説明

学校内教室の省エネ空調システム

【課題】学校の教室に設けられたリモコン操作により空調設備がONされた場合に、快適な教室内環境を維持しながら効率的な省エネ空調を行う省エネ空調システムを提供する。
【解決手段】複数の教室空調制御パターンのなかから教室9ごとに選択された教室空調制御パターンを中央監視盤12に入力する教室空調制御パターン入力端末2と、各教室9の各時限の使用予定と、教室9ごとの教室空調制御パターンを記憶する教室空調制御パターン記憶手段4と、各教室9の空調設備7のON/OFF動作を制御する空調設備制御手段6と、空調設備7の運転信号を検知し、教室9に設けられた空調設備7のリモコン操作によるON信号を受信すると教室空調制御パターンに従い空調設備7に対して所定のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段6に指令する教室空調制御パターン指令手段3と、が備えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学校内教室の省エネ空調システムに係り、学校内の各教室に設けられた空調設備を制御する中央監視盤と、学校内の管理室に設置され、中央監視盤を介して各教室の空調設備の省エネを管理する中央管理装置と、を有する学校内教室の省エネ空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書でいう「学校」には、例えば、大学、専門学校、高等学校、中学校、小学校、公共機関や企業の研修所、或いは公共機関や企業の研究施設が含まれ、これら全ての教育機関の施設を学校として総称する。これらの学校では、学校内に複数の教室を保有し、それらの教室を使用して授業が行われる。本発明では、学校内に設けられ、これらの用途に使用される室を「教室」という。
【0003】
例えば、大学は一般的に複数の棟から構成され、1つの棟には10室から30室程度の教室を有する。また、学校の各教室で行われる授業は、例えば、50分の授業時間と10分の休憩時間とが単位となる時限により構成される。或いは、110分の授業時間と10分の休憩時間とが単位となる時限により構成される。また、一般に学校における1日の授業は、6〜8時限から構成される。全ての教室において全ての時限に授業が行われることは一般的ではなく、授業のない教室は空室となる。そして、大学での各教室での授業は、各教室の時間割に基づいて、その日の各時限の教室の使用予定の有無が決定される。
【0004】
学校の教室の空調設備をその教室の使用予定の有無によりスケジュール管理することは、設備の省エネルギ(以下、省エネと称する)効果が期待できる。すなわち、中央監視装置は中央監視盤を介して、教室の使用予定がある時限にはその教室の空調設備をONとし、教室の使用予定がない時限にはその教室の空調設備をOFFとする制御を行う。また、中央監視装置は中央監視盤を介して、昼休みや時限間の休憩時間には空調設備をOFFとする制御も行う。さらには、中央監視装置は中央監視盤を介して、外気温などの気象条件等を考慮し、使用予定のある教室の時限開始前から空調設備をONにする予冷熱も行う場合がある。
【0005】
一方、教官等は、教室に設けられたリモコン操作により空調設備のON/OFFを行うことができる。この場合には、「後押し優先」の原則が適用される。すなわち、たとえ中央監視盤から、空調設備をOFFとする信号が空調設備に送信されても、その後に教室に設けられたリモコン操作によりON指令がその空調設備に送信された場合は、このリモコン操作によるON指令が優先されて適用される。
【0006】
一般的に、空調設備のリモコンには、タイマ制御機能が付加される場合がある。このタイマ制御機能によると、時間を入力しておくと空調設備をONとした後、其の時間が経過すると空調設備は自動的にOFFとなる。
【0007】
一方、特許文献1には、携帯電話を利用した建物内設備制御システムが開示されている。ここでは、構内電話回線を使用した居室内の携帯電話との通信結果に従った利用者の居室内の在/不在に基づき、設備管理制御装置が、設備動作スケジュールにおいて設備オン期間であっても利用者が不在時には設備をオフとする。
【0008】
【特許文献1】特開2005−354293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、学校教室の空調設備においては、中央監視装置からの中央監視盤を介した出力制御に対して、教室に設けられたリモコン操作による空調設備のON/OFF制御が後押し優先される。従って、リモコン操作による空調設備のON操作が多発されることは空調設備の省エネ効果の低下を招く。しかし、この教室に設けられたリモコン操作による空調設備のON操作を全面的に禁止することは、教官等による研究や教育について快適な環境を提供することができない場合があり望ましくない。
【0010】
