説明

安全性、車両性能の標準化かつ/または種々の規制を対象とする都市および都市外の道路網を制御するための双方向制御システム

本発明は、概して道路工学および交通安全の技術に関し、安全性、車両性能の標準化かつ/または種々の規制を対象とする都市および都市外の道路網を制御するための双方向制御システム(1)に関し、当該双方向制御システムは、前記規制を表示するための前記道路網(R)の全域に配置された道路標識手段(2)と、車両(A)に搭載されるように設計された複数の遠隔装置(3)と、交通状況についての第1のデータを収集するための第1の検出手段(4)と、この第1の検出手段(4)に接続され、かつ、第1のデータを処理して情報をユーザに提供する道路標示手段(2)に接続された中央制御装置(5)と、第1のデータを道路標識手段(2)から遠隔装置(3)に受信/送信するための、道路標識手段(2)に連結されたトランシーバ手段(6)と、を備えており、道路標識手段(2)および遠隔装置(3)はユーザに情報を提供するための画像かつ/または文字を表示するために第1および第2の双方向手段(8,9)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して道路工学および交通安全の技術分野に関し、都市部および都市外の道路網を制御するための双方向制御システムに関するものである。
【0002】
より詳細には、本発明は、車両の運転者にとってこの車両が走行する道路区間に関するデータの使いやすさを向上させた制御システムを提供するものであり、道路標識と同じ量もしくはこれよりも少ない量のデータを用いるものである。
【背景技術】
【0003】
どの国においても、道路網は一般に道路標識を有しており、交通の流れを円滑にしかつ制御するため、また、事故もしくは危険な状況を制限するために、ユーザに指示を与える。
【0004】
このように、道路標識は、路面表示および道路標識という主に2つのグループに分けられる。第1のグループは、ユーザが例えば停止箇所、車線分離帯、レストエリア、追い抜き禁止または車線変更禁止区域を認識できるように路上に配置された着色された文字およびラインを含み、右左折等が可能か否か等を表示するものである。
【0005】
一方、第2のグループは、基本的に様々な種類のポスト(標識)(すなわち信号機および路上のライト等)を含む。標識は、例えば、障害、停止箇所、狭くもしくは広くなっている箇所、様々な種類の警告、制限速度、道路名、場所、町、特定の場所への行き方の表示などがある。
【0006】
一般に信号機および路上のライトは、交差点といった重要な箇所での交通整理を助け、あるいは、上記の表示と比較し、特に急カーブや線路といった危険な区間の存在についてより効果的な表示を提供する。
【0007】
このように、道路標識は、可能な限り幅広い情報をユーザに伝える目的で提供され、ユーザが車両を自身および他人のために最大限に安全に運転し、該当する道路区間に関して可能な限り便利に常に情報を提供する。
【0008】
データを常にアップデート(更新)するために、動的な道路標識、すなわち特定の状況に応じて標識を変化することができる道路標識も知られている。この例としては、交通量が多いときまたは悪天候の場合に異なる制限速度を示すようになされている道路標識である。
【0009】
しかしながら、これでも充分ではなく、なぜなら、運転者は道路標識の表示に常に注意することが要求されるが、技能不足により、また過剰な道路標識や、道路標識の不適切な配置(特定の状況で読むのが困難となる場合など)により、あるいは、他のユーザの危険運転等の周囲の状況もしくは出来事にユーザの注意が注がれるために、常に注意することができないからである。
【0010】
係る欠点を除去するために、特許文献1は、道路標識手段が必要な情報を与えるバーコードを含む速度検出システムを開示し、一方、係るバーコードを読み込み、ユーザに利用可能なスクリーンまたはモニタで読むことができるデータを表示するために車両に搭載される装置を開示する。
【0011】
技術の進化によって、このシステムは、車両に搭載された特別な装置(受信したデータをスクリーンに表示する)に情報を送信するトランシーバによって取って代わられた。この装置の例は、特許文献2および特許文献3において開示されている。両特許は、違いがあるにしても、共にワイヤレス手段によって、道路標識に表示されるもののデータを受信するために道路網に沿って配置された通信網と通信する車載装置に関するものである。これに関し、車両がその道路区間の制限速度を上回る速度で走行する場合、受信データを表示するだけでなく、車両速度の比較も行って自動的に減速させる装置も公知である。この装置の例は、特許文献4および特許文献5において開示されている。
