説明

安定な水性胞子含有製剤

低〜中粘度プロフィールを有する安定な水性胞子含有化学物質製剤が提供される。該製剤は、水と少なくとも1種類の水混和性溶媒と場合により少なくとも1種類の界面活性剤と場合により少なくとも1種類の安定剤(例えば、金属塩)と場合により少なくとも1種類の殺生物剤と場合により少なくとも1種類の緩衝剤と場合により少なくとも1種類の化学物質の殺虫剤若しくは殺菌剤若しくはそれらの混合物からなる混合物の中に少なくとも1種類の胞子を含んでいる。該製剤は、種子粉衣及び茎葉散布として特に適している。調製方法及び植物の処理方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、農業用液体製剤に関する。より特定的には、本発明は、農業上許容される安定な水性胞子−製剤及び胞子と化学物質の組合せ製剤、それらの調製方法、並びに、植物の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌由来の胞子及び真菌由来の胞子は、いずれも、生物殺虫剤及び生物殺菌剤又は生物的防除剤(biocontrol agent)(BCA)として商業的に使用されてきた。それらは、典型的には、総合的有害生物管理(IPM)プログラムの一部として使用され、殆どの製剤は、粉末形態又は液体形態のいずれかであった。茎葉散布〔例えば、Bt(Bacillus thuringiensis)〕及び土壌灌注散布(soil drench spray)などの市場は、肥料と組み合わされたとき又は種子処理製品の成分として、多くの場合に有用であることが分かっている。BCA製品の有利点は、それらが環境適合性を有していること、並びに、使用者及び非標的作物又は益虫に対して安全であるということである。しかしながら、全てではないが、混ぜ物のない胞子BCAタイプの製品の一部は、圃場における防除又は効力が不充分であるという欠点を有していた。この問題に対する1つの可能な解決方法は、その胞子BCAを殺虫剤又は殺菌剤などの化学的防除剤と組み合わせることであった。液体製剤のもう一つの困難な局面は、特に水性液体製剤中における、胞子の長期間にわたる安定性又は生存性である。安定性の問題視対する解決方法は、低濃度水性液体製剤中において示された(米国特許第6,471,741号)。それぞれ、非水性懸濁製剤又は細菌含有農業用組成物に対する、米国特許第5,707,551号及び米国特許第6,232,270号も参照されたい。
【0003】
胞子とさまざまなタイプの化学物質の両方を含んでいる農業上許容される製剤は、粉末剤の形態(即ち、乾燥製剤)で市販されている。そのような粉末剤としては、水和剤又は顆粒水和剤などがある。胞子と化学物質の両方を含んでいる乾燥製剤は、歴史的に、液体製剤よりも好ましいとされてきた。それは、乾燥製剤は本質的に胞子にとってより安定な環境を提供し、また、乾燥胞子はそのような乾燥製剤中でさまざまな化学物質と容易に組み合わされるからである。しかしながら、液体製剤は、農業における施用の容易さ及び適用範囲の広さに関して、乾燥製剤と比較して明瞭な有利点を示す。液体製剤は、さらにまた、より均質な種子処理も提供する。
【0004】
米国特許第5,215,747号には、バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)内生胞子と少なくとも1種類の化学的殺菌成分を含んでいる貯蔵安定性プレミックス組成物が開示されている。上記特許中に開示されている製剤には、粉末製剤、顆粒製剤及び液体製剤が包含されている。しかしながら、その液体製剤は、場合によっては当該胞子に対して毒性を示し得る、キシレン、メタノール又はエチレングリコールなどの有機溶媒を含んでいる。そのようなものとして、胞子と化学物質の水性製剤は、米国特許第5,215,747号中に開示されている液体製剤の望ましい代替物を提供すべきである。
【0005】
貯蔵安定性を維持するということは、胞子(例えば、細菌胞子)と化学物質(例えば、農業上有用な化学物質、例えば、殺有害生物剤(pesticide)、除草剤、殺菌剤など)の両方を含んでいる水性液体製剤にとって、類のない課題である。典型的には、胞子含有製品(例えば、殺有害生物剤)は、最低でも1〜2年の貯蔵期間を維持しなければならない。しかしながら、水性媒体は、本質的に、施用前に胞子の時期尚早な発芽を促進する。今日まで、そのような発芽及び安定性の問題は、乾燥胞子含有製剤を施用(即ち、灌注又は浸漬施用)直前に水で希釈することによって回避されてきたが、これは、栽培者に対して付加的な費用を負わせ、効率を低下させる。
【0006】
水性胞子含有製剤に関連したさらに別の課題は、胞子と化学物質を混合させたときに製剤の粘度が上昇することである。胞子は、高粘度の製剤を生じさせる強い傾向を示すが、それは、胞子は本質的に水を吸収し、その結果、乾燥状態にある胞子と比較して胞子の全体積が実質的に増大するからである。高粘性プロフィールを有する製剤は、農業従事者又は種子処理従事者に対して、混合及び施用についての困難な問題を提出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,471,741号
【特許文献2】米国特許第5,707,551号
【特許文献3】米国特許第6,232,270号
【特許文献4】米国特許第5,215,747号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、低粘度から中粘度の農業上許容される安定な水性胞子及び胞子含有製剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従って、(i)好ましくは3%(w/w)〜80%(w/w)の量で存在している、少なくとも1種類の胞子、(ii)好ましくは5〜90%(w/w)の量の、水混和性溶媒又は疎水性剤(hydrophobic agent)の水性エマルション及び(iii)総量を100%(w/w)とするのに充分な量の水を含んでいる、農業上許容される安定な水性製剤が提供される。該製剤には、別の成分、例えば、場合により少なくとも1種類の界面活性剤、場合により少なくとも1種類の分散剤、場合により少なくとも1種類の安定剤(例えば、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、又は、アルミニウム、アンモニウム、鉄及び/若しくは亜鉛の塩)、場合により少なくとも1種類の殺生物剤、場合により少なくとも1種類の緩衝剤及び場合により少なくとも1種類の農業上有用な化学物質(これは、限定するものではないが、1種類以上の殺有害生物剤、殺菌剤などを包含する)なども含有させることができる。殺有害生物剤としては、限定するものではないが、殺虫剤などを挙げることができる。
【0010】
農業上許容される安定な水性胞子及び胞子−含有製剤を調製する方法も提供される。本発明の調製方法は、好ましくは、別に調製された高濃度化学物質製剤又はミルベース(モジュール)と場合により組み合わされた高含有量(high loading)胞子の懸濁液又はスラリー(モジュール)を利用する。得られた胞子製剤を、穏やかな撹拌下に混合させ、それによって、農業従事者及び種子処理従事者による施用を容易なものとするための適度な粘度プロフィールが得られる。
【0011】
植物を保護する方法も提供される。本発明の製剤は、任意の望ましい方法で、例えば、種子粉衣の形態で、土壌灌注の形態で及び/若しくは直接的に畝間に施用することが可能であるか、並びに/又は、茎葉散布として施用することが可能であり、また、発生前に、発生後に又はその両方などに施用するが可能である。即ち、該組成物は、種子、植物若しくは植物の果実に対して、又は、植物がそこで生育しているか若しくは植物をそこで栽培するのが望ましい土壌に施用することができる。
【0012】
本発明の上記態様及び別の態様について、下記「発明を実施するための形態」において、詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的は、(i)3%(w/w)〜80%(w/w)の量で存在している、少なくとも1種類の胞子、(ii)2〜90%(w/w)の量の、水混和性溶媒又は疎水性剤の水性エマルション及び(iii)残余の水を含んでいる、農業上許容される安定な水性製剤を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、上記少なくとも1種類の胞子が細菌種及び真菌種及びそれらの組合せからなる群から選択される上記農業上許容される安定な水性製剤を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、上記細菌種の胞子がバシルス属(Bacillus)に由来する上記農業上許容される安定な水性製剤を提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、上記細菌種の胞子が、バシルス・アイザワイ(Bacillus aizawai)、バシルス・セレウス(Bacillus cereus)、バシルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バシルス・クルスタキ(Bacillus kurstaki)、バシルス・レンチモルブス(Bacillus lentimorbus)、バシルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バシルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシルス・ポピラエ(Bacillus popillae)、バシルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バシルス・スファエリクス(Bacillus sphaericus)、バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)及び/又はバシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する少なくとも1種の胞子でありそして、好ましくは、株CNCM I−1582のバシルス・フィルムス(Bacillus firmus)である、上記農業上許容される安定な水性製剤を提供することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、上記真菌種の胞子が、担子菌綱(Basidiomycetes)、ツボカビ綱(Chytridiomycetes)、不完全菌綱(Deuteromycetes)、サカゲツボカビ綱(Hyphochytridiomycetes)、卵菌綱(Oomycetes)、ネコブカビ綱(Plasmodiophoromycetes)、フンタマカビ綱(Sordariomycetes)、トリコミケス綱(Trichomycetes)及び接合菌綱(Zygomycetes)に由来する、上記農業上許容される安定な水性製剤を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、上記真菌種の胞子が、アルトロボトリス・スペルバ(Arthrobotrys superba)、アルトロボトリス・イレグラル(Arthrobotrys irregular)、ベアウベリア・バシアナ(Beauveria bassiana)、フサリウム属種(Fusarium spp.)、ヒルステラ・ロシリエンシス(Hirsutella rhossiliensis)、ヒルステラ・トムプソニイ(Hirsutella thompsonii)、ラゲニジウム・ギガンテウム(Lagenidium giganteum)、ミロテシウム(Myrothecium)、ノムラエア・リレイイ(Nomuraea rileyi)、パエシロミセス・リラシヌス(Paecilomyces lilacinus)、トリコデルマ(Trichoderma)、ベリシリウム・レカニイ(Vericillium lecanii)及び/又はベルチシリウム・レカニイ(Verticillium lecanii)に由来する少なくとも1種の胞子である、上記農業上許容される安定な水性製剤を提供することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、上記少なくとも1種類の水混和性溶媒が極性有機溶媒である、上記農業上許容される安定な水性製剤を提供することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、上記極性水混和性有機溶媒が、1,3−ブチレングリコール、2−ピロリドン、アセトン、アセトニトリル、脂肪族アルコール、脂肪族カルボン酸アルキルエステル、シクロヘキサノン、ジグリコール、トリグリコール、ジアセトンアルコール、ジアルキルケトン、ジエチレングリコール、ジグリム、DMF、DMSO、エタノール、酢酸エチル、ホルムアミド、フルフリルアルコール、ガンマ−ブチロラクトン、グリセロール、グリコフロール、グリコールエーテル、グリコール、ヘキサメチレングリコール、イソプロパノール、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドン、ペンタメチレングリコール、リン酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール類、ポリヒドロキシル化アルカン、プロパノール、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、ピロリジン、ピロリジン、スルホラン、テトラヒドロフラン、テトラメチレングリコール、チオジグリコール及び/又はトリエチレングリコール並びにそれらの組合せを包含する、上記農業上許容される安定な水性製剤を提供することである。
【0021】
