説明

媒体送り装置、記録装置

【課題】送る媒体について単票の被送り媒体とロール状の被送り媒体とを選択する際の利便性を考慮した媒体送り装置を提供すること。
【解決手段】媒体送り装置42において、送り手段(35)は前記媒体送り装置42の前後方向に被送り媒体(P3、P4)を送るように設けられており、前記媒体送り装置42の背面側において被送り媒体(P3、P4)を案内する案内部材(25)を備え、該案内部材(25)は、該案内部材の基端側と自由端側とを結ぶ方向へ伸縮可能に設けられており、該案内部材(25)が縮小した第1状態では、前記案内部材は該案内部材より背面側から送られるロール状の被送り媒体(P4)の送り経路(R4)を形成し、前記案内部材が伸展した第2状態では、該案内部材(25)は該案内部材上から送られる単票の被送り媒体(P3)の送り経路(R3)を形成する構成であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被送り媒体が送られる送り経路と、被送り媒体を送る送り手段と、を備え、単票の被送り媒体およびロール状の被送り媒体を送ることができる構成である媒体送り装置および該媒体送り装置を備えた記録装置に関する。
本願において、記録装置には、インクジェットプリンター、ワイヤドットプリンター、レーザープリンター、ラインプリンター、複写機、ファクシミリ等の種類が含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来では、特許文献1および2に示す如く、記録装置の一例であるプリンターは、媒体送り装置と、記録部と、を有していた。そして、該媒体送り装置は、送り経路と、送り手段と、モーターと、を備えていた。また、ロール紙ホルダーが前記媒体送り装置の本体に対して着脱可能に設けられていた。従って、ロール紙に対して記録を実行したい場合、ロール紙がセットされたロール紙ホルダーを前記媒体送り装置に取り付けることにより、ロール紙に対して記録を実行することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−362804号公報
【特許文献2】特開2002−362805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、厚紙等の媒体に対して記録を実行する場合、ロール紙ホルダーを取り外し、送り経路に対して傾斜した方向へ媒体を案内する媒体サポート部材に付け替えることが考えられる。
図10(A)(B)に示すのは、本発明が考慮している媒体送り装置の概略を示す側面図である。このうち、図10(A)はロール紙ホルダーを取り外して媒体サポート部材を取り付けた状態である。一方、図10(B)は媒体サポート部材を取り外してロール紙ホルダーを取り付けた状態である。
【0005】
図10(A)(B)に示す如く、媒体送り装置50は、給送ローラー52と、ホッパー51と、送り経路55と、第1被係合部53と、第2被係合部54とを有している。このうち、給送ローラー52は、ホッパー51にセットされた用紙を送り方向下流側へ送ることができるように設けられている。また、ホッパー51は給送ローラー52に対して接離移動することができるように設けられている。またさらに、送り経路55は、送り方向下流側に設けられた記録部(図示せず)に用紙を案内することができるように構成されている。また、媒体送り装置50に背面側には、第1被係合部53および第2被係合部54が設けられている。一方、媒体サポート部材56には、第1係合部57および第2係合部58が設けられている。そして、媒体サポート部材56を媒体送り装置本体に取り付ける場合、第1係合部57と第1被係合部53とを係合させ、第2係合部58と第2被係合部54とを係合させることにより取り付けることができる。尚、係合を解除することにより取り外すことができる。
【0006】
また、ロール紙ホルダー59には、圧入部60と、第3係合部61とが設けられている。圧入部60はロール紙ホルダー59に対して回動自在に保持されている。また、圧入部60がロール紙の芯に圧入されることにより、ロール紙ホルダー59はロール紙を保持することができるように構成されている。尚、ロール紙ホルダー59が単にロール紙の芯の内部を支持する構成でもよい。そして、ロール紙ホルダー59を媒体送り装置本体に取り付ける場合、第3係合部61と第2被係合部54とを係合させることにより取り付けることができる。尚、係合を解除することにより取り外すことができる。
【0007】
そして、媒体サポート部材56が取り付けられている場合、厚紙等の媒体は、記録時の送り方向下流側にセットされた後に一度送り方向上流側へ送られる。そして、厚紙等の媒体の下流端が記録部より送り方向上流側に達するまで送り方向上流側へ送られる。その後、送り方向下流側へ送りながら記録が実行されるように構成することが考えられる。係る場合、媒体サポート部材56を取り付けることにより、媒体送り装置50の背面側への厚紙等の媒体が媒体送り装置50から背面側へ突出する量を、媒体サポート部材56を有さない構成と比較して小さくすることができる。
【0008】
しかしながら、送る媒体の種類を厚紙等の媒体からロール紙に変更する場合、媒体サポート部材56を取り外す必要がある。そして、ロール紙ホルダー59を取り付ける必要がある。従って、ユーザーにとって利便性に欠ける。また、取り外した媒体サポート部材56を紛失する虞がある。
同様に、送る媒体の種類をロール紙から厚紙等の媒体に変更する場合、ロール紙ホルダー59を取り外す必要がある。そして、媒体サポート部材56を取り付ける必要がある。従って、ユーザーにとって利便性に欠ける。また、取り外したロール紙ホルダー59を紛失する虞がある。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、送る媒体について単票の被送り媒体とロール状の被送り媒体とを選択する際の利便性を考慮した媒体送り装置および該媒体送り装置を備えた記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様の媒体送り装置は、被送り媒体が送られる送り経路と、被送り媒体を送る送り手段と、を備え、単票の被送り媒体およびロール状の被送り媒体を送ることができる構成である媒体送り装置であって、前記送り手段は前記媒体送り装置の前後方向に被送り媒体を送るように設けられており、前記媒体送り装置の背面側において被送り媒体を案内する案内部材を備え、該案内部材は、該案内部材の基端側と自由端側とを結ぶ方向へ伸縮可能に設けられており、該案内部材が縮小した第1状態では、前記案内部材は該案内部材より背面側から送られるロール状の被送り媒体の送り経路を形成し、前記案内部材が伸展した第2状態では、該案内部材は該案内部材上から送られる単票の被送り媒体の送り経路を形成する構成であることを特徴とする。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、ロール状の被送り媒体を送る場合において、前記案内部材を取り外す必要がない。即ち、送る媒体を単票の被送り媒体からロール状の被送り媒体に切り換える際、前記案内部材を取り外すことなく前記第2状態から前記第1状態に切り換えるだけでよい。その結果、ユーザーの利便性をよくすることができる。
また、前記案内部材を取り外す必要がないため、該案内部材を紛失する虞がない。
尚、ロール状の被送り媒体を保持する手段であるロール保持手段は、前記媒体送り装置と一体でもよいし、別体でもよい。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、ロール状の被送り媒体を保持するロール保持手段をさらに備えており、前記案内部材の第2状態においても、前記ロール保持手段はロール状の被送り媒体を保持することができる構成であることを特徴とする。
本発明の第2の態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、ロール状の被送り媒体を前記ロール保持手段にセットした状態のままで前記案内部材を前記第1状態から前記第2状態にすることができる。即ち、ロール状の被送り媒体を取り外す必要がない。その結果、前記ロール保持手段および前記案内部材の取り外しや交換を要することなく、ロール状の被送り媒体の送りおよび単票の被送り媒体の送りの両方に対応することができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記案内部材の第1状態では、ロール保持手段に保持されたロール状の被送り媒体の外径の大小に拘わらず、ロール状から解かれた被送り媒体における箇所を、前記案内部材の自由端が圧接する構成であることを特徴とする。