【0012】
しかしながら、上記特許は、静的な道路標識手段のみに関するものであり、表示された情報を変更することができず、ユーザがアップデートされた情報を受信できるように通信網が加えられているが、この情報は先の道路標識手段の表示と異なることが多い。
【0013】
安全性のために、車載された装置がその車両の様々なセンサからの情報を処理して運転者の運転行為の情報を得るようになされた特許も知られている。収集したデータが、道路網上のワイヤレス通信網から得た安全基準かつ/または安全規制に適合しない場合、これらの装置は車内の照明から発信される光信号を用いて、あるいは特定のデータを通信網に送信することによって、他の運転者または警察にその表示を提供する。上記の例は、特許文献6、特許文献7、および特許文献8に開示されている。
【0014】
しかしながら、これらの解決策も、それらの標識が静的な情報を表示するという欠点を有する。更なる例は特許文献9において開示されており、ワイヤレス通信網が道路状態のデータ(例えば障害など)を車載装置に発信するために用いられる。係る表示は、ランダムな出来事かつ/または予想外の出来事が反映されない道路標識によって提供される表示とは無関係なものである。
【0015】
このことは、表示された情報と受信した情報との間の明らかな矛盾によってユーザが混乱するという更なる欠点がある。
【0016】
また、上記の先行技術文献のいずれによってもカバーされない特定の状況に関する問題が存在する。例えば、交通が規制され、また少なくとも特定の時間進入が制限されるエリアまたは道路が存在する。進入制限(制御)は複雑なものであることが多く、静的な情報を有しかつ規則およびレートを表示する、特別な標識の提供を必要とする。規則が複雑なため、これらの標識は大量の情報を有しており、その車両から運転者が読むことができず、それゆえ運転者は止まり、車両から出てその情報を読む必要がある。
【0017】
同様の問題は、有料駐車場またはディスク駐車制の駐車場においても起こる。駐車時間かつ/または駐車料金は、特定の時間および日によって変更し得る。この場合はやはり、運転者は提供された標識を読むために車両を止めて降りる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第6,213,401号公報
【特許文献2】米国特許第7,010,397号公報
【特許文献3】米国特許第6,864,784号公報
【特許文献4】米国特許第6,166,658号公報
【特許文献5】独国特許第19951213号公報
【特許文献6】米国特許第6,643,578号公報
【特許文献7】米国特許第6,502,035号公報
【特許文献8】米国特許出願第2007/0242337号公報
【特許文献9】欧州特許出願第1 313 078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の主たる目的は、道路網についての基準かつ/または規制ついて一時的なものであってもユーザに対して常にアップデート(更新)することができる道路網を制御するための双方向制御システムを提供することによって上記欠点を解消することである。
【0020】
更なる目的は、ユーザが係る情報を迅速かつ便利に得ることができる制御システムを提供することである。
【0021】
別の目的は、ユーザを混乱させることなく交通安全を向上させる制御システムを提供することである。
【0022】
更に別の目的は、通行が規制されている区域、進入が管理されている区域、駐車場等を表示し、これらを管理するために用いられるのに特に適している制御システムを提供する。
【0023】
これらの目的または他の目的は、以下に詳細に記載され、主たる請求項で規定されているように、安全性、車両性能の標準化かつ/または種々の規制を対象とする都市および都市外の道路網を制御するための双方向制御システムによって充足される。
【課題を解決するための手段】
【0024】
特に、本制御システムは、
前記規制を表示するための前記道路網(R)の全域に配置された道路標識手段(2)を備えており、
車両(A)に搭載されるように設計された複数の遠隔装置(3)を備えており、各遠隔装置(3)は、現在速度、平均速度、駐車時間、右左折、道路変更等の前記車両の静的および動的パラメータに関する第1のデータを検出および記憶する手段を備えており、
