孔掘具
【課題】孔掘具を真砂土等の比較的粘質の少ない土壌において使用する場合であっても、螺旋羽根に乗せる土塊を押圧圧縮することにより、前記螺旋羽根に土塊を乗せた状態で容易に引き抜くことができる孔掘具を提供することを目的とする。
【解決手段】基軸11の下方外周に螺旋体20を捲設し、前記基軸11を回転させて地中に回転挿入して引き上げることにより掘削作業を行う孔掘具10であって、前記螺旋体20の前記基軸11方向における上方には掘削孔HLの径と略同径の押込板40を設けて、前記孔掘具10を地中に回転挿入する際に、前記螺旋体20によって排出される排出土を前記押込板で排出を規制して、その結果、排出される排出土を前記螺旋体の上部で押圧圧縮して、比較的粘性の少ない土壌であっても、前記螺旋体20に乗っている土塊を引き締めることにより、前記土塊を乗せた状態で容易に引き抜くことができるように構成した。
【解決手段】基軸11の下方外周に螺旋体20を捲設し、前記基軸11を回転させて地中に回転挿入して引き上げることにより掘削作業を行う孔掘具10であって、前記螺旋体20の前記基軸11方向における上方には掘削孔HLの径と略同径の押込板40を設けて、前記孔掘具10を地中に回転挿入する際に、前記螺旋体20によって排出される排出土を前記押込板で排出を規制して、その結果、排出される排出土を前記螺旋体の上部で押圧圧縮して、比較的粘性の少ない土壌であっても、前記螺旋体20に乗っている土塊を引き締めることにより、前記土塊を乗せた状態で容易に引き抜くことができるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、螺旋体を押圧回転させながら地中に挿入して引き上げることにより、地中に所望の深さの孔を掘削する孔掘具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、杭、ポール又は支柱等を埋設するために使用する手動式の孔掘具としては、例えば、特開平11−303118号公報(特許文献1)に記載のものが公知である。
【0003】
前記孔掘具は、基軸の上部に略T字状にハンドルを設け,下方部には鋼鉄製の螺旋羽根を有するとともに、該螺旋羽根の下方に強度な差込軸部を設け差込軸先端を突起状にし、下方に鋼鉄製の捻子部を設けている。
【0004】
前記孔掘具においては、基軸の下方外周に螺旋羽根を二重に(720度)巻回して捲設し螺旋羽根の傾斜角は穏やかに、かつ、その間隔は狭くする螺旋羽根は鋼鉄製にし外周縁には排土切削刃を設けているので、木の根等も切り取って排土ができ、また、螺旋羽根の下方には差込軸部を取り付け先込軸先端を突起状にして、地中に差し込みやすくし、差込軸部には鋼鉄製の先導螺旋を設けて、地中に対する進入を助けている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−303118号公報 第1頁、図1および図3
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の孔掘具は、切削刃を前記螺旋羽根の外周端に設けて、挿入部分の土を前記螺旋羽根上に乗せて排土しているだけなので、排土は十分に行われず、また、地中から前記螺旋部分を引き抜く際にも、真砂土等の比較的粘質の少ない土壌において使用する場合は、前記螺旋羽根に乗せて引き抜く土塊が、十分に前記螺旋羽根に乗らず、効率よく土塊を引き抜くことができない場合が生じる。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、前記螺旋体の前記基軸方向における上方に押込板を設けることによって、前記孔掘具を真砂土等の比較的粘質の少ない土壌において使用する場合であっても、前記螺旋羽根に乗せる土塊を押圧圧縮することにより、前記螺旋羽根に土塊を乗せた状態で容易に引き抜くことができる孔掘具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の孔掘具は、基軸の下方外周に前記基軸の軸方向において所定角度をつけて斜行羽根を固着し、前記基軸を回転させて地中に回転挿入して引き上げることにより掘削作業を行う孔掘具であって、前記斜行羽根の前記基軸の軸方向における上方には掘削孔の径と略同径の押込板を設けることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の孔掘具にあっては、地中に回転挿入する際に、前記斜行羽根によって排出される排出土を、前記押込板で排出を規制することができ、その結果、排出される排出土が前記斜行羽根の上面で押圧圧縮されるので、比較的粘性の少ない土壌であっても、前記斜行羽根に乗っている土塊を引き締めることにより前記土塊を乗せた状態で容易に引き抜くことができる。
