説明

安全な洗浄機構を備えた飲料分注装置

ハウジング5と、流出口15を有するダクト10と、ダクトの上流側にあり、かつダクトに連結された導管20と、流出口から廃液を収集するように配置された廃液収集部30とを有する飲料調製マシン1。ダクトは、導管中に飲料を流通させるための、および前記飲料を使用者の容器に充填する領域35の上方にあるハウジング外部の流出口から分注するための動作位置と、導管中に洗浄流体を流通させ、前記洗浄流体を、ハウジング内部の流出口から廃液収集部に排出するための洗浄位置とを有する。ダクトは、流出口を動作位置と洗浄位置との間において枢動させることができるように、枢動軸線11を中心として導管に枢動自在に組み付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者のカップまたは使用者のマグのような使用者の容器に飲料流出口から飲料を分注するためのマシンに関する。このマシンは、自己洗浄工程を実施するための衛生保護機構を有する。特に飲料は、例えば、コーヒー調製および/またはチョコレート飲料調製に関するミルク含有物であってもよい。
【0002】
例えば、飲料調製マシンは、コーヒー淹出ユニットと、カフェラテ、カプチーノおよび/またはミルク入りのレギュラーコーヒーを調製するためのミルク加熱用および/またはミルク泡立用のユニットとを組み合わせたものである。
【背景技術】
【0003】
飲料、特にミルク含有飲料、例えばミルク含有コーヒー、茶またはチョコレート飲料のような時間の経過とともに質が低下する傾向のある飲料を製造するためのマシンは当技術分野において公知である。
【0004】
当技術分野において公知のように、そのような飲料を製造するため、蒸気を生成するためのヒータに水を通す。このように発生させた水蒸気は混合ヘッドに供給される。混合ヘッドでは、例えば、ベンチュリ効果を利用することによって、ミルク供給部から供給されるミルクと空気流入口からの空気が水蒸気流に吸入され、加熱された水/ミルクの混合物が生じる。この混合物は、その後、混合ヘッドの流出口ノズルからカップに送出される。
【0005】
公知の問題には、所望の量の飲料を生成した後、飲料にさらされていたマシンの一部に飲料、特にミルクの残留物が付着する点がある。この残留物は、後に調製される飲料(マシンが様々な種類の飲料を調製するのに適している場合、特にミルクを含有しない飲料)の質を低下させるか、後に調製される飲料と不要に混合されるかするおそれがある。
【0006】
そのような望ましくない残留物の問題の典型的な例は、インライン蒸気作動式のミルク泡立ヘッドまたは加熱ヘッドにおいて発生する。ヘッドの流入口、ヘッド自体の内部ならびに流出口ノズルはミルクにさらされるため、汚染を防止するために、例えば水洗により洗浄しなければならない。公知の装置においては、これは上述のミルク流路を手で水洗することが求められる労力と時間を要する作業である。水洗および/または洗浄は、実際、混合物の製造工程よりもかなり多くの時間と労力を要する場合がある。洗浄はミルクが混合ヘッドの表面において乾燥すると特に困難となる。その一方で、洗浄が適切かつ十分頻繁に実施されない場合、その後の装置の使用において衛生に関する問題が生じるおそれがある。
【0007】
この課題に対する解決策が欧州特許第1656863号明細書に提案されている。可動可能なインラインベンチュリ式ミルク泡立ヘッドが自己洗浄構成を有する。この構成においては、ミルク吸入流入口が移動し、水洗媒体に浸漬される。また、ミルク流出口が使用済み水洗媒体の収集部の上に移動する。この構成においては、ヘッドの洗浄のためにヘッド中に水洗媒体が導入される。ミルク泡立ヘッドは全洗浄工程を自動的に実施するために電動式にすることができる。
【0008】
欧州特許第1374748号明細書では、ミルク容器に連結されたミルク流入口と、水供給源に連結された水(蒸気)流入口と、空気流入口とを有するベンチュリ型インライン泡立て器について開示している。この泡立て器は、水供給源からの水または蒸気を空気流入路に分流し、そこから乳化室に分流して泡立て器を水洗するための三方バルブを有する。同時に、蒸気が蒸気供給路を通して蒸気流入口に送られる。泡立て器中を通過したフラッシング水は廃棄槽に集められる。結果として、空気路および蒸気路のミルク跡がフラッシング処理される。フラッシング工程は、毎回の飲料調製の終了時に、または使用者の要求に応じて、または使用者が飲料調製直後に自身の手を飲料排出管の下に挿入した場合偶発的な熱傷を避けるため、飲料調製後多少時間をあけて自動的に実施してもよい。