道路網(R)の少なくとも一部においてユーザに情報を提供するための前記道路標識手段(2)に接続された少なくとも一つの中央制御装置(5)を備えており、前記道路標識手段(2)は、前記情報を前記ユーザに提供するために画像かつ/または文字を表示する第1の双方向手段(8)を含み、前記遠隔装置(3)は前記情報を各ユーザに表示するための第2の双方向手段(9)を有しており、
前記道路標識手段(2)と前記遠隔装置(3)との間の前記情報の受信/送信のための、前記道路標識手段(2)と結合されたトランシーバ手段(6)を備えており、
前記車両の静的および動的パラメータに関する前記第1のデータを処理し、前記情報と比較し、前記中央制御装置(5)に送信される第2のデータを生成するために、各遠隔装置(3)に少なくとも一つの電子処理装置(10)を備えており、前記第2のデータは、駐車規制ゾーンにおける前記車両(A)の駐車時間や、交通規制ゾーンの進入といった規制に対するユーザの行動に関するデータを含む。
【0025】
明らかな利点は、道路標識と車両内の両方において、直ぐに使用できるアップデートされた情報を同時に利用することができることである。これにより、設置された道路標識の数を減少させることができ、ユーザの混乱を防ぎ、更に、環境および交通状況によって何時においても情報を制御し変更することができる。
【0026】
好適には、双方向手段は少なくとも一つのディスプレイを含んでおり、これは、特に第2の双方向手段の場合に、タッチスクリーン型であり得、ユーザが遠隔装置を通して特定の情報を入力または要求することが可能である。このことは、ユーザが一覧情報(駐車料金など)を欲しいときに特に有用である。
【0027】
自動的に金銭の支払いがなされるように構成されてもよく、これによりユーザが駐車場に入るときに係る操作に手間をかける必要はなくなる。
【0028】
本発明の一態様において、遠隔装置の電子処理装置が交通状況についての第3のデータを処理して前記中央制御装置に伝送する。
【0029】
一般的に、第3のデータは、障害(物)、交通の遅延、渋滞、悪天候、駐車場の一時的な満車、進入制限区域、駐車制限区域の存在といった現在の状況の表示に関するデータを含むことができ、一方、第2のデータは、係る基準かつ/または規制が破られた場合(例えば速度超過、追い越し禁止区間での追い越し、禁止箇所での右左折等、規制区域または禁止区域への無許可の侵入、許可された時間を越える駐車など)に関するデータを含むことができる。
【0030】
従って、本発明の双方向制御システムは道路標識と車載の遠隔装置とを介して道路網のユーザに常時アップデートされた情報を実質的に提供する。これにより、駐車管理および進入規制区域といった、入手困難な情報の場合であっても、便利にかつ完全にこの情報を利用することができる。更に、ユーザは、不注意や他の理由により道路標識手段の表示を見落としてしまったとしても、道路網の状況について常時アップデートされる。
【0031】
本発明の別の態様において、遠隔装置と道路標識手段との間の通信は双方向で行われ、安全のための道路規則またはその他の規則の違反について政府当局に警告をすることができる。
【0032】
更に、警察は、ユーザの車載遠隔装置と通信することができる車載装置を設置することができ、ユーザの運転状況だけでなく、例えば、照合確認のためのオーナー情報のチェック、税金および保険が正しく払われたこと、または車両盗難報告が提出された否かについてのチェックを行なうことができる。
【0033】
これにより、警察は制御(取締り)の回数を増やすことができ、ユーザにとって面倒かつ時間のかかる、かつ警察にとって危険な道路封鎖の必要性を回避することができる。
【0034】
本発明の更なる特徴および利点は、本発明の双方向制御システムの好適な実施形態の詳細な説明および添付の図面においてより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明による道路網を制御するための双方向制御システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明による、安全性、車両性能の標準化かつ/または種々の規制を対象とする都市および都市外の道路網を制御するための双方向制御システム1を示している。まず、これは、前記安全規制および車両規制その他の規制を表示するために道路網Rの至る所に配置される道路標識または標識手段2を含む。
【0037】
複数の遠隔装置も提供され、これらの遠隔装置は車両Aに搭載されるように設計されており、これらの遠隔装置の各々が、車両の静的または動的パラメータ(例えば現在の速度、平均速度、駐車時間、右左折、道路の変化等)に関する第1のデータの検出および記憶手段を備えている。
【0038】