本発明のさらなる目的は、上記少なくとも1種類の疎水性剤が:(a)水素化重質ナフテン系留出物;(b)水素化植物油;及び/又は(c)植物起源の油〔ここで、植物起源の油としては、限定するものではないが、アーモンド油、カノラ油、ココナッツ油、トウモロコシ油、綿実油、亜麻仁油(flaxseed oil)、ブドウ種子油、ホホバ油、亜麻仁油(linseed oil)、カラシ油、オリーブ油、ヤシ油、落花生油、菜種油、米糠油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油及びクルミ油などを挙げることができる〕並びにそれらの混合物である、上記農業上許容される安定な水性製剤を提供することである。
【0022】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1種類の化学物質〔ここで、該少なくとも1種類の化学物質は、界面活性剤、分散剤、懸濁助剤、安定剤、殺生物剤、緩衝剤、昆虫防除剤、殺有害生物剤、殺菌剤及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類である〕をさらに含んでいる上記農業上許容される安定な水性製剤を提供することである。
【0023】
本発明のさらなる目的は、
(a)上記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びそれらの組合せからなる群から選択され;
(b)上記分散剤が、イオン性水溶性ポリマー、アニオン性水溶性ポリマー及びそれらの組合せからからなる群から選択され〔ここで、(i)該イオン性水溶性ポリマーは、リグニンスルホネート分散剤、ポリアクリレート若しくは該ポリアクリレートのナトリウム塩又はそれらの組合せからなる群から選択され;及び、(ii)該非イオン性水溶性ポリマーは、ビニルピロリドンホモポリマー若しくはコポリマー又はポリ(ビニルアルコール)及び/若しくはポリ(エチレンオキシド)又はそれらの混合物である〕;
(c)上記懸濁助剤が、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ビニルピロリドンホモポリマー及びコポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、グアーガム、澱粉、誘導体化グアー及びポリアクリルアミド、アタパルジャイト、モンモリロナイト、有機的に修飾されたモンモリロナイトクレー、アルミナ及び/又は沈降シリカ並びにそれらの組合せからなる群から選択され;
(d)上記安定剤が、(i)アルミニウム、カルシウム、銅、鉄、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛からなる群から選択される少なくとも1のカチオンと(ii)酢酸アニオン、臭化物、炭酸アニオン、塩化物、亜塩素酸アニオン、クロム酸アニオン、クエン酸アニオン、縮合リン酸アニオン、シアン酸アニオン、リン酸二水素アニオン、リン酸二水素アニオン、フッ化物、ギ酸アニオン、炭酸水素アニオン、重炭酸アニオン、リン酸水素アニオン、亜リン酸水素アニオン、亜硫酸水素アニオン、重亜硫酸水素アニオン、次亜塩素酸アニオン、次亜リン酸アニオン、硝酸アニオン、亜硝酸アニオン、オルトリン酸アニオン、シュウ酸アニオン、リン酸アニオン、リン化物、ホスホン酸アニオン、ピロリン酸アニオン、サリチル酸アニオン、ケイ酸アニオン、硫酸アニオン、硫化物、亜硫酸アニオン、チオシアン酸アニオン及びチオ硫酸アニオンからなる群から選択される少なくとも1のアニオンを有する少なくとも1種類の化学的塩化合物であり〔ここで、該安定剤は、好ましくは、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム又は硫酸亜鉛である〕;
(e)上記殺生物剤が、5−クロロ−2−メチル−3(2H)−イソチアゾロン(例えば、商品名「Kathon」)、o−フェニルフェノール、ナトリウムo−フェニルフェネート、シス−1−(クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロリド、7−エチルビシクロオキサゾリジン、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、ブロノポール、グルタルアルデヒド、水酸化銅、クレゾール、ジクロロフェン、ジピリチオン、ドジン、フェナミノスルフ、ホルムアルデヒド、ヒドラルガフェン、8−ヒドロキシキノリンスルフェート、カスガマイシン、ニトラピリン、オクチリノン、オキソリン酸、オキシテトラサイクリン、プロベナゾール、ストレプトマイシン、テクロフタラム、チメロサール、ポリ第4級塩化アンモニウム、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、2−メチル−4−イソチアゾロン、2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−プロピル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ブチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−アミル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−ブロモ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−ヨード−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−ブチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−ブロモ−2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−ヨード−2−アミル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン及びそれらの組合せからなる群から選択され;
(f)上記緩衝剤が、クエン酸、アスコルビン酸、塩酸、硫酸及びそれらの組合せからなる群から選択され;
(g)上記昆虫防除剤が、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン(イミダクロプリド)、3−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−1,3−チアゾリジン−2−イリデンシアナミド(チアクロプリド)、1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(クロチアニジン)、ニテンピラム(nitempyran)、N−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N−シアノ−N−メチルアセトアミジン(アセタミプリド)、3−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−5−メチル−1,3,5−オキサジアジナン−4−イリデン(ニトロ)アミン(チアメトキサム)、1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン(ジノテフラン)及びカーバメート系〔ここで、該カーバメート系としては、限定するものではないが、アルジカルブ、カルバリル、カルボフラン及びチオジカルブなどを挙げることができる〕並びにそれらの組合せからなる群から選択され;
及び、
(h)上記殺菌剤が、アシベンゾラル−S−メチル、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベナラキシル−M、ベノミル、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、ビテルタノール、ブラストサイジン−S、ボスカリド、ブロムコナゾール、カプタホール、キャプタン、カルベンダジム、カルボキシン、カルプロパミド、クロロタロニル、銅に基づく殺菌剤組成物、銅の誘導体、例えば、水酸化銅及び塩基性塩化銅、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ジクロラン、ジクロシメット、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフルメトリム、ジメトモルフ、ジニコナゾール、ジスコストロビン(discostrobin)、ドデモルフ、ドジン、エジフェンホス、エポキシコナゾール、エタボキサム、エチリモール、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナリモール、フェンブコナゾール、フェンヘキサミド、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルメトベル、フルオピコリド、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアホール、ホルペル(folpel)、ホセチル−Al、フララキシル、フラメトピル、グアザチン、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、イマザリル、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソプロチオラン、カスガマイシン、クレソキシム−メチル、マンゼブ、マンジプロパミド、マンネブ、メフェノキサム、メパニピリム、メタラキシル及びそれらのエナンチオマー形態、例えば、メタラキシル−M、メトコナゾール、メチラム−亜鉛、メトミノストロビン、オキサジキシル、メトラフェノン、オリサストロビン、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンチオピラド、フタリド、ピコキシストロビン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピリメタニル、ピロキロン、キノキシフェン、シルチオファム、シメコナゾール、スピロキサミン、テブコナゾール、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート、チオファネート−メチル、チウラム、トリルフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリチコナゾール、バリンアミドの誘導体、例えば、イプロバリカルブ、ビンクロゾリン、ジネブ、ゾキサミド、並びに、それらの組合せからなる群から選択される;
上記農業上許容される安定な水性製剤を提供することである。
【0024】
本発明のさらなる目的は、上記化学物質が、(a)0.2%(w/w)〜50%(w/w)の少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤及び/又は0.1%(w/w)〜25%(w/w)の少なくとも1種類のアニオン性界面活性剤並びにそれらの組合せを含んでいる界面活性剤;(b)0.1%(w/w)〜37%(w/w)の上記分散剤;(c)0.5%(w/w)〜25%(w/w)の上記懸濁助剤;(d)0.5%(w/w)〜30%(w/w)の上記安定剤;(e)0.1%(w/w)〜12%(w/w)の上記殺生物剤;(f)0.1%(w/w)〜3%(w/w)の上記緩衝剤;(g)1%(w/w)〜99%(w/w)の上記昆虫防除剤;(h)1%(w/w)〜60%(w/w)の上記殺菌剤;及び(i)100%(w/w)とするのに充分な量の水;からなる群の1以上から選択される、上記農業上許容される安定な水性製剤を提供することである。
【0025】
本発明のさらなる目的は、「Brookfield」粘度計による150〜3500cpsの粘度及び約2.5〜9.5のpHを示す上記農業上許容される安定な水性製剤を提供することである。
【0026】
本発明は、植物を保護する方法を提供することも対象とし、ここで、該方法は、
(a)水性製剤〔ここで、該製剤は、以下のものを含んでいる:3%(w/w)〜80%(w/w)の量の少なくとも1種類の胞子;5%(w/w)〜50%(w/w)の量の少なくとも1種類の水混和性溶媒及び/又は疎水性剤の水性エマルション;1%(w/w)〜60%(w/w)の昆虫防除剤、殺有害生物剤及び/又は殺菌剤;場合により、0.2%(w/w)〜20%(w/w)の少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤;場合により、0.1%(w/w)〜10%(w/w)の少なくとも1種類のアニオン性界面活性剤又は湿潤剤;場合により、0.1%(w/w)〜20%(w/w)の少なくとも1種類の高分子分散剤;場合により、0.5%(w/w)〜20%(w/w)の、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属又はアルミニウム、アンモニウム、亜鉛及び/若しくは鉄の塩からなる少なくとも1種類の安定剤;場合により、0.5%(w/w)〜10%(w/w)の少なくとも1種類の懸濁助剤;場合により、0.1%(w/w)〜10%(w/w)の少なくとも1種類の殺生物剤;場合により、5%(w/w)〜30%(w/w)の少なくとも1種類のアジュバント;場合により、少なくとも1種類の緩衝剤;並びに、総量を100%(w/w)とするのに充分な量の水〕を提供すること;及び、
(b)該製剤を有効な量で植物に施用すること;
を含む。
【0027】
本発明の目的は、さらにまた、植物を保護する方法〔ここで、該植物は、遺伝子組換え植物、非遺伝子組換え植物及びそれらの組合せからなる群から選択され、並びに、ここで、該組成物は、植物の茎葉部に対して、植物の種子及び/又は果実に対して、植物の根又は根の周囲に、及び、それらの組合せに対して、施用される〕を提供することである。
【0028】
