孔空けされた機能性織物構造
【課題】機能性構成要素を、編んだり織ったりする必要なしに包含している、機能性長尺積層体、機能性長尺積層体の製造方法、および、機能性長尺積層体を構成要素とする衣服または着用可能物を提供すること。
【解決手段】電気を導くか、光を導くか、電磁場を生じるか、電磁場からの遮蔽を生じるかする機能性構成要素を有し、丈夫で、洗濯に耐え、いかなる3次元物体の外形にも従うことが可能な、ひだのある機能性長尺積層体であって、その積層体には少なくとも1つのビア(74)が設けられ、その積層体が弛緩状態または引き伸ばされていない状態にあるときに、前記機能性要素がビア(74)から外へ向けて、湾曲して突出する(76a、76b)ことを特徴とする機能性長尺積層体を構成する。一般的に、この機能性長尺積層布地は、衣服の中に組み込まれることや、いわゆる着用可能エレクトロニクスへの応用に対して十分に丈夫である。
【解決手段】電気を導くか、光を導くか、電磁場を生じるか、電磁場からの遮蔽を生じるかする機能性構成要素を有し、丈夫で、洗濯に耐え、いかなる3次元物体の外形にも従うことが可能な、ひだのある機能性長尺積層体であって、その積層体には少なくとも1つのビア(74)が設けられ、その積層体が弛緩状態または引き伸ばされていない状態にあるときに、前記機能性要素がビア(74)から外へ向けて、湾曲して突出する(76a、76b)ことを特徴とする機能性長尺積層体を構成する。一般的に、この機能性長尺積層布地は、衣服の中に組み込まれることや、いわゆる着用可能エレクトロニクスへの応用に対して十分に丈夫である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、しなやかで弾性的な織物構造に関連し、その織物構造は、3次元対象物の外形に従う(secure about)ことが可能であり、その3次元対象物は、例えば、電気を導く能力、光を導く能力、電磁場を発生するか電磁場に影響を与えるかの能力を持つものである。
【背景技術】
【0002】
医学的および生理学的モニタリング(monitoring)への応用のために、電気を導く能力または電磁界に影響を与える能力を有する、異なる型のしなやか(flexible)で弾性的な織物構造(textile structure)が開示されている。例えば、Cynthia L. Istook の特許(下記特許文献1参照、VivoMetrics(R), Inc. Ventura, California, USAへ譲渡) は、生理学的モニタリングのために服装へ適用される型の複合弾性布地構成(composite elastic fabric construction)を開示していて、その適用において、複合弾性布地が、引き伸ばされることとそれから元に戻ることが、その複合布地に付られたり織りこまれたりしている導電性の曲がった線(wire)の導電性を変化させる。上記(R)は登録商標を示す(以下同様)。VivoMetrics(R) Inc. は LifeshirtTM のメーカーであり、その LifeshirtTM は、下記特許文献1に記載の、しなやかで導電性の織物構造と合体していて、まず第一に、生理学的モニタリングと、歩行者に着用させての計測とに用いられる。
【0003】
Vikram Sharma の発明(下記特許文献2参照) は、電気絶縁性のヤーン(yarn)、長尺(stretch)ヤーン、および「機能性」ヤーンが編み合わされてできた管状の編まれた布地システムを開示している。その発明において、機能性ヤーンは導電性であり、0.01 Ω/mから 5000 Ω/mの抵抗値を持っている。この「機能性」ヤーンは管状編み物の中に連続した螺旋の形で埋め込まれ、管状編み物で作られた袖の長さにまで達している。手足のような身体部分は、生理学的信号を計測するための管状編み物の部分で囲まれる。さらに、この発明によって開示された管状編み物は、細い弾性バンド形状で使われる用途にも適用可能であり、その場合には、機能性ヤーンは生理学的信号のための平行導線として働く。この発明における細い弾性バンド構造の不利な点は、機能性ヤーンまたは線(wire)が、他のすべての構成要素と同時に構造中に編み合わされなければならないことである。
【0004】
導電性構成要素に加えて、光の伝導のためのオプティカル・ファイバが、衣服中に含ませるものとして開示されている。例えば、Sundaresan Jayaraman 他の特許(下記特許文献3参照、Georgia Tech Research Corp. へ譲渡)は、基材となる織物の快適な構成要素と検知用構成要素とからなる、完成された(full-fashioned) 連続織りの衣服を開示している。この特許によれば、検知用構成要素は、導電性構成要素または貫通検知(penetration sensing)構成要素でありうる。例えば、貫通検知構成要素はオプティカル・ファイバのような光の伝導体でありうる。この発明の構成の1つの不利な点は、弾性ヤーンと、例えばプラスチックのオプティカル・ファイバのような機能性構成要素とを同時に織って、管状布地または衣服にしなければならないことである。
【特許文献1】US Patent Number 6,341,504
【特許文献2】PCT公報 WO 2003/087451 A2
【特許文献3】US Patent Number 6,315,009
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の引例は、導電体のような機能性構成要素を、織った形あるいは編んだ形の布地構造によって取り込む。そのような機能性構成要素は通常の織物に対して貧弱な適合性(compatibility)しか持たないことがありうる。さらに、そのような機能性構成要素は、一般に、通常の布地形成過程(例えば、織る過程、編む過程、シームレスで編む過程)が困難となる原因となる。例えば、線(wire)、細いケーブルおよびオプチカル・ファイバは、しばしば、それらの脆さ、弾性率、可伸性および引っ張り強度の故に、典型的な布地の繊維に適合(match)しにくい。特に、そのような不利な点は、その構造または衣服の弾性変形回復性やしなやかさが要求された場合、および、その衣服の洗濯可能性が要求された場合に顕著となる。このように、従来技術における1つまたはそれより多い欠点を克服する、しなやかで弾性的な織物構造が要求される。
【0006】
この分野での技術は、電気を導くか、光を導くか、または、電磁場に影響を与えることが可能な構成要素を有する構造であって、或る医学的および/または生理学的モニタリングへの応用、および、工業的応用と相互接続への応用に使え、さらに、上記の欠点の少なくとも1つを持たない構造の探索を続けている。機能性構成要素を、そのような構成要素を編むかまたは織る必要なしに包含している、洗濯可能な衣服を提供できることは高度に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、孔空けされ、実質的にひだのある外観の機能性長尺積層体に関する。この孔空けされた機能性長尺積層体は、布地、紙またはフィルムでできた第1および第2の外側層と、少なくとも1つの、伸長復元性構成要素と、前記伸長復元性構成要素と同じ方向に延びる少なくとも1つの機能性構成要素と、前記第1および第2の外側層の間にある前記伸長復元性構成要素と前記機能性構成要素とを接着する接着性組成物とを含み、前記伸長復元性構成要素が弛緩状態または引き伸ばされていない状態にあるときに、実質的にひだのある外観が現れ、少なくとも1つの機能性構成要素の一部分が、機能性長尺積層体に設けられた孔またはビア(via)から、外側に湾曲して突出する(loop outwardly)。本発明に係る機能性長尺積層体は伝導性でありえて、例えば、電気を導くこと、光を導くこと、または、電磁場を生じることができる。
【0008】
本発明は、さらに、孔空けされ、実質的にひだのある外観の機能性長尺積層体の製造方法に関する。その製造方法は、
或る長さの、第1の表面と第2の表面とを有する、非伸長性材料の第1の部材(piece)を用意する工程と、
少なくとも1つの長さの伸長復元性構成要素を、変形無しに復元可能な伸び限界の少なくとも50%にまで引き伸ばして固定する工程と、
少なくとも1つの長さの機能性構成要素を、前記伸長復元性構成要素と共に同じ方向に沿うように(co-extensively)延ばして固定する工程と、
引き伸ばされた長さの前記伸長復元性構成要素と前記機能性構成要素とを、前記第1の部材の第1の表面に、固定された長さの実質的部分に沿って留める(secure)工程と、
第1の表面と第2の表面とを有する非伸長性材料の第2の部材を用意し、該第2の部材を、前記伸長復元性構成要素、または、前記第1の部材の第1の表面に、前記伸長復元性構成要素と共に同じ方向に沿って延びる長さの実質的部分に沿って留めて、該機能性長尺積層体を形成する工程と、
引き伸ばされた長さの前記伸長復元性構成要素を弛緩させて、少なくとも1つの前記機能性構成要素の一部分が該機能性長尺積層体に設けられた少なくとも1つの孔またはビアから外側に突出するかまたは湾曲して突出するように、該該機能性長尺積層体がひだを作ることを許す工程とを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、以下の図面を参照する以下の詳細な説明において記述される。
【0010】
図1は本発明に係る機能性長尺積層体の製造に適した装置の側面の模式的表現である。
【0011】
図2は本発明に係る機能性長尺積層体を製造するための装置の一部分の上面の模式的表現である。
【0012】
図3aと図3bは、本発明に係る機能性長尺積層体の断面の模式的表現であり、伸長復元性構成要素と機能性要素とが、2枚の布地または他の非伸長性材料のシートの間に挟まれてなるサンドイッチ構造を示している。
【0013】
図4aと図4bは、本発明に係る機能性長尺積層体に用いられる複合布地の縁断面の模式的表現であり、図4aにおいて複合布地は引っ張り応力下にあり、図4bにおいて複合布地は引っ張り応力下になく弛緩している。
【0014】
図5A−図5Dは、機能性構成要素を露出させるために複合長尺積層体の外側シートの孔あけに使うことができる孔あけパターンの上面図である。
【0015】
図5Eと図5Fは、機能性構成要素の部分が積層体の外側層シートの外側へ湾曲して突出している機能性長尺積層体の透視図であり、図5Eにおいて2つの湾曲部が1つの伸びたスロット形状の孔から突出し、図5Fにおいて4つの湾曲部がそれぞれ1つの孔から突出している。
【0016】
図6Aと図6Bは、本発明に係る機能性長尺積層体の縁断面の模式的表現であり、図6Aにおいて複合布地は引っ張り応力下にあり、図6Bにおいて複合布地は引っ張り応力下になく弛緩している。
【0017】
図7Aは、本発明に係る機能性長尺積層体の透視図であり、この積層体の両端において積層体中の機能性構成要素を安定化するためにz-折りが形成されている。
【0018】
図7Bは、図7Aの機能性長尺積層体の一端に形成されたz-折りにおける電気的接続の例を提供するための留め具の断面図である。
【0019】
本発明は、実質的に平坦な表面外観をもち、また、実質的にひだのある外観をももちうる複合布地(composite fabric)である機能性長尺積層体(functional stretch laminate)を包含する。その長尺積層体は伝導性(conductive)であり、丈夫(robust)であり、耐洗濯性(laundry-durable)であり、いかなる3次元物体の外形にも従うこと(securing about)に適合可能でありうる。
【0020】
本発明の機能性長尺積層体は一般に以下の(a)ないし(e)を包含する。すなわち、
(a)不織の布地(fabric)(以下、不織布という)、編まれた布地または織られた布地、もしくは紙またはフィルムからなる第1および第2の外側層であって、各外側層は、両層が複合された場合おいて内側の(または第1の)表面と外側の(または第2の)表面とをもつもの、
(b)前記第1および第2の外側層の間に挟まれた、少なくとも1つの、弾性体的性質(elastomeric properties)をもつ繊維のような伸長復元性構成要素(stretch and recovery element)の糸線(threadline)、
(c)同様に前記第1および第2の外側層の間に挟まれた、少なくとも1つの機能性構成要素、
(d)前記第1および第2の外側層どうしを接着するため、前記第1および第2の外側層を前記伸長復元性構成要素と接着するため、または、前記第1および第2の外側層を前記機能性構成要素と接着するための1つの接着性組成物、および、
(e)この積層体が弛緩状態または引き伸ばされていない状態にあるときに、少なくとも1つの機能性構成要素が外側に突出するか湾曲して突出することを許す少なくとも1つの孔またはビア(via)を包含する。
【0021】
上記不織布、編まれた布地または織られた布地、もしくは紙またはフィルムからなる2つの外側層は、或る実施の形態例においては、実質的に同じ幅をもっていてよい。
【0022】
上記弾性体的性質をもつ繊維は、或る実施の形態例においては、少なくとも 400 デシテックス(decitex)であってよく、その場合に、糸の本数と繊維のデシテックス値とは、伸長可能な布地の収縮力が少なくとも 0.22 ポンド/インチ (38.9 g/cm) であるような関係にある。
【0023】
上記に加えて、接着性組成物は、或る実施の形態例においては、重量で、積層体の約 8 から 70% であってよく、少なくとも1つの外側層の内側表面を部分的に覆うだけであるにもかかわらず、各外側層の外側に、各外側層の面積を基準として、10% よりも少ない量だけ浸透してもよい。
【0024】
さらに、機能性構成要素は、実質的に、伸長復元性構成要素と、平行または同じ方向に延びていればよい。
【0025】
本発明は、さらに、ひだのある外観の機能性長尺積層体の製造方法を提供し、その製造方法は下記のステップを包含する。
【0026】
或る長さの、第1および第2の表面をもつ、非伸長性材料の第1の部材を用意するステップ。
【0027】
少なくとも1つの、或る長さの伸長復元性構成要素を、少なくとも変形無しに復元可能な伸長限界の50%まで伸ばして固定するステップ。
【0028】
少なくとも1つの、或る長さの機能性構成要素を、前記伸長復元性構成要素と同じ方向に沿うように延ばして固定するステップ。
【0029】
伸ばされた長さの伸長復元性構成要素と機能性構成要素とを、前記第1の非伸長性材料の第1の表面に、固定された長さの実質的部分に沿って、留めるステップ。
【0030】
第1および第2の表面をもつ、非伸長性材料の第2の部材を用意し、該第2の部材を、前記伸長復元性構成要素、前記機能性構成要素または前記第1の部材の第1の表面に、前記伸長復元性構成要素と共に同じ方向に沿って延びる長さの実質的部分に沿って留めて、機能性積層体を形成するステップ。
【0031】
伸ばされた長さの伸長復元性構成要素を実質的に弛緩させて、少なくとも1つの前記機能性要素の一部分が、機能性長尺積層体に設けられた少なくとも1つの孔またはビアから外へ向けて突出するか湾曲して突出するように、機能性長尺積層体がひだをもつようになることを許すステップ。この方法は、さらに、少なくとも1つのコネクタを機能性長尺積層体に取付け、このコネクタが、積層体内の少なくとも1つの機能性構成要素と、電源と放射源とからなる群から選ばれる1つとを接続することに使えるようにするステップを包含してもよい。この場合の放射はデータ通信のためのファイバ・オプティック・ネットワークに用いられる波長の光の中から選ばれる光放射であってよい。
【0032】
本発明に係る製造方法の一実施の形態例においては、2つの外側層は実質的に平坦化されて一定の場所に確保され、そのように平坦化された外側層に、少なくとも1つの伸長復元性構成要素と少なくとも1つの機能性構成要素とが留められる。ここで用いられる場合、「平坦化」という語句は、布地、網またはフィルムの部分を、実質的に平坦で、ひだが無く、しわが無い状態にすることを意味する。
【0033】
ここで用いられる場合、利用に適した「実質的に非伸長性材料」は、不織布、織られた布地、編まれた布地、紙、配向フィルム、無配向フィルム、金属被覆された前記材料を包含する。これらの織られた布地、不織布および編まれた布地は、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、パーフルオロ化ポリオレフィン繊維を含む、ステープルまたは連続の繊維からなっていてよい。利用に適したフィルムは、ポリエステル、ポリオレフィン、パーフルオロ化ポリオレフィン、ポリアミドを含むポリマーからなっていてよい。機能性長尺積層体の外側層の布地またはフィルムは、上記の実質的に非伸長性の材料からなっていてよい。
【0034】
ここで用いられる場合、利用に適した「伸長復元性構成要素」は、少なくとも、スパンデックス(spandex)またはエラスタン・ヤーン(elastane yarns)、フィルム、被膜(例えば、LYCRA(R) スパンデックス)を含む。利用に適した伸長復元性構成要素は、さらに、ポリエステル2成分系繊維、例えば、Type 400 ブランドのポリ(エチレンテレフタレート)//ポリ(トリメチレンテレフタレート)(Invista S. a r. l.から "T400"として市場入手可能)のような材料を含む。伸長復元性構成要素はまた、伸びてまた元に戻る性質と機能性性質との両方をもつ材料を含み得て、そのような材料の例として、PCT公報 WO 2004/097089 A1 に開示されている伝導性で伸長可能な複合ヤーンがあり、その全体の開示はここでの引用に含まれている(以下、この複合ヤーンを「少なくとも1種類の機能性被覆細線(filament)で周囲を囲まれた弾性部材を構成要素とする電気的または光学的に機能性の複合ヤーン」として引用する)。
【0035】
利用に適した伸長復元性構成要素は、200% を超え、400% を超えるような破断時伸びをもち得る。
【0036】
ここで用いられる場合、語句「機能性」は、構成要素または材料が、電気的、光学的、磁気的、機械的、化学的、および/または熱エネルギー的特性を有することを意味する。
【0037】
「機能性材料」の例は、電気的機能(例えば、電気伝導性、電気加熱機能、圧電活性、電歪活性、エレクトロクロミック機能)を示す材料;光学的機能(例えば、フォトニック結晶ファイバ、フォトルミネッセンス機能、ルミネッセンス機能、光透過機能、反射機能)を示す材料;磁気的機能(例えば、磁歪活性)を示す材料;熱応答性機能を示す材料(例えば、形状記憶ポリマーまたは合金);およびセンサ機能(例えば、化学、バイオ、容量センサ機能)を示す材料を包含するが、これに制限されない。このような機能性材料が、本発明の実施の形態例において用いられる機能性構成要素に含まれ得る。
【0038】
ここで用いられる場合、利用に適した「機能性構成要素」は、リッツ線(litz wire)、金糸線(tinsel wire)、または高周波用より線導体(stranded conductor)のような、1つまたは複数の導電体を有し、絶縁されるかまたはされていない種類の金属線;リボン線のような、円形または非円形断面をもつ単線またはより線;Xstatic(R) ヤーンおよび メタライズド・マイラー(metallized MYLAR(R)(DuPont-Teijin Films, Hopewell, Virginia,
USA から入手));ポリピロールからできた繊維のように本質的(inherently)に導電性のポリマ繊維;CROFON(R) のような、ポリメチルメタアクリレートからできたプラスチック・オプティカル・ファイバ;そして、Ethernet(登録商標)、Fiber Channel、FDDI、ATM、Token Ring プロトコルを基礎としたファイバ・オプティック・ネットワークに適したマルチ−モードまたはシングル−モードの石英ガラスのオプティカル・ファイバを包含する。利用に適した機能性構成要素は、また、少なくとも1種類の伝導性被覆細線で周囲を囲まれた弾性部材を構成要素とする電気伝導性複合ヤーン、および、US 仮出願 Serial No. 60/562,622, filed April 15, 2004 に開示された弾性体組成物(elastomeric composition)を含み、その弾性体組成物の全体の開示はここでの引用に含まれている(以下、この弾性体組成物を「可変抵抗値を示す電気伝導性の弾性体組成物」として引用する)。