好適には、本発明の双方向制御システム1は、少なくとも一つの中央制御装置5を備えており、この中央制御装置5は、道路網Rの少なくとも一部においてユーザに情報を提供するための道路標識手段2に接続されている。これらの道路標識手段2は、ユーザに情報を提供するために画像かつ/または文字を表示するための第1双方向手段8を含む。また、遠隔装置3は、各ユーザのための情報を表示するための第2双方向手段9を備えており、運転者は自身の車両に快適に座っている。
【0039】
このように、双方向制御システム1は、道路標識手段2と遠隔装置3との間の情報受信/情報伝送のための、道路標識手段2連結されるトランシーバ手段6を含む。
【0040】
遠隔装置3は、少なくとも一つの電子処理装置10も含んでおり、この電子処理装置10は、この車両の静的および動的パラメータに関する第1のデータを処理して、第1のデータをこの情報と比較し、主制御装置5に送信されるべき第2のデータを生成する。この第2のデータは、例えば駐車制限ゾーンにおける車両Aの駐車時間かつ/または通行制限ゾーンへの進入といったユーザの行動に関するデータが含まれる。
【0041】
上記のように、本発明の利点は、道路標識および車両のアップデートされた直ぐに使用できる情報を瞬時に利用できるところにある。これにより、道路標識が少なくてすみ、送信される情報は任意の時に制御することができ、変更することができる。特にこのことは、駐車ゾーンおよび進入制限ゾーン等に関連する入手困難な情報を便利にかつ最大限に利用することができる。
【0042】
本発明の一態様によると、制御システムは、道路網Rに沿う交通状況についての第3のデータを収集するための第1の検出手段4を含む。
【0043】
更に、中央制御装置5が第1の検出手段4に連結されており、第3のデータを処理して関連する情報を道路網Rの少なくとも一部のユーザに提供する。
【0044】
上記のように、道路標識と車両の両方のアップデートされた直ぐに使用できる情報を同時に得ることができるという利点を提供し、これにより本発明の装置は従来技術の欠点を回避することができる。
【0045】
上記により、好適な実施形態において、中央制御装置と、動的な道路標識と、遠隔装置との間の通信を提供するシステムは双方向に動作可能であることを明確に示す。特に、道路標識と遠隔装置の間の通信は一般にワイヤレストランシーバ装置を介してなされ、道路標識と中央制御装置の間の接続はケーブルまたはワイヤレストランシーバ装置によってなされることができる。
【0046】
双方向手段8、9は、一般に、少なくとも一つのディスプレイ11、12を備えており、これらのディスプレイ11、12は、第2の双方向手段9の場合に、有利なタッチスクリーン型であることができ、上記のようにユーザが遠隔装置を介して特定の情報を入力または要求することができる。
【0047】
本発明の制御システム1の真価および有用性は、特に、第1のデータに基づき生成された情報が常にアップデートされ、道路標識手段2(よって静的情報ではない動的情報を表示する)と、車両Aの遠隔装置3の両方に表示されることにある。
【0048】
よって、第3のデータは、障害、交通の遅れ、渋滞、悪天候、一時的な駐車禁止エリア、進入制限ゾーン、駐車制限ゾーン等の存在といった現時点の状況に関するデータを含む。
【0049】
交通安全を強化するために、各遠隔装置3を、第2のデータを中央制御装置5に送信するように構成することができる(第2のデータは、規制に反する出来事に関するものである)。よって、各遠隔装置3は、第1、第2かつ/または第3のデータの記憶のための手段を含んでいる。
【0050】
上記のように、警察が、本部とユーザの車両内遠隔装置の両方と連絡することができる車載装置を装備し、車両が盗難車か否か、税金が支払われているか否か、保険に加入しているか否か、特に、ユーザが違反等を犯していないかをチェックすることも考えられる。
【0051】
これにより、ユーザにとって面倒かつ時間のかかる、かつ警察にとって危険な道路封鎖の必要性を回避し、なお制御(取締り)の機会を増やすことができる。
【0052】
現在の制御システム1が特に道路網Rの管理に用いられるように特に設計されることに留意すべきである。例えば、通行制限ゾーン、駐車制限エリア、有料駐車場での進入の管理および制御において用いることができる。このように、例えば、第2のデータは駐車制限ゾーンの車両Aの駐車時間に関するデータや、通行制限ゾーン等への進入許可に関するデータを含む。
【0053】
上記の制限等の全てのために要求される情報を補うものとして、第1のデータは、遠隔装置が取り付けられた車両のメーカー、モデル、ナンバープレートに関する第2の情報も含むことができ、それによりこれらの情報の認識が容易になる。