本発明の目的は、さらにまた、植物を保護する方法〔ここで、該種子は、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、コムギ、オオムギ、イネ、ナタネ、テンサイ、トマト、インゲンマメ、ニンジン及びタバコからなる群から選択される〕を提供することである。
【0029】
本発明の目的は、さらにまた、農業上許容される安定な水性製剤を調製する方法を提供することであり、ここで、該方法は、少なくとも1種類の胞子を含んでいるが殺虫剤、殺有害生物剤又は殺菌剤は含んでいない水性胞子懸濁液モジュールを調製する段階;及び、当該化学物質を含んでいるが少なくとも1種類の胞子は含んでいない水性化学物質懸濁液モジュールを調製する段階;及び、該胞子モジュールと該化学物質モジュールをを合して安定な水性製剤を形成させる段階を含んでいる。
【0030】
本発明の目的は、
(a)上記胞子が細菌種又は真菌種であり〔ここで、(i)細菌胞子の場合は、それは、バシルス属(Bacillus)に由来し、そして、バシルス・アイザワイ(Bacillus aizawai)、バシルス・セレウス(Bacillus cereus)、バシルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バシルス・クルスタキ(Bacillus kurstaki)、バシルス・レンチモルブス(Bacillus lentimorbus)、バシルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バシルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシルス・ポピラエ(Bacillus popillae)、バシルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バシルス・スファエリクス(Bacillus sphaericus)、バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)及び/又はバシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)のうちの少なくとも1種類であり;並びに、(ii)真菌胞子の場合は、それは、担子菌綱(Basidiomycetes)、ツボカビ綱(Chytridiomycetes)、不完全菌綱(Deuteromycetes)、サカゲツボカビ綱(Hyphochytridiomycetes)、卵菌綱(Oomycetes)、ネコブカビ綱(Plasmodiophoromycetes)、フンタマカビ綱(Sordariomycetes)、トリコミケス綱(Trichomycetes)及び接合菌綱(Zygomycetes)に由来し、そして、アルトロボトリス・スペルバ(Arthrobotrys superba)、アルトロボトリス・イレグラル(Arthrobotrys irregular)、ベアウベリア・バシアナ(Beauveria bassiana)、フサリウム属種(Fusarium spp.)、ヒルステラ・ロシリエンシス(Hirsutella rhossiliensis)、ヒルステラ・トムプソニイ(Hirsutella thompsonii)、ラゲニジウム・ギガンテウム(Lagenidium giganteum)、ミロテシウム(Myrothecium)、ノムラエア・リレイイ(Nomuraea rileyi)、パエシロミセス・リラシヌス(Paecilomyces lilacinus)、トリコデルマ(Trichoderma)、ベリシリウム・レカニイ(Vericillium lecanii)及び/又はベルチシリウム・レカニイ(Verticillium lecanii)に由来する少なくとも1種類である〕;
(b)上記化学物質モジュールが、殺有害生物剤、殺菌剤、殺虫剤及びそれらの組合せからなる群から選択される活性成分の100g/L〜750g/Lの化学物質含有量(chemical loading)を示し且つレーザー光散乱法により2〜25ミクロンの50%重量平均粒径を示し;
(c)上記胞子モジュールが、少なくとも20g/Lの含有量を有し;及び、
(d)上記安定な水性製剤が、150〜3500cpsの「Brookfield」粘度及び2.5〜9.5のpHを示す;
上記方法を提供することである。
【0031】
本発明に関連した安定性に関して、望まれる安定性の少なくとも3種類の形態がある。1番目は物理的安定性であり、それは、該製剤が長期にわたって均質な状態にあり且つ分離が起こった場合には例えば振盪又は撹拌などによって粒子が容易に再懸濁されることを意味する。2番目は、当該化学的成分(即ち、農業上の活性成分)が長期にわたって活性を維持し、分解も減成も受けず、それ以外の理由でその活性を失うこともない化学的安定性である。最後に、本発明に関連して求められる3番目の安定性は、生物学的成分の生存性、例えば、細菌又は真菌に由来する胞子が長期にわたってそれらの生存性を維持することである。
【0032】
本発明の製剤は、好ましくは、少なくとも1種類の胞子を含んでいる。本発明によって意図される「胞子」は、細菌種又は真菌種の休眠状態にある(施用時)が生存している少なくとも1種類の繁殖単位のことを意味する。好ましくは、該少なくとも1種類の胞子は、ひとたび発芽すると、既に証明されている既知の農業的な利益を植物に与える。
【0033】
殺虫性又は殺線虫性又は殺菌性を示す真菌の胞子又は分生子の例としては、限定するものではないが、以下の綱を挙げることができる:担子菌綱(Basidiomycetes)、ツボカビ綱(Chytridiomycetes)、不完全菌綱(Deuteromycetes)、サカゲツボカビ綱(Hyphochytridiomycetes)、卵菌綱(Oomycetes)、ネコブカビ綱(Plasmodiophoromycetes)、フンタマカビ綱(Sordariomycetes)、トリコミケス綱(Trichomycetes)及び接合菌綱(Zygomycetes)、とりわけ、以下の真菌類を挙げることができる:アルトロボトリス・スペルバ(Arthrobotrys superba)、アルトロボトリス・イレグラル(Arthrobotrys irregular)、ベアウベリア・バシアナ(Beauveria bassiana)、エリニア・ネオアフィジス(Erynia neoaphidis)、フサリウム属種(Fusarium spp.)、ヒルステラ・ロシリエンシス(Hirsutella rhossiliensis)、ヒルステラ・トムプソニイ(Hirsutella thompsonii)、ラゲニジウム・ギガンテウム(Lagenidium giganteum)、メタリジウム・アニソプリアエ(Metarhiziurn anisopliae)、ミロテシウム(Myrothecium)、ネオジギエテス・フレセニイ(Neozygietes fresenii)(Nowakowski)、ノムラエア・リレイイ(Nomuraea rileyi)、パエシロミセス・リラシヌス(Paecilomyces lilacinus)、プセウドモナス・クロロアフィス(Pseudomonas chloroaphis)、プセウドモナス属種(Pseudomonas spp.)、プセドジマ・フロクロサ(Psedozyma Flocculosa)、トリコデルマ(Trichoderma)、ベリシリウム・レカニイ(Vericillium lecanii)及びベルチシリウム・レカニイ(Verticillium lecanii)、さらに、書籍「Nematology Advances and Perspectives, Vol. 2(2004)」(この書籍は、参照によりその関連する部分を本明細書に組み入れる)の中に記載されている内部寄生性真菌類。さらに、米国特許第6,168,947号(参照により組み入れる)の中に記載されている真菌の属「エステヤ・ベルミコラ(Esteya vermicola)」及び米国特許第5,019,389号(参照により本明細書に組み入れる)の中に記載されている「Arkansas Fungus 18」なども挙げることができる。
【0034】
細菌胞子の例としては、限定するものではないが、以下のものを挙げることができる:バシルス・アグリ(Bacillus agri)、バシルス・アイザワイ(Bacillus aizawai)、バシルス・アルボラクチス(Bacillus albolactis)、バシルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バシルス・セレウス(Bacillus cereus)、バシルス・シルクランス(Bacillus circulans)、バシルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バシルス・エンドパラシチクス(Bacillus endoparasiticus)、バシルス・エンドリトモス(Bacillus endorhythmos)、バシルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バシルス・クルスタキ(Bacillus kurstaki)、バシルス・ラクチコラ(Bacillus lacticola)、バシルス・ラクチモルブス(Bacillus lactimorbus)、バシルス・ラクチス(Bacillus lactis)、バシルス・ラテロスポルス(Bacillus laterosporus)、バシルス・レンチモルブス(Bacillus lentimorbus)、バシルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バシルス・マセランス(Bacillus macerans)、バシルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシルス・メズサ(Bacillus medusa)、バシルス・メチエンス(Bacillus metiens)、バシルス・ナット(Bacillus natto)、バシルス・ニグリフィカンス(Bacillus nigrificans)、バシルス・ポピラエ(Bacillus popillae)、バシルス・プミリスス(Bacillus pumiliss)、バシルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バシルス・シアメンシス(Bacillus siamensis)、バシルス・スファエリクス(Bacillus sphaericus)、バシルス属種(Bacillus spp.)、バシルス・スブチリス(Bacillus subtillis)、バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)、バシルス・ウニフラゲラツス(Bacillus uniflagellatus)、さらに、「Todar’s Online Textbook of Bacteriology,(2009)」(これは、参照によりその関連する部分を本明細書に組み入れる)の中のバシルス属(Bacillus Genus)のカテゴリーの中に挙げられている細菌。さらに、ホトラブズス・ルミネセンス(Photorhabdus luminescens)、キセノラブズス・ネマトフィルス(Xenorhabdus nematophilus)、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)及び「Nematology Advances and Perspectives, Vol. 2(2004)」の中に挙げられている殺線虫性細菌性拮抗物質。本発明の好ましい胞子は、株CNCM I−1582のバシルス・フィルムス(Bacillus firmus)である。
【0035】
本発明の一実施形態では、発芽した胞子は、病原性の殺線虫性真菌種から植物を保護する能力を示す。特に好ましい実施形態では、これらの胞子は、属バシルス(Bacillus)起源であり、それらは、それらがもたらす農業的な利益に加えて、それらが施用された植物の根系にコロニーを形成する能力を有している。使用する胞子の量は、好ましくは、製剤全体の約3%(w/w)〜約80%(w/w)である。さらに好ましくは、該少なくとも1種類の胞子は、約4%〜80%(w/w)の量で存在しており、さらに好ましくは、5%(w/w)〜約75%(w/w)の量で存在しており、一部の実施形態では、約10%(w/w)〜約60%(w/w)又はさらに10%〜55%(w/w)の量で存在している。
【0036】
一実施形態では、該胞子は、少なくとも1種類の分散剤を用いて水性媒体中に機械的に分散及び乳化させる。該分散剤は、少なくとも1種類の界面活性剤(下記に記載)と組み合わされて、表面張力を低下させ且つ胞子粒子の凝塊形成を防止することによって、得られた水性製剤を安定化させる。
【0037】
該分散剤は、イオン性又は非イオン性であることが可能であり、また、ポリマー構造であってもよい。イオン性水溶性ポリマーが特に好ましく、そのようなイオン性水溶性ポリマーとしては、その骨格鎖に沿ってイオン電荷(例えば、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)を運搬する水溶性ポリマーであるリグニンスルホネートなどのリグニン系分散剤などを挙げることができる。
【0038】
一般に、以下のタイプのリグニン系分散剤のうちの1種類以上を使用することができる:重合アリールアルキルスルホン酸の一カルシウム塩(リグノスルホネートカルシウム塩);変性亜硫酸リグニンと場合により混合されていてもよいクラフトリグニンポリマーのナトリウム塩;リグノスルホン酸アンモニウム;リグニン、アルカリ、並びに、重亜硫酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの反応生成物。金属リグノスルホネート塩は、亜硫酸パルプ化(sulfite pulping)の廃液から調製することが可能であり、その後、さらに酸化又は脱スルホン化される。