【0039】
ここで用いられる場合、語句「いかなる3次元物体の外形にも従うこと」は、機能性長尺積層体がしなやかで弾性的であり、いかなる形状にも適合することを意味する。特に、機能性長尺積層体が衣服または衣服の構成部分または少なくとも人体の一部分に着用可能なものである場合、その積層体は、少なくとも、その衣服または装着物が人体の3次元形状に従って変形するまでに、適合可能である。いかなる3次元物体にも適合して変形することに付随して備わっていなければならないことは、積層体が従っている3次元形状が運動しているときでも、積層体の機能性構成要素の機能実行を維持できるような、積層構造の丈夫さである。
【0040】
ここで用いられる場合、語句「洗濯に耐える」は、機能性長尺積層体が少なくとも洗浄可能であることを意味する。特に、機能性長尺積層体が、洗浄可能衣服または人体用洗浄可能装着物の構成部分である場合、その積層体は、複数回の洗浄または洗濯のサイクルの後でも、積層体の機能性構成要素の機能実行を維持できる。例えば、少なくとも1回の洗浄サイクルの後で、積層体の機能性構成要素の機能実行が維持できていることは「洗濯に耐える」ことであろう。
【0041】
ここで用いられる場合、語句「伝導性」は、少なくとも機能性長尺積層体の一部分が、電気を導くこと、光を導くこと、電磁場を生じ、または、電磁場からの遮蔽を生じることが可能なことを意味する。
【0042】
ここで用いられる場合、語句「実質的に平行または同じ方向に沿って延びる」は、伸長復元性構成要素と機能性構成要素とが、機能性長尺積層体の長さ方向(「流れ方向」("machine direction")としても知られている)に、それぞれの長さ方向を合わせて延び、隣どうしが接触していないことを意味する。そのような実質的に平行または同じ方向に沿って延びる構成要素は、少なくとも1つの実施の形態例において、他の伸長復元性構成要素および/または機能性構成要素と、それらが延びている方向に沿う各点において、その方向に垂直な方向に等距離にあるように延びている。例えば、伸長復元性構成要素が機能性長尺積層体の流れ方向に延びているとき、それと実質的に平行または同じ方向に延びている機能性構成要素も流れ方向に延びていて、両構成要素は、実質的に、流れ方向に沿う各点において、流れ方向に垂直な方向に互いに等距離にある。語句「実質的に平行または同じ方向に延びている」は、また、伸長復元性構成要素と機能性構成要素との両方が、同じ方向に同じに延ばされる状態(例えば、両方が、流れ方向に同じに延ばされる状態)を含む。
【0043】
本発明に係る機能性長尺積層体は、或る実施の形態例において、種々の量のひだをもつ複合体であり、不織布からなる2つの外側層と、少なくとも1つの機能性構成要素と2つ以上の実質的に平行または同じ方向に延びている実質的に同じデシテックス値の弾性(elastomeric)繊維(伸長復元性構成要素)とからなる中間「層」とを構成要素とし、その弾性繊維は、例えば、300% の伸びから完全に元に戻ることができる。弾性繊維は、外部からの力が無いときに実質的に弛緩している。これに加えて、さらなる実施の形態例においては、複数の弾性繊維は、それらの長さ方向に垂直な方向には等間隔に並んでいてよい。
【0044】
本発明に係る機能性長尺積層体を製造するのに適した不織布は、約
10 から約 100 グラム/(メートル)2、例えば約 10 から約 30 グラム/(メートル)2の基体重量を有する。多くの型の不織布が本発明の実施の形態例に使用されるのに適している。代表的例は、熱接合された(thermally bonded)不織布、紡績接合された(spunbonded)不織布および水でからませた(hydroentangled)不織布を含む。例えば、それらは、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維からなっていてよい。
【0045】
本発明に係る機能性長尺積層体は、不織布またはフィルムのような非伸長性材料からなる2つの外側層の間に挟まれた、2つ以上の弾性繊維と少なくとも1つの機能性構成要素との中間「層」を有する。この中間「層」は、少なくとも1種類の弾性繊維の糸線(threadlines)を、例えば、3.2 糸線/cm幅 含み、その糸線は少なくとも 400 デシテックスである。センチメートル当たりの糸線の数は、例えば、6.3 まで増してもよい。これらの2つのパラメータ(糸線の数とデシテックス値)は、例えば、完成品が元の長さの 150% に伸ばされたときに測られる、約 38.9 (グラム重)/cmの最小収縮力を生じるように選ばれてよい。
【0046】
弾性繊維は、外側層布地またはフィルムの縁に対して実質的に平行であってよい。使用に適した弾性繊維の一例は Lycra(R) スパンデックス繊維(spandex fiber (INVISTA S. a r. l. の登録商標))である。
【0047】
この中間「層」における機能性構成要素は、或る実施の形態例において、絶縁型または非絶縁型の金属線であってよい。例えば、単一導線が使われてよい。リッツ線またはより導線のような、単線当たりに多くの導体を用いることは高周波への用途に適している。リボン線のような、円形または非円形断面をもつ単一金属より線は、大電流の場合、または、より固い、ひだのある積層体の場合に適している。これに加えて、平坦な金属ワイヤ、例えばREA Magnet Wire Co., Fort Wayne, Indiana から入手可能な平坦な銅ワイヤ(絶縁型または非絶縁型)が利用可能である。或る、金属被覆されたポリマー繊維、例えば、Xstatic(R) ヤーンもまた利用可能であり、そのヤーンは銀めっきされ、織られたナイロン細線(filament)であり、Laird Sauquoit Technologies, Inc. (300 Palm Street, Scranton,
Pennsylvania, 18505) から、登録商標 X-static(R) ヤーンとして入手可能である。X-static(R) ヤーンの中で使用に適した1つは、 INVISTA S. a r. l., Wilmington, Delaware から、電気めっきによって導電性銀めっきされた 製品ID 70-XS-34X2 TEX 5Z として入手可能な、織られた、ナイロンの 70 デニール (77 dtex)の細線の34本を基材としたものである。他の使用に適した導電性ヤーンは、E. I. DuPont de Nemours, Inc., Wilmington, Delaware の ARACON(R) として知られる、金属被覆されたKEVLAR(R) ヤーンである。本発明の実施の形態例において同じく使用に適した導電性ヤーンは、ポリピロールのような本質的(inherently)に導電性であるポリマーの繊維からなる群に属するものである。これに加えて、ポリメチルメタアクリレートからなるプラスチック・オプティカル・ファイバ(POF)も使うことができる。光を導くための機能性構成要素が望まれる場合、CROFON(R)のようなPOFを使うことがでる。有用なPOFは、例えば、高速光通信のための、ステップ−インデックス型(step-index type)のPOF(SI−POF)またはグレーデッドインデックス型のPOF(GRIN−POF)であろう。マルチ−モ−ドまたはシングル−モードの石英ガラス・オプティカル・ファイバの群は、Ethernet(登録商標)、Fiber Channel、FDDI、ATM、Token Ringのプロトコルを基礎とするファイバー・オプティック・ネットワークのための有用な機能性構成要の群を構成する。
【0048】
加えて、機能性構成要素は、Xstatic(R) ヤーンまたは繊維のような導電性ヤーンからなり、それは線、例えば銅線とより合わされる。機能性構成要素は、さらに、少なくとも1種類の伝導性被覆細線で周囲を囲まれた弾性部材を構成要素とする電気伝導性複合ヤーン、または、可変抵抗値を示す電気伝導性の弾性体組成物を構成要素とし、その構成要素は、スパンデックスおよび/または Xstatic(R) ヤーンと撚り合わされていてもよい。
【0049】
機能性長尺積層体の層は接着性組成物によって一緒に接着されている。この複合体における各構成要素は、少なくとも1つの他の構成要素と接着されていなければならない。例えば、接着剤は、伸長復元性構成要素と機能性構成要素とに塗られ、それから、それらの構成要素が外側層の内側表面に接着される。他の例として、接着剤は、外側層の内側表面に塗られる。接着性組成物は、例えば、複合布地の重量の約 8% から 70% を占める。上記のレベルよりも上の含有量の接着剤は、或る環境下においては、布地が自体で接着してしまって、不都合となるであろう。使用に適した接着性組成物は、例えば、スチレン基材のブロック・コポリマー(ブロック共重合体)のようなホット・メルト接着剤であってよく、そのようなブロックコポリマーは、スチレン/イソプレンブロックコポリマー、スチレン/ブタジエンブロックコポリマーを含む。他の方法による接着も可能であり、フレーム・ラミネーション(flame lamination)やレーザまたは超音波溶接が、それらの方法が機能性構成要素と伸長復元性構成要素とを損なわないならば、使用可能である。
【0050】
機能性長尺積層体は、例えば、1細線当たり実質的に等しいデシテックス値、例えば400 デシテックス以上の弾性体細線(elastomeric filament)が、実質的に等しい間隔を置いて、同じように引っ張られながら、全体で、例えば 2,200 dtex の複数糸線として供給されるような方法によって製造される。この弾性体細線は2つの、不織布のような布地の層の間に置かれる。或る実施の形態例においては、少なくとも、1 cm あたり 3.15 細線(糸線)が供給される。糸線は、実質的に互いに平行であり、不織布の縁にも平行であってよい。この3つの層が接着剤によって接着され、その直後、張力が除かれる。この方法は、小さくて実質的に一様なひだがあることによって、実質的に一様に平坦な表面外観をもつ、ひだのある布地を作り出すことができる。
【0051】
積層体の幅1インチ当たりの機能性構成要素の数は制限されず、例えば、5から10のような、1から20の範囲内であってよい。
【0052】
図1の側面図に模式的に表示された装置は、本発明の範囲内にある機能性長尺積層体使われる。図1は、1巻の弾性体細線(elastomeric filament)10の供給ロール4と共に、1巻の機能性構成要素5(例えば、銅線)の供給ロール2を示している。しかしながら、複数の供給ロールと複数の機能性構成要素とを意図してもよい(例えば、図2参照、図2は、機能性構成要素5および5’の供給ロール2および2’ならびに弾性体細線10、10’および10”の供給ロール4、4’および4”を示している)。弾性体細線は、ロール15とニップ・ロール(nip roll)50との間で同じよって引き伸ばされ、50% よりも大きい伸びを生じる。機能性構成要素はロール15’とニップ・ロール50との間で同じように引っ張られ、安定性を生じるが、一般的に、そのような機能性構成要素5は実質的に引き伸ばされない。図1において、単一の機能性構成要素5と単一の弾性体細線10とは、並んでいるように示され、ガイド・プレート25のロール表面において任意の間隔に離される。複数の弾性体繊維(elastomeric fiber)と複数の機能性構成要素が工程に供給される場合(図2参照、ここでは、工程における長さ方向(machine direction)Mが示されている)には、ガイド・プレート25(図1および2中)または、それと同等のスペーシング手段が、各弾性体繊維と機能性構成要素との位置と間隔とを定めると理解する。図1において、実質的に平行な、50% 以上引き伸ばされた弾性体繊維10と、機能性構成要素5とが、ロール33から供給される不織布層35の面上に置かれる。接着剤30、例えば、ホット・メルト接着剤が、弾性体繊維と、機能性構成要素と、下地の不織布との上に、導管20を通して塗られる。ロール33’から供給される他の不織布層35’が、その後、ロール40における、接着剤処理された組み合わせの上に置かれ、組み合わされた構造は、ニップ・ロール50で、熱と圧力によって接着され、その間、弾性体細線10は引き伸ばされた状態にある。上記に代わって、接着剤30は、弾性体繊維と機能性構成要素とが不織布層の間に位置する前に、それらに塗られてもよい。接着が完了しら、一様な張力は実質的に完全に解除され、複合布地は弛緩して、ひだのある構造55を形成する。矢印Dは、製造された構造55がニップ・ロール50から離れて行く方向を示している。
【0053】
ホット・メルト接着剤30(例えば、図2参照)は、いくつかの異なった方法で塗られることができる。1つの方法においては、溶けた接着剤が、スプレイ・ノズル(そのようなノズル22が図2の接着剤導管20の端部に示されている)から、溶射法(melt blowing)として知られるプロセスによって、不連続な網の形状に塗布される。他の方法においては、スパイラル・スプレイとして知られるプロセスによって、溶けた接着剤が、動くノズルから一本の流れとなって出て、スパイラル形状に塗布される。接着剤が、溶射法またはスパイラル・スプレイの場合のように、不織布層を部分的にしか覆っていないパターン形状に塗られていても、均質で平坦な表面外観を有する複合布地が結果として形成される。「部分的にしか覆っていない」は、接着剤が、不織布の一部分には存在するが、その部分と隣合わせの部分には存在しないことを意味する。このようなことは、また、「ドット・マトリックス」パターンを適用した場合にも実現する。
【0054】
図3aおよび図3bは、異なる機能性構成要素5および5bをもつ機能性積層体の構造を図解している。図3aにおいて、機能性構成要素5は銅線である。図3bにおいて、機能性構成要素5bはリボン線である。図3aおよび図3bにおいて、弾性体繊維10と不織布35および35’は、図1および2に記載されたとおりのものである。
【0055】
本発明の機能性長尺積層体の平坦性または平滑性は、機能性長尺積層体が弛緩した状態から最大に伸びた状態になるときの、厚さの変化を測ることによって決定される。一般に、布地の外観が平滑であればあるほど、伸びるときの厚さの変化が小さい。代わりに、弛緩している機能性長尺布地の直線長さ cm (インチ) あたりの、ひだに対応する、持ち上げられた部分の数を数えてもよい(図4bにおけるLは、ひだとひだとの間の距離を示す)。決められた長さから出発して、弛緩している布地中のひだの数が増加すれば、ひだのうねりの振幅(図4bにおけるA)は減少する。これらの2つの値、振幅(A)、および、決められた直線長さ(L)(図4b参照)当たりのひだの数の比、すなわち、インチ当たりのひだの数に対する、厚さのパーセント減少の比は、「平坦性係数(flatness factor)」として引用される。機能性長尺積層体は、平坦性係数が約5よりも小さいときに、「平坦」または「平滑」であるとみなされる。
【0056】
厚さの測定は、エイムズ厚さ測定器(Ames Thickness Gage)によって行われた。厚さは、弛緩している複合布地の異なる3箇所において測定され、測定結果は平均された。布地は、それから、可能な限り完全に伸ばされた。伸ばされた状態において、厚さが異なる3箇所において測定され、測定結果は平均された。厚さの値の差から、厚さのパーセント減少が計算された。
【0057】
機能性長尺積層体の決められた直線長さ当たりのひだの数は、物差しを、布地に沿って、布地の縁に平行に置いて測定された。決められた直線長さ当たりのひだの数が数えられた。これが、布地の幅方向を横切って、他の2箇所において行われた。この3回の測定結果が平均された。
【0058】
他の有用な測定は、機能性長尺積層体の「収縮力(retractive force)」の測定である。本発明の下記の実施の形態を例とすれば、機能性長尺積層体の収縮力は以下のようにして測定された。すなわち、7.62 cm (3 インチ) 長さの弛緩した機能性長尺積層体の試料が、インストロン装置の1122型(Instron instrument, model 1122)内で、15.2 cm/分 (6 インチ/分) の速さで伸ばされた。伸びが 50% に達したとき、すなわち、全体の長さがはじめの長さの 150% になったときに、収縮力が測定された。測定結果は、布地の幅1インチ当たりのポンド値で記録された(装置は、幅が1インチよりも大きい布地の場合には、0.4536 kg (1ポンド) の力を、2.54 cm 当たりの 0.4536 kg (1ポンド) の力に換算するように較正されている)。
【0059】
機能性長尺積層体は、外側層(ポリプロピレンまたはポリエステル繊維基材の不織布)の剥離(それは外側層と伸長復元性構成要素との間の接着不足を示す)の証拠なしに少なくとも1回の洗濯サイクルを受けることができるという意味で「耐洗濯性」でありうる。機能性長尺積層体は、また、例えば、少なくとも1つの外側層が紙からできている場合には、使い捨て可能である。
【0060】
機能性長尺積層布地は、或る実施の形態例においては、外側層の剥離の証拠なしに少なくとも28回の洗濯サイクルを受けることができるという耐洗濯性によって特徴づけられる。そのような耐洗濯性を明示するために、以下のような洗濯サイクルが用いられた。すなわち、Sears Kenmore Series 80 洗濯機で、水と 50g の"Tide" 洗浄剤とを使って、30 分間の、38-41℃ (100-105°F)での温洗浄/温ゆすぎを行い、つぎに、Sears Kenmore Series 80 乾燥機で、「標準/恒久プレス/中間(normal/permanent press/medium)」 の設定 (96℃ 「205°F」まで) で乾燥を行った。
【0061】
スパンデックス(spandex)を伸長復元性構成要素として含む機能性長尺積層布地の耐洗濯性は、下記のような複素粘度をもつ接着剤を選んで用いることによって得られる。すなわち、接着剤の 120℃における複素粘度は、(i) 外側層がポリプロピレン繊維からなる不織布からできている場合には、少なくとも約 25 パスカル秒 (250 ポイズ) であり、(ii) 外側層がポリエステル繊維からなる不織布からできている場合には、少なくとも約 200 パスカル秒 (2,000 ポイズ) である。
【0062】
複素粘度の絶対値は以下のように定義される:
与えられた周波数ω、せん断応力σの下で、複素粘度の絶対値|η*|は、弾性係数(G')の2乗と粘性係数(G")の2乗との和の平方根をωで割ったものである:
|η*|=√(G'2+G"2)/ω
有用な接着剤の軟化点は、一般に、90℃ (194°F)を超えることが期待され、好ましくは、一般に、110℃ (230°F)を超えることが期待される。
【0063】
耐洗濯性の機能性長尺積層布地を製造するのに有用な接着剤の例は、スチレン基材のブロック・コポリマーを含有するものを含み、それは、また、粘着剤や加工油(processing oil)のような添加物を含有していてもよい。不織布がポリプロピレン繊維からなる場合に、接着剤は、H. B. Fuller Companyの HL-1486 および HL-1470であってよく、Bostick, Inc., Milwaukee, Wisconsin
の H-2104 および H-2494 であってよい。不織布がポリエステルおよび/またはポリプロピレンの繊維からなる場合に、接着剤は、Bostick, Inc. Milwaukee,