また、一般のオフィスや工場の空調設備と異なり、学校の教室は、時限ごとに使用される場合と使用されない場合があり、これらの使用や不使用を適格に判断しなければ空調設備の省エネ効果が上がらないという問題がある。さらに、空調設備のリモコンにタイマ制御機能を付加すると一定時間後に空調設備は自動的にOFFとなるが、学校の教室での時限の開始時刻や終了時刻に合わせた時間設定は難しい。
【0011】
また、学校には、少人数用の教室から講堂に至るまで多種多様な大きさの教室が存在し、空調設備の省エネという観点からは、それぞれ異なる。例えば、少人数用の小さな教室では、空調設備のON/OFFによる起動電力が比較的少なく、個々の教室の空調能力が小さく、さらには教室の個数も多いため、こまめに節電することが学校全体の空調設備の省エネに対して好ましい。一方、空調容量の大きな教室、例えば講堂などでは、空調設備のON/OFFによる起動電力が比較的大きく、教室全体の空調能力が大きく、さらには教室の個数が少ないため、フレキシブルな節電をすることが学校全体の空調設備の省エネに対して好ましい。
【0012】
本願の目的は、かかる課題を解決し、学校の教室に設けられたリモコン操作により空調設備がONされた場合に、快適な教室内環境を維持しながら効率的な省エネ空調を行う学校内教室の省エネ空調システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る学校内教室の省エネ空調システムは、学校内の各教室に設けられた空調設備を制御する中央監視盤と、学校内の管理室に設置され、中央監視盤を介して各教室の空調設備の省エネを管理する中央管理装置と、を有する学校内教室の省エネ空調システムであって、学校内の管理室には、予め設定された複数の教室空調制御パターンのなかから教室ごとに選択された教室空調制御パターンを、通信ネットワークを介して中央監視盤に入力する教室空調制御パターン入力端末が備えられ、中央監視盤には、各教室の時間割に基づくその日の各時限の使用予定と、教室空調制御パターン入力端末から入力された教室ごとの教室空調制御パターンを記憶する教室空調制御パターン記憶手段と、各教室の空調設備のON/OFF動作を制御する空調設備制御手段と、各教室の空調設備の運転信号を検知し、教室に設けられた空調設備のリモコン操作によるON信号を受信すると、教室ごとに予め設定された教室空調制御パターンに従い、教室内の空調設備に対して所定のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段に指令する教室空調制御パターン指令手段と、が備えられることを特徴とする。
【0014】
このような構成においては、学校内教室の省エネ空調システムは、予め教室空調制御パターンが設定され、各教室には空調設備の省エネ効率の観点により、その教室の特性に合った教室空調制御パターンが選択されて設定される。これにより、教室ごとにより快適な教室内環境を維持しつつ適切な空調設備の省エネを行うことができる。
【0015】
また、学校内教室の省エネ空調システムは、教室空調制御パターン指令手段が、教室に設けられた空調設備のリモコン操作によるON信号を時限内に受信した場合には、教室空調制御パターン記憶手段が記憶する、その時限以降の時限におけるその教室の使用予定の有無に基づき、空調設備制御手段に対してOFF信号を発信する指令のタイミングを判断することが好ましい。
【0016】
このような構成においては、学校内教室の省エネ空調システムは、教室に設けられた空調設備のリモコン操作により空調設備がONとなった場合には、その後の時限におけるその教室の使用予定を考慮して空調設備をOFFとすることができ、省エネ効果を上げることができる。
【0017】
また、学校内教室の省エネ空調システムは、教室空調制御パターン指令手段が、その日の最終の時限以前であって時限の開始時刻から終了時刻以外の時刻に教室に設けられた空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した場合には、その時刻後に開始される時限内にON信号を受信したものとみなし、空調設備制御手段に対してOFF信号を発信する指令のタイミングを判断することが好ましい。
【0018】
このような構成においては、学校内教室の省エネ空調システムは、一般的には空調設備がOFFに設定される昼休みや時限間の休憩時間において、教室に設けられた空調設備のリモコン操作により空調設備を動作させて快適な教室内環境を維持することができる。また、教官等のその教室の使用者は、教室の使用に先立って予め空調設備を動作させることができる。
【0019】
また、学校内教室の省エネ空調システムは、教室空調制御パターン指令手段が、第1の教室空調制御パターンが設定された教室の空調設備に対しては、教室に設けられた空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した時限以降のすべての時限においてその教室の使用予定がない場合には、空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段に指令することが好ましい。
