説明

媒体搬送機構及び媒体搬送方法

【課題】作業性を低下させることなく、搬送される媒体の傾きを調整することができる媒体搬送機構、プリンタ及び媒体搬送方法を提供する。
【解決手段】搬送方向と直交する同一直線上に位置する少なくとも2つの位置決めピン13と、位置決めピン13の少なくとも1つに当接している媒体50を、位置決めピン13の全てに当接するまで、搬送方向に搬送し続ける送りローラー12とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の方向に媒体を搬送するための媒体搬送機構及び媒体搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体を所定の方向に搬送する機構を備えた装置がいくつか知られている。例えば特許文献1には、記録用紙を搬送方向に搬送する搬送部を備えたインクジェット式記録装置が記載されている。
【0003】
図6は、特許文献1に記載されている従来のインクジェット式記録装置の構造を模式的に示す図である。図6に示すインクジェット式記録装置は、記録用紙150を搬送方向に搬送する搬送部210と、搬送部210により搬送された記録用紙150に向かってインクを吐出する記録ヘッド232と、表面に負圧を形成して搬送部210から送り込まれた記録用紙150を吸引する機能を有して、記録ヘッド232に対向する位置において記録用紙150を位置決めする吸引プラテン280とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−28917号公報(2009年2月12日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術において、記録用紙を搬送する際には、搬送方向に対して記録用紙が水平方向に傾いてしまう場合がある。特許文献1には、搬送された記録用紙の水平方向の傾きを微調整し、正しく位置決めする方法が記載されていない。そのため、傾いた状態の記録用紙に印刷されてしまうおそれがあり、この場合には画質が低下したり、印刷された記録用紙が無駄になったりするという問題がある。また、このような記録用紙の傾きを作業者の手作業によって微調整する場合には、作業性が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した従来技術が有する問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、作業性を低下させることなく、搬送される媒体の傾きを調整することができる媒体搬送機構及び媒体搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る媒体搬送機構は、搬送方向と直交する同一直線上に位置する少なくとも2つの当接部と、上記当接部の少なくとも1つに当接している媒体を、上記当接部の全てに当接するまで、上記搬送方向に搬送し続ける搬送手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る媒体搬送方法は、搬送方向と直交する同一直線上に位置する少なくとも2つの当接部のうちの少なくとも1つに当接している媒体を、当該当接部の全てに当接するまで、当該搬送方向に搬送し続ける傾き調整工程を含んでいることを特徴とする。
【0009】
上記の構成により、媒体は、搬送方向に対して水平面内で傾いた状態で搬送された場合には、いずれかの当接部に当接し、搬送方向への移動を停止する。このような、当接部の少なくとも1つに当接している媒体は、搬送方向に搬送され続けるため、搬送させようとする力と、この力に対抗する、当接部からの力とを同時に受ける。そのため、媒体は、全ての当接部に当接されるまで当接部を支点にして水平方向に回動する。ここで、当接部の全てが搬送方向と直交する同一直線上に位置するため、これらの当接部に当接された媒体は、搬送方向に対する水平面内の傾きが調整されている。
【0010】
したがって、上記の構成であれば、人の手を煩わせることなく、媒体の傾きを調整することができる。そのため、作業性を低下させることなく、搬送される媒体の傾きを調整することができる媒体搬送機構、プリンタ及び媒体搬送方法を提供することができる。
【0011】
また、本発明に係る媒体搬送機構では、上記媒体を垂直方向に押圧する押圧手段を備えていることが好ましい。
【0012】
上記の構成であれば、押圧手段によって媒体を垂直方向に押圧するため、媒体が薄い紙など軽いものであっても、搬送手段及び当接部以外の予期しない力によって、水平方向及び垂直方向に動いてしまうことを防止することができる。
【0013】
また、本発明に係る媒体搬送機構では、上記搬送手段は、上記媒体の下で回転することにより上記媒体を上記搬送方向に繰り出すローラーであることが好ましい。上記の構成により、媒体を搬送方向に効率よく搬送することができる。また、ローラーは、媒体のうち当接部に当接している箇所との間でスリップすることによって、媒体は、ローラーからの搬送させようとする力と、この力に対抗する、当接部からの力とを同時に受けることとなる。これにより、媒体を撓ませる力等が媒体に加わることなく、搬送される媒体の傾きをより好適に調整することができる。
