説明

媒体収納装置

【課題】ATM等に備えられるシート束収納装置を提供する。
【解決手段】シート束に押し付ける押圧板と、押圧板に整列しシート束からシートを個別に取り出すように構成されたピッカー24と、(i)ピボットと、(ii)押圧板に結合された付勢部と、(iii)弾性部材とを含むリンクアームと、弾性部材に結合されたアクチュエータとを備える。アクチュエータは、駆動されると弾性部材を動かしてピボット周りにリンクアームを回転させて、それによりシートがシート束から取り出された時の押圧板の移動に応じて弾性部材が弛むにつれて低減する弾性部材からの力を用いて押圧板によってシート束を圧縮するように動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体アイテムの収納装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体収納装置は、顧客から媒体アイテムを受け取るために使用される。一般的なタイプの媒体収納装置は、シート状の媒体アイテム(紙幣、小切手、チケット、郵便振替為替など)を受け取るシート状媒体の収納装置である。
【0003】
シート状媒体の収納装置は、ATM及びその他のセルフサービス端末(自動販売機、両替機など)で使用され、預け入れられたシートを識別し、法的有効性を確認する。
【0004】
いくつかのシート収納装置は、積載領域でシート束を受け取り、シート束から個々のシートを取得し、したがって各々のシートを識別し、個別に法的有効性を確認した後で法的有効性を確認したシートを収納装置内に保管することができる。これらの収納装置を本明細書では「シート束収納装置」と呼ぶ。シート束収納装置は、積載領域から取得領域へシート束を搬送でき、又は取得領域は積載領域に隣接していてもよい。
【0005】
大量のシート束を収容可能なシート束収納装置を提供することが望ましい。しかし、大量のシート束を取得領域まで搬送しなければならない時には、シート束内のシートが取得領域に到達するまでに広がる傾向がある。これによって、シートの取得の信頼性が低下する。
【0006】
さらに、少数のシート(1枚の紙幣及び/又は小切手)のみをシート束収納装置に挿入する顧客がいる一方で最大許容数のシート(例えば、50枚の媒体アイテム)をシート束収納装置に挿入する顧客がいる。シート束のサイズにかかわらず、適当な力をシート束上に提供できることが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、概して、改良型媒体収納装置のための方法、システム、及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の「発明の概要」と下記の「発明を実施するための形態」で開示する主題に加えて、この項の以下の各節では、必要に応じて、本出願の手続中に使用することがある代替の請求項表現をさらに基礎固めすることが意図されている。本出願が認可された場合、いくつかの態様は本出願の手続中に追加された請求項に関連する可能性があり、別の態様は本出願の手続中に削除された請求項に関連する可能性があり、また別の態様は請求項に記載しなかった主題に関連する可能性がある。さらに、以下に詳細に説明するさまざまな態様は、他に別段の記載がない限り、互いに独立している。1つの態様に対応するいかなる請求項も、請求項に明記しない限り、残りの態様のいかなる要素又は特徴も組み込んでいると解釈すべきではない。
【0009】
第1の態様によれば、シート束収納装置であって、シート束に押し付ける押圧板と、押圧板に整列し、シート束からシートを個別に取り出すように構成されたピッカーと、(i)ピボットと、(ii)押圧板に結合された付勢部と、(iii)弾性部材とを含むリンクアームと、弾性部材に結合され、作動されると弾性部材を圧縮してリンクアームを回動させて、それによりシートがピッカーによってシート束から取り出された時に押圧板が移動する際に押圧板によってシート束を圧縮するように動作可能なアクチュエータとを備えるシート束収納装置が提供される。
【0010】