【0009】
別の手法は、例えば、欧州特許第1746920号明細書に教示されるような、ミルクなどの質が低下しうる液体にさらされる使い捨て部品の使用に関する。
【0010】
しかし、依然として、飲料調製マシンのための単純かつ衛生的な洗浄機構を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の好ましい目的は、自己洗浄のための単純かつ安全な衛生的構成を有する飲料調製マシンに関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明は、ハウジングと、流出口を有するダクトと、ダクトの上流側にあり、かつダクトに連結された導管と、流出口から廃液を収集するために配置された廃液収集部とを備える飲料調製マシンに関する。このダクトは、
導管およびダクト中に飲料を流通させ、その飲料を、使用者の容器に充填する領域の上方にある、ハウジング外部のダクト流出口から分注するための動作位置と、
導管およびダクト中に洗浄流体を流通させ、その洗浄流体を、ハウジング内部のダクト流出口から廃液収集部に排出するための洗浄位置とを有する。
【0013】
本発明によれば、ダクトは、流出口を動作位置と洗浄位置の間において(特に、動作位置から洗浄位置に、および任意選択でその逆に)枢動させることができるように導管に枢動自在に組み付けられている。
【0014】
一変形形態において、本発明は、同様に、ハウジングと、ハウジングの外部に延び、かつ流出口を有するダクトと、流出口から廃液を収集するための廃液収集部とを備える飲料調製マシンに関する。このダクトは、
ハウジング外部に延びるダクト中に飲料を流通させ、そのような飲料を、使用者の容器に充填する領域の上方にある、ハウジング外部の流出口から分注するための動作位置と、
ハウジング外部に延びるダクト中に洗浄流体を流通させ、そのような洗浄流体を流出口から廃液収集部に排出するための洗浄位置とを有する。
【0015】
ダクトは、動作位置と洗浄位置の間を、特に、動作位置から洗浄位置に、および任意選択でその逆に移動することができるように枢動自在に取り付けてもよい。
【0016】
本発明によれば、洗浄位置において、流出口はハウジング内にあるが、それはそのような洗浄流体をハウジング内において飲料流出口から廃液収集部に排出するためである。
【0017】
したがって、飲料流体流通機構(特にその飲料分注流出口まで、および飲料分注流出口を含む下流側部分)の安全な洗浄、特に水洗のための単純な構成が提供される。実際、使用者がさらされないようにするために、洗浄流体の排出を、遮蔽された、特に密閉領域において実施するには流通機構の下流側部分の端のみを可動可能にすることが必要である。
【0018】
内部において流出口が洗浄流体を排出するハウジングは、ポンプ、ヒータ、クーラ、制御ユニット、混合ユニット、淹出ユニット等のような部品を含む飲料調製マシンの主要部品を収容してもよい。または、ダクトの流出口を通じて洗浄流体を排出するために独立した密閉領域または遮蔽領域を形成するための専用のハウジングであってもよい。
【0019】
本発明のさらなる特徴および利点を詳細な説明に記載する。
【0020】
以下、概略図を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による飲料調製マシンの第1の実施形態の概略図である。
【図2】本発明による飲料調製マシンの第1の実施形態の概略図である。
【図3】本発明による飲料調製マシンの第1の実施形態の概略図である。
【図4】本発明による飲料調製マシンの第2の実施形態の概略図である。