【0014】
また、本発明に係る媒体搬送機構では、上記媒体が載置されて搬送される載置面を有するプラテンを備えており、上記当接部は、上記載置面上に突出しており、かつ上記プラテンの内部に格納可能であることが好ましい。上記の構成であれば、媒体の傾きを調整した後に当接部をプラテンの内部に格納し、媒体を搬送し続けることにより、媒体の搬送を効率よく進めることができる。
【0015】
また、本発明に係る媒体搬送機構では、上記押圧手段は、上記媒体の縁のうち、上記当接部に当接している箇所が上記搬送手段で搬送されようとしてもスリップする圧力であって、上記媒体の縁のうち、上記当接部に当接していない箇所が、上記搬送手段で搬送される圧力で押圧する。上記の構成でれば、媒体のうち、当接部に当接している箇所に近い側はスリップするため、搬送手段で搬送されようとした際に、無理に搬送方向に力が加わることが無く、その結果、媒体が撓むことなどを防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、作業性を低下させることなく、搬送される媒体の傾きを調整することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態におけるインクジェットプリンタを概略的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態により媒体の傾きを調整する方法を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態により媒体の傾きを調整する方法を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態により媒体の傾きを調整する方法を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態により媒体の傾きを調整する方法を説明するための図である。
【図6】特許文献1に記載されている従来のインクジェット式記録装置の構造を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態におけるインクジェットプリンタを概略的に示す図である。
【0019】
図1に示すインクジェットプリンタ(プリンタ、媒体搬送機構)1は、プラテン11と、送りローラー(搬送手段、ローラー)12と、少なくとも2つの位置決めピン(当接部)13と、押圧部(押圧手段)14と、インクジェットヘッド15とを備えている。このうち、プラテン11と、送りローラー12と、位置決めピン13と、押圧部14とは、媒体を搬送するために機能する。
【0020】
インクジェットプリンタ1において、媒体50は、搬送方向(矢印Aが示す方向)に搬送されるとともに、傾きが調整される。「媒体50の傾き」とは、搬送方向に対する、媒体50の水平面内の傾きをさす。
【0021】
媒体50は、搬送される対象物であり、媒体50が傾いていない場合には搬送方向に対して直交している先端部50aを有する。ここでは、媒体50が被印刷対象物(例えば紙、塩化ビニル樹脂など)である場合について説明するが、特にこれに限定されない。本発明における媒体は、例えばシート状のプラスチック、ガラスなどであってもよい。
【0022】
プラテン11は、媒体50を下から支持する部材であり、媒体50が載置されて搬送される載置面11aを有する。媒体50は、送りローラー12によって、載置面11a上をスライドされることにより搬送される。送りローラー12は、媒体50の下で回転することにより媒体50を搬送方向(矢印Aが示す方向)に繰り出す。送りローラー12によって、媒体50は、プラテン11の載置面11a上に繰り出される。
【0023】
位置決めピン13は、載置面11a上における、媒体50が送りローラー12によって搬送される道筋の先に位置している。全ての位置決めピン13は、搬送方向と直交する同一直線上であって、媒体50が通る幅の内側に位置している。位置決めピン13は、少なくとも一部が載置面11a上に突出した状態で設けられているため、載置面11a上を搬送されてくる媒体50の先端部50aが当接される。
【0024】
送りローラー12は、回転することによって、媒体50を搬送するローラーである。送りローラー12は、媒体50を、水平方向の動きを妨げずに搬送することが好ましい。「水平方向」とは、水平面におけるあらゆる方向をさす。「媒体50の水平方向の動き」とは、水平面におけるあらゆる方向に媒体50が移動、回転等する動き、及び移動、回転等を停止する動きを包含する概念である。すなわち、送りローラー12は、外部から媒体50に水平方向の動きを促すような力が加わった場合には、媒体50が搬送方向への移動を停止したり、搬送方向以外の方向に動いたりすることを妨げない。外部から媒体50に加わる力としては、例えば媒体50が位置決めピン13に当接した場合に位置決めピン13から受ける力などが挙げられる。
