宅地桝及び宅地配管システム
【課題】ケーブル4の通線作業、余長処理、排水処理、配線管62の深さの変更、などを低コストで行う。
【解決手段】筒状の周縁部52と、周縁部の底を閉じる底面部54と、周縁部の上側を閉じる蓋部55と、上記周縁部内にケーブル4を収容する収容部59と、を具備し、底面部54は、ケーブル4を導く配線管62を引き込むための引き込み開口部56を有し、周縁部52は、引き込まれた収容ケーブルを引き出すための引き出し開口部56を有し、引き込み開口部56の直径は配線管62の外径より大きく、引き込み開口部58と配線管62とが固定されていない宅地桝50と、配線管62と、敷モルタルと基礎砕石による配水層60と、配線管62の宅地桝50内にある端部に防水栓16を取り付け、配線管62は、直管部626と曲管部622と水平管部624とで構成されている宅地配管システム。
【解決手段】筒状の周縁部52と、周縁部の底を閉じる底面部54と、周縁部の上側を閉じる蓋部55と、上記周縁部内にケーブル4を収容する収容部59と、を具備し、底面部54は、ケーブル4を導く配線管62を引き込むための引き込み開口部56を有し、周縁部52は、引き込まれた収容ケーブルを引き出すための引き出し開口部56を有し、引き込み開口部56の直径は配線管62の外径より大きく、引き込み開口部58と配線管62とが固定されていない宅地桝50と、配線管62と、敷モルタルと基礎砕石による配水層60と、配線管62の宅地桝50内にある端部に防水栓16を取り付け、配線管62は、直管部626と曲管部622と水平管部624とで構成されている宅地配管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中化設備から地下配線ケーブル等を家屋等の宅地へ引き込むための宅地桝及びこの宅地桝を使用した宅地配管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の景観や防災面等を考慮して、電柱をなくした街づくりが進められている。電柱をなくす手法として、通信、電力ケーブル等を地下から、家屋や会社などの宅地に引き込む方法がある。この場合、公道などに通信、電力などの幹線ケーブルを収容する管路・接続ボックスなどを設置し、共用FA方式を採用した共用引き込み管または、単独引き込み管により、各宅地に配管されているのが現状である。共用FA方式については、特許文献1などに詳細が記されている。
【0003】
図1は建物が未建設の場合の配線管6を先行管として、地中に埋めておくことを示す断面図である。
共用FA方式では、複数の事業会社のケーブル4が共用FA管2内に収容されている。各宅地が造成途中もしくは、造成予定の場合には、共用FA管2を通る各建物にケーブルを引き込む引き込み口が確定しておらず工事を進めることが出来ない。よって、ケーブル4を宅地まで案内する配線管6を先行管として、地中に留め、防水のために止水栓8を装着しておく。宅地が造成されると、配線管6付近を掘り起こし、建設された宅地まで、配線管6を延長して、ケーブル4を宅地まで案内して建物の引き込み口(図示していない)まで引き込む。
【0004】
図2は、建物が建設された場合の、通線具20を使用して、共用FA管2からケーブル4を通線させることを示す断面図である。また、図3は、建設された建物の引き込み口12に共用FA管2からのケーブル4を引き込むことを示す断面図である。図2に示すように、既に建物が完成している場合は、建物壁面10に引き込み口12が設けられている。また、ケーブル4を案内する配線管6が、共用FA管2に取り付けられ、配線管6の端部15が、引き込み口12付近まで出される。また、雨水などが配線管6内に入り込まないように、端部15には特許文献2に記される防水栓16が装着される。
通線作業の際には、例えば、防水栓16に備えられている複数の防水キャップ(16a、16b、・・・、)のうちの1つである16aを切り取って、通線開口部17が設けられる(図3参照)。そして、特許文献3に示す通線具20が、通線開口部17から挿入される。共用FA管2の長手方向の両端に設置された図示しないどちらか一方の接続ボックス等まで、通線具20は押し進められる。この接続ボックスで、ケーブル4が通線具20の先端に取り付けられ、通線具20は引っ張られる。
【0005】
このようにして、図3に示すように、ケーブル4が通線され、引き込み口12にケーブル4が引き込まれる。なお、通線具20による通線作業の詳細は特許文献3に記載されている。
次に、地中に埋没している専用管の中を単独の事業会社のケーブル(以下、専用ケーブルという)が通っており、建物が未完成の場合に、よく利用される通線処理を説明する。通常、専用ケーブルの通線作業を事業会社側と宅地側とに分離するために、宅地桝が使用される。宅地桝とは、通線作業等を行いやすくする小さな室である。
【0006】
図4に、宅地桝26を使用して、専用ケーブル22の余長処理を行っている断面図を示す。図4に示すように、宅地桝26が宅地の敷地内の地中に埋設され、宅地桝26は周縁部23を有している。宅地桝26の上面25が蓋部28により閉じられ、底部29により宅地桝26の底面が閉じられる。専用ケーブル22は、宅地桝26内で、巻かれ、余長処理が行われている。また、雨水等が配線管24に入水することを防ぐため、止水栓30により引き込み開口部27が塞がれている。事業会社があらかじめ、ここまでの作業を行っておく。ここまでの作業は単独の事業会社の設備での工事であるから、特許文献3に示した通線具を使用する必要はなく、各事業会社独自の方法で行えばよい。
【0007】
次に、図5に示すように、建物が完成すると、周縁部23に、専用ケーブル22を引き出すための引き出し開口部34が形成される。また、引き出し開口部34から宅地の引き込み口12まで、専用ケーブル22を案内する引き込み管36が形成される。引き込み管36により、専用ケーブル22は引き込み口12に引き込まれる。このようにして、宅地桝を設けることで、事業会社側の工事のタイミングと宅地側の工事のタイミングとを分離できるので、工事の自由度が高くなる。
【特許文献1】特開2005−261079号公報
【特許文献2】特開2006−34074号公報