本発明の第3の態様によれば、第1または第2の態様と同様の作用効果に加え、ロール状の被送り媒体が解かれた際に、解かれる前の被送り媒体の残量の多少に拘わらず、送り経路における被送り媒体の姿勢を安定させることができる。即ち、ロール状の被送り媒体の残量の多少に拘わらず、解かれた被送り媒体の姿勢を一定にすることができる。その結果、被送り媒体が送り経路において詰まる所謂、ジャムが生じることを防止することができる。即ち、安定して被送り媒体を送ることができる。
【0014】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、ロール状から解かれた被送り媒体における解かれる前の段階で外側であった面を、前記案内部材の自由端が圧接する構成であることを特徴とする。
本発明の第4の態様によれば、第3の態様と同様の作用効果に加え、ロール状の被送り媒体が解かれた際に、被送り媒体における解かれた箇所の巻き癖を低減することができる。
【0015】
具体的には、ロール状に巻かれていたときの姿勢と逆となる姿勢へ反らせることにより、巻き癖を低減することができる。巻き癖を低減することにより、例えば、送り経路と被送り媒体との摩擦抵抗を低減させることができる。また、送り経路における被送り媒体の姿勢を安定させることができる。その結果、被送り媒体が送り経路において詰まる所謂、ジャムが生じることを防止することができる。即ち、安定して被送り媒体を送ることができる。
【0016】
本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれか一の態様において、前記案内部材は、前記媒体送り装置の背面側において、該背面に倣う第1姿勢と、前記背面より後方へ倒れ前記前後方向に対して傾斜した姿勢であり前記伸縮可能な状態となる第2姿勢と、をとり得る構成であることを特徴とする。
本発明の第5の態様によれば、第1から第4のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記案内部材を使用しない場合は、前記案内部材を前記第1姿勢にして収納することができる。
【0017】
また、前記第2姿勢は、斜め後に倒れた姿勢である。ここで、仮に案内部材が前記前後方向に倣うまで倒れる構成であったとすると、案内部材が媒体送り装置背面側の壁等の障害物と接触し、完全に第2姿勢にすることができない虞がある。そこで、本態様では前記第2姿勢は、斜め後に倒れた姿勢である。従って、前記背面側において、十分な空間を確保することができない場合であっても、前記第2姿勢にすることができる。即ち、前記案内部材を後方へ開くことができる。
【0018】
本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記第2姿勢の前記第2状態の前記案内部材は、前記送り手段によって前記送り経路における前記前後方向前側から後側へ送られた単票の被送り媒体の進行方向先端側を前記案内部材上に案内する構成であり、前記案内部材上に案内された単票の被送り媒体は、前記送り手段によって前記案内部材上から前記前後方向前側へ送られる構成であることを特徴とする。
【0019】
本発明の第6の態様によれば、第5の態様と同様の作用効果に加え、単票の被送り媒体が一度後側へ送られてから前側へ送られる構成である。所謂、スイッチバックする送り方である。ここで、前記第2姿勢は、前述したように斜め後に倒れた姿勢である。被送り媒体が前記後側へ送られた場合であっても、前記背面側の壁等の障害物と接触する虞を低減することができる。
その結果、媒体送り装置の後方周辺の空間を確保するためにユーザーが該媒体送り装置の設置場所を変更する手間が生じる虞がない。
【0020】
本発明の第7の態様の記録装置は、被記録媒体を送り方向へ送る媒体送り手段と、該媒体送り手段によって送られた被記録媒体に対して記録ヘッドにより記録する記録部と、を備えた記録装置であって、前記媒体送り手段は、上記第1から第6のいずれか一の態様の前記媒体送り装置を備え、前記被記録媒体は、前記被送り媒体であることを特徴とする。
本発明の第7の態様によれば、前記媒体送り手段は、上記第1から第6のいずれか一の態様の前記媒体送り装置を備え、前記被記録媒体は、前記被送り媒体である。従って、前記記録装置において、上記第1から第6のいずれか一の態様と同様の作用効果を得ることができる。
尚、上記第3または第4の態様において記録をする場合、前記案内部材の自由端が圧接する面を記録面である表面に対する裏面とすることができる。その結果、前記案内部材が表面を傷つける虞がない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のプリンターの可動案内部材が閉じた状態を示す後方斜視図。
【図2】本発明の可動案内部材が開いて伸展した状態を示す後方斜視図。
【図3】本発明の可動案内部材が開いて縮小した状態を示す後方斜視図。
【図4】本発明のプリンターの内部を示す概略側面図(第1類の媒体搬送のとき)。
【図5】本発明のプリンターの内部を示す概略側面図(第2類の媒体搬送のとき)。
【図6】本発明のプリンターの内部を示す概略側面図(第3類の媒体搬送のとき)。
【図7】本発明のプリンターの内部を示す概略側面図(第4類の媒体搬送のとき)。
【図8】(A)(B)は可動案内部材が移動する構成を示す概略側面図。
【図9】他の実施形態のプリンターを示す概略側面図(第4類の媒体搬送のとき)。
【図10】(A)(B)は本発明が考慮している媒体送り装置の概略を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
先ず、本願発明の媒体送り装置を備えた「記録装置」或いは「液体噴射装置」の一例としてのインクジェットプリンター(以下「プリンター」と言う)の概略について説明し、その後に本願発明の要部について説明する。
ここで、液体噴射装置とは、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドから記録紙等の被記録材へインクを噴射して被記録材への記録を実行するインクジェット式記録装置、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えて特定の用途に対応する液体を前述した記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから、被記録材に相当する被噴射材に噴射して、液体を被噴射材に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0023】
またさらに、液体噴射ヘッドとしては、前述した記録ヘッド以外に、液晶ディスプレイ等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイや面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料を噴射する試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【0024】
図1に示すのは、本発明のプリンターの可動案内部材が閉じた状態を示す要部拡大後方斜視図である。また、図2に示すのは、本発明のプリンターの可動案内部材が開いて伸展した状態を示す要部拡大後方斜視図である。またさらに、図3に示すのは、本発明のプリンターの可動案内部材が開いて縮小した状態を示す要部拡大後方斜視図である。
図1〜図3に示す如く、プリンター1は筐体2を有している。また、筐体2の内部に後述する媒体送り装置42(図4〜図7参照)を有している。そして、プリンター1における鉛直方向上方には、第1カバー部材4(図1〜図7参照)が設けられている。図1〜図3に示す第1カバー部材4(図1〜図7参照)は閉じた状態であるが、上方へ開くことにより、ユーザーが後述する第1載置部22(図4〜図7参照)としてのホッパー23に第1類の媒体の一例である普通紙P1をセットすることができるように設けられている。
【0025】
ここで、「第1類の媒体」とは、後述するように第1送り手段26(図4〜図7参照)である給送ローラー27によって第1送り経路上(R1(図4参照))を送ることができる媒体をいう。具体的には、可撓性を有し第1所定弾性値より低い媒体であって、後述する第2送り手段35(図4〜図7参照)より小さい送り力を媒体に付与する第1送り手段26(図4〜図7参照)によって送られる媒体であり、第1載置部22(図4〜図7参照)に積層された状態から一枚ずつ送られる媒体をいう。また、「普通紙」とは、およそ重さ60〜90g/平方mの普通に用いられる用紙をいう。この範囲外であってもよいのは勿論である。
