説明

安全保障すべき情報を含む対象物およびその製造方法

本発明は、コーディング、識別番号、暗証番号等のような安全保障すべき情報(16)と、この安全保障すべき情報(16)を覆う安全保障用カバーステッカ(14)とを備えた対象物(20)に関するものである。記対象物(20)と安全保障すべき情報(16)との間には付加層(30)が配置され、付加層(30)のカバーステッカ(14)に対する接着力が、少なくとも部分的な領域において、付加層(30)の対象物(20)に対する接着力よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全保障すべき情報と安全保障用カバーステッカとを備えた対象物に関し、特に、コーディング、識別番号、暗証番号等の安全保障すべき情報とこの安全保障すべき情報を覆う安全保障用カバーステッカとを備えた対象物に関するものである。本発明はさらにかかる対象物の製造方法ならびに対象物に安全保障的にマーキングを施す方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行カードまたはクレジットカード、プリペイド式テレホンカード等のような有価書類上の秘密の番号、暗証番号またはその他の識別番号を覆うために安全保障用カバーステッカを用いることは公知である。上記カバーステッカは、不透明なスクラッチラベルとして形成されることが多く、このスクラッチラベルは、擦ることによって剥ぎ取ることができ、これによってその下に記されている情報を露出させることができる。上記情報は重大な価値を表すことが多いので、不法なユーザーによる悪用を困難にするかまたは防止するために、あるいは少なくとも一度でも不法操作しようとすればその痕跡が残るようにする多くの対策が提案されている。さもないと、例えば識別番号を組み込んだプリペイド式テレホンカードが不法なユーザーによって使用され、無価値になったことが認識されないカードが再び販売されてしまう可能性がある。
【0003】
特許文献1には、コーディング、識別番号等のための安全保障用カバーとしての自己接着性層を備えたフィルム素子が記載され、このフィルム素子は収縮性フィルム、すなわち低温では伸びている熱可塑性フィルムである。このフィルムを熱によって剥がそうとすると、フィルムは不可逆的に収縮し、不法操作しようとしたことが明らかになる。
【0004】
特許文献2には、アクセスコードをスクラッチラベルで覆ったプリペイド式テレホンカードが提案され、このスクラッチラベルは、透明なベース層と、このベース層上に設けられた擦り取りが容易な複数の不透明なカバー層とを備えている。ベース層は多数の安全保障用スリットを備え、これらスリットはベース層がカバー層とともに一体で剥ぎ取られるのを防止する。と言うよりはむしろ、スクラッチラベルを剥がそうとするとベース層が安全保障用スリットに沿って裂けてベース層がバラバラになり、不法操作しようとしたことが明らかになる。
【0005】
提案されている公知の解決策の欠点は、従来の安全保障用ラベルは剥がすことが比較的容易であり、あるいは例えばメスを用いると、無傷のまま対象物から取り除くことができることである。安全保障された識別番号の不正な読取りにより重大な経済的損失を招来する可能性がある。さらに、不正行為が成功するとユーザーの支持と信用を損なうことになる。
【特許文献1】独国特許第199 62 638 A1号明細書
【特許文献2】英国特許第2 355 431 A 号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、不法操作に対する安全保障性を向上させた、上述した種類の安全保障すべき情報を備えた対象物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、主請求項に記載された特徴を備えた対象物によって解決される。このような対象物の製造方法および対象物に付されたマーキングを安全保障する方法は独立請求項の主題である。本発明の展開は従属請求項の主題である。
【0008】
本発明によれば、上記対象物および安全保障すべき情報は、それら間に1層の付加層を備え、カバーステッカに対するこの付加層の接着力が、少なくとも部分的な領域において、対象物に対する付加層の接着力よりも大きい。この対策は、付加層の対象物に対する接着力とカバーステッカに対する接着力とが異なることにより、カバーステッカを剥ぎ取っても、安全保障すべき情報は見えない状態または判読不能な状態に保たれるので、不法操作に対する安全保障性を著しく向上させる。本発明による解決策はさらに、付加層を印刷によって正確に作成することができるので、カード本体の製造において既に使用されている機器を利用することが可能になり、極めて経済的な対象物の安全保障が可能になる。それ以外の技術的な装置も機器も手の込んだ追加の工程も必要としない。
【0009】