【特許文献3】特開2005−223972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
共用FA方式の場合にも、宅地桝を利用したいという要望があるが、以下のような課題がある。(1)特許文献3に示した通線具による通線作業の簡易さが必要である。(2)地震などの外部からの大きな力に対して、安いコストで、耐震構造を備えていることが必要である。(3)周辺設備の都合などから、配線管(共用FA管から宅地桝まで)の深さ(位置)は、場所ごとに異なるが、どのような深さでも、安いコストで対応できることが必要である。(4)図4に示すように、宅地桝内で、ケーブルを巻いて、収容する際にケーブルにより形成される円38の半径(以下、許容曲率半径という)を確保でき、余長処理を行いやすくすることが必要である。(5)宅地桝内に溜まった雨水などを安いコストで排水することが必要である。(6)特許文献2に示した防水栓16が利用できることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によれば、筒状の周縁部と、周縁部の底を閉じる底面部と、周縁部の上記底と反対側の面を閉じる蓋部と、上記周縁部内にケーブルを収容する収容部と、を具備し、上記底面部は、上記ケーブルを導く配線管を引き込むための引き込み開口部を有し、上記周縁部は、上記引き込まれた収容ケーブルを引き出すための引き出し開口部を有することを特徴とする宅地桝を提供する。
更に、上記引き込み開口部の直径が、上記配線管の外径より大きい宅地桝を提供する。
更に、上記配線管と、上記引き込み開口部とを、固定させない宅地桝を提供する。
【0010】
また、上記の宅地桝と、ケーブルを上記宅地桝に導く配線管と、宅地桝の下に形成された配水層と、上記配線管の上記宅地桝の端に取り付けられた防水栓と、を備え、上記配線管は、少なくとも、配線管の長手方向を、ケーブルが収容される管の方向に向けるための曲管部と、上記ケーブルが収容される管と上記曲管とをつなぐ水平管部と、を有することを特徴とする宅地配管システムを提供する。
【0011】
更に、上記配線管は、上記宅地桝と上記曲管部とをつなぐ直管部も有し、上記直管部の一端が上記宅地桝に引き込まれていることを特徴とする宅地配管システムを提供する。
更に、上記曲管部は上記配線管の長手方向を60度から70度変えることを特徴とする宅地配管システムを提供する。
更に、上記配水層は、敷モルタルと基礎砕石とを有することを特徴とする宅地配管システムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
上記の構成により、通線具を宅地桝内に挿入させる方向と、通線具を配線管に挿入する方向とがほぼ一直線上にあるので、通線作業が非常に簡易になり、(1)の課題を解決できる。また、引き込み開口部の直径が、配線管の外径より大きく、配線管と、引き込み開口部とを、固定させない場合は、配線管がある程度、自由に動くことが出来るので、耐震構造に優れており、(2)の課題を解決できる。配線管に直管部を有している場合、直管部の長さのみを変更すれば配線管の深さを変更できるので、安いコストで、配線管の深さを変更することが出来、(3)の課題を解決できる。また、ケーブル引き込み開口部が底面部にあるので、許容曲率半径を確保することが出来、(4)の課題を解決できる。引き込み開口部の直径が、配線管の外径より大きい場合は、安いコストで、引き込み開口部より宅地桝内に溜まった雨水などを排水することが出来るので、(5)の課題を解決できる。配線管が宅地桝内に、引き込まれるので、(6)の課題を解決できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず、従来の宅地桝を共用FA方式に流用したのでは、課題が解決できないことを示す。従来の宅地桝を共用FA方式にも用いた例を図6に示す。宅地桝40では、周縁部42にケーブルを引き込むための引き込み開口部41が設けられている。また引き込み開口部41には防水栓16が取り付けられている。ケーブル4は防水栓16を介して、引き込み開口部41から宅地桝40内に引き込まれる。
【0014】
図示しない通線具による通線作業の際、蓋部44を取り、宅地桝の上面46から通線具を挿入して、宅地桝40内に入った通線具を、引き込み開口部41から配線管48に挿入する。しかし、通線具を宅地桝40内に挿入させる方向と、通線具を配線管48に挿入する方向とが、ほぼ垂直になるので、通線作業が非常に困難である。引き込み開口部41に防水栓16を取り付けると、更に作業が困難になる。また、耐震構造のために、ダクトスリーブ49を装着することも可能であるが、ダクトスリーブ49の装着コストが必要となる。
【0015】
図7Aは配線管48が地表面からa1の位置(深さ)にあり、宅地桝40の高さをh1であることを示す断面図であり、図7Bは配線管48が地表面からa2の位置(深さ)にあり、宅地桝の高さをh2であることを示す断面図である。図7Aに示すように配線管48が地表面からa1の位置にあれば、高さがh1である宅地桝40が必要である。しかし、配線管48の深さは埋設する場所ごとに異なり、配線管48が地表面からa2の位置にあれば、高さがh2である宅地桝40’が必要となる。よって、配線管48の深さごとに何種類もの宅地桝を用意しておかなければならないので、量産効果を得にくく、コストがかかってしまう。
【0016】
また、宅地桝40内にケーブルを巻いて収容する際にも、引き込み開口部41に防水栓16が取り付けられると、ケーブルの許容曲率半径を確保し難くなる。また、宅地桝40内に溜まった雨水などを排水するために、底面部45に改めて、排水口を設けなければならず、コストがかかってしまう。このように、従来の宅地桝では、共用FA方式には使用できない。
【実施例1】
【0017】
この発明の実施例1の宅地桝50の斜視図を図8に示す。上述した図面と同一の部分については、同一参照番号をつけ、重複説明を省略し、以下も同様とする。宅地桝50は、筒状の周縁部52と、周縁部の底を閉じる底面部54と、周縁部52の底と反対側の面を閉じる蓋部55と、周縁部52内にケーブル4を収容する収容部59と、を具備し、底面部54は、ケーブル4を導く配線管を引き込むための引き込み開口部56を有し、周縁部52は、引き込まれた収容ケーブルを引き出すための引き出し開口部58を有することを特徴としている。また、周縁部52と底面部54とは接合されている。