Wisconsin の H-2385 および National Starch Companyの NS-34-3260、NS-34-3322、および NS-34-5640 であってよい。上記の接着剤は、スチレン基材ののブロック・コポリマーを含有している。本発明の耐洗濯性の機能性長尺積層布地を製造するのに有用な接着剤として選択された接着剤の複素粘度は、EP1 128 952 B1 (20031126として認可、E. I. DuPont de Nemours and Co. に譲渡) に開示され、その全体の開示はここでの引用に含まれている。注目に値するのは、H. B. Fuller Company の HL-8130 を用いたときの、120℃における複素粘度は、必要最小限の 25 パスカル秒よりも低く、15 パスカル秒であり、この接着剤を用いても、ポリエステル基材またはポリプロピレン基材の不織布の場合に、耐洗濯性が得られなかったことである。
【0064】
図5Aから図5Dまでは、本発明に関連して用いられる孔空けパターン(perforation pattern)の上面図である。図5Aにおいて、一連の、同じ大きさの円形孔空け部70aが規則的な格子状に形成されている。図5Bにおいて、一連の、14の円形孔空け部70bが交代格子状に形成されている。図5Cにおいて、長方形の孔空け部72が示され、その長辺が、一般に、このパターンをもっているシートの長さ方向の伸びに垂直となり、したがって、一般に、機能性構成要素が伸ばされる長さに垂直となるように方向づけられている。図5Dにおいて、細長い(スロット状の)平行四辺形の孔空け部74が示され、その長辺が、このパターンをもっているシートの長さ方向の伸びに対して斜めになるように方向づけられている。図5Aから図5Dまでに示されたパターンをもつシートは、本発明に用いられる代表的なパターンである。他の都合のよいパターンが特定の要求に適合するようにデザインされるであろう。好ましくは、パターンは、機能性長尺積層体の1つの外側層に、その外側層を平面状に固定して、あるいは、その外側層が機能性長尺積層体に組み込まれる前に、切れ目を入れることによって形成される。
【0065】
図5Eおよび図5Fは、機能性長尺積層体の透視図であり、図において、機能性構成要素の一部分が1つの外側層から、湾曲部となって出ている。すなわち、湾曲して外側に突出している。図5Eにおいて、2つの湾曲部76aおよび76bが示され、それらは、1つの伸ばされたスロット形状の孔空け部74から外へ出ている。図5Fにおいて、4つの湾曲部78a、78b、78c、78dが示され、それらは、ごれぞれの孔から外へ出ている。
【0066】
つぎに、図6Aと図6Bを参照すると、外側層の孔空け部60と60’は、張力を除いて積層構造を弛緩させたときに機能性構成要素が露出されるような開口部を生成している。積層体中の機能性構成要素5と5’は、積層体の長さの一部分において湾曲部65と65’をつくる。機能性構成要素5と5’は、伸長復元性構成要素10と同じ方向に延びている。長尺積層体55には、1つの不織布層に孔空け部60と60’がある。これらの孔空け部は、積層体が張力下にあるときに定義される距離Pだけ離されている。任意の数の孔空け部60と60’が不織布層の一方または両方にあってもよい。一般に、距離Pは、孔空け部間の距離であり、積層体の全体の長さのどの部分に沿っても一定に固定されている。距離Pは、選択され固定された間隔にある機能性構成要素へのアクセスを提供するように、適宜定められる。随意に、不織布の両方が孔空け部60と60’をもっていてもよく、これは、機能性構成要素5と5’が不織布の両側に湾曲部となって突き出ることを許す。図6Aと図6Bにおいて、複合布地は、引っ張り張力が無く弛緩している状態で、模式的に示されている。機能性構成要素5と5’の、湾曲部となって突き出している部分65と65’は引っ張り張力が無いときの積層体から大きな距離だけ突き出ている。
【0067】
湾曲部となって突き出している部分65と65’が、ビアから湾曲部となって突き出る度合いは、部分的に、機能性あるいは伝導性構成要素の曲げ係数(bending modulus)の関数である。高い曲げ係数をもった、シリコン樹脂被覆の線、Rea 線、Beadlon 線、FEP 線、または銅リボンのような伝導性構成要素は、積層体構造が弛緩したときに、劇的に、ビアから突き出る。これとは対照的に、X-static のような、より低い曲げ係数をもつ、より柔らかい伝導性構成要素は不織布の面内にとどまる傾向にあり、ビア内にとどまってアクセスまたは端子づけを容易にする。
【0068】
図7Aは、本発明の機能性長尺積層体55の透視図であり、積層体55は、2つの不織布35、35’を構成要素とし、伸長復元性構成要素(図示せず)と同じ方向に延びる2つの機能性構成要素5、5’をもち、端部の各々において、重ね折り部分(またはz-折り)100をもっている。重ね折り部分100は、歪み解消機能をもち、機能性構成要素を積層体構造中で保持することに役立つ。
【0069】
重ね折り部分100は、また、その部分に接続手段を締め付けることを許す。図7Bにおいて、積層体の端部が、断面図で、第1の部分110と第2の部分120とをもつ締め付け具と共に示されている。締め付け具の第1の部分110は、少なくとも1対のねじ溝を切られた孔をもち、各々の孔はボルト130のねじ山を受入れ、そのボルトは、締め付け具の第2の部分120を通り、第1の部分110のねじとかみ合う。図7Bにおいて、締め付け具の2つの部分120と110とは、断面で示され、ねじ切りされたボルトによってかみ合い、積層体55の重ね折り部分の堅い締め付けを可能とする。
【0070】
本発明を、さらに、実施の形態例によって説明する。
【0071】
(実施の形態例)
下記の実施の形態例における試料は、以下の材料を用いて製造された。それらは、スパンデックス(spandex)の1つのブランドである、1520 デシテックスの ycra(R) XA(R) (Lycra(R)
は、ルクセンブルグの個人有限会社である INVISTA S. a r. l. の登録商標であり、その会社の事務所は 4123 East 37th Street North, Wichita, Kansas 67220, USA にある)と、(Perkins Sales Inc., Edisto Island South Carolina, USA 29438 から得られた)基礎重量 15 g/m2 の、ポリプロピレン繊維からなる不織布である。
【0072】
実施の形態例の構造における機能性または伝導性構成要素は、つぎの通りである。すなわち、形態例1においては、(SAUQUOIT Industries, Inc. Scranton, Pennsylvania, USA から得られる) Xstatic(R) ヤーンであり;形態例2においては、(1) シリコン樹脂で被覆された 29 ゲージの銅撚り線;(2)
堅い黒色の FEP で被覆された 29 ゲージの銅撚り線;(3)
BEADALON, West Chester, Pennsylvania, 19382から得られる、"BEADALON" Professional Series のビーズつきの線(bead
stringing wire)であって、ナイロン被覆され、0.013 インチすなわち 0.33 mm 径の 49 ゲージの撚り線;(4) 金色の 90 ミクロン径の線および黒色の 70 ミクロン径の線であり、それらは、(Elektro Feindraht,
Escholzmatt, Switzerland から得られる) 銀めっきされ絶縁された銅の導線であって、0.040 mm−0.090 mm の直径のものであり;形態例3においては、(Pelican Wire Company, Naples, Florida, USA から得られる) ポリエステル絶縁被覆およびナイロン絶縁被覆の銅の単一撚り線であって、38−42 AWG の範囲のサイズのものであり;形態例4においては、厚さ 0.003 インチで幅 0.0620 インチの矩形断面をもつ銅のリボン (Rea Magnet Wire, Inc., Fort Wayne, Indiana, USA の製品であって、Nicomatic North Amerca, One Ivybrook Blvd, 20, Warminster, Pennsylvania, USA 18974 から入手) である。上記のいくつかの伝導性構成要素の物理的性質が測定され、または、各線の供給元から得られ、表1に要約されている。
【0073】
【表1】
試料の各々は、下記のようにして洗浄され、ツビック織物疲労試験機 (Zwick Textile Fatigue Testing Machine (530 l; 8 position,
after De Mattia)) を用いて、繰り返し引き伸ばされた。このツビック試験機は、Zwick Testing Machines Ltd., Southern Avenue, Leominster, Herefordshire HR6 0QH, UK から入手可能である。電気抵抗または電気伝導度は、ツビック試験機による疲労試験の前後において、電気計測技術に熟練した者に知られている方法によって測定された。洗浄耐性試験方法は、標準粉末洗剤(American Association of Textile Chemists and Colorists
(AATCC) WOB Standard Powder Detergent)
を用いる温水 (40℃) 機械洗浄と冷水(室温の水)リンスのサイクルと、それに伴う、室温において吊るして乾かす操作とからなる。
【0074】
実施の形態例1、部分A
本実施の形態においては、5
cm 幅の機能性長尺積層体が、図1に模式的に示された装置を用いて作られた。この機能性長尺積層体は、3本の伝導性の Xstatic(R) ヤーン (伝導性のヤーンであって、SAUQUOIT Industries, Inc., PO Box 3807, 300 Palm Street, Scranton,
Pennsylvania, 18505, USA から得られ、34本の 70 デニールのナイロン細線を基材とし、その細線は、INVISTA S. a r. l から製品番号 70-XS-34X2 TEX5Z のものととして得られる)
と、22本の LYCRA(R) スパンデックスの糸とをもっている。スパンデックスと伝導性のヤーンは、図1に示された装置に、ロールから供給され、スパンデックスの糸は、実質的に平行で、互いに等距離にあるように置かれた。Xstatic(R) ヤーンは、約 2 mm の間隔で並ぶ、22本のスパンデックスの糸のうちの 4 番目、11 番目、18 番目の位置にある糸の上に置かれた。スパンデックスは、100%以上に引き伸ばされ、2つの不織布層の間で、ホット・メルト接着剤で接着された。2つの不織布層は、図1に示された装置に、ロール (例えば、33と33’) から、2つの不織布を効果的に平面化するのに十分な張力の下に、供給された。伝導性構成要素は張力が印加されずに弛緩した状態にあって、接着剤が導入される前に、構造中に、スパンデックスに接触して、導入された。
【0075】
すべての試料に対して、接着剤は、スパンデックスが下側の不織布に触れる直前に、スパンデックスに、溶射(melt blow)された。すべての試料において、スチレン/イソプレン・ブロック・コポリマー基材の接着剤 H-2766 (Bostik Findley Inc., Wawatosa,
Wisconsin, USAの製品) が、86.4 g/分 の速さで使われた。その接着剤は 149℃において塗られた。1対のニップ・ロール (実質的に、図1に模式的に示されたニップ・ロール50に同じ)に入る試料の速さは 300 フィート/分 (91.5 m/分)であり、ニップ・ロール圧力は 60 psi (414 kPa) であった。上側と下側の不織布層と、それらの間にあるスパンデックスと伝導性細線は、この工程によって、接着結合され、この工程の後、スパンデックスへの張力は解除された。このスパンデックスへの張力の解除の後、小さくて実質的に同じ形のひだのために実質的に均質で平坦な表面外観をもつ、ひだのある布地が製作された。
【0076】
表2は、実施の形態例1、第1部の機能性長尺積層体の試料における電気抵抗のデータを示している。試料の洗浄試験は、各伝導性構成要素について、洗浄前の抵抗値の2倍よりも小さい抵抗値の上昇を除けば、直流電気抵抗の大きな変化を示さなかった。1万(10,000)回の繰り返しサイクルのツビック疲労試験(Zwick fatigue test)は、各伝導性構成要素の疲労を示さなかった。
【0077】
【表2】
実施の形態例1、部分B
実施の形態例は、機能性長尺積層体中の伝導性構成要素として Xstatic(R) ヤーンを用いて実施された。2つの試料が、実施の形態例1、部分Aで記述された工程と正確に同じ工程によって作られた。この部分Bの例では、12本のLYCRA(R) スパンデックスの糸が使われ、そのうちの、2、3、4、5、8、9、10、11 番目の位置にある8本のスパンデックスの糸の上に、Xstatic(R) ヤーンが挿入され、重ねられた。結果として作られた機能性長尺積層体は幅約 2.5 cm のものであった。この部分Bの試行において、2つの試料が製作され、それぞれの、長さ 15 インチの試料について、事前に、抵抗が測定され、それから、試料は同じ方法で洗浄された。8本の伝導体の各々は、10 洗浄サイクルの後に試験された。
【0078】
表3Aと表3Bに示されたように、各伝導体の抵抗は少しだけ増加し、洗浄処理にって損傷を受けた伝導体は無かった。結果として、この方法によって作られた機能性長尺積層体は、十分に丈夫であって、標準的な洗濯条件に耐え、しかも、その有用な電気伝導性を維持していることが判った。
【0079】
【表3】
実施の形態例2
実施の形態例2においては、幅 2.5 cm の機能性長尺積層体が、下記の相違点を除いて、実施の形態例1と同様にして作られた。その相違点は、19本の LYCRA(R) スパンデックスの糸が実質的に等間隔で平行に置かれ、4つの長尺積層体において、以下の機能性構成要素が LYCRA(R) スパンデックスの糸に並んで、スパンデックスの糸の 2 番目と 10 番目の位置に置かれ、その機能性構成要素は、(1)第1の機能性長尺積層体においては、シリコン樹脂で被覆された
29 ゲージの銅撚り線;(2)第2の機能性長尺積層体においては、堅い黒色の FEP で被覆された 29 ゲージの銅撚り線;(3)第3の機能性長尺積層体においては、BEADALON, West Chester, Pennsylvania, 19382から得られる "BEADALON" Professional Series のビーズつきの線(bead
stringing wire)であって、ナイロン被覆され、0.013 インチまたは 0.33 mm 径の 49 ゲージの撚り線;(4)第4の機能性長尺積層体においては、金色の 90 ミクロン径の線および黒色の 70 ミクロン径の線である点である。各機能性長尺積層体について3つの試料が作られ、各試料は、上記4つの機能性構成要素のうちの1つを含んでいる(合計 12 の試料について)。各試料は、ツビック疲労試験機を用いて、1万サイクルに対して試験された。はじめの3つの機能性構成要素の1つを用いた試料については、2つの、長さ6インチの機能性長尺積層体が 75%の長さのところで折り曲げられた。4番目の機能性構成要素を用いた試料については、2つの、長さ6インチ半の伝導性長尺積層体が折り曲げられ、8の字形にひねられた。各伝導性構成要素の抵抗が、ツビック試験の前と後とで試験された。
【0080】
表4の結果は、はじめの3つの機能性構成要素を用いて製作した試料はツビック試験過程に耐えることができることを示している。しかしながら、4番目の機能性構成要素を用いて製作した試料は(長尺積層体自体の破壊ではなく、機能性構成要素の断線の結果として)ツビック試験過程に耐えなかった。
【0081】
【表4】
実施の形態例3
実施の形態例3においては、実施の形態例1のようにして機能性長尺積層体が作られた。この形態例において、機能性長尺積層体は、銀めっきされた銅線が撚り合わされ、絶縁被覆されてできた単線の4本または8本からなる伝導性構成要素をもっている。これらの線は、表1に、それぞれ示された色によって区別されている。4本の伝導性構成要素が使われた場合、それらは、機能性長尺積層体中の12本の LYCRA(R) スパンデックス・ヤーンの 2、5、8、11 番目の位置に導入された。8本の伝導性構成要素が使われた場合、それらは、機能性長尺積層体中の12本の LYCRA(R) スパンデックス・ヤーンの 1、3、4、6、7、9、10、12 番目の位置に導入された。結果としてできあがる機能性長尺積層体の幅は約 2.5 cm である。実施の形態例1に記述された洗浄試験にかけられた後に、この機能性長尺積層体の試料は上述の電気抵抗測定にかけられた。これに加えて、この機能性長尺積層体の試料は、弛緩状態のときの長さよりも 30%長く引き伸ばされる前と引き伸ばされているときとに、電気抵抗測定にかけられた。ツビック疲労試験が、上記の実施の形態例と同様に実施された。
【0082】
以下の表5ないし9は、実施の形態例3における試験と測定のデータを要約している。
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】
【表9】
実施の形態例4
本実施の形態例4においては、1対の絶縁されていない銅リボン(断面寸法:0.003 インチ× 0.06 インチ)が、伝導性構成要素として用いられた。2本の 1520 デシテックスの Lycra(R) XA(R) の糸からなる LYCRA(R) スパンデックスの対を撚り合わせてできた単一のヤーンが、伸長復元性構成要素として使われた。その Lycra(R) XA(R) は、伝導性構成要素が、広い幅の方の面を不織布の面に接するするように、2つの不織布の間に挿入されるときに、約 1.3 倍の伸び(draft)に保たれ、機能性長尺積層体を形成した。機能性長尺積層体を製作するための工程は、その他については、上述の実施の形態例と実質的に同じであった。結果として得られた積層体は、約 2.5 cm 幅であり、伝導性構成要素は互いに 1.5 cm 離れ、対の LYCRA(R) スパンデックスを撚り合わせてできた単一のヤーンが、その銅の伝導性構成要素の間に存在している。その積層体は、弛緩状態において、ひだのある外観をもち、その外観は、図4bに示されたように、約 15 から 20 mm の繰り返しの長さLで特徴づけられる。
【0088】
実施の形態例5
この実施の形態例は、端のある積層構造の性能は、その端を、少なくとも1回折り返し、そして、好ましくは、少なくとも2回のZ-折り、ジグザグまたは s-折り(s-wrap)の形に折り、それから、糊留め(gluing)、スナップ留め(snapping)、リベット留め、縫い留め、および/またはステープル(staple)留めのような機械的固定手段で、しっかりと留めることによって、改善されることを示す。例えば、図7Aと図7Bには、締め付け具の形の機械的固定手段が示されている。
【0089】
この実施の形態例において用いられる機能性長尺積層体は、幅約1インチ、長さ約8インチのものであり、実施の形態例2の方法に従って製作された。その場合に、下記の機能性構成要素が、LYCRA(R) スパンデックス糸に沿って、2 と 10 の位置に置かれ、それは、(1) 第1の機能性長尺積層体においては、シリコン樹脂で被覆された 29 ゲージの銅撚り線;(2) 第2の機能性長尺積層体においては、堅い、黒色の FEP 被膜で被覆された 29 ゲージの銅撚り線;(3)
第3の機能性長尺積層体においては、"BEADALON" Professional Series のビーズつきの線であった。
【0090】