このように本発明は、カバーステッカの構造の改良に取り組むことによってのみでなく、対象物と安全保障すべき情報との間の付加層を通じて、接着されたカバーの開封を困難にすることによって、あるいは一度でも不法操作しようとするとそのことを明らかにすることによって、安全保障性を向上させるという着想に基づくものである。
【0010】
安全保障すべき情報は上記付加層上にインクジェットによって印刷されることが好ましく、特に付加層に黒色で施されることが好ましい。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態によれば、付加層がいずれかの色のインク層、好ましくは白色のインク層で形成される。少なくとも局部的な領域において、付加層がカバーステッカに対してより強く接着されているので、カバーステッカを剥がそうとすると、インク層の一部または全部でさえもカバーステッカに付着する。安全保障すべき情報は、インク層とカバーステッカとの間に見えないようにあるいは判読不能なように封じ込まれ、不法な読取りを不可能にする。
【0012】
もしカバーステッカが剥がされた後に対象物に再び貼付けられるとすると、場合によってはステッカを擦り取ることによって、安全保障すべき情報が見えるようになって判読可能になる。そうすると、不正操作が行なわれたにも拘わらず、対象物は規定どおりに使用可能になる。封印破りをしても、資格のない人には関連情報がアクセス可能にならないので、使用可能性があっても損害を生じることはない。
【0013】
しかしながら、付加層の一部がカバーステッカとともに剥がされる場合には、対象物上に残る情報の破片にそれを正確かつ見当を合わせて貼り付けることは不可能である。したがって、不正操作の試みが擦り取りの際に明らかになり、状況次第で損害賠償を請求したり公表したりすることができる。この場合、不正操作の試みで剥ぎ取られたカバーステッカが、安全保障すべき情報が擦り取り後判読不能になる程度にずれたり捩れたりした状態で貼り付けられることが起こり得る。この判読不能な情報は、封印破りと、持ち主がその情報を知ることが不可能であったことの証拠になり、損害賠償請求が可能になったり対象物の交換が問題なく行なわれるようになる。
【0014】
本発明の別の実施の形態によれば、上記付加層は、少なくとも1層のインク層と、対象物とインク層との間に配置されたさらにもう1層のインク層またはラッカー層からなる多層積層体によって形成される。ラッカー層は、特に紫外線硬化ラッカーによって形成することができる。この部分は、剥がされたカバーステッカ上にある情報の一部を判読可能になるのを阻止するために、インク層が適正な不透明性を保つように構成することを可能にする。対象物上の付加層の接着性は、付加されたインク層またはラッカー層の助けを借りて独立的に調整することができる。この結果はすべて付加層に関する極めて融通性に富んだ選択が可能になる。
【0015】
上述した双方の実施の形態において、安全保障すべき情報の下方に配置されたインク層は、単色インク層によって形成することができる。上記インク層の色は、安全保障すべき情報とその下方に配置されたインク層との間に高いコントラストを生じさせ、かくしてカバーステッカを擦り取った後に良好な判読性を得るために、安全保障すべき情報の色と調和させることができる。それと同時に、インク層は、ステッカとともに剥ぎ取られた情報を、それが見えないように、あるいは判読不能なように覆わなければならない。
【0016】
後者の実施の形態の好ましい展開によれば、上記多層積層体はさらに、ラッカー層と、安全保障すべき情報の下方に配置された第1のインク層との間に、第2のインク層を備えている。この第2のインク層は、不規則な模様を有することができ、かつ安全保障すべき情報に対応する文字が贋の情報を含むことができる。
【0017】
この構成においては、第1のインク層は本質的に、カバーステッカが擦り取られた後の情報の判読性を向上させる機能を有する。これに対して、第2のインク層は、カバーステッカが不法に剥がされたときにのみ現れる。例えば、この第2のインク層は、不規則な帯状模様または波状模様を含むことができる。また、例えば無効な数列のような贋の情報が不法な操作者の開封の成功を誤らすこともできる。贋の情報の模様または特徴の性質は、安全保障すべき情報の特徴または性質にうまく同調せしめられることは明らかである。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態によれば、付加層のカバーステッカに対する接着力は、付加層の対象物に対する接着力よりも大きい。カバーステッカを剥がすと、付加層全体が本質的に剥がれて、安全保障すべき情報は付加層自体とカバーステッカとの間に、見えないように閉じ込められる。
【0019】