【0020】
このような構成においては、学校内教室の省エネ空調システムは、第1の教室空調制御パターンにおいては、その後の教室の利用予定がない場合には空調設備をOFFとし、空調負荷が中程度教室に対し、無駄な空調設備の駆動をなくし省エネ効果を上げることができる。
【0021】
また、学校内教室の省エネ空調システムは、第1の教室空調制御パターン指令手段が、空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した以降の時限においてその教室の使用予定がある場合には、その使用予定のある時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段に指令することが好ましい。
【0022】
このような構成においては、学校内教室の省エネ空調システムは、その後の教室の利用予定がある場合にはその利用予定のある時限の終了時刻まで空調設備をONとし、空調負荷が中程度教室に対し、快適な教室内環境を維持することができる。
【0023】
また、学校内教室の省エネ空調システムは、教室空調制御パターン指令手段が、第2の教室空調制御パターンが設定された教室の空調設備に対しては、教室に設けられた空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した時限以降の時限におけるその教室の使用予定の有無にかかわらす、空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段に指令することが好ましい。
【0024】
このような構成においては、学校内教室の省エネ空調システムは、教室に設けられた空調設備のリモコン操作によりONとなった場合には、その時限の終了ごとに空調設備をOFFとし、空調負荷の小さな教室に対し、こまめに空調制御を行うことで省エネ効果を上げることができる。
【0025】
また、学校内教室の省エネ空調システムは、教室空調制御パターン指令手段が、第3の教室空調制御パターンが設定された教室の空調設備に対しては、空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した以降の時限におけるその教室の使用予定の有無にかかわらず、その日の最終の時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段に指令することが好ましい。
【0026】
このような構成においては、学校内教室の省エネ空調システムは、教室に設けられた空調設備のリモコン操作によりONとなった場合には、その日の最終の時限の終了後に空調設備をOFFとし、空調負荷の大きな教室に対し、柔軟に空調制御を行うことで省エネ効果を上げることができる。
【0027】
さらに、学校内教室の省エネ空調システムは、教室空調制御パターン指令手段が、第4の教室空調制御パターンが設定された教室の空調設備に対しては、昼休み前に空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した場合には、その時限以降であって昼休み前の時限におけるその教室の使用予定の有無にかかわらず、その日の昼休み前の最終の時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段に指令し、昼休み後の時限中に空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した場合には、その時限以降であって昼休み後の時限におけるその教室の使用予定の有無にかかわらず、その日の昼休み後の最終の時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段に指令することが好ましい。
【0028】
このような構成においては、学校内教室の省エネ空調システムは、教室に設けられた空調設備のリモコン操作によりONとなった場合には、昼休みの前後に分け、それぞれの最終の時限の終了後に空調設備をOFFとし、空調負荷の大きな教室に対し、さらに柔軟に空調制御を行うことで省エネ効果を上げることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明に係る学校内教室の省エネ空調システムによれば、学校の教室に設けられたリモコン操作により空調設備がONされた場合に、快適な教室内環境を維持しながら効率的な省エネ空調を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、図面を用いて本発明に係る学校内教室の省エネ空調システムの実施の形態につき、詳細に説明する。
