説明

媒体施封装置

【課題】把束の失敗と判定された異常束の媒体の破損や脱落を防止する。
【解決手段】所定枚数の媒体を把束して媒体束を作成する把束手段を有する媒体施封装置において、把束手段で作成された媒体束を挟持して搬送する束搬送路を有する束搬送手段90と、束搬送手段90で搬送される媒体束の把束の成否を判定する通過確認センサ96と、通過確認センサ96により把束の失敗と判定された媒体束を束搬送手段90の束搬送路に押圧して固定する紙幣クランプ部97とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣、カード、またはチケット等の媒体に紙帯を巻き付けて把束した媒体束を作成する媒体施封装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の媒体施封装置は、紙帯で把束(結束)した媒体束を搬送する束搬送路に、媒体束と接触する傾斜面が形成された段付搬送ガイドと、その段付搬送ガイド上を搬送される媒体束の通過確認センサとを設け、その通過確認センサにより測定した媒体束の通過時間を基に媒体束の把束姿勢の良否を検出して把束の成功/失敗を判定し、異常束と正常束を区別して放出口へ搬送するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、下方に傾斜する傾斜面が形成されたシュートユニットの端部に媒体束の厚さより低い当接面を有するストッパと、その当接面を超えてはみ出た媒体を検知するセンサとを設け、媒体束をストッパの当接面に突き当てて停止させ、そのときセンサによりはみ出した媒体の有無を検知して把束の成功/失敗を判定し、異常束を検知した場合、装置を停止して異常束をそのままの状態で残留させるようにしているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−276420号公報(段落「0053」〜段落「0057」、図8)
【特許文献1】特開2005−22758号公報(段落「0034」〜段落「0038」、図1、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術において、把束の失敗と判定された異常束は、それぞれの媒体が整列することなくバラバラな状態または把束力の弱い状態である上、上記の把束の成功/失敗の判定処理の影響を受け、把束状態が不安定な崩れた状態にあり、このような不安定な状態の異常束を搬送して装置外へ放出、または不安定な状態のまま装置内に残留させているため、媒体の破損や異常束からの媒体の脱落等の二次障害を発生させてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、把束の失敗と判定された異常束の媒体の破損や脱落を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本発明は、所定枚数の媒体を把束して媒体束を作成する把束手段を有する媒体施封装置において、把束手段で作成された媒体束を挟持して搬送する束搬送路を有する束搬送手段と、前記束搬送手段で搬送される媒体束の把束の成否を判定する把束結果判定手段と、前記把束結果判定手段により把束の失敗と判定された媒体束を前記束搬送手段の束搬送路に押圧して固定する媒体クランプ手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このようにした本発明は、把束の失敗と判定された異常束の媒体の破損や脱落を防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施例における媒体施封装置の構成を示す概略側面図
【図2】第1の実施例における媒体施封装置の外観を示す斜視図
【図3】第1の実施例における媒体施封部の構成を示す概略側面図
【図4】第1の実施例における媒体把束処理の流れを示すブロック図
【図5】第1の実施例における媒体把束処理の流れを示すフローチャート