あるいは、第1の領域においては、付加層のカバーステッカに対する接着力が、付加層の対象物に対する接着力よりも大きいが、第2の領域においては、付加層のカバーステッカに対する接着力が、付加層の対象物に対する接着力よりも小さいように構成することもできる。カバーステッカを剥がすと、第1の領域に配置されている情報部分はステッカ上に残るが、第2の領域に配置されている情報部分は対象物上に残る。二つの領域に分離されるために、剥がされた後、安全保障すべき情報はもはや解読不能である。
【0020】
第1および第2の領域の大きさ及び形状は、カバーステッカの剥取り後は安全保障すべき情報がもはや解読不能になるように、安全保障すべき情報に都合良く調和せしめられる。第1および第2の領域は、安全保障すべき情報がカバーステッカの剥取りによって、多数の小領域に分割されるように、微細構造を形成することが有利である。例えば、上記微細構造の大きさは、数字または文字の大きく繋がった部分が識別可能に残ることがないように、数列または文言の場合に字母の線幅に対応させることができる。これに関連して、第1および第2の領域が不規則な構造を形成していることも同様に好ましい。これによって、対象物上に残る情報部分の判読性がさらに低下する。
【0021】
有利な実施の形態によれば、上記付加層が、接着力を局部的に異なるように調整する手段を備えている。この手段は、安全保障すべき情報と対象物との間に局部的に施された非付着性ラッカーおよび/または接着促進剤を含むことができる。上記接着力を局部的に異なるように調整する手段は、印刷により対象物上に施されることが好ましい。付加層はオフセット印刷により印刷されることが好ましい。
【0022】
対象物の特に経済的な安全保障を実現するためには、付加層が、そのすべての随意的な層とともに対象物上に印刷されることが好ましい。付加層はオフセット印刷により印刷されることが好ましい。
【0023】
もし付加層がインク層を含む場合には、使用するインクはオフセットインク、特に紫外線硬化インクであることが好ましい。このオフセットインクの主成分は、色素としての通常の顔料と、バインダとしてのアクリル樹脂のようなプレポリマー樹脂と光重合剤である。
【0024】
安全保障すべき情報は、特に秘密の番号または暗証番号のような数列とすることができる。対象物は、例えば有価書類、特に銀行カード、クレジットカード、テレホンカードのようなプリペイドカード、または富くじ券である。
【0025】
用いられるカバーステッカは、従来から知られている接着性ラベルの何れであってもよい。特に、カバーステッカは、通常少なくとも透明な担体と擦り取りカバー層とからなるスクラッチラベルとすることができる。
【0026】
コーディング、識別番号、暗証番号等のような、安全保障すべき情報を備えた対象物を製造するためには、上記情報を備えるべき対象物が提供され、対象物に対して一様な、または局部的に異なる第1の接着力を備えた第1の層を有する付加層が上記対象物に施され、上記安全保障すべき情報が上記付加層に施され、上記安全保障すべき情報に対し、少なくとも部分的領域において上記付加層の上記対象物に対する第1の接着力よりも大きい第2の接着力を有する安全保障用カバーステッカをもって上記安全保障すべき情報が覆われる。
【0027】
上述のように、1層のインク層が付加層として施される。あるいは、対象物に対する第1の接着力を調整するラッカー層が最初に対象物に施され、次いでインク層がラッカー層に施されてもよい。
【0028】
また、現存するインク層に対し、別の色彩および/または別の模様のさらなるインク層を施すようにすることもできる。付加層を施す際には、接着力が局部的に異なるように調整する手段、特に、非付着性ラッカーおよび/または接着促進剤を対象物に局部的に施すこともできる。
【0029】
付加層の諸層は好ましくはオフセット印刷によって印刷されることが好ましい。また、安全保障すべき情報は、インクジェットによって付加層上に印刷されることが好ましい。
【0030】
本発明はさらに、対象物に安全保障的にマーキングを施す方法を含み、これによって、対象物に対して一様なまたは局部的に異なる第1の接着力を有する付加層が対象物に施され、上記マーキングが付加層に施され、かつ上記マーキングが、付加層に対して第2の接着力を有する安全保障用カバーステッカをもって覆われ、上記第2の接着力は、少なくとも部分領域において付加層の対象物に対する第1の接着力よりも大きい。付加層の製造および上記マーキングを設けることは、上述した、安全保障すべき情報を備えた対象物の製造と同様に実行することができる。
【0031】