【0031】
図1に、学校内教室の省エネ空調システムの1つの実施形態の概略構成を示す。学校内教室9の省エネ空調システム1は、管理室11に設けられた中央監視装置8及び教室空調制御パターン入力端末2と、学校の棟10の各WEBサーバ5とが通信ネットワーク14により接続される。各棟10には中央監視盤12が配置され、各中央監視盤12のWEBサーバ5は、教室空調制御パターン指令手段3、教室空調制御パターン記憶手段4、及び空調設備制御手段6から構成される。また、教室空調制御パターン指令手段3及び空調設備制御手段6は棟10内の各教室9に設けられた空調設備7と接続される。さらに、各中央監視盤12は、学校内の管理棟(図示せず)に設けられた中央監視装置8と専用回線により接続される。図1では、本省エネ空調システム1が複数の管理室11及び中央監視盤12から構成されることを表すため、それぞれ2つずつ表示してA、Bの符号を付した。また、各棟10の空調設備7は、それぞれ3台ずつ表示して1、2、3の符号を付した。
【0032】
学校内の管理室11には、後述する4つの教室空調制御パターンのなかから教室9ごとに選択された教室空調制御パターンを選択し、通信ネットワーク14を介して各中央監視盤12に入力する教室空調制御パターン入力端末2が備えられている。
【0033】
中央監視盤12には、各教室9の時間割に基づくその日の各時限の使用予定と、教室空調制御パターン入力端末2から入力された教室9ごとの教室空調制御パターンを記憶する教室空調制御パターン記憶手段4が備えられ、また、各教室9の空調設備7のON/OFF動作を制御する空調設備制御手段6が備えられている。さらに、各教室9の空調設備7からの運転信号を検知し、教室9に設けられた空調設備7のリモコン操作によるON信号を受信すると、教室9ごとに予め設定された教室空調制御パターンに従い、教室9内の空調設備7に対して所定のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段6に指令する教室空調制御パターン指令手段3が備えられている。
【0034】
図2に、一般的な空調設備7と中央監視盤12との間の制御回路の構成を示す。空調設備制御手段6と空調設備7とは、発動回路30、停止回路31、状態入力回路32、及び異常検出回路33から構成される。また、空調設備制御手段6は、その内部にタイマ15及びメモリ16を有する。また、中央監視盤12の教室空調制御パターン指令手段3と、空調設備7とは状態入力回路3が接続されている。これにより、教室空調制御パターン指令手段3は、教室9に設けられた空調設備7のリモコン操作によりONとなったことを状態入力回路3により運転信号を検知することで認識できる。
【0035】
ここで、教室空調制御パターン指令手段3は、時限内に上述した運転信号を受信することで教室9に設けられた空調設備7のリモコン操作によるON信号を認識する。この場合に教室空調制御パターン指令手段3は、その時限以降の時限におけるその教室9の使用予定の有無を教室空調制御パターン記憶手段4に記憶されたデータから確認する。そして、教室空調制御パターン指令手段3は、教室空調制御パターンに従い、所定のタイミングで空調設備制御手段6に対してOFF信号を発信するように指令する。
【0036】
また、教室空調制御パターン指令手段3は、その日の最終の時限以前であって時限の開始時刻から終了時刻以外の時刻、すなわち、第1時限の開始前、昼休み、及び時限間の各休憩時間において、教室9に設けられた空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した場合には、その時刻後に開始される時限内にON信号を受信したものとみなす。そして、教室空調制御パターン指令手段3は、教室空調制御パターンに従い、所定のタイミングで空調設備制御手段6に対してOFF信号を発信するように指令する。これにより、従来、昼休みや時限間の休憩時間では、空調設備7はOFF制御されていたが、教員等が、教室9内の空調が必要と判断した場合には空調設備7を駆動させることができる。
【0037】
ここで、学校の一つの例である大学について、その大学の教室9の時間割及び教室9の利用について説明する。図3に、一般的な大学における各教室9の時間割及び教室9の利用予定の例を示す。また、図4に、一つの教室9の一週間の時間割及び教室9の利用予定の一つの例を示す。これらの例では、教室9は、午前中に3つの時限があり、昼休みを挟んで午後に4つの時限がある。そして、教室9の利用予定は、教室9ごとに、或いはある教室9の曜日ごとに異なるのが一般的である。また、一日のなかでも利用される時限はまちまちであるのが一般的である。
【0038】