【図6】第1の実施例における紙幣クランパ部の動作を示す説明図
【図7】第1の実施例における紙幣クランパ部の動作を示す説明図
【図8】第2の実施例における媒体把束処理の流れを示すブロック図
【図9】第2の実施例における紙幣把持部の構成を示す概略側面図
【図10】第2の実施例における紙幣把持部の構成を示す概略側面図
【図11】第2の実施例における紙幣把持部の構成を示す概略側面図
【図12】第2の実施例における媒体把束処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明による媒体施封装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は第1の実施例における媒体施封装置の概略側面図、図2は第1の実施例における媒体施封装置の外観を示す斜視図である。なお、以下の実施例では、媒体を紙幣として説明する。
【0012】
図1および図2において、1は媒体としての紙幣の投入部で、装置正面の上部に設けられている。2は紙幣の真偽、金種、正損、表裏等の鑑別、及び計数を行うと共に、搬送異常の検出を行う鑑別部で、装置内に設けられている。3は紙幣の搬送路で、この搬送路3については後で説明する。4は紙幣の表裏反転を行う表裏反転部で、装置内の鑑別部2の後段に位置するように設けられている。
【0013】
5は施封対象外の金種の紙幣を集積するオープンポケットで、装置の上面に設けられており、このオープンポケット5に集積された紙幣はオペレータが直接アクセスできるものとなっている。このオープンポケット5は2金種の施封対象外の紙幣をそれぞれオープンポケット5a、5bに集積することができるようになっている。
【0014】
6は鑑別部2で金種不明と鑑別されたりあるいは搬送異常が検知されたりしたリジェクト紙幣を集積するリジェクトポケットで、前記投入部1の上方に設けられており、このリジェクトポケット6に集積された紙幣にオペレータが直接アクセスできるものとなっている。
【0015】
7は集積機構で、本実施例において、この集積機構7には縦1列に5つの一時集積部7a〜7eが並べて装置内に設けられており、各一時集積部7a〜7eにそれぞれ予め定められた所定枚数、例えば本実施例では100枚の紙幣が集積できるようになっている。なお、一時集積部は5つに限らず3つ以上であればよい。
【0016】
8は移送機構であり、一時集積部7a〜7eに集積された紙幣、例えば100枚の紙幣を紙幣挟持部で挟持し、その紙幣挟持部を前後動および上下動させて後述する媒体施封部へ移送させるものである。
【0017】
9は媒体施封部であり、移送機構8により移送された紙幣を受け入れ、その紙幣を紙帯で把束(結束)するためのものである。詳細は後述する。
【0018】
10は紙幣束の放出口であり、媒体施封部9で把束した紙幣束を放出するためのものである。
【0019】
また、装置上面においてオープンポケット5の後方に位置するように操作表示部11が設けられ、その操作表示部11は液晶ディスプレイとその表面に配置した入力手段としてのタッチパネルによって構成されており、オペレータは操作表示部11を操作してモードの指定、一時集積部7a〜7eに集積する紙幣に金種や集積順序の設定等の入力を行うものとなっており、入力された情報はメモリや磁気ディスク等の記憶部に記憶させるようになっている。さらに、この操作表示部11には鑑別部2で鑑別された紙幣の金種や正損及び計数結果等の表示も行われる。
【0020】
12は装置正面に設けられた扉であり、この扉12を開け、媒体施封部9を引き出すことでオペレータは媒体施封部9にアクセスすることができ、媒体施封部9内に残留した紙幣束を取り出すことができるようになっている。
【0021】
ここで、搬送路3について説明する。媒体施封装置内の上部において搬送路3は第1の搬送路〜第5の搬送路から成り、第1の搬送路は投入部1から鑑別部2を経て第1の分岐点にいたるように設けられ、第2の搬送路はその分岐点からリジェクトポケット6にいたるように設けられている。