【0039】
本発明の製剤の金属リグノスルホネート塩は、胞子の一定の粒子又は小球の表面上に該金属リグノスルホネート塩が吸着されてその粒子又は小球に負電荷を付与するのに有効な量で使用することができる。結果として生じる粒子間又は小球間の静電反発力によって、重度の凝集が防止される。
【0040】
該金属リグノスルホネート塩のリグノスルホン酸アニオン部分は、一般に、リグニンのスルホン化の産物である。該アニオンは、重量平均分子量が約2000〜100000g/mol(ダルトン)の重合体分子を含み得る。好ましい分子量範囲は、1000〜80,000、さらに好ましくは、2000〜60000であって、その際、炭素と硫黄の比率は、9:1〜55:1である。好ましい分子量範囲は、20000〜30000であり、数平均分子量は、約1000〜約10000g/molである。さらに好ましくは、該金属リグノスルホネート塩の分子量は、2000g/mol〜約8000g/molである。許容されるリグノスルホン酸塩の例としては、「Borresperse(登録商標)NA」ナトリウムリグノスルホネート分散剤、「Borresperse(登録商標)CA」カルシウムリグノスルホネート分散剤、「Ultrazine(登録商標)NA」ナトリウムリグノスルホネート分散剤及び「Ultrazine(登録商標)CA」カルシウムリグノスルホネート分散剤などを挙げることができる。これらの分散剤は、全て、「Borregaard(登録商標) Lignotech Company(Internet:http//:www.lignotech.com)(Borregaard P.O. Box 162 NO−1701 Sarpsborg, Norway)」から入手することができる。
【0041】
本発明において有用であり得る別のアニオン性ポリマー又は高分子電解質及びそれらの混合物としては、以下のものを挙げることができる:ポリ(アクリル酸)、ナトリウム塩;ポリ(スチレンスルホン酸)、ナトリウム塩;ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ナトリウム塩;加水分解されたポリアクリルアミド、ナトリウム塩(これは、アクリルアミドとアクリル酸のコポリマーのナトリウム塩と同様である)。有用なカチオン性ポリマーとしては、第4級ポリアミン、ポリエチレンイミン及びポリ(4−ビニルピリジン)などを挙げることができる。本発明において分散剤として有用な非イオン性水溶性ポリマー及びそれらの混合物としては、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)及びポリ(ビニルアルコール)などを挙げることができる。相乗的な分散効果のためにイオン性水溶性ポリマーと非イオン性水溶性ポリマーの両方を一緒に使用するということは可能であり得る。
【0042】
少なくとも1種類の分散剤が使用される場合、その少なくとも1種類の分散剤は、製剤全体の約0.1%(w/w)〜40%(w/w)の量で存在しており、好ましくは、0.1%(w/w)〜約20%(w/w)の量、さらに好ましくは、0.1%(w/w)〜15%(w/w)の量で存在している。さらに一層好ましくは、該少なくとも1種類の分散剤は、約0.5%(w/w)〜約15%(w/w)の量で存在しており、最も好ましくは、約1%(w/w)〜約10%(w/w)の量で存在している。
【0043】
一実施形態では、該製剤は、場合により、少なくとも1種類の界面活性剤を含んでいる。該少なくとも1種類の界面活性剤は、イオン性若しくは非イオン性のタイプの乳化剤、分散剤若しくは湿潤剤であることが可能であるか、又は、そのような界面活性剤の混合物であることが可能である。該アニオン性又は非イオン性の界面活性剤は、物理的に混合されたとき又は水中で希釈されたときに当該組成物の泡立ちを最小限にするのに有効な量で使用する。界面活性剤についての情報は、例えば、「McCutcheon’s Emulsifiers & Detergents,」(McCutcheon Division, McCutcheon Publishing Co., 175 Rock Road, Glen Rock, NJ 07452)から入手することができる。
【0044】
本発明において使用し得る界面活性剤についての概要としては、以下のものを挙げることができる:非イオン性界面活性剤、例えば、C−C18アルコールアルコキシレート、2〜22(好ましくは、2〜10)のEO単位と約4〜16(好ましくは、2〜12)のHLB範囲を有する直鎖及び分枝鎖のエトキシレート;2〜150(好ましくは、2〜40)のEO単位と約4〜19(好ましくは、4〜12)のHLB範囲を有するアルキルフェノールエトキシレート、モノ−及びジ−ノニル及びオクチルフェノール;脂肪アミンアルコキシレート、例えば、2〜50(好ましくは、2〜20)のEOユニットと約4〜18(好ましくは、4〜12)のHLB範囲を有する獣脂、オレイル、ステアリール及びココアミンアルコキシレート;アルカノールアミド;トリグリセリドアルコキシレート、例えば、5〜54(好ましくは、5〜20)のEO単位と約4〜15(好ましくは、4〜12)のHLB範囲を有するひまし油エトキシレート、菜種油(rapeseed oil)エトキシレート、大豆油エトキシレート及び菜種油(colza oil)エトキシレート;20〜30のEO単位と約10〜16(好ましくは、10〜12)のHLB範囲を有するソルビタンエステルエトキシレート;エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、例えば、エチレンオキシド鎖及びプロピレンオキシド鎖と約1〜18(好ましくは、1〜18)のHLB範囲を有するアルコキシル化菜種油;アルキルポリグリコシド;脂肪酸エトキシレート;脂肪酸ポリエチレングリコール;脂肪アルコールエトキシレート;ジ−及びトリ−スチリルフェノールエトキシレート;グリセロールエステル;及び、ポリオールエトキシレートエステル。
【0045】
使用し得る別の界面活性剤としては、例えば、フェノールスルホン酸塩若しくはナフタレンスルホン酸塩、エチレンオキシドと脂肪アルコールの重縮合物若しくはエチレンオキシドと脂肪酸の重縮合物若しくはエチレンオキシドと脂肪エステルの重縮合物若しくはエチレンオキシドと脂肪アミンの重縮合物、置換されているフェノール(特に、アルキルフェノール又はアリールフェノール)、スルホコハク酸のエステル塩、タウリン誘導体(特に、アルキルタウレート)、アルコールのリン酸エステル若しくはエチレンオキシドとフェノールの重縮合物のリン酸エステル、ポリオールの脂肪酸エステル、又は、上記化合物の硫酸官能基誘導体、スルホン酸官能基誘導体若しくはリン酸官能基誘導体などを挙げることができる。
【0046】
本発明の製剤中で使用し得るアニオン性界面活性剤としては、以下のものを挙げることができる:スルホネート、脂肪アルコールエーテルスルホネート、脂肪酸スルホネート;スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルアリールスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルフェノールエトキシレートスルホネート;ホスフェート、例えば、脂肪アルコールエトキシレートのリン酸エステル、4〜12のEO単位を有するアルキルフェノールエトキシレートのリン酸エステル;アルキルスルホスクシネート;カルボキシレート、アルキルフェノールエトキシレートカルボキシルレート。本発明の製剤のサスポエマルション(SE)実施形態においては、存在し得る任意の疎水性液相を分散させるために、アニオン性界面活性剤若しくは非イオン性界面活性剤の両方又はそれらの混合物を使用することができる。典型的には、アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の混合物、及び、油溶性非イオン性ポリマーを使用して、任意の油相を分散させることができる。
【0047】
適切な油溶性アニオン性界面活性剤としては、n−及びイソ−C12−アルキルベンゼンカルシウムスルホネート塩並びに別の油溶性アルキルベンゼンスルホネート塩を挙げることができる。適切な可溶性非イオン性界面活性剤としては、ノニルフェノールエトキシレート(HLB約2〜12)、オクチルフェノールエトキシレート(HLB約2〜12)、トリブチルフェノールエトキシレート(HLB約2〜12)、アルコキシレート(EO/PO)(HLB約2〜12)、トリスチルルフェノールエトキシレート(HLB約2〜12)、脂肪アルコールエトキシレート(例えば、C−C11、C12−C14脂肪アルコールポリグリコールエーテル、C11、C12−C15、C14−C16及びC1618脂肪オキソアルコールポリグリコールエーテル)、並びに、オレイルアルコールポリグリコールエーテル(HLB約2〜12)、ステアリルアルコールエトキシレート、イソトリデシルアルコールポリグリコールエーテル(HLB約2〜12)、オレイルセチルアルコールエトキシレート、イソデシル及びトリデシルアルコールエトキシレート、ソルビタンエトキシレート、ソルビタンモノオレエートエトキシレート、ソルビタントリオレエートエトキシレート、ソルビタントリステアレートエトキシレート、ソルビタンモノラウレートエトキシレート、ソルビトールオレエートエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート(ココアミン及び獣脂アミン及びステアリルアミンエトキシレート)及びグリセロールオレエートエトキシレートなどを挙げることができる。
【0048】
好ましい実施形態では、該界面活性剤は、水性製剤を安定化させ且つ and aids in
moderating製剤の粘度を適度なものとするのに役立つポリメチルメタクリレート−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーである。任意のポリメチルメタクリレート−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーを使用し得る。しかしながら、該コポリマーは、好ましくは、20,000〜30,000の分子量を有する。「ICI Specialties(Everberg, Belgium)」から入手可能な「Atlox(登録商標)4913」として市販されているポリメチルメタクリレート−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(これは、約3分の1のイオン性ポリメチルメタクリレート−ポリエチレンオキシドグラフトコポリマーと3分の1の水と3分の1のプロピレングリコールを含んでいる)が特に好ましい。
【0049】
該界面活性剤(又は、2種類以上が使用される場合は、複数の界面活性剤)が使用される場合、その界面活性剤は、当該製剤中に、約0.2%(w/w)〜約20%(w/w)の量で存在している。さらに好ましくは、該界面活性剤は、約0.5%(w/w)〜約10%(w/w)の量で存在しており、最も好ましくは、約1%(w/w)〜約8%(w/w)の量で存在している。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、使用される場合、0.2%(w/w)〜50%(w/w)の範囲内で存在しており、さらに好ましくは、0.2%(w/w)〜20%(w/w)、さらに一層好ましくは、5%〜10%(w/w)の範囲内で存在している。好ましくは、アニオン性界面活性剤は、使用される場合、0.1%(w/w)〜25%(w/w)の範囲内で存在しており、さらに好ましくは、0.1%(w/w)〜10%(w/w)、さらに一層好ましくは、0.5%(w/w)〜8%(w/w)の範囲内で存在している。
【0050】
本発明の製剤の性能にさらに修正を加えるために、当該製剤に適切なアジュバントを加えることができる。アジュバントは、添加される(多くの場合、スプレータンクに添加される)化学物質であり、液体噴霧施用の物理的特性を強化又は変更してその性能(例えば、拡展性、茎葉部被覆率、スプレードリフトの低減、不適合性、泡立ちの低減、蒸発、揮発、付着、浸透、表面張力、緩衝剤、肥料など)を改善するために使用される。
【0051】
アジュバントのタイプとしては、非イオン性/アニオン性界面活性剤、有機シリコーン、作物油濃厚物、種子油、メチル化種子油、リン脂質、アルキル多糖、ジオール、水質調節剤、固着剤又は増量剤、ラテックス、植物浸透剤、ドリフト低減剤、付着剤(deposition agent)などがある。例としては、限定するものではないが、「Crop Protection Handbook, MeisterPro, 2006」(これは、参照により本明細書に組み入れる)の中に見いだすことができる化学物質のリストなどを挙げることができる。
【0052】
アジュバントが使用される場合、そのアジュバントは、5%(w/w)〜30%(w/w)の範囲内で存在している。
【0053】
一実施形態では、本発明の製剤は、少なくとも1種類の殺生物剤成分を含んでいる。細菌類、真菌類及び酵母菌類に対して広い活性スペクトルを示す任意の殺生物剤を添加することができる。好ましい殺生物剤には、不揮発性であり、高温で安定であり、且つ、哺乳類に対する毒性が低く、排水系内で生物分解され得る殺生物剤が包含される。
【0054】