「第1所定弾性値」は、第1送り手段26(図4〜図7参照)によって第1送り経路上(R1)で媒体(P1)を送ることができる限界値である。即ち、該送ることができる弾性値のうち最も高い値である。
【0026】
また、プリンター1の前方にはボタン等を有する操作部(図示せず)が設けられている。ユーザーが操作部(図示せず)を操作することにより、記録条件や用紙等の媒体の条件等を設定することができるように構成されている。さらに、操作することにより記録実行開始の信号が制御部(図示せず)へ送られるように構成されている。
またさらに、プリンター1の前方には第2カバー部材5(図4、図7参照)が設けられている。そして、第2カバー部材5(図4、図7参照)は開閉自在に設けられている。
【0027】
詳しくは後述するが、第2カバー部材5を前方へ開いた状態にすることができる(図4、図7参照)。第2カバー部材5を開いて、第2カバー部材5の内部を引き出すようにスライドさせて伸ばした状態にすることにより、普通紙P1が排出される第1排出部6(図4、図7参照)としての第1トレイ7(図4、図7参照)の役割をする。
また、第2カバー部材5(図4、図7参照)を開くと、内部の第2トレイ10(図5、図6参照)がプリンター1の前方へ突出可能となる。詳しくは後述するが、第2トレイ10が突出した状態では、第2トレイ10(図5、図6参照)は厚みのある媒体である第2類の媒体の一例であるボード紙、CD−RトレイP2および第3類の媒体の一例である専用紙P3を載置することができる第2載置部8(図5、図6参照)の役割をする。
【0028】
ここで、「第2類の媒体」とは、後述するように第1送り手段26によって第1送り経路上(R1)を送ることができない媒体をいう。具体的には、可撓性を有さない剛性の高い媒体や、可撓性を有していても第2所定弾性値以上の弾力が強い媒体をいう。また、「ボード紙」とは、パネル(ボード)がメディアと一体になったものをいう。
「第2所定弾性値」は、前記第1所定弾性値より高い値であって、第2送り手段35(図4〜図7参照)によって第3送り経路上(R3)で媒体(P2)を送ることができない限界値である。即ち、該送ることができない弾性値のうち最も低い値である。
【0029】
また、「第3類の媒体」とは、「第2類の媒体」と同様に第1送り手段26によって第1送り経路上(R1)を送ることができない媒体であって、可撓性の有しており「第2類の媒体」と比較して弾力が弱い媒体をいう。より具体的には、前記第1所定弾性値以上であり前記第2所定弾性値未満の媒体をいう。また、「専用紙」とは、普通紙P1とは異なり写真等の特定の目的に使用するための用紙であって普通紙P1と比較して所謂、コシが強いものをいう。「コシ」とは、弾力をいう。
尚、第2トレイ10(図5、図6参照)には、幅方向Xにおいて、セットされた「第2類の媒体」および「第3類の媒体」の位置を決める第2エッジガイド(図示せず)が設けられている。
【0030】
さらに、第2トレイ10(図5、図6参照)は記録完了後のボード紙、CD−RトレイP2および専用紙P3が排出される第2排出部9(図5、図6参照)としての役割をもする。
またさらに、プリンター1の後方には可動案内部材25が設けられている。図2および図3に示すのは可動案内部材25が後方へ開いた状態である。このうち、図2は可動案内部材25を開いて、可動案内部材25の内部を引き出すようにスライドさせて上方へ伸ばした状態である。詳しくは後述するように可動案内部材25は、専用紙P3を記録する際に開いた状態にすることにより媒体の送り経路(R3)を側視曲がった構成とするように設けられている(図6参照)。
【0031】
また、詳しくは後述するように、プリンター1の後方にはロール状の第4類の媒体の一例であるロール紙P4を保持するロールホルダー3が設けられている。
ここで、「第4類の媒体」とは、送られる前の段階でロール状に巻回されている状態の媒体であって、解いて送ることができる媒体をいう。コシは、ロール状にできる程度に弱いものとする。
尚、図1〜図3では、ロール紙P4の図示を省略してある。これは、可動案内部材の状態の理解を容易にするためである。
【0032】
続いて、本願発明の要部について詳しく説明する。
図1〜図3に示す如く、可動案内部材25は、プリンター1の後方へ開閉可能に設けられている。そして、図1に示す如く、可動案内部材25が閉じた状態では、筐体2における後側の面と同一面となるように構成されている。言い換えると、可動案内部材25を使用しない場合は、可動案内部材25の外側の面が筐体2の後側の面と同一面となるように収納される。
【0033】
一方、図2に示す如く、可動案内部材25が開いた状態では、前述したように可動案内部材25の内部を引き出すようにスライドさせて上方へ伸ばした状態(伸展した状態)とすることができる。そして、後述するように送り経路(R3)を側視湾曲した区間S2(図6参照)を有する構成とすることができる。
さらに、図3に示す如く、可動案内部材25が開いた状態では、可動案内部材25の内部が収納され図2に示す伸展した状態に対して、収縮した状態とすることができる。そして、後述するようにロールホルダー3にセットされたロール紙P4を送り経路(R4(図7参照))で送ることができる。
【0034】
また、ロールホルダー3は、プリンター本体の基体部45に対して着脱可能に設けられている。これは、ロール紙P4をセットする際に、ロールホルダー3の圧入部46をロール紙P4の芯に圧入して取り付けるためである。また、使用済みのロール紙の芯からロールホルダー3の圧入部46を引き抜いて新しいロール紙P4と交換するためである。
具体的には、ロールホルダー3に設けられた鉤状の係合部47をプリンター本体の背面側に設けられた被係合部48に引っかけるようにして係合させる。
【0035】
これにより、ロールホルダー3をプリンター本体に取り付けることができるように構成されている(図4〜図7参照)。そして、係合部47と被係合部48との係合を解除することによりロールホルダー3をプリンター本体から取り外すことができるように構成されている。
尚、可動案内部材25の開閉動作は、ユーザーが手動で開閉してもよいが、モーターの動力によって自動で開閉するように構成してもよいのは勿論である。自動で開閉する構成とする場合、プリンター1が設定された記録条件や用紙等の媒体の条件等から判断して開閉するように構成することができる。
[普通紙(第1類の媒体P1)の場合]
【0036】
続いて、プリンター1の内部について説明する。
図4に示すのは、普通紙(第1類の媒体P1)を搬送し記録するときにおけるプリンターの内部を示す概略側面図である。
図4に示す如く、プリンター1は、媒体を送る媒体送り装置42と、記録部30と、を備えている。また、媒体送り装置42は、第1載置部22と、第1送り手段26と、分離手段28と、第2送り手段35と、記録部30と、第3送り手段38と、第1排出部6と、を備えている。このうち、第1載置部22は、普通紙P1を載置することができるように設けられている。具体的には、第1載置部22は、ホッパー23と、第1エッジガイド24と、を有している。
【0037】
そして、ホッパー23は、載置された普通紙P1と一体となって、後述する給送ローラー27に対して接離移動することができるように設けられている。また、第1エッジガイド24は、ホッパー23と一体に給送ローラー27に対して接離移動し、普通紙P1の幅方向両側において該幅方向Xにホッパー上を移動することができるように一対設けられている。
【0038】
従って、ホッパー上に載置された普通紙P1の両側側端をきれいに揃えることができる。また、ホッパー上において、幅方向Xにおける普通紙P1の位置を精度良く決めることができる。
また、第1送り手段26は、ホッパー上の普通紙P1を送り方向下流側へ送ることができるように設けられている。具体的には、第1送り手段26は、図示しない第1モーターによって駆動する給送ローラー27を有している。
【0039】
そして、ホッパー上の給送ローラー27に対して最上位の普通紙P1と接触したときの摩擦力により、最上位の普通紙P1を送り方向下流側へ送ることができるように設けられている。