【0010】
請求項2に記載の孔掘具は、請求項1に記載の孔掘具において、前記斜行羽根は螺旋羽根であることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の孔掘具にあっては、前記斜行羽根を、螺旋羽根として構成してもよく、前記螺旋羽根として構成する場合は、地中に回転挿入する際に、円滑に挿入することが出来ると共に、排出土を効率よく排出することができ、その結果、排出土の押圧圧縮を効率よく行うことができる。
【0012】
請求項3に記載の孔掘具は、請求項1に記載の孔掘具において、前記斜行羽根は不連続に前記基軸に捲設されることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の孔掘具にあっては、前記斜行羽根を、不連続螺旋羽根となる複数の扇状羽根又は半円形羽根等から構成してもよく、製造が容易な前記斜行羽根においても、本発明を適用することができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、基軸の下方外周に前記基軸の軸方向において所定角度をつけて斜行羽根を固着し、前記基軸を回転させて地中に回転挿入して引き上げることにより掘削作業を行う孔掘具であって、前記斜行羽根の前記基軸の軸方向における上方には掘削孔の径と略同径の押込板を設けているので、地中に回転挿入する際に、前記斜行羽根によって排出される排出土を、前記押込板で排出を規制することができ、その結果、排出される排出土が前記斜行羽根の上面で押圧圧縮され、比較的粘性の少ない土壌であっても、前記斜行羽根に乗っている土塊を引き締めることにより前記土塊を乗せた状態で容易に引き抜くことができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の孔掘具において、前記斜行羽根を螺旋羽根で構成しているので、地中に回転挿入する際に、円滑に挿入することが出来ると共に、排出土を効率よく排出することができ、その結果、排出土の押圧圧縮を効率よく行うことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の孔掘具において、前記斜行羽根は不連続に前記基軸に捲設しているので、例えば、前記斜行羽根を、不連続螺旋羽根となる複数の扇状羽根又は半円形羽根等から構成してもよく、製造が容易な前記斜行羽根においても、本発明を適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0018】
図1(a)は本発明に係る孔掘具の正面図、(b)は側面図である。図2は図1(a)の要部拡大図であり、図3は図1(b)の要部拡大図である。
【0019】
図1乃至図3において、10は本発明に係る孔掘具であり、金属製のパイプ材にて形成する基軸11の先端は、地中に突入し易いように先鋭状部12とし、前記基軸11の基端には前記基軸11と交差して全体として略T字状となるように金属製のパイプ材にて形成するハンドル部13を溶接により固着している。該ハンドル部13の両端にはゴム製のグリップ14を被せている。
【0020】
前記基軸11の先端部には、切削刃30(31,32,33)を外周縁に垂設する螺旋体20(21,22)を溶接により捲設している。前記螺旋体20(21,22)は、前記基軸11の先端部に捲設する下部螺旋羽根21とその上方に捲設する上部螺旋羽根22の二枚の螺旋羽根21,22から構成している。
【0021】
図4は螺旋体を示す正面図であり、(a)は下部螺旋羽根の正面図であり、(b)は上部螺旋羽根の正面図である。図5はA−A線断面図であり、図6はB−B線断面図であり、図7はC−C線断面図である。
【0022】
図2乃至図7において詳細に示すように、前記下部螺旋羽根21は、前記基軸11の先端部における下方に前記基軸11を360度巻回するように捲設しており、前記上部螺旋羽根22は、前記下部螺旋羽根21の上方であって前記上部螺旋羽根22の下端22aが前記下部螺旋羽根21の上端21bよりも下方となる位置で、かつ前記下部螺旋羽根21の螺旋軌道とは異なる螺旋軌道を描く位置において、前記基軸11を180度巻回するように捲設している。
【0023】
前述のように、前記螺旋体20を二重螺旋構造(21,22)としたのは、前記下部螺旋羽根21と前記上部螺旋羽根22とが異なる螺旋軌道を描くように配置させることによって、後述する切削刃30(31,32,33)のうち、切削刃31,33と切削刃32とが異なる螺旋軌道で孔周側面を切り取ることができ、孔周側面の大部分を切り取ることができ、掘削孔HLを略筒状に切り取ることができるため、土塊の引き抜き作業が容易となり、さらに、前記螺旋体20全体として連続性を担保しているので、土壌の上方への送り込みを円滑に行うことができる。