押圧板は、その上面でシート束を受けることができる。あるいは、押圧板は下向きにシート束に押し付けることができる。すなわち、いくつかの実施形態では、押圧板はシート束の最も上のシートに作用でき、別の実施形態では、押圧板はシート束の最も下のシートに作用できる。
【0011】
押圧板がシート束の底部を押し上げる場合、ピッカーはシート束の上部から個別のシートを取得できる。押圧板がシート束の上部を押し下げる場合、ピッカーはシート束の底部から個別のシートを取得できる。
【0012】
押圧板がシート束の底部を押し上げる場合、弾性部材は、シートが取り出される際の弾性部材によって印加されるばね力の低減が取り出されたシートの重量にほぼ一致するように選択され、したがってシートが取り出される際に比較的一定の挟持力がシート束に掛かる。シート束から個別のシートを取り出す場合でも、シート束にほぼ一定の挟持力を提供することで、取得動作実行の信頼性が向上する。
【0013】
いくつかの実施形態では、弾性部材は、0.05N/mm〜1.00N/mmの範囲内の剛性kを有するように選択できる。弾性部材を紙幣の束、又は小切手と紙幣とが混じった束と併用する実施形態では、弾性部材は、0.07N/mm〜0.09N/mmの範囲内の剛性kを有するように選択できる。一実施形態では、剛性kは、約0.08N/mmであるように選択できる。
【0014】
本明細書で「シート束積載装置」という用語は、とりわけ、押圧板、リンクアーム、及びアクチュエータの組合せを示すために使用される。
【0015】
シート束積載装置は、搬送装置をさらに備えてもよい。搬送装置は、(i)シャーシと、(ii)シャーシに取り付けられた枢軸と、(iii)1つ又は複数のスキッドプレート、1つ又は複数の伸縮式無端ベルト、1つ又は複数のローラ、又はその他の任意の従来のシート駆動機構とを備えてもよい。押圧板は、枢軸に取り付けられて枢軸を中心に押圧板を回動させるハブを含んでもよい。付勢部も枢軸に取り付けられたハブを画定でき、押圧板と付勢部は枢軸により結合されている。
【0016】
ピッカーは、シート束を維持するように駆動されたシート束をそれに整列させる位置合わせ縁部と、位置合わせ縁部に隣接し、個別のシートを取得する時に前方に移動可能な取得面と、取得面の反対側にあって、位置合わせ縁部に隣接する遅れ面とを有してもよい。遅れ面は、個別のシートを取得する時には逆方向に移動できる。取得面及び/又は遅れ面は、ローラ、ベルト、ホイールなどによって画定されてもよい。
【0017】
ピボットは、リンクアーム枢軸に取り付けるハブを画定してもよい。ハブは、付勢部と反対側のリンクアーム端に配置してピボットがリンクアーム枢軸周りに回転する際の付勢部の変位を最大限にすることができる。
【0018】
リンクアーム枢軸は、搬送装置内の駆動ベルト又はローラを駆動する駆動軸として使用できる。
【0019】
リンクアームは、弾性部材に結合され、アクチュエータの一部に当接するように構成されたカムフォロワをさらに備えてもよい。
【0020】
アクチュエータは、その上に軸方向に取り付けられたカムを含む回転軸を備えてもよい。軸の回転によって、カムはカムフォロワに係合し、それによりリンクアームを回動させて押圧板に移動を提供する。カムは、一般に涙滴形状であってもよい。
【0021】
弾性部材は、コイルばね、板ばね、ガスばね、又はその他の任意の便利なばねを備えてもよい。
【0022】
リンクアームは、ヨークリンクアームを備えてもよい。ヨークリンクアームは、アクチュエータの回転軸の対向する側に配置され、各々がカムフォロワ(それぞれ上部カムフォロワと下部カムフォロワ)を含む1対の弾性部材(上部弾性部材と下部弾性部材)を含んでもよく、したがって、軸の回転と共に軸上のカムは偏向し、上部カムフォロワを弛め、次に、偏向して下部カムフォロワを弛めることができる。
【0023】
ヨークリンクアームの付勢部は、搬送装置に結合されていてもよい。搬送装置は、下部シートトランスポートの上側部分を含んでもよい。下部シートトランスポートの上側部分は、軸に取り付けられたローラ又はその他の任意の便利な駆動機構に掛かる1つ又は複数の伸縮式無端ベルトを備えてもよい。
【0024】
下部シートトランスポートの下側部分は、スキッドプレート、伸縮式無端ベルト、及び/又はローラのうち1つ以上を備えてもよい。
【0025】