適切な殺生物剤としては、5−クロロ−2−メチル−3(2H)−イソチアゾロン(例えば、商品名「Kathon」)、o−フェニルフェノール、ナトリウムo−フェニルフェネート、シス−1−(クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロリド、7−エチルビシクロオキサゾリジン、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、ブロノポール、グルタルアルデヒド、水酸化銅、クレゾール、ジクロロフェン、ジピリチオン、ドジン、フェナミノスルフ、ホルムアルデヒド、ヒドラルガフェン、8−ヒドロキシキノリンスルフェート、カスガマイシン、ニトラピリン、オクチリノン、オキソリン酸、オキシテトラサイクリン、プロベナゾール、ストレプトマイシン、テクロフタラム、チメロサール、ポリ第4級塩化アンモニウム、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、2−メチル−4−イソチアゾロン、2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−プロピル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ブチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−アミル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−ブロモ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−ヨード−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−ブチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−ブロモ−2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−ヨード−2−アミル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン又は4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンのうちの少なくとも1種類を挙げることができる。
【0055】
「Arch Chemicals, Incorporated(Smyrna, Georgia)」から入手可能な「Proxel(登録商標)GXL」として市販されている殺生物剤を包含する1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。
【0056】
殺生物剤が使用される場合、その殺生物剤は、当該製剤中に、約0.1%(w/w)〜約12%(w/w)の量で存在しており、好ましくは、0.1%(w/w)〜約10%(w/w)の量で存在している。さらに好ましくは、該殺生物剤は、約0.1%(w/w)〜約5%(w/w)の量で存在しており、さらに好ましくは、0.2%(w/w)〜約5%(w/w)の量で存在している。それは、さらにまた、約0.1%(w/w)〜約4%(w/w)の範囲内で存在することも可能であり、最も好ましくは、約0.3%(w/w)〜約3%(w/w)の範囲内で存在することも可能である。
【0057】
一実施形態では、本発明の製剤は、少なくとも1種類の昆虫防除剤を含んでいる。本明細書中で使用される場合、用語「昆虫防除剤」は、広く、殺ダニ剤、殺虫剤、殺虫剤協力剤、マダニ駆除剤(ixodicide)、殺線虫剤及び軟体動物駆除剤として使用される化合物又は組成物を意味する。殺虫剤の化学的な種類としては、2−ジメチルアミノプロパン−1,3−ジチオール、2−ジメチルアミノプロパン−1,3−ジチオール類似体、アミジン系、アリールピロール系、アベルメクチン、ベンゾイル尿素系、カーバメート系、カルバモイル−トリアゾール系、シクロジエン系、ジアシルヒドラジン系、ジニトロフェノール系、フィプロール(fiprole)、METI、ネオニコチノイド系、非エステルピレスロイド系、有機塩素系、有機リン酸エステル系、オキサジアジン系、オキシム系、カーバメート系、ピレスロイド系及びスピノシン系などを挙げることができる。
【0058】
適切な殺虫剤としては、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2−エトキシエタノール、1,1−ジクロロ−1−ニトロエタン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(4−エチルフェニル)エタン、1,3−ジクロロプロペンを伴う1,2−ジクロロプロパン、1−ブロモ−2−クロロエタン、2−(1,3−ジチオラン−2−イル)フェニルジメチルカルバメート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルチオシアネート、2−(4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)フェニルメチルカルバメート、2−(4−クロロ−3,5−キシリルオキシ)エタノール、2,2,2−トリクロロ−1−(3,4−ジクロロフェニル)エチルアセテート、2,2−ジクロロビニル2−エチルスルフィニルエチルメチルホスフェート、2,4−ジクロロフェニルベンゼンスルホネート、2−クロロビニルジエチルホスフェート、2−イソバレリルインダン−1,3−ジオン、2−メチル(プロパ−2−イニル)アミノフェニルメチルカルバメート、2−チオシアナトエチルラウレート、3−ブロモ−1−クロロプロパ−1−エン、3−メチル−1−フェニルピラゾール−5−イルジメチルカルバメート、4−クロロフェニルフェニルスルホン、4−メチル(プロパ−2−イニル)アミノ−3,5−キシリルメチルカルバメート、4−メチルノナン−5−オンを伴う4−メチルノナン−5−オール、5,5−ジメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニルジメチルカルバメート、6−メチルヘプタ−2−エン−4−オール、アバメクチン、アセフェート、アセキノシル、アクリナトリン、アラニカルブ、アルジカルブ、アルドキシカルブ、アルドリン、アレスリン[(1R)−異性体]、アリキシカルブ、アルファ−シペルメトリン、アミジチオン、アミドチオエート、アミノカルブ、アミトン、シュウ酸水素塩(amiton hydrogen oxalate)、アミトラズ、アナバシン、アラマイト、アチダチオン、アザディラクチン、アザメチホス、アジンホス−エチル、アジンホス−メチル、アゾシクロチン、アゾトエート、多硫化バリウム、Bayer 22/190、Bayer 22408、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、ベンスルタップ、ベンゾキシメート、ベータ−シフルトリン、ベータ−シペルメトリン、ビフェナゼート、ビフェントリン、ビナパクリル、ビオペルメトリン、ビス(2−クロロエチル)エーテル、ビストリフルロン、ブロムフェンビンホス、ブロモシクレン、ブロモホス、ブロモホス−エチル、ブロモプロピレート、ブフェンカルブ、ブプロフェジン、ブタカルブ、ブタチオホス、ブトカルボキシム、ブトネート、ブトキシカルボキシム、カズサホス、多硫化カルシウム、カンフェクロル、カーバノレート、カルバリル、カルボフラン、カルボフェノチオン、カルボスルファン、カルタップ塩酸塩、CGA 50439、キノメチオネート、クロルベンシド、クロルビシクレン、クロルダン、クロルデコン、クロルジメホルム;クロルジメホルム塩酸塩、クロルエトキシホス、クロルフェナピル、クロルフェネトール、クロルフェンソン、クロルフェンスルフィド、クロルフルアズロン、クロルメホス、クロルベンジレート、クロロメブホルム、クロロプロピレート、クロルホキシム、クロルプラゾホス、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、クロルチオホス、クロマフェノジド、クロエトカルブ、クロフェンテジン、クロチアニジン、コドレモン、クマホス、クミトエート、クロトキシホス、クルホメート、氷晶石(cryolite)、CS 708、シアノフェンホス、シアノホス、シアントエート、シクロプロトリン、シフルトリン、シハロトリン、シヘキサチン、シペルメトリン、シフェノトリン[(1R)−トランス−異性体)]、シロマジン、DAEP、ダゾメット、DCPM、DDT、デカルボフラン、デルタメトリン、デメフィオン、デメフィオン−O、デメフィオン−S、ジメトン、ジメトン−O、ジメトン−S、ジメトン−S−メチル、ジメトン−S−メチルスルホン、ジアフェンチウロン、ジアリホス、ダイアジノン、ジカプトン(dicapthon)、ジクロルボス、ジコホル、ジクロトホス、ジシクラニル、ジエルドリン、ジエノクロル、5−メチル−ピラゾール−3−イルリン酸ジエチル、ジフルベンズロン、ジメホックス、ジメトエート、ジメトリン、ジメチルビンホス、ジメチラン、ジネックス、ジネックス−ジクレキシン、ジノブトン、ジノカップ、ジノクトン、ジノペントン、ジノプロップ、ジノスルホン、ジノテフラン、ジノテルボン、ジオキサベンゾホス、ジオキサカルブ、ジオキサチオン、ジフェニルスルホン、ダイスルホトン、ジチクロホス、DNOC、ドデカ−8−エニルアセテート、ドフェナピン、DSP、EI 1642、エマメクチン安息香酸塩、EMPC、エムペントリン[(EZ)−(1R)−異性体]、エンドスルファン、エンドチオン、エンドリン、ENT 8184、EPBP、EPN、エスフェンバレレート、エチオフェンカルブ、エチオン、エチプロール、エトエート−メチル、エトプロホス、エトフェンプロックス、エトキサゾール、エトリムホス、ファムフール、フェナミホス、フェナザフロル、フェナザキン、酸化フェンブタスズ、フェンクロルホス、フェネタカルブ、フェンフルトリン、フェンチオン、フェニトロチオン、フェノブカルブ、フェノチオカルブ、フェノキサクリム、フェノキシカルブ、フェンピリトリン、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、フェンソン、フェンスルホチオン、フェンチオン、フェントリファニル、フェンバレレート、フィプロニル、フロニカミド、フルアクリピリム、フルベンジアミド、フルベンジミン、フルコフロン、フルシクロクスロン、フルシトリネート、フルエネチル、フルフェネリム、フルフェノクスロン、フルフェンプロックス、フルメトリン、フルオルベンシド、フルバリネート、FMC 1137、ホノホス、ホルメタネート、ホルモチオン、ホルムパラネート、ホスメチラン、ホスピレート、ホスチアゼート、ホスチエタン、フラチオカルブ、フレトリン(furethrin)、ガンマ−シハロトリン、ガンマ−HCH、グリオジン、GY−81、ハルフェンプロックス、ハロフェノジド、ヘプタクロル、ヘプテノホス、ヘキサデシルシクロプロパンカルボキシレート、ヘキサフルムロン、ヘキシチアゾクス、ヒドラメチルノン、ハイドロプレン、ヒキンカルブ、イミダクロプリド、イミプロトリン、インドキサカルブ、イプロベンホス、IPSP、イサゾホス、イソベンゼン、イソドリン、イソフェンホス、イソラン(isolane)、イソプロカルブ、O−(メトキシアミノチオ−ホスホリル)サリチル酸イソプロピル、イソチオエート、イソキサチオン、ジョードフェンホス、ケレバン、キノプレン、ラムダ−シハロトリン、レピメクチン、レプトホス、リリムホス、ルフェヌロン、リチダチオン、m−クメニルメチルカルバメート、マラチオン、マロノベン、マジドックス、MB−599、メカルバム、メカルホン、メナゾン、メホスホラン、塩化第一水銀、メスルフェンホス、メタフルミゾン、メタム、メタクリホス、メタミドホス、メタンスルホニルフルオリド、メチダチオン、メチオカルブ、メトクロトホス、メソミル、メトプレン、メトキン−ブチル、メトトリン(methothrin)、メトキシクロル、メトキシフェノジド、イソチオシアン酸メチル、メトルカルブ、メトキサジアゾン、メビンホス、メキサカルベート、ミルベメクチン、ミパホックス、ミレックス、MNFA、モノクロトホス、モルホチオン、ナレド、ナフタレン、ニクロサミド、ニコチン、ニフルリジッド、ニテンピラム、ニチアジン、ニトリラカルブ、ニトリラカルブ(1:1)塩化亜鉛錯体、ノルニコチン、ノバルロン、ノビフルムロン、O,O,O’O’−テトラプロピルジチオピロホスフェート、O,O−ジエチルO−4−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−7−イルホスホロチオエート、O,O−ジエチルO−6−メチル−2−プロピルピリミジン−4−イルホスホノチオエート、O−2,5−ジクロロ−4−ヨードフェニルO−エチルエチル、オレイン酸(脂肪酸)、オメトエート、オキサベトリニル、オキサミル、オキシジメトン−メチル、オキシデプロホス、オキシジスルホトン、パラチオン、パラチオン−メチル、ペンタクロロフェノール、ペルメトリン、石油、フェンカプトン、フェノトリン[(1R)−トランス−異性体]、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスホラン、ホスメット、ホスニクロル、ホスファミドン、ホスフィン、ホキシム、ホキシム−メチル、ピペロニルブトキシド、ピリメタホス、ピリミカーブ、ピリミホス−エチル、ピリミホス−メチル、ポリクロロジシクロペンタジエン異性体、ポリナクチン、プラレトリン、プリミドホス、プロクロノール、プロフェノホス、プロマシル(promacyl)、プロメカルブ、プロパホス、プロパルギット、プロペタムホス、プロポクスル、プロチダチオン、プロチオホス、プロトエート、ピメトロジン、ピラクロホス、ピラフルプロール、ピレスメトリン、ピレトリン類(除虫菊)、ピリダベン、ピリダリル、ピリダフェンチオン、ピリミジフェン、ピリミテート、ピリプロール、ピリプロキシフェン、キナルホス、キナルホス−メチル、キノチオン(quinothion)、キンチオホス、R−1492、RA−17、レスメトリン、ロテノン、RU 15525、RU 25475、S421、サバジラ(sabadilla)、シュラーダン、シラフルオフェン、SN 72129、フッ化ナトリウム、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム、ソファミド、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト(BYI8330)、SSI−121、スルコフロン−ナトリウム、スルフルラミド、スルホスルフロン、スルホテップ、硫黄、スルプロホス、SZI−12 1、タロイルス(taroils)、タジムカルブ、TDE、テブフェノジド、テブフェンピラド、テブピリミホス、テフルベンズロン、テフルトリン、テメホス、TEPP、テラレトリン、テルブホス、テトラクロルビンホス、テトラジホン、テトラメトリン、テトラメトリン[(1R)−異性体]、テトラスル、シータ−シペルメトリン、チアクロプリド、チアメトキサム、チクロホス、チオカルボキシム、チオシクラム、チオジカルブ、チオファノックス、チオメトン、チオナジン、チオキノックス、チオスルタップ−ナトリウム、トルフェンピラド、トラロメトリン、トランスフルトリン、トランスペルメトリン、トリアミホス、トリアラテン、トリアザメート、トリアゾホス、トリクロルホン、トリクロロナート、トリフェノホス、トリフルムロン、トリメドルレ(trimedlure)、トリメタカルブ、バミドチオン、XMC、キシリルカルブ、ゼータ−シペルメトリン、ゾラプロホス及びZXI 8901などを挙げることができる。