上記の積層体は、積層構造から機能性構成要素を引き出すために必要な力を定量するために試験された。各積層体から機能性構成要素を引き出すために必要な力は、各積層体を 70°F (21.1 ℃) で相対湿度 65%の室内のインストロン張力試験機によって、定量された。そのインストロン張力試験機は、Merlin データ集積ソフトウエア・システムが装備された Instron Model 5565 であった。Merlin のシステムと機器のハードウエアとは Instron Corporation (Braintree, Massachusetts) から入手可能である。幅1インチ +/- 0.05 インチ (2.54 cm +/- 0.13 cm) で、長さ約 8 インチ (20.32 cm) の長尺不織シートの試料が、試料長さ 3.00 インチ (7.62 cm) で、インストロン機のくわえ具でくわえられた。試料は、試料の長さ方向が、スパンデックスおよび/または長尺不織シート中の機能性構成要素に沿うように製作された。試料は、毎分 6 インチ (15.24 cm/分) の速さで、破けて2つの部分に分かれるまで引き伸ばされ、破断時の最大張力がグラムで測られ、記録された。
【0091】
表10に示されるように、折り返され、しっかりと留められた積層構造の端は、機能性構成要素を、積層構造中で、より強く保持する。そのような積層構造から機能性/伝導性機能性構成要素を引き出すときには、しっかりと留められてはいない、標準の伝導性構成要素を引き出すときの力に比べて、約2から3倍の力を必要とし、標準の伝導性構成要素は、糊留めされただけの積層構造から、より低い張力で引き出された。
【0092】
【表10】
実施の形態例6
この実施の形態例は、少なくとも1つの変更された外側層をもっていること以外は、実質的に実施の形態例4におけるものと同じ長尺積層体を提供する。上記の実施の形態例におけるように、銅基体の伝導性構成要素、線、リボン、および/または金属めっきされたヤーンが、スパンデックス・ヤーンと共に、2つの不織層の間に導入される。スパンデックスは、少なくとも 100%引き伸ばされ、2つの不織布層の間に、ホット・メルト接着剤によって結合される。この2つの不織布は、実施の形態例1におけるように、(図1における33と33’のような)ロールから、不織布を平坦にするのに十分な張力の下に、供給される。伝導性構成要素(銅リボン)は張力無しの弛緩状態にある。接着剤は、スパンデックスが下側の不織布層と接する直前に、スパンデックスの上に溶射される(melt blown)。
【0093】
この実施の形態例においては、孔空け部は、1つの外側層に、実質的に、伝導性構成要素の1つ、例えば2つの銅リボンの少なくとも1つ、に沿った直線上に、間隔を置いて作られている。外側(不織)層の孔空け部は、不織材料の長さに沿って、区切りがつけられている(punctuated)。このような孔空け部は、電気技術と電子技術において、「ビア」("via") として知られている(ビアは、1つの表面から他の表面への情報の通り道であって、導線または機能性構成要素がそれを通ってビアの下に出られるものと解釈されている)。
【0094】
図5に示されたように、孔空け部は、例えば、「孔空け(hole-punching)」手段によって形成された、矩形状のものまたは円形断面形状のものであってよい。いかなる断面形状も、一般的に使用に適していて、望ましい形の孔空けダイスによって容易に作られる。孔空け手段は、例えば、1つずつの孔を空ける手持ちの器具、および、紙に3環バインダー用の3つの孔を空ける3つ孔パンチを含む。一般的に、そのような孔空け手段は、ステップ−アンド−リピート風に使われて、不織部材に、一定の間隔をもつ一連の孔を作る。
【0095】
上記の代わりに、不織シートは、専用の孔空け機を通して供給され、その孔空け機は、等間隔(図6Aに示された「固定ピッチ」P)で孔空けをするか、または、操作者によって選ばれるランダムな間隔で孔空けをするものであってよい。上記の代わりに、不織シートは切れ目を入れられてもよい。そのように孔空けされるか切れ目を入れられた不織シートは通常の方法で巻き取られ、それから、装置に(図1の33、33’で示された一方または両方で示されたように)装着される。上記の代わりの実施の形態例において、ビアは、いかなる形状にも、不織層のロールの複数層の深さに空けることができる。孔空けされた不織層は、つぎに、実質的に図6Aに、弛緩した状態で図6Bに、模式的に代表として示された機能性長尺積層体の製造に用いられる。
【0096】
上記の詳細な説明は、本発明の範囲を限定するものではない。ここに提出された実施の形態例のすべては、代表例であって、非限定的なものである。上記の本発明の実施の形態は、本発明の範囲を逸脱せずに、上記の技術の分野における通常の知識を有する者が認めるように、修正されたり変更されたり、構成要素が付加されたり削除されたりしてよい。従って、本発明は、特許請求の範囲によって評価されるべきであり、上記の詳細において述べられた方法に代わる方法によって実行されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係る機能性長尺積層体の製造に適した装置の側面の模式的表現である。
【図2】本発明に係る機能性長尺積層体を製造するための装置の一部分の上面の模式的表現である。
【図3】図3aと図3bは、本発明に係る機能性長尺積層体の断面の模式的表現であり、伸長復元性構成要素と機能性要素とが、2枚の布地または他の非伸長性材料のシートの間に挟まれてなるサンドイッチ構造を示している。
【図4】図4aと図4bは、本発明に係る機能性長尺積層体に用いられる複合布地の縁断面の模式的表現であり、図4aにおいて複合布地は引っ張り応力下にあり、図4bにおいて複合布地は引っ張り応力下になく弛緩している。
【図5】図5A−図5Dは、機能性構成要素を露出させるために複合長尺積層体の外側シートの孔あけに使うことができる孔あけパターンの上面図であり、図5Eと図5Fは、機能性構成要素の部分が積層体の外側層シートの外側へ湾曲して突出している機能性長尺積層体の透視図であり、図5Eにおいて2つの湾曲部が1つの伸びたスロット形状の孔から突出し、図5Fにおいて4つの湾曲部がそれぞれ1つの孔から突出している。
【図6】図6Aと図6Bは、本発明に係る機能性長尺積層体の縁断面の模式的表現であり、図6Aにおいて複合布地は引っ張り応力下にあり、図6Bにおいて複合布地は引っ張り応力下になく弛緩している。
【図7】図7Aは、本発明に係る機能性長尺積層体の透視図であり、この積層体の両端において積層体中の機能性構成要素を安定化するためにz-折りが形成されている。図7Bは、図7Aの機能性長尺積層体の一端に形成されたz-折りにおける電気的接続の例を提供するための留め具の断面図である。
【技術分野】
【0001】
この発明は、しなやかで弾性的な織物構造に関連し、その織物構造は、3次元対象物の外形に従う(secure about)ことが可能であり、その3次元対象物は、例えば、電気を導く能力、光を導く能力、電磁場を発生するか電磁場に影響を与えるかの能力を持つものである。
【背景技術】
【0002】
医学的および生理学的モニタリング(monitoring)への応用のために、電気を導く能力または電磁界に影響を与える能力を有する、異なる型のしなやか(flexible)で弾性的な織物構造(textile structure)が開示されている。例えば、Cynthia L. Istook の特許(下記特許文献1参照、VivoMetrics(R), Inc. Ventura, California, USAへ譲渡) は、生理学的モニタリングのために服装へ適用される型の複合弾性布地構成(composite elastic fabric construction)を開示していて、その適用において、複合弾性布地が、引き伸ばされることとそれから元に戻ることが、その複合布地に付られたり織りこまれたりしている導電性の曲がった線(wire)の導電性を変化させる。上記(R)は登録商標を示す(以下同様)。VivoMetrics(R) Inc. は LifeshirtTM のメーカーであり、その LifeshirtTM は、下記特許文献1に記載の、しなやかで導電性の織物構造と合体していて、まず第一に、生理学的モニタリングと、歩行者に着用させての計測とに用いられる。
【0003】
Vikram Sharma の発明(下記特許文献2参照) は、電気絶縁性のヤーン(yarn)、長尺(stretch)ヤーン、および「機能性」ヤーンが編み合わされてできた管状の編まれた布地システムを開示している。その発明において、機能性ヤーンは導電性であり、0.01 Ω/mから 5000 Ω/mの抵抗値を持っている。この「機能性」ヤーンは管状編み物の中に連続した螺旋の形で埋め込まれ、管状編み物で作られた袖の長さにまで達している。手足のような身体部分は、生理学的信号を計測するための管状編み物の部分で囲まれる。さらに、この発明によって開示された管状編み物は、細い弾性バンド形状で使われる用途にも適用可能であり、その場合には、機能性ヤーンは生理学的信号のための平行導線として働く。この発明における細い弾性バンド構造の不利な点は、機能性ヤーンまたは線(wire)が、他のすべての構成要素と同時に構造中に編み合わされなければならないことである。
【0004】
導電性構成要素に加えて、光の伝導のためのオプティカル・ファイバが、衣服中に含ませるものとして開示されている。例えば、Sundaresan Jayaraman 他の特許(下記特許文献3参照、Georgia Tech Research Corp. へ譲渡)は、基材となる織物の快適な構成要素と検知用構成要素とからなる、完成された(full-fashioned) 連続織りの衣服を開示している。この特許によれば、検知用構成要素は、導電性構成要素または貫通検知(penetration sensing)構成要素でありうる。例えば、貫通検知構成要素はオプティカル・ファイバのような光の伝導体でありうる。この発明の構成の1つの不利な点は、弾性ヤーンと、例えばプラスチックのオプティカル・ファイバのような機能性構成要素とを同時に織って、管状布地または衣服にしなければならないことである。
【特許文献1】US Patent Number 6,341,504
【特許文献2】PCT公報 WO 2003/087451 A2
【特許文献3】US Patent Number 6,315,009
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の引例は、導電体のような機能性構成要素を、織った形あるいは編んだ形の布地構造によって取り込む。そのような機能性構成要素は通常の織物に対して貧弱な適合性(compatibility)しか持たないことがありうる。さらに、そのような機能性構成要素は、一般に、通常の布地形成過程(例えば、織る過程、編む過程、シームレスで編む過程)が困難となる原因となる。例えば、線(wire)、細いケーブルおよびオプチカル・ファイバは、しばしば、それらの脆さ、弾性率、可伸性および引っ張り強度の故に、典型的な布地の繊維に適合(match)しにくい。特に、そのような不利な点は、その構造または衣服の弾性変形回復性やしなやかさが要求された場合、および、その衣服の洗濯可能性が要求された場合に顕著となる。このように、従来技術における1つまたはそれより多い欠点を克服する、しなやかで弾性的な織物構造が要求される。
【0006】
この分野での技術は、電気を導くか、光を導くか、または、電磁場に影響を与えることが可能な構成要素を有する構造であって、或る医学的および/または生理学的モニタリングへの応用、および、工業的応用と相互接続への応用に使え、さらに、上記の欠点の少なくとも1つを持たない構造の探索を続けている。機能性構成要素を、そのような構成要素を編むかまたは織る必要なしに包含している、洗濯可能な衣服を提供できることは高度に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、孔空けされ、実質的にひだのある外観の機能性長尺積層体に関する。この孔空けされた機能性長尺積層体は、布地、紙またはフィルムでできた第1および第2の外側層と、少なくとも1つの、伸長復元性構成要素と、前記伸長復元性構成要素と同じ方向に延びる少なくとも1つの機能性構成要素と、前記第1および第2の外側層の間にある前記伸長復元性構成要素と前記機能性構成要素とを接着する接着性組成物とを含み、前記伸長復元性構成要素が弛緩状態または引き伸ばされていない状態にあるときに、実質的にひだのある外観が現れ、少なくとも1つの機能性構成要素の一部分が、機能性長尺積層体に設けられた孔またはビア(via)から、外側に湾曲して突出する(loop outwardly)。本発明に係る機能性長尺積層体は伝導性でありえて、例えば、電気を導くこと、光を導くこと、または、電磁場を生じることができる。
【0008】
本発明は、さらに、孔空けされ、実質的にひだのある外観の機能性長尺積層体の製造方法に関する。その製造方法は、
或る長さの、第1の表面と第2の表面とを有する、非伸長性材料の第1の部材(piece)を用意する工程と、
少なくとも1つの長さの伸長復元性構成要素を、変形無しに復元可能な伸び限界の少なくとも50%にまで引き伸ばして固定する工程と、
少なくとも1つの長さの機能性構成要素を、前記伸長復元性構成要素と共に同じ方向に沿うように(co-extensively)延ばして固定する工程と、
引き伸ばされた長さの前記伸長復元性構成要素と前記機能性構成要素とを、前記第1の部材の第1の表面に、固定された長さの実質的部分に沿って留める(secure)工程と、
第1の表面と第2の表面とを有する非伸長性材料の第2の部材を用意し、該第2の部材を、前記伸長復元性構成要素、または、前記第1の部材の第1の表面に、前記伸長復元性構成要素と共に同じ方向に沿って延びる長さの実質的部分に沿って留めて、該機能性長尺積層体を形成する工程と、
引き伸ばされた長さの前記伸長復元性構成要素を弛緩させて、少なくとも1つの前記機能性構成要素の一部分が該機能性長尺積層体に設けられた少なくとも1つの孔またはビアから外側に突出するかまたは湾曲して突出するように、該該機能性長尺積層体がひだを作ることを許す工程とを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、以下の図面を参照する以下の詳細な説明において記述される。
【0010】
図1は本発明に係る機能性長尺積層体の製造に適した装置の側面の模式的表現である。
【0011】
図2は本発明に係る機能性長尺積層体を製造するための装置の一部分の上面の模式的表現である。
【0012】
図3aと図3bは、本発明に係る機能性長尺積層体の断面の模式的表現であり、伸長復元性構成要素と機能性要素とが、2枚の布地または他の非伸長性材料のシートの間に挟まれてなるサンドイッチ構造を示している。
【0013】
図4aと図4bは、本発明に係る機能性長尺積層体に用いられる複合布地の縁断面の模式的表現であり、図4aにおいて複合布地は引っ張り応力下にあり、図4bにおいて複合布地は引っ張り応力下になく弛緩している。
【0014】
図5A−図5Dは、機能性構成要素を露出させるために複合長尺積層体の外側シートの孔あけに使うことができる孔あけパターンの上面図である。
【0015】
図5Eと図5Fは、機能性構成要素の部分が積層体の外側層シートの外側へ湾曲して突出している機能性長尺積層体の透視図であり、図5Eにおいて2つの湾曲部が1つの伸びたスロット形状の孔から突出し、図5Fにおいて4つの湾曲部がそれぞれ1つの孔から突出している。
【0016】
図6Aと図6Bは、本発明に係る機能性長尺積層体の縁断面の模式的表現であり、図6Aにおいて複合布地は引っ張り応力下にあり、図6Bにおいて複合布地は引っ張り応力下になく弛緩している。
【0017】
図7Aは、本発明に係る機能性長尺積層体の透視図であり、この積層体の両端において積層体中の機能性構成要素を安定化するためにz-折りが形成されている。
【0018】
図7Bは、図7Aの機能性長尺積層体の一端に形成されたz-折りにおける電気的接続の例を提供するための留め具の断面図である。
【0019】
本発明は、実質的に平坦な表面外観をもち、また、実質的にひだのある外観をももちうる複合布地(composite fabric)である機能性長尺積層体(functional stretch laminate)を包含する。その長尺積層体は伝導性(conductive)であり、丈夫(robust)であり、耐洗濯性(laundry-durable)であり、いかなる3次元物体の外形にも従うこと(securing about)に適合可能でありうる。
【0020】
本発明の機能性長尺積層体は一般に以下の(a)ないし(e)を包含する。すなわち、
(a)不織の布地(fabric)(以下、不織布という)、編まれた布地または織られた布地、もしくは紙またはフィルムからなる第1および第2の外側層であって、各外側層は、両層が複合された場合おいて内側の(または第1の)表面と外側の(または第2の)表面とをもつもの、
(b)前記第1および第2の外側層の間に挟まれた、少なくとも1つの、弾性体的性質(elastomeric properties)をもつ繊維のような伸長復元性構成要素(stretch and recovery element)の糸線(threadline)、
(c)同様に前記第1および第2の外側層の間に挟まれた、少なくとも1つの機能性構成要素、
(d)前記第1および第2の外側層どうしを接着するため、前記第1および第2の外側層を前記伸長復元性構成要素と接着するため、または、前記第1および第2の外側層を前記機能性構成要素と接着するための1つの接着性組成物、および、
(e)この積層体が弛緩状態または引き伸ばされていない状態にあるときに、少なくとも1つの機能性構成要素が外側に突出するか湾曲して突出することを許す少なくとも1つの孔またはビア(via)を包含する。
【0021】
上記不織布、編まれた布地または織られた布地、もしくは紙またはフィルムからなる2つの外側層は、或る実施の形態例においては、実質的に同じ幅をもっていてよい。
【0022】
上記弾性体的性質をもつ繊維は、或る実施の形態例においては、少なくとも 400 デシテックス(decitex)であってよく、その場合に、糸の本数と繊維のデシテックス値とは、伸長可能な布地の収縮力が少なくとも 0.22 ポンド/インチ (38.9 g/cm) であるような関係にある。
【0023】
上記に加えて、接着性組成物は、或る実施の形態例においては、重量で、積層体の約 8 から 70% であってよく、少なくとも1つの外側層の内側表面を部分的に覆うだけであるにもかかわらず、各外側層の外側に、各外側層の面積を基準として、10% よりも少ない量だけ浸透してもよい。
【0024】
さらに、機能性構成要素は、実質的に、伸長復元性構成要素と、平行または同じ方向に延びていればよい。
【0025】
本発明は、さらに、ひだのある外観の機能性長尺積層体の製造方法を提供し、その製造方法は下記のステップを包含する。
【0026】
或る長さの、第1および第2の表面をもつ、非伸長性材料の第1の部材を用意するステップ。
【0027】
少なくとも1つの、或る長さの伸長復元性構成要素を、少なくとも変形無しに復元可能な伸長限界の50%まで伸ばして固定するステップ。
【0028】
少なくとも1つの、或る長さの機能性構成要素を、前記伸長復元性構成要素と同じ方向に沿うように延ばして固定するステップ。
【0029】
伸ばされた長さの伸長復元性構成要素と機能性構成要素とを、前記第1の非伸長性材料の第1の表面に、固定された長さの実質的部分に沿って、留めるステップ。
【0030】
第1および第2の表面をもつ、非伸長性材料の第2の部材を用意し、該第2の部材を、前記伸長復元性構成要素、前記機能性構成要素または前記第1の部材の第1の表面に、前記伸長復元性構成要素と共に同じ方向に沿って延びる長さの実質的部分に沿って留めて、機能性積層体を形成するステップ。
【0031】