【0022】
また、第3の搬送路は第1の分岐点から表裏反転部4を経て第2の分岐点にいたるように設けられており、そして第4の搬送路は第2の分岐点から装置の下部に伸びて集積機構7の一時集積部7a〜7eに沿うように設けられ、更に第5の搬送路は第2の分岐点からオープンポケット5にいたるように設けられている。
【0023】
なお、上述した分岐点のそれぞれの近傍には紙幣の搬送方向を切替える図示しない切替えブレードが設けられ、図示しない制御部により動作制御されるものとなっている。
【0024】
さらに、集積機構7について説明する。搬送路3により搬送されてきた紙幣は、集積機構7の振り分けゲートにより集積板に向かって取り込まれ、これにより集積機構7に侵入した紙幣は叩き車により後部が叩かれて集積板の上に集積され、以降侵入してくる紙幣に関しては、同様の動作で集積板上に集積した紙幣の上に集積される。
【0025】
また、移送機構8について説明する。この移送機構8は、紙幣挟持部、挟持部移動手段、上下動手段を備えている。
【0026】
紙幣挟持部は上下方向に開閉するふたつの挟持爪を有し、この紙幣挟持部は挟持部移動手段上に搭載されていて、一時集積部7a〜7eからふたつの挟持爪で紙幣を挟持して引き抜くときは、挟持部移動手段が挟持部を一時集積部7a〜7eに対して押し出し、紙幣を挟持できる位置まで移動させるようになっている。
【0027】
紙幣挟持部と挟持部移動手段は上下動手段により一時集積部7a〜7eの間を一体に上昇及び下降し、紙幣の集積が完了した一時集積部7a〜7eのいずれか1つの前で停止するように制御されるものとなっている。そのため、上下動手段のフレームには、一時集積部7a〜7eのそれぞれの位置に対応してポジションセンサが配設されている。
【0028】
この移送機構8の一連の動作を説明すると、例えば一時集積部7aに集積された紙幣を引き抜く場合、まず上下動手段により紙幣挟持部を挟持部移動機構と共にポジションセンサの位置まで上昇させ、ポジションセンサが挟持部移動機構を検知した位置で上昇を停止させる。
【0029】
これによって挟持部移動手段を一時集積部7aと対応する位置に固定し、この状態で挟持移動機構により紙幣挟持部のふたつの挟持爪を上下方向に開いて紙幣を挟持する準備を行い、更に挟持移動機構により紙幣挟持部を一時集積部7aの方向に押し出す。
【0030】
押し出された紙幣挟持機構のふたつの挟持爪は、一時集積部7aの短手整位機構側に設けられている開口部に挿入され、集積板と押さえ板により挟持されている紙幣を上下から挟みつけて把持する。次に、集積板と押さえ板を開くことで、両者による紙幣の挟持を解除すると、これにより紙幣が紙幣挟持部に渡されたことになるので、ふたつの挟持爪で紙幣を把持した紙幣挟持部を挟持部移動手段により引き戻す。
【0031】
そして、紙幣挟持部が元の位置まで引き戻されると、紙幣を把持した紙幣挟持部と共に挟持移動手段が上下動手段により移動経路の最下端に位置する媒体施封部9まで移動し、紙幣挟持部のふたつの挟持爪に把持された紙幣が媒体施封部9に引き渡される。
【0032】
図3は媒体施封部9の構成を示す概略側面図である。図3において、媒体施封部9は、媒体束の上面および底面に接触する媒体束搬送路を形成するローラ対及び(または)ベルト対等から成る束搬送手段90と、紙テープ等による把束用のテープ91と、印字手段92と、テープ91を供給する供給手段93と、テープ91を所定の長さに切断するカッター94と、切断されたテープ91を把束位置に存在する紙幣束に巻きつけて把束する図示しない把束手段と、束搬送手段90の把束位置の搬送方向における下流側に配置された段付搬送ガイド95と、この段付搬送ガイド95の下を搬送される紙幣束の通過を確認する通過確認センサ96と、通過確認センサ96により異常が検知された紙幣束の上面を押圧し、その紙幣束を束搬送手段90との間で挟む紙幣クランプ部97とを備えている。
