理およびレーベルの印刷処理を行うディスクパブリッシャー3に本発明を適用する場合には、スイッチの操作によりディスク発行命令が入力されるものとして、ディスクパブリッシャー3の制御部36に、計測部361、前処理時間算出部46、累積時間算出部362、判定部363、クリーニング制御部364を備えるものとする。また、前処理時間算出部46は、ディスク発行命令が入力されると、記憶部に記憶保持されている書き込みデータなどに基づいて印刷処理が開始されるまでの前処理時間を算出し、算出した前処理時間を累積時間算出部362に送信するものとする。また、累積時間算出部362は、算出した累積時間を判定部363に送信するものとする。そして、判定部363は、前処理時間を受信するとクリーニング処理が必要であるか否かを判定し、クリーニング制御部364は、判定部363の判定結果に基づいてクリーニング処理を開始させるものとする。
【0072】
このようにしても、ディスク発行命令が発行されてから印刷処理が開始される前までの間に前回のクリーニング処理からの経過時間が所定時間に達してしまう場合には、書き込み処理と並行してクリーニング処理が行われる。この結果、クリーニング処理が書き込み処理の終了後に割り込み処理として行われ、印刷処理の開始の遅延が回避されるので、クリーニング処理にかかる時間分だけ媒体の発行時間が遅延してしまうことを防止できる。
【0073】
また、上記の例では、ディスクパブリッシャー3を用いて媒体を発行しているが、印刷動作を伴わない第1処理と、印刷動作を伴う第2処理とをこの順で行って媒体を発行する媒体処理装置であれば、本発明を適用することができる。例えば、媒体処理装置が、第1処理として、スキャナーによって紙媒体の画像データを読み込む読み込み処理を行い、第2処理として読み込んだ画像データに基づいた印刷を紙媒体などに施す印刷処理を行う複写装置に本発明と適用することができる。
【0074】
本発明を複写装置に適用する場合には、複写装置に設けられたスイッチの操作により媒体発行命令が入力されるものとし、複写装置の制御部に、計測部361、前処理時間算出部46、累積時間算出部362、判定部363、クリーニング制御部364を備えるものとする。また、前処理時間算出部46は、媒体発行命令が入力されると、スキャナーによって読み込まれる紙媒体のサイズや枚数に基づいて第2処理が開始されるまでの前処理時間を算出し、算出した前処理時間を累積時間算出部362に送信するものとする。また累積時間算出部362は、算出した累積時間を判定部363に送信するものとする。そして、判定部363は、前処理時間を受信するとクリーニング処理が必要であるか否かを判定し、クリーニング制御部364は、判定部363の判定結果に基づいてクリーニング処理を開始させるものとする。
【0075】
このようにしても、媒体発行命令が入力されてから印刷処理が開始される前までの間に前回のクリーニング処理からの経過時間が所定時間に達してしまう場合には、読み込み処理と並行してクリーニング処理が行われる。この結果、クリーニング処理が読み込み処理の終了後に割り込み処理として行われ、印刷処理の開始の遅延が回避されるので、クリーニング処理にかかる時間分だけ媒体の発行時間が遅延してしまうことを防止できる。
【符号の説明】
【0076】
1・媒体処理システム、2・コンピューター、2a・ディスプレイ、3・ディスクパブリッシャー(媒体処理装置)、4・アプリケーションソフト、5・ドライバーソフト、10・ディスク(媒体)、30・筐体、31・ディスク供給用スタッカー、32・ディスクドライブ(書き込み機構)、33・レーベルプリンター(印刷機構)、34・ディスク排出用スタッカー、35・ディスク搬送機構、36・制御部、41・書き込みデータ作成部、42・印刷データ作成部、43・ディスク発行命令発行部(媒体発行命令発行部)、44・通信部(送信部、第2送信部)、45・ディスク発行通知部(媒体発行通知部)、46・前処理時間算出部、47・ディスク発行時間通知部(媒体発行時間通知部)、48・通信部(第1送信部)、331・印刷ヘッド、332・クリーニング機構、361・計測部、362・累積時間算出部、363・判定部、364・クリーニング制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体発行命令が入力されると、印刷ヘッドによって媒体に印刷を施す印刷動作を伴わない第1処理と、前記印刷動作を伴う第2処理とをこの順番で行って前記媒体を発行する媒体処理装置の駆動制御方法において、
前記媒体発行命令が入力されると、前記媒体発行命令に基づいて前記第2処理を開始するまでにかかる前処理時間を算出し、
前記印刷ヘッドに対して前回クリーニング処理が行われてからの経過時間に前記前処理時間を加えた累積時間を算出し、
前記累積時間が、新たなクリーニング処理が必要となる予め設定した前記所定時間以上か否かを判定し、
前記累積時間が前記所定時間以上の場合には、前記クリーニング処理を開始することを特徴とする媒体処理装置の駆動制御方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記媒体発行命令が入力されると、前記媒体発行命令に基づいて前記媒体が発行されるまでにかかる媒体発行時間を算出して操作者に通知することを特徴とする媒体処理装置の駆動制御方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1処理は、前記媒体にデータを書き込む書き込み処理を含み、