伸ばされた長さの伸長復元性構成要素を実質的に弛緩させて、少なくとも1つの前記機能性要素の一部分が、機能性長尺積層体に設けられた少なくとも1つの孔またはビアから外へ向けて突出するか湾曲して突出するように、機能性長尺積層体がひだをもつようになることを許すステップ。この方法は、さらに、少なくとも1つのコネクタを機能性長尺積層体に取付け、このコネクタが、積層体内の少なくとも1つの機能性構成要素と、電源と放射源とからなる群から選ばれる1つとを接続することに使えるようにするステップを包含してもよい。この場合の放射はデータ通信のためのファイバ・オプティック・ネットワークに用いられる波長の光の中から選ばれる光放射であってよい。
【0032】
本発明に係る製造方法の一実施の形態例においては、2つの外側層は実質的に平坦化されて一定の場所に確保され、そのように平坦化された外側層に、少なくとも1つの伸長復元性構成要素と少なくとも1つの機能性構成要素とが留められる。ここで用いられる場合、「平坦化」という語句は、布地、網またはフィルムの部分を、実質的に平坦で、ひだが無く、しわが無い状態にすることを意味する。
【0033】
ここで用いられる場合、利用に適した「実質的に非伸長性材料」は、不織布、織られた布地、編まれた布地、紙、配向フィルム、無配向フィルム、金属被覆された前記材料を包含する。これらの織られた布地、不織布および編まれた布地は、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、パーフルオロ化ポリオレフィン繊維を含む、ステープルまたは連続の繊維からなっていてよい。利用に適したフィルムは、ポリエステル、ポリオレフィン、パーフルオロ化ポリオレフィン、ポリアミドを含むポリマーからなっていてよい。機能性長尺積層体の外側層の布地またはフィルムは、上記の実質的に非伸長性の材料からなっていてよい。
【0034】
ここで用いられる場合、利用に適した「伸長復元性構成要素」は、少なくとも、スパンデックス(spandex)またはエラスタン・ヤーン(elastane yarns)、フィルム、被膜(例えば、LYCRA(R) スパンデックス)を含む。利用に適した伸長復元性構成要素は、さらに、ポリエステル2成分系繊維、例えば、Type 400 ブランドのポリ(エチレンテレフタレート)//ポリ(トリメチレンテレフタレート)(Invista S. a r. l.から "T400"として市場入手可能)のような材料を含む。伸長復元性構成要素はまた、伸びてまた元に戻る性質と機能性性質との両方をもつ材料を含み得て、そのような材料の例として、PCT公報 WO 2004/097089 A1 に開示されている伝導性で伸長可能な複合ヤーンがあり、その全体の開示はここでの引用に含まれている(以下、この複合ヤーンを「少なくとも1種類の機能性被覆細線(filament)で周囲を囲まれた弾性部材を構成要素とする電気的または光学的に機能性の複合ヤーン」として引用する)。
【0035】
利用に適した伸長復元性構成要素は、200% を超え、400% を超えるような破断時伸びをもち得る。
【0036】
ここで用いられる場合、語句「機能性」は、構成要素または材料が、電気的、光学的、磁気的、機械的、化学的、および/または熱エネルギー的特性を有することを意味する。
【0037】
「機能性材料」の例は、電気的機能(例えば、電気伝導性、電気加熱機能、圧電活性、電歪活性、エレクトロクロミック機能)を示す材料;光学的機能(例えば、フォトニック結晶ファイバ、フォトルミネッセンス機能、ルミネッセンス機能、光透過機能、反射機能)を示す材料;磁気的機能(例えば、磁歪活性)を示す材料;熱応答性機能を示す材料(例えば、形状記憶ポリマーまたは合金);およびセンサ機能(例えば、化学、バイオ、容量センサ機能)を示す材料を包含するが、これに制限されない。このような機能性材料が、本発明の実施の形態例において用いられる機能性構成要素に含まれ得る。
【0038】
ここで用いられる場合、利用に適した「機能性構成要素」は、リッツ線(litz wire)、金糸線(tinsel wire)、または高周波用より線導体(stranded conductor)のような、1つまたは複数の導電体を有し、絶縁されるかまたはされていない種類の金属線;リボン線のような、円形または非円形断面をもつ単線またはより線;Xstatic(R) ヤーンおよび メタライズド・マイラー(metallized MYLAR(R)(DuPont-Teijin Films, Hopewell, Virginia,
USA から入手));ポリピロールからできた繊維のように本質的(inherently)に導電性のポリマ繊維;CROFON(R) のような、ポリメチルメタアクリレートからできたプラスチック・オプティカル・ファイバ;そして、Ethernet(登録商標)、Fiber Channel、FDDI、ATM、Token Ring プロトコルを基礎としたファイバ・オプティック・ネットワークに適したマルチ−モードまたはシングル−モードの石英ガラスのオプティカル・ファイバを包含する。利用に適した機能性構成要素は、また、少なくとも1種類の伝導性被覆細線で周囲を囲まれた弾性部材を構成要素とする電気伝導性複合ヤーン、および、US 仮出願 Serial No. 60/562,622, filed April 15, 2004 に開示された弾性体組成物(elastomeric composition)を含み、その弾性体組成物の全体の開示はここでの引用に含まれている(以下、この弾性体組成物を「可変抵抗値を示す電気伝導性の弾性体組成物」として引用する)。
【0039】
ここで用いられる場合、語句「いかなる3次元物体の外形にも従うこと」は、機能性長尺積層体がしなやかで弾性的であり、いかなる形状にも適合することを意味する。特に、機能性長尺積層体が衣服または衣服の構成部分または少なくとも人体の一部分に着用可能なものである場合、その積層体は、少なくとも、その衣服または装着物が人体の3次元形状に従って変形するまでに、適合可能である。いかなる3次元物体にも適合して変形することに付随して備わっていなければならないことは、積層体が従っている3次元形状が運動しているときでも、積層体の機能性構成要素の機能実行を維持できるような、積層構造の丈夫さである。
【0040】
ここで用いられる場合、語句「洗濯に耐える」は、機能性長尺積層体が少なくとも洗浄可能であることを意味する。特に、機能性長尺積層体が、洗浄可能衣服または人体用洗浄可能装着物の構成部分である場合、その積層体は、複数回の洗浄または洗濯のサイクルの後でも、積層体の機能性構成要素の機能実行を維持できる。例えば、少なくとも1回の洗浄サイクルの後で、積層体の機能性構成要素の機能実行が維持できていることは「洗濯に耐える」ことであろう。
【0041】
ここで用いられる場合、語句「伝導性」は、少なくとも機能性長尺積層体の一部分が、電気を導くこと、光を導くこと、電磁場を生じ、または、電磁場からの遮蔽を生じることが可能なことを意味する。
【0042】
ここで用いられる場合、語句「実質的に平行または同じ方向に沿って延びる」は、伸長復元性構成要素と機能性構成要素とが、機能性長尺積層体の長さ方向(「流れ方向」("machine direction")としても知られている)に、それぞれの長さ方向を合わせて延び、隣どうしが接触していないことを意味する。そのような実質的に平行または同じ方向に沿って延びる構成要素は、少なくとも1つの実施の形態例において、他の伸長復元性構成要素および/または機能性構成要素と、それらが延びている方向に沿う各点において、その方向に垂直な方向に等距離にあるように延びている。例えば、伸長復元性構成要素が機能性長尺積層体の流れ方向に延びているとき、それと実質的に平行または同じ方向に延びている機能性構成要素も流れ方向に延びていて、両構成要素は、実質的に、流れ方向に沿う各点において、流れ方向に垂直な方向に互いに等距離にある。語句「実質的に平行または同じ方向に延びている」は、また、伸長復元性構成要素と機能性構成要素との両方が、同じ方向に同じに延ばされる状態(例えば、両方が、流れ方向に同じに延ばされる状態)を含む。
【0043】
本発明に係る機能性長尺積層体は、或る実施の形態例において、種々の量のひだをもつ複合体であり、不織布からなる2つの外側層と、少なくとも1つの機能性構成要素と2つ以上の実質的に平行または同じ方向に延びている実質的に同じデシテックス値の弾性(elastomeric)繊維(伸長復元性構成要素)とからなる中間「層」とを構成要素とし、その弾性繊維は、例えば、300% の伸びから完全に元に戻ることができる。弾性繊維は、外部からの力が無いときに実質的に弛緩している。これに加えて、さらなる実施の形態例においては、複数の弾性繊維は、それらの長さ方向に垂直な方向には等間隔に並んでいてよい。
【0044】
本発明に係る機能性長尺積層体を製造するのに適した不織布は、約
10 から約 100 グラム/(メートル)2、例えば約 10 から約 30 グラム/(メートル)2の基体重量を有する。多くの型の不織布が本発明の実施の形態例に使用されるのに適している。代表的例は、熱接合された(thermally bonded)不織布、紡績接合された(spunbonded)不織布および水でからませた(hydroentangled)不織布を含む。例えば、それらは、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維からなっていてよい。
【0045】
本発明に係る機能性長尺積層体は、不織布またはフィルムのような非伸長性材料からなる2つの外側層の間に挟まれた、2つ以上の弾性繊維と少なくとも1つの機能性構成要素との中間「層」を有する。この中間「層」は、少なくとも1種類の弾性繊維の糸線(threadlines)を、例えば、3.2 糸線/cm幅 含み、その糸線は少なくとも 400 デシテックスである。センチメートル当たりの糸線の数は、例えば、6.3 まで増してもよい。これらの2つのパラメータ(糸線の数とデシテックス値)は、例えば、完成品が元の長さの 150% に伸ばされたときに測られる、約 38.9 (グラム重)/cmの最小収縮力を生じるように選ばれてよい。
【0046】
弾性繊維は、外側層布地またはフィルムの縁に対して実質的に平行であってよい。使用に適した弾性繊維の一例は Lycra(R) スパンデックス繊維(spandex fiber (INVISTA S. a r. l. の登録商標))である。
【0047】
この中間「層」における機能性構成要素は、或る実施の形態例において、絶縁型または非絶縁型の金属線であってよい。例えば、単一導線が使われてよい。リッツ線またはより導線のような、単線当たりに多くの導体を用いることは高周波への用途に適している。リボン線のような、円形または非円形断面をもつ単一金属より線は、大電流の場合、または、より固い、ひだのある積層体の場合に適している。これに加えて、平坦な金属ワイヤ、例えばREA Magnet Wire Co., Fort Wayne, Indiana から入手可能な平坦な銅ワイヤ(絶縁型または非絶縁型)が利用可能である。或る、金属被覆されたポリマー繊維、例えば、Xstatic(R) ヤーンもまた利用可能であり、そのヤーンは銀めっきされ、織られたナイロン細線(filament)であり、Laird Sauquoit Technologies, Inc. (300 Palm Street, Scranton,
Pennsylvania, 18505) から、登録商標 X-static(R) ヤーンとして入手可能である。X-static(R) ヤーンの中で使用に適した1つは、 INVISTA S. a r. l., Wilmington, Delaware から、電気めっきによって導電性銀めっきされた 製品ID 70-XS-34X2 TEX 5Z として入手可能な、織られた、ナイロンの 70 デニール (77 dtex)の細線の34本を基材としたものである。他の使用に適した導電性ヤーンは、E. I. DuPont de Nemours, Inc., Wilmington, Delaware の ARACON(R) として知られる、金属被覆されたKEVLAR(R) ヤーンである。本発明の実施の形態例において同じく使用に適した導電性ヤーンは、ポリピロールのような本質的(inherently)に導電性であるポリマーの繊維からなる群に属するものである。これに加えて、ポリメチルメタアクリレートからなるプラスチック・オプティカル・ファイバ(POF)も使うことができる。光を導くための機能性構成要素が望まれる場合、CROFON(R)のようなPOFを使うことがでる。有用なPOFは、例えば、高速光通信のための、ステップ−インデックス型(step-index type)のPOF(SI−POF)またはグレーデッドインデックス型のPOF(GRIN−POF)であろう。マルチ−モ−ドまたはシングル−モードの石英ガラス・オプティカル・ファイバの群は、Ethernet(登録商標)、Fiber Channel、FDDI、ATM、Token Ringのプロトコルを基礎とするファイバー・オプティック・ネットワークのための有用な機能性構成要の群を構成する。
【0048】
加えて、機能性構成要素は、Xstatic(R) ヤーンまたは繊維のような導電性ヤーンからなり、それは線、例えば銅線とより合わされる。機能性構成要素は、さらに、少なくとも1種類の伝導性被覆細線で周囲を囲まれた弾性部材を構成要素とする電気伝導性複合ヤーン、または、可変抵抗値を示す電気伝導性の弾性体組成物を構成要素とし、その構成要素は、スパンデックスおよび/または Xstatic(R) ヤーンと撚り合わされていてもよい。
【0049】
機能性長尺積層体の層は接着性組成物によって一緒に接着されている。この複合体における各構成要素は、少なくとも1つの他の構成要素と接着されていなければならない。例えば、接着剤は、伸長復元性構成要素と機能性構成要素とに塗られ、それから、それらの構成要素が外側層の内側表面に接着される。他の例として、接着剤は、外側層の内側表面に塗られる。接着性組成物は、例えば、複合布地の重量の約 8% から 70% を占める。上記のレベルよりも上の含有量の接着剤は、或る環境下においては、布地が自体で接着してしまって、不都合となるであろう。使用に適した接着性組成物は、例えば、スチレン基材のブロック・コポリマー(ブロック共重合体)のようなホット・メルト接着剤であってよく、そのようなブロックコポリマーは、スチレン/イソプレンブロックコポリマー、スチレン/ブタジエンブロックコポリマーを含む。他の方法による接着も可能であり、フレーム・ラミネーション(flame lamination)やレーザまたは超音波溶接が、それらの方法が機能性構成要素と伸長復元性構成要素とを損なわないならば、使用可能である。
【0050】
機能性長尺積層体は、例えば、1細線当たり実質的に等しいデシテックス値、例えば400 デシテックス以上の弾性体細線(elastomeric filament)が、実質的に等しい間隔を置いて、同じように引っ張られながら、全体で、例えば 2,200 dtex の複数糸線として供給されるような方法によって製造される。この弾性体細線は2つの、不織布のような布地の層の間に置かれる。或る実施の形態例においては、少なくとも、1 cm あたり 3.15 細線(糸線)が供給される。糸線は、実質的に互いに平行であり、不織布の縁にも平行であってよい。この3つの層が接着剤によって接着され、その直後、張力が除かれる。この方法は、小さくて実質的に一様なひだがあることによって、実質的に一様に平坦な表面外観をもつ、ひだのある布地を作り出すことができる。
【0051】
積層体の幅1インチ当たりの機能性構成要素の数は制限されず、例えば、5から10のような、1から20の範囲内であってよい。
【0052】
図1の側面図に模式的に表示された装置は、本発明の範囲内にある機能性長尺積層体使われる。図1は、1巻の弾性体細線(elastomeric filament)10の供給ロール4と共に、1巻の機能性構成要素5(例えば、銅線)の供給ロール2を示している。しかしながら、複数の供給ロールと複数の機能性構成要素とを意図してもよい(例えば、図2参照、図2は、機能性構成要素5および5’の供給ロール2および2’ならびに弾性体細線10、10’および10”の供給ロール4、4’および4”を示している)。弾性体細線は、ロール15とニップ・ロール(nip roll)50との間で同じよって引き伸ばされ、50% よりも大きい伸びを生じる。機能性構成要素はロール15’とニップ・ロール50との間で同じように引っ張られ、安定性を生じるが、一般的に、そのような機能性構成要素5は実質的に引き伸ばされない。図1において、単一の機能性構成要素5と単一の弾性体細線10とは、並んでいるように示され、ガイド・プレート25のロール表面において任意の間隔に離される。複数の弾性体繊維(elastomeric fiber)と複数の機能性構成要素が工程に供給される場合(図2参照、ここでは、工程における長さ方向(machine direction)Mが示されている)には、ガイド・プレート25(図1および2中)または、それと同等のスペーシング手段が、各弾性体繊維と機能性構成要素との位置と間隔とを定めると理解する。図1において、実質的に平行な、50% 以上引き伸ばされた弾性体繊維10と、機能性構成要素5とが、ロール33から供給される不織布層35の面上に置かれる。接着剤30、例えば、ホット・メルト接着剤が、弾性体繊維と、機能性構成要素と、下地の不織布との上に、導管20を通して塗られる。ロール33’から供給される他の不織布層35’が、その後、ロール40における、接着剤処理された組み合わせの上に置かれ、組み合わされた構造は、ニップ・ロール50で、熱と圧力によって接着され、その間、弾性体細線10は引き伸ばされた状態にある。上記に代わって、接着剤30は、弾性体繊維と機能性構成要素とが不織布層の間に位置する前に、それらに塗られてもよい。接着が完了しら、一様な張力は実質的に完全に解除され、複合布地は弛緩して、ひだのある構造55を形成する。矢印Dは、製造された構造55がニップ・ロール50から離れて行く方向を示している。
【0053】
ホット・メルト接着剤30(例えば、図2参照)は、いくつかの異なった方法で塗られることができる。1つの方法においては、溶けた接着剤が、スプレイ・ノズル(そのようなノズル22が図2の接着剤導管20の端部に示されている)から、溶射法(melt blowing)として知られるプロセスによって、不連続な網の形状に塗布される。他の方法においては、スパイラル・スプレイとして知られるプロセスによって、溶けた接着剤が、動くノズルから一本の流れとなって出て、スパイラル形状に塗布される。接着剤が、溶射法またはスパイラル・スプレイの場合のように、不織布層を部分的にしか覆っていないパターン形状に塗られていても、均質で平坦な表面外観を有する複合布地が結果として形成される。「部分的にしか覆っていない」は、接着剤が、不織布の一部分には存在するが、その部分と隣合わせの部分には存在しないことを意味する。このようなことは、また、「ドット・マトリックス」パターンを適用した場合にも実現する。
【0054】
図3aおよび図3bは、異なる機能性構成要素5および5bをもつ機能性積層体の構造を図解している。図3aにおいて、機能性構成要素5は銅線である。図3bにおいて、機能性構成要素5bはリボン線である。図3aおよび図3bにおいて、弾性体繊維10と不織布35および35’は、図1および2に記載されたとおりのものである。
【0055】