【0033】
束搬送手段90は、図示しないモータ等の駆動手段と接続され、図示しない制御部の制御により回転可能に構成され、図1に示す移送機構8により引き渡された紙幣を図3に破線で示す把束位置へ搬送し、また把束位置で把束手段により把束された紙幣束を図中矢印Aが示す放出口の方向へ搬送することができるようになっている。
【0034】
段付搬送ガイド95は、図中矢印Aが示す紙幣束の搬送方向の下流に向かって束搬送手段90の搬送路の高さ方向の間隔を狭める方向に傾斜する斜面を有している。この段付搬送ガイド95は、切断されたテープ91を紙幣束に巻きつける把束位置の下流に配設され、束搬送手段90で搬送される把束された紙幣束の上部に接触するようになっている。
【0035】
通過確認センサ96は、束搬送手段90を挟んで発光部と受光部とを対向配置した光学式のセンサであり、発光部からの光を紙幣が遮ったことを検出して紙幣の存在を検出するセンサである。この通過確認センサ96は、把束位置と段付搬送ガイド95との間に配設され、束搬送手段90により段付搬送ガイド95に接触しながら搬送される把束された紙幣束の通過を確認することができるようになっている。
【0036】
紙幣クランプ部97は、ブロック状の部材であり、図示しないモータ等の駆動手段と接続されて図示しない制御部の制御により昇降可能に、束搬送手段90の上方であってベルトやローラを避けて配設され、通過確認センサ96により異常が検知された紙幣束の上面を押圧して束搬送手段90との間で紙幣束の上下面を挟むものである。
【0037】
このように構成された媒体施封部9は以下のように紙幣を把束する。
【0038】
まず、束搬送手段90が移送機構8の紙幣挟持部から所定枚数の紙幣、例えば100枚の紙幣を一括して受け取り、把束位置に搬送する。テープ供給手段93はテープ91を前記把束手段に供給し、その際、印字手段92はテープ91にインクリボンを介して把束する紙幣の金種毎の枚数や合計枚数等を印字する。印字されたテープ91は所定の長さにカッター94で切断され、この切断されたテープを把束手段が把束位置に搬送された紙幣に巻き掛けて把束(結束)することにより紙幣束を作る。こうして作られた紙幣束は更に束搬送手段90により搬送され、放出口10に送られる。なお、放出口10に送られた紙幣束は装置外へ放出または図示しない束収納部に収納されるものとする。
【0039】
紙幣束を束搬送手段90で搬送するとき、図示しない制御部は、束搬送手段90により段付搬送ガイド95の下方を搬送される紙幣束の通過時間を通過確認センサ96からの検出信号を基に計測し、その通過時間が予め設定された規定通過時間以下のときは紙幣束の把束姿勢が正常、すなわち把束に成功したものと判定する。一方、通過時間が予め設定された規定通過時間より長いときは紙幣束の把束姿勢が異常、すなわち把束に失敗したものと判定する。
【0040】
紙幣束の把束の成否の判定により把束に失敗した紙幣束を検知した制御部は、束搬送手段90による紙幣束の搬送を停止し、紙幣クランプ部97を下降させて異常が検知された紙幣束の上面を押圧して紙幣クランプ部97と束搬送手段90の束搬送路との間で紙幣束の上下面を挟んで挟持し、紙幣を移動しないように固定する。
【0041】
図4に示すように、媒体施封装置は、把束する紙幣の投入を受付ける媒体投入手段としての投入部1、媒体投入手段に投入された紙幣を1枚ずつ搬送し、計数を行なった後、集積する紙幣搬送/集積手段としての搬送路3・集積機構7・移送機構8、紙幣搬送/集積手段で搬送された所定枚数の紙幣(媒体)群を紙帯で把束して紙幣束を作成する把束手段としての媒体施封部9、媒体施封部9で把束された紙幣束を挟持して搬送するとともに紙幣束の把束結果の成否を判定する束搬送/把束結果判定手段としての束搬送手段90・通過確認センサ96、紙幣束を放出または収納する束排出手段または束収納手段としての放出口10、通過確認センサ96により把束結果が失敗と判定された紙幣束を束搬送手段90の束搬送路に押圧して固定する媒体クランプ手段としての紙幣クランプ部97等で構成され、図示しないメモリや磁気ディスク等の記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない中央処理装置等の制御部が媒体施封装置全体を制御する。