【0018】
図8の宅地桝50の形状は、底面部54から蓋部55に向かって、径が広がっている形状であるが、円柱状、三角柱状、直方体状、または、底面部54から蓋部55に向かって、径が狭くなる形状、などでもよい。
【0019】
宅地桝50を使用した宅地配管システムを図9に示す。共用FA管内を通るケーブル4を宅地桝50に導く配線管62と、宅地桝50の下に形成された配水層60と、配線管62の端部62aに取り付けられた防水栓16とを備え、配線管62は、少なくとも、配線管62の長手方向を、ケーブル4が収容される管の方向に向けるための曲管部622と、ケーブル4が収容される管と曲管部622とをつなぐ水平管部624とを有する。このように、配線管62が宅地桝50に引き込まれているので、防水栓16を取り付けることができ、上記の課題(6)を解決できる。
また、配線管62は、宅地桝50と曲管部622とをつなぐ直管部626も有し、直管部626の一端が宅地桝50に引き込まれている構成にしてもよい。以下に直管部626を設けるメリットを説明する。
【0020】
図10Aは配線管62が地表面からa3の位置(深さ)にあり、宅地桝50の高さがh3であることを示す断面図であり、図10Bは配線管62が地表面からa4の位置(深さ)にあり、宅地桝50の高さがh3であることを示す断面図である。
図10Aに示すように、配線管62が地表面からa3の位置にあれば、高さがh3である宅地桝50が必要である。また、配線管62が地表面からa4の位置にある場合でも、宅地桝50を変更することなく、直管部626より長い直管部626’を用いるだけでよい。よって、配線管48が位置する深さが変わっても、単一の宅地桝50を使用することができる。つまり、量産効果により、コストを抑えることができ、上記の課題(3)を解決できる。なお、図10Aには短い直管部626が示されているが、直管部626を備えないで、曲管部622を宅地桝50に引き込んでも良い。
【0021】
次に、通線具20による通線作業を図11を用いて、説明する。まず、図9に示す蓋部55を開口後、その開口61から、通線具20を宅地桝50内に挿入する。共用FA管2からの通線させたいケーブル4に対応する防水栓16の防水キャップを取り、通線開口部17を設ける。通線開口部17から、通線具20を挿入して、図示しない接続ボックスまで、押し進められる。接続ボックス内で、ケーブル4が通線具20の先端に取り付けられ、通線具は引き戻される。このようにして、共用FA管2から宅地桝50までのケーブルの通線は完了する。
ここで、通線具20を開口61から宅地桝50内に挿入する方向と、通線開口部17(配線管62)に挿入する方向とが、ほぼ一直線上にある。従って、防水栓16がある状態でも、通線具20による通線作業が非常に行いやすくなる。よって上記の課題(1)が解決される。
【0022】
図12に示すように、ケーブル4が通線具20により通線され、配線管62内を通り、収容部59内に収容される。ケーブル4が収容される際に、通常は、ケーブル4を巻くことで、円70が作られる。ここで、ケーブル4が、宅地桝50の底面から宅地桝50内に導かれるので、防水栓16があっても、円70を作りやすくし、許容曲率半径を確保できて、余長処理を行いやすくし、上記課題(4)を解決出来る。このように、この実施例1の宅地桝50を使用することで、容易に余長処理を行うことができる。
【0023】
また、図12において、曲管部622もしくは直管部626と(図12では直管部626)、底面部54とのなす角度をθとする。θの値は、60度から70度の間であると、許容曲率半径を更に確保しやすい。また、図13に示すように水平管部624が、傾いた場合でも、θが90度以上になることを防げる。従って、曲管部622の角度を60度から70度にすればよい。
建物が建設されると、図14に示すように、引き出し開口部58と、引き出し配線管72とを接合し、引き出し配線管72から建物に向けて、ケーブル4を引き出す。そして、図示しない宅地引き込み口等からケーブル4を建物内に導く。
【0024】
図15に、引き込み開口部56の直径が配線管62の外径より大きい場合、底面部54と平行に切った宅地桝50の断面図を示す。この場合、図15に示す配線管自由領域Sが形成される。
配線管62と引き込み開口部56とを固定させない場合、この配線管自由領域S内であれば、配線管62は自由に移動できる。よって、地震などの大きな外力が加わっても、配線管自由領域Sにより、外力が緩和され、配線管62などは破損の恐れがなく、耐震構造に優れた構成になる。
【0025】
また、配線管62と引き込み開口部56とを固定させないので、コストを抑えながらも、耐震構造に優れた効果を得ることが出来て、上記の課題(2)を解決できる。配線管62の外径に応じて、配線管62の外径より大きくなるように、引き込み開口部56の直径を決める必要がある。
【0026】
また、配線管自由領域Sは、宅地桝50内に溜まった雨水などを排水させる排水部76としても機能する。配線管62と引き込み開口部56とを固定させるか否かに関わらず、排水部76により、宅地桝50内に溜まった雨水などを排水させることができる。この構成により、上記の課題(5)を解決できる。
また、図9記載の配水層60において、第1配水層602が敷モルタル、第2配水層604が基礎砕石であれば、宅地桝50から排水された雨水等を効率よく、配水させることができる。
また、この実施例の変形例として、図16に示すように、底面部54の中心Rに引き込み開口部56を設けていたが、中心Rより離れた位置に引き込み開口部56を設けることで、許容曲率半径を更に確保しやすくなる。特に、図12、図13で示したように、上記θが60度から70度となる曲管部622と組み合わせると良い。
【0027】
次に、図17を使用して、この発明の宅地桝50の施工の手順を説明する。