本発明の機能性長尺積層体の平坦性または平滑性は、機能性長尺積層体が弛緩した状態から最大に伸びた状態になるときの、厚さの変化を測ることによって決定される。一般に、布地の外観が平滑であればあるほど、伸びるときの厚さの変化が小さい。代わりに、弛緩している機能性長尺布地の直線長さ cm (インチ) あたりの、ひだに対応する、持ち上げられた部分の数を数えてもよい(図4bにおけるLは、ひだとひだとの間の距離を示す)。決められた長さから出発して、弛緩している布地中のひだの数が増加すれば、ひだのうねりの振幅(図4bにおけるA)は減少する。これらの2つの値、振幅(A)、および、決められた直線長さ(L)(図4b参照)当たりのひだの数の比、すなわち、インチ当たりのひだの数に対する、厚さのパーセント減少の比は、「平坦性係数(flatness factor)」として引用される。機能性長尺積層体は、平坦性係数が約5よりも小さいときに、「平坦」または「平滑」であるとみなされる。
【0056】
厚さの測定は、エイムズ厚さ測定器(Ames Thickness Gage)によって行われた。厚さは、弛緩している複合布地の異なる3箇所において測定され、測定結果は平均された。布地は、それから、可能な限り完全に伸ばされた。伸ばされた状態において、厚さが異なる3箇所において測定され、測定結果は平均された。厚さの値の差から、厚さのパーセント減少が計算された。
【0057】
機能性長尺積層体の決められた直線長さ当たりのひだの数は、物差しを、布地に沿って、布地の縁に平行に置いて測定された。決められた直線長さ当たりのひだの数が数えられた。これが、布地の幅方向を横切って、他の2箇所において行われた。この3回の測定結果が平均された。
【0058】
他の有用な測定は、機能性長尺積層体の「収縮力(retractive force)」の測定である。本発明の下記の実施の形態を例とすれば、機能性長尺積層体の収縮力は以下のようにして測定された。すなわち、7.62 cm (3 インチ) 長さの弛緩した機能性長尺積層体の試料が、インストロン装置の1122型(Instron instrument, model 1122)内で、15.2 cm/分 (6 インチ/分) の速さで伸ばされた。伸びが 50% に達したとき、すなわち、全体の長さがはじめの長さの 150% になったときに、収縮力が測定された。測定結果は、布地の幅1インチ当たりのポンド値で記録された(装置は、幅が1インチよりも大きい布地の場合には、0.4536 kg (1ポンド) の力を、2.54 cm 当たりの 0.4536 kg (1ポンド) の力に換算するように較正されている)。
【0059】
機能性長尺積層体は、外側層(ポリプロピレンまたはポリエステル繊維基材の不織布)の剥離(それは外側層と伸長復元性構成要素との間の接着不足を示す)の証拠なしに少なくとも1回の洗濯サイクルを受けることができるという意味で「耐洗濯性」でありうる。機能性長尺積層体は、また、例えば、少なくとも1つの外側層が紙からできている場合には、使い捨て可能である。
【0060】
機能性長尺積層布地は、或る実施の形態例においては、外側層の剥離の証拠なしに少なくとも28回の洗濯サイクルを受けることができるという耐洗濯性によって特徴づけられる。そのような耐洗濯性を明示するために、以下のような洗濯サイクルが用いられた。すなわち、Sears Kenmore Series 80 洗濯機で、水と 50g の"Tide" 洗浄剤とを使って、30 分間の、38-41℃ (100-105°F)での温洗浄/温ゆすぎを行い、つぎに、Sears Kenmore Series 80 乾燥機で、「標準/恒久プレス/中間(normal/permanent press/medium)」 の設定 (96℃ 「205°F」まで) で乾燥を行った。
【0061】
スパンデックス(spandex)を伸長復元性構成要素として含む機能性長尺積層布地の耐洗濯性は、下記のような複素粘度をもつ接着剤を選んで用いることによって得られる。すなわち、接着剤の 120℃における複素粘度は、(i) 外側層がポリプロピレン繊維からなる不織布からできている場合には、少なくとも約 25 パスカル秒 (250 ポイズ) であり、(ii) 外側層がポリエステル繊維からなる不織布からできている場合には、少なくとも約 200 パスカル秒 (2,000 ポイズ) である。
【0062】
複素粘度の絶対値は以下のように定義される:
与えられた周波数ω、せん断応力σの下で、複素粘度の絶対値|η*|は、弾性係数(G')の2乗と粘性係数(G")の2乗との和の平方根をωで割ったものである:
|η*|=√(G'2+G"2)/ω
有用な接着剤の軟化点は、一般に、90℃ (194°F)を超えることが期待され、好ましくは、一般に、110℃ (230°F)を超えることが期待される。
【0063】
耐洗濯性の機能性長尺積層布地を製造するのに有用な接着剤の例は、スチレン基材のブロック・コポリマーを含有するものを含み、それは、また、粘着剤や加工油(processing oil)のような添加物を含有していてもよい。不織布がポリプロピレン繊維からなる場合に、接着剤は、H. B. Fuller Companyの HL-1486 および HL-1470であってよく、Bostick, Inc., Milwaukee, Wisconsin
の H-2104 および H-2494 であってよい。不織布がポリエステルおよび/またはポリプロピレンの繊維からなる場合に、接着剤は、Bostick, Inc. Milwaukee,
Wisconsin の H-2385 および National Starch Companyの NS-34-3260、NS-34-3322、および NS-34-5640 であってよい。上記の接着剤は、スチレン基材ののブロック・コポリマーを含有している。本発明の耐洗濯性の機能性長尺積層布地を製造するのに有用な接着剤として選択された接着剤の複素粘度は、EP1 128 952 B1 (20031126として認可、E. I. DuPont de Nemours and Co. に譲渡) に開示され、その全体の開示はここでの引用に含まれている。注目に値するのは、H. B. Fuller Company の HL-8130 を用いたときの、120℃における複素粘度は、必要最小限の 25 パスカル秒よりも低く、15 パスカル秒であり、この接着剤を用いても、ポリエステル基材またはポリプロピレン基材の不織布の場合に、耐洗濯性が得られなかったことである。
【0064】
図5Aから図5Dまでは、本発明に関連して用いられる孔空けパターン(perforation pattern)の上面図である。図5Aにおいて、一連の、同じ大きさの円形孔空け部70aが規則的な格子状に形成されている。図5Bにおいて、一連の、14の円形孔空け部70bが交代格子状に形成されている。図5Cにおいて、長方形の孔空け部72が示され、その長辺が、一般に、このパターンをもっているシートの長さ方向の伸びに垂直となり、したがって、一般に、機能性構成要素が伸ばされる長さに垂直となるように方向づけられている。図5Dにおいて、細長い(スロット状の)平行四辺形の孔空け部74が示され、その長辺が、このパターンをもっているシートの長さ方向の伸びに対して斜めになるように方向づけられている。図5Aから図5Dまでに示されたパターンをもつシートは、本発明に用いられる代表的なパターンである。他の都合のよいパターンが特定の要求に適合するようにデザインされるであろう。好ましくは、パターンは、機能性長尺積層体の1つの外側層に、その外側層を平面状に固定して、あるいは、その外側層が機能性長尺積層体に組み込まれる前に、切れ目を入れることによって形成される。
【0065】
図5Eおよび図5Fは、機能性長尺積層体の透視図であり、図において、機能性構成要素の一部分が1つの外側層から、湾曲部となって出ている。すなわち、湾曲して外側に突出している。図5Eにおいて、2つの湾曲部76aおよび76bが示され、それらは、1つの伸ばされたスロット形状の孔空け部74から外へ出ている。図5Fにおいて、4つの湾曲部78a、78b、78c、78dが示され、それらは、ごれぞれの孔から外へ出ている。
【0066】
つぎに、図6Aと図6Bを参照すると、外側層の孔空け部60と60’は、張力を除いて積層構造を弛緩させたときに機能性構成要素が露出されるような開口部を生成している。積層体中の機能性構成要素5と5’は、積層体の長さの一部分において湾曲部65と65’をつくる。機能性構成要素5と5’は、伸長復元性構成要素10と同じ方向に延びている。長尺積層体55には、1つの不織布層に孔空け部60と60’がある。これらの孔空け部は、積層体が張力下にあるときに定義される距離Pだけ離されている。任意の数の孔空け部60と60’が不織布層の一方または両方にあってもよい。一般に、距離Pは、孔空け部間の距離であり、積層体の全体の長さのどの部分に沿っても一定に固定されている。距離Pは、選択され固定された間隔にある機能性構成要素へのアクセスを提供するように、適宜定められる。随意に、不織布の両方が孔空け部60と60’をもっていてもよく、これは、機能性構成要素5と5’が不織布の両側に湾曲部となって突き出ることを許す。図6Aと図6Bにおいて、複合布地は、引っ張り張力が無く弛緩している状態で、模式的に示されている。機能性構成要素5と5’の、湾曲部となって突き出している部分65と65’は引っ張り張力が無いときの積層体から大きな距離だけ突き出ている。
【0067】
湾曲部となって突き出している部分65と65’が、ビアから湾曲部となって突き出る度合いは、部分的に、機能性あるいは伝導性構成要素の曲げ係数(bending modulus)の関数である。高い曲げ係数をもった、シリコン樹脂被覆の線、Rea 線、Beadlon 線、FEP 線、または銅リボンのような伝導性構成要素は、積層体構造が弛緩したときに、劇的に、ビアから突き出る。これとは対照的に、X-static のような、より低い曲げ係数をもつ、より柔らかい伝導性構成要素は不織布の面内にとどまる傾向にあり、ビア内にとどまってアクセスまたは端子づけを容易にする。
【0068】
図7Aは、本発明の機能性長尺積層体55の透視図であり、積層体55は、2つの不織布35、35’を構成要素とし、伸長復元性構成要素(図示せず)と同じ方向に延びる2つの機能性構成要素5、5’をもち、端部の各々において、重ね折り部分(またはz-折り)100をもっている。重ね折り部分100は、歪み解消機能をもち、機能性構成要素を積層体構造中で保持することに役立つ。
【0069】
重ね折り部分100は、また、その部分に接続手段を締め付けることを許す。図7Bにおいて、積層体の端部が、断面図で、第1の部分110と第2の部分120とをもつ締め付け具と共に示されている。締め付け具の第1の部分110は、少なくとも1対のねじ溝を切られた孔をもち、各々の孔はボルト130のねじ山を受入れ、そのボルトは、締め付け具の第2の部分120を通り、第1の部分110のねじとかみ合う。図7Bにおいて、締め付け具の2つの部分120と110とは、断面で示され、ねじ切りされたボルトによってかみ合い、積層体55の重ね折り部分の堅い締め付けを可能とする。
【0070】
本発明を、さらに、実施の形態例によって説明する。
【0071】
(実施の形態例)
下記の実施の形態例における試料は、以下の材料を用いて製造された。それらは、スパンデックス(spandex)の1つのブランドである、1520 デシテックスの ycra(R) XA(R) (Lycra(R)
は、ルクセンブルグの個人有限会社である INVISTA S. a r. l. の登録商標であり、その会社の事務所は 4123 East 37th Street North, Wichita, Kansas 67220, USA にある)と、(Perkins Sales Inc., Edisto Island South Carolina, USA 29438 から得られた)基礎重量 15 g/m2 の、ポリプロピレン繊維からなる不織布である。
【0072】
実施の形態例の構造における機能性または伝導性構成要素は、つぎの通りである。すなわち、形態例1においては、(SAUQUOIT Industries, Inc. Scranton, Pennsylvania, USA から得られる) Xstatic(R) ヤーンであり;形態例2においては、(1) シリコン樹脂で被覆された 29 ゲージの銅撚り線;(2)
堅い黒色の FEP で被覆された 29 ゲージの銅撚り線;(3)
BEADALON, West Chester, Pennsylvania, 19382から得られる、"BEADALON" Professional Series のビーズつきの線(bead
stringing wire)であって、ナイロン被覆され、0.013 インチすなわち 0.33 mm 径の 49 ゲージの撚り線;(4) 金色の 90 ミクロン径の線および黒色の 70 ミクロン径の線であり、それらは、(Elektro Feindraht,
Escholzmatt, Switzerland から得られる) 銀めっきされ絶縁された銅の導線であって、0.040 mm−0.090 mm の直径のものであり;形態例3においては、(Pelican Wire Company, Naples, Florida, USA から得られる) ポリエステル絶縁被覆およびナイロン絶縁被覆の銅の単一撚り線であって、38−42 AWG の範囲のサイズのものであり;形態例4においては、厚さ 0.003 インチで幅 0.0620 インチの矩形断面をもつ銅のリボン (Rea Magnet Wire, Inc., Fort Wayne, Indiana, USA の製品であって、Nicomatic North Amerca, One Ivybrook Blvd, 20, Warminster, Pennsylvania, USA 18974 から入手) である。上記のいくつかの伝導性構成要素の物理的性質が測定され、または、各線の供給元から得られ、表1に要約されている。
【0073】
【表1】
試料の各々は、下記のようにして洗浄され、ツビック織物疲労試験機 (Zwick Textile Fatigue Testing Machine (530 l; 8 position,
after De Mattia)) を用いて、繰り返し引き伸ばされた。このツビック試験機は、Zwick Testing Machines Ltd., Southern Avenue, Leominster, Herefordshire HR6 0QH, UK から入手可能である。電気抵抗または電気伝導度は、ツビック試験機による疲労試験の前後において、電気計測技術に熟練した者に知られている方法によって測定された。洗浄耐性試験方法は、標準粉末洗剤(American Association of Textile Chemists and Colorists
(AATCC) WOB Standard Powder Detergent)
を用いる温水 (40℃) 機械洗浄と冷水(室温の水)リンスのサイクルと、それに伴う、室温において吊るして乾かす操作とからなる。
【0074】
実施の形態例1、部分A
本実施の形態においては、5
cm 幅の機能性長尺積層体が、図1に模式的に示された装置を用いて作られた。この機能性長尺積層体は、3本の伝導性の Xstatic(R) ヤーン (伝導性のヤーンであって、SAUQUOIT Industries, Inc., PO Box 3807, 300 Palm Street, Scranton,
Pennsylvania, 18505, USA から得られ、34本の 70 デニールのナイロン細線を基材とし、その細線は、INVISTA S. a r. l から製品番号 70-XS-34X2 TEX5Z のものととして得られる)
と、22本の LYCRA(R) スパンデックスの糸とをもっている。スパンデックスと伝導性のヤーンは、図1に示された装置に、ロールから供給され、スパンデックスの糸は、実質的に平行で、互いに等距離にあるように置かれた。Xstatic(R) ヤーンは、約 2 mm の間隔で並ぶ、22本のスパンデックスの糸のうちの 4 番目、11 番目、18 番目の位置にある糸の上に置かれた。スパンデックスは、100%以上に引き伸ばされ、2つの不織布層の間で、ホット・メルト接着剤で接着された。2つの不織布層は、図1に示された装置に、ロール (例えば、33と33’) から、2つの不織布を効果的に平面化するのに十分な張力の下に、供給された。伝導性構成要素は張力が印加されずに弛緩した状態にあって、接着剤が導入される前に、構造中に、スパンデックスに接触して、導入された。
【0075】
すべての試料に対して、接着剤は、スパンデックスが下側の不織布に触れる直前に、スパンデックスに、溶射(melt blow)された。すべての試料において、スチレン/イソプレン・ブロック・コポリマー基材の接着剤 H-2766 (Bostik Findley Inc., Wawatosa,
Wisconsin, USAの製品) が、86.4 g/分 の速さで使われた。その接着剤は 149℃において塗られた。1対のニップ・ロール (実質的に、図1に模式的に示されたニップ・ロール50に同じ)に入る試料の速さは 300 フィート/分 (91.5 m/分)であり、ニップ・ロール圧力は 60 psi (414 kPa) であった。上側と下側の不織布層と、それらの間にあるスパンデックスと伝導性細線は、この工程によって、接着結合され、この工程の後、スパンデックスへの張力は解除された。このスパンデックスへの張力の解除の後、小さくて実質的に同じ形のひだのために実質的に均質で平坦な表面外観をもつ、ひだのある布地が製作された。
【0076】
表2は、実施の形態例1、第1部の機能性長尺積層体の試料における電気抵抗のデータを示している。試料の洗浄試験は、各伝導性構成要素について、洗浄前の抵抗値の2倍よりも小さい抵抗値の上昇を除けば、直流電気抵抗の大きな変化を示さなかった。1万(10,000)回の繰り返しサイクルのツビック疲労試験(Zwick fatigue test)は、各伝導性構成要素の疲労を示さなかった。
【0077】
【表2】
実施の形態例1、部分B
実施の形態例は、機能性長尺積層体中の伝導性構成要素として Xstatic(R) ヤーンを用いて実施された。2つの試料が、実施の形態例1、部分Aで記述された工程と正確に同じ工程によって作られた。この部分Bの例では、12本のLYCRA(R) スパンデックスの糸が使われ、そのうちの、2、3、4、5、8、9、10、11 番目の位置にある8本のスパンデックスの糸の上に、Xstatic(R) ヤーンが挿入され、重ねられた。結果として作られた機能性長尺積層体は幅約 2.5 cm のものであった。この部分Bの試行において、2つの試料が製作され、それぞれの、長さ 15 インチの試料について、事前に、抵抗が測定され、それから、試料は同じ方法で洗浄された。8本の伝導体の各々は、10 洗浄サイクルの後に試験された。
【0078】
表3Aと表3Bに示されたように、各伝導体の抵抗は少しだけ増加し、洗浄処理にって損傷を受けた伝導体は無かった。結果として、この方法によって作られた機能性長尺積層体は、十分に丈夫であって、標準的な洗濯条件に耐え、しかも、その有用な電気伝導性を維持していることが判った。
【0079】
【表3】
実施の形態例2
実施の形態例2においては、幅 2.5 cm の機能性長尺積層体が、下記の相違点を除いて、実施の形態例1と同様にして作られた。その相違点は、19本の LYCRA(R) スパンデックスの糸が実質的に等間隔で平行に置かれ、4つの長尺積層体において、以下の機能性構成要素が LYCRA(R) スパンデックスの糸に並んで、スパンデックスの糸の 2 番目と 10 番目の位置に置かれ、その機能性構成要素は、(1)第1の機能性長尺積層体においては、シリコン樹脂で被覆された
29 ゲージの銅撚り線;(2)第2の機能性長尺積層体においては、堅い黒色の FEP で被覆された 29 ゲージの銅撚り線;(3)第3の機能性長尺積層体においては、BEADALON, West Chester, Pennsylvania, 19382から得られる "BEADALON" Professional Series のビーズつきの線(bead