【0059】
最も好ましくは、該昆虫防除剤は、少なくとも1種類の浸透移行性クロロニコチニル系殺虫剤である。適切なクロロニコチニル殺虫剤としては、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン(イミダクロプリド)、3−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−1,3−チアゾリジン−2−イリデンシアナミド(チアクロプリド)、1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(クロチアニジン)、ニテンピラム(nitempyran)、N−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N−シアノ−N−メチルアセトアミジン(アセタミプリド)、3−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−5−メチル−1,3,5−オキサジアジナン−4−イリデン(ニトロ)アミン(チアメトキサム)及び1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン(ジノテフラン)などを挙げることができる。一実施形態では、該生物学的防除剤は、それぞれ「Bayer CropScience of Research(Triangle Park, North Carolina)」から商業的に入手可能な「AERIS(登録商標)」及び「GAUCHO GRANDE(登録商標)」として市販されている昆虫防除剤と組み合わせる〔「GAUCHO(登録商標)」及び「AERIS(登録商標)」は、「Bayer Aktiengesellschaft(Leverkusen, Germany)の登録商標である〕。上記で挙げられている化学物質と薬剤の組合せ並びに昆虫に対して有効であることが知られている別の化学物質と薬剤の組合せは、本発明の精神及び範囲の中にある。
【0060】
該昆虫防除剤は、使用される場合、有効な量で存在している。使用する昆虫防除剤の量は、好ましくは、製剤全体の約1%(w/w)〜約99%(w/w)である。さらに好ましくは、該昆虫防除剤は、約5%(w/w)〜約95%(w/w)の量で存在しており、さらに好ましくは、約10%(w/w)〜約95%(w/w)、最も好ましくは、約10%(w/w)〜約90%(w/w)の量で存在している。それは、さらにまた、約1%(w/w)〜約60%(w/w)の範囲内で存在することも可能であり、さらに好ましくは、約5%(w/w)〜約60%(w/w)の範囲内で存在することも可能である。
【0061】
一実施形態では、本発明の製剤は、胞子を膨潤させることのない少なくとも1種類の水混和性溶媒を場合により含んでいる。好ましくは、該水混和性溶媒は、極性有機溶媒である。適切な水混和性有機溶媒としては、以下のものを挙げることができる:1,3−ブチレングリコール1,2−プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,2−プロピレングリコール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,4−ジオキサン、2−ピロリドン、2−ピロリドン、アセトン、アセトニトリル、脂肪族アルコール(C12未満)、低分子量脂肪族カルボン酸アルキルエステル、シクロヘキサノン、ジグリコール、トリグリコール、ジアセトンアルコール、ジアルキルケトン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジグリム、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン、ジメチルアセトアミド、DMF、DMSO、エタノール、酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ホルムアミド、フルフリルアルコール、ガンマ−ブチロラクトン、グリセロール、グリコフロール、商品名「Cellosolve」及び「Eastman Chemical」のグリコールエーテル、グリコール、イソプロパノール、メタノール、メチルエチルケトン、メチルスルホニルメタン、モルホリン、N−メチルピロリドン、リン酸エステル、ポリエチレングリコール(低分子量)、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシル化アルカン、例えば、プロピレングリコールトリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、プロパノール、炭酸プロピレン、ピロリジン、スルホラン、テトラヒドロフラン、チオジグリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、さらに、書籍「The Merck Index, 1989」の中に挙げられている水混和性溶媒、並びに、それらの混合物。
【0062】
一般に、該水混和性溶媒は胞子を膨潤させず、胞子を膨潤させない溶媒は、標準温度及び標準圧力(それぞれ、20℃、及び、760mmHg)下において0.70〜2.5g/mLの密度を有し、標準温度及び標準圧力において回転板Ostwald粘度計で測定したときに100〜1000cp(センチポアズ)の粘度を有する。プロピレングリコールが特に好ましい。
【0063】
胞子を膨潤させない該水混和性溶媒は、約2%(w/w)〜約90%(w/w)の範囲内で存在することができ、好ましくは、5%(w/w)〜約90%(w/w)の範囲内で存在することができる。それは、さらにまた、約2%(w/w)〜約80%(w/w)の範囲内で存在することも可能であり、好ましくは、製剤全体の約2%(w/w)〜約60%(w/w)である。さらに好ましくは、胞子を膨潤させない該水混和性溶媒は、約5%(w/w)〜約50%(w/w)の量で存在しており、好ましくは、約5%(w/w)〜約40%(w/w)、好ましくは、10%(w/w)〜約40%(w/w)、最も好ましくは、約15%(w/w)〜約30%(w/w)の量で存在している。それは、さらにまた、約5%(w/w)〜約25%(w/w)の範囲内で存在することも可能であり、好ましくは、約5%(w/w)〜約10%(w/w)の範囲内で存在することも可能である。上記疎水性剤は、同じ範囲内で存在することが可能であり、好ましくは、そのような範囲の下端において存在することが可能であり、好ましくは、2%(w/w)〜15%(w/w)の範囲内で存在することも可能である。水は、いずれのイベントにおいても、その製剤の総重量を100%とするのに充分な量で使用することができる。
【0064】
一実施形態では、本発明の製剤は、好ましくは油溶性乳化剤を含んでいる疎水性剤(HA)の少なくとも1種類の水性エマルションを場合により含んでいる。好ましくは、該HAは、無極性液体、例えば、US 4,487,687及び/又は(CAS No.64742−52−5及びCAS No.64742−53−6)に開示されている水素化重質ナフテン系留出物(severely hydrogenated naphthenic distaillate)、並びに、水素化植物油及び植物起源の油、例えば、アーモンド油、カノラ油、ココナッツ油、トウモロコシ油、綿実油、亜麻仁油(flaxseed oil)、ブドウ種子油、ホホバ油、亜麻仁油(linseed oil)、カラシ油、オリーブ油、ヤシ油、落花生油、菜種油、米糠油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油及びクルミ油及びそれらの混合物を含んでいる。
【0065】
該疎水性剤が使用される場合、その疎水性剤は、約2%(w/w)〜約90%(w/w)の範囲内で存在することができ、好ましくは、約3%(w/w)〜約90%(w/w)、好ましくは、5%〜約90%(w/w)、さらに一層好ましくは、約5%〜約50%(w/w)の範囲内で存在することができる。
【0066】
一実施形態では、該製剤は、アシベンゾラル−S−メチル、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベナラキシル−M、ベノミル、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、ビテルタノール、ブラストサイジン−S、ボスカリド、ブロムコナゾール、カプタホール、キャプタン、カルベンダジム、カルボキシン、カルプロパミド、クロロタロニル、銅に基づく殺菌剤組成物、銅の誘導体、例えば、水酸化銅及び塩基性塩化銅、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ジクロラン、ジクロシメット、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフルメトリム、ジメトモルフ、ジニコナゾール、ジスコストロビン(discostrobin)、ドデモルフ、ドジン、エジフェンホス、エポキシコナゾール、エタボキサム、エチリモール、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナリモール、フェンブコナゾール、フェンヘキサミド、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルメトベル、フルオピコリド、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアホール、ホルペル(folpel)、ホセチル−Al、フララキシル、フラメトピル、グアザチン、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、イマザリル、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソプロチオラン、カスガマイシン、クレソキシム−メチル、マンゼブ、マンジプロパミド、マンネブ、メフェノキサム、メパニピリム、メタラキシル及びそれらのエナンチオマー形態、例えば、メタラキシル−M、メトコナゾール、メチラム−亜鉛、メトミノストロビン、オキサジキシル、メトラフェノン、オリサストロビン、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンチオピラド、フタリド、ピコキシストロビン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピリメタニル、ピロキロン、キノキシフェン、シルチオファム、シメコナゾール、スピロキサミン、テブコナゾール、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート、チオファネート−メチル、チウラム、トリルフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリチコナゾール、バリンアミドの誘導体、例えば、イプロバリカルブ、ビンクロゾリン、ジネブ及びゾキサミドから選択される1種類以上の別の殺菌活性物質を含んでいる。
【0067】
該殺菌活性物質が存在している場合、その殺菌活性物質剤は、約1%(w/w)〜約60%(w/w)の範囲内で存在することができ、好ましくは、約5%(w/w)〜約60%(w/w)の範囲内で存在することができる。
【0068】
本発明の製剤は、さらに、1種類以上の添加剤、例えば、少なくとも1種類の懸濁助剤、アジュバント、消泡剤及び着色剤などを含有することもできる。殺虫剤の全体的な効力を高めるために、協力剤を導入することができる。適切な協力剤としては、ピペロニルブトキシド、セサマックス(sesamax)、ドデシルイミダゾール、サフロキサン又はそれらの組合せなどを挙げることができる。粘着剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、並びに、粉末又は顆粒又はラテックスの形態にある天然ポリマー及び合成ポリマー、例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニル、並びに、天然のリン脂質、例えば、セファリン及びレシチン、並びに、合成リン脂質などを、本発明の製剤に添加することができる。別の適切な添加剤としては、鉱油及び植物油又は染料などがある。着色剤、例えば、無機顔料、例えば、酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルー(Prussian Blue)、有機染料、例えば、アリザリン型の染料、アゾ型の染料若しくは金属フタロシアニン型の染料、又は、微量元素、例えば、鉄塩、マンガン塩、ホウ素塩、銅塩、コバルト塩、モリブデン塩若しくは亜鉛塩などを使用することができる
