学習支援システム、学習支援方法及びコンピュータプログラム
【課題】本発明の学習支援システムは、ユーザの脳波に基づいて適切なヒントを選択し、ユーザに提示する。
【解決手段】出題部101がユーザコンピュータ20に問題データを送信すると、ユーザは、その解答を入力する。解答時のユーザの脳波は、脳波センサ30及び脳波検知部22により測定されて、解答データと共にシステム10に送られる。ヒント検出部103は、脳波パターン及び問題に応じた適切なヒントを見つけ出し、問題データに対応付けて再出題する。
【解決手段】出題部101がユーザコンピュータ20に問題データを送信すると、ユーザは、その解答を入力する。解答時のユーザの脳波は、脳波センサ30及び脳波検知部22により測定されて、解答データと共にシステム10に送られる。ヒント検出部103は、脳波パターン及び問題に応じた適切なヒントを見つけ出し、問題データに対応付けて再出題する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習支援システム、学習支援方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、脳波を利用して機械を操作するBMI(Brain Machine Interface)が着目されている。また、ユーザの生体情報に基づいて、どの程度の関心をもってコンテンツを視聴したか否か(視聴質)を検出する技術(特許文献1,特許文献2)や、ユーザの感情を生体情報に基づいて推定し、ユーザの感情に応じた素材を取得して自分史を編集できるようにした技術も知られている(特許文献3)。さらに、学習者の表情や心拍数等から心理状態を検出し、心理状態に対応した電子教材を提供するようにしたシステムも提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−205861号公報
【特許文献2】特開2005−142975号公報
【特許文献3】特開2008−252356号公報
【特許文献4】特開2006−23506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、ユーザが退屈しているか、興味を持っているか等の心理状態に応じて、電子教材を提供しているが、それだけで学習効果を高めるのは難しい。ある問題が解けない場合、例えば、問題文の意味がわからない、公式または定石の解法を覚えていない、他の問題と混同している等の種々の原因がある。
【0005】
解けない原因によっては、わずかなヒントを与えるだけでユーザを正解に導くことができる。逆に、詳細なヒントを必要とする場合もある。従って、問題を解けない原因が何であるのかにかかわらず、ユーザの心理状態に基づいて電子教材を提供するシステムでは、ユーザの学習を効果的に支援することはできない。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的は、ユーザの脳波データに基づいて、そのユーザに適したヒントデータを提示することのできる学習支援システム、学習支援方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1観点に従う学習支援システムは、ユーザの使用するユーザコンピュータに問題データを送信する学習支援システムであって、ユーザコンピュータに接続され、ユーザの脳波を測定して脳波データを送信する脳波測定部と、複数の問題データを管理するための問題管理部と、問題管理部により管理されている各問題データに関する複数のヒントデータを管理するためのヒント管理部と、各問題データの中から問題データを選択してユーザコンピュータに送信させる出題部と、ユーザコンピュータに送信された問題データについての解答データと、ユーザが問題データを解答する場合の脳波データとを受信する解答受信部と、解答受信部により受信される脳波データに基づいて、ヒント管理部により管理されている各ヒントデータの中から所定のヒントデータを検出するヒント検出部と、ヒント検出部により検出される所定のヒントデータと問題データとを対応付けてユーザコンピュータに送信させる再出題部と、を備える。
【0008】
第2観点では、第1観点において、各問題データ毎に、誤答した場合における複数の脳波パターンと、各脳波パターンに対する各ヒントデータの有効性とを予め対応付けて管理するためのヒント検出用データベースを備えており、ヒント検出部は、解答受信部により受信される脳波データが各脳波パターンのうちのいずれの脳波パターンに類似するかを判定し、類似すると判定された脳波パターンに対応付けられている各ヒントデータのうち有効性が最も高いヒントデータを所定のヒントデータとして検出する。
【0009】
第3観点では、第1観点または第2観点のいずれかにおいて、解答受信部は、再出題部により送信される所定のヒントデータ及び問題データに対応する新たな解答データ及び新たな脳波データをユーザコンピュータから受信し、ヒント検出部は、新たな解答データが誤っている場合、各ヒントデータのうち所定のヒントデータの次に有効性の高い別のヒントデータを、新たな所定のヒントデータとして検出し、再出題部は、新たなヒントデータと問題データとを対応付けてユーザコンピュータに送信させる。
【0010】
第4観点では、第1観点または第2観点のいずれかにおいて、出題部は、ユーザコンピュータから入力される解答データが正しい場合、問題データに類似する別の問題データを各問題データの中から選択して、ユーザコンピュータに送信させる。
【0011】
第5観点では、第2観点において、有効性とは、所定のヒントデータをユーザに提示した場合における正答率を示す。
【0012】
本発明は、方法の発明またはコンピュータプログラムの発明として構成することもできる。コンピュータプログラムは、記録媒体に固定されて流通したり、または、通信ネットワークを介して流通されたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る学習支援システムの全体図。
【図2】脳波センサのブロック図。
【図3】脳波パターンに応じてヒントを出す様子を示す模式図。
【図4】ヒント検出用データベースを作成するために使用される第1ログデータベースの説明図。
【図5】ヒント検出用データベースを作成するために使用される第2ログデータベースの説明図。
【図6】問題データを管理する問題データベースの説明図。
【図7】ヒントデータを管理するヒントデータベースの説明図。
【図8】脳波パターンに応じたヒントデータを検出するためのデータベースを示す説明図。
【図9】ヒント検出用データベースを作成する処理を示すフローチャート。
【図10】学習支援システムの動作を示すフローチャート。
【図11】正解時の処理を示すフローチャート。
【図12】第2実施例に係る学習支援方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態では、以下に述べるように、誤答時の脳波パターンを予め分類し、それら各脳波パターンが出現する場合において有効なヒントデータを事前に調査している。そして、本実施形態では、ユーザの脳波データを解析して、そのユーザに適したヒントデータを検出し、ヒントデータを付けて再出題する。これにより、ユーザは、自分に適したヒントデータを参考にして、正解に至ることができ、効率的かつ意欲的に学習を進めることができる。
【実施例1】
【0015】
図1〜図11に基づいて第1実施例を説明する。図1は、本実施例に係る学習支援システム10を含む情報処理システムの全体を示す説明図である。この情報処理システムは、後述のように、学習支援システム10と、ユーザコンピュータ20と、脳波検知部22及び脳波センサ30と、を備える。
【0016】
学習支援システム10は、例えば、ヒント検出用データベース生成部100と、出題部101と、解答受信部102と、ヒント検出部103と、再出題部104と、ウェブサーバ部105と、複数のデータベースT10〜T50とを備える。なお、学習支援システム10は、単一のコンピュータから構成される必要は必ずしも無く、複数のコンピュータから構成されてもよい。
【0017】
ヒント検出用データベース作成部100は、後述のように、第1ログデータベースT10及び第2ログデータベースT20を用いて、ヒント検出用データベースT50を作成させる。第1ログデータベースT10,第2ログデータベースT20の詳細は、図4,図5と共に後述する。
【0018】
出題部101は、問題データベースT30に管理されている複数の問題データの中から一つまたは複数の問題データを選択してユーザコンピュータ20に送信させる。解答受信部102は、ユーザコンピュータ20から脳波データ及び解答データ等を受信する。ユーザコンピュータ20から受信されるデータの一例については、後述する。
【0019】
ヒント検出部103は、後述のように、ユーザの脳波データに基づいてヒント検出用データベースT50を検索し、そのユーザに適したヒントデータをヒントデータベースT40から検出する。再出題部104は、検出されたヒントデータと問題データとを対応付けてユーザコンピュータ20に送信し、再度出題する。ウェブサーバ部105は、ウェブサーバを生成させる。ユーザは、ウェブブラウザを介して、学習支援システム10と情報を交換することができる。
【0020】
ユーザコンピュータ20は、例えば、パーソナルコンピュータや携帯電話または携帯情報端末等のコンピュータとして構成される。ユーザコンピュータ20と学習支援システム10とは、例えば、インターネット等の通信ネットワークCNを介して、双方向通信可能に接続されている。ユーザコンピュータ20のディスプレイ装置21にウェブページ500が表示される。そのウェブページ500には、後述のように、問題データやヒントデータ等が表示される。