【図5】本発明による飲料調製マシンの第2の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜図3は、本発明の第1の実施形態による飲料調製マシン1の概略前面図である。マシン1は、ハウジング5と、流出口15を有するダクト10と、ダクト10の上流側にあり、かつダクト10に連結された導管20と、流出口15から廃液を収集するために配置された収集トレイ30の形態の廃液収集部とを有する。
【0023】
図1において、ダクト10は動作位置において示されている。動作位置では、飲料を導管20を通じてダクト10内に流通させ、その飲料を、容器充填領域35に載置された使用者の容器40、例えばマグまたはカップの上方にあるハウジング5外部の流出口15から分注する。容器充填領域35は収集部30上に格子で形成される。ハウジング5は、マシン1の前方に水平に延びる充填領域35の境界を一つの側において定める前壁6を有する。
【0024】
図2において、ダクト10は、図1に示す動作位置と図3に示す洗浄位置との間の中間位置において示される。
【0025】
洗浄の直前、流出口15は通常自動的にハウジング5内に枢動する。洗浄位置(図3)において、ダクト10は、導管20を通じて供給される洗浄流体を流通させ、その洗浄流体をハウジング5内部にある流出口15から収集トレイ30に排出するように配置されている。
【0026】
収集トレイ30は、流出口15が動作位置(図1)、中間位置(図2)および洗浄位置(図3)においてトレイ30上方に配置されるようにハウジング5の内部から外部に延びている。
【0027】
したがって、収集部30は、動作位置および中間位置においては廃棄飲料を、洗浄位置および中間位置においては使用済み洗浄流体を流出口15から収集するようになっている。
【0028】
さらに、ハウジング5は、枢動可能なゲート7、例えばハッチでカバーされる開口部を有し、ゲート7が、図3に示すように、ハウジング5内に枢動した場合、流出口15を通すことができる。ゲート7は、洗浄位置(図3)に枢動したダクト10によって押し開くことができるように枢動自在に取り付けてもよい。さらに、ゲート7は、ダクト10がハウジング5から枢動して出ると、重力の効果の下、その閉じた構成(図1および図2)に戻ることもできる。他のゲート構成、特に、ダクト10の動きに合わせて開閉する電動式ゲートも当然可能である。
【0029】
戻しばね、例えば弦巻ばね、引張ばねまたは圧縮ばねを使用することも可能である。ばねは、ダクトを特定の位置、例えば洗浄位置に動かす際にアクチュエータによって圧せられ、典型的にはアクチュエータが作動を停止した際に緩むことによってダクトを別の位置に、例えば中間位置または動作位置に自動的に戻す。
【0030】
図1〜図3に示すように、ダクト10は導管20に枢動自在に組み付けられるが、これは、流出口15を、動作位置(図1)から中間位置(図2)を経て洗浄位置(図3)まで動かすためである。中間位置はダクト10の非作動(待機)位置であってもよい。
【0031】
一変形形態においては、作動位置と非作動位置とを組み合わせることが可能である。例えば、ダクトはその垂直位置において停止するか飲料を分注し、洗浄流体を排出するためにその流出口がハウジング内に入った状態で、例えば電気式アクチュエータのようなアクチュエータによってその洗浄位置に枢動する。ダクトは、アクチュエータが動作停止すると同時に重力の効果の下、または電気式アクチュエータのようなアクチュエータによって洗浄位置から作動位置/非作動位置に枢動して戻ることができる。
【0032】
ダクト10は、電気式アクチュエータ、特に電磁石またはモータのような電気機械式アクチュエータによって、動作位置から洗浄位置におよび/またはその逆に動かすことができる。例えば、ダクト10は、電気式アクチュエータの起動によって動作位置および洗浄位置(図1および図3)に移動し、アクチュエータが作動を停止すると重力の効果の下、中間位置(図2)に戻る。異なる構成においては、当然、ダクトを重力によって動作位置または洗浄位置に動かすことも可能である。
【0033】