尚、本実施形態では、第1載置部22であるホッパー23が給送ローラー27に対して接離移動する構成としたが、これに限られるものではない。ホッパー23と給送ローラー27とが相対的に接離移動する構成であればよい。言い換えると、給送ローラー27がホッパー23に対して接離移動する構成でもよいのは勿論である。
【0040】
またさらに、分離手段28は、第1送り手段26によって送られる普通紙P1が複数枚重なっている場合に余分な次位以降の普通紙P1を最上位の普通紙P1から分離することができるように設けられている。具体的には、分離手段28は、一例として公知技術である所定の負荷を伴って回転するローラーである所謂、リタードローラー29を有している。
尚、分離手段28は、摩擦係数が高い素材で形成されたパッドでもよいのは勿論である。
【0041】
そして、最上位の普通紙P1の先端は、第1案内部43より記録時の送り方向下流側(Y軸の矢印方向)に設けられた第2案内部44によって第2送り手段35へ案内されるように構成されている。
ここで、第1案内部43は、後述するように専用紙P3、ボード紙、CD−Rトレイ等P2、ロール紙P4の媒体である場合に該媒体を案内するように構成されている。
【0042】
また、第2送り手段35は、普通紙P1の場合は第1送り手段26によって送られてきた普通紙P1をさらに送り方向下流側の記録部30へ送ることができるように構成されている。
尚、詳しくは後述するが専用紙P3、ボード紙、CD−Rトレイ等P2の媒体である場合は、これらの媒体を記録時の送り方向上流側および下流側へ送ることができるように構成されている。
【0043】
具体的には、第2送り手段35は、第1ローラー対36を有している。第1ローラー対36は、例えば、DCモーターである第2モーター41の動力によって駆動する第1駆動ローラー36aと、従動回転する第1従動ローラー36bとによって構成されている。
ここで、「DCモーター」とは、直流電源を使用し、所謂、「ブラシ付きDCモーター」や「ブラシレスモーター」をいい、入力パルス数に比例して駆動する「ステッピングモーター」は含まれない。
【0044】
さらに、第2送り手段35は、詳しくは後述するが第1接離移動手段37によって第1駆動ローラー36aと第1従動ローラー36bとが相対的に接離移動することができるように構成されている。即ち、接近した状態と、離間した状態とを切り換え可能に構成されている。本実施形態では、第1従動ローラー36bが第1駆動ローラー36aに対して接離移動することができるように設けられている。
【0045】
尚、第1駆動ローラー36aが第1従動ローラー36bに対して接離移動する構成でもよいのは勿論である。本実施形態において第1従動ローラー36bが第1駆動ローラー36aに対して接離移動する構成とした理由は、第1駆動ローラー36aへの動力伝達機構を考慮すると駆動する側が移動可能な構成と比較して従動回転する側が移動可能な構成とする方が容易だからである。
また、接離移動させる手段である第1接離移動手段37としては、カム機構やギア機構によって動力を伝達する機構を挙げることができる。
【0046】
また、第1送り手段26から第2送り手段35へ普通紙P1が送られる際、送り方向に対する普通紙P1の姿勢を正すための動作である所謂、スキュー取り動作を実行するように構成されている。
スキュー取り動作は、所謂、「食い付き吐き出し方式」でも「突き当て方式」でもよい。
ここで、「食い付き吐き出し方式」とは、第2送り手段35である第1ローラー対36が普通紙P1の先端を一度挟持し、第1ローラー対36を逆転させて普通紙P1の先端側を送り方向上流側へ逆送りする。そして、第1送り手段26である給送ローラー27と第2送り手段35である第1ローラー対36との間において、普通紙P1を撓ませて普通紙P1の先端を第1ローラー対36のニップラインに押し付けることにより、先端の姿勢をニップラインに倣わせる方式をいう。
【0047】
即ち、第1ローラー対36に普通紙P1の先端を一度食い付かせた後、送り方向上流側へ普通紙P1の先端側を吐き出すことにより普通紙P1を撓ませて先端の姿勢をニップラインに倣わせる方式をいう。
ここで、「ニップライン」とは、第1ローラー対36の外接する箇所が成す線をいう。即ち、第1ローラー対36における挟圧する箇所が成す線である。
【0048】
一方、「突き当て方式」とは、給送ローラー27によって普通紙P1を送り方向下流側へ送り普通紙P1の先端を、停止している状態または逆転駆動している状態の第1ローラー対36のニップラインに押し付けることにより、先端の姿勢をニップラインに倣わせる方式をいう。即ち、第1ローラー対36に普通紙P1の先端を突き当てることにより先端の姿勢をニップラインに倣わせる方式をいう。尚、給送ローラー27と第1ローラー対36との間において、普通紙P1を撓ませて先端の姿勢をニップラインに倣わせてもよいし、撓ませずに先端の姿勢をニップラインに倣わせてもよい。
【0049】
従って、普通紙P1の場合は、送り方向に対する普通紙P1の姿勢が傾いていたときであっても普通紙P1の姿勢を正してから記録部30へ送ることができる。
また、記録部30は、送られてきた普通紙等の媒体(P1〜P4)に対して記録を実行することができるように構成されている。具体的には、記録部30は、記録ヘッド31と、媒体支持部34と、を有している。
【0050】
このうち、記録ヘッド31は、ノズル列32よりインク滴を吐出することにより記録を実行することができるように設けられている。また、媒体支持部34は、記録ヘッド31と対向する位置に設けられている。そして、普通紙等の媒体(P1〜P4)を鉛直方向下方から支持することにより、記録ヘッド31と普通紙等の媒体(P1〜P4)との間を所定の間隔を保つことができるように設けられている。
【0051】
尚、記録部30において、送られる媒体(P1〜P4)の材質、厚み等の種類に応じて記録ヘッド31と、媒体支持部34との間のZ軸方向における間隔を調整することができるように構成されているものとする。言い換えると、記録ヘッド31と、媒体支持部34とが相対的に変位することができるように構成されているものとする。この変位は、手動でも自動でもよい。
ここで、Z軸の方向は、記録ヘッド31と媒体(P1〜P4)とが対向する方向である。
【0052】
記録ヘッド31が媒体支持部34に対して変位する構成でもよいし、逆に媒体支持部34が記録ヘッド31に対して変位する構成でもよい。これは、送られる媒体(P1〜P4)と記録ヘッド31との接触を防止するためである。これにより、記録ヘッド31が破損すること、汚れること、媒体(P1〜P4)が破損することや汚れることを防止することができる。
【0053】
またさらに、第3送り手段38は、記録部30より記録時の送り方向下流側に設けられ、記録された媒体(P1〜P4)を送り方向下流側へさらに送ることができるように設けられている。具体的に、第3送り手段38は、前述した第2送り手段35と同様に第2ローラー対39を有している。第2ローラー対39は、第2モーター41の動力によって駆動する第2駆動ローラー39aと、従動回転する第2従動ローラー39bとによって構成されている。
【0054】
さらに、第3送り手段38は、詳しくは後述するが第2接離移動手段40によって第2駆動ローラー39aと第2従動ローラー39bとが相対的に接離移動することができるように構成されている。即ち、接近した状態と、離間した状態とを切り換え可能に構成されている。本実施形態では、第2従動ローラー39bが第2駆動ローラー39aに対して接離移動することができるように設けられている。
【0055】
また、第1排出部6(図4、図7参照)は、記録部30において記録された普通紙P1が第3送り手段38によって送り方向下流側へ送られて排出される際、該普通紙P1を受け止めて積層することができるように設けられている。具体的に、第1排出部6(図4、図7参照)は、第3送り手段38より記録時の送り方向下流側であって鉛直方向下方に設けられた第1トレイ7(図4、図7参照)を有している。従って、連続して排出された普通紙P1を積層することができる。
【0056】
以上、説明したように、媒体が普通紙P1の場合は、第1載置部22から第1排出部6(図4、図7参照)までの経路である第1送り経路R1に案内されるように構成されている。
尚、図4において、理解を容易にするために第2排出部9(図5、図6参照)の図示は省略してある。第2排出部9である第2トレイ10(図5、図6参照)は、普通紙P1を第1トレイ上に排出する妨げとならない位置に位置しているものとする。
[ボード紙、CD−Rトレイ等(第2類の媒体P2)の場合]
【0057】
次に、媒体がボード紙、CD−Rトレイ等(第2類の媒体P2)の場合について説明する。