stringing wire)であって、ナイロン被覆され、0.013 インチまたは 0.33 mm 径の 49 ゲージの撚り線;(4)第4の機能性長尺積層体においては、金色の 90 ミクロン径の線および黒色の 70 ミクロン径の線である点である。各機能性長尺積層体について3つの試料が作られ、各試料は、上記4つの機能性構成要素のうちの1つを含んでいる(合計 12 の試料について)。各試料は、ツビック疲労試験機を用いて、1万サイクルに対して試験された。はじめの3つの機能性構成要素の1つを用いた試料については、2つの、長さ6インチの機能性長尺積層体が 75%の長さのところで折り曲げられた。4番目の機能性構成要素を用いた試料については、2つの、長さ6インチ半の伝導性長尺積層体が折り曲げられ、8の字形にひねられた。各伝導性構成要素の抵抗が、ツビック試験の前と後とで試験された。
【0080】
表4の結果は、はじめの3つの機能性構成要素を用いて製作した試料はツビック試験過程に耐えることができることを示している。しかしながら、4番目の機能性構成要素を用いて製作した試料は(長尺積層体自体の破壊ではなく、機能性構成要素の断線の結果として)ツビック試験過程に耐えなかった。
【0081】
【表4】
実施の形態例3
実施の形態例3においては、実施の形態例1のようにして機能性長尺積層体が作られた。この形態例において、機能性長尺積層体は、銀めっきされた銅線が撚り合わされ、絶縁被覆されてできた単線の4本または8本からなる伝導性構成要素をもっている。これらの線は、表1に、それぞれ示された色によって区別されている。4本の伝導性構成要素が使われた場合、それらは、機能性長尺積層体中の12本の LYCRA(R) スパンデックス・ヤーンの 2、5、8、11 番目の位置に導入された。8本の伝導性構成要素が使われた場合、それらは、機能性長尺積層体中の12本の LYCRA(R) スパンデックス・ヤーンの 1、3、4、6、7、9、10、12 番目の位置に導入された。結果としてできあがる機能性長尺積層体の幅は約 2.5 cm である。実施の形態例1に記述された洗浄試験にかけられた後に、この機能性長尺積層体の試料は上述の電気抵抗測定にかけられた。これに加えて、この機能性長尺積層体の試料は、弛緩状態のときの長さよりも 30%長く引き伸ばされる前と引き伸ばされているときとに、電気抵抗測定にかけられた。ツビック疲労試験が、上記の実施の形態例と同様に実施された。
【0082】
以下の表5ないし9は、実施の形態例3における試験と測定のデータを要約している。
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】
【表9】
実施の形態例4
本実施の形態例4においては、1対の絶縁されていない銅リボン(断面寸法:0.003 インチ× 0.06 インチ)が、伝導性構成要素として用いられた。2本の 1520 デシテックスの Lycra(R) XA(R) の糸からなる LYCRA(R) スパンデックスの対を撚り合わせてできた単一のヤーンが、伸長復元性構成要素として使われた。その Lycra(R) XA(R) は、伝導性構成要素が、広い幅の方の面を不織布の面に接するするように、2つの不織布の間に挿入されるときに、約 1.3 倍の伸び(draft)に保たれ、機能性長尺積層体を形成した。機能性長尺積層体を製作するための工程は、その他については、上述の実施の形態例と実質的に同じであった。結果として得られた積層体は、約 2.5 cm 幅であり、伝導性構成要素は互いに 1.5 cm 離れ、対の LYCRA(R) スパンデックスを撚り合わせてできた単一のヤーンが、その銅の伝導性構成要素の間に存在している。その積層体は、弛緩状態において、ひだのある外観をもち、その外観は、図4bに示されたように、約 15 から 20 mm の繰り返しの長さLで特徴づけられる。
【0088】
実施の形態例5
この実施の形態例は、端のある積層構造の性能は、その端を、少なくとも1回折り返し、そして、好ましくは、少なくとも2回のZ-折り、ジグザグまたは s-折り(s-wrap)の形に折り、それから、糊留め(gluing)、スナップ留め(snapping)、リベット留め、縫い留め、および/またはステープル(staple)留めのような機械的固定手段で、しっかりと留めることによって、改善されることを示す。例えば、図7Aと図7Bには、締め付け具の形の機械的固定手段が示されている。
【0089】
この実施の形態例において用いられる機能性長尺積層体は、幅約1インチ、長さ約8インチのものであり、実施の形態例2の方法に従って製作された。その場合に、下記の機能性構成要素が、LYCRA(R) スパンデックス糸に沿って、2 と 10 の位置に置かれ、それは、(1) 第1の機能性長尺積層体においては、シリコン樹脂で被覆された 29 ゲージの銅撚り線;(2) 第2の機能性長尺積層体においては、堅い、黒色の FEP 被膜で被覆された 29 ゲージの銅撚り線;(3)
第3の機能性長尺積層体においては、"BEADALON" Professional Series のビーズつきの線であった。
【0090】
上記の積層体は、積層構造から機能性構成要素を引き出すために必要な力を定量するために試験された。各積層体から機能性構成要素を引き出すために必要な力は、各積層体を 70°F (21.1 ℃) で相対湿度 65%の室内のインストロン張力試験機によって、定量された。そのインストロン張力試験機は、Merlin データ集積ソフトウエア・システムが装備された Instron Model 5565 であった。Merlin のシステムと機器のハードウエアとは Instron Corporation (Braintree, Massachusetts) から入手可能である。幅1インチ +/- 0.05 インチ (2.54 cm +/- 0.13 cm) で、長さ約 8 インチ (20.32 cm) の長尺不織シートの試料が、試料長さ 3.00 インチ (7.62 cm) で、インストロン機のくわえ具でくわえられた。試料は、試料の長さ方向が、スパンデックスおよび/または長尺不織シート中の機能性構成要素に沿うように製作された。試料は、毎分 6 インチ (15.24 cm/分) の速さで、破けて2つの部分に分かれるまで引き伸ばされ、破断時の最大張力がグラムで測られ、記録された。
【0091】
表10に示されるように、折り返され、しっかりと留められた積層構造の端は、機能性構成要素を、積層構造中で、より強く保持する。そのような積層構造から機能性/伝導性機能性構成要素を引き出すときには、しっかりと留められてはいない、標準の伝導性構成要素を引き出すときの力に比べて、約2から3倍の力を必要とし、標準の伝導性構成要素は、糊留めされただけの積層構造から、より低い張力で引き出された。
【0092】
【表10】
実施の形態例6
この実施の形態例は、少なくとも1つの変更された外側層をもっていること以外は、実質的に実施の形態例4におけるものと同じ長尺積層体を提供する。上記の実施の形態例におけるように、銅基体の伝導性構成要素、線、リボン、および/または金属めっきされたヤーンが、スパンデックス・ヤーンと共に、2つの不織層の間に導入される。スパンデックスは、少なくとも 100%引き伸ばされ、2つの不織布層の間に、ホット・メルト接着剤によって結合される。この2つの不織布は、実施の形態例1におけるように、(図1における33と33’のような)ロールから、不織布を平坦にするのに十分な張力の下に、供給される。伝導性構成要素(銅リボン)は張力無しの弛緩状態にある。接着剤は、スパンデックスが下側の不織布層と接する直前に、スパンデックスの上に溶射される(melt blown)。
【0093】
この実施の形態例においては、孔空け部は、1つの外側層に、実質的に、伝導性構成要素の1つ、例えば2つの銅リボンの少なくとも1つ、に沿った直線上に、間隔を置いて作られている。外側(不織)層の孔空け部は、不織材料の長さに沿って、区切りがつけられている(punctuated)。このような孔空け部は、電気技術と電子技術において、「ビア」("via") として知られている(ビアは、1つの表面から他の表面への情報の通り道であって、導線または機能性構成要素がそれを通ってビアの下に出られるものと解釈されている)。
【0094】
図5に示されたように、孔空け部は、例えば、「孔空け(hole-punching)」手段によって形成された、矩形状のものまたは円形断面形状のものであってよい。いかなる断面形状も、一般的に使用に適していて、望ましい形の孔空けダイスによって容易に作られる。孔空け手段は、例えば、1つずつの孔を空ける手持ちの器具、および、紙に3環バインダー用の3つの孔を空ける3つ孔パンチを含む。一般的に、そのような孔空け手段は、ステップ−アンド−リピート風に使われて、不織部材に、一定の間隔をもつ一連の孔を作る。
【0095】
上記の代わりに、不織シートは、専用の孔空け機を通して供給され、その孔空け機は、等間隔(図6Aに示された「固定ピッチ」P)で孔空けをするか、または、操作者によって選ばれるランダムな間隔で孔空けをするものであってよい。上記の代わりに、不織シートは切れ目を入れられてもよい。そのように孔空けされるか切れ目を入れられた不織シートは通常の方法で巻き取られ、それから、装置に(図1の33、33’で示された一方または両方で示されたように)装着される。上記の代わりの実施の形態例において、ビアは、いかなる形状にも、不織層のロールの複数層の深さに空けることができる。孔空けされた不織層は、つぎに、実質的に図6Aに、弛緩した状態で図6Bに、模式的に代表として示された機能性長尺積層体の製造に用いられる。
【0096】
上記の詳細な説明は、本発明の範囲を限定するものではない。ここに提出された実施の形態例のすべては、代表例であって、非限定的なものである。上記の本発明の実施の形態は、本発明の範囲を逸脱せずに、上記の技術の分野における通常の知識を有する者が認めるように、修正されたり変更されたり、構成要素が付加されたり削除されたりしてよい。従って、本発明は、特許請求の範囲によって評価されるべきであり、上記の詳細において述べられた方法に代わる方法によって実行されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係る機能性長尺積層体の製造に適した装置の側面の模式的表現である。
【図2】本発明に係る機能性長尺積層体を製造するための装置の一部分の上面の模式的表現である。
【図3】図3aと図3bは、本発明に係る機能性長尺積層体の断面の模式的表現であり、伸長復元性構成要素と機能性要素とが、2枚の布地または他の非伸長性材料のシートの間に挟まれてなるサンドイッチ構造を示している。
【図4】図4aと図4bは、本発明に係る機能性長尺積層体に用いられる複合布地の縁断面の模式的表現であり、図4aにおいて複合布地は引っ張り応力下にあり、図4bにおいて複合布地は引っ張り応力下になく弛緩している。
【図5】図5A−図5Dは、機能性構成要素を露出させるために複合長尺積層体の外側シートの孔あけに使うことができる孔あけパターンの上面図であり、図5Eと図5Fは、機能性構成要素の部分が積層体の外側層シートの外側へ湾曲して突出している機能性長尺積層体の透視図であり、図5Eにおいて2つの湾曲部が1つの伸びたスロット形状の孔から突出し、図5Fにおいて4つの湾曲部がそれぞれ1つの孔から突出している。
【図6】図6Aと図6Bは、本発明に係る機能性長尺積層体の縁断面の模式的表現であり、図6Aにおいて複合布地は引っ張り応力下にあり、図6Bにおいて複合布地は引っ張り応力下になく弛緩している。
【図7】図7Aは、本発明に係る機能性長尺積層体の透視図であり、この積層体の両端において積層体中の機能性構成要素を安定化するためにz-折りが形成されている。図7Bは、図7Aの機能性長尺積層体の一端に形成されたz-折りにおける電気的接続の例を提供するための留め具の断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的にひだのある外観をもつ機能性長尺積層体であり、
(a)第1および第2の、布地またはフィルムからなる外側層と、
(b)少なくとも1つの伸長復元性構成要素と、前記伸長復元性構成要素と同じ方向に沿って延びる少なくとも1つの機能性構成要素と、
(c)前記第1の外側層と前記第2の外側層との間にある前記伸長復元性構成要素と前記機能性構成要素とを結合する接着性組成物とを有し、
前記伸長復元性構成要素が弛緩状態または引き伸ばされていない状態にあるときに、前記実質的にひだのある外観が現れ、かつ、少なくとも1つの前記機能性構成要素の一部分が、該機能性長尺積層体に設けられた少なくとも1つのビアから、湾曲して外側に突出することを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項2】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、前記第1および第2の外側層は実質的に同一幅のものであることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項3】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、各前記外側層は、前記伸長復元性構成要素と接触する1つの内表面と1つの外表面とを有し、前記接着性組成物は、少なくとも1つの前記外側層の内表面を部分的にのみ覆い、各前記外側層の外表面にまで浸透していることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項4】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、少なくとも1つの前記伸長復元性構成要素および少なくとも1つの前記機能性構成要素は、実質的に平行であるか、または同じ方向に沿って延びていることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項5】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、前記伸長復元性構成要素はスパンデックス含むことを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項6】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、前記機能性構成要素は、絶縁された金属単線、絶縁された金属撚り線、絶縁されていない金属単線、絶縁されていない金属撚り線、金属被覆されたポリマー繊維、本質的に伝導性のポリマー繊維、プラスチック・オプティカル・ファイバー、石英ガラス・オプティカル・ファイバー、および金属被覆されたフィルムからなる群から選ばれることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項7】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、前記機能性構成要素は、少なくとも1つの、機能的性質をもつ材料を構成要素とし、該材料は、(i) 少なくとも1つの、機能的性質をもつ他の材料、または、(ii) 伸長復元性をもつ材料と一緒に、混ぜ合わされるか、撚り合わされるか、コア紡ぎされるか、または、被覆されることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項8】
請求項7に記載の機能性長尺積層体において、前記伸長復元性をもつ材料はスパンデックスを含み、前記機能的性質をもつ材料は、金属線、少なくとも1種類の機能性被覆細線で周囲を囲まれた弾性部材を構成要素とする電気的または光学的に機能性の複合ヤーン、可変抵抗値を示す電気伝導性の弾性体組成物、および銀めっきされたナイロン細線からなる群から選ばれることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項9】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、前記外側層は、不織布、織られた布、編まれた布、紙、およびポリマー・フィルムからなる群から選ばれることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項10】
請求項7に記載の機能性長尺積層体において、前記外側層は、不織布、織られた布、編まれた布、紙、およびポリマー・フィルムからなる群から選ばれることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項11】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、各前記外側層は1つの外表面をもち、該機能性長尺積層体の末端部は、少なくとも1回、自身の上に折り返され、1つの前記外側層の外表面に固定されることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項12】
請求項11に記載の機能性長尺積層体において、折り返された前記末端部は、糊留め、リベット留め、スナップ留め、縫い留め、ステープル留め、溶接、および包み留めからなる群から選ばれる機械的固定機構によって固定されることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項13】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、該機能性長尺積層体は、少なくとも1つのコネクタの取付けが可能であり、前記コネクタは該機能性長尺積層体中の前記機能性構成要素を電源または放射源に接続することに適用可能であることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項14】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、該機能性長尺積層体の少なくとも一部分は伝導性であることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項15】
請求項14に記載の機能性長尺積層体において、該機能性長尺積層体の少なくとも一部分は電気を導くことを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項16】
請求項14に記載の機能性長尺積層体において、該機能性長尺積層体の少なくとも一部分は光を導くことを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項17】
請求項14に記載の機能性長尺積層体において、該機能性長尺積層体の少なくとも一部分は電磁場を生じることができることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項18】
請求項14に記載の機能性長尺積層体において、該機能性長尺積層体の少なくとも一部分は電磁場からの遮蔽を生じることができることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項19】
実質的にひだのある外観をもつ機能性長尺積層体の製造方法であって、
或る長さの、第1の表面と第2の表面とを有する、非伸長性材料の第1の部材を用意する工程と、
少なくとも1つの伸長復元性構成要素を、変形無しに復元可能な最大伸びの少なくとも50%にまで引き伸ばして固定する工程と、
少なくとも1つの機能性構成要素を、前記伸長復元性構成要素と共に同じ方向に沿うように延ばして固定する工程と、
引き伸ばされた長さの前記伸長復元性構成要素と前記機能性構成要素とを、前記第1の部材の第1の表面に、固定された長さの実質的部分に沿って留める工程と、
第1の表面と第2の表面とを有する非伸長性材料の第2の部材を用意し、該第2の部材を、前記伸長復元性構成要素、または、前記第1の部材の第1の表面に、前記伸長復元性構成要素と同じ方向に沿って延びる長さの実質的部分に沿って留めて、該機能性長尺積層体を形成する工程と、