導管20はハウジング5内部から、ハウジング5の前壁6を通って、ハウジング5の前壁6に対して略垂直にハウジング5の外に延びている。ハウジング5の外側では、ダクト10が導管20に対して垂直に取り付けられており、前壁6に略平行となっている面内において枢動可能である。したがって、ダクト10の枢動軸線11は前壁6に対して略垂直である。結果として、流出口15はゲート7を支持しながらハウジング5の側部8内に枢動する。側部8は側部飲料充填領域35の境界をその側において定める。
【0034】
一般に、導管20は、茶、コーヒー、チョコレート飲料、スープまたはミルク、特に冷たいまたは熱い飲料のような飲料を調製するためのユニットに連結される。
【0035】
図1〜図3に示される実施形態では、導管20はマシン内部においてミルク加熱用および/またはミルク泡立用の機構(図示せず)に連結することができる。例えば、この機構はミルクを空気および/または蒸気と混合するための混合ヘッドを備える。代替的に、混合ヘッドはダクト10と結合してもよい。当技術分野において一般に公知のようなベンチュリ式混合ヘッドが、例えば、欧州特許第1656863号明細書および欧州特許第1746920号明細書に開示されている。
【0036】
一般に、例えばベンチュリ式混合ヘッドにより導管20およびダクト10中を流通する洗浄流体は任意選択でスケール除去剤または洗剤を含む水または水含有流体である。洗浄流体は空気または空気含有流体であってもよい。例えば、マシン1は洗浄工程を実施するように配置されている。この洗浄工程では、導管20を通じて空気および蒸気および/または水が順次供給され、ダクト10の流出口15を通じて排出される。
【0037】
動作位置において、ダクト10は、ハウジング5外部に突出し、飲料を流出口15から分注するように配置される。洗浄位置において、ダクト10は、ハウジング5外部に依然突出しているダクト10中に洗浄流体を流通するように、およびハウジング5内に配置された流出口15から廃液収集部30に洗浄流体を排出するように配置される。換言すると、洗浄位置において、ダクト10は、使用者から離れた、遮蔽され、密閉された空間に洗浄液体を排出するために外側からハウジング5内に突出する。したがって、使用者は、排出された洗浄流体からハウジング5によって安全に保護される。
【0038】
また、コーヒー分注ヘッドまたは茶分注ヘッド50が図1〜図3に示されている。一般に、マシン1はミルク分注機構を組み込んだコーヒーマシンまたは茶マシンである。
【0039】
例えば、マシン1は、ヘッド50からコーヒーを分注するためのコーヒー淹出ユニットと、加熱されたおよび/または泡立てられたミルクを流出口15を通じて分注するミルク加熱用および/またはミルク泡立用のユニットとを組み合わせたものである。マシン1は、同じマシン内において、および任意選択で自動的に、カフェラテ、カプチーノおよび/またはミルク入りのレギュラーコーヒーを調製する。すなわち、使用者がそのようなミルク含有コーヒーを要求すると、ミルクとコーヒーとの混合物がマシンによって自動的に運ばれる。
【0040】
例えば、マシン1は、例えば家庭または職場において、電源に電気的に接続することができる自己内蔵型の卓上型マシンのようなコーヒー調製マシンまたは茶調製マシンである。特に、マシン1は、原材料処理機構内において、湯または冷水もしくは別の液体を、挽いたコーヒーまたは茶のような調製されるべき飲料の原材料を含むカプセルに通すことによって飲料を調製するために配置されている。「カプセル」は、予め小分けにされた任意の飲料原材料を封入容器、特に密閉容器内に含むことを意図する。封入容器は、例えばプラスチック製容器、アルミニウム製容器、再利用可能容器および/または生分解可能容器のような任意の材料であり、原材料を含む軟質のポッドまたは硬質のカートリッジを含む任意の形状および構造である。
【0041】
例えば、マシン1は、1つ以上の液体リザーバと、液体流通回路と、ヒータと、ポンプと、抽出のため原材料カプセルを受け取り、抽出するとカプセルを排出するように配置された飲料調製ユニットとを備える原材料処理機構と、カプセルが調製ユニットから排出されるシート部に通じる開口部を有するハウジングと、シート部に排出され、満杯のレベルまで容器に入ったカプセルを収集するための収納スペースを形成する空洞を有する容器と、を備える。容器はカプセルを収集するためのシート部に挿入可能であり、かつ収集したカプセルを空にするためにシート部から取り外し可能である。そのような原材料処理機構の例は国際公開第2009/074550号パンフレット、国際公開第2009/130099号パンフレットおよび国際出願PCT/EP09/053139号明細書に開示されている。