下部シートトランスポートは、顧客にシートを提示するように動作可能である。シートは、シート束の一部として顧客によって挿入されていてもよく(すなわち、例えば、シートが無効である、認識されない、又は顧客が取引を取り消したいためにシートが顧客に返却されている)、又はシートは以前の取引の結果としてシート束収納装置内に保管されていてもよい(すなわち、収納装置はシートリサイクラとして動作できる)。
【0026】
下部カムフォロワが作動されると、ヨークリンクアームの付勢部は、下部シートトランスポートの上側部分を、顧客に提示するために搬送されているシート束上に押し付けることができる。
【0027】
収納装置は、各々がアクチュエータの回転軸に取り付けられた1対のヨークリンクアームを備えてもよい。アクチュエータの回転軸はその上に取り付けられた2つのカムを含んでもよく、各々のカムはヨークリンクアームのそれぞれの上の上部及び下部カムフォロワに整列してもよい。
【0028】
ヨークリンクアームは、(i)押圧板を上側に付勢して収納装置に挿入されているシート束に適当な挟持力を提供でき、又は(ii)下部シートトランスポートの上側部分を下側に付勢してシート束上に力を提供してシート束として顧客へのシートの搬送を可能にできるという利点を有する。
【0029】
収納装置は、個別のシートを認識し、法的有効性を確認するように構成された検証装置、ピッカーから検証装置へ個別のシートを搬送するように構成された内部搬送部、挿入され検証装置を通過したシートを一時的に保管するエスクロー、預け入れられたシートを保管する保管領域、通信回路、収納装置コントローラなどの収納装置の従来の特徴を有してもよい。
【0030】
シート束収納装置は、紙幣収納装置、小切手収納装置、小切手と紙幣の組合せ収納装置、金融証券収納装置(例えば、紙幣、小切手、郵便振替為替)などであってもよい。
【0031】
本発明のこの態様は、弾性部材(ばねなど)を用いて押圧板に力が付与されるという利点を有することが理解されよう。個別のシートが押圧板によって圧縮されているシート束から取り出されると押圧板が移動し、弾性部材はほぼ静止状態に戻り、これにより弾性部材によって押圧板に掛かっていたばね力が低減する。これによってシート束の底面を押し上げると、ばね力の低減はシート重量に一致し、したがってシート束のサイズにかかわらず、また個別のシートがシート束から取り出されている間であっても、ほぼ一定の挟持力をシート束に印加できる。
【0032】
第2の態様によれば、第1の態様のシート束収納装置を含むセルフサービス端末が提供される。
【0033】
セルフサービス端末は、現金自動預払機(ATM)、情報キオスク、金融サービスセンタ、紙幣払い出しキオスク、宝くじキオスク、郵便サービス機、又は小売業、ホテル、レンタカー、ゲーム、医療、及び航空業界などで使用されるチェックイン及び/又はチェックアウト端末であってもよい。
【0034】
第3の態様によれば、シート束収納装置のためのシート束積載装置であって、シート束に圧力を印加する押圧板と、(i)ピボットと、(ii)押圧板に結合された付勢部と、(iii)弾性部材とを含むリンクアームと、弾性部材に結合され、作動されると弾性部材を動かしてピボット周りにリンクアームを回転させて、それによりシートがシート束から取り出された時の押圧板の移動に応じて弾性部材が弛むにつれて低減する弾性部材からの力を用いて押圧板によってシート束を圧縮するように動作可能なアクチュエータとを備えるシート束積載装置が提供される。
【0035】
第4の態様によれば、収納装置内に挿入されたシート束に制御された挟持力を印加する方法であって、シート束を受け取るステップと、係合機構を作動して弾性部材を圧縮位置へ付勢するステップと、圧縮された弾性部材を用いてリンクアームを回動させてシート束に圧力を印加するステップと、シート束から個別のシートを取得するステップと、シート束からシートが取り出される際に弾性部材を収縮位置から伸張させてシート束に制御された力が確実に印加されるようにするステップとを含む方法が提供される。
【0036】
この方法は、係合機構を停止させて弾性部材を静止した(比較的圧縮されていない)位置に戻すステップをさらに含んでもよい。
【0037】