さらなる実施の形態および本発明の利点は、図面を参照して下記に説明されている。図中に示された比率は必ずしも実在物に対応するものではなく、主として分り易さの改善に資するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下本発明を、プリペイド式テレホンカードの実施例によって詳細に説明する。図1は、数字区画12と、この数字区画12上に貼付されたスクラッチラベル14とを備えたテレホンカード10の概略図を示す。数字区画12上には数列16が印刷されているが、この数列16は、スクラッチラベル14が貼付されると見えなくなるので、図1では破線で示されている。テレホンカード10は、図1には示されていないが、数字区画12の外側には、デザイン印刷、例えば広告印刷が施され、あるいはテレホンカードの使用方法が印刷されている。
【0033】
スクラッチラベル14の擦り取ることができる層は、尖った物か指の爪で擦り取ることができ、これによってその下にある数列16が露出する。スクラッチラベル14が簡単に剥がされたり、再び貼付されたりするのを防止するために、スクラッチラベル14が剥がされるときに裂ける多数の安全保障用スリット18が設けられている。かくして、スクラッチラベル14を剥がそうとする試みは明らかに妨げられる。
【0034】
スクラッチラベル14の安全保障用スリット18に加えて、テレホンカード10は、印刷された数列16の下に付加層を備えて、不法な操作に対する安全保障性を向上させており、この付加層については、図2〜図5を参照した好ましい実施の形態に基づいて詳細に説明する。図2〜図5は、テレホンカード10の図1のA−A線に沿った層構造を示す断面図である。
【0035】
図2に示された実施の形態によれば、テレホンカード10は、紙、プラスチックまたは多層基板で構成することが可能なカード担体22を備えたカード本体20を有する。カード本体20には、数列16の領域内に数字区画12を形成する白抜き部を有するデザイン印刷層24がオフセット印刷により付加されている。
【0036】
デザイン印刷層24および後述する付加層の性質によっては、上記白抜き部を省略してデザイン印刷層24が連続するように構成することも可能である。デザイン印刷層24上には、保護層としての透明な紫外線硬化ラッカー層26が印刷されている。紫外線硬化ラッカー層26も、数字区画12の領域におけると同様の白抜き部を備えて、基板面に対し次に印刷される層の良好な接着性を確保することもできる。
【0037】
図2の実施の形態において、紫外線硬化ラッカー層26の上には、数字区画12の大きさに対応する大きさを有する白インク層30がオフセット印刷により形成されている。上記数列16は、インクジェットにより白インク層30上に印刷され、数字区画12および印刷された数列16は、その上に貼付されたスクラッチラベル14によって覆われている。
【0038】
インク層30のスクラッチラベル14に対する接着力は、少なくとも部分的にインク層30のカード本体20に対する接着力よりも大きい。したがって、例えばメスを用いてスクラッチラベル14を剥ぎ取ることを試みると、インク層30の少なくとも一部がラベル14上に残って一緒に取れてしまい、ももはや判読不能な数列16の破片のみが数字区画12に残る。それと同時に、スクラッチラベル14に貼り付いた白インク層30が、インク層30とラベル14との間に封じ込まれた数列16の一部の判読を阻止する。かくして、テレホンカード10に蓄積されている金額残高を不正操作によって引き出すことは不可能になる。
【0039】
もしスクラッチラベル14が剥がされた後にカード本体20上に再貼付されたとすると、左右が合っているか左右が逆になっているかのいずれかである。次いでラベル14が擦り取られるときに二通りの可能性がある。すなわち、
(1)数列16がなおも読取り可能な場合。もしラベル14が左右は合っていても僅かにずれている状態で再貼付されているとすれば、あるいはもしインク層30のすべてがラベル14に貼り付いるとすれば、この事態が生じ得る。テレホンカード10の金額残高は依然として利用可能である。しかしながら、数列が二つに分離していると、カード本体20上に残っている情報の破片上にラベルを正確かつ見当を合わせて貼り付けることは不可能になり、その結果、擦り取り後に不正操作が明らかになり、場合によっては損害賠償請求が可能になる。
【0040】
(2)数列16がもはや読取り不能な場合。もしラベル14が左右逆にあるいは大きくずれて貼り付けられているとすれば、この事態が生じ得る。判読不能な情報は、第1に不正操作の、第2に持ち主が金額残高を利用することが不可能であった事実の証拠となる。したがって、損害賠償請求またはカードの交換が可能になる。
【0041】
図3の実施の形態は、付加層の構成においてのみ図2の実施の形態と異なるが、カード本体20、数列16およびスクラッチラベル14は上述と同様に形成される。図3によれば、数列16とカード本体20との間に付加層32が配置されており、この付加層32は、カード本体20上に印刷された例えば紫外線硬化ラッカー層であるラッカー層34と、このラッカー層上に印刷されたインク層36からなる。
【0042】