【0042】
飲料処理装置は1つ以上の以下の構成要素を備えてもよい。
a)この飲料の原材料、特に、カプセル内に供給される予め小分けにされた原材料を受けるための、および水などの入ってくる液体の流れを前記原材料に通して飲料流出口まで案内するための淹出ユニット、
b)サーモブロックのような、淹出ユニットに供給されるべきこの液体の流れを加熱するためのインラインヒータ、
c)この液体をインラインヒータに通して押し出すためのポンプ、
d)この液体をタンク入りの液体のような液体の源から飲料流出口に案内するための1つ以上の流体連結部材、
e)使用者からインターフェースを介して命令を受け取るための、およびインラインヒータおよびポンプを制御するための、特にプリント回路基板(PCB)を備える電気制御ユニット、
f)淹出ユニット、インラインヒータ、ポンプ、液体リザーバ、原材料収集部、当該液体の流れ、当該液体の圧力および当該液体の温度の特性から選択される少なくとも1つの動作特性を検出するための、およびそのような特性(複数)を制御ユニットに伝達するための1つ以上の電気センサ。
【0043】
ヒータはサーモブロックまたはオンデマンドヒータ(ODH)、例えば、欧州特許第1253844号明細書、欧州特許第1380243号明細書および欧州特許第1809151号明細書に開示される種類のODHであってもよい。
【0044】
図4および図5は、本発明による飲料調製マシン1の変形形態の概略断面側面図である。これらの図において、同じ参照符号は全般的に同じまたは類似の構成要素を示す。
【0045】
マシン1は、前壁6を有するハウジング5と、流出口15を有するダクト10と、ダクト10の上流側にあり、かつダクト10に連結された導管20と、流出口15から廃液を収集するために配置された廃液収集部30とを有する。ダクト10は、導管20中に飲料を流通させ、この飲料を、使用者の容器に充填する領域35の上方にあるハウジング5外部の流出口15からカップまたはマグ40に分注するための動作位置(図4)と、導管20中に洗浄流体を流通させ、この洗浄流体を、ハウジング5内部の流出口15から収集部30に排出するための洗浄位置(図5)とを有する。
【0046】
ダクト10は、動作位置(図4)と洗浄位置(図5)の間において流出口15を枢動させるための枢動点11において導管20に枢動自在に組み付けられる。
【0047】
導管20およびダクト10によって形成される流体路はハウジング5の前壁6を貫通して延びている。ダクト10は、上記の図に示した実施形態とは対照的に、ハウジング5の前壁6において、壁6に対して略平行に延びる枢動軸線11に沿って導管20に枢動自在に取り付けられている。図4および図5に示される実施形態では、枢動軸線11は前壁6内において延びている。
【0048】
さらに、ダクト10はダクト10の通過を可能にする開口部7を介してハウジング5の内部と外部とに枢動することができる。ダクト10は動作位置と洗浄位置の間、例えばハウジング5の位置、特にハウジング壁6の位置に中間静止位置を有してもよい。ダクト10は、アクチュエータ、例えば電磁石により、動作位置から洗浄位置に、およびその逆に自動的に動いてもよい。
【0049】
前壁6は使用者の容器に充填する領域35の境界を定める。廃液収集部30はトレイの形態で設けられる。廃液収集部30は、その動作位置において流出口15の下に、ハウジング5内部からハウジングの外部に延びている。特に、収集部30は、動作位置において、流出口15から排出される廃棄飲料を収集するように配置されている。加えて、収集部30は、その洗浄位置において、流出口15から排出された洗浄液体を収集するように配置されている。収集部トレイ30は、例えば、予め小分けされたカプセルに含まれた使用済みの飲料原材料、特に淹出後の挽いたコーヒーを収集するための容器36を支持する。使用済み原材料の容器36と、液体収集トレイ30と、使用者の容器支持部35の例が欧州特許第1731065号明細書、欧州特許第1867260号明細書、国際公開第2009/074559号パンフレットおよび国際公開第2009/135869号パンフレットに開示されており、その内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0050】