【0054】
本発明の別の態様では、遠隔装置3の電子処理装置10は、車両ユーザの識別のための手段に好適に接続されており、この手段には、例えば、指紋検出器やこれに類似する生体パラメータ検出器かつ/または英数字キーパッドが含まれる。従って、第1のデータは、ユーザ情報も含む。
【0055】
各遠隔装置3が、第1のデータを得るための第2の検出手段を含むことは明らかである。これらの第2の手段(図示せず)は、一般に、車両速度、車道における車両位置、障害物または他の車両との接近度ならびに他の類似するデータを決定するために一以上のセンサを含む。更に、第2の検出手段は、第1のデータが車両位置の表示を含むことができるように、車両位置検出手段(一般にGPSレシーバを含む)を含む。
【0056】
第1の検出手段4は、一般的に、道路網Rに沿って配置され、かつ、オペレータに利用可能な中央制御装置5かつ/または一つあるいは複数のディスプレイに動作可能に接続された、複数のセンサーかつ/または複数のカメラ15を含む。
【0057】
作動中、中央制御装置5は、道路網Rの安全性、車両性能の標準化かつ/または種々の規制に関する情報の、道路標識手段2および遠隔装置3への表示を制御する。
【0058】
第1の検出手段4は、ユーザに与えられる情報の変化を引き起こす道路網Rの状況を監視するのに有効である。
【0059】
例えば、事故または予想外の障害の場合に、中央制御装置5は、速度制限や事故かつ/または障害の存在に関連する情報が、適切な道路標識手段2に表示され、また、トランシーバ手段6を介して関連する遠隔装置3に表示されるように監視する。
【0060】
特に、制限速度の降下を事故現場や障害から適当な距離で表示し、事故現場かつ/または障害に到達するまで制限速度を段階的に下げることが考えられる。渋滞の場合には、その渋滞の列が長くなるにつれ、係る表示がなされることが考えられる。
【0061】
本発明の別の態様では、この情報は、過剰な渋滞を回避し、交通整理をするために、強制的な右左折や、道路網Rの次ぎの区域への進入禁止を表示することができる。
【0062】
この規制には多くの状況が含まれるのであって、それぞれの状況が中央制御装置5によって作られるそれぞれ異なる種類の情報を作り出し、この情報は道路表示手段2および遠隔装置3を介してユーザに提供される。
【0063】
一般に、双方向手段8、9を介してユーザに提供される情報は、例えば、現在の制限速度や、一時的に狭くなった道路箇所や、渋滞や、一時的な障害(物)や、現在進入禁止の区間に関するものである。
【0064】
上記のように、本発明の別の態様では、制御システム1は、監督当局かつ/または危険な行為をしている他のユーザや特定のユーザに警告することにより、交通安全を改善するために用いられる。
【0065】
この目的のために、遠隔装置3のローカルの電子処理装置10は、道路標識手段2から受信する第2のデータを処理し、それを、車両Aの静的かつ/または動的パラメータ(すなわちユーザの運転挙動)を含む第1のデータと比較する。係る挙動が交通規則違反を含む場合、中央制御装置5に送信するために第2のデータを処理することにより、その瞬時の表示が他のユーザおよび警察に提供され、他のユーザが危険な状況を回避することが可能となり、警察が違反を犯しているユーザを止め、刑罰を科すことを可能にする。
【0066】
本発明の格別な利点は、制御システム1が道路網R上で他の情報およびサービスをより便利に使用することを可能にすることである。
【0067】
このことは、その都市が一日のうち特定の時間に交通規制が行なわれるゾーンを含む場合に、その頻度が増す。ここで、本発明の制御システム1は、特定の時間におけるそのゾーンへの進入の可否に関して常にアップデートされた情報を提供する。
【0068】
更に、このシステムは、進入を適切に制御することができ、無許可の進入を表示し、罰金を課すことができる。また、制限された駐車区域に関して、上記のように、ディスク駐車制区域(日中に所定の時間駐車が許される区域または、駐車料金が日中に変化する区域)、または、一時的にディスク駐車制となり、他の時間は無料駐車となる駐車区域がある。繰り返して書くが、制御システム1は正確な情報をユーザに提供するのであって、ユーザが道路標識を見ることを必要とせず、さもなければ、道路標識はこの場合非常に多くの情報を有することとなり係る情報を読むためにユーザが車両Aを止めて車両から出る必要が生じる。
【0069】