次に、大学の教室9をそれらの特性から分類して説明する。大学の教室9は、その空調負荷により3つのタイプに分類することができる。これをタイプA、タイプB及びタイプCとする。タイプAは、空調負荷が比較的少ない少人数用の教室9である。タイプCは、空調負荷が比較的大きい、例えば講堂のような大規模な教室9である。そして、タイプBは、タイプAとタイプCとの中間的な、空調負荷が中程度な教室9である。
【0039】
ここで、大学における従来の大学内教室9の省エネ空調システム1について説明する。図5に、大学の教室9での空調設備7のON/OFF制御について示す。中央監視装置8は中央監視盤12を介して、教室9の使用予定がある時限にはその教室9の空調設備7をONとし、教室9の使用予定がない時限にはその教室9の空調設備7をOFFとする制御を行う。また、中央監視装置8は中央監視盤12を介して、昼休みや時限間の休憩時間には空調設備7をOFFとする制御も行う。さらには、中央監視装置8は中央監視盤12を介して、外気温などの気象条件等を考慮し、使用予定のある教室9の時限開始前から空調設備7をONにする予冷予熱も行う場合がある。
【0040】
このような空調制御が行われている状態で、教室9を利用する教官等により教室9に設けられた空調設備7のリモコン操作により空調設備7がONにされる場合がある。例えば、図3の102教室9の4時限は、教室9の利用予定がないため102教室9の空調設備7はOFFとする制御が行なわれている。この状態で教室9に設けられたリモコン操作により空調設備7がONにされると、後押し制御が優先されてこの102教室9の空調設備7は駆動する。そして、その日のその後の102教室9の利用予定がないにもかかわらず、102教室9のリモコン操作により空調設備7がOFFにされない限り、空調設備7はON状態で継続運転してしまう。
【0041】
本願の発明は、この教室9に設けられた空調設備7のリモコン操作により空調設備7がONにされる場合に対応し、快適な教室内環境を維持しながら効率的な省エネ空調を行うものである。以下、本発明の教室空調制御パターン20〜23について説明する。
【0042】
図6に、第1教室空調制御パターン20による空調制御の一つの実施例を示す。この第1教室空調制御パターン20は、主として上述したタイプBの教室9に設定される。この教室空調制御パターンでは、図6(a)に示すように、教室空調制御パターン指令手段3は、教室9に設けられた空調設備7のリモコン操作によるON信号を受信した時限以降のすべての時限においてその教室9の使用予定がない場合には、空調設備7のリモコン操作によるON信号を受信した時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段6に指令する。すなわち、リモコン操作により空調設備7がONされた時限以降の時限の使用予定がなければ、タイプBの空調負荷が中程度の教室9に対し、無駄な空調設備7の駆動をなくし省エネ効果を上げることができる。また、教室空調制御パターン指令手段3は、空調設備7のリモコン操作によるON信号を受信した時限以降の時限においてその教室9の使用予定がある場合には、使用予定のある時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段6に指令する。すなわち、リモコン操作により空調設備7がONされたのは、そのONされた時限だけではなく、その次の利用予定のある時限のために事前に空調設備7がONされた場合に対応するためである。これにより、その後の教室9の利用予定がある場合には、タイプBの空調負荷が中程度な教室9に対し、快適な教室内環境を維持することができる。
【0043】
図7に、第2教室空調制御パターン21による空調制御の一つの実施例を示す。この第2教室空調制御パターン21は、主として上述したタイプAの教室9に設定される。この教室空調制御パターンでは、教室空調制御パターン指令手段3は、図7(a)及び図7(b)に示すように、教室9に設けられた空調設備7のリモコン操作によるON信号を受信した時限以降の時限におけるその教室9の使用予定の有無にかかわらす、空調設備7のリモコン操作によるON信号を受信した時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段6に指令する。このように、リモコン操作により空調設備7がONされた時限の終了ごとに空調設備7をOFFとすることで、タイプAの空調負荷の小さな教室9に対してこまめに空調制御を行うこととなり、省エネ効果を上げることができる。
【0044】
図8に、第3教室空調制御パターン22による空調制御の一つの実施例を示す。この第3教室空調制御パターン22は、主として上述したタイプCの教室9に設定される。この教室空調制御パターンでは、教室空調制御パターン指令手段3は、空調設備7のリモコン操作によるON信号を受信した以降の時限におけるその教室9の使用予定の有無にかかわらず、その日の最終の時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段6に指令する。教室9に設けられた空調設備7のリモコン操作によりONとなった場合には、その日の最終の時限の終了後に空調設備7をOFFとし、タイプCの空調負荷の大きな教室9に対し、柔軟に空調制御を行うことで省エネ効果を上げることができる。