まず、配線管62を埋設できるぐらいに、土を掘り起こし、土中で、水平管部624と、曲管部622と、直管部626とが接合され、配線管62が形成される。配線管62は、図示しない共用FA管に接合させる。図17Aは、敷地80内に埋設された配線管62を地表面と水平に切って、真上から見た断面図である。図17Bは、埋設された配線管62を地表面と垂直に切って、真横から見た断面図である。図17Bのように、配線管62を埋設し、直管部626と曲管部622のある一定部分が地表に出るぐらいであり、ケーブルを収容できるほどのスペースを確保して、土を埋め戻す。
【0028】
次に、図17Cに示すように、宅地桝50の位置(高さ)を第1配水層602の敷モルタル、第2配水層604の基礎砕石で調整する。なお、宅地桝50の引き込み開口部56が位置する箇所近辺には、第1配水層602を敷かないようにする。引き込み開口部56(排水部76)による排水能力を発揮させるためである。
【0029】
次に、図17Dに示すように、直管部626が宅地桝50の引き込み開口部56に差し込まれるように、宅地桝50が設置される。なお、曲管部622は、宅地敷地内に属しないように配置させる。
図17Eに示すように宅地桝50の周辺空間90を埋め戻す。次に、図17Fに示すように、配線管62に雨水などが入り込むのを防ぐために、配線管62の端部62aに防水栓16を装着させる。
次に図17Gのように、宅地桝50の上側に蓋部55を設置する。このようにして、宅地桝50は設置される。
また水平管部624、曲管部622、直管部626、宅地桝50は、塩ビ管又は、廃プラスティック等のリサイクル資源を活用すると頗る経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】建物が未建設の場合、先行管として、配線管6を地中に埋めておくことを示す断面図。
【図2】建物が建設された場合、通線具20を使用して、共用FA管2からケーブル4を通線させることを示す断面図。
【図3】建設された建物壁面10の引き込み口12に共用FA管2からのケーブル4を引き込むことを示す断面図。
【図4】宅地桝26を使用して、専用ケーブル22の余長処理を行っている断面図。
【図5】宅地桝26を使用して、専用ケーブル22が建物壁面10の引き込み口12に引き込まれることを示す断面図。
【図6】共用FA管2からケーブル4を通線させる際に、周縁部42に引き込み開口部41を設けた宅地桝40の断面図。
【図7】図7Aは配線管48が地表面からa1の位置(深さ)にあり、宅地桝40の高さをh1であることを示す断面図であり、図7Bは配線管48が地表面からa2の位置(深さ)にあり、宅地桝の高さをh2であることを示す断面図である。
【図8】この発明の実施例1の宅地桝50の斜視図。
【図9】この発明の実施例1の宅地桝50を使用した宅地配管システムを示す断面図。
【図10】図10Aは配線管62が地表面からa3の位置(深さ)にあり、宅地桝50の高さがh3であることを示す断面図であり、図10Bは配線管62が地表面からa4の位置(深さ)にあり、宅地桝50の高さがh3であることを示す断面図である。
【図11】この発明の宅地配管システムにおいて、通線具20により、ケーブル4を通線させることを示す断面図。
【図12】この発明の宅地配管システムにおいて、ケーブル4が通線され、余長処理が行われていることを示す断面図。
【図13】この発明の宅地配管システムにおいて、直管部626と底面部54とのなす角度θを容易に変えることができることを示す断面図。
【図14】この発明の宅地配管システムにおいて、建物が建設され、引き出し配線管72により、ケーブル4が建物内に導かれていることを示す断面図。
【図15】この発明の宅地配管システムにおいて、引き込み開口部56の直径が配線管62の外径より大きい場合、底面部54と平行に切った宅地桝50を示す断面図。
【図16】この発明の宅地配管システムにおいて、底面部54の中心Rから離れた場所に、引き込み開口部56を設けた場合の断面図。
【図17】この発明の宅地桝50の設置の順序を示した図であり、図17Aは敷地80内に埋設された配線管62を地表面と水平に切って、真上から見た断面図であり、図17Bは埋設された配線管62を地表面と垂直に切って、真横から見た断面図であり、図17Cは、宅地桝50の設置場所に配水層60を設けたことを示す断面図であり、図17Dは、宅地桝を設置したことを示す断面図であり、図17Eは、宅地桝50の周辺空間90を埋め戻したことを示す断面図であり、図17Fは、配線管62の端部62aに防水栓16を装着させることを示す断面図であり、図17Gは蓋部55を宅地桝50の上側に設置することを示す断面図である。
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中化設備から地下配線ケーブル等を家屋等の宅地へ引き込むための宅地桝及びこの宅地桝を使用した宅地配管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の景観や防災面等を考慮して、電柱をなくした街づくりが進められている。電柱をなくす手法として、通信、電力ケーブル等を地下から、家屋や会社などの宅地に引き込む方法がある。この場合、公道などに通信、電力などの幹線ケーブルを収容する管路・接続ボックスなどを設置し、共用FA方式を採用した共用引き込み管または、単独引き込み管により、各宅地に配管されているのが現状である。共用FA方式については、特許文献1などに詳細が記されている。
【0003】
図1は建物が未建設の場合の配線管6を先行管として、地中に埋めておくことを示す断面図である。
共用FA方式では、複数の事業会社のケーブル4が共用FA管2内に収容されている。各宅地が造成途中もしくは、造成予定の場合には、共用FA管2を通る各建物にケーブルを引き込む引き込み口が確定しておらず工事を進めることが出来ない。よって、ケーブル4を宅地まで案内する配線管6を先行管として、地中に留め、防水のために止水栓8を装着しておく。宅地が造成されると、配線管6付近を掘り起こし、建設された宅地まで、配線管6を延長して、ケーブル4を宅地まで案内して建物の引き込み口(図示していない)まで引き込む。
【0004】