弾性部材は、静止位置で部分的に圧縮されていてもよいが、圧縮位置におけるほど圧縮されていてはならない。
【0038】
第5の態様によれば、シート束収納装置であって、その上面にシート束を受ける押圧板と、押圧板上のシート束からシートを個別に取り出すように構成されたピッカーと、(i)ピボットと、(ii)押圧板に結合された付勢部と、(iii)弾性部材とを含むリンクアームと、弾性部材に結合され、作動されるとピボット周りにリンクアームを移動させて押圧板を上方に移動させるように動作可能なアクチュエータであって、弾性部材がシートがピッカーによってシート束から取り出された時に押圧板が上昇するにつれて低減する上向き圧力を提供するように動作可能なアクチュエータとを備えるシート束収納装置が提供される。
【0039】
第6の態様によれば、収納装置内に挿入されたシート束に制御された挟持力を印加する方法であって、シート束を受け取るステップと、弾性部材を圧縮位置へ移動させるステップと、圧縮された弾性部材を用いてリンクアームを回動させてシート束に圧力を印加するステップと、シート束から個別のシートを取得するステップと、シート束からシートが取り出される際に弾性部材を収縮位置から伸張させてシート束から個別のシートが取得されるたびにシート束に低減されたばね力が印加されるが、シート束の重量が低減するために比較的一定の挟持力がシート束に確実に印加されるようにするステップとを含む方法が提供される。
【0040】
説明を分かりやすく簡潔にするために、上記の態様で提供された要素はそのすべての組合せを明示しているわけではない。それにもかかわらず、技術的に不可能でない限り、又はその逆の内容が明示されていない限り、1つの態様を指すコンシストリクローズ(consistory clause)は、それらのコンシストリクローズが関連する可能性があるすべての他の態様のオプションの特徴として準用されることを当業者であれば直接かつ明確に認識することができるであろう。
【0041】
上記及びその他の態様は、添付の図面を参照しながら以下の具体的な説明を読むことで明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態によるシート束収納装置の簡略化した概略図である。
【図2】図1の収納装置の部分(シート束積載装置)を上から見た斜視図として詳細に示す図である。
【図3】図2のシート束積載装置を下から見た斜視図として示す図である。
【図4】図2のシート束積載装置を側面図として示す図である。
【図5】図1の収納装置の部分(シート束積載装置、上部シート搬送部、及び下部シート搬送部)を押圧板が上部シート搬送部へ向かって付勢される上から見た斜視図として示す図である。
【図6】図5の部分を下から見た斜視図として示す図である。
【図7】図5の部分を側面図として示す図である。
【図8】図5の収納装置の部分を押圧板が下部シート搬送部へ向かって付勢される上から見た斜視図として示す図である。
【図9】図8の部分を下から見た斜視図として示す図である。
【図10】図8の部分を側面図として示す図である。
【図11】シート束を取得位置で保持する図5の部分を示す簡略化した図である。
【図12】シート束を顧客返却ポイント付近で保持する図5の部分を示す簡略化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の一実施形態によるシート束収納装置10の簡略化した概略図である図1を参照する。収納装置10は、顧客から紙幣及び/又は小切手の束を受け取るように動作可能である。
【0044】
収納装置10は、さまざまな部品が取り付けられたシャーシ12を含む。収納装置10は、内部にシート束16を預け入れられるシート束預け入れスロット14と、シート束(又はスタック)16から個別のシートを取り除くシート束積載装置22に整列したピッカー24と、シート検証装置26と、顧客が取引を完了したいことを確認するまで法的有効性を確認したシートを一時的に保持するエスクロー28と、保管コンパートメント30と、収納装置10を内部に設置可能なセルフサービス端末(図示せず)と通信する通信回路基板32と、収納装置10の動作を制御する基板搭載コントローラ34とをさらに備える。