【0021】
ユーザコンピュータ20は、例えば、キーボードスイッチ、ポインティングデバイス、マイクロフォン等の入力装置(いずれも図示せず)を備えている。ユーザは、ディスプレイ装置21に表示された問題の解答を、入力装置を介して入力する。
【0022】
脳波センサ30及び受信部31と共に「脳波測定部」を構成する脳波検知部22は、プログラム製品として構成され、ユーザコンピュータ20にインストールされている。脳波検知部22は、脳波センサ30によって検出される脳波信号を脳波データとして、学習支援システム10に送信する。
【0023】
脳波検知部22は、予めユーザコンピュータ20にインストールさせておくこともできるし、または、問題データと一緒に、脳波検知部22のプログラムをユーザコンピュータ20に送信し、問題データの視聴前にインストールさせることもできる。
【0024】
図2は、脳波センサ30及び脳波検知部22の構成例を示すブロック図である。脳波センサ30は、例えば、ユーザの頭部に装着されるヘルメット型センサ、または、サンバイザー型センサ、または、眼鏡型センサ等のように構成される。
【0025】
脳波センサ30は、ユーザの頭部から放射される脳波を測定するための複数の電極300を備える。さらに、脳波センサ30は、ユーザの視線を直接的に検出するための視線検出センサ305を備えてもよい。または、例えば脳波の解析によって視線を検出可能な場合等には、視線検出センサ305を設けない構成とすることもできる。
【0026】
各電極300からの電気信号は信号増幅部301によって増幅され、ノイズ除去部302によりノイズが取り除かれる。信号処理部303は、例えば、脳波信号をデジタル信号に変換する等の処理を行い、脳波データを生成する。脳波データは、送信部304から受信部31に向けて送信される。
【0027】
受信部31は、ユーザコンピュータ20に接続されており、脳波センサ30から送信される脳波データを受信する。送信部304と受信部31とは、無線または有線で接続されている。無線接続の場合、例えば、赤外線や電波を用いて脳波データが送信される。
【0028】
受信部31は、例えば、ユーザコンピュータ20のUSB(Universal Serial Bus)ポートのようなインターフェース部に取り付けられる小型受信機として構成される。受信部31は、波形整形等を行うための信号処理部310を備えることもできる。脳波検知部22は、ディスプレイ装置21に表示される問題データを特定するための問題ID(識別情報)と、その問題データをユーザが解いたときの脳波データ等とを対応付けて、学習支援システム10に送信させる。
【0029】
図3は、ユーザの脳波データに基づいて出題方法を制御する様子を示す。図3の上側には、ユーザに最初に提示される1回目のウェブページ500(1)が示されている。最初の1回目のウェブページ500(1)には、例えば、問題表示欄501と、解答欄502とが含まれている。
【0030】
問題表示欄501には、例えば、算数、国語、理科、社会、生活、歴史、経済、地理、物理、生物、一般常識、漢字等の各種問題が表示される。それらの問題は学習支援システム10の出題部101から出題される。ユーザは、問題の答えを解答欄502に入力し、エンターキー等の入力確定ボタンを操作する。問題に解答する際のユーザの脳波は、脳波センサ30及び脳波検知部22により検知されて、学習支援システム10の解答受信部102に送られる。
【0031】
ユーザの解答が誤っている場合、学習支援システム10のヒント検出部103は、ユーザから受信した脳波データが、予め用意されている各脳波パターンのいずれに類似するかを判別する。その脳波パターンは、ユーザが問題を解けないと感じた場合に発生させる脳波パターンである。
【0032】
ヒント検出部103は、ユーザが問題を解けないと感じたときの脳波パターンに基づいてヒント検出用データベースT50を検索し、そのユーザに適したヒントデータのIDを取得する。ヒント検出部103は、ヒント検出用データベースT50から、そのユーザがその問題データを解くにあたって最も役立つと思われるヒントデータを少なくとも一つ選択する。つまり、後述のように、その問題データについて予め用意されている複数のヒントデータのうち、正答率が最も高いと予測されるヒントデータのIDを選択する。
【0033】
学習支援システム10の再出題部104は、ユーザの解けなかった問題データに、ヒント検出部103で検出される適切なヒントデータを対応付けて、ユーザコンピュータ20に送信させる。
【0034】
ユーザコンピュータ20のディスプレイ装置21には、2回目のウェブページ500(2)が表示される。そのウェブページ500(2)には、問題表示欄501及び解答欄502に加えて、ヒント表示欄503が含まれている。ヒント表示欄503には、ヒント検出部103により検出されるヒントIDで特定されるヒントデータが表示される。
【0035】
ユーザは、ヒントを参考にして問題に再挑戦し、解答する。その解答データ及び解答時の脳波データ等は、学習支援システム10に送られる。ヒントを付けてもなおユーザの解答が間違っている場合、ヒント検出部103により別のヒントデータが選択され、ユーザコンピュータ20に送信される。
【0036】
図4は、第1ログデータベースT10の構成例を示す。第1ログデータベースT10は、第2ログデータベースT20と共に、ヒント検出用データベースT50を作成するための資料となる。
【0037】
第1ログデータベースT10は、例えば、問題ID欄C10と、解答欄C11と、正誤欄C12と、脳波データ欄C13と、テストユーザID欄C14とを備える。問題ID欄C10には、各問題データを識別するためのIDが記憶される。解答欄C11には、問題に対するユーザからの解答が記憶される。正誤欄C12には、ユーザの解答の正しいのか否かが記憶される。脳波データ欄C13には、問題解答時に検知されるユーザの脳波データが記憶される。テストユーザID欄C14には、ヒント検出用データベースT50の作成用試験に参加する各ユーザを特定するためのIDが記憶される。
【0038】
なお、脳波データ(C13)や解答(C11)のデータ量が多い場合、脳波データや解答の記憶先アドレスを各欄C13,C11に記憶させる構成としてもよい。
【0039】
学習支援システム10は、第1ログデータベースT10から、ユーザの間違えた問題を抽出し、その抽出される各問題に、予め用意されている複数のヒントデータの中からランダムに選択されるヒントデータをそれぞれ対応付けて、1問ずつ再出題する。各テストユーザは、ヒントを参考にして再び問題を解く。脳波検知部22は、再出題された問題を解く際の脳波データと解答等とを対応付けて、学習支援システム10に送信する。
【0040】
図5に示すように、学習支援システム10は、ヒント付きの再出題に関するデータを第2ログデータベースT20に記憶させる。第2ログデータベースT20は、例えば、問題ID欄C20と、解答欄C21と、正誤欄C22と、脳波データ欄C23と、テストユーザ欄C24と、ヒントID欄C25とを対応付けて管理する。
【0041】
問題ID欄C20は、再出題された問題(つまり最初の出題時にユーザの間違えた問題)のIDを管理する。解答欄C21は、ヒントを付けて再出題された問題に対するユーザからの解答(つまり同一問題に対する2度目の解答)を管理する。正誤欄C22は、2度目の解答の正誤を管理する。脳波データ欄C23は、再出題された問題を解く際のユーザの脳波データを管理する。テストユーザ欄C24は、各ユーザのIDを管理する。ヒントID欄C25は、問題に付されたヒントデータのIDを管理する。
【0042】
学習支援システム10は、例えば、全ユーザが全問題を正解するまで、ヒントデータをランダムに選択しながら再出題を繰り返し、その結果を第2ログデータベースT20に記憶させる。この結果、ユーザが問題を解けないと感じたときに発生させる脳波を複数のパターンに類型化することができ、ヒントの有効性を知ることができる。ヒントの有効性は、そのヒントを付けた場合の正答率として求めることができる。
【0043】
図6は、問題を管理するための問題データベースT30を示す。問題データベースT30は、例えば、問題ID欄C30と、格納先アドレス欄C31と、正解欄C32と、ユーザID欄C33と、理解フラグC34とを対応付けている。
【0044】
問題ID欄C30には、各問題データのIDが記憶される。格納先アドレス欄C31には、各問題データの格納先アドレスが記憶される。正解欄C32には、各問題データの正解が記憶される。ユーザID欄C33には、各ユーザのIDが記憶される。ここでは、各問題データ毎に、各ユーザのIDがそれぞれ対応付けられている。
【0045】
理解フラグ欄C24には、ユーザが理解したか否かを示すフラグが記憶される。理解フラグに「1」が設定される場合、そのユーザは、その問題を理解していることを示す。理解フラグに「0」が設定される場合、そのユーザがその問題を理解しているか否か不明であることを示す。
【0046】
なお、各問題データの類似度を示す情報を、問題データベースT30で管理する構成としてもよい。例えば、各問題データの分野、対象ユーザの年齢や学年、難易度等の情報を、問題データ間の類似度を判別するための指標として、問題データベースT30に記憶させる構成としてもよい。
【0047】
図7は、ヒントを管理するためのヒントデータベースT40を示す。ヒントデータベースT40は、例えば、ヒントID欄C40と、内容欄C41と、その他の欄C42とを備える。
【0048】