更に、許された時間を越えて駐車するといった違反行為の表示に加え、ユーザの識別により自動支払いが可能となる。実際に、ユーザは自動支払いサービスに登録することができ、ユーザの口座引き落とし、クレジットカード引き落とし等を利用することができる。これにより、自動駐車および自動支払いが可能となり、ユーザを面倒から解放し、サービスを向上するという利点を提供する。
【0070】
本発明の更に別の態様では、遠隔装置3は、携帯電話会社のSIMカードからなる、携帯電話通信ネットワークへの接続手段を含む。
【0071】
通行制限ゾーン(進入制御システムの環境への影響に配慮した規制がある都心部を含む)への進入を制限するための携帯電話通信ネットワークへの接続手段の使用の例を以下に記載する。
【0072】
高速道路自動進入に伴って発せられる信号と同じ信号によって、ログイン・パラメータを入力する要求がなされ得る。遠隔装置3は、ユーザが進入を許されるか否かについて、また、料金を支払う必要があるか否かについて表示する。この場合、遠隔装置3は、SMS(Short Message Service:ショート・メッセージ・サービス)をサービスセンターに送信して進入を可能にし、SIM(Subscriber Identity Module :加入者識別モジュール)カードに支払い請求をする。
【0073】
駐車料金も支払うことができることは明らかである。この場合、駐車場管理者と携帯電話通信会社との間で契約し、駐車場管理者が無料のエリアデータを提供し、ユーザの予約を取ることもできる。ここで、SIMカードのID番号または電話番号を、ユーザIDとして使用することができる。
【0074】
また、現在緊急通話はSIMカード無しで行なうことができるが、これは音声通話のみである。遠隔装置3のSIMカードの存在により、警察へのデータ送信が可能となる。
【0075】
上記の開示により、本発明の双方向制御システムは、特に道路網についての基準かつ/または規制(一時的なものも含む)について常にユーザに対しアップデートすることを可能にし、その目的全てを充足することが分かる。
【0076】
すなわち、主な実施形態およびその変形を通して本発明は交通安全を向上させるものであり、通行制限や、進入制限ゾーンや、駐車区域等の表示および制御に関する情報に迅速かつ便利にユーザがアクセスできるようにするものである。
【0077】
添付の特許請求の範囲に記載された発明の原理において、本発明の制御システムに様々な変更を加えることができることが理解されよう。
【0078】
更に、様々なニーズに従って、技術的に均等な要素、部品、大きさ、形状、材料を変更することも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全性、車両性能の標準化かつ/または種々の規制を対象とする都市および都市外の道路網を制御するための双方向制御システムであって、
前記規制を表示するための前記道路網(R)の全域に配置された道路標識手段(2)を備えており、
車両(A)に搭載されるように設計された複数の遠隔装置(3)を備えており、各遠隔装置(3)は、現在速度、平均速度、駐車時間、右左折、道路変更等の前記車両の静的および動的パラメータに関する第1のデータを検出および記憶する手段を備えており、
道路網(R)の少なくとも一部においてユーザに情報を提供するための前記道路標識手段(2)に接続された少なくとも一つの中央制御装置(5)を備えており、前記道路標識手段(2)は、前記情報を前記ユーザに提供するために画像かつ/または文字を表示する第1の双方向手段(8)を含み、前記遠隔装置(3)は前記情報を各ユーザに表示するための第2の双方向手段(9)を有しており、
前記道路標識手段(2)と前記遠隔装置(3)との間の前記情報の受信/送信のための、前記道路標識手段(2)に連結されたトランシーバ手段(6)を備えており、
前記車両の静的および動的パラメータに関する前記第1のデータを処理し、前記情報と比較し、前記中央制御装置(5)に送信される第2のデータを生成するために、各遠隔装置(3)に少なくとも一つの電子処理装置(10)を備えており、前記第2のデータは、駐車規制ゾーンにおける前記車両(A)の駐車時間や、交通規制ゾーンの進入といった規制に対するユーザの行動に関するデータを含むことを特徴とする双方向制御システム。
【請求項2】