図5に示すのは、ボード紙、CD−Rトレイ等を搬送し記録するときにおけるプリンターの内部を示す概略側面図である。
図5に示す如く、可動案内部材25が閉じた状態では、第2トレイ10の上面、媒体支持部34の上面、第2案内部44の上面および第1案内部43の上面によって側視一直線上となるように構成されている。
【0058】
そして、第2トレイ10の上面、媒体支持部34の上面、第2案内部44の上面および第1案内部43の上面によってボード紙、CD−Rトレイ等P2が送られる送り経路である第2送り経路R2が構成される。即ち、第2送り経路R2は、側視一直線上に構成されている。この理由は、媒体がボード紙、CD−Rトレイ等P2の場合、媒体が剛体であるためまたは弾力が強いため側視湾曲した第1送り経路上(R1)を送ることができない。そのために側視一直線上に構成された第2送り経路R2を第1送り経路R1とは別に設ける必要があるからである。
尚、後述する第3類の媒体(P3)の場合も第2類の媒体(P2)と同様に第2送り経路上(R2)を送ることができることは言うまでもない。
【0059】
具体的には、媒体がボード紙、CD−Rトレイ等P2の場合、ユーザーは、ボード紙、CD−Rトレイ等P2をプリンター1の前方の第2載置部8である第2トレイ10に載置する。この際、操作部(図示せず)で媒体の種類を設定することにより、第1ローラー対36は、第1接離移動手段37によって前記離間した状態となる。同様に、第2ローラー対39は、第2接離移動手段40によって前記離間した状態となる。そして、ユーザーは、第2トレイ上において媒体の種類に応じて該媒体を所定の位置に合わせる。
ここで、「所定の位置」とは、媒体(P2、P3)の一部が第1ローラー対36の第1駆動ローラー36aと第1従動ローラー36bとの間に位置する位置をいう。
【0060】
その後、ユーザーは操作部(図示せず)を操作することにより記録実行開始の信号が制御部へ送られる。これにより、第1ローラー対36は前記接近した状態に切り換えられる。従って、媒体(P2、P3)が第1ローラー対36によって挟持された状態となる。
ここで、第1ローラー対36と記録ヘッド31との間において、媒体(P2、P3)の有無を検出することができる第1センサー33が設けられている。従って、プリンター1は、媒体(P2、P3)がセットされたと判断することができる。この判断に基づいて、制御部が第1ローラー対36を前記接近した状態に切り換える。仮に媒体(P2、P3)がセットされていないと判断した場合は、エラー表示をしてもよい。
【0061】
尚、第2ローラー対39は前記離間した状態のままである。これは、第1ローラー対36によって媒体(P2、P3)を送る精度を出すように構成されているからである。第2ローラー対39を第1ローラー対36と同様に前記接近した状態に切り換えてもよいのは勿論である。係る場合、前記「所定の位置」は、媒体(P2、P3)の一部が第2ローラー対39の第2駆動ローラー39aと第2従動ローラー39bとの間に位置する位置であればよい。
【0062】
そして、第1ローラー対36に挟持された媒体(P2、P3)は、第1センサー33が媒体(P2、P3)を検出しなくなるまで、記録時の送り方向上流側へ送られる。この際、媒体(P2、P3)は、第2トレイ10、媒体支持部34、第2案内部44および第1案内部43によって案内されながら第2送り経路上(R2)における記録時の送り方向上流側へ移動する。
ここで、媒体(P2、P3)の長さが長い場合、媒体(P2、P3)における記録時の送り方向上流側は、第1案内部43に案内されながら、筐体2の外側へ突出することができるように構成されている。即ち、プリンター1の後方へ突出することができるように構成されている。
【0063】
そして、プリンター1は、第1センサー33が媒体(P2、P3)を検出しなくなったタイミングによって、媒体(P2、P3)における記録時の送り方向下流端の位置を把握することができる。即ち、記録時における媒体(P2、P3)の先端の位置を把握することができる。これに基づいて第1ローラー対36を駆動させることにより、記録時における媒体(P2、P3)の先端の位置を記録開始時の基準位置に合わせることができる。所謂、頭出しである。
尚、このとき、媒体(P2、P3)は第1ローラー対36に挟持されたままの状態である。
【0064】
その後、媒体(P2、P3)は第1ローラー対36によって記録時の送り方向下流側へ送られ、記録部30によって記録されるように構成されている。記録が完了すると、第1ローラー対36によって媒体(P2、P3)は記録時の送り方向下流側へさらに送られ、第2トレイ10に排出される。即ち、ユーザーが媒体(P2、P3)をセットした位置と略同じ位置に排出される。
【0065】
尚、操作部(図示せず)で媒体(P2、P3)の種類を設定することにより、第2トレイ10が第3送り手段38より記録時の送り方向下流側であって鉛直方向Zにおいて同じ高さとなる位置へ移動するように構成してもよい。第2トレイ10の移動は、図示しないモーターの動力によって移動する構成でもよいし、手動で位置を切り換える構成でもよい。
また、普通紙P1の場合の排出を妨げない場合であって、第2トレイ10の上面が媒体支持部34の上面と鉛直方向Zにおいて同じ高さであれば、普通紙P1の場合と同じ位置であってもよい。係る場合、第2カバー部材5(図4、図7参照)を前方に開く動作と連動して第2トレイ10の位置が図4に示す位置まで移動する構成としてもよい。
【0066】
また、制御部は、図示しない第2センサーを用いて可動案内部材25が図4に示す閉じた状態か否かを判定するように構成されているものとする。ボード紙、CD−Rトレイ等P2が送られる送り経路である第2送り経路R2が、プリンター1の後方において開放された状態か否かを判断するためである。
そして、開いている場合はユーザーに対して注意をして閉じた状態とするように促すように構成されている。例えば、操作部(図示せず)に設けた液晶パネル等の表示部にその旨を表示したり、警告音を発したりすることにより促すことができる。
[専用紙(第3類の媒体P3)の場合]
【0067】
続いて、媒体が専用紙(第3類の媒体P3)の場合について説明する。
図6に示すのは、専用紙を搬送し記録するときにおけるプリンターの内部を示す概略側面図である。
図6に示す如く、可動案内部材25が開いた状態では、第2トレイ10の上面、媒体支持部34の上面、第2案内部44の上面および第1案内部43の上面により第1直線区間S1が構成される。さらに、第1案内部43の上面における記録時の送り方向上流側および可動案内部材25の揺動中心側によって側視湾曲した区間S2が構成される。またさらに、可動案内部材25の自由端側によって第2直線区間S3が構成される。
【0068】
そして、第1直線区間S1、側視湾曲した区間S2および第2直線区間S3によって専用紙P3が送られる送り経路である第3送り経路R3が構成される。即ち、第3送り経路R3は、プリンター1の後方において側視湾曲した区間S2を有するように構成されている。この理由は、可撓性のある媒体である専用紙P3が、ボード紙、CD−Rトレイ等P2と同様に第2載置部8に載置され、記録実行前の段階において記録時の送り方向上流側へ送られた際、専用紙P3における記録時の送り方向上流側の姿勢を曲げるためである。
【0069】
これにより、プリンター1の後方へ媒体(P3)が突出する距離を、第2送り経路R2を用いた場合と比較して短くすることができる。従って、プリンター1の後方近傍に部屋の壁等の障害物があった場合であっても、記録実行前の段階においてプリンター1の後方へ突出した媒体(P3)が障害物と接触する虞を殆ど無にすることができる。その結果、専用紙P3の場合、第2送り経路R2ではなく第3送り経路R3を使用することにより、プリンター1の後方において第2送り経路R2の使用時に必要であった十分に広い空間を確保する必要がない。
【0070】
即ち、専用紙P3の場合においてはプリンター1の後方に十分な広い空間を確保するためにプリンター1を前方へ移動させるユーザーの手間を無くすことができる。
尚、専用紙P3は普通紙P1と比較して弾力が強く、送り経路との間で生じる摩擦抵抗等が大きい。そのため、給送ローラー27では十分な送り力を専用紙P3に対して付与することが困難であり、第1送り経路R1で普通紙P1と同様には送ることができない。
【0071】
このような理由により、専用紙P3は、ボード紙、CD−Rトレイ等P2と同様に第2載置部8に載置され、第1ローラー対36に挟持されて記録時の送り方向上流側および下流側へ送られるように構成されている。