ヒントID欄C40には、各ヒントデータを識別するためのIDが記憶される。内容欄C41には、各ヒントデータが記憶される。その他の欄C42には、例えば、「小学校低学年の国語用ヒント」や「社会人向け経済学用ヒント」等のようなヒントの種別等を記憶させることができる。なお、上述の各データベースT10〜T30及び後述のデータベースT50においても、その他の欄を設けることができる。また、本実施例では、問題データ及びヒントデータを文字データとして構成する場合を説明するが、文字データに限定されない。例えば、静止画像データ、動画像データ、音声データ、グラフィックスデータ等の種々の形式のデータをそのままで、または、組合せて、問題データまたはヒントデータとして使用することができる。
【0049】
図8は、ヒント検出用データベースT50を示す。ヒント検出用データベースT50は、例えば、問題ID欄C50と、脳波パターン欄C51と、ヒントID欄C52と、ヒント提示後の正答率の欄C53とを管理する。ここでは、各問題ID毎に各脳波パターンがそれぞれ対応付けられており、各脳波パターン毎に各ヒントデータのIDがそれぞれ対応付けられている。
【0050】
問題ID欄C50には、再出題された問題データのIDが記憶される。脳波パターン欄C51には、その問題データを解けなかった各ユーザの各脳波パターンが記憶される。つまり、脳波パターン欄C51には、最初の出題時に計測された脳波データのうち誤答時の脳波データ(第1ログデータベースT10中の脳波データC13)が記憶される。
【0051】
具体的には、学習支援システム10は、E(α)、E(β)、E(γ)、σ(α)、σ(β)、σ(γ)のようなデータを取得し、記憶する。ここで、E(α)はα波の強度の平均、E(β)はβ波の強度の平均、E(γ)はγ波の強度の平均、σ(α)はα波の強度の標準偏差、σ(β)はβ波の強度の標準偏差、σ(γ)はγ波の強度の標準偏差を、示す。学習支援システム10は、脳波データを、α波、β波、γ波の各強度の平均と分散とのベクトルで表現し、クラスタ分析等によって分類する。学習支援システム10は、その分類の結果を、脳波パターンとして用いる。
【0052】
ヒントID欄C52には、再出題時に添付されたヒントデータのIDが記憶される。ヒント提示後の正答率の欄C53には、ヒント付き再出題に対するユーザからの解答の正答率が記憶される。
【0053】
ある問題が解けない場合、解けない理由は各ユーザ毎にそれぞれ相違し、理由に応じて各ユーザから発生する脳波のパターンも異なる。例えば、公式等を思い出せない場合、問題文の意味をつかめない場合等のように、解けない原因に応じて脳波のパターンはそれぞれ相違する。そして、解けない原因毎に、適切なヒントも異なるはずである。例えば、問題文の意味が理解できない場合には、例えば、「問題文をよく読もう。」、「問題を素直に考えよう。」のようなヒントが有効に作用するであろう。しかし、それらのヒントは、公式等を思い出せない場合には有効ではないであろう。
【0054】
再出題時に添付されたヒントデータがユーザに役立った場合、再出題に対するユーザの解答は正解となる。従って、ヒント提示後の正答率の値が増加する。逆に、ヒントデータがユーザの役に立たなかった場合、ユーザの解答は誤答となり、正答率は低下する。正答率の高いヒントデータは、特定の脳波パターンが観測される場合に有効に働くヒントであることを意味する。
【0055】
図9は、ヒント検出用データベースT50を作成するための処理を示す。学習支援システム10のヒント兼用データベース生成部(以下、データベース生成部)100は、データベース作成用の問題データを、テストに参加している各ユーザのユーザコンピュータ20に送信する(S10)。問題データを特定するための問題IDも、問題データと一緒にユーザコンピュータ20に送られる。
【0056】
ユーザコンピュータ20は、受信した問題データをディスプレイ装置21に表示させる(S11)。ユーザは、問題データを含むウェブページ500を閲覧し、ウェブページ500の解答欄502に解答を入力する。解答時のユーザの脳波データは、脳波センサ30及び脳波検知部22により検出される(S12)。脳波検知部22は、例えば、問題データのIDと、ユーザの解答したデータ(解答データ)と、脳波データとを対応付けて、学習支援システム10に送信する(S13)。
【0057】
データベース生成部100は、ユーザコンピュータ20から受信したデータを第1ログデータベースT10に記憶させる(S14)。データベース生成部100は、予め用意されている全ての問題データを出題したか否かを判定する(S15)。全ての問題データを出題するまで、S10〜S14の各ステップが繰り返し実行される。
【0058】
データベース生成部100は、テストに参加している全てのテストユーザについて、最初のテストが完了したか否かを確認する(S16)。全ユーザについて最初のテスト(つまり、第1ログデータベースT10の生成に必要なデータを収集するためのテスト)が完了した場合(S16:YES)、第1段階が完了し、第2段階に移る。
【0059】
第2段階では、最初の出題でユーザが間違えた問題にヒントを付けて再出題し、そのヒントが役に立ったか否かを計測する。まず最初に、データベース生成部100は、各ユーザ毎に、最初のテストでユーザが間違えた問題を抽出する(S17)。
【0060】
データベース生成部100は、予め用意されている各ヒントデータの中から、少なくとも一つのヒントデータをランダムに選択し(S18)、ユーザの間違えた問題データに対応付けてユーザコンピュータ20に送信する(S19)。ユーザコンピュータ20には、ヒントデータを識別するヒントIDも送信される。
【0061】
ユーザコンピュータ20は、問題データ及びヒントデータをディスプレイ装置21に表示させる(S20)。ユーザは、ヒントを利用して問題に解答する。再出題に対する解答時の脳波データは、脳波センサ30等により計測される(S21)。ユーザコンピュータ20は、問題IDと、解答データと、脳波データと、ヒントIDとを対応付けて学習支援システム10に送信する(S22)。
【0062】
データベース生成部100は、ユーザコンピュータ20から受信したデータを第2ログデータベースT20に記憶させる(S23)。データベース生成部100は、再出題された問題に対するユーザの解答が正解であるか否かを判定する(S24)。
【0063】
ユーザの解答が正解では無い場合(S24:NO)、再びランダムにヒントデータが選択されて、S18〜S23の各ステップが繰り返される。ユーザが正解すると(S24:YES)、次の問題に移る。データベース生成部100は、最初のテストでユーザが間違えた全ての問題について再出題が完了するまで(S25)、S18〜S24の各ステップを繰り返し実行させる。
【0064】
第2ログデータベースT20が完成すると(S25:YES)、データベース生成部100は、ヒント検出用データベースT50を作成する(S26)。即ち、データベース生成部100は、第1ログデータベースT10と第2ログデータベースT20との内容を読み出して統計処理し、問題データと、解答時の脳波データと、ヒントデータと、ヒントデータ送信後における正答率との関係を対応付けて、ヒント検出用データベースT50を作成する(S26)。
【0065】
図10は、学習支援方法を示すフローチャートである。学習支援システム10は、ユーザコンピュータ20に問題データを送信する(S30)。ユーザコンピュータ20は、問題データをディスプレイ装置21に表示させる(S31)。ユーザは、表示された問題の解答を解答欄502に入力する。解答時のユーザの脳波は、脳波センサ30等により検出される(S32)。ユーザコンピュータ20は、問題IDと、解答データと、脳波データとを対応付けて学習支援システム10に送信する(S33)。
【0066】
学習支援システム10は、問題データベースT30を参照し、ユーザの解答が正解であるか否かを判定する(S34)。ユーザの解答が正解の場合(S34:YES)、正解時の処理が実行される(S35)。正解時には、後述のように、例えば、類似する問題を出題してユーザの理解度を確認する等の処理が実施される。
【0067】
ユーザの解答が誤っている場合(S34:NO)、学習支援システム10は、ユーザの脳波データが、ヒント検出用データベースT50に登録されている各脳波パターンのうちいずれに類似するかを判別する(S36)。そして、学習支援システム10は、判別された脳波パターン及び問題IDに基づいてヒント検出用データベースT50を検索し(S37)、正答率(C53)の最も高いヒントデータのIDを選択する(S38)。
【0068】
なお、ユーザの脳波データがいずれの脳波パターンに類似するかを判別する方法を説明する。例えば、ユーザの脳波データと予め登録されている各脳波パターン(C51)とのベクトルの内積を計算し、内積値が最も大きい脳波パターンを求める。ユーザの脳波データは、内積値の最も大きい脳波パターンに類似すると判定される。
【0069】
学習支援システム10は、正答率の最も高いヒントデータをヒントデータベースT40から取得し、ユーザの間違えた問題データに対応付けて、ユーザコンピュータ20に送信する(S39)。
【0070】
ユーザコンピュータ20は、再出題された問題データ及びヒントデータをディスプレイ装置21に表示させる(S40)。ユーザは、ヒントデータを参考にして解答する。解答時の脳波データは、脳波センサ30等により測定される(S41)。ユーザコンピュータ20は、問題IDと、解答データと、脳波データ及びヒントIDを対応付けて、学習支援システム10に送信する(S42)。
【0071】
学習支援システム10は、ユーザコンピュータ20から受信した解答データが正解であるか否かを判定する(S43)。ユーザの解答が間違っている場合(S43:NO)、学習支援システム10は、次に正答率の高い別のヒントデータを選択し(S44)、問題データに対応付けて再出題する(S39)。
【0072】