上記ラッカー層34は、スクラッチラベル14に対する付加層32の接着力が、少なくとも部分的な領域において、カード本体20に対する付加層32の接着力よりも大きくなるように、カード本体20に対する付加層32の接着力を調整することを可能にする。上記インク層36は、一方で数列16のためのベース面として機能し、他方で、スクラッチラベル14とともに剥ぎ取られる数列16の一部が読み取られるのを阻止する。この付加層32の二層構造は、同時にインク層36の外観のコントラストおよび不透明性を最適化しながら、付加層32とカード本体20との間の接着特性の精密な調整を可能にする。
【0043】
図4の実施の形態においては、カード本体20に対し非付着性ラッカー38が所々に施されて、その場所における付加層42の接着力を低減している。この非付着性ラッカー38上には、非付着性ラッカー38の無い場所において付加層42をカード本体20にしっかりと連結する接着促進層40が印刷されている。かくして、付加層42においては、ラベル14の剥取り時に分離される、カード本体20に対する接着力の異なる二つの領域が生じている。
【0044】
非付着性ラッカー38を備えた場所の上にある付加層42の第1の領域は、ラベル14の剥取り時に、上にある数列16の一部とともに剥ぎ取られる。他の場所にある第2の領域はカード本体20上に残る。これら第1および第2の領域の大きさおよび形状は、カード本体20上に残る情報部分がもはや判読不能なことを保障するために、この場合は数列である安全保障すべき情報に調和せしめられる。例えば、非付着性ラッカーは、密に近接した不規則形状の湾曲した形状に印刷される。
【0045】
本発明のさらなる実施の形態が図5に示されている。この構成においては、数列16の下に配置された第1のインク層36および接着力を調整するためにカード本体20上に印刷されたラッカー層34のみでなく、第1のインク層36とラッカー層34との間に配置された第2のインク層44を有する。第1のインク層36の色彩は、数列16の良好な判読可能性を得るために選択されるが、第2のインク層44は、ラベル14の剥取り後、ラベル14に付着した数列16の一部を判読不能にすることに寄与する。この目的のために、本実施の形態においては、第2のインク層44が不規則な曲がった模様の微細構造を有する。また第2のインク層44は、不法操作者による干渉の成功を阻止するために、無効の数列の形態の贋情報を備えることもできる。図5の2層のインク層44,36も、非付着性ラッカー/接着促進剤構造の組み合わせとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態の形態による、スクラッチラベルを貼り付けられた有 価カードを示す概略図である。
【図2】本発明の他の実施の形態の形態による、スクラッチラベルを貼り付けられた有価カードを断面図で示す概略図ある。
【図3】本発明の他の実施の形態の形態による、スクラッチラベルを貼り付けられた有価カードを断面図で示す概略図ある。
【図4】本発明の他の実施の形態の形態による、スクラッチラベルを貼り付けられた有価カードを断面図で示す概略図ある。
【図5】本発明の他の実施の形態の形態による、スクラッチラベルを貼り付けられた有価カードを断面図で示す概略図ある。
【符号の説明】
【0047】
10 テレホンカード
12 数字区画
14 スクラッチラベル
16 数列
18 スリット
20 カード本体
22 カード担体
24 デザイン印刷層
26,34 ラッカー層
30,36,44 インク層
32 付加層
38 非付着性ラッカー層
40 接着促進層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全保障すべき情報(16)と該安全保障すべき情報(16)を覆うための安全保障用カバーステッカ(14)とを備えた対象物(20)であって、
前記対象物(20)と前記安全保障すべき情報(16)との間に付加層(30,32,42,46)が配置され、該付加層(30,32,42,46)の前記カバーステッカ(14)に対する接着力が、少なくとも部分的な領域において、前記付加層(30,32,42,46)の前記対象物(20)に対する接着力よりも大きいことを特徴とする対象物(20)。
【請求項2】
前記安全保障すべき情報(16)が、前記付加層(30,32,42,46)上にインクジェットにより印刷されていることを特徴とする請求項1記載の対象物(20)。
【請求項3】
前記安全保障すべき情報(16)が、前記付加層(30,32,42,46)上に黒色で施されていることを特徴とする請求項1または2記載の対象物(20)。
【請求項4】
前記付加層が1層のインク層(30)により形成されていることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の対象物(20)。
【請求項5】