ここで、第1ローラー対36は、媒体(P3)をしっかりと挟持する構成であることにより、給送ローラー27と比較して、媒体(P3)に対して大きい送り力を付与することができるものとする。
【0072】
そして、専用紙P3は、第1送り経路R1で普通紙P1と同様には送ることはできないが、ボード紙、CD−Rトレイ等P2と比べて、可撓性を有しており、弾力が弱い媒体であるものとする。
その後、前述したボード紙、CD−Rトレイ等P2の場合と同様に、第1ローラー対36に挟持された専用紙P3は、第1センサー33が専用紙P3を検出しなくなるまで、記録時の送り方向上流側へ送られる。この際、専用紙P3は、第2トレイ10、媒体支持部34、第2案内部44、第1案内部43および可動案内部材25によって案内されながら第3送り経路上(R3)における記録時の送り方向上流側へ移動する。
【0073】
そして、プリンター1は、第1センサー33が専用紙P3を検出しなくなったタイミングによって、専用紙P3における記録時の送り方向下流端の位置を把握することができる。即ち、記録時における専用紙P3の先端の位置を把握することができる。これに基づいて第1ローラー対36を駆動させることにより、記録時における専用紙P3の先端の位置を記録開始時の基準位置に合わせることができる。所謂、頭出しである。
尚、このとき、専用紙P3は第1ローラー対36に挟持されたままの状態である。
【0074】
その後、専用紙P3は第1ローラー対36によって記録時の送り方向下流側へ送られ、記録部30によって記録されるように構成されている。そして、記録が完了すると、第1ローラー対36によって専用紙P3は記録時の送り方向下流側へさらに送られ、第2トレイ10に排出される。即ち、ユーザーが専用紙P3をセットした位置と略同じ位置に排出される。
【0075】
尚、本実施形態では、専用紙P3が第2載置部にセットされる構成としたがこれに限られるものではない。可動案内部材上に専用紙P3がセットされる構成としてもよい。係る場合、専用紙P3を記録時の送り方向上流側へ一度逆送りする必要ない。本実施形態で専用紙P3が第2載置部にセットされる構成とした理由は、セットした際に容易に専用紙P3を第2送り手段35である第1ローラー対36に挟持させることができるからである。
【0076】
さらに、一度逆送りすることにより、記録実行する前の段階で第1ローラー対36によって送る際のモーターの負荷を測定することができる。そして、測定した負荷の水準および変化の仕方に応じて、専用紙P3が位置する区間を判断することができる。さらに、該判断に基づいて、記録時の送り方向下流側へ送る際にモーターに対する入力に補正値を加えて該モーターを駆動させることができるからである。
【0077】
具体的には、モーターの電流値を検出し、該電流値に応じて前記補正値を設定することができるからである。前記モーターの電流値の大きさに応じて、前記補正値の大きさを変えて設定することにより、送り量の誤差を限りなく小さくすることができるからである。即ち、送り精度を安定させることができるからである。
また、専用紙P3を送っている最中において前記モーターの電流値の大きさが変動する場合、該電流値の大きさの変動に応じて前記補正値の大きさも変動するように設定することができるからである。即ち、専用紙P3を送っている最中においても送り精度を安定させることができる。
【0078】
また、本実施形態では、専用紙P3を送る場合であっても、ロールホルダー3を取り外す必要がない。即ち、可動案内部材25を開いて伸展させた状態にする際、ロール紙が該状態にすることの妨げとなる虞がないように構成されている。可動案内部材25を開いて伸展させた状態では、可動案内部材25の背面側がロール紙P4の外周と接触してもよいし、接触しないように構成してもよい。いずれの場合であっても、専用紙P3を案内することができるからである。
[ロール紙(第4類の媒体P4)の場合]
【0079】
続いて、媒体がロール紙(第4類の媒体P4)の場合について説明する。
図7に示すのは、ロール紙を搬送し記録するときにおけるプリンターの内部を示す概略側面図である。
図7に示す如く、可動案内部材25が開いて収縮した状態では、ロール紙P4が送られる経路である第4送り経路上(R4)において可動案内部材25より背面側からロール紙P4を記録部30へ送ることができるように構成されている。具体的には、可動案内部材25が開いて収縮した状態では、ロールホルダー3から可動案内部材25、第1案内部43、第2案内部44、媒体支持部34を介して第1トレイ7までの第4送り経路R4が形成されるように設けられている。ここで、可動案内部材25は前述したように収縮・伸展可能に設けられている。従って、ユーザーが可動案内部材25を取り外すことなく、セットされたロール紙P4を送ることができる。
【0080】
即ち、前述した図10に示す媒体送り装置の構成のようにロール紙を送る際、媒体サポート部材を取り外してからロール紙ホルダーを取り付ける必要がない。さらに言い換えると、ロール紙ホルダーに付け替える必要がない。
また、可動案内部材25の自由端側は、解かれたロール紙P4におけるロール紙P4が巻かれていた段階の内側面となる面を圧接するように構成されている。該面は記録時に記録される面を表面としたときの裏面となる。従って、ロール紙P4の表面に傷や汚れ等が生じる虞がない。
【0081】
またさらに、可動案内部材25の自由端側は、ロール紙P4の径の大小に拘わらず解かれたロール紙P4を圧接することができるように構成されている。即ち、ロール紙P4の残量の多少に拘わらず圧接することができるように構成されている。
具体的には、新品のロール紙P4がロールホルダー3にセットされ、ロール紙P4の下流側を送り経路R4の搬送ローラー対に挟圧された状態にして記録開始準備が完了する。この状態では、可動案内部材25の自由端側は解かれたロール紙P4を圧接している。
【0082】
そして、ロール紙P4を送ることに従ってロール紙P4の残量が徐々に少なくなる。そのため、ロール紙P4の径が徐々に小さくなる。これに伴って、ロール紙P4が解かれる位置、即ち、ロール紙P4が巻かれた状態のロール紙P4の外周から離間しようとする位置は、徐々にロール紙P4の径の中心側へ移動する。係る場合であっても、可動案内部材25の自由端側は解かれたロール紙P4を圧接することができるように構成されている。
【0083】
従って、可動案内部材25とロール紙P4とが接触する箇所より送り方向下流側における解かれたロール紙P4の姿勢を常に一定にすることができる。その結果、送り経路における解かれたロール紙P4の姿勢を安定させることができ、記録精度も安定させることができる。
尚、本実施形態では、ロールホルダー3によってロール紙P4が可動案内部材25の背面側近傍に配設されるように構成したがこの限りではない。ロール紙P4がプリンター本体の背面側に離間した位置に設けられていてもよい。言い換えると、ロール保持手段としてのロールホルダー3がプリンター本体と別体に構成されていてもよい。係る場合も同様の作用効果を得ることができるからである。
【0084】
また、本実施形態では、第3送り経路R3と第4送り経路R4とを比較すると、送り方向Yにおける可動案内部材25、第1案内部43、第2案内部44、媒体支持部34が設けられている範囲において共通しているがこれに限られるものではない。少なくとも可動案内部材25が設けられている範囲において共通している構成であればよい。また、第4送り経路R4が第1排出部上(第1トレイ上)でなく第2排出部上(第2トレイ上)を通る構成でもよい。
【0085】
続いて、可動案内部材25の開閉機構についてより詳しく説明する。
図8(A)(B)に示すのは、可動案内部材の開閉機構を示す概略側面図である。このうち、図8(A)は可動案内部材が閉じた状態である。一方、図8(B)は可動案内部材が開いた状態である。
尚、図8(A)(B)では可動案内部材の開閉機構の理解を容易にするためにローラホルダーの図示を省略する。
【0086】
図8(A)(B)示す如く、可動案内部材25の開閉機構12は、第1溝部17と、第2溝部18と、第1突部14と、第2突部15と、付勢手段の一例であるばね20と、を有している。このうち、第1溝部17は、プリンター1の基体部45における可動案内部材25の幅方向両側に一対設けられている。具体的には、Z軸方向に延設されている。また、第2溝部18は、第1溝部17と同様にプリンター1の基体部45における可動案内部材25の幅方向両側に一対設けられている。
【0087】