【0025】
また、送りローラー12は、位置決めピン13の少なくとも1つに当接している媒体50を、その位置決めピン13を支点にして水平方向に回動する動きを妨げずに、媒体50が位置決めピン13の全てに当接するまで搬送し続ける。言い換えれば、送りローラー12は、媒体50が位置決めピン13の少なくとも1つに当接されることによって搬送方向への動きを停止した後も、媒体50を搬送方向に搬送させようとする力を加え続ける。
【0026】
具体的には、送りローラー12は、媒体50が位置決めピン13の少なくとも1つに当接されることにより、当接された位置決めピン13からの力を受け、搬送方向への移動が停止した場合にも、媒体50との間で滑りながら(スリップしながら)回転し続ける。すなわち、送りローラー12は、媒体50との間でスリップ可能に構成されている。これによって、媒体50は、送りローラー12からの搬送させようとする力と、この力に対抗する、位置決めピン13からの力とを同時に受けることとなる。
【0027】
ここで、媒体50が傾いていない状態で搬送された場合には、媒体50の先端部50aは搬送方向に対して直交している。そのため、送りローラー12によって搬送された媒体50の先端部50aは、全ての位置決めピン13に同時に当接される。その結果、媒体50に働く、送りローラー12からの搬送させようとする力と、この力に対抗する、全ての位置決めピン13からの力とが釣り合うため、媒体50は動きを停止する。
【0028】
一方、媒体50が傾いた状態で搬送された場合には、媒体50の先端部50aは搬送方向に対して直交していない。そのため、送りローラー12によって搬送された媒体50の先端部50aは、まずいずれかの位置決めピン13に当接する。その後、媒体50は、送りローラー12からの搬送しようとする力と、この力に対抗する、当接した位置決めピン13からの力とを同時に受けることにより、先端部50aを搬送方向に対して直交させるように回転する力を受ける。これによって、媒体50は、先端部50aが全ての位置決めピン13に当接されるまで、すなわち先端部50aが搬送方向に対して直交するまで、水平面において回転する。
【0029】
以上の構成により、インクジェットプリンタ1は、媒体50の先端部50aを全ての位置決めピン13に当接させることができるため、媒体50の先端部50aが搬送方向に対して直交するように、傾きを調整することが可能である。
【0030】
なお、本発明における搬送手段は、上述した構成に限らず、媒体を搬送方向に搬送し得るものであればよい。
【0031】
なお、位置決めピン13は、プラテン11の内部に格納可能に構成されていることが好ましい。すなわち、位置決めピン13は、図1に示すように少なくとも一部が載置面11a上に突出している状態から、その全てがプラテン11の内部に格納されることが可能なように構成されていることが好ましい。この構成であれば、位置決めピン13を、媒体50の傾きを調整する際に載置面11a上に突出させておき、調整した後にプラテン11の内部に格納することにより、媒体50の搬送を円滑に進めることができる。
【0032】
押圧部14は、媒体50を垂直方向に押圧する部材である。押圧部14は、媒体50の水平方向の動きを妨げない圧力で媒体50を押圧することが好ましい。押圧部14は、クランプローラー21と、クランプバネ22と、Yバー23とを備えている。
【0033】
クランプローラー21は、媒体50に接触するローラーであり、媒体50の搬送方向への移動に合わせて回転することが可能であり、また、媒体50との間でスリップ可能に構成されている。
【0034】
クランプバネ22は、Yバー23と、クランプローラー21を固定する部材とを連結する弾性体である。クランプバネ22によって、Yバー23を下げたときに、クランプローラー21が媒体50を押圧する圧力を適切に維持することができる。なお、媒体50を押圧する圧力は、媒体50の水平方向の動きを妨げない圧力に維持されることが好ましい。
【0035】
押圧部14が媒体50を押圧することによって、搬送中に媒体50に作用する予期しない力によって媒体50が浮き上がったりずれたりすることを、防止することができる。また、押圧部14は、水平方向の動きを妨げない圧力で媒体50を押圧するため、媒体50の傾きの調整を妨げることがない。
【0036】
Yバー23は、搬送方向に垂直な方向(媒体50の幅方向)に伸びる棒状の部材である。Yバー23は、上下することによって、押圧部14の高さを変更することが可能である。Yバー23を上下させる機構は、手動で行なう構成であってもよいし、機械的に行なう構成であってもよい。
【0037】
押圧部14は、Yバー23を上下させることにより、クランプローラー21が媒体50の上方にあって接触していない状態と、クランプローラー21が媒体50を押圧している状態との少なくとも2つの状態を取り得る。また、押圧部14は、Yバー23を上下させることにより、クランプローラー21が媒体50を押圧する圧力を変更することが可能であるように構成されていてもよい。