【0024】
また、前述のように、前記上部螺旋羽根22を、前記下部螺旋羽根21の上方であって前記上部螺旋羽根22の下端22aが前記下部螺旋羽根21の上端21bよりも下方となる位置に配置するようにして、前記螺旋体20全体として前記基軸11を540度に亘り巻回しているが、前記上部螺旋羽根22を下方に変位して配置している長さ分だけ、前記螺旋体20の全長が短くなっており、これにより、前記螺旋体20の回転挿入の際の抵抗力を少なくすると共に、前記螺旋体20により持ち上げる土塊の量を少なくして、持ち上げ荷重の減少を図ったものである。
【0025】
前記螺旋体20(21,22)には、その外周端に夫々切削刃30(31,32,33)が垂設されている。図8は、螺旋体の要部縦断面図である。
【0026】
図1乃至図8に示すように、前記下部螺旋羽根21の外周縁下端には、略扇形状に形成した切削刃31が、回転方向に対して前方に傾斜する刃付面31aを前記下部螺旋羽根21の下端21aに臨出するように垂設しており、また、該切削刃31と対向する位置、すなわち、前記下部螺旋羽根21の外周の中間位置には、同様の切削刃32を垂設している。さらに、前記上部螺旋羽根22の外周における前記切削刃31の真上に前記切削刃33を垂設し、前記切削刃31と前記切削刃33とが前記螺旋体20(21,22)において平行位置となるように配設しているのである。
【0027】
また、前記各切削刃31,32,33は前記各螺旋羽根21,22の上面から若干(本実施例においては10mm程度)上方に突き出た突出部31b,32b,33bを夫々形成している。
【0028】
前記各切削刃31,32,33は、前述のように回転方向に対して切断刃下方を前方に傾斜して形成されているので、これにより、地中に回転挿入する際に、土中のガラや石を前記螺旋羽根の上面に押し上げ、また、土中に残留する根を切断することができる。また、前記突出部31b,32b,33bを形成することにより、上部の溶接シロを確保して上下両面から溶接ができるようにして強度を高めると共に、前記突出部31b,32b,33bにより、前記孔掘具10を地中から引く抜く際に前記切削刃31,32,33で切り取った土塊を効果的に抱き込むことができる。
【0029】
なお、前記切削刃31,32,33は、熱処理によって耐摩耗性と耐衝撃性を高めた炭素鋼により形成され、前記刃付面31a,32a,33aには、刃付け加工を施して、孔周側面の切削能力を向上させている。
【0030】
図9は押込板を示すD−D断面図であり、図10は押込板の中央縦断面図であり、図11は押込板の斜視図である。
【0031】
図1乃至図3及び図9に示すように、前記押込板40は、掘削孔HLの径と略同径の円錐台状の金属板を、前記基軸11における前記螺旋体20の上方位置に嵌装し溶接により固着している。また、該押込板40には三カ所に円状の透孔41を開設している。
【0032】
したがって、前記孔掘具10を地中に回転挿入する際に、前記螺旋体20によって排出される排出土を前記押込板40で排出を規制することができ、その結果、排出される排出土が前記螺旋体20の上面で押圧圧縮され、比較的粘性の少ない土壌であっても、前記螺旋体に乗っている土塊を引き締めることにより前記土塊を乗せた状態で容易に引き抜くことができる。
【0033】
以上のように形成された前記孔掘具10を使用する場合について説明する。図12乃至図15は、本実施の形態に係る孔掘具の使用方法を示す模式図である。
【0034】
先ず、図12に示すように、前記孔掘具10の先鋭状部12を、地表Gに対して垂直に突き刺す。このとき、前記切削刃31の先端を同様に地面に突き立てて、コンパスで円を描く要領で押圧すると、掘削時のセンタリングを容易に行うことができ、正確な位置にて掘削を行うことができる。
【0035】
次に、図13に示すように、前記孔掘具10を押圧回転させて、孔HLの側面を前記切削刃31,32,33によって切り取りながら、地中に挿入する。
【0036】
そして、前記押込板40が地表Gに当たると、それによって、前記孔掘具10は地中への進入を阻止されるが、さらに回転を続けると、前記孔掘具10は、その場で回転し、それによって、前記掘削孔HL内の土塊は、前記螺旋羽根21,22の上面に乗って排出方向に運ばれるのであるが、前記土塊は前記押込板40によって、その排出を規制され、その結果、排出されるべき排出土が前記螺旋体20(21,22)の上面で押圧圧縮され、前記螺旋体20(21,22)に乗っている土塊は引き締られることとなる。