さらに、第2溝部18は、第1部分18aおよび第2部分18bを有している。具体的には、図8(A)(B)に示す如く、Z軸方向上方の第1部分18aが第1溝部17の延設された方向(Z軸方向)に対して略直交するように設けられている。また、その第1部分18aよりZ軸方向下方の第2部分18bはZ軸方向と交差する方向へ延設されている。即ち、第2溝部18は、側視屈曲した形状に構成されている。
【0088】
またさらに、第1突部14は、可動案内部材25における幅方向両側に一対設けられており、第1溝部17と係合するように構成されている。即ち、第1突部14と第1溝部17とが溝カムを構成するように設けられている。
また、第2突部15は、第1突部14と同様に可動案内部材25における幅方向両側に一対設けられており、第2溝部18と係合するように構成されている。即ち、第2突部15と第2溝部18とが溝カムを構成するように設けられている。
【0089】
またさらに、ばね20は、可動案内部材25を該可動案内部材25の開いた状態に位置および閉じた状態の位置へ付勢するように設けられている。可動案内部材25を二つに位置に安定させる所謂、二位置安定機構である。具体的には、ばね20の一端側が基体部45と係合しており、他端側が可動案内部材25の第2突部15と係合している。そして、ばね20が常に第2突部15を第2溝部内の移動方向における両側端部に向かって付勢するように構成されている。従って、可動案内部材25が開いた状態と閉じた状態との間の中途半端な状態となる虞がない。
【0090】
また、第2溝部18の近傍には第2溝部18が延設された方向に沿ってラック部19が形成されている。またさらに、第2突部15には、ラック部19と噛み合うピニオン部16が回動自在に設けられている。ラック部19とピニオン部16とがラックアンドピニオン機構を構成し、可動案内部材25の開いた状態および閉じた状態の切り換えを滑らかに行うことができるように構成されている。言い換えると、ピニオン部16は、第2突部15と第2溝部18との間において生じる摩擦抵抗を低減させるローラーの役割を果たすことができる。
尚、本実施例において、ラックアンドピニオン機構としたのは、グリースが端に押しやられることを防止するためである。従って、前記切り換えの際の滑らかさを保持することができる。
【0091】
図8(A)に示す閉じた状態から図8(B)に示す開いた状態に切り換える際、ユーザーは、図8(A)における可動案内部材25の上方をプリンター1の後方(図8(A)における右側)へ移動させる。このとき、第2突部15は第2溝部18の第1部分18aを移動し、可動案内部材25は第1溝部17と係合する第1突部14を中心に揺動する。
尚、可動案内部材25の上方には、ユーザーが指を引っかけやすくするための切欠き部が形成されているものとする。
【0092】
その後、ユーザーは、可動案内部材25の上方をさらに開く方向(図8(A)における右側)へ揺動させようとすると、第1突部14が第1溝部17に沿って移動しようとするため、可動案内部材25が下方へ移動しようとする力成分が生じる。これにより、第1突部14は第1溝部17に案内されて下方へ移動し、第2突部15は第2溝部18の第2部分18bに案内されて下方へ移動する。
【0093】
即ち、可動案内部材25は、第1突部14および第2突部15より図8(A)における左側を中心に揺動するように移動する。これにより、第1突部14および第2突部15の一方のみを中心として揺動する構成と比較して、第1案内部43と可動案内部材25とを繋いで前述した第3送り経路R3を構成するために必要な可動案内部材25の上方の揺動する距離を短くすることができる。即ち、プリンター1の後方への揺動距離を短くすることができる。
【0094】
従って、第1突部14および第2突部15の一方のみを中心として揺動する構成におけるプリンター1の後方への可動案内部材25の開閉動作に必要な空間の大きさと比較して、開閉動作に必要な空間の大きさを小さくすることができる。即ち、狭い空間であっても可動案内部材25を開閉することができる。
尚、この際の可動案内部材25の移動は、必ずしも一点を中心とした揺動でなくてもよい。移動の途中において中心の位置が変化する構成でも同様の作用効果を得ることができるからである。
【0095】
そして、第1突部14が第1溝部17の下端に度当たること、および第2突部15が第2溝部18の下端に度当たることの少なくとも一方により、可動案内部材25の移動が停止し、図8(B)に示す可動案内部材25が開いた状態となる。このとき、可動案内部材25の下端と、第1案内部43とが噛み合うように構成されている(図示せず)。具体的には、可動案内部材25の基端には第1リブ13が形成されている。第1リブ13は、第1案内部上に形成された第2リブ(図示せず)と櫛歯状に噛み合うように構成されている。前述した第3類の媒体P3を記録時の送り方向上流側へ送る際、第3類の媒体P3の上流端が第1直線区間S1から湾曲した区間S2にさしかかったときに第3類の媒体P3の上流端が、可動案内部材25の下端と、第1案内部43との繋ぎ目(連結箇所F)に引っ掛からないようにするためである。
【0096】
また、図8(B)に示す開いた状態から図8(A)に示す閉じた状態に切り換える際について説明する。ユーザーは、可動案内部材25の上方を閉じる方向(図8(B)における左側)へ揺動させようとすると、第1突部14が第1溝部17に沿って移動しようとするため、可動案内部材25が上方へ移動しようとする力成分が生じる。これにより、第1突部14は第1溝部17に案内されて上方へ移動し、第2突部15は第2溝部18の第2部分18bに案内されて上方へ移動する。
【0097】
その後、ユーザーは、図8(B)における可動案内部材25の上方をプリンター1の前方(図8(B)における左側)へ移動させる。このとき、第2突部15は第2溝部18の第1部分18aを移動し、可動案内部材25は第1溝部17と係合する第1突部14を中心に揺動する。そして、可動案内部材25が図8(A)に示す閉じた状態となる。
尚、前述したラックアンドピニオン機構(16、19)によって図示しないモーターの動力を可動案内部材25へ伝達し、可動案内部材25が自動へ開閉する構成としてもよいのは勿論である。
【0098】
尚、ロール紙P4の交換は、ロールホルダー3をプリンター本体から取り外して行うように構成されている。具体的には、ロールホルダー3の係合部47をプリンター本体の被係合部48から取り外す。そして、ロールホルダー3の圧入部46をロール紙の芯から引き抜いて、別のロール紙の芯に圧入する。その後、ロールホルダー3の係合部47をプリンター本体の被係合部48に取り付ける。
【0099】
また、本実施例の構成では、第1類の媒体P1〜第4類の媒体P4がそれぞれ第1送り経路R1〜第4送り経路R4によって送られる構成としたがこれに限られるものではない。本願発明としては、第3類の媒体P3が第3送り経路R3によって送られ、第4類の媒体P4が第4送り経路R4によって送られる構成であればよい。言い換えると、第1送り経路R1および第2送り経路R2を有してなく、第1類の媒体P1および第2類の媒体P2に対応していない構成のプリンターであってもよい。
【0100】
本実施形態の媒体送り装置42は、被送り媒体の一例である第3類の媒体P3が送られる送り経路としての第3送り経路R3および第4類の媒体P4が送られる第4送り経路R4と、第3類の媒体P3および第4類の媒体P4を送る送り手段としての第2送り手段35と、を備え、単票の被送り媒体である第3類の媒体P3およびロール状の被送り媒体である第4類の媒体P4を送ることができる構成である媒体送り装置42であって、第2送り手段35は媒体送り装置42の前後方向に媒体(P3、P4)を送るように設けられており、媒体送り装置42の背面側において第3類の媒体P3および第4類の媒体P4を案内する案内部材としての可動案内部材25を備え、可動案内部材25は、可動案内部材25の基端側と自由端側とを結ぶ方向へ伸縮可能に設けられており、可動案内部材25が縮小した第1状態では、可動案内部材25は可動案内部材25より背面側から送られる第4類の媒体P4の送り経路である第4送り経路R4を形成し、可動案内部材25が伸展した第2状態では、可動案内部材25は可動案内部材上から送られる第3類の媒体P3の送り経路としての第3送り経路R3を形成する構成であることを特徴とする。
【0101】
また、本実施形態において、ロール状の第4類の媒体P4を保持するロール保持手段としてのロールホルダー3をさらに備えており、可動案内部材25の第2状態においても、ロールホルダー3はロール状の第4類の媒体P4を保持することができる構成であることを特徴とする。