【0038】
インクジェットヘッド15は、Yバー23に取り付けられた、媒体50上にインクを塗布するためのヘッドである。
【0039】
なお、本実施形態におけるインクジェットプリンタ1は、媒体50とクランプローラー21との接触を検知するセンサ(図示せず)を備えていることが好ましい。このセンサを用いれば、押圧部14によって媒体50を押圧する際に、例えば媒体50とクランプローラー21とが接触した直後にYバー23を下げる動きを停止させることができる。したがって、クランプローラー21が媒体50を押圧する圧力を適切にすることが可能になる。
【0040】
(媒体50の傾きを調整する方法)
次に、インクジェットプリンタ1において媒体50の傾きを調整する方法を、図2〜図5を参照して説明する。図2〜図5は、本発明の一実施形態により媒体の傾きを調整する方法を説明するための図である。
【0041】
まず、媒体50をインクジェットプリンタ1のプラテン11上にセットする(図2)。このとき、媒体50は、位置決めピン13に押し当ててセットされなくてよい。つまり、媒体50は、搬送方向に対して傾いたままセットされてもよい。次に、クランプローラー21が媒体50の水平方向の動きを妨げない圧力で媒体50を押圧する状態まで、Yバー23を下げる(図3;押圧工程)。
【0042】
次に、送りローラー12を回転させ、媒体50の先端部50aが位置決めピン13のうちの1つに当接されるまで、媒体50を搬送させる(図4;搬送工程)。その後、送りローラー12を回転させ続けると、媒体50は、搬送方向への移動を停止するとともに、送りローラー12及びクランプローラー21との間でスリップしながら水平面内で回転する(傾き調整工程)。このとき、押圧部14は、媒体50の縁(先端部50a)のうち、位置決めピン13に当接している箇所が送りローラー12で搬送されようとしても媒体50がスリップする圧力であって、媒体50の縁のうち、位置決めピン13に当接していない箇所が、送りローラー12で搬送される圧力で押圧する。これにより、媒体50のうち、位置決めピン13に当接している箇所に近い側はスリップするため、送りローラー12で搬送されようとした際に、無理に搬送方向に力が加わることが無く、媒体50が撓むことなどを防止できる。また、位置決めピン13に当接していない箇所は引き続き送りローラー12で送られ、位置決めピン13に先端部50aが当接されるまで、媒体は既に当接している位置決めピン13を支点として回動する。その結果、先端部50aが全ての位置決めピン13に当接される(図5)。これにより、媒体50の傾きが調整される。
【0043】
なお、媒体50が全ての位置決めピン13に当接されたか否かは、目視で確認してもよいし、センサを用いて確認してもよい。すなわち、インクジェットプリンタ1は、媒体50が全ての位置決めピン13に当接されたことを感知するセンサをさらに備えていてもよい。また例えば、媒体50の搬送を始めてから全ての位置決めピン13に当接されるまでの時間を予め予想して設定時間とし、その設定時間の経過後に、媒体50が全ての位置決めピン13に当接されたと判断してもよい。
【0044】
媒体50の傾きが調整された後は、送りローラー12の回転を停止させてもよいし、媒体50への印刷を開始してもよい。媒体50への印刷は、例えば位置決めピン13をプラテン11内に収納し、媒体50を搬送方向に搬送しながら、インクジェットヘッド15をYバー23に沿って幅方向(矢印Bの方向)に往復させることによって、行なってもよい。
【0045】
以上の構成によって、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1は、作業性を低下させることなく、搬送される媒体50の傾きを調整することができる。
【0046】
本実施形態に示すように、本発明に係る媒体搬送機構は、インクジェットプリンタに好適に利用され得るが、これに限定されず、シート状の媒体の搬送を伴う他の装置、例えば各種のプリンタ等にも好適に利用され得る。
【0047】
〔付記事項〕
以上のように、本発明に係る媒体搬送機構の一実施形態は、搬送方向と直交する同一直線上に位置する少なくとも2つの位置決めピン13と、位置決めピン13の少なくとも1つに当接している媒体50を、位置決めピン13の全てに当接するまで、搬送方向に搬送し続ける送りローラー12とを備えている。
【0048】
また、本発明に係る媒体搬送方法の一実施形態は、搬送方向と直交する同一直線上に位置する少なくとも2つの位置決めピン13のうちの少なくとも1つに当接している媒体50を、位置決めピン13の全てに当接するまで、搬送方向に搬送し続ける傾き調整工程を含んでいる。
【0049】