【0037】
そして、図15に示すように、切り取って引き締められた前記土塊を前記切削刃で抱持しつつ前記螺旋体20に乗せた状態で引き抜くのである。
【0038】
以上のように、本実施の形態に係る前記孔掘具10を用いて掘削する場合は、比較的粘性の少ない土壌であっても、前記螺旋体に乗っている土塊を引き締めることにより前記土塊を乗せた状態で容易に引き抜くことができるのである。
【0039】
なお、本実施の形態の前記孔掘具10は、前記螺旋羽根21,22は二枚で構成したが、これに限定されるものではなく、適宜の数及び位置にて構成することができる。また、前記切削刃31,32,33についても同様に適宜の数および位置に配設することができる。
【0040】
また、前記螺旋羽根は、夫々扇形状の形状又は半円形状の羽根として、前記基軸11の軸方向に対して所定角度をつけて捲着するような斜行羽根としても良く(図示せず)、この場合は、前記斜行羽根を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】(a)は本発明に係る孔掘具の正面図、(b)は側面図である。
【図2】図1(a)の要部拡大図である。
【図3】図1(b)の要部拡大図である。
【図4】螺旋体を示す正面図であり、(a)は下部螺旋羽根の正面図であり、(b)は上部螺旋羽根の正面図である。
【図5】A−A線断面図である。
【図6】B−B線断面図である。
【図7】C−C線断面図である。
【図8】螺旋体の要部縦断面図である。
【図9】押込板を示すD−D断面図である。
【図10】押込板の中央縦断面図である。
【図11】押込板の斜視図である。
【図12】本実施の形態に係る孔掘具の使用方法を示す模式図である。
【図13】本実施の形態に係る孔掘具の使用方法を示す模式図である。
【図14】本実施の形態に係る孔掘具の使用方法を示す模式図である。
【図15】本実施の形態に係る孔掘具の使用方法を示す模式図である。
【符号の説明】
【0042】
10 孔掘具
11 基軸
20 螺旋体
40 押込板
【技術分野】
【0001】
本発明は、螺旋体を押圧回転させながら地中に挿入して引き上げることにより、地中に所望の深さの孔を掘削する孔掘具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、杭、ポール又は支柱等を埋設するために使用する手動式の孔掘具としては、例えば、特開平11−303118号公報(特許文献1)に記載のものが公知である。
【0003】
前記孔掘具は、基軸の上部に略T字状にハンドルを設け,下方部には鋼鉄製の螺旋羽根を有するとともに、該螺旋羽根の下方に強度な差込軸部を設け差込軸先端を突起状にし、下方に鋼鉄製の捻子部を設けている。
【0004】
前記孔掘具においては、基軸の下方外周に螺旋羽根を二重に(720度)巻回して捲設し螺旋羽根の傾斜角は穏やかに、かつ、その間隔は狭くする螺旋羽根は鋼鉄製にし外周縁には排土切削刃を設けているので、木の根等も切り取って排土ができ、また、螺旋羽根の下方には差込軸部を取り付け先込軸先端を突起状にして、地中に差し込みやすくし、差込軸部には鋼鉄製の先導螺旋を設けて、地中に対する進入を助けている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−303118号公報 第1頁、図1および図3
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の孔掘具は、切削刃を前記螺旋羽根の外周端に設けて、挿入部分の土を前記螺旋羽根上に乗せて排土しているだけなので、排土は十分に行われず、また、地中から前記螺旋部分を引き抜く際にも、真砂土等の比較的粘質の少ない土壌において使用する場合は、前記螺旋羽根に乗せて引き抜く土塊が、十分に前記螺旋羽根に乗らず、効率よく土塊を引き抜くことができない場合が生じる。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、前記螺旋体の前記基軸方向における上方に押込板を設けることによって、前記孔掘具を真砂土等の比較的粘質の少ない土壌において使用する場合であっても、前記螺旋羽根に乗せる土塊を押圧圧縮することにより、前記螺旋羽根に土塊を乗せた状態で容易に引き抜くことができる孔掘具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の孔掘具は、基軸の下方外周に前記基軸の軸方向において所定角度をつけて斜行羽根を固着し、前記基軸を回転させて地中に回転挿入して引き上げることにより掘削作業を行う孔掘具であって、前記斜行羽根の前記基軸の軸方向における上方には掘削孔の径と略同径の押込板を設けることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の孔掘具にあっては、地中に回転挿入する際に、前記斜行羽根によって排出される排出土を、前記押込板で排出を規制することができ、その結果、排出される排出土が前記斜行羽根の上面で押圧圧縮されるので、比較的粘性の少ない土壌であっても、前記斜行羽根に乗っている土塊を引き締めることにより前記土塊を乗せた状態で容易に引き抜くことができる。