またさらに、本実施形態において、可動案内部材25の第1状態では、ロールホルダー3に保持されたロール状の第4類の媒体P4の外径の大小に拘わらず、ロール状から解かれた第4類の媒体P4における箇所を、可動案内部材25の自由端が圧接する構成であることを特徴とする。
【0102】
また、本実施形態において、可動案内部材25は、媒体送り装置42の背面側において、該背面に倣う第1姿勢と、前記背面より後方へ倒れ前記前後方向に対して傾斜した姿勢であり前記伸縮可能な状態となる第2姿勢と、をとり得る構成であることを特徴とする。
またさらに、本実施形態において、前記第2姿勢の前記第2状態の可動案内部材25は、第2送り手段35によって第3送り経路R3における前記前後方向前側から後側へ送られた第3類の媒体P3の進行方向先端側を可動案内部材上に案内する構成であり、可動案内部材上に案内された第3類の媒体P3は、第2送り手段35によって可動案内部材上から前記前後方向前側へ送られる構成であることを特徴とする。
【0103】
本実施形態の記録装置の一例であるプリンター1は、被記録媒体の一例である第3類の媒体P3および第4類の媒体P4を送り方向Yへ送る媒体送り手段としての媒体送り装置42と、媒体送り装置42によって送られた第3類の媒体P3および第4類の媒体P4に対して記録ヘッド31により記録する記録部30と、を備えていることを特徴とする。
[他の実施形態]
【0104】
図9に示すのは、他の実施形態においてロール紙を搬送し記録するときにおけるプリンターの内部を示す概略側面図である。
図9に示す如く、他の実施形態のロールホルダー49は、前述した実施形態と比較して巻き方向が逆となるようにロール紙P4を保持するように構成されている。
尚、その他の部材については、前述した実施形態と同様であるので、同じ符号を用いることとしその説明は省略する。
【0105】
可動案内部材25の自由端側は、解かれたロール紙P4におけるロール紙P4が巻かれていた段階の外側面となる面を圧接するように構成されている。該面は記録時に記録される面を表面としたときの裏面となる。従って、ロール紙P4の表面に傷や汚れ等が生じる虞がない。
ここで、前述した実施形態と大きく異なる点は、可動案内部材25の自由端側が前記圧接することにより、解かれたロール紙P4を巻かれていた状態と逆の状態となるように曲げることができる点である。即ち、解かれたロール紙P4を、巻かれていた状態と逆方向に反らせることにより、巻かれていた状態の癖である所謂、巻き癖を低減することができる。
【0106】
また、前述した実施形態と同様に、ロール紙P4の残量の変化に拘わらず可動案内部材25の自由端側が解かれたロール紙P4を圧接する構成である。従って、ロール紙P4の残量に拘わらず巻き癖を低減することができる。尚、前述した実施形態と同様に、圧接した箇所より下流側において解かれたロール紙P4の姿勢を安定させることができることは言うまでもない。
【0107】
他の実施形態において、ロール状から解かれた第4類の媒体P4における解かれる前の段階で外側であった面を、可動案内部材25の自由端が圧接する構成であることを特徴とする。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0108】
1 プリンター、2 筐体、3 ロールホルダー、4 第1カバー部材、
5 第2カバー部材、6 第1排出部、7 第1トレイ、8 第2載置部、
9 第2排出部、10 第2トレイ、12 開閉機構、13 第1リブ、
14 第1突部、15 第2突部、16 ピニオン部、17 第1溝部、
18 第2溝部、18a 第1部分、18b 第2部分、19 ラック部、20 ばね、
22 第1載置部、23 ホッパー、24 第1エッジガイド、25 可動案内部材、
26 第1送り手段、27 給送ローラー、28 分離手段、29 リタードローラー、
30 記録部、31 記録ヘッド、32 ノズル列、33 第1センサー、
34 媒体支持部、35 第2送り手段、36 第1ローラー対、
36a 第1駆動ローラー、36b 第1従動ローラー、37 第1接離移動手段、
38 第3送り手段、39 第2ローラー対、39a 第2駆動ローラー、
39b 第2従動ローラー、40 第2接離移動手段、41 第2モーター、
42 媒体送り装置、43 第1案内部、44 第2案内部、45 基体部、
46 圧入部、47 係合部、48 被係合部、
49 (他の実施形態の)ロールホルダー、50 本願で考慮している媒体送り装置、
51 ホッパー、52 給送ローラー、53 第1被係合部、54 第2被係合部、
55 送り経路、56 媒体サポート部材、57 第1係合部、58 第2係合部、
59 ロール紙ホルダー、60 圧入部、61 第3係合部、F 連結箇所、
P1 普通紙(第1類の媒体)、
P2 ボード紙またはCD−Rトレイ(第2類の媒体)、
P3 専用紙(第3類の媒体)、P4 ロール紙(第4類の媒体)、
R1 第1送り経路、R2 第2送り経路、R3 第3送り経路、R4 第4送り経路、
S1 第1直線区間、S2 湾曲した区間、S3 第2直線区間、X 幅方向、
Y 記録時の送り方向、Z 記録ヘッドと媒体とが対向する方向(鉛直方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被送り媒体が送られる送り経路と、
被送り媒体を送る送り手段と、を備え、単票の被送り媒体およびロール状の被送り媒体を送ることができる構成である媒体送り装置であって、
前記送り手段は前記媒体送り装置の前後方向に被送り媒体を送るように設けられており、
前記媒体送り装置の背面側において被送り媒体を案内する案内部材を備え、
該案内部材は、該案内部材の基端側と自由端側とを結ぶ方向へ伸縮可能に設けられており、
該案内部材が縮小した第1状態では、前記案内部材は該案内部材より背面側から送られるロール状の被送り媒体の送り経路を形成し、
前記案内部材が伸展した第2状態では、該案内部材は該案内部材上から送られる単票の被送り媒体の送り経路を形成する構成である媒体送り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体送り装置において、ロール状の被送り媒体を保持するロール保持手段をさらに備えており、
前記案内部材の第2状態においても、前記ロール保持手段はロール状の被送り媒体を保持することができる構成である媒体送り装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の媒体送り装置において、前記案内部材の第1状態では、ロール保持手段に保持されたロール状の被送り媒体の外径の大小に拘わらず、ロール状から解かれた被送り媒体における箇所を、前記案内部材の自由端が圧接する構成である媒体送り装置。
【請求項4】
請求項3に記載の媒体送り装置において、ロール状から解かれた被送り媒体における解かれる前の段階で外側であった面を、前記案内部材の自由端が圧接する構成である媒体送り装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の媒体送り装置において、前記案内部材は、
前記媒体送り装置の背面側において、該背面に倣う第1姿勢と、前記背面より後方へ倒れ前記前後方向に対して傾斜した姿勢であり前記伸縮可能な状態となる第2姿勢と、をとり得る構成である媒体送り装置。
【請求項6】
請求項5に記載の媒体送り装置において、前記第2姿勢の前記第2状態の前記案内部材は、前記送り手段によって前記送り経路における前記前後方向前側から後側へ送られた単票の被送り媒体の進行方向先端側を前記案内部材上に案内する構成であり、
前記案内部材上に案内された単票の被送り媒体は、前記送り手段によって前記案内部材上から前記前後方向前側へ送られる構成である媒体送り装置。
【請求項7】
被記録媒体を送り方向へ送る媒体送り手段と、
該媒体送り手段によって送られた被記録媒体に対して記録ヘッドにより記録する記録部と、を備えた記録装置であって、
前記媒体送り手段は、請求項1から6のいずれか1項に記載された前記媒体送り装置を備え、前記被記録媒体は、前記被送り媒体である記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−157166(P2011−157166A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19150(P2010−19150)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】