図2は、建物が建設された場合の、通線具20を使用して、共用FA管2からケーブル4を通線させることを示す断面図である。また、図3は、建設された建物の引き込み口12に共用FA管2からのケーブル4を引き込むことを示す断面図である。図2に示すように、既に建物が完成している場合は、建物壁面10に引き込み口12が設けられている。また、ケーブル4を案内する配線管6が、共用FA管2に取り付けられ、配線管6の端部15が、引き込み口12付近まで出される。また、雨水などが配線管6内に入り込まないように、端部15には特許文献2に記される防水栓16が装着される。
通線作業の際には、例えば、防水栓16に備えられている複数の防水キャップ(16a、16b、・・・、)のうちの1つである16aを切り取って、通線開口部17が設けられる(図3参照)。そして、特許文献3に示す通線具20が、通線開口部17から挿入される。共用FA管2の長手方向の両端に設置された図示しないどちらか一方の接続ボックス等まで、通線具20は押し進められる。この接続ボックスで、ケーブル4が通線具20の先端に取り付けられ、通線具20は引っ張られる。
【0005】
このようにして、図3に示すように、ケーブル4が通線され、引き込み口12にケーブル4が引き込まれる。なお、通線具20による通線作業の詳細は特許文献3に記載されている。
次に、地中に埋没している専用管の中を単独の事業会社のケーブル(以下、専用ケーブルという)が通っており、建物が未完成の場合に、よく利用される通線処理を説明する。通常、専用ケーブルの通線作業を事業会社側と宅地側とに分離するために、宅地桝が使用される。宅地桝とは、通線作業等を行いやすくする小さな室である。
【0006】
図4に、宅地桝26を使用して、専用ケーブル22の余長処理を行っている断面図を示す。図4に示すように、宅地桝26が宅地の敷地内の地中に埋設され、宅地桝26は周縁部23を有している。宅地桝26の上面25が蓋部28により閉じられ、底部29により宅地桝26の底面が閉じられる。専用ケーブル22は、宅地桝26内で、巻かれ、余長処理が行われている。また、雨水等が配線管24に入水することを防ぐため、止水栓30により引き込み開口部27が塞がれている。事業会社があらかじめ、ここまでの作業を行っておく。ここまでの作業は単独の事業会社の設備での工事であるから、特許文献3に示した通線具を使用する必要はなく、各事業会社独自の方法で行えばよい。
【0007】
次に、図5に示すように、建物が完成すると、周縁部23に、専用ケーブル22を引き出すための引き出し開口部34が形成される。また、引き出し開口部34から宅地の引き込み口12まで、専用ケーブル22を案内する引き込み管36が形成される。引き込み管36により、専用ケーブル22は引き込み口12に引き込まれる。このようにして、宅地桝を設けることで、事業会社側の工事のタイミングと宅地側の工事のタイミングとを分離できるので、工事の自由度が高くなる。
【特許文献1】特開2005−261079号公報
【特許文献2】特開2006−34074号公報
【特許文献3】特開2005−223972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
共用FA方式の場合にも、宅地桝を利用したいという要望があるが、以下のような課題がある。(1)特許文献3に示した通線具による通線作業の簡易さが必要である。(2)地震などの外部からの大きな力に対して、安いコストで、耐震構造を備えていることが必要である。(3)周辺設備の都合などから、配線管(共用FA管から宅地桝まで)の深さ(位置)は、場所ごとに異なるが、どのような深さでも、安いコストで対応できることが必要である。(4)図4に示すように、宅地桝内で、ケーブルを巻いて、収容する際にケーブルにより形成される円38の半径(以下、許容曲率半径という)を確保でき、余長処理を行いやすくすることが必要である。(5)宅地桝内に溜まった雨水などを安いコストで排水することが必要である。(6)特許文献2に示した防水栓16が利用できることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によれば、筒状の周縁部と、周縁部の底を閉じる底面部と、周縁部の上記底と反対側の面を閉じる蓋部と、上記周縁部内にケーブルを収容する収容部と、を具備し、上記底面部は、上記ケーブルを導く配線管を引き込むための引き込み開口部を有し、上記周縁部は、上記引き込まれた収容ケーブルを引き出すための引き出し開口部を有することを特徴とする宅地桝を提供する。
更に、上記引き込み開口部の直径が、上記配線管の外径より大きい宅地桝を提供する。
更に、上記配線管と、上記引き込み開口部とを、固定させない宅地桝を提供する。
【0010】
また、上記の宅地桝と、ケーブルを上記宅地桝に導く配線管と、宅地桝の下に形成された配水層と、上記配線管の上記宅地桝の端に取り付けられた防水栓と、を備え、上記配線管は、少なくとも、配線管の長手方向を、ケーブルが収容される管の方向に向けるための曲管部と、上記ケーブルが収容される管と上記曲管とをつなぐ水平管部と、を有することを特徴とする宅地配管システムを提供する。
【0011】
更に、上記配線管は、上記宅地桝と上記曲管部とをつなぐ直管部も有し、上記直管部の一端が上記宅地桝に引き込まれていることを特徴とする宅地配管システムを提供する。
更に、上記曲管部は上記配線管の長手方向を60度から70度変えることを特徴とする宅地配管システムを提供する。
更に、上記配水層は、敷モルタルと基礎砕石とを有することを特徴とする宅地配管システムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