【0045】
図9に、第4教室空調制御パターン23による空調制御の一つの実施例を示す。この第4教室空調制御パターン23も、主として上述したタイプCの教室9に設定される。この教室空調制御パターンでは、教室空調制御パターン指令手段3は、昼休み前に空調設備7のリモコン操作によるON信号を受信した場合には、その時限以降であって昼休み前の時限におけるその教室9の使用予定の有無にかかわらず、その日の昼休み前の最終の時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段6に指令し、昼休み後の時限中に空調設備7のリモコン操作によるON信号を受信した場合には、その時限以降であって昼休み後の時限におけるその教室9の使用予定の有無にかかわらず、その日の昼休み後の最終の時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段6に指令する。教室9に設けられた空調設備7のリモコン操作によりONとなった場合には、昼休みの前後に分け、それぞれの最終の時限の終了後に空調設備7をOFFとし、タイプCの空調負荷の大きな教室9に対し、さらに柔軟に空調制御を行うことで省エネ効果を上げることができる。
【0046】
大学の各教室9は、それぞれ上述した4つの教室空調制御パターン20〜23のうち、快適な教室内環境を維持しながら効率的な省エネ空調を行うという観点から、一つのパターンが予め選択され設定されるが、その設定されたパターンは、随時変更されても良い。また、教室9の使用状況によっては、昼休みの前後で異なる教室空調制御パターン20〜22としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る学校内教室の省エネ空調システムの1つの実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】一般的な空調設備と中央監視盤との間の制御回路の構成を示す説明図である。
【図3】一般的な大学における各教室の時間割及び教室の利用状況の例を示す説明図である。
【図4】一つの教室の一週間の時間割及び教室に利用状況の例を示す説明図である。
【図5】大学の教室での空調設備のON/OFF制御について示す説明図である。
【図6】第1教室空調制御パターンによる空調制御の一つの実施例を示す説明図である。
【図7】第2教室空調制御パターンによる空調制御の一つの実施例を示す説明図である。
【図8】第3教室空調制御パターンによる空調制御の一つの実施例を示す説明図である。
【図9】第4教室空調制御パターンによる空調制御の一つの実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 省エネ空調システム、2 教室空調制御パターン入力端末、3 教室空調制御パターン指令手段、4 教室空調制御パターン記憶手段、5 WEBサーバ、6 空調設備制御手段、7 空調設備、8 中央監視装置、9 教室、10 棟、11 管理室、12 中央監視盤、14 通信ネットワーク、15 タイマ、16 メモリ、20 第1教室空調制御パターン、21 第2教室空調制御パターン、22 第3教室空調制御パターン、23 第4教室空調制御パターン、30 発動回路、31 停止回路、32 状態入力回路、33 異常検出回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
学校内の各教室に設けられた空調設備を制御する中央監視盤と、学校内の管理室に設置され、中央監視盤を介して各教室の空調設備の省エネを管理する中央管理装置と、を有する学校内教室の省エネ空調システムであって、
学校内の管理室には、予め設定された複数の教室空調制御パターンのなかから教室ごとに選択された教室空調制御パターンを、通信ネットワークを介して中央監視盤に入力する教室空調制御パターン入力端末が備えられ、
中央監視盤には、各教室の時間割に基づくその日の各時限の使用予定と、教室空調制御パターン入力端末から入力された教室ごとの教室空調制御パターンを記憶する教室空調制御パターン記憶手段と、
各教室の空調設備のON動作及びOFF動作を制御する空調設備制御手段と、
各教室の空調設備の運転信号を検知し、教室に設けられた空調設備のリモコン操作によるON信号を受信すると、教室ごとに予め設定された教室空調制御パターンに従い、教室内の空調設備に対して所定のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段に指令する教室空調制御パターン指令手段と、
が備えられることを特徴とする学校内教室の省エネ空調システム。