一般に、導管20は、茶、コーヒー、チョコレート飲料、スープまたはミルク、特に冷たいまたは熱い飲料のような飲料を調製するためのユニット(図示せず)に連結される。特に、飲料調製ユニットはミルク加熱用および/またはミルク泡立用の機構を備える。例えば、飲料調製ユニットは、ミルクを空気および/または蒸気と混合するための混合ヘッド、特にベンチュリ式混合ヘッドを備える。混合ヘッドは、ミルク供給部と、蒸気供給部と、空気供給部とに連結される。
【0051】
洗浄流体は、導管20とダクト10中を流通し、流出口15により容器36に排出される。この容器36から流体が収集部30に排出される。この流体は任意選択でスケール除去剤または洗剤を含む水または水含有流体および/または空気または空気含有流体とすることができる。特に、マシン1は、ダクト10と導管20とを備える流体回路に連結される制御ユニット(図示せず)を有する。特に流体回路は、洗浄流体の源に連結され、洗浄工程を実施するように配置されたポンプを備える。このポンプにより、空気および蒸気および/または水が導管を通して順次供給され、ダクトの流出口から排出される。
【0052】
洗浄流体を、ハウジング5内、すなわち遮蔽または密閉された空間内にある流出口15から排出することによって、使用者は、洗浄サイクル中、洗浄流体の射出から保護される。特に、流出口15から噴出して、使用者を火傷させるおそれのある蒸気および湯から保護される。
【0053】
さらに、洗浄工程が特定の時間周期で自動的に実行されるようにプログラムされている場合、流出口15は洗浄流体の排出前にハウジング5内に入れられる。したがって、洗浄流体が、正にマシン1が自動洗浄工程を開始しようとしているときに容器充填領域35上に配置されるであろう使用者の容器40に排出される危険性はない。これら状況下において、使用者の容器40に飲料ではなく排出された洗浄液体を意図せずに充填する危険性が排除されることになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(5)と、
流出口(15)を有するダクト(10)と、前記ダクトの上流側にあり、かつ前記ダクトに連結された導管(20)と、
前記流出口から廃液を収集するように配置された廃液収集部(30)と
を備える飲料調製マシン(1)であって、
前記ダクトが、
飲料を前記導管および前記ダクト中に流通させ、前記飲料を、使用者の容器に充填する領域の上方にある、前記ハウジング外部の前記流出口(35)から分注するための動作位置と、
洗浄流体を前記導管および前記ダクト中に流通させ、前記洗浄流体を、前記ハウジング内部にある、前記流出口から前記廃液収集部に排出するための洗浄位置と、
を有する、飲料調製マシン(1)において、
前記ダクトが、前記流出口を前記動作位置と前記洗浄位置との間にて、特に前記動作位置から前記洗浄位置まで枢動することができるよう、前記導管に枢動自在に組み付けられていることを特徴とする、飲料調製マシン(1)。
【請求項2】
前記ダクト(10)が前記ハウジング(5)の外部にある前記導管(20)に枢動自在に取り付けられている、請求項1に記載の飲料調製マシン。
【請求項3】
前記ダクト(10)が前記ハウジング(5)に、または前記ハウジング内部にある前記導管(20)に枢動自在に取り付けられている、請求項1に記載の飲料調製マシン。
【請求項4】
前記ダクト(10)が、ばねおよび/または電気式アクチュエータ、特に電磁石のような電気機械式アクチュエータによって、前記動作位置から前記洗浄位置におよび/またはその逆に動く、請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料調製マシン。
【請求項5】