ユーザが正解した場合には(S43:YES)、所定の処理が実行される(S45)。図11は、ヒント提示後の正解時の処理を示すフローチャートである。ユーザの解答が正解の場合、学習支援システム10は、ヒント検出用データベースT50の正答率C53を更新させる(S50)。
【0073】
続いて、ユーザの理解度を確認するために、学習支援システム10は、ユーザの正解した問題(ヒント付きで再出題された問題)と類似する問題データを、問題データベースT30から検索する(S51)。
【0074】
学習支援システム10は、類似する問題データをユーザコンピュータ20に送信し(S52)、ユーザコンピュータ20から解答データ等を受領する(S53)。ユーザの解答が正解の場合(S54:YES)、学習支援システム10は、問題データベースT30内の理解フラグ(C34)に「1」を設定する(S55)。
【0075】
類似問題の解答が間違っている場合(S54:NO)、学習支援システム10は、問題ID及び脳波データを検索キーとしてヒント検出用データベースT50を検索し、正答率の高いヒントデータをヒントデータベースT40から取得する(S56)。学習支援システム10は、類似問題のデータとヒントデータとを対応付けて再出題する(S57)。学習支援システム10は、S53〜S57を繰り返し実行する。
【0076】
なお、ヒント提示前の正解時処理(S35)では、図11に示す各ステップのうち、S50を除くS51〜S57を実行させることができる。
【0077】
このように構成される本実施例によれば、ユーザの脳波データに基づいて、その問題についてのユーザの状況に応じた適切なヒントデータを選択し、ユーザに提供できる。従って、ユーザの状況に応じて効率よく学習を支援することができ、ユーザの使い勝手も向上する。即ち、本実施例では、問題を解けないときのユーザの脳波に基づいて、ユーザの置かれている状況(解けない状況)を推定し、ユーザの状況及び問題に応じた適切なヒントを提示することができる。
【0078】
また、本実施例では、ユーザが正解するまで、正答率の高い順番で、繰り返しヒントを提供する。これにより、ユーザは、種々の視点から問題を検討して解答することができ、学習効果が高まる。
【0079】
さらに、本実施例では、ユーザが正解した場合に類似問題を出題して、ユーザが本当に理解しているか否かを確認する。従って、学習効果を高めることができる。
【実施例2】
【0080】
図12に基づいて第2実施例を説明する。本実施例では、第1実施例との相違を中心に説明する。本実施例では、いわゆる紛れ当たりを検出して、紛れ当たりの場合にはヒント付きの問題を再出題する。
【0081】
図12は、本実施例による学習支援方法を示すフローチャートである。学習支援システム10は、ユーザコンピュータ20から脳波データ等を受信すると、脳波データに類似する脳波パターンを判別する(S60)。
【0082】
学習支援システム10は、判別された脳波データに基づいて、ユーザが正解に至ったか否かを判定する(S61)。ユーザの脳波データがヒント検出用データベースT50に登録されている各脳波パターンのいずれかに該当する場合、ユーザは、本当に理解して正解に至ったわけではなく、確率的に正解に至ったと推測することができる。いわゆる紛れ当たりである。
【0083】
従って、ユーザの解答データが正解であっても、ユーザの脳波データが誤答時に見られる脳波パターンに類似する場合は(S61:NO)、適切なヒントデータを付けて再出題し、ユーザの理解を促す(S37〜S45)。
【0084】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の効果を奏する。さらに、本実施例では、脳波データに基づいて紛れ当たりを判別し、紛れ当たりであると推測される場合には、ヒントを付けて問題を再出題する。従って、ユーザの理解を深めることができ、学習効果を高めることができる。
【0085】
なお、本発明は、上述した各実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。いわゆる当業者であれば、図示されたステップの順番を変更したり、新たなステップを追加等することができる。さらに、脳波だけでなく、例えば、脈拍、血圧、瞳の大きさ、体温等の他の生体情報を利用する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10:学習支援システム、20:ユーザコンピュータ、22:脳波検知部、30:脳波センサ、100:ヒント検出用データベース生成部、101:出題部、102:解答受信部、103:ヒント検出部、104:再出題部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習支援システム、学習支援方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、脳波を利用して機械を操作するBMI(Brain Machine Interface)が着目されている。また、ユーザの生体情報に基づいて、どの程度の関心をもってコンテンツを視聴したか否か(視聴質)を検出する技術(特許文献1,特許文献2)や、ユーザの感情を生体情報に基づいて推定し、ユーザの感情に応じた素材を取得して自分史を編集できるようにした技術も知られている(特許文献3)。さらに、学習者の表情や心拍数等から心理状態を検出し、心理状態に対応した電子教材を提供するようにしたシステムも提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−205861号公報
【特許文献2】特開2005−142975号公報
【特許文献3】特開2008−252356号公報
【特許文献4】特開2006−23506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、ユーザが退屈しているか、興味を持っているか等の心理状態に応じて、電子教材を提供しているが、それだけで学習効果を高めるのは難しい。ある問題が解けない場合、例えば、問題文の意味がわからない、公式または定石の解法を覚えていない、他の問題と混同している等の種々の原因がある。
【0005】
解けない原因によっては、わずかなヒントを与えるだけでユーザを正解に導くことができる。逆に、詳細なヒントを必要とする場合もある。従って、問題を解けない原因が何であるのかにかかわらず、ユーザの心理状態に基づいて電子教材を提供するシステムでは、ユーザの学習を効果的に支援することはできない。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的は、ユーザの脳波データに基づいて、そのユーザに適したヒントデータを提示することのできる学習支援システム、学習支援方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1観点に従う学習支援システムは、ユーザの使用するユーザコンピュータに問題データを送信する学習支援システムであって、ユーザコンピュータに接続され、ユーザの脳波を測定して脳波データを送信する脳波測定部と、複数の問題データを管理するための問題管理部と、問題管理部により管理されている各問題データに関する複数のヒントデータを管理するためのヒント管理部と、各問題データの中から問題データを選択してユーザコンピュータに送信させる出題部と、ユーザコンピュータに送信された問題データについての解答データと、ユーザが問題データを解答する場合の脳波データとを受信する解答受信部と、解答受信部により受信される脳波データに基づいて、ヒント管理部により管理されている各ヒントデータの中から所定のヒントデータを検出するヒント検出部と、ヒント検出部により検出される所定のヒントデータと問題データとを対応付けてユーザコンピュータに送信させる再出題部と、を備える。
【0008】
第2観点では、第1観点において、各問題データ毎に、誤答した場合における複数の脳波パターンと、各脳波パターンに対する各ヒントデータの有効性とを予め対応付けて管理するためのヒント検出用データベースを備えており、ヒント検出部は、解答受信部により受信される脳波データが各脳波パターンのうちのいずれの脳波パターンに類似するかを判定し、類似すると判定された脳波パターンに対応付けられている各ヒントデータのうち有効性が最も高いヒントデータを所定のヒントデータとして検出する。
【0009】
第3観点では、第1観点または第2観点のいずれかにおいて、解答受信部は、再出題部により送信される所定のヒントデータ及び問題データに対応する新たな解答データ及び新たな脳波データをユーザコンピュータから受信し、ヒント検出部は、新たな解答データが誤っている場合、各ヒントデータのうち所定のヒントデータの次に有効性の高い別のヒントデータを、新たな所定のヒントデータとして検出し、再出題部は、新たなヒントデータと問題データとを対応付けてユーザコンピュータに送信させる。
【0010】
第4観点では、第1観点または第2観点のいずれかにおいて、出題部は、ユーザコンピュータから入力される解答データが正しい場合、問題データに類似する別の問題データを各問題データの中から選択して、ユーザコンピュータに送信させる。
【0011】
第5観点では、第2観点において、有効性とは、所定のヒントデータをユーザに提示した場合における正答率を示す。
【0012】
本発明は、方法の発明またはコンピュータプログラムの発明として構成することもできる。コンピュータプログラムは、記録媒体に固定されて流通したり、または、通信ネットワークを介して流通されたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る学習支援システムの全体図。
【図2】脳波センサのブロック図。
【図3】脳波パターンに応じてヒントを出す様子を示す模式図。
【図4】ヒント検出用データベースを作成するために使用される第1ログデータベースの説明図。