本発明の製剤は、さらにまた、殺ダニ剤、殺線虫剤、抗蠕虫薬若しくは抗カイガラムシ薬(anti−coccidose)、殺細菌剤、節足動物若しくは脊椎動物に対する誘引剤若しくは忌避剤若しくはフェロモン、脱臭剤又は矯味矯臭剤を含有することもできる。
【0069】
本発明の製剤は、さらに、消毒剤、忌避剤及び成長調節剤、選択的除草剤の有害な効果から種子を保護することができる薬剤、例えば、活性炭、栄養素(肥料)、発芽及び生成物の質を改善することができる別の薬剤又はそれらの組合せも含有することができる。
【0070】
好ましくは、一原子又は多原子のカチオン及びアニオンの化学的に安定な化合物を構造中に含んでいる金属塩を安定剤として使用する。それらは、胞子の発芽を阻害する助けとなると考えられている。そのようなカチオンとしては、限定するものではないが、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛などを挙げることができる。対応するアニオンとしては、限定するものではないが、酢酸アニオン、アルミン酸アニオン、ヒ酸アニオン、安息香酸アニオン、ホウ酸アニオン、臭化物、炭酸アニオン、塩素酸アニオン、塩化物、亜塩素酸アニオン、クロム酸アニオン、クエン酸アニオン、縮合リン酸アニオン、シアン酸アニオン、シアン化物、二クロム酸アニオン、リン酸二水素アニオン、リン酸二水素アニオン、フッ化物、ギ酸アニオン、炭酸水素アニオン(又は、重炭酸アニオン)、リン酸水素アニオン、亜リン酸水素アニオン、亜硫酸水素アニオン(又は、重亜硫酸アニオン)、水酸化物、次亜塩素酸アニオン、次亜リン酸アニオン、ヨウ化物、乳酸アニオン、硝酸アニオン、亜硝酸アニオン、オルトホウ酸アニオン、オルトリン酸アニオン、シュウ酸アニオン、過塩素酸アニオン、リン酸アニオン、リン化物、ホスホン酸アニオン、ピロリン酸アニオン、サリチル酸アニオン、ケイ酸アニオン、スルファミン酸アニオン、硫酸アニオン、硫化物、亜硫酸アニオン、酒石酸アニオン、チオシアン酸アニオン、チオ硫酸アニオン及び吉草酸アニオンなどを挙げることができる。
【0071】
本発明の実施においては、上記カチオンとアニオンのさまざまな化学的組合せにおける塩は、通常、安定であり、水性溶媒液体媒体に溶解する。
【0072】
該少なくとも1種類の安定剤は、好ましくは、製剤全体の約0.5%(w/w)〜約30%(w/w)の量で存在し、好ましくは、0.5%(w/w)〜約20%(w/w)の量で存在する。さらに好ましくは、該安定剤は、約2%(w/w)〜約15%(w/w)の量で存在し、最も好ましくは、約4%(w/w)〜約10%(w/w)の量で存在する。
【0073】
pHを調節するために緩衝剤を添加することができ、そのような緩衝剤としては、有機酸、例えば、クエン酸及びアスコルビン酸、並びに、無機酸、例えば、塩酸又は硫酸などがある。添加する緩衝剤の量は、好ましいpHに依存し、その好ましいpHは、本発明の製剤中で使用する細菌胞子の安定性及び休眠状態に依存する。防腐剤も添加することができ、そのような防腐剤としては、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドを放出する薬剤、及び、安息香酸の誘導体、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸などがある。
【0074】
緩衝剤が使用される場合、その緩衝剤剤は、約0.1%(w/w)〜約3%(w/w)の範囲内で存在することができる。
【0075】
一実施形態では、該製剤は、安定化させる量の少なくとも1種類の懸濁助剤を含んでいる。該懸濁助剤を添加して、少なくとも1の胞子を懸濁状態に維持するのを補助することが可能であり、従って、静的沈澱及び剪断下における流動又はレオロジー的減粘に対する胞子の抵抗性を向上させることができる。適切な懸濁助剤としては、限定するものではないが、以下のものを挙げることができる:水溶性ポリマー、例えば、3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、アクリルアミドホモポリマー及びコポリマー、アクリル酸ホモポリマー及びコポリマー、アルギネート、カルボキシメチルセルロース(ナトリウム塩及び他の塩)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシ−ビニルコポリマー、セルロース、グアーガム、アラビアゴム;疎水性的に化学修飾されたヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、天然ゴム及びその誘導体、部分的に又は完全に加水分解されたポリビニルアルコール、部分的に中和されたポリアクリル酸、ポリアルキレングリコール、多糖ゴム、ポリビニルピロリドン及び誘導体、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、澱粉及びその誘導体、ビニルピロリドンホモポリマー及びコポリマー、水溶性セルロースエーテル、キサンタンガム、並びにそれらの混合物。本発明において使用される別の懸濁助剤としては、硫酸を用いて水ガラス(ケイ酸ナトリウム)を沈澱させることによって調製され、次いで、乾燥され、微粉末として販売されているシリカ粉末などがある。該シリカ粉末は、レオロジーの制御をもたらし、また、粒子の沈澱を防止することによって懸濁状態を補助する。さらに別の懸濁助剤物質は、ヒュームドアルミナである。アルミナ、即ち、酸化アルミニウムは、化学式Alで表されるアルミニウムの両性酸化物である。ヒュームドアルミナは、一緒に焼結して凝集体を形成する一次粒子でできている。これらのアルミナ凝集体は、鎖状構造を有しており、平均直径は150nm(一次粒子寸法が20nmの場合)である。それは、胞子懸濁液濃厚物に対して、レオロジー制御及び潤滑をもたらす。場合により、クレーも本発明において使用することができる。そのようなクレーとしては、以下のものを挙げることができる:一般式AlSi(OH)で表されるベントナイト、ラポナイト、カオリナイト、ディッカイト及びナクライト;一般化学式(Ca,Na,H)(Al,Mg,Fe,Zn)(Si,AI)10(OH)×HOで表されるパイロフィライト、タルク、バーミキュライト、サウコナイト(sauconite)、サポナイト(saponte)、ノントロナイト及びモンモリロナイト;一般化学式MgSi20(HO)(OH4HOで表されるアタパルジャイト;並びに、一般式(K,H)Al(Si,Al)10(OH)×HOで表されるイライト、並びに、有機的に修飾されたモンモリロナイトクレー。好ましくは、該懸濁助剤は、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ビニルピロリドンホモポリマー及びコポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、グアーガム、澱粉、誘導体化グアー及びポリアクリルアミド、アタパルジャイト、モンモリロナイト、有機的に修飾されたモンモリロナイトクレー、アルミナ若しくは沈降シリカ、又は、それらの組合せである。好ましくは、該懸濁助剤は、キサンタンガム、クレー、アルミナ若しくは沈降シリカ系懸濁助剤〔例えば、「PPG Industries(Pittsburgh,Pennsylvania)」から入手可能で「Hi−Sil(登録商標)」の商標で販売されているもの〕又はそれらの組合せである。
【0076】
該懸濁助剤が使用される場合、その懸濁助剤は、約0.5%(w/w)〜約25%(w/w)の範囲内で存在することができ、好ましくは、0.5%(w/w)〜約10%(w/w)、さらに好ましくは、0.5%(w/w)〜約8%(w/w)の範囲内で存在することができる。
【0077】
本発明の製剤は、好ましくは、モジュラー式(modular manner)で調製する。好ましい実施形態では、少なくとも1種類の化学物質モジュールと少なくとも1種類の胞子モジュールを別々に調製し、次いで、一緒にして、最終的な安定で低粘度から中粘度の胞子含有水性製剤を形成させる。該化学物質モジュールは、化学物質の殺虫剤及び/又は殺菌剤を水、溶媒、安定剤、緩衝剤、界面活性剤、分散剤、殺生物剤及び別の添加剤成分(即ち、非胞子成分)と一緒に混合させ、次に、当業者には既知の懸濁液粒子寸法低減方法に従って湿式粉砕することによって調製する。該化学物質モジュールは、典型的には、濃縮して高含有量懸濁液とし、得られた化学物質モジュールの濃度を、使用する化学物質成分の性質に応じて、約100g/L〜約750g/Lの範囲内に維持し、好ましくは、約500g/L〜約700g/Lの範囲内に維持する。本発明の化学物質モジュールは、標準的な光散乱法により、好ましくは、2〜50ミクロン、好ましくは、2〜40ミクロン、好ましくは、2〜25ミクロン、好ましくは、2〜20ミクロン、好ましくは、5〜20ミクロンの50%重量平均粒径を示し、さらに好ましくは、5〜15ミクロンの50%重量平均粒径を示す。
【0078】
該胞子モジュールは、好ましくは、少なくとも約20g/Lで好ましくは400g/L未満の高胞子濃度を有する。好ましくは、該胞子モジュールは、該化学物質モジュールに直接的に添加するか、又は、懸濁液として別々に製剤した後で添加する。好ましい実施形態では、該胞子モジュールは粉砕する必要がなく、従って、粒子形態のままである。該胞子モジュールを、次いで、穏やかな撹拌下に該化学物質モジュールと混合させ、それによって、種子処理従事者及び農業従事者の両方にとって特に有利な低〜中粘度プロフィールが得られる。好ましくは、該胞子モジュールは、該化学物質モジュールと混合されたときに、増粘剤(thickening agent)又は増粘剤(viscosifier)として作用する。好ましい実施形態では、該粘度は、「Brookfield」法で測定して、150〜3500cps、好ましくは、150〜2000cps、好ましくは、250〜1800cpsである。それは、さらにまた、150〜1500cpsの範囲内でも存在することができる。該安定な水性製剤のpHは、好ましくは、約2.5〜9.5の範囲内である。本発明の幾つかの実施形態では、化学物質モジュール及び/又は胞子モジュールに関して本明細書中で挙げられている物理的特性が、付加的な成分の存在下又は非存在下で少なくとも1種類の胞子を溶媒中に含んでいる水性液体製剤の所望の特性に関連し得るということは、留意されたい。
【0079】
水性液体製剤が最も好ましいが、その得られた製剤から、溶液剤、エマルション剤、水和剤、懸濁製剤、粉末剤、散粉用粉剤(dusting agent)、ペースト剤、可溶性粉末剤、顆粒剤、サスポエマルション製剤、活性化合物を含浸させた天然物質、活性化合物を含浸させた合成物質及びポリマー物質中の微細カプセルを包含する慣習的な製剤を調製することができる。
【0080】
本発明は、さらにまた、植物を処理する方法も提供する。本発明の製剤は、処理対象の作物に対して、噴霧装置などの適切な装置を用いて施用することが可能であり、さらにまた、作物に施用する前に希釈することが必要な市販の濃厚組成物を用いて施用することも可能である。好ましい実施形態では、本発明の製剤は、有効な量で、土壌表面(即ち、畝間)に対して、植物の一部分(即ち、茎葉)に対して、又は、播種前の種子に対して(即ち、種子粉衣)、及び/又は、植物の果実に対して、使用することができる。粉末に基づいた施用においては、本発明の製剤は、使用時における水性成分として使用することができる。
【0081】
一実施形態では、本発明の製剤は、植物に対して又は植物は生育している媒体に対して有効量の本発明の製剤を施用することにより、作物の植物病原性病害と闘うために使用することができる。そのような方法に関し、該活性物質は、一般に、処理対象の領域1ヘクタール当たり総量で約20g〜約200gの活性物質の有効薬量で標的領域に施用する。
理想的な条件下では、処理対象の病害の種類に応じて、より少ない薬量で充分な保護を示すこともあり得る。逆に、不順な気候条件、抵抗性又は別の要因によって、さらに多い薬量の活性物質が必要となることもあり得る。
【0082】
特に好ましい実施形態では、本発明の製剤は、種子処理として使用する。本発明によれば、種子処理製品を種子に対して正確に、安全に且つ効率的に施用するために特に設計及び製造された処理施用装置を使用し、混合、噴霧又はそれらの組合せからなる慣習的な方法を用いて、本明細書中に開示されている製剤の1以上の層で種子に実質的に均一にコーティングする。そのような装置は、さまざまなタイプのコーティング技術、例えば、ロータリーコーター、ドラムコーター、流動床技術、噴流層、ロータリーミスト又はそれらの組合せなどを使用する。本発明の種子処理剤などのような液体種子処理剤は、回転する「噴霧器」ディスクを介して施用するができるか、又は、移動しながらその噴霧パターンを通して種子処理剤を種子上に一様に分配する噴霧ノズルを介して施用するができる。好ましくは、その種子は、次に、付加的な処理剤の分配を達成するために、追加の時間、混合又はタンブルさせ、そして、乾燥させる。
【0083】
該種子には、バッチコーティングプロセス又は連続コーティングプロセスを介してコーティングすることができる。連続コーティングの実施形態では、連続フロー装置によって、種子の流量と種子処理製品の両方を同時に計測する。スライドゲート、コーン及びオリフィス、種子ホイール、又は、秤量装置(ベルト又はダイバータ)が、種子の流量を調節する。処理装置を通る種子の流量が決定されたら、種子が種子処理装置を通って流れるときにその種子に所望の薬量を送達するために、種子処理剤の流量を種子の流量に対して調整する。さらに、コーティング機への種子の入量をコンピューターシステムによってモニターすることが可能であり、それによって、適切な量の種子の一定流量を維持することができる。
【0084】