【0045】
収納装置10は、その一部のみを本明細書で説明する複数のシート搬送部を含む。上部シート搬送部40は、シート束積載装置22の上方、ピッカー24に隣接して位置する。下部シート搬送部42は、シート束積載装置22の下方、シート束預け入れスロット14付近に位置する。
【0046】
シート束積載装置22は、預け入れられた紙幣をシート束預け入れスロット14からピッカー14へ搬送するために使用される。
【0047】
収納装置10に挿入されているシートがたどる2つの異なったルートがある。第1のルートは矢印46で示され、シート束16から取得され、ピッカー24へ搬送され、検証装置26を通過して識別されて法的有効性が確認され、エスクロー28内に配置され、エスクロー28から保管コンパートメント30へ搬送されるシートを含む。
【0048】
第2のルートは矢印48で示され、シート束16から取得され、ピッカー24へ搬送され、検証装置26を通過して識別されて法的有効性が確認され、エスクロー28内に配置され、エスクロー28から下部シートトランスポート42により顧客に返却されるシートを含む。
【0049】
当技術分野で周知のように、シートが保管されるか(すなわち、この実施形態では第1のルート46をたどる)又は顧客に返却される(すなわち、この実施形態では第2のルート48をたどる)かは、いくつかの要因、例えば、シートが認識されたか、シートが法的有効性を確認されたか、顧客が取引を取り消したか又は確認したかなどによって異なる。
【0050】
シート束積載装置22の詳細図である図2〜図4を参照する。
【0051】
シート束積載装置22は、1対のリンクアーム50と、押圧板52と、アクチュエータ54とを備える。図を見やすくするために、いくつかの図面では参照番号を一部省略している。
【0052】
各々のリンクアーム50は、リンクアーム枢軸62に取り付けられたハブの形態のピボット60を画定する。リンクアーム枢軸62は、以下に説明するように駆動軸として動作する。
【0053】
各々のリンクアームは、また、その間にギャップを介して互いに向き合って取り付けられた上部弾性部材66と、下部弾性部材68とを含む。弾性部材66、68は、コイルばねの形態である。
【0054】
各々のリンクアーム50は、アクチュエータ54がそこから突き出る中央領域70(上部及び下部コイルばね66、68の間のギャップ)を画定する。各々のコイルばね66、68は、それぞれリンクアーム50の固定端72、74に取り付けられ、それぞれ中央領域70の(対向する固定端72、74の間の)中心付近のカムフォロワ76、78に結合されている。したがって、上部コイルばね66は上部カムフォロワ76に結合され、下部コイルばね68は下部カムフォロワ78に結合されている。
【0055】
アクチュエータ54は、2つのカム82、84(各リンクアーム50に1つのカム82、84)が取り付けられた回転軸80を備える。各カム(例えば、カム82)は、関連付けられたリンクアーム50のそれぞれのカムフォロワ76、78に整列する。
【0056】
カム82、84は、一般に涙滴形状をしており、軸80に位置合わせされているため、軸80が回転すると、カム82、84の両方が上部カムフォロワ76に係合して上部コイルばね66を圧縮し、次に、上部カムフォロワ76から離脱して上部コイルばね66は静止状態に弛む。軸80のさらなる回転によって、カム82、84の両方が下部カムフォロワ78に係合して下部コイルばね68を圧縮し、次に、下部カムフォロワ78から離脱して下部コイルばね68は静止状態に弛む。
【0057】
シート束積載装置22は、また、駆動軸62によって動力を供給される搬送装置90を含む。搬送装置90は、上部シート搬送部40と下部シート搬送部42の両方と協働する。
【0058】
搬送装置90は、軸及びホイール(図では個別に標記されていない)を含むシャーシ91と、シャーシ91に取り付けられた1対のベルト92と、同様にシャーシ91に取り付けられた単一の肉薄のベルト94と、リンクアーム50及びシャーシ91がその周りを回動する枢軸95とを備える。
【0059】