前記ハウジングが、前記ダクト(10)および/または前記導管(20)が貫通して延びる壁(6)を有し、前記ダクトが、前記壁に対して略平行に延びる枢動軸線(11’)に沿って、特に前記壁の内側および前記壁に沿って、前記導管に枢動自在に組み付けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の飲料調製マシン。
【請求項6】
前記ハウジング(5)が、前記ダクト(10)および/または前記導管(20)が貫通して延びる壁(6)を有し、前記ダクトが前記壁に対して略垂直に延びる枢動軸線(11)に沿って前記導管に枢動自在に組み付けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の飲料調製マシン。
【請求項7】
前記ハウジング壁(6)が前記使用者の容器に充填する領域(35)の境界を定めている、請求項5または6に記載の飲料調製マシン。
【請求項8】
前記廃液収集部(30)が、前記動作位置において、前記流出口から(15)排出される廃棄飲料を収集するように配置されている、および/または、前記廃液収集部(30)が、液体を前記使用者の容器に充填する領域から収集するための機構を有する、請求項1〜7のいずれか1項の飲料調製マシン。
【請求項9】
前記導管(20)が、茶、コーヒー、チョコレート飲料、スープまたはミルク、特に冷たいまたは熱い飲料のような飲料を調製するためのユニットに連結されている、請求項1〜8のいずれか1項の飲料調製マシン。
【請求項10】
前記飲料調製ユニットがミルク加熱用および/またはミルク泡立用の機構を備える、請求項9に記載の飲料調製マシン。
【請求項11】
前記飲料調製ユニットがミルクを空気および/または蒸気と混合するための混合ヘッド、特にベンチュリ式混合ヘッドを備える、請求項10に記載の飲料調製マシン。
【請求項12】
前記洗浄流体として水または水含有流体を、任意選択でスケール除去剤または洗剤とともに流通するように配置されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の飲料調製マシン。
【請求項13】
前記洗浄流体として空気または空気含有流体を流通するように配置されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の飲料調製マシン。
【請求項14】
空気および蒸気および/または水が前記導管(20)を通して順次供給され、前記ダクト(10)の前記流出口(15)から排出される洗浄工程を実施するように配置されている、請求項1〜13のいずれか1項に記載の飲料調製マシン。
【請求項15】
ハウジング(5)と、前記ハウジングの外部に延び、かつ流出口(15)を有するダクト(10)と、前記流出口から廃液を収集するための廃液収集部(30)とを備える、特に、請求項1〜14のいずれか一項に記載の特徴またはいずれかの特徴の組み合わせを備えた飲料調製マシン(1)であって、
前記ダクトが、
飲料を前記ハウジングの外部に延びる前記ダクト中に流通させ、前記飲料を、使用者の容器に充填する領域(35)の上方にある、前記ハウジング外部の前記流出口から分注するための動作位置と、
洗浄流体を前記ハウジングの外部に延びる前記ダクト中に流通させ、前記洗浄流体を前記流出口から前記廃液収集部に排出するための洗浄位置と、
を有する、飲料調製マシン(1)において、
前記洗浄位置にて、前記洗浄流体を前記ハウジング内において前記飲料流出口から前記廃液収集部に排出することができるように、前記流出口が前記ハウジング内に配置されていることを特徴とする、飲料調製マシン。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−518646(P2013−518646A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551608(P2012−551608)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051455
【国際公開番号】WO2011/095511
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】