【図5】ヒント検出用データベースを作成するために使用される第2ログデータベースの説明図。
【図6】問題データを管理する問題データベースの説明図。
【図7】ヒントデータを管理するヒントデータベースの説明図。
【図8】脳波パターンに応じたヒントデータを検出するためのデータベースを示す説明図。
【図9】ヒント検出用データベースを作成する処理を示すフローチャート。
【図10】学習支援システムの動作を示すフローチャート。
【図11】正解時の処理を示すフローチャート。
【図12】第2実施例に係る学習支援方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態では、以下に述べるように、誤答時の脳波パターンを予め分類し、それら各脳波パターンが出現する場合において有効なヒントデータを事前に調査している。そして、本実施形態では、ユーザの脳波データを解析して、そのユーザに適したヒントデータを検出し、ヒントデータを付けて再出題する。これにより、ユーザは、自分に適したヒントデータを参考にして、正解に至ることができ、効率的かつ意欲的に学習を進めることができる。
【実施例1】
【0015】
図1〜図11に基づいて第1実施例を説明する。図1は、本実施例に係る学習支援システム10を含む情報処理システムの全体を示す説明図である。この情報処理システムは、後述のように、学習支援システム10と、ユーザコンピュータ20と、脳波検知部22及び脳波センサ30と、を備える。
【0016】
学習支援システム10は、例えば、ヒント検出用データベース生成部100と、出題部101と、解答受信部102と、ヒント検出部103と、再出題部104と、ウェブサーバ部105と、複数のデータベースT10〜T50とを備える。なお、学習支援システム10は、単一のコンピュータから構成される必要は必ずしも無く、複数のコンピュータから構成されてもよい。
【0017】
ヒント検出用データベース作成部100は、後述のように、第1ログデータベースT10及び第2ログデータベースT20を用いて、ヒント検出用データベースT50を作成させる。第1ログデータベースT10,第2ログデータベースT20の詳細は、図4,図5と共に後述する。
【0018】
出題部101は、問題データベースT30に管理されている複数の問題データの中から一つまたは複数の問題データを選択してユーザコンピュータ20に送信させる。解答受信部102は、ユーザコンピュータ20から脳波データ及び解答データ等を受信する。ユーザコンピュータ20から受信されるデータの一例については、後述する。
【0019】
ヒント検出部103は、後述のように、ユーザの脳波データに基づいてヒント検出用データベースT50を検索し、そのユーザに適したヒントデータをヒントデータベースT40から検出する。再出題部104は、検出されたヒントデータと問題データとを対応付けてユーザコンピュータ20に送信し、再度出題する。ウェブサーバ部105は、ウェブサーバを生成させる。ユーザは、ウェブブラウザを介して、学習支援システム10と情報を交換することができる。
【0020】
ユーザコンピュータ20は、例えば、パーソナルコンピュータや携帯電話または携帯情報端末等のコンピュータとして構成される。ユーザコンピュータ20と学習支援システム10とは、例えば、インターネット等の通信ネットワークCNを介して、双方向通信可能に接続されている。ユーザコンピュータ20のディスプレイ装置21にウェブページ500が表示される。そのウェブページ500には、後述のように、問題データやヒントデータ等が表示される。
【0021】
ユーザコンピュータ20は、例えば、キーボードスイッチ、ポインティングデバイス、マイクロフォン等の入力装置(いずれも図示せず)を備えている。ユーザは、ディスプレイ装置21に表示された問題の解答を、入力装置を介して入力する。
【0022】
脳波センサ30及び受信部31と共に「脳波測定部」を構成する脳波検知部22は、プログラム製品として構成され、ユーザコンピュータ20にインストールされている。脳波検知部22は、脳波センサ30によって検出される脳波信号を脳波データとして、学習支援システム10に送信する。
【0023】
脳波検知部22は、予めユーザコンピュータ20にインストールさせておくこともできるし、または、問題データと一緒に、脳波検知部22のプログラムをユーザコンピュータ20に送信し、問題データの視聴前にインストールさせることもできる。
【0024】
図2は、脳波センサ30及び脳波検知部22の構成例を示すブロック図である。脳波センサ30は、例えば、ユーザの頭部に装着されるヘルメット型センサ、または、サンバイザー型センサ、または、眼鏡型センサ等のように構成される。
【0025】
脳波センサ30は、ユーザの頭部から放射される脳波を測定するための複数の電極300を備える。さらに、脳波センサ30は、ユーザの視線を直接的に検出するための視線検出センサ305を備えてもよい。または、例えば脳波の解析によって視線を検出可能な場合等には、視線検出センサ305を設けない構成とすることもできる。
【0026】
各電極300からの電気信号は信号増幅部301によって増幅され、ノイズ除去部302によりノイズが取り除かれる。信号処理部303は、例えば、脳波信号をデジタル信号に変換する等の処理を行い、脳波データを生成する。脳波データは、送信部304から受信部31に向けて送信される。
【0027】
受信部31は、ユーザコンピュータ20に接続されており、脳波センサ30から送信される脳波データを受信する。送信部304と受信部31とは、無線または有線で接続されている。無線接続の場合、例えば、赤外線や電波を用いて脳波データが送信される。
【0028】
受信部31は、例えば、ユーザコンピュータ20のUSB(Universal Serial Bus)ポートのようなインターフェース部に取り付けられる小型受信機として構成される。受信部31は、波形整形等を行うための信号処理部310を備えることもできる。脳波検知部22は、ディスプレイ装置21に表示される問題データを特定するための問題ID(識別情報)と、その問題データをユーザが解いたときの脳波データ等とを対応付けて、学習支援システム10に送信させる。
【0029】
図3は、ユーザの脳波データに基づいて出題方法を制御する様子を示す。図3の上側には、ユーザに最初に提示される1回目のウェブページ500(1)が示されている。最初の1回目のウェブページ500(1)には、例えば、問題表示欄501と、解答欄502とが含まれている。
【0030】
問題表示欄501には、例えば、算数、国語、理科、社会、生活、歴史、経済、地理、物理、生物、一般常識、漢字等の各種問題が表示される。それらの問題は学習支援システム10の出題部101から出題される。ユーザは、問題の答えを解答欄502に入力し、エンターキー等の入力確定ボタンを操作する。問題に解答する際のユーザの脳波は、脳波センサ30及び脳波検知部22により検知されて、学習支援システム10の解答受信部102に送られる。
【0031】
ユーザの解答が誤っている場合、学習支援システム10のヒント検出部103は、ユーザから受信した脳波データが、予め用意されている各脳波パターンのいずれに類似するかを判別する。その脳波パターンは、ユーザが問題を解けないと感じた場合に発生させる脳波パターンである。
【0032】
ヒント検出部103は、ユーザが問題を解けないと感じたときの脳波パターンに基づいてヒント検出用データベースT50を検索し、そのユーザに適したヒントデータのIDを取得する。ヒント検出部103は、ヒント検出用データベースT50から、そのユーザがその問題データを解くにあたって最も役立つと思われるヒントデータを少なくとも一つ選択する。つまり、後述のように、その問題データについて予め用意されている複数のヒントデータのうち、正答率が最も高いと予測されるヒントデータのIDを選択する。
【0033】
学習支援システム10の再出題部104は、ユーザの解けなかった問題データに、ヒント検出部103で検出される適切なヒントデータを対応付けて、ユーザコンピュータ20に送信させる。
【0034】
ユーザコンピュータ20のディスプレイ装置21には、2回目のウェブページ500(2)が表示される。そのウェブページ500(2)には、問題表示欄501及び解答欄502に加えて、ヒント表示欄503が含まれている。ヒント表示欄503には、ヒント検出部103により検出されるヒントIDで特定されるヒントデータが表示される。
【0035】
ユーザは、ヒントを参考にして問題に再挑戦し、解答する。その解答データ及び解答時の脳波データ等は、学習支援システム10に送られる。ヒントを付けてもなおユーザの解答が間違っている場合、ヒント検出部103により別のヒントデータが選択され、ユーザコンピュータ20に送信される。
【0036】
図4は、第1ログデータベースT10の構成例を示す。第1ログデータベースT10は、第2ログデータベースT20と共に、ヒント検出用データベースT50を作成するための資料となる。
【0037】
第1ログデータベースT10は、例えば、問題ID欄C10と、解答欄C11と、正誤欄C12と、脳波データ欄C13と、テストユーザID欄C14とを備える。問題ID欄C10には、各問題データを識別するためのIDが記憶される。解答欄C11には、問題に対するユーザからの解答が記憶される。正誤欄C12には、ユーザの解答の正しいのか否かが記憶される。脳波データ欄C13には、問題解答時に検知されるユーザの脳波データが記憶される。テストユーザID欄C14には、ヒント検出用データベースT50の作成用試験に参加する各ユーザを特定するためのIDが記憶される。
【0038】
なお、脳波データ(C13)や解答(C11)のデータ量が多い場合、脳波データや解答の記憶先アドレスを各欄C13,C11に記憶させる構成としてもよい。