3つのベルト92、94は、すべて押圧板52を通して突き出し(図2に最もよく示されている)、シート束16をピッカー24へ搬送する。1対のベルト92は、また、押圧板52の下にも延在し(図3に最もよく示されている)、下部シート搬送部42と協働する搬送部を提供する。
【0060】
各リンクアーム50は、さらに付勢部96によって押圧板52に回動可能に結合されている。付勢部96は、搬送装置90の枢軸95に取り付けられたハブ97を画定する。押圧板52も枢軸95に取り付けられている。付勢部96が上方に移動すると、搬送装置90及び押圧板52は上方に移動する。付勢部96が下方に移動すると、搬送装置90及び押圧板52は下方に移動する。
【0061】
以下に詳述するように、アクチュエータ軸80の回転を用いて付勢部96を上方に回動させて押圧板52及び搬送装置90を上昇させることができる。アクチュエータ軸80のさらなる回転を用いて押圧板52及び搬送装置90を下降させることができる。
【0062】
フラップ98がシート束預け入れスロット14近くの押圧板52の一端に結合される。フラップ98によってシート束16が挿入されるとシート返却経路(ルート48)の上方を搬送されるが、1つ又は複数のシートを顧客に返却しなければならない場合には、フラップ98は、また、シート束預け入れスロット14へ搬送されるシート束によって偏向できる。
【0063】
シート束積載装置22、上部シート搬送部40、及び下部シート搬送部42の詳細図である図5〜図12を参照する。ここでも、図面では参照番号を一部省略している。
【0064】
図5〜図7は、シート束16が収納装置10に挿入される時に使用される上側位置に駆動されるシート束積載装置22を示す。図8〜図10は、シート束が顧客に返却される時に使用される下側位置に駆動されるシート束積載装置22を示す。
【0065】
図5〜図7を参照すると、上部シート搬送部40は、挿入されたシート束16をピッカー24の方へ移動させる1対の搬送ベルト100を備える。ピッカー24は、シート束16から一番上のシートを取得する高摩擦面を有する取得ベルト102を含む。
【0066】
図5〜図7には示していないが、ピッカー24は、また、複数のシートを取得する可能性を低減するために取得ベルト102とは反対方向に動く遅れベルト104(図11及び図12)も含む。ピッカー24は、また、シート束16が取得動作前に(またオプションとして取得動作中に)シート束16が押し付けられる位置合わせ縁部106(図11及び図12)も含む。そのような遅れベルト104は当業者には周知である。
【0067】
下部シート搬送部42は、搬送装置90内で1対のベルト92と協働する1対のベルト110を備える。
【0068】
コントローラ34は、収納装置10内の搬送部をすべて作動させ、アクチュエータ軸80を回転させ、ピッカー24と収納装置10のその他すべての電気及び電気機械動作を作動させる働きをする。
【0069】
シート束の挿入
図5〜図7及び図11に示すように、シート束16(紙幣など)がシート束預け入れスロット14に挿入されると、コントローラ34がこれを検出し、搬送装置90及び上部シート搬送部40を作動させてシート束16を収納装置10内に引き込む。コントローラ34は、またアクチュエータ54を作動させ、カム82、84が最大変位を上部カムフォロワ76に付与するまでアクチュエータ軸80を回転させる。この位置で、下部カムフォロワ78は変位しない。
【0070】
上部カムフォロワ76の変位によって、両方の上部コイルばね66が圧縮される。次に、これによって、両方のリンクアーム50がピボット60周りに回動し、各々の付勢部96が上昇する。付勢部96が上昇すると、押圧板52も上昇する。これは、シート束16を圧縮する効果があり、これによって、搬送中にシート束16内の紙幣が広がらない。押圧板52は付勢部96に回動可能に結合されているため、押圧板52が上昇する際に押圧板52はシート束16に平行な状態を保つ。
【0071】
シート束16がピッカー24に到達すると、ピッカー24は紙幣を一度に1枚ずつ取り出す。紙幣が取り出されるたびに押圧板52の圧力はわずかに上昇する。これによって、上部コイルばね66は伸張し(すなわち、弛み)、これによって、上部コイルばね66がシート束16内の残りの紙幣に印加する圧力が低減する。図11は、ピッカー24にあるシート束16を示す。図7は、上側搬送部40に付勢された押圧板52を示す。