上記の構成により、通線具を宅地桝内に挿入させる方向と、通線具を配線管に挿入する方向とがほぼ一直線上にあるので、通線作業が非常に簡易になり、(1)の課題を解決できる。また、引き込み開口部の直径が、配線管の外径より大きく、配線管と、引き込み開口部とを、固定させない場合は、配線管がある程度、自由に動くことが出来るので、耐震構造に優れており、(2)の課題を解決できる。配線管に直管部を有している場合、直管部の長さのみを変更すれば配線管の深さを変更できるので、安いコストで、配線管の深さを変更することが出来、(3)の課題を解決できる。また、ケーブル引き込み開口部が底面部にあるので、許容曲率半径を確保することが出来、(4)の課題を解決できる。引き込み開口部の直径が、配線管の外径より大きい場合は、安いコストで、引き込み開口部より宅地桝内に溜まった雨水などを排水することが出来るので、(5)の課題を解決できる。配線管が宅地桝内に、引き込まれるので、(6)の課題を解決できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず、従来の宅地桝を共用FA方式に流用したのでは、課題が解決できないことを示す。従来の宅地桝を共用FA方式にも用いた例を図6に示す。宅地桝40では、周縁部42にケーブルを引き込むための引き込み開口部41が設けられている。また引き込み開口部41には防水栓16が取り付けられている。ケーブル4は防水栓16を介して、引き込み開口部41から宅地桝40内に引き込まれる。
【0014】
図示しない通線具による通線作業の際、蓋部44を取り、宅地桝の上面46から通線具を挿入して、宅地桝40内に入った通線具を、引き込み開口部41から配線管48に挿入する。しかし、通線具を宅地桝40内に挿入させる方向と、通線具を配線管48に挿入する方向とが、ほぼ垂直になるので、通線作業が非常に困難である。引き込み開口部41に防水栓16を取り付けると、更に作業が困難になる。また、耐震構造のために、ダクトスリーブ49を装着することも可能であるが、ダクトスリーブ49の装着コストが必要となる。
【0015】
図7Aは配線管48が地表面からa1の位置(深さ)にあり、宅地桝40の高さをh1であることを示す断面図であり、図7Bは配線管48が地表面からa2の位置(深さ)にあり、宅地桝の高さをh2であることを示す断面図である。図7Aに示すように配線管48が地表面からa1の位置にあれば、高さがh1である宅地桝40が必要である。しかし、配線管48の深さは埋設する場所ごとに異なり、配線管48が地表面からa2の位置にあれば、高さがh2である宅地桝40’が必要となる。よって、配線管48の深さごとに何種類もの宅地桝を用意しておかなければならないので、量産効果を得にくく、コストがかかってしまう。
【0016】
また、宅地桝40内にケーブルを巻いて収容する際にも、引き込み開口部41に防水栓16が取り付けられると、ケーブルの許容曲率半径を確保し難くなる。また、宅地桝40内に溜まった雨水などを排水するために、底面部45に改めて、排水口を設けなければならず、コストがかかってしまう。このように、従来の宅地桝では、共用FA方式には使用できない。
【実施例1】
【0017】
この発明の実施例1の宅地桝50の斜視図を図8に示す。上述した図面と同一の部分については、同一参照番号をつけ、重複説明を省略し、以下も同様とする。宅地桝50は、筒状の周縁部52と、周縁部の底を閉じる底面部54と、周縁部52の底と反対側の面を閉じる蓋部55と、周縁部52内にケーブル4を収容する収容部59と、を具備し、底面部54は、ケーブル4を導く配線管を引き込むための引き込み開口部56を有し、周縁部52は、引き込まれた収容ケーブルを引き出すための引き出し開口部58を有することを特徴としている。また、周縁部52と底面部54とは接合されている。
【0018】
図8の宅地桝50の形状は、底面部54から蓋部55に向かって、径が広がっている形状であるが、円柱状、三角柱状、直方体状、または、底面部54から蓋部55に向かって、径が狭くなる形状、などでもよい。
【0019】
宅地桝50を使用した宅地配管システムを図9に示す。共用FA管内を通るケーブル4を宅地桝50に導く配線管62と、宅地桝50の下に形成された配水層60と、配線管62の端部62aに取り付けられた防水栓16とを備え、配線管62は、少なくとも、配線管62の長手方向を、ケーブル4が収容される管の方向に向けるための曲管部622と、ケーブル4が収容される管と曲管部622とをつなぐ水平管部624とを有する。このように、配線管62が宅地桝50に引き込まれているので、防水栓16を取り付けることができ、上記の課題(6)を解決できる。
また、配線管62は、宅地桝50と曲管部622とをつなぐ直管部626も有し、直管部626の一端が宅地桝50に引き込まれている構成にしてもよい。以下に直管部626を設けるメリットを説明する。
【0020】
図10Aは配線管62が地表面からa3の位置(深さ)にあり、宅地桝50の高さがh3であることを示す断面図であり、図10Bは配線管62が地表面からa4の位置(深さ)にあり、宅地桝50の高さがh3であることを示す断面図である。
図10Aに示すように、配線管62が地表面からa3の位置にあれば、高さがh3である宅地桝50が必要である。また、配線管62が地表面からa4の位置にある場合でも、宅地桝50を変更することなく、直管部626より長い直管部626’を用いるだけでよい。よって、配線管48が位置する深さが変わっても、単一の宅地桝50を使用することができる。つまり、量産効果により、コストを抑えることができ、上記の課題(3)を解決できる。なお、図10Aには短い直管部626が示されているが、直管部626を備えないで、曲管部622を宅地桝50に引き込んでも良い。
【0021】
次に、通線具20による通線作業を図11を用いて、説明する。まず、図9に示す蓋部55を開口後、その開口61から、通線具20を宅地桝50内に挿入する。共用FA管2からの通線させたいケーブル4に対応する防水栓16の防水キャップを取り、通線開口部17を設ける。通線開口部17から、通線具20を挿入して、図示しない接続ボックスまで、押し進められる。接続ボックス内で、ケーブル4が通線具20の先端に取り付けられ、通線具は引き戻される。このようにして、共用FA管2から宅地桝50までのケーブルの通線は完了する。
ここで、通線具20を開口61から宅地桝50内に挿入する方向と、通線開口部17(配線管62)に挿入する方向とが、ほぼ一直線上にある。従って、防水栓16がある状態でも、通線具20による通線作業が非常に行いやすくなる。よって上記の課題(1)が解決される。
【0022】