前記付加層が、多層積層体(32,42,46)によって形成され、かつ少なくとも1層のインク層(36)と、前記対象物(20)と前記インク層(36)との間に配置された少なくとも1層のさらに別のインク層またはラッカー層(34,38,40)とを備えていることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の対象物(20)。
【請求項6】
前記ラッカー層が紫外線硬化ラッカー(34)で形成されていることを特徴とする請求項5記載の対象物(20)。
【請求項7】
前記安全保障すべき情報(16)の下方に位置しているインク層(30,36)は、白インク層であることが好ましい単色インク層で形成されていることを特徴とする請求項4から6いずれか1項記載の対象物(20)。
【請求項8】
前記安全保障すべき情報(16)の下方に位置しているインク層(30,36)が、前記安全保障すべき情報(16)と色彩を調和せしめられて、前記安全保障すべき情報(16)とその下方に位置しているインク層(30,36)との間に高いコントラストを生じさせていることを特徴とする請求項4から7いずれか1項記載の対象物(20)。
【請求項9】
前記多層積層体(46)が、前記ラッカー層(34)と前記安全保障すべき情報(16)の下方に位置している第1のインク層(36)との間に配置された第2のインク層(44)を備えていることを特徴とする請求項5から8いずれか1項記載の対象物(20)。
【請求項10】
前記第2のインク層(44)が不規則な模様を有することを特徴とする請求項9記載の対象物(20)。
【請求項11】
前記第2のインク層(44)が、前記安全保障すべき情報(16)に対応する特徴を有する贋の情報を含むことを特徴とする請求項9または10記載の対象物(20)。
【請求項12】
前記付加層(30,32,42,46)の前記カバーステッカ(14)に対する接着力が、前記付加層(30,32,42,46)の前記対象物(20)に対する接着力よりも大きいことを特徴とする請求項1から11いずれか1項記載の対象物(20)。
【請求項13】
第1の領域においては、前記付加層(30,32,42,46)の前記カバーステッカ(14)に対する接着力が、前記付加層(30,32,42,46)の前記対象物(20)に対する接着力よりも大きく、かつ第2の領域においては、前記付加層(30,32,42,46)の前記カバーステッカ(14)に対する接着力が、前記付加層(30,32,42,46)の前記対象物(20)に対する接着力よりも小さいことを特徴とする請求項1から11いずれか1項記載の対象物(20)。
【請求項14】
前記第1および第2の領域が微細構造を形成していることを特徴とする請求項13記載の対象物(20)。
【請求項15】
前記第1および第2の領域が不規則構造を形成していることを特徴とする請求項13または14記載の対象物(20)。
【請求項16】
前記第1および第2の領域の大きさおよび形状が、前記カバーステッカ(14)の剥取り後はもはや前記安全保障すべき情報(16)の判読が不能なように前記安全保障すべき情報(16)に調和せしめられていることを特徴とする請求項13から15いずれか1項記載の対象物(20)。
【請求項17】
前記付加層(42)は、接着力が局部的に異なるように調整する手段(38,40)を備えていることを特徴とする請求項13から16いずれか1項記載の対象物(20)。
【請求項18】
前記接着力が局部的に異なるように調整する手段が、前記安全保障すべき情報(16)と前記対象物(20)との間において該対象物(20)に局部的に施された非付着性ラッカー(38)を備えていることを特徴とする請求項17記載の対象物(20)。
【請求項19】
前記接着力が局部的に異なるように調整する手段が、前記安全保障すべき情報(16)と前記対象物(20)との間において該対象物(20)に局部的に施された付着促進剤(40)を備えていることを特徴とする請求項17または18記載の対象物(20)。
【請求項20】
前記接着力が局部的に異なるように調整する手段(38,40)が、印刷によって前記対象物(20)に施されていることを特徴とする請求項17から19いずれか1項記載の対象物(20)。
【請求項21】
前記付加層(30,32,42,46)が前記対象物(20)上に印刷されたものであることを特徴とする請求項17から19いずれか1項記載の対象物(20)。
【請求項22】
前記付加層(30,32,42,46)がオフセット印刷により前記対象物(20)上に印刷されたものであることを特徴とする請求項21記載の対象物(20)。
【請求項23】
前記安全保障すべき情報(16)が数列、特に秘密の番号または暗証番号であることを特徴とする請求項1から22いずれか1項記載の対象物(20)。
【請求項24】
前記対象物(20)が有価書類、特に銀行カード、クレジットカード、テレホンカードのようなプリペイド式有価カードであることを特徴とする請求項1から23いずれか1項記載の対象物(20)。