【0039】
学習支援システム10は、第1ログデータベースT10から、ユーザの間違えた問題を抽出し、その抽出される各問題に、予め用意されている複数のヒントデータの中からランダムに選択されるヒントデータをそれぞれ対応付けて、1問ずつ再出題する。各テストユーザは、ヒントを参考にして再び問題を解く。脳波検知部22は、再出題された問題を解く際の脳波データと解答等とを対応付けて、学習支援システム10に送信する。
【0040】
図5に示すように、学習支援システム10は、ヒント付きの再出題に関するデータを第2ログデータベースT20に記憶させる。第2ログデータベースT20は、例えば、問題ID欄C20と、解答欄C21と、正誤欄C22と、脳波データ欄C23と、テストユーザ欄C24と、ヒントID欄C25とを対応付けて管理する。
【0041】
問題ID欄C20は、再出題された問題(つまり最初の出題時にユーザの間違えた問題)のIDを管理する。解答欄C21は、ヒントを付けて再出題された問題に対するユーザからの解答(つまり同一問題に対する2度目の解答)を管理する。正誤欄C22は、2度目の解答の正誤を管理する。脳波データ欄C23は、再出題された問題を解く際のユーザの脳波データを管理する。テストユーザ欄C24は、各ユーザのIDを管理する。ヒントID欄C25は、問題に付されたヒントデータのIDを管理する。
【0042】
学習支援システム10は、例えば、全ユーザが全問題を正解するまで、ヒントデータをランダムに選択しながら再出題を繰り返し、その結果を第2ログデータベースT20に記憶させる。この結果、ユーザが問題を解けないと感じたときに発生させる脳波を複数のパターンに類型化することができ、ヒントの有効性を知ることができる。ヒントの有効性は、そのヒントを付けた場合の正答率として求めることができる。
【0043】
図6は、問題を管理するための問題データベースT30を示す。問題データベースT30は、例えば、問題ID欄C30と、格納先アドレス欄C31と、正解欄C32と、ユーザID欄C33と、理解フラグC34とを対応付けている。
【0044】
問題ID欄C30には、各問題データのIDが記憶される。格納先アドレス欄C31には、各問題データの格納先アドレスが記憶される。正解欄C32には、各問題データの正解が記憶される。ユーザID欄C33には、各ユーザのIDが記憶される。ここでは、各問題データ毎に、各ユーザのIDがそれぞれ対応付けられている。
【0045】
理解フラグ欄C24には、ユーザが理解したか否かを示すフラグが記憶される。理解フラグに「1」が設定される場合、そのユーザは、その問題を理解していることを示す。理解フラグに「0」が設定される場合、そのユーザがその問題を理解しているか否か不明であることを示す。
【0046】
なお、各問題データの類似度を示す情報を、問題データベースT30で管理する構成としてもよい。例えば、各問題データの分野、対象ユーザの年齢や学年、難易度等の情報を、問題データ間の類似度を判別するための指標として、問題データベースT30に記憶させる構成としてもよい。
【0047】
図7は、ヒントを管理するためのヒントデータベースT40を示す。ヒントデータベースT40は、例えば、ヒントID欄C40と、内容欄C41と、その他の欄C42とを備える。
【0048】
ヒントID欄C40には、各ヒントデータを識別するためのIDが記憶される。内容欄C41には、各ヒントデータが記憶される。その他の欄C42には、例えば、「小学校低学年の国語用ヒント」や「社会人向け経済学用ヒント」等のようなヒントの種別等を記憶させることができる。なお、上述の各データベースT10〜T30及び後述のデータベースT50においても、その他の欄を設けることができる。また、本実施例では、問題データ及びヒントデータを文字データとして構成する場合を説明するが、文字データに限定されない。例えば、静止画像データ、動画像データ、音声データ、グラフィックスデータ等の種々の形式のデータをそのままで、または、組合せて、問題データまたはヒントデータとして使用することができる。
【0049】
図8は、ヒント検出用データベースT50を示す。ヒント検出用データベースT50は、例えば、問題ID欄C50と、脳波パターン欄C51と、ヒントID欄C52と、ヒント提示後の正答率の欄C53とを管理する。ここでは、各問題ID毎に各脳波パターンがそれぞれ対応付けられており、各脳波パターン毎に各ヒントデータのIDがそれぞれ対応付けられている。
【0050】
問題ID欄C50には、再出題された問題データのIDが記憶される。脳波パターン欄C51には、その問題データを解けなかった各ユーザの各脳波パターンが記憶される。つまり、脳波パターン欄C51には、最初の出題時に計測された脳波データのうち誤答時の脳波データ(第1ログデータベースT10中の脳波データC13)が記憶される。
【0051】
具体的には、学習支援システム10は、E(α)、E(β)、E(γ)、σ(α)、σ(β)、σ(γ)のようなデータを取得し、記憶する。ここで、E(α)はα波の強度の平均、E(β)はβ波の強度の平均、E(γ)はγ波の強度の平均、σ(α)はα波の強度の標準偏差、σ(β)はβ波の強度の標準偏差、σ(γ)はγ波の強度の標準偏差を、示す。学習支援システム10は、脳波データを、α波、β波、γ波の各強度の平均と分散とのベクトルで表現し、クラスタ分析等によって分類する。学習支援システム10は、その分類の結果を、脳波パターンとして用いる。
【0052】
ヒントID欄C52には、再出題時に添付されたヒントデータのIDが記憶される。ヒント提示後の正答率の欄C53には、ヒント付き再出題に対するユーザからの解答の正答率が記憶される。
【0053】
ある問題が解けない場合、解けない理由は各ユーザ毎にそれぞれ相違し、理由に応じて各ユーザから発生する脳波のパターンも異なる。例えば、公式等を思い出せない場合、問題文の意味をつかめない場合等のように、解けない原因に応じて脳波のパターンはそれぞれ相違する。そして、解けない原因毎に、適切なヒントも異なるはずである。例えば、問題文の意味が理解できない場合には、例えば、「問題文をよく読もう。」、「問題を素直に考えよう。」のようなヒントが有効に作用するであろう。しかし、それらのヒントは、公式等を思い出せない場合には有効ではないであろう。
【0054】
再出題時に添付されたヒントデータがユーザに役立った場合、再出題に対するユーザの解答は正解となる。従って、ヒント提示後の正答率の値が増加する。逆に、ヒントデータがユーザの役に立たなかった場合、ユーザの解答は誤答となり、正答率は低下する。正答率の高いヒントデータは、特定の脳波パターンが観測される場合に有効に働くヒントであることを意味する。
【0055】
図9は、ヒント検出用データベースT50を作成するための処理を示す。学習支援システム10のヒント兼用データベース生成部(以下、データベース生成部)100は、データベース作成用の問題データを、テストに参加している各ユーザのユーザコンピュータ20に送信する(S10)。問題データを特定するための問題IDも、問題データと一緒にユーザコンピュータ20に送られる。
【0056】
ユーザコンピュータ20は、受信した問題データをディスプレイ装置21に表示させる(S11)。ユーザは、問題データを含むウェブページ500を閲覧し、ウェブページ500の解答欄502に解答を入力する。解答時のユーザの脳波データは、脳波センサ30及び脳波検知部22により検出される(S12)。脳波検知部22は、例えば、問題データのIDと、ユーザの解答したデータ(解答データ)と、脳波データとを対応付けて、学習支援システム10に送信する(S13)。
【0057】
データベース生成部100は、ユーザコンピュータ20から受信したデータを第1ログデータベースT10に記憶させる(S14)。データベース生成部100は、予め用意されている全ての問題データを出題したか否かを判定する(S15)。全ての問題データを出題するまで、S10〜S14の各ステップが繰り返し実行される。
【0058】
データベース生成部100は、テストに参加している全てのテストユーザについて、最初のテストが完了したか否かを確認する(S16)。全ユーザについて最初のテスト(つまり、第1ログデータベースT10の生成に必要なデータを収集するためのテスト)が完了した場合(S16:YES)、第1段階が完了し、第2段階に移る。
【0059】
第2段階では、最初の出題でユーザが間違えた問題にヒントを付けて再出題し、そのヒントが役に立ったか否かを計測する。まず最初に、データベース生成部100は、各ユーザ毎に、最初のテストでユーザが間違えた問題を抽出する(S17)。
【0060】
データベース生成部100は、予め用意されている各ヒントデータの中から、少なくとも一つのヒントデータをランダムに選択し(S18)、ユーザの間違えた問題データに対応付けてユーザコンピュータ20に送信する(S19)。ユーザコンピュータ20には、ヒントデータを識別するヒントIDも送信される。
【0061】
ユーザコンピュータ20は、問題データ及びヒントデータをディスプレイ装置21に表示させる(S20)。ユーザは、ヒントを利用して問題に解答する。再出題に対する解答時の脳波データは、脳波センサ30等により計測される(S21)。ユーザコンピュータ20は、問題IDと、解答データと、脳波データと、ヒントIDとを対応付けて学習支援システム10に送信する(S22)。
【0062】
データベース生成部100は、ユーザコンピュータ20から受信したデータを第2ログデータベースT20に記憶させる(S23)。データベース生成部100は、再出題された問題に対するユーザの解答が正解であるか否かを判定する(S24)。
【0063】