前記第2処理は、前記媒体にレーベル印刷を施す印刷処理を含むことを特徴とする媒体処理装置の駆動制御方法。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記第1処理は、スキャナーによって画像データを読み込む読み込み処理を含み、
前記第2処理は、前記画像データに基づいた印刷を前記媒体に施す印刷処理を含むことを特徴とする媒体処理装置の駆動制御方法。
【請求項5】
請求項3において、
前記媒体処理装置に通信可能に接続されたコンピューターに前記媒体発行指令が入力され、
前記コンピューターにおいて、前記前処理時間を算出し、
前記媒体発行指令および前記前処理時間を前記コンピューターから前記媒体処理装置に供給し、
前記媒体処理装置において、前記累積時間を算出して前記累積時間が前記所定時間以上か否かを判定することを特徴とする媒体処理装置の駆動制御方法。
【請求項6】
媒体に対してデータを書き込む書き込み処理を行う書き込み機構、および、印刷ヘッドによって媒体に対するレーベル印刷を施す印刷処理を行なう印刷機構を備えており、媒体発行命令を受信すると前記書き込み処理および前記印刷処理をこの順番で行なって前記媒体を発行する媒体処理装置と、前記媒体処理装置に通信可能に接続されているコンピューターと、前記コンピューターで動作しており、前記媒体発行命令が入力されるアプリケーションソフトとを有する媒体処理システムにおいて、
前記アプリケーションソフトは、
前記媒体発行命令が入力されたときに、前記印刷処理が開始されるまでの前処理時間を算出する前処理時間算出部と、
前処理時間が算出されると、前記媒体発行命令および前記前処理時間を前記媒体処理装置に送信する送信部とを備えており、
前記媒体処理装置は、
印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理を行なうためのクリーニング機構と、
前記クリーニング処理が行われる毎に前記クリーニング処理が終了してからの経過時間を計測している計測部と、
前記前処理時間を受信すると、前記経過時間に前記前処理時間を加えた累積時間を算出する累積時間算出部と、
前記累積時間が算出されると、前記累積時間が、前記クリーニング処理が必要となる予め設定した所定時間以上か否かを判定する判定部と、
前記クリーニング機構を駆動制御するためのクリーニング制御部と、を備えており、
前記クリーニング制御部は、前記累積時間が前記所定時間以上であると判定されるとクリーニング処理を開始することを特徴とする媒体処理システム。
【請求項7】
請求項6において、
前記アプリケーションソフトは、
前記媒体発行命令が入力されると、前記媒体が発行されるまでにかかる媒体発行時間を算出して操作者に通知する媒体発行時間通知部を備えていることを特徴とする媒体処理システム。
【請求項8】
媒体に対してデータを書き込む書き込み処理を行う書き込み機構、および、印刷ヘッドによって媒体に対するレーベル印刷を施す印刷処理を行なう印刷機構を備えており、媒体発行命令を受信すると前記書き込み処理および前記印刷処理をこの順番で行なって前記媒体を発行する媒体処理装置と、前記媒体処理装置に通信可能に接続されているコンピューターと、前記コンピューターで動作しており、前記媒体発行命令が入力されるアプリケーションソフトと、前記コンピューターで動作しており、前記媒体発行命令に基づいて前記媒体処理装置を駆動制御するためのドライバーソフトと、を有する媒体処理システムにおいて、
前記アプリケーションソフトは、
前記媒体発行命令が入力されると、前記媒体発行命令を前記ドライバーソフトに送信する第1送信部を備えており、
前記ドライバーソフトは、
前記媒体発行命令を受信すると、前記媒体発行命令に基づいて前記印刷処理が開始されるまでの前処理時間を算出する前処理時間算出部と、
前処理時間が算出されると、前記媒体発行命令および前記前処理時間を前記媒体処理装置に送信する第2送信部とを備えており、
前記媒体処理装置は、
印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理を行なうためのクリーニング機構と、
前記クリーニング処理が行われる毎に前記クリーニング処理が終了してからの経過時間を計測している計測部と、
前記前処理時間を受信すると、前記経過時間に前記前処理時間を加えた累積時間を算出する累積時間算出部と、
前記累積時間が算出されると、前記累積時間が、前記クリーニング処理が必要となる予め設定した所定時間以上か否かを判定する判定部と、
前記クリーニング機構を駆動制御するためのクリーニング制御部と、を備えており、
前記クリーニング制御部は、前記累積時間が前記所定時間以上であると判定されるとクリーニング処理を開始することを特徴とする媒体処理システム。
【請求項9】
請求項8において、
前記ドライバーソフトは、
前記媒体発行命令を受信すると、前記媒体発行命令に基づいて前記媒体が発行されるまでにかかる媒体発行時間を算出して操作者に通知する媒体発行時間通知部を備えていることを特徴とする媒体処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−18705(P2012−18705A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153673(P2010−153673)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】