【0072】
シート束16内のすべての紙幣が取得されると、コントローラ34はカム82、84が上部カムフォロワ76を変位させるのを停止するまでアクチュエータ軸80を回転させることでアクチュエータ54を停止させる。これによって、リンクアーム50が上部及び下部コイルばね66、68によって等しく付勢されるため、押圧板52は通常位置に戻る。
【0073】
なお、図を見やすくするために、図11及び図12でリンクアーム50の一方は描かれていない。
【0074】
顧客へのシート束の返却
収納装置10が1つ又は複数のシートを顧客に返却する場合、図8〜図10及び図12に示すように、コントローラ34はシート束積載装置22を作動させる。コントローラ34は、収納装置10内の搬送部(詳細に図示せず)を作動させ、シート束16を下部搬送部42の方へ搬送する。
【0075】
コントローラ34は、またアクチュエータ54を作動させ、カム82、84が最大変位を下部カムフォロワ78に付与するまでアクチュエータ軸80を回転させる。この位置で、上部カムフォロワ76は変位しない。
【0076】
下部カムフォロワ78の変位によって、両方の下部コイルばね68が圧縮される。次に、これによって、両方のリンクアーム50がピボット60周りに回動し、各々の付勢部96が下降する。付勢部96が下降すると、押圧板52も下降する(図10に最もよく示されている)。これは、(i)搬送装置90上の1対のベルト92と、(ii)下部搬送部42上の1対のベルト110との間のシート束16を圧縮する効果がある。これによって、シート束預け入れスロット14への搬送中にシート束16内の紙幣が広がらない。シート束16は、シート束預け入れスロット14に接近するため、シート束はフラップ98を上方へ偏向させ、シート束預け入れスロット14から部分的に露出して顧客が取り出せるようにする。
【0077】
シート束16が顧客によって取り出されると、コントローラ34はカム82、84が下部カムフォロワ78を変位させるのを停止するまでアクチュエータ軸80を回転させることでアクチュエータ54を停止させる。これによって、リンクアーム50が上部及び下部コイルばね66、68によって等しく付勢されるため、押圧板52は通常位置に戻る。
【0078】
なお、この実施形態は、シート束を搬送し、シートを個別に取り出す間に押圧板がシート束のサイズに応じて自動的にシート束に適当な圧力を印加するという利点を有する。上記実施形態では、ヨークリンクアーム(すなわち、1対のばねを取り付けたリンクアーム)が使用されるため、同一の機構を用いてシートを収納装置内に引き込みシートを収納装置から搬出することができる。
【0079】
本発明の範囲内で上記実施形態にさまざまな変更を加えることができる。例えば、別の実施形態では、板ばねなどの異なる弾性部材を使用できる。
【0080】
別の実施形態では、単一のリンクアーム、又は3つ以上のリンクアームを使用できる。別の実施形態では、各々のリンクアームは1対の対向する弾性部材ではなく単一の弾性部材を含んでもよい。
【0081】
別の実施形態では、弾性部材を圧縮させる代わりに伸張させてリンクアームを回動させてもよい。
【0082】
別の実施形態では、アクチュエータは、軸とカムの代わりにリンク機構を備えてもよい。
【0083】
別の実施形態では、上記と異なる搬送部分を使用してもよい。搬送部は上記と異なるシート駆動機構を使用してもよい。
【0084】
本明細書に記載した方法ステップは、適宜、任意の好適な順序で、又は同時に実行してもよい。
【0085】
本明細書では、「備える」、「含む」、「組み込む」及び「有する」という用語は、限定されたリストではなく、1つ又は複数の要素又はステップの拡張可能なリストを記載するために使用される。そのような用語が使用される時には、リスト内に記載した要素又はステップはリストに追加できる他の要素又はステップを除外するものではない。
【0086】
文脈によって別の意味になる場合を除き、「ある」という用語はそれに続く少なくとも1つの要素、整数、ステップ、特徴、動作、又は構成要素を示すために使用されるが、追加の要素、整数、ステップ、特徴、動作、又は構成要素を除外するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート束に押し付ける押圧板と、