ユーザの解答が正解では無い場合(S24:NO)、再びランダムにヒントデータが選択されて、S18〜S23の各ステップが繰り返される。ユーザが正解すると(S24:YES)、次の問題に移る。データベース生成部100は、最初のテストでユーザが間違えた全ての問題について再出題が完了するまで(S25)、S18〜S24の各ステップを繰り返し実行させる。
【0064】
第2ログデータベースT20が完成すると(S25:YES)、データベース生成部100は、ヒント検出用データベースT50を作成する(S26)。即ち、データベース生成部100は、第1ログデータベースT10と第2ログデータベースT20との内容を読み出して統計処理し、問題データと、解答時の脳波データと、ヒントデータと、ヒントデータ送信後における正答率との関係を対応付けて、ヒント検出用データベースT50を作成する(S26)。
【0065】
図10は、学習支援方法を示すフローチャートである。学習支援システム10は、ユーザコンピュータ20に問題データを送信する(S30)。ユーザコンピュータ20は、問題データをディスプレイ装置21に表示させる(S31)。ユーザは、表示された問題の解答を解答欄502に入力する。解答時のユーザの脳波は、脳波センサ30等により検出される(S32)。ユーザコンピュータ20は、問題IDと、解答データと、脳波データとを対応付けて学習支援システム10に送信する(S33)。
【0066】
学習支援システム10は、問題データベースT30を参照し、ユーザの解答が正解であるか否かを判定する(S34)。ユーザの解答が正解の場合(S34:YES)、正解時の処理が実行される(S35)。正解時には、後述のように、例えば、類似する問題を出題してユーザの理解度を確認する等の処理が実施される。
【0067】
ユーザの解答が誤っている場合(S34:NO)、学習支援システム10は、ユーザの脳波データが、ヒント検出用データベースT50に登録されている各脳波パターンのうちいずれに類似するかを判別する(S36)。そして、学習支援システム10は、判別された脳波パターン及び問題IDに基づいてヒント検出用データベースT50を検索し(S37)、正答率(C53)の最も高いヒントデータのIDを選択する(S38)。
【0068】
なお、ユーザの脳波データがいずれの脳波パターンに類似するかを判別する方法を説明する。例えば、ユーザの脳波データと予め登録されている各脳波パターン(C51)とのベクトルの内積を計算し、内積値が最も大きい脳波パターンを求める。ユーザの脳波データは、内積値の最も大きい脳波パターンに類似すると判定される。
【0069】
学習支援システム10は、正答率の最も高いヒントデータをヒントデータベースT40から取得し、ユーザの間違えた問題データに対応付けて、ユーザコンピュータ20に送信する(S39)。
【0070】
ユーザコンピュータ20は、再出題された問題データ及びヒントデータをディスプレイ装置21に表示させる(S40)。ユーザは、ヒントデータを参考にして解答する。解答時の脳波データは、脳波センサ30等により測定される(S41)。ユーザコンピュータ20は、問題IDと、解答データと、脳波データ及びヒントIDを対応付けて、学習支援システム10に送信する(S42)。
【0071】
学習支援システム10は、ユーザコンピュータ20から受信した解答データが正解であるか否かを判定する(S43)。ユーザの解答が間違っている場合(S43:NO)、学習支援システム10は、次に正答率の高い別のヒントデータを選択し(S44)、問題データに対応付けて再出題する(S39)。
【0072】
ユーザが正解した場合には(S43:YES)、所定の処理が実行される(S45)。図11は、ヒント提示後の正解時の処理を示すフローチャートである。ユーザの解答が正解の場合、学習支援システム10は、ヒント検出用データベースT50の正答率C53を更新させる(S50)。
【0073】
続いて、ユーザの理解度を確認するために、学習支援システム10は、ユーザの正解した問題(ヒント付きで再出題された問題)と類似する問題データを、問題データベースT30から検索する(S51)。
【0074】
学習支援システム10は、類似する問題データをユーザコンピュータ20に送信し(S52)、ユーザコンピュータ20から解答データ等を受領する(S53)。ユーザの解答が正解の場合(S54:YES)、学習支援システム10は、問題データベースT30内の理解フラグ(C34)に「1」を設定する(S55)。
【0075】
類似問題の解答が間違っている場合(S54:NO)、学習支援システム10は、問題ID及び脳波データを検索キーとしてヒント検出用データベースT50を検索し、正答率の高いヒントデータをヒントデータベースT40から取得する(S56)。学習支援システム10は、類似問題のデータとヒントデータとを対応付けて再出題する(S57)。学習支援システム10は、S53〜S57を繰り返し実行する。
【0076】
なお、ヒント提示前の正解時処理(S35)では、図11に示す各ステップのうち、S50を除くS51〜S57を実行させることができる。
【0077】
このように構成される本実施例によれば、ユーザの脳波データに基づいて、その問題についてのユーザの状況に応じた適切なヒントデータを選択し、ユーザに提供できる。従って、ユーザの状況に応じて効率よく学習を支援することができ、ユーザの使い勝手も向上する。即ち、本実施例では、問題を解けないときのユーザの脳波に基づいて、ユーザの置かれている状況(解けない状況)を推定し、ユーザの状況及び問題に応じた適切なヒントを提示することができる。
【0078】
また、本実施例では、ユーザが正解するまで、正答率の高い順番で、繰り返しヒントを提供する。これにより、ユーザは、種々の視点から問題を検討して解答することができ、学習効果が高まる。
【0079】
さらに、本実施例では、ユーザが正解した場合に類似問題を出題して、ユーザが本当に理解しているか否かを確認する。従って、学習効果を高めることができる。
【実施例2】
【0080】
図12に基づいて第2実施例を説明する。本実施例では、第1実施例との相違を中心に説明する。本実施例では、いわゆる紛れ当たりを検出して、紛れ当たりの場合にはヒント付きの問題を再出題する。
【0081】
図12は、本実施例による学習支援方法を示すフローチャートである。学習支援システム10は、ユーザコンピュータ20から脳波データ等を受信すると、脳波データに類似する脳波パターンを判別する(S60)。
【0082】
学習支援システム10は、判別された脳波データに基づいて、ユーザが正解に至ったか否かを判定する(S61)。ユーザの脳波データがヒント検出用データベースT50に登録されている各脳波パターンのいずれかに該当する場合、ユーザは、本当に理解して正解に至ったわけではなく、確率的に正解に至ったと推測することができる。いわゆる紛れ当たりである。
【0083】
従って、ユーザの解答データが正解であっても、ユーザの脳波データが誤答時に見られる脳波パターンに類似する場合は(S61:NO)、適切なヒントデータを付けて再出題し、ユーザの理解を促す(S37〜S45)。
【0084】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の効果を奏する。さらに、本実施例では、脳波データに基づいて紛れ当たりを判別し、紛れ当たりであると推測される場合には、ヒントを付けて問題を再出題する。従って、ユーザの理解を深めることができ、学習効果を高めることができる。
【0085】
なお、本発明は、上述した各実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。いわゆる当業者であれば、図示されたステップの順番を変更したり、新たなステップを追加等することができる。さらに、脳波だけでなく、例えば、脈拍、血圧、瞳の大きさ、体温等の他の生体情報を利用する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10:学習支援システム、20:ユーザコンピュータ、22:脳波検知部、30:脳波センサ、100:ヒント検出用データベース生成部、101:出題部、102:解答受信部、103:ヒント検出部、104:再出題部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの使用するユーザコンピュータに問題データを送信する学習支援システムであって、
前記ユーザコンピュータに接続され、ユーザの脳波を測定して脳波データを送信する脳波測定部と、
複数の問題データを管理するための問題管理部と、
前記問題管理部により管理されている前記各問題データに関する複数のヒントデータを管理するためのヒント管理部と、
前記各問題データの中から問題データを選択して前記ユーザコンピュータに送信させる出題部と、
前記ユーザコンピュータに送信された前記問題データについての解答データと、ユーザが前記問題データを解答する場合の脳波データとを受信する解答受信部と、
前記解答受信部により受信される前記脳波データに基づいて、前記ヒント管理部により管理されている前記各ヒントデータの中から所定のヒントデータを検出するヒント検出部と、
前記ヒント検出部により検出される前記所定のヒントデータと前記問題データとを対応付けて前記ユーザコンピュータに送信させる再出題部と、
を備える、学習支援システム。
【請求項2】
前記各問題データ毎に、誤答した場合における複数の脳波パターンと、前記各脳波パターンに対する前記各ヒントデータの有効性とを予め対応付けて管理するためのヒント検出用データベースを備えており、
前記ヒント検出部は、前記解答受信部により受信される前記脳波データが前記各脳波パターンのうちのいずれの脳波パターンに類似するかを判定し、類似すると判定された脳波パターンに対応付けられている前記各ヒントデータのうち前記有効性が最も高いヒントデータを前記所定のヒントデータとして検出する、