図12に示すように、ケーブル4が通線具20により通線され、配線管62内を通り、収容部59内に収容される。ケーブル4が収容される際に、通常は、ケーブル4を巻くことで、円70が作られる。ここで、ケーブル4が、宅地桝50の底面から宅地桝50内に導かれるので、防水栓16があっても、円70を作りやすくし、許容曲率半径を確保できて、余長処理を行いやすくし、上記課題(4)を解決出来る。このように、この実施例1の宅地桝50を使用することで、容易に余長処理を行うことができる。
【0023】
また、図12において、曲管部622もしくは直管部626と(図12では直管部626)、底面部54とのなす角度をθとする。θの値は、60度から70度の間であると、許容曲率半径を更に確保しやすい。また、図13に示すように水平管部624が、傾いた場合でも、θが90度以上になることを防げる。従って、曲管部622の角度を60度から70度にすればよい。
建物が建設されると、図14に示すように、引き出し開口部58と、引き出し配線管72とを接合し、引き出し配線管72から建物に向けて、ケーブル4を引き出す。そして、図示しない宅地引き込み口等からケーブル4を建物内に導く。
【0024】
図15に、引き込み開口部56の直径が配線管62の外径より大きい場合、底面部54と平行に切った宅地桝50の断面図を示す。この場合、図15に示す配線管自由領域Sが形成される。
配線管62と引き込み開口部56とを固定させない場合、この配線管自由領域S内であれば、配線管62は自由に移動できる。よって、地震などの大きな外力が加わっても、配線管自由領域Sにより、外力が緩和され、配線管62などは破損の恐れがなく、耐震構造に優れた構成になる。
【0025】
また、配線管62と引き込み開口部56とを固定させないので、コストを抑えながらも、耐震構造に優れた効果を得ることが出来て、上記の課題(2)を解決できる。配線管62の外径に応じて、配線管62の外径より大きくなるように、引き込み開口部56の直径を決める必要がある。
【0026】
また、配線管自由領域Sは、宅地桝50内に溜まった雨水などを排水させる排水部76としても機能する。配線管62と引き込み開口部56とを固定させるか否かに関わらず、排水部76により、宅地桝50内に溜まった雨水などを排水させることができる。この構成により、上記の課題(5)を解決できる。
また、図9記載の配水層60において、第1配水層602が敷モルタル、第2配水層604が基礎砕石であれば、宅地桝50から排水された雨水等を効率よく、配水させることができる。
また、この実施例の変形例として、図16に示すように、底面部54の中心Rに引き込み開口部56を設けていたが、中心Rより離れた位置に引き込み開口部56を設けることで、許容曲率半径を更に確保しやすくなる。特に、図12、図13で示したように、上記θが60度から70度となる曲管部622と組み合わせると良い。
【0027】
次に、図17を使用して、この発明の宅地桝50の施工の手順を説明する。
まず、配線管62を埋設できるぐらいに、土を掘り起こし、土中で、水平管部624と、曲管部622と、直管部626とが接合され、配線管62が形成される。配線管62は、図示しない共用FA管に接合させる。図17Aは、敷地80内に埋設された配線管62を地表面と水平に切って、真上から見た断面図である。図17Bは、埋設された配線管62を地表面と垂直に切って、真横から見た断面図である。図17Bのように、配線管62を埋設し、直管部626と曲管部622のある一定部分が地表に出るぐらいであり、ケーブルを収容できるほどのスペースを確保して、土を埋め戻す。
【0028】
次に、図17Cに示すように、宅地桝50の位置(高さ)を第1配水層602の敷モルタル、第2配水層604の基礎砕石で調整する。なお、宅地桝50の引き込み開口部56が位置する箇所近辺には、第1配水層602を敷かないようにする。引き込み開口部56(排水部76)による排水能力を発揮させるためである。
【0029】
次に、図17Dに示すように、直管部626が宅地桝50の引き込み開口部56に差し込まれるように、宅地桝50が設置される。なお、曲管部622は、宅地敷地内に属しないように配置させる。
図17Eに示すように宅地桝50の周辺空間90を埋め戻す。次に、図17Fに示すように、配線管62に雨水などが入り込むのを防ぐために、配線管62の端部62aに防水栓16を装着させる。
次に図17Gのように、宅地桝50の上側に蓋部55を設置する。このようにして、宅地桝50は設置される。
また水平管部624、曲管部622、直管部626、宅地桝50は、塩ビ管又は、廃プラスティック等のリサイクル資源を活用すると頗る経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】建物が未建設の場合、先行管として、配線管6を地中に埋めておくことを示す断面図。
【図2】建物が建設された場合、通線具20を使用して、共用FA管2からケーブル4を通線させることを示す断面図。
【図3】建設された建物壁面10の引き込み口12に共用FA管2からのケーブル4を引き込むことを示す断面図。
【図4】宅地桝26を使用して、専用ケーブル22の余長処理を行っている断面図。
【図5】宅地桝26を使用して、専用ケーブル22が建物壁面10の引き込み口12に引き込まれることを示す断面図。
【図6】共用FA管2からケーブル4を通線させる際に、周縁部42に引き込み開口部41を設けた宅地桝40の断面図。
【図7】図7Aは配線管48が地表面からa1の位置(深さ)にあり、宅地桝40の高さをh1であることを示す断面図であり、図7Bは配線管48が地表面からa2の位置(深さ)にあり、宅地桝の高さをh2であることを示す断面図である。
【図8】この発明の実施例1の宅地桝50の斜視図。
【図9】この発明の実施例1の宅地桝50を使用した宅地配管システムを示す断面図。
【図10】図10Aは配線管62が地表面からa3の位置(深さ)にあり、宅地桝50の高さがh3であることを示す断面図であり、図10Bは配線管62が地表面からa4の位置(深さ)にあり、宅地桝50の高さがh3であることを示す断面図である。
【図11】この発明の宅地配管システムにおいて、通線具20により、ケーブル4を通線させることを示す断面図。