押圧板に整列し、シート束からシートを個別に取り出すように構成されたピッカーと、
(i)ピボットと、(ii)押圧板に結合された付勢部と、(iii)弾性部材とを含むリンクアームと、
弾性部材に結合され、駆動されると前記弾性部材を動かして前記ピボット周りに前記リンクアームを回転させて、シートがシート束から取り出された時の前記押圧板の移動に応じて前記弾性部材が弛むにつれて低減する弾性部材からの力を用いて前記押圧板によって前記シート束を圧縮するように動作可能なアクチュエータと、
を備えるシート束収納装置。
【請求項2】
前記押圧板が、その上面でシート束を受ける、請求項1に記載のシート束収納装置。
【請求項3】
前記ピッカーが、前記シート束の上部から個別のシートを取得する、請求項1に記載のシート束収納装置。
【請求項4】
前記シート束積載装置が、シート搬送装置をさらに備える、請求項1に記載のシート束収納装置。
【請求項5】
前記シート搬送装置が、シャーシと、前記シャーシに取り付けられた枢軸とを有し、付勢部と押圧板が前記枢軸により相互に結合される、請求項4に記載のシート束収納装置。
【請求項6】
前記ピッカーが、位置合わせ縁部と、個別のシートを取得する時に前方に移動可能な取得面と、遅れ面とを有する、請求項1に記載のシート束収納装置。
【請求項7】
前記ピボットが、ハブを含み、付勢部と反対側の前記リンクアーム端に配置される、請求項1に記載のシート束収納装置。
【請求項8】
前記リンクアームが、前記弾性部材に結合され、前記アクチュエータの一部に当接するように構成されたカムフォロワをさらに備える、請求項1に記載のシート束収納装置。
【請求項9】
前記アクチュエータは、その上に軸方向に取り付けられた少なくとも1つのカムを含む回転軸を備える、請求項1に記載のシート束収納装置。
【請求項10】
前記アクチュエータが、前記回転軸に軸方向に取り付けられた2つのカムを備える、請求項9に記載のシート束収納装置。
【請求項11】
前記弾性部材がコイルばねを備える、請求項1に記載のシート束収納装置。
【請求項12】
前記リンクアームが、前記回転軸の対向する側に配置された1対の弾性部材を含むヨークリンクアームを備え、各弾性部材がカムフォロワを含み、したがって前記回転軸が回転すると前記回転軸上の前記カムが偏向し、次に、各カムフォロワを順番に弛ませる、請求項9に記載のシート束収納装置。
【請求項13】
前記ヨークリンクアームの付勢部が、また、顧客にシートを提示するように動作可能な下部シートトランスポートの上側部分に結合される、請求項12に記載のシート束収納装置。
【請求項14】
請求項1に記載のシート束収納装置を含むセルフサービス端末装置。
【請求項15】
収納装置内に挿入されたシート束に制御された挟持力を印加する方法であって、
シート束を受け取るステップと、
弾性部材を圧縮位置へ移動させるステップと、
前記圧縮された弾性部材を用いてリンクアームを回動させて前記シート束に圧力を印加するステップと、
前記シート束から個別のシートを取得するステップと、
前記シート束からシートが取り出される際に、前記弾性部材を前記収縮位置から伸張させて前記シート束から個別のシートが取り出されるたびに前記シート束に低減されたばね力が印加されるが、前記シート束の重量が低減するために比較的一定の挟持力が前記シート束に確実に印加されるようにするステップと、
の各ステップを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−17210(P2012−17210A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−150584(P2011−150584)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(391007161)エヌ・シー・アール・コーポレイション (85)
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
【Fターム(参考)】