請求項1に記載の学習支援システム。
【請求項3】
前記解答受信部は、前記再出題部により送信される前記所定のヒントデータ及び前記問題データに対応する新たな解答データ及び新たな脳波データを前記ユーザコンピュータから受信し、
前記ヒント検出部は、前記新たな解答データが誤っている場合、前記各ヒントデータのうち前記所定のヒントデータの次に前記有効性の高い別のヒントデータを、新たな所定のヒントデータとして検出し、
前記再出題部は、前記新たなヒントデータと前記問題データとを対応付けて前記ユーザコンピュータに送信させる、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の学習支援システム。
【請求項4】
前記出題部は、前記ユーザコンピュータから入力される前記解答データが正しい場合、前記問題データに類似する別の問題データを前記各問題データの中から選択して、前記ユーザコンピュータに送信させる、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の学習支援システム。
【請求項5】
前記有効性とは、前記所定のヒントデータを前記ユーザに提示した場合における正答率を示す、請求項2に記載の学習支援システム。
【請求項6】
ユーザの使用するユーザコンピュータに問題データを送信してユーザの学習を支援する方法であって、
問題管理部により管理されている複数の問題データの中から問題データを選択して、前記ユーザコンピュータに送信し、
前記問題データをユーザが解答する際の脳波データを測定し、
前記問題データについての解答データと前記測定される脳波データとを前記ユーザコンピュータから受信し、
受信される前記解答データが間違っている場合、誤答した場合における複数の脳波パターンと前記各脳波パターンに対する前記各ヒントデータの有効性とを前記各問題データ毎に予め対応付けて管理するヒント検出用データベースを参照して、ヒント管理部により管理されている複数のヒントデータの中から前記有効性の最も高い所定のヒントデータを検出し、
検出された前記所定のヒントデータと前記問題データとを対応付けて前記ユーザコンピュータに送信させる、
学習支援方法。
【請求項7】
さらに、前記ユーザコンピュータから前記問題データについての新たな解答データ及び新たな脳波データを受信し、
前記新たな解答データが誤っている場合、前記各ヒントデータのうち前記有効性が次に高いヒントデータを新たな所定のヒントデータとして検出し、
前記新たな所定のヒントデータと前記問題データとを前記ユーザコンピュータに送信させる、
請求項6に記載の学習支援方法。
【請求項8】
ユーザの使用するユーザコンピュータと通信ネットワークを介して接続されるコンピュータを、前記ユーザコンピュータに問題データを送信させるための学習支援用コンピュータとして機能させるためのコンピュータプログラムであって、
複数の問題データを管理するための問題管理機能と、
前記問題管理機能により管理されている前記各問題データに関する複数のヒントデータを管理するためのヒント管理機能と、
前記各問題データの中から問題データを選択して前記ユーザコンピュータに送信させる出題機能と、
前記ユーザコンピュータに送信された前記問題データについての解答データと、ユーザの脳波を測定するための脳波測定部により測定される、ユーザが前記問題データを解答する場合の脳波データとを受信する解答受信機能と、
前記解答受信機能により受信される前記脳波データに基づいて、前記ヒント管理機能により管理されている前記各ヒントデータの中から所定のヒントデータを検出するヒント検出機能と、
前記ヒント検出機能により検出される前記所定のヒントデータと前記問題データとを対応付けて前記ユーザコンピュータに送信させる再出題機能と、
を実現させるためのコンピュータプログラム。
【請求項1】
ユーザの使用するユーザコンピュータに問題データを送信する学習支援システムであって、
前記ユーザコンピュータに接続され、ユーザの脳波を測定して脳波データを送信する脳波測定部と、
複数の問題データを管理するための問題管理部と、
前記問題管理部により管理されている前記各問題データに関する複数のヒントデータを管理するためのヒント管理部と、
前記各問題データの中から問題データを選択して前記ユーザコンピュータに送信させる出題部と、
前記ユーザコンピュータに送信された前記問題データについての解答データと、ユーザが前記問題データを解答する場合の脳波データとを受信する解答受信部と、
前記解答受信部により受信される前記脳波データに基づいて、前記ヒント管理部により管理されている前記各ヒントデータの中から所定のヒントデータを検出するヒント検出部と、
前記ヒント検出部により検出される前記所定のヒントデータと前記問題データとを対応付けて前記ユーザコンピュータに送信させる再出題部と、
を備える、学習支援システム。
【請求項2】
前記各問題データ毎に、誤答した場合における複数の脳波パターンと、前記各脳波パターンに対する前記各ヒントデータの有効性とを予め対応付けて管理するためのヒント検出用データベースを備えており、
前記ヒント検出部は、前記解答受信部により受信される前記脳波データが前記各脳波パターンのうちのいずれの脳波パターンに類似するかを判定し、類似すると判定された脳波パターンに対応付けられている前記各ヒントデータのうち前記有効性が最も高いヒントデータを前記所定のヒントデータとして検出する、
請求項1に記載の学習支援システム。
【請求項3】
前記解答受信部は、前記再出題部により送信される前記所定のヒントデータ及び前記問題データに対応する新たな解答データ及び新たな脳波データを前記ユーザコンピュータから受信し、
前記ヒント検出部は、前記新たな解答データが誤っている場合、前記各ヒントデータのうち前記所定のヒントデータの次に前記有効性の高い別のヒントデータを、新たな所定のヒントデータとして検出し、
前記再出題部は、前記新たなヒントデータと前記問題データとを対応付けて前記ユーザコンピュータに送信させる、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の学習支援システム。
【請求項4】
前記出題部は、前記ユーザコンピュータから入力される前記解答データが正しい場合、前記問題データに類似する別の問題データを前記各問題データの中から選択して、前記ユーザコンピュータに送信させる、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の学習支援システム。
【請求項5】
前記有効性とは、前記所定のヒントデータを前記ユーザに提示した場合における正答率を示す、請求項2に記載の学習支援システム。
【請求項6】
ユーザの使用するユーザコンピュータに問題データを送信してユーザの学習を支援する方法であって、
問題管理部により管理されている複数の問題データの中から問題データを選択して、前記ユーザコンピュータに送信し、
前記問題データをユーザが解答する際の脳波データを測定し、
前記問題データについての解答データと前記測定される脳波データとを前記ユーザコンピュータから受信し、
受信される前記解答データが間違っている場合、誤答した場合における複数の脳波パターンと前記各脳波パターンに対する前記各ヒントデータの有効性とを前記各問題データ毎に予め対応付けて管理するヒント検出用データベースを参照して、ヒント管理部により管理されている複数のヒントデータの中から前記有効性の最も高い所定のヒントデータを検出し、
検出された前記所定のヒントデータと前記問題データとを対応付けて前記ユーザコンピュータに送信させる、
学習支援方法。
【請求項7】
さらに、前記ユーザコンピュータから前記問題データについての新たな解答データ及び新たな脳波データを受信し、
前記新たな解答データが誤っている場合、前記各ヒントデータのうち前記有効性が次に高いヒントデータを新たな所定のヒントデータとして検出し、
前記新たな所定のヒントデータと前記問題データとを前記ユーザコンピュータに送信させる、
請求項6に記載の学習支援方法。
【請求項8】
ユーザの使用するユーザコンピュータと通信ネットワークを介して接続されるコンピュータを、前記ユーザコンピュータに問題データを送信させるための学習支援用コンピュータとして機能させるためのコンピュータプログラムであって、
複数の問題データを管理するための問題管理機能と、
前記問題管理機能により管理されている前記各問題データに関する複数のヒントデータを管理するためのヒント管理機能と、
前記各問題データの中から問題データを選択して前記ユーザコンピュータに送信させる出題機能と、
前記ユーザコンピュータに送信された前記問題データについての解答データと、ユーザの脳波を測定するための脳波測定部により測定される、ユーザが前記問題データを解答する場合の脳波データとを受信する解答受信機能と、
前記解答受信機能により受信される前記脳波データに基づいて、前記ヒント管理機能により管理されている前記各ヒントデータの中から所定のヒントデータを検出するヒント検出機能と、
前記ヒント検出機能により検出される前記所定のヒントデータと前記問題データとを対応付けて前記ユーザコンピュータに送信させる再出題機能と、
を実現させるためのコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−231084(P2010−231084A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80136(P2009−80136)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】
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