【0010】
請求項2に記載の孔掘具は、請求項1に記載の孔掘具において、前記斜行羽根は螺旋羽根であることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の孔掘具にあっては、前記斜行羽根を、螺旋羽根として構成してもよく、前記螺旋羽根として構成する場合は、地中に回転挿入する際に、円滑に挿入することが出来ると共に、排出土を効率よく排出することができ、その結果、排出土の押圧圧縮を効率よく行うことができる。
【0012】
請求項3に記載の孔掘具は、請求項1に記載の孔掘具において、前記斜行羽根は不連続に前記基軸に捲設されることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の孔掘具にあっては、前記斜行羽根を、不連続螺旋羽根となる複数の扇状羽根又は半円形羽根等から構成してもよく、製造が容易な前記斜行羽根においても、本発明を適用することができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、基軸の下方外周に前記基軸の軸方向において所定角度をつけて斜行羽根を固着し、前記基軸を回転させて地中に回転挿入して引き上げることにより掘削作業を行う孔掘具であって、前記斜行羽根の前記基軸の軸方向における上方には掘削孔の径と略同径の押込板を設けているので、地中に回転挿入する際に、前記斜行羽根によって排出される排出土を、前記押込板で排出を規制することができ、その結果、排出される排出土が前記斜行羽根の上面で押圧圧縮され、比較的粘性の少ない土壌であっても、前記斜行羽根に乗っている土塊を引き締めることにより前記土塊を乗せた状態で容易に引き抜くことができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の孔掘具において、前記斜行羽根を螺旋羽根で構成しているので、地中に回転挿入する際に、円滑に挿入することが出来ると共に、排出土を効率よく排出することができ、その結果、排出土の押圧圧縮を効率よく行うことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の孔掘具において、前記斜行羽根は不連続に前記基軸に捲設しているので、例えば、前記斜行羽根を、不連続螺旋羽根となる複数の扇状羽根又は半円形羽根等から構成してもよく、製造が容易な前記斜行羽根においても、本発明を適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0018】
図1(a)は本発明に係る孔掘具の正面図、(b)は側面図である。図2は図1(a)の要部拡大図であり、図3は図1(b)の要部拡大図である。
【0019】
図1乃至図3において、10は本発明に係る孔掘具であり、金属製のパイプ材にて形成する基軸11の先端は、地中に突入し易いように先鋭状部12とし、前記基軸11の基端には前記基軸11と交差して全体として略T字状となるように金属製のパイプ材にて形成するハンドル部13を溶接により固着している。該ハンドル部13の両端にはゴム製のグリップ14を被せている。
【0020】
前記基軸11の先端部には、切削刃30(31,32,33)を外周縁に垂設する螺旋体20(21,22)を溶接により捲設している。前記螺旋体20(21,22)は、前記基軸11の先端部に捲設する下部螺旋羽根21とその上方に捲設する上部螺旋羽根22の二枚の螺旋羽根21,22から構成している。
【0021】
図4は螺旋体を示す正面図であり、(a)は下部螺旋羽根の正面図であり、(b)は上部螺旋羽根の正面図である。図5はA−A線断面図であり、図6はB−B線断面図であり、図7はC−C線断面図である。
【0022】
図2乃至図7において詳細に示すように、前記下部螺旋羽根21は、前記基軸11の先端部における下方に前記基軸11を360度巻回するように捲設しており、前記上部螺旋羽根22は、前記下部螺旋羽根21の上方であって前記上部螺旋羽根22の下端22aが前記下部螺旋羽根21の上端21bよりも下方となる位置で、かつ前記下部螺旋羽根21の螺旋軌道とは異なる螺旋軌道を描く位置において、前記基軸11を180度巻回するように捲設している。