【0042】
上述した構成の作用について説明する。
【0043】
図5は第1の実施例における媒体把束処理の流れを示すフローチャートであり、図中Sで表すステップに従い、図1、図4、図6および図7を参照しながら説明する。
【0044】
S1a:紙幣施封装置を操作するオペレータにより把束処理対象の把束されていないバラ紙幣を媒体投入手段としての投入部1に投入されると、投入部1はそのバラ紙幣の投入を受付ける。
【0045】
S2a:媒体投入手段としての投入部1は、投入されたバラ紙幣を1枚ずつ分離して搬送手段としての搬送路3へ送り出す。搬送路3は送り出されたバラ紙幣を鑑別部2で計数した後、集積手段としての集積機構7へ搬送する。
【0046】
S3a:集積手段としての集積機構7は、搬送手段としての搬送路3により搬送されたバラ紙幣を所定枚数(例えば、100枚)に到達するまで1枚ずつ積層して集積する。
【0047】
S4a:所定枚数のバラ紙幣を集積すると搬送手段としての移送機構8は、集積手段としての集積機構7に集積された所定枚数のバラ紙幣群を把束手段としての媒体施封部9へ搬送する。
【0048】
S5a:把束手段としての媒体施封部9は、移送機構8により搬送されたバラ紙幣群を紙帯で把束し、紙幣束を作成する。
【0049】
S6a:束搬送手段90は、上記把束処理で作成された紙幣束を束排出手段または束収納手段としての放出口10(図6に示す矢印Bが示す方向)へ搬送するとともに把束結果判定手段としての通過確認センサ96により紙幣束の把束の成否を判定する。
【0050】
S7a:S6aにおける紙幣束の把束の成否判定の結果、紙幣束の把束結果が成功であると判定されると処理をS8aへ移行し、一方紙幣束の把束結果が失敗であると判定されると処理をS9aへ移行する。
【0051】
S8a:紙幣束の把束が成功であると判定された場合、束搬送手段90は、紙幣束の搬送を継続し、その紙幣束を束排出手段または束収納手段としての放出口10へ搬送して処理を終了する。
【0052】
S9a:一方、紙幣束の把束が失敗であると判定された場合、束搬送手段90は、図6に示すように、直ちに紙幣束の搬送を中止し、崩れたであろう紙幣束(バラ紙幣群)Pを停止させる。
【0053】
S10a:紙幣束(バラ紙幣群)を停止させると制御部は、図7に示すように、媒体クランプ手段としての紙幣クランプ部97を矢印Cが示す方向へ下降させて崩れたであろう紙幣束(バラ紙幣群)Pの上面を押圧し、その紙幣束(バラ紙幣群)Pを束搬送手段90の下側の束搬送路に押さえつけて固定する。
【0054】
S11a:紙幣束(バラ紙幣群)Pを束搬送手段90の束搬送路に押さえつけて固定すると、制御部は、紙幣束の把束に失敗した旨を報知するとともに残留した紙幣束の除去を誘導する画面を操作表示部11に表示し、オペレータに紙幣束の把束の失敗を報知するとともに紙幣クランプ部97を下降させて束搬送手段90の束搬送路に押さえつけて固定した紙幣束(バラ紙幣群)Pの除去を誘導する。
【0055】
オペレータの操作により、扉12が解放され、媒体施封部9が引き出されて紙幣束(バラ紙幣群)が除去され、図示しないセンサ等により紙幣束(バラ紙幣群)が除去されたことを検知して処理を終了する。
【0056】
このように把束の失敗と判定された紙幣束(バラ紙幣群)Pの上面を押圧し、その紙幣束(バラ紙幣群)Pを束搬送手段90の下側の束搬送路に押さえつけて固定する紙幣クランプ部97を設けたことにより、把束に失敗した異常束の媒体の破損や脱落等の二次障害を防止することができる。
【0057】