引き伸ばされた長さの前記伸長復元性構成要素を実質的に弛緩させて、少なくとも1つの前記機能性構成要素の一部分が、該機能性長尺積層体に設けられた少なくとも1つのビアから外側に湾曲して突出するように、該該機能性長尺積層体がひだを作ることを許す工程とを有することを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、少なくとも1つの前記伸長復元性構成要素と少なくとも1つの前記機能性構成要素とが、実質的に平行であるか、または、同じ方向に沿って延びていることを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項21】
請求項19に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、前記伸長復元性構成要素はスパンデックスを含むことを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項22】
請求項19に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、前記機能性構成要素は、絶縁された金属単線、絶縁された金属撚り線、絶縁されていない金属単線、絶縁されていない金属撚り線、金属被覆されたポリマー繊維、本質的に伝導性のポリマー繊維、プラスチック・オプティカル・ファイバー、石英ガラス・オプティカル・ファイバー、および金属被覆されたフィルムからなる群から選ばれることを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項23】
請求項19に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、前記非伸長性材料は、不織布、織られた布地、編まれた布地、紙、およびポリマー・フィルムからなる群から選ばれることを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項24】
請求項19に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、前記非伸長性材料の第1の部材に孔空けをしてビア開口部を作る工程を有することを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項25】
請求項24に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、前記ビア開口部は、孔、スリット、およびスロットからなる群から選ばれることを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項26】
請求項24に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、前記非伸長性材料の第2の部材に孔空けをしてビア開口部を作る工程を有することを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項27】
請求項19に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、(i) 該機能性長尺積層体の末端部分を、少なくとも1回、自体の上に折り返す工程と、(ii) 折り返された前記末端部分を、前記非伸長性材料の第1または第2の部材の1つの表面に固定する工程とを有することを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項28】
請求項27に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、前記折り返された末端部分を、前記非伸長性材料の第1または第2の部材の1つの表面に固定する工程は、糊留め、リベット留め、スナップ留め、縫い留め、ステープル留め、溶接、および包み留めからなる群から選ばれる機械的固定機構によって実施されることを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項29】
請求項19に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、少なくとも1つのコネクタを該機能性長尺積層体に付ける工程を含み、前記コネクタは、該機能性長尺積層体中の少なくとも1つの前記機能性構成要素を電源または放射源に接続することに適用可能であることを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項30】
請求項29に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、1つの電源を少なくとも1つの前記機能性構成要素に接続する工程を含むことを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項31】
請求項29に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、1つの放射源を少なくとも1つの前記機能性構成要素に接続する工程を含むことを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項32】
請求項1に記載の機能性長尺積層体を構成要素とする衣服または着用可能物。
【請求項1】
実質的にひだのある外観をもつ機能性長尺積層体であり、
(a)第1および第2の、布地またはフィルムからなる外側層と、
(b)少なくとも1つの伸長復元性構成要素と、前記伸長復元性構成要素と同じ方向に沿って延びる少なくとも1つの機能性構成要素と、
(c)前記第1の外側層と前記第2の外側層との間にある前記伸長復元性構成要素と前記機能性構成要素とを結合する接着性組成物とを有し、
前記伸長復元性構成要素が弛緩状態または引き伸ばされていない状態にあるときに、前記実質的にひだのある外観が現れ、かつ、少なくとも1つの前記機能性構成要素の一部分が、該機能性長尺積層体に設けられた少なくとも1つのビアから、湾曲して外側に突出することを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項2】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、前記第1および第2の外側層は実質的に同一幅のものであることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項3】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、各前記外側層は、前記伸長復元性構成要素と接触する1つの内表面と1つの外表面とを有し、前記接着性組成物は、少なくとも1つの前記外側層の内表面を部分的にのみ覆い、各前記外側層の外表面にまで浸透していることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項4】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、少なくとも1つの前記伸長復元性構成要素および少なくとも1つの前記機能性構成要素は、実質的に平行であるか、または同じ方向に沿って延びていることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項5】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、前記伸長復元性構成要素はスパンデックス含むことを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項6】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、前記機能性構成要素は、絶縁された金属単線、絶縁された金属撚り線、絶縁されていない金属単線、絶縁されていない金属撚り線、金属被覆されたポリマー繊維、本質的に伝導性のポリマー繊維、プラスチック・オプティカル・ファイバー、石英ガラス・オプティカル・ファイバー、および金属被覆されたフィルムからなる群から選ばれることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項7】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、前記機能性構成要素は、少なくとも1つの、機能的性質をもつ材料を構成要素とし、該材料は、(i) 少なくとも1つの、機能的性質をもつ他の材料、または、(ii) 伸長復元性をもつ材料と一緒に、混ぜ合わされるか、撚り合わされるか、コア紡ぎされるか、または、被覆されることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項8】
請求項7に記載の機能性長尺積層体において、前記伸長復元性をもつ材料はスパンデックスを含み、前記機能的性質をもつ材料は、金属線、少なくとも1種類の機能性被覆細線で周囲を囲まれた弾性部材を構成要素とする電気的または光学的に機能性の複合ヤーン、可変抵抗値を示す電気伝導性の弾性体組成物、および銀めっきされたナイロン細線からなる群から選ばれることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項9】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、前記外側層は、不織布、織られた布、編まれた布、紙、およびポリマー・フィルムからなる群から選ばれることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項10】
請求項7に記載の機能性長尺積層体において、前記外側層は、不織布、織られた布、編まれた布、紙、およびポリマー・フィルムからなる群から選ばれることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項11】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、各前記外側層は1つの外表面をもち、該機能性長尺積層体の末端部は、少なくとも1回、自身の上に折り返され、1つの前記外側層の外表面に固定されることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項12】
請求項11に記載の機能性長尺積層体において、折り返された前記末端部は、糊留め、リベット留め、スナップ留め、縫い留め、ステープル留め、溶接、および包み留めからなる群から選ばれる機械的固定機構によって固定されることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項13】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、該機能性長尺積層体は、少なくとも1つのコネクタの取付けが可能であり、前記コネクタは該機能性長尺積層体中の前記機能性構成要素を電源または放射源に接続することに適用可能であることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項14】
請求項1に記載の機能性長尺積層体において、該機能性長尺積層体の少なくとも一部分は伝導性であることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項15】
請求項14に記載の機能性長尺積層体において、該機能性長尺積層体の少なくとも一部分は電気を導くことを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項16】
請求項14に記載の機能性長尺積層体において、該機能性長尺積層体の少なくとも一部分は光を導くことを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項17】
請求項14に記載の機能性長尺積層体において、該機能性長尺積層体の少なくとも一部分は電磁場を生じることができることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項18】
請求項14に記載の機能性長尺積層体において、該機能性長尺積層体の少なくとも一部分は電磁場からの遮蔽を生じることができることを特徴とする機能性長尺積層体。
【請求項19】
実質的にひだのある外観をもつ機能性長尺積層体の製造方法であって、
或る長さの、第1の表面と第2の表面とを有する、非伸長性材料の第1の部材を用意する工程と、
少なくとも1つの伸長復元性構成要素を、変形無しに復元可能な最大伸びの少なくとも50%にまで引き伸ばして固定する工程と、
少なくとも1つの機能性構成要素を、前記伸長復元性構成要素と共に同じ方向に沿うように延ばして固定する工程と、
引き伸ばされた長さの前記伸長復元性構成要素と前記機能性構成要素とを、前記第1の部材の第1の表面に、固定された長さの実質的部分に沿って留める工程と、
第1の表面と第2の表面とを有する非伸長性材料の第2の部材を用意し、該第2の部材を、前記伸長復元性構成要素、または、前記第1の部材の第1の表面に、前記伸長復元性構成要素と同じ方向に沿って延びる長さの実質的部分に沿って留めて、該機能性長尺積層体を形成する工程と、
引き伸ばされた長さの前記伸長復元性構成要素を実質的に弛緩させて、少なくとも1つの前記機能性構成要素の一部分が、該機能性長尺積層体に設けられた少なくとも1つのビアから外側に湾曲して突出するように、該該機能性長尺積層体がひだを作ることを許す工程とを有することを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、少なくとも1つの前記伸長復元性構成要素と少なくとも1つの前記機能性構成要素とが、実質的に平行であるか、または、同じ方向に沿って延びていることを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項21】
請求項19に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、前記伸長復元性構成要素はスパンデックスを含むことを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項22】
請求項19に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、前記機能性構成要素は、絶縁された金属単線、絶縁された金属撚り線、絶縁されていない金属単線、絶縁されていない金属撚り線、金属被覆されたポリマー繊維、本質的に伝導性のポリマー繊維、プラスチック・オプティカル・ファイバー、石英ガラス・オプティカル・ファイバー、および金属被覆されたフィルムからなる群から選ばれることを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項23】
請求項19に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、前記非伸長性材料は、不織布、織られた布地、編まれた布地、紙、およびポリマー・フィルムからなる群から選ばれることを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項24】
請求項19に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、前記非伸長性材料の第1の部材に孔空けをしてビア開口部を作る工程を有することを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項25】
請求項24に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、前記ビア開口部は、孔、スリット、およびスロットからなる群から選ばれることを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項26】
請求項24に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、前記非伸長性材料の第2の部材に孔空けをしてビア開口部を作る工程を有することを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項27】
請求項19に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、(i) 該機能性長尺積層体の末端部分を、少なくとも1回、自体の上に折り返す工程と、(ii) 折り返された前記末端部分を、前記非伸長性材料の第1または第2の部材の1つの表面に固定する工程とを有することを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項28】
請求項27に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、前記折り返された末端部分を、前記非伸長性材料の第1または第2の部材の1つの表面に固定する工程は、糊留め、リベット留め、スナップ留め、縫い留め、ステープル留め、溶接、および包み留めからなる群から選ばれる機械的固定機構によって実施されることを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項29】
請求項19に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、少なくとも1つのコネクタを該機能性長尺積層体に付ける工程を含み、前記コネクタは、該機能性長尺積層体中の少なくとも1つの前記機能性構成要素を電源または放射源に接続することに適用可能であることを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項30】
請求項29に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、1つの電源を少なくとも1つの前記機能性構成要素に接続する工程を含むことを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項31】
請求項29に記載の機能性長尺積層体の製造方法において、1つの放射源を少なくとも1つの前記機能性構成要素に接続する工程を含むことを特徴とする、機能性長尺積層体の製造方法。
【請求項32】
請求項1に記載の機能性長尺積層体を構成要素とする衣服または着用可能物。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【公表番号】特表2008−502511(P2008−502511A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516063(P2007−516063)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001681
【国際公開番号】WO2005/123376
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(505470889)テクストロニクス, インク. (17)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001681
【国際公開番号】WO2005/123376
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(505470889)テクストロニクス, インク. (17)
【Fターム(参考)】
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