【0023】
前述のように、前記螺旋体20を二重螺旋構造(21,22)としたのは、前記下部螺旋羽根21と前記上部螺旋羽根22とが異なる螺旋軌道を描くように配置させることによって、後述する切削刃30(31,32,33)のうち、切削刃31,33と切削刃32とが異なる螺旋軌道で孔周側面を切り取ることができ、孔周側面の大部分を切り取ることができ、掘削孔HLを略筒状に切り取ることができるため、土塊の引き抜き作業が容易となり、さらに、前記螺旋体20全体として連続性を担保しているので、土壌の上方への送り込みを円滑に行うことができる。
【0024】
また、前述のように、前記上部螺旋羽根22を、前記下部螺旋羽根21の上方であって前記上部螺旋羽根22の下端22aが前記下部螺旋羽根21の上端21bよりも下方となる位置に配置するようにして、前記螺旋体20全体として前記基軸11を540度に亘り巻回しているが、前記上部螺旋羽根22を下方に変位して配置している長さ分だけ、前記螺旋体20の全長が短くなっており、これにより、前記螺旋体20の回転挿入の際の抵抗力を少なくすると共に、前記螺旋体20により持ち上げる土塊の量を少なくして、持ち上げ荷重の減少を図ったものである。
【0025】
前記螺旋体20(21,22)には、その外周端に夫々切削刃30(31,32,33)が垂設されている。図8は、螺旋体の要部縦断面図である。
【0026】
図1乃至図8に示すように、前記下部螺旋羽根21の外周縁下端には、略扇形状に形成した切削刃31が、回転方向に対して前方に傾斜する刃付面31aを前記下部螺旋羽根21の下端21aに臨出するように垂設しており、また、該切削刃31と対向する位置、すなわち、前記下部螺旋羽根21の外周の中間位置には、同様の切削刃32を垂設している。さらに、前記上部螺旋羽根22の外周における前記切削刃31の真上に前記切削刃33を垂設し、前記切削刃31と前記切削刃33とが前記螺旋体20(21,22)において平行位置となるように配設しているのである。
【0027】
また、前記各切削刃31,32,33は前記各螺旋羽根21,22の上面から若干(本実施例においては10mm程度)上方に突き出た突出部31b,32b,33bを夫々形成している。
【0028】
前記各切削刃31,32,33は、前述のように回転方向に対して切断刃下方を前方に傾斜して形成されているので、これにより、地中に回転挿入する際に、土中のガラや石を前記螺旋羽根の上面に押し上げ、また、土中に残留する根を切断することができる。また、前記突出部31b,32b,33bを形成することにより、上部の溶接シロを確保して上下両面から溶接ができるようにして強度を高めると共に、前記突出部31b,32b,33bにより、前記孔掘具10を地中から引く抜く際に前記切削刃31,32,33で切り取った土塊を効果的に抱き込むことができる。
【0029】
なお、前記切削刃31,32,33は、熱処理によって耐摩耗性と耐衝撃性を高めた炭素鋼により形成され、前記刃付面31a,32a,33aには、刃付け加工を施して、孔周側面の切削能力を向上させている。
【0030】
図9は押込板を示すD−D断面図であり、図10は押込板の中央縦断面図であり、図11は押込板の斜視図である。
【0031】
図1乃至図3及び図9に示すように、前記押込板40は、掘削孔HLの径と略同径の円錐台状の金属板を、前記基軸11における前記螺旋体20の上方位置に嵌装し溶接により固着している。また、該押込板40には三カ所に円状の透孔41を開設している。
【0032】
したがって、前記孔掘具10を地中に回転挿入する際に、前記螺旋体20によって排出される排出土を前記押込板40で排出を規制することができ、その結果、排出される排出土が前記螺旋体20の上面で押圧圧縮され、比較的粘性の少ない土壌であっても、前記螺旋体に乗っている土塊を引き締めることにより前記土塊を乗せた状態で容易に引き抜くことができる。
【0033】
以上のように形成された前記孔掘具10を使用する場合について説明する。図12乃至図15は、本実施の形態に係る孔掘具の使用方法を示す模式図である。
【0034】
先ず、図12に示すように、前記孔掘具10の先鋭状部12を、地表Gに対して垂直に突き刺す。このとき、前記切削刃31の先端を同様に地面に突き立てて、コンパスで円を描く要領で押圧すると、掘削時のセンタリングを容易に行うことができ、正確な位置にて掘削を行うことができる。
【0035】
次に、図13に示すように、前記孔掘具10を押圧回転させて、孔HLの側面を前記切削刃31,32,33によって切り取りながら、地中に挿入する。