以上説明したように、第1の実施例では、紙幣束(バラ紙幣群)の上面を押圧し、その紙幣束(バラ紙幣群)を搬送手段の下側の束搬送路に押さえつけて固定する紙幣クランプ部を設けたことにより、把束の失敗と判定された異常束の媒体の破損や脱落を防止することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0058】
第1の実施例の構成では、紙幣束の把束処理に失敗する度に媒体施封装置を停止し、オペレータによる残留紙幣束の除去作業が必要となり、装置の休止時間が増大し、円滑な装置の運用を阻害することがある。
【0059】
このような課題を解決するため、第2の実施例の構成は、第1の実施例の構成に、把束に失敗した紙幣束を把持して固定するとともにその紙幣束を把持したまま移動可能な媒体把持部を追加したものとしている。
【0060】
その第2の実施例の構成を、図8の第2の実施例における媒体把束処理の流れを示すブロック図、図9〜図11の第2の実施例における紙幣把持部の構成を示す概略側面図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0061】
図9〜図11において、98は紙幣把持部であり、下部基材としての下部フレーム98aおよび上部基材としての上部フレーム98bにより構成されている。下部フレーム98aは、束搬送手段90の下方にベルトやローラを避けて配設され、図示しないモータ等の駆動手段により昇降可能に構成されたものである。上部フレーム98bは、両側面に図示しない案内溝(または案内孔)が形成され、その溝が下部フレーム98aの紙幣束の搬送方向における端部の両側部に形成された突起と遊嵌し、図示しないモータ等の駆動手段およびリンク機構により、下部フレーム98aの端部と結合したまま下部フレーム98aの上方へ移動可能に構成されている。なお、上部フレーム98bも束搬送手段90のベルトやローラを避けて配設されている。
【0062】
この上部フレーム98bは、束搬送手段90により紙幣束を搬送するとき、紙幣束の搬送を妨げないように下部フレーム98aの下方へ移動して配置され、また、紙幣束Pの把束結果が失敗と判定されたとき、その紙幣束Pを固定するため、図10に示すように下部フレーム98aの上方へ移動して下部フレーム98aとの間で把束に失敗したと判定された紙幣束Pの上面および下面に接触して挟み、固定することができるようになっている。したがって、把束に失敗したと判定され、束搬送手段90に停止した紙幣束Pは、その底面に下部フレーム98aが接触し、上面に上部フレーム98bが接触することにより、紙幣把持部98で把持され、固定される。
【0063】
なお、上部フレーム98bには、紙幣クランプ手段97を通過させるための溝や孔が形成され、紙幣クランプ手段97で紙幣束Pを押圧している状態で下部フレーム98aと上部フレーム98bとで紙幣束Pを把持し、固定することができるようになっている。
【0064】
また、下部フレーム98aおよび上部フレーム98bは、図示しないモータ等の駆動手段により、図11に示すように束搬送手段90の紙幣束Pの搬送に合わせて紙幣束Pを把持したまま放出口10へ移動することができ、その放出口10において上部フレーム98bを上方に移動し、下部フレーム98aと上部フレーム98bとを離間させて開放することにより、把持していた紙幣束Pを放出(または収納)することができ、オペレータによる紙幣束Pの受け取り等ができるようになっている。
【0065】
なお、下部フレーム98aおよび上部フレーム98bの放出口(紙幣束の搬送方向)側の端部は、互いに把持する紙幣束の方向へ折曲げられており、その下部フレーム98aの端部と上部フレーム98bの端部とが当接または係合し、把持した紙幣束を紙幣把持部98の内部に確実に収容することができるようになっている。
【0066】