【請求項2】
請求項1に記載の学校内教室の省エネ空調システムであって、教室空調制御パターン指令手段は、教室に設けられた空調設備のリモコン操作によるON信号を時限内に受信した場合には、教室空調制御パターン記憶手段が記憶する、その時限以降の時限におけるその教室の使用予定の有無に基づき、空調設備制御手段に対してOFF信号を発信する指令のタイミングを判断することを特徴とする学校内教室の省エネ空調システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の学校内教室の省エネ空調システムであって、教室空調制御パターン指令手段は、その日の最終の時限以前であって時限の開始時刻から終了時刻以外の時刻に教室に設けられた空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した場合には、その時刻後に開始される時限内にON信号を受信したものとみなし、空調設備制御手段に対してOFF信号を発信する指令のタイミングを判断することを特徴とする学校内教室の省エネ空調システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1に記載の学校内教室の省エネ空調システムであって、教室空調制御パターン指令手段は、第1の教室空調制御パターンが設定された教室の空調設備に対しては、教室に設けられた空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した時限以降のすべての時限においてその教室の使用予定がない場合には、空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段に指令することを特徴とする学校内教室の省エネ空調システム。
【請求項5】
請求項4に記載の学校内教室の省エネ空調システムであって、教室空調制御パターン指令手段は、空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した以降の時限においてその教室の使用予定がある場合には、その使用予定のある時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段に指令することを特徴とする学校内教室の省エネ空調システム。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1に記載の学校内教室の省エネ空調システムであって、教室空調制御パターン指令手段は、第2の教室空調制御パターンが設定された教室の空調設備に対しては、教室に設けられた空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した時限以降の時限におけるその教室の使用予定の有無にかかわらず、空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段に指令することを特徴とする学校内教室の省エネ空調システム。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか1に記載の学校内教室の省エネ空調システムであって、教室空調制御パターン指令手段は、第3の教室空調制御パターンが設定された教室の空調設備に対しては、空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した以降の時限におけるその教室の使用予定の有無にかかわらず、その日の最終の時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段に指令することを特徴とする学校内教室の省エネ空調システム。
【請求項8】
請求項1乃至3のいずれか1に記載の学校内教室の省エネ空調システムであって、教室空調制御パターン指令手段は、第4の教室空調制御パターンが設定された教室の空調設備に対しては、昼休み前に空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した場合には、その時限以降であって昼休み前の時限におけるその教室の使用予定の有無にかかわらず、その日の昼休み前の最終の時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段に指令し、昼休み後の時限中に空調設備のリモコン操作によるON信号を受信した場合には、その時限以降であって昼休み後の時限におけるその教室の使用予定の有無にかかわらず、その日の昼休み後の最終の時限の終了時刻のタイミングでOFF信号を発信するように空調設備制御手段に指令することを特徴とする学校内教室の省エネ空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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