【図12】この発明の宅地配管システムにおいて、ケーブル4が通線され、余長処理が行われていることを示す断面図。
【図13】この発明の宅地配管システムにおいて、直管部626と底面部54とのなす角度θを容易に変えることができることを示す断面図。
【図14】この発明の宅地配管システムにおいて、建物が建設され、引き出し配線管72により、ケーブル4が建物内に導かれていることを示す断面図。
【図15】この発明の宅地配管システムにおいて、引き込み開口部56の直径が配線管62の外径より大きい場合、底面部54と平行に切った宅地桝50を示す断面図。
【図16】この発明の宅地配管システムにおいて、底面部54の中心Rから離れた場所に、引き込み開口部56を設けた場合の断面図。
【図17】この発明の宅地桝50の設置の順序を示した図であり、図17Aは敷地80内に埋設された配線管62を地表面と水平に切って、真上から見た断面図であり、図17Bは埋設された配線管62を地表面と垂直に切って、真横から見た断面図であり、図17Cは、宅地桝50の設置場所に配水層60を設けたことを示す断面図であり、図17Dは、宅地桝を設置したことを示す断面図であり、図17Eは、宅地桝50の周辺空間90を埋め戻したことを示す断面図であり、図17Fは、配線管62の端部62aに防水栓16を装着させることを示す断面図であり、図17Gは蓋部55を宅地桝50の上側に設置することを示す断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の周縁部と、周縁部の底を閉じる底面部と、周縁部の上記底と反対側の面を閉じる蓋部と、上記周縁部内にケーブルを収容する収容部と、を具備し、
上記底面部は、上記ケーブルを導く配線管を引き込むための引き込み開口部を有し、
上記周縁部は、上記引き込まれた収容ケーブルを引き出すための引き出し開口部を有することを特徴とする宅地桝。
【請求項2】
請求項1に記載の宅地桝において、
上記引き込み開口部の直径は上記配線管の外径より大きいことを特徴とする宅地桝。
【請求項3】
請求項1または2に記載の宅地桝において、
上記配線管と、上記引き込み開口部とを、固定させないことを特徴とする宅地桝。
【請求項4】
請求項1〜3何れかに記載の宅地桝と、
ケーブルを上記宅地桝に導く配線管と、
宅地桝の下に形成された配水層と、
上記宅地桝内の上記配線管の端に取り付けられた防水栓と、を備え、
上記配線管は、少なくとも、配線管の長手方向を、ケーブルが収容される管の方向に向けるための曲管部と、
上記ケーブルが収容される管と上記曲管部とをつなぐ水平管部と、を有することを特徴とする宅地配管システム。
【請求項5】
請求項4記載の宅地配管システムであって、
上記配線管は、上記宅地桝と上記曲管部とをつなぐ直管部も有し、
上記直管部の一端が上記宅地桝に引き込まれていることを特徴とする宅地配管システム。
【請求項6】
請求項4または請求項5記載の宅地配管システムであって、
上記曲管部は上記配線管の長手方向を60度から70度変えることを特徴とする宅地配管システム。
【請求項7】
請求項4〜6の何れかに記載の宅地配管システムであって、
上記配水層は、敷モルタルと基礎砕石とを有することを特徴とする宅地配管システム。
【請求項1】
筒状の周縁部と、周縁部の底を閉じる底面部と、周縁部の上記底と反対側の面を閉じる蓋部と、上記周縁部内にケーブルを収容する収容部と、を具備し、
上記底面部は、上記ケーブルを導く配線管を引き込むための引き込み開口部を有し、
上記周縁部は、上記引き込まれた収容ケーブルを引き出すための引き出し開口部を有することを特徴とする宅地桝。
【請求項2】
請求項1に記載の宅地桝において、
上記引き込み開口部の直径は上記配線管の外径より大きいことを特徴とする宅地桝。
【請求項3】
請求項1または2に記載の宅地桝において、
上記配線管と、上記引き込み開口部とを、固定させないことを特徴とする宅地桝。
【請求項4】
請求項1〜3何れかに記載の宅地桝と、
ケーブルを上記宅地桝に導く配線管と、
宅地桝の下に形成された配水層と、
上記宅地桝内の上記配線管の端に取り付けられた防水栓と、を備え、
上記配線管は、少なくとも、配線管の長手方向を、ケーブルが収容される管の方向に向けるための曲管部と、
上記ケーブルが収容される管と上記曲管部とをつなぐ水平管部と、を有することを特徴とする宅地配管システム。
【請求項5】
請求項4記載の宅地配管システムであって、
上記配線管は、上記宅地桝と上記曲管部とをつなぐ直管部も有し、
上記直管部の一端が上記宅地桝に引き込まれていることを特徴とする宅地配管システム。
【請求項6】
請求項4または請求項5記載の宅地配管システムであって、
上記曲管部は上記配線管の長手方向を60度から70度変えることを特徴とする宅地配管システム。
【請求項7】
請求項4〜6の何れかに記載の宅地配管システムであって、
上記配水層は、敷モルタルと基礎砕石とを有することを特徴とする宅地配管システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−109791(P2008−109791A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290854(P2006−290854)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(500140127)エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社 (61)
【出願人】(591287222)株式会社サンレック (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(500140127)エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社 (61)
【出願人】(591287222)株式会社サンレック (10)
【Fターム(参考)】
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