図8に示すように、媒体施封装置は、把束する紙幣の投入を受付ける媒体投入手段としての投入部1、媒体投入手段に投入された紙幣を1枚ずつ搬送し、計数を行なった後、集積する紙幣搬送/集積手段としての搬送路3・集積機構7・移送機構8、紙幣搬送/集積手段で搬送された所定枚数の紙幣(媒体)群を紙帯で把束して紙幣束を作成する把束手段としての媒体施封部9、媒体施封部9で把束された紙幣束を挟持して搬送するとともに紙幣束の把束結果の成否を判定する束搬送/把束結果判定手段としての束搬送手段90・通過確認センサ96、紙幣束を放出または収納する束排出手段または束収納手段としての放出口10、通過確認センサ96により把束結果が失敗と判定された紙幣束を束搬送手段90の束搬送路に押圧して固定する媒体クランプ手段としての紙幣クランプ部97、把束結果が失敗と判定された紙幣束を把持して固定するとともにその紙幣束を把持したまま放出口10へ移動可能な媒体把持手段としての紙幣把持部98等で構成され、図示しないメモリや磁気ディスク等の記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない中央処理装置等の制御部が媒体施封装置全体を制御する。
【0067】
上述した構成の作用について説明する。
【0068】
図12は第2の実施例における媒体把束処理の流れを示すフローチャートであり、図中Sで表すステップに従い、図1、図8および図9〜図11を参照しながら説明する。
【0069】
S1b〜S8b:図5におけるS1a〜S8aと同様なのでその説明を省略する。
【0070】
S9b:S7bにおいて、紙幣束の把束に失敗したと判定された場合、束搬送手段90は、直ちに紙幣束Pの搬送を一時中断し、崩れたであろう紙幣束(バラ紙幣群)Pを停止させる。
【0071】
S10b:紙幣束(バラ紙幣群)Pを停止させると制御部は、媒体クランプ手段としての紙幣クランプ部97を下降させて崩れたであろう紙幣束(バラ紙幣群)の上面を押圧し、その紙幣束(バラ紙幣群)Pを束搬送手段90の下側の束搬送路に押さえつけて固定する。
【0072】
S11b:紙幣クランプ部97を下降させて紙幣束(バラ紙幣群)Pを固定すると制御部は、図9に示すように、紙幣把持部98の下部フレーム98aおよび上部フレーム98bを矢印Dが示す方向へ上昇させ、その下部フレーム98aを紙幣束(バラ紙幣群)Pの底面に接触させて停止する。次に、制御部は、図10に示すように、上部フレーム98bを下部フレーム98aが接触する紙幣束(バラ紙幣群)Pの上方(図10中矢印Eが示す方向)へ移動させ、下部フレーム98aとの間で紙幣束(バラ紙幣群)Pの上面および底面を挟み込んで固定する。
【0073】
S12b:紙幣把持部98の下部フレーム98aと上部フレーム98bとの間で紙幣束(バラ紙幣群)Pを挟み込んで固定すると制御部は、紙幣クランプ手段97を上昇させ、紙幣クランプ手段97による紙幣束(バラ紙幣群)Pの束搬送路への押さえつけを解除する。
【0074】
S13b:紙幣クランプ手段97を上昇させると制御部は、束搬送手段90による紙幣束(バラ紙幣群)Pの搬送を再開する。
【0075】
S14b:制御部は、図11に示すように、再開した束搬送手段90による紙幣束(バラ紙幣群)Pの搬送に合わせて下部フレーム98aと上部フレーム98bとの間で紙幣束(バラ紙幣群)Pを挟み込んで固定した状態で紙幣把持部98を図11中の矢印Fが示す方向へ移動させる。
【0076】
S15b:制御部は、束搬送手段90による紙幣束(バラ紙幣群)Pの搬送に合わせて紙幣把持部98を図11中の矢印Fが示す方向へ移動させ、紙幣束(バラ紙幣群)Pを束排出手段または束収納手段としての放出口10へ搬送して処理を終了する。
【0077】
紙幣束(バラ紙幣群)Pを放出口10へ搬送して放出等した後は次の紙幣に対する一連の把束処理を再開する。
【0078】
このように把束に失敗したと判定された紙幣束(バラ紙幣群)Pを挟み込んで固定した状態の紙幣把持部98を束搬送手段90による紙幣束(バラ紙幣群)Pの搬送に合わせて移動させ、その紙幣束(バラ紙幣群)Pを束排出手段または束収納手段としての放出口10へ搬送するようにしたことにより、紙幣束の把束処理の失敗に伴って、媒体施封装置の停止およびオペレータによる残留紙幣束の除去作業が必要なくなり、装置の休止時間を低減させ、円滑な装置の運用を図ることができる。