前記道路網(R)に沿って交通状況について第3のデータを得るための第1の検出手段(4)を備えることを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記中央制御装置(5)は、少なくとも前記第3のデータを処理し、前記道路網(R)の少なくとも一部において関連する情報をユーザに提供するために、前記第1の検出手段(4)に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記第3のデータは、障害、交通の遅れ、渋滞、悪天候、一時的な駐車禁止エリア、進入制限ゾーン、駐車制限ゾーン等の存在といった現時点の状況に関するデータを含むことを特徴とする請求項2または3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記第2のデータは、速度超過、追い越し禁止区間での追い越し、禁止箇所での右左折等、規制区域または禁止区域への無許可の侵入、許可された時間を越える駐車などの前記基準かつ/または規則への違反が生じた出来事に関するデータを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の制御システム。
【請求項6】
各遠隔装置(3)は、少なくとも前記第1のデータおよび前記第2のデータを記憶する手段を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の制御システム。
【請求項7】
前記第1のデータは、前記遠隔装置(3)が搭載された前記車両(A)のメーカー、モデル、ナンバープレートに関する第2の情報も含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の制御システム。
【請求項8】
前記電子処理装置(10)は、前記車両(A)を使用するユーザを識別するための手段を有しており、前記第1のデータは前記ユーザ識別の表示も含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の制御システム。
【請求項9】
前記識別手段は、一または複数の指紋検出器もしくはこれに類似する生体パラメータ検出器かつ/または英数字キーパッドを含むことを特徴とする請求項8に記載の制御システム。
【請求項10】
各遠隔装置(3)は前記第1のデータを取得するための第2の検出手段を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の制御システム。
【請求項11】
前記第2の検出手段は、前記車両(A)の速度センサ、道路における前記車両(A)の位置を検出するための位置センサ、前記車両の障害物への接近度を検出する接近センサ、前記車両(A)の位置を検出する手段を少なくとも一つ含むことを特徴とする請求項10に記載の制御システム。
【請求項12】
前記車両(A)の位置を検出する前記手段は、GPSレシーバを含むことを特徴とする請求項11に記載の制御システム。
【請求項13】
道路網Rに沿って配置され、かつ、オペレータに利用可能な一または複数のディスプレイに動作可能に接続された、一または複数のカメラを含むことを特徴とする請求項2〜12のいずれかに記載の制御システム。
【請求項14】
前記情報データは、
前記道路標示(2)が存在する道路区間における現時点の制限速度の表示と、
前記道路標示(2)が存在する道路区間における一時的に狭くなった道路箇所の表示と、
前記道路標示(2)が存在する道路区間における渋滞の表示と、
前記道路標示(2)が存在する道路区間における一時的な障害の表示と、
前記車両(A)が走行する道路区間への現時点の進入禁止の表示と、
少なくとも一時的な交通規制を有するゾーンへの進入の可否の表示と、
前記車両(A)が走行する道路区間内の駐車場で認められる現時点のディスク駐車制の駐車時間の表示と、
前記車両(A)が走行する道路区間内の駐車場の現時点の駐車料金の表示と、
からなる表示の一または複数を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の制御システム。
【請求項15】
携帯電話ネットワークへの接続手段を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の制御システム。

【図1】
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【公表番号】特表2011−515753(P2011−515753A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500301(P2011−500301)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【国際出願番号】PCT/IB2008/055529
【国際公開番号】WO2009/115872
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(510234984)
【Fターム(参考)】