【0036】
そして、前記押込板40が地表Gに当たると、それによって、前記孔掘具10は地中への進入を阻止されるが、さらに回転を続けると、前記孔掘具10は、その場で回転し、それによって、前記掘削孔HL内の土塊は、前記螺旋羽根21,22の上面に乗って排出方向に運ばれるのであるが、前記土塊は前記押込板40によって、その排出を規制され、その結果、排出されるべき排出土が前記螺旋体20(21,22)の上面で押圧圧縮され、前記螺旋体20(21,22)に乗っている土塊は引き締られることとなる。
【0037】
そして、図15に示すように、切り取って引き締められた前記土塊を前記切削刃で抱持しつつ前記螺旋体20に乗せた状態で引き抜くのである。
【0038】
以上のように、本実施の形態に係る前記孔掘具10を用いて掘削する場合は、比較的粘性の少ない土壌であっても、前記螺旋体に乗っている土塊を引き締めることにより前記土塊を乗せた状態で容易に引き抜くことができるのである。
【0039】
なお、本実施の形態の前記孔掘具10は、前記螺旋羽根21,22は二枚で構成したが、これに限定されるものではなく、適宜の数及び位置にて構成することができる。また、前記切削刃31,32,33についても同様に適宜の数および位置に配設することができる。
【0040】
また、前記螺旋羽根は、夫々扇形状の形状又は半円形状の羽根として、前記基軸11の軸方向に対して所定角度をつけて捲着するような斜行羽根としても良く(図示せず)、この場合は、前記斜行羽根を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】(a)は本発明に係る孔掘具の正面図、(b)は側面図である。
【図2】図1(a)の要部拡大図である。
【図3】図1(b)の要部拡大図である。
【図4】螺旋体を示す正面図であり、(a)は下部螺旋羽根の正面図であり、(b)は上部螺旋羽根の正面図である。
【図5】A−A線断面図である。
【図6】B−B線断面図である。
【図7】C−C線断面図である。
【図8】螺旋体の要部縦断面図である。
【図9】押込板を示すD−D断面図である。
【図10】押込板の中央縦断面図である。
【図11】押込板の斜視図である。
【図12】本実施の形態に係る孔掘具の使用方法を示す模式図である。
【図13】本実施の形態に係る孔掘具の使用方法を示す模式図である。
【図14】本実施の形態に係る孔掘具の使用方法を示す模式図である。
【図15】本実施の形態に係る孔掘具の使用方法を示す模式図である。
【符号の説明】
【0042】
10 孔掘具
11 基軸
20 螺旋体
40 押込板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基軸の下方外周に前記基軸の軸方向において所定角度をつけて斜行羽根を固着し、前記基軸を回転させて地中に回転挿入して引き上げることにより掘削作業を行う孔掘具であって、
前記斜行羽根の前記基軸の軸方向における上方には掘削孔の径と略同径の押込板を設けることを特徴とする孔掘具。
【請求項2】
前記斜行羽根は螺旋羽根であることを特徴とする請求項1に記載の孔掘具。
【請求項3】
前記斜行羽根は不連続に前記基軸に捲設されることを特徴とする請求項1に記載の孔掘具。
【請求項1】
基軸の下方外周に前記基軸の軸方向において所定角度をつけて斜行羽根を固着し、前記基軸を回転させて地中に回転挿入して引き上げることにより掘削作業を行う孔掘具であって、
前記斜行羽根の前記基軸の軸方向における上方には掘削孔の径と略同径の押込板を設けることを特徴とする孔掘具。
【請求項2】
前記斜行羽根は螺旋羽根であることを特徴とする請求項1に記載の孔掘具。
【請求項3】
前記斜行羽根は不連続に前記基軸に捲設されることを特徴とする請求項1に記載の孔掘具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−144428(P2008−144428A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331237(P2006−331237)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000200792)浅香工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000200792)浅香工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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