【0079】
以上説明したように、第2の実施例では、把束に失敗したと判定された紙幣束(バラ紙幣群)を挟み込んで固定した状態の紙幣把持部を紙幣束(バラ紙幣群)の搬送に合わせて移動させ、その紙幣束(バラ紙幣群)を束排出手段または束収納手段としての放出口へ搬送するようにしたことにより、紙幣束の把束処理の失敗に伴って、媒体施封装置の停止およびオペレータによる残留紙幣束の除去作業が必要なくなり、装置の休止時間を低減させ、円滑な装置の運用を図ることができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0080】
1 投入部
2 鑑別部
3 搬送路
4 表裏反転部
5 オープンポケット
6 リジェクトポケット
7 集積機構
7a〜7e 一時集積部
8 移送機構
9 媒体施封部
10 放出口
11 操作表示部
12 扉
90 束搬送手段
91 テープ
92 印字手段
93 テープ供給手段
94 カッター
95 段付搬送ガイド
96 通過確認センサ
97 紙幣クランプ部
98 紙幣把持部
98a 下部フレーム
98b 上部フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定枚数の媒体を把束して媒体束を作成する把束手段を有する媒体施封装置において、
把束手段で作成された媒体束を挟持して搬送する束搬送路を有する束搬送手段と、
前記束搬送手段で搬送される媒体束の把束の成否を判定する把束結果判定手段と、
前記把束結果判定手段により把束の失敗と判定された媒体束を前記束搬送手段の束搬送路に押圧して固定する媒体クランプ手段とを備えたことを特徴とする媒体施封装置。
【請求項2】
請求項1の媒体施封装置において、
前記媒体クランプ手段は、前記束搬送手段の上方に、昇降可能に配設され、
前記把束結果判定手段により把束に失敗した媒体束を検知したとき、前記束搬送手段による媒体束の搬送を停止するとともに、前記媒体クランプ手段を下降させて前記把束に失敗した媒体束の上面を押圧し、前記媒体束を前記媒体クランプ手段と前記束搬送路との間で挟持して固定する制御部を備えたことを特徴とする媒体施封装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の媒体施封装置において、
前記把束結果判定手段が把束に失敗したと判定した媒体束を把持したまま移動可能な媒体把持手段を備えたことを特徴とする媒体施封装置。
【請求項4】
請求項3の媒体施封装置において、
前記媒体把持手段は、前記媒体束の底面に接触する下部基材と、前記媒体束の上面に接触する上部基材とからなり、前記下部基材は前記束搬送手段の下方に、昇降可能に配設され、前記上部基材は前記下部基材の上方へ移動可能に配設され、
前記把束結果判定手段により把束に失敗した媒体束を検知したとき、前記束搬送手段による媒体束の搬送を停止するとともに、前記媒体クランプ手段を下降させて前記把束に失敗した媒体束の上面を押圧し、前記媒体束を前記媒体クランプ手段と前記束搬送路との間で挟持して固定した後、
前記媒体把持手段の前記下部基材を上昇させるとともに前記上部基材を前記下部基材の上方へ移動させて前記媒体束を把持し、前記媒体束を把持した前記媒体把持手段を前記媒体束の搬送を再開した前記束搬送手段による媒体束の搬送に合わせて移動させる制御部を備えたことを特徴とする媒体施封装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−25456(P2012−25456A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167588(P2010−167588)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】