これにより、媒体50は、搬送方向に対して水平面内で傾いた状態で搬送された場合には、いずれかの位置決めピン13に当接し、搬送方向への移動を停止する。このような、位置決めピン13の少なくとも1つに当接している媒体50は、搬送方向に搬送され続けるため、搬送させようとする力と、この力に対抗する、位置決めピン13からの力とを同時に受ける。そのため、媒体50は、全ての位置決めピン13に当接されるまで位置決めピン13を支点にして水平方向に回動する。ここで、位置決めピン13の全てが搬送方向と直交する同一直線上に位置するため、これらの位置決めピン13に当接された媒体50は、搬送方向に対する水平面内の傾きが調整されている。
【0050】
したがって、人の手を煩わせることなく、媒体50の傾きを調整することができる。そのため、作業性を低下させることなく、搬送される媒体の傾きを調整することができる媒体搬送機構、インクジェットプリンタ1及び媒体搬送方法を提供することができる。
【0051】
また、媒体50を垂直方向に押圧する押圧部14を備えていることが好ましい。
【0052】
これにより、押圧部14によって媒体50を垂直方向に押圧するため、媒体50が薄い紙など軽いものであっても、送りローラー12及び位置決めピン13以外の予期しない力によって、水平方向及び垂直方向に動いてしまうことを防止することができる。
【0053】
また、送りローラー12は、媒体50の下で回転することにより媒体50を搬送方向に繰り出すローラーであることが好ましい。これにより、媒体50を搬送方向に効率よく搬送することができる。
【0054】
また、媒体50が載置されて搬送される載置面11aを有するプラテン11を備えており、位置決めピン13は、載置面11a上に突出しており、かつプラテン11の内部に格納可能であることが好ましい。
【0055】
これにより、媒体50の傾きを調整した後に位置決めピン13をプラテン11の内部に格納し、媒体50を搬送し続けることにより、媒体50の搬送を効率よく進めることができる。
【0056】
また、押圧部14は、媒体50の縁のうち、位置決めピン13に当接している箇所が送りローラー12で搬送されようとしても媒体50がスリップする圧力であって、媒体50の縁のうち、位置決めピン13に当接していない箇所が、送りローラー12で搬送される圧力で押圧する。
【0057】
これにより、媒体50のうち、位置決めピン13に当接している箇所に近い側はスリップするため、送りローラー12で搬送されようとした際に、無理に搬送方向に力が加わることが無く、その結果、媒体50が撓むことなどを防止できる。
【0058】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、作業性を低下させることなく、搬送される媒体の傾きを調整することができるので、媒体を搬送する機構を備えたプリンタ等の各種の装置に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1 インクジェットプリンタ(プリンタ、媒体搬送機構)
11 プラテン
11a 載置面
12 送りローラー(搬送手段、ローラー)
13 位置決めピン(当接部)
14 押圧部(押圧手段)
50 媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向と直交する同一直線上に位置する少なくとも2つの当接部と、
上記当接部の少なくとも1つに当接している媒体を、上記当接部の全てに当接するまで、上記搬送方向に搬送し続ける搬送手段とを備えていることを特徴とする媒体搬送機構。
【請求項2】
上記媒体を垂直方向に押圧する押圧手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送機構。
【請求項3】
上記搬送手段は、上記媒体の下で回転することにより上記媒体を上記搬送方向に繰り出すローラーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体搬送機構。
【請求項4】
上記媒体が載置されて搬送される載置面を有するプラテンを備えており、
上記当接部は、上記載置面上に突出しており、かつ上記プラテンの内部に格納可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の媒体搬送機構。
【請求項5】
上記押圧手段は、上記媒体の縁のうち、上記当接部に当接している箇所が上記搬送手段で搬送されようとしてもスリップする圧力であって、上記媒体の縁のうち、上記当接部に当接していない箇所が、上記搬送手段で搬送される圧力で押圧することを特徴とする請求項2に記載の媒体搬送機構。
【請求項6】
搬送方向と直交する同一直線上に位置する少なくとも2つの当接部のうちの少なくとも1つに当接している媒体を、当該当接部の全てに当接するまで、当該搬送方向に搬送し続ける傾き調整工程を含んでいることを特徴とする媒体搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−56765(P2013−56765A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197696(P2011−197696)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】