【請求項25】
前記カバーステッカが接着性ラベル、特にスクラッチラベル(14)であることを特徴とする請求項1から24いずれか1項記載の対象物(20)。
【請求項26】
安全保障すべき情報を備えた対象物の製造方法であって、
a)前記情報を備えるべき対象物を提供し、
b)該対象物に対して第1の一様なまたは局部的に異なる接着力をもって付加層を施し、
c)前記安全保障すべき情報を前記付加層に施し、
d)前記付加層の前記対象物に対する前記第1の接着力よりも少なくとも部分領域において大きい第2の接着力を有する安全保障カバーステッカをもって前記安全保障すべき情報を覆う、
諸工程を有してなることを特徴とする安全保障すべき情報を備えた対象物の製造方法。
【請求項27】
前記工程b)において前記付加層としてインク層を施すことを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記工程b)において、
b1)前記対象物に対する前記第1の接着力を調整するラッカー層を前記対象物に施し、
b2)前記ラッカー層にインク層を施すことを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項29】
b3)現存するインク層に対し、異なる色彩および/または異なる模様のさらに別のインク層を施す工程を含むことを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記工程b)において、接着力を局部的に異ならす調整手段を前記対象物に施す、特に非付着性ラッカーおよび/または接着促進剤を局部的に施すことを特徴とする請求項26から29いずれか1項記載の方法。
【請求項31】
前記工程b)において、前記付加層を好ましくはオフセット印刷により印刷することを特徴とする請求項26から30いずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記工程c)において前記安全保障すべき情報を前記付加層上にインクジェットにより印刷することを特徴とする請求項26から31いずれか1項記載の方法。
【請求項33】
対象物に安全保障的にマーキングを施す方法であって、
a)マーキングを付せられるべき対象物を提供し、
b)該対象物に対して第1の一様なまたは局部的に異なる接着力をもって付加層を施し、
c)該付加層にマーキングを施し、
d)少なくとも部分領域において、前記付加層の前記対象物に対する第1の接着力よりも大きい第2の接着力を有する安全保障カバーステッカをもって前記マーキングを覆う、
諸工程を含むことを特徴とする、対象物に安全保障的にマーキングを施す方法。
【請求項34】
前記工程b)において前記付加層としてインク層を施すことを特徴とする請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記工程b)において、
b1)前記対象物に対する前記第1の接着力を調整するラッカー層を前記対象物に施し、
b2)前記ラッカー層にインク層を施すことを特徴とする請求項33記載の方法。
【請求項36】
b3)現存するインク層に対し、異なる色彩および/または異なる模様のさらなるインク層を施す工程を含むことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記工程b)において、接着力を局部的に異ならす調整手段を前記対象物に施す、特に非付着性ラッカーおよび/または接着促進剤を局部的に施すことを特徴とする請求項33から36いずれか1項記載の方法。
【請求項38】
前記工程b)において前記付加層を好ましくはオフセット印刷により印刷することを特徴とする請求項33から37いずれか1項記載の方法。
【請求項39】
前記工程c)において前記マーキングを前記付加層上にインクジェットにより印刷することを特徴とする請求項33から38いずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−505433(P2006−505433A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550985(P2004−550985)
【出願日】平成15年11月11日(2003.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012591
【国際公開番号】WO2004/044080
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(596007511)ギーゼッケ ウント デフリエント ゲーエムベーハー (47)
【氏名又は名称原語表記】Giesecke & Devrient GmbH
【Fターム(参考)】