バッチコーティングの実施形態では、バッチ処理装置が、所定量の種子を検量し、その種子を閉じられた処理チャンバー又はボウルの中に入れ、そこで、次に、対応する薬量の種子処理剤を施用する。次いで、このバッチを、次のバッチの処理に備えて、処理チャンバーの中から取り出す。コンピューター制御システムを用いてこのバッチプロセスを自動化し、それによって、バッチ処理プロセスを連続的に繰り返すことが可能となる。
【0085】
いずれの実施形態においても、該種子コーティング機は、従業員が介入することなくさまざまな装置を開始及び停止させることを可能とする、プログラム可能な論理制御器によって場合により運転することができる。このシステムの構成部品は、「Gustafson Equipment(Shakopee,MN)」などの幾つかの供給元を介して市販されている。
【0086】
粘着剤又は結合剤などの当業者には既知のさまざまな添加剤を該種子処理製剤に添加することができる。適切な結合剤には、好ましくは粘着性ポリマー(ここで、該粘着性ポリマーは、天然又は合成であることができ、また、コーティング対象の種子に対して有害な効果を有さない)から構成される結合剤が包含される。少なくとも1種類の適切な着色剤も添加することができる。さまざまな着色剤のうちのいずれも使用することができ、そのような着色剤としては、ニトロソ、ニトロ、アゾ(これは、モノアゾ、ジアゾ及びポリアゾを包含する)、ジフェニルメタン、トリアリールメタン、キサンテン、メチン、アクリジン、チアゾール、チアジン、インダミン、インドフェノール、アジン、オキサジン、アントラキノン及びフタロシアニンとして分類される有機発色団などがある。添加することが可能な別の添加剤としては、微量栄養素、例えば、鉄塩、マンガン塩、ホウ素塩、銅塩、コバルト塩、モリブデン塩及び亜鉛塩などがある。処理剤が種子の表面上に保持されるように、ポリマー又は別のダスト制御剤(dust control agent)を施用するができる。
【0087】
一実施形態では、本発明の種子コーティング製剤は、当該活性成分と合してその種子への施用を容易にする有機又は無機の天然成分又は合成成分である少なくとも1種類の増量剤を含有することができる。好ましくは、該増量剤は、不活性固体、例えば、クレー、天然若しくは合成のシリケート、シリカ、樹脂、蝋、固形肥料(例えば、アンモニウム塩)、天然土壌鉱物、例えば、カオリン、クレー、タルク、石灰、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイト若しくはケイ藻土、又は、合成鉱物、例えば、シリカ、アルミナ若しくはシリケート、特に、ケイ酸アルミニウム若しくはケイ酸マグネシウムである。
【0088】
本発明に従って、任意の作物種子を処理することができる。これには、遺伝子組換え作物、非遺伝子組換え作物及びそれらの組合せが包含される。本発明に従って処理し得る作物種子には、果実及び野菜のような作物が包含される。一実施形態では、コーティングし得る作物種子としては、ダイズ種子、コムギ種子、オオムギ種子、イネ種子、ナタネ種子、テンサイ種子、トマト種子、インゲンマメ種子、ニンジン種子、タバコ種子及び何種類かの花の種子などがある。好ましくは、本発明の製剤でワタ種子又はトウモロコシ種子をコーティングする。
【0089】
本発明の主題について開示したが、本発明に鑑みて本発明の多くの変更、置換及び変形態様が可能であるということは、明らかである。特定的に記載されている以外の方法で本発明を実施することも可能であるということは理解されるべきである。そのような変更、置換及び変形態様は、本出願の範囲内に含まれていることが意図されている。以下の「特許請求の範囲」において使用されている場合、「a」、「the」などの冠詞は、それに続く対象の単数形又は複数形を意味することができる。
【0090】
(実施例)
【実施例1】
【0091】
本発明の独立した液体胞子懸濁液(A)を以下のように調製した:株CNCM I−1582のバシルス・フィルムス(Bacillus firmus)の粉末〔濃度1×111(cfu/g)〕(55g)を、以下の順番で、溶媒及び溶液と混合させた:プロピレングリコール(50g)、飽和塩化カリウム溶液(24.75g)及び水(106g)、次いで、「Atlox 4913」(7.5g)〔Croda Corp.(New Castle,Delaware)から入手可能な界面活性剤〕、「Borresperse NA」(1.5g)〔Lignotech USA,Inc.(Rothschild,Wisconsin)から入手可能な分散剤〕、「Agrimer 15」(5g)〔ISP Corp.(Wayne,New Jersey)から入手可能な分散剤〕及び「Proxel GXL」(0.25g)〔Arch Chemical(Norwalk,Connecticut)から入手可能な殺生物剤〕。上記サンプルは、均質になるまで充分に混合させた。同じ重量のCNCM I−1582胞子に米国特許第6,471,741号に開示されている必須肥料溶液を添加して22%胞子懸濁液を生成させることにより、同様のバシルス・フィルムス(B.firmus)懸濁液(B)を調製した。両方のサンプルの粘度を測定し、比較した。「Brookfield LVT」粘度計により、サンプルAの粘度は270cpsであり、サンプルBの粘度は1280cpsであった。通常、より低い粘度が好ましい。胞子が基本培地の中にあるサンプルBでは多量のガスが発生するということも分かった。このことは、広口瓶の中における胞子の望ましくない発芽を示唆している。
【0092】
サンプルAについて、さらに、クロチアニジン殺有害生物剤「Poncho 250」及び「Poncho 1250」〔いずれも、Bayer CropScience LP(Research Triangle Park,North Carolina)から入手可能〕を含んでいる標準的な種子処理製剤においても評価した。バシルス・フィルムス(B.firmus)胞子の存在下及び非存在下における、処理されたトウモロコシ種子の植え付け性(plantability)試験では、統計的な差は示されなかった〔バシルス・フィルムス(B.firmus)胞子の存在下及び非存在下において平均99%〕。処理された種子の植え付け性は、胞子とポリマーと殺有害生物剤でコーティングされた種子が種子施用装置〔例えば、80°F及び湿度70−80%で稼働する「John Deer」播種機ユニット〕を通って流れるときのシンギュレーション(singulation)のパーセントとして定義される。
【実施例2】
【0093】
本発明の独立した液体胞子懸濁液(C)を以下のように調製した:株CNCM I−1582のバシルス・フィルムス(Bacillus firmus)の粉末〔濃度1×111(cfu/g)〕(6.6g)を、最初に疎水性剤「Tufflo Oil」(0.33g)〔Nynas USA Inc.(Houston,Texas)から入手可能な疎水性剤〕と混合させ、次いで、「Aerosil R972」(0.06g)〔Evonik Corp(Parsippany,New Jersey)から入手可能なシリカ懸濁助剤〕、溶媒プロピレングリコール(7.8g)、「Emulsogen EL360」(0.3g)〔Clariant Corp.(Charlotte,North Carolina)から入手可能な界面活性剤〕、水(14.7g)、「Van Talc 6H」(0.03g)〔R.T.Vanderbilt(Norwalk,Connecticut)から入手可能な懸濁助剤〕、「Borresperse NA」(0.15)及び「Proxel GXL」(0.03g)と混合させた。上記サンプルは、均質になるまで充分に混合させた。得られた胞子懸濁液は、密度が1.109g/mLであり、「Anton Paar SVM 3000」粘度計による20℃での粘度は143mPa.sであった。
【実施例3】
【0094】
胞子と化学物質の組合せの化学物質モジュールを以下のように調製した:クロチアニジン(57%)、水(31.4%)、グリセリン(4%)、EO−PO非イオン性界面活性剤(HLB=13−15)(3%)、「Morwet D425」(1.2%)〔Akzo Nobel(Chicago,Illinois)から入手可能な湿潤剤〕、「Atlox 4913」(1.2%)、「Agrimer 15」(1%)、懸濁助剤(0.9%)、「Proxel GXL」(0.1%)及びシリコーン消泡剤(0.2%)の混合物を混合させ、湿式粉砕することによって調製した。レーザー光回折技術によって、粒径を約3〜4ミクロン(50%占有率)に制御した。「Brookfield LVT」粘度計にる該サンプルの粘度は235cpsであり、当該懸濁液の最終的なクロチアニジン濃度は728g/Lであった。
【0095】
組合せ製剤の胞子モジュールの調製は、実施例1の調製に従った:株CNCM I−1582のバシルス・フィルムス(Bacillus firmus)の粉末(11%)、「Agnique PG 8107U」(0.5%)〔Cognis Corp.(Cincinnati,Ohio)から入手可能な界面活性剤〕、水(23%)及び飽和塩化カリウム溶液(22.5%)。その胞子モジュールを均質になるまで混合させた後、次に、上記化学物質モジュールを該胞子モジュールに43%(w/w)対57%(w/w)の割合で添加して当該組合せ製剤を完成させた。両方のモジュールとも、必要とされる商業的品質が不充分であるので単独では使用できないということが分かった。しかしながら、最終的な組合せは、良好な化学的安定性、物理的安定性及び生物学的安定性を示した。
【実施例4】
【0096】
実施例2の場合と同様にして、2種類の化学物質〔1種類の殺虫剤(イミダクロプリド)及び1種類の殺線虫剤(チオジカルブ)〕からなる化学物質モジュールを以下のように調製した:イミダクロプリド(33%)、チオジカルブ(24%)、EO−PO非イオン性界面活性剤(HLB=13−15)(3%)、「Morwet D425」(1%)、「Atlox 4913」(1%)、クエン酸(0.1%)、グリセリン(8%)、「Proxel GXL」(0.1%)、シリコーン消泡剤(0.2%)及び水(29.6%)。そのバッチを粒径が9.4ミクロン(50%体積平均)となるまで湿式粉砕した。結果として得られたpHは3.5であり;その「Brookfield」粘度は160cpsであった。
【0097】
該胞子モジュールは、株CNCM I−1582のバシルス・フィルムス(Bacillus firmus)の粉末(8.5%)、「Atlox 4913」(1.2%)、「Borresperse NA」(0.3%)、グリセリン(5.5%)、「Proxel GXL」(0.2%)及び水(13.3%)で構成され、これは、最終的な組合せ製剤の29%(w/w)部分を占めた。残余の71%(w/w)は、上記化学物質モジュールによって満たした。得られた組合せ製剤は、体積平均粒径が14.4ミクロンであり、pHが7.9であり、「Brookfield LVT」モデルによる粘度プロフィールは1160cpsであった。含有量(loading)に関しては、該組合せ製剤は、291g/Lのイミダクロプリド、203g/Lのチオジカルブ及び105g/Lのバシルス・フィルムス(Bacillus firmus)胞子を含んでいた。該組合せ製剤は、室温で最低限6ヶ月の生物学的利用能も示した。
【0098】
例証する目的で、上述において本発明について詳細に記載したが、そのような詳細な記載が単に例証することを目的としたものであって、「特許請求の範囲」によって制限され得る場合を除き、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者によって変形態様が形成され得るということは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業上許容される安定な水性製剤であって、
(a)3%(w/w)〜80%(w/w)の量で存在している少なくとも1種類の胞子;
(b)2〜90%(w/w)の量の、少なくとも1種類の水混和性溶媒及び/又は 疎水性剤の少なくとも1種類の水性エマルション;及び、
(c)残余の水;
を含んでいる、前記製剤。
【請求項2】
前記少なくとも1種類の胞子が、細菌種、真菌種及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記細菌種の胞子がバシルス属(Bacillus)に由来する、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
前記細菌種の胞子が、バシルス・アイザワイ(Bacillus aizawai)、バシルス・セレウス(Bacillus cereus)、バシルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バシルス・クルスタキ(Bacillus kurstaki)、バシルス・レンチモルブス(Bacillus lentimorbus)、バシルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バシルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシルス・ポピラエ(Bacillus popillae)、バシルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バシルス・スファエリクス(Bacillus sphaericus)、バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)及び/又はバシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する少なくとも1種の胞子でありそして、好ましくは、株CNCM I−1582のバシルス・フィルムス(Bacillus firmus)である、請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
前記真菌種の胞子が、担子菌綱(Basidiomycetes)、ツボカビ綱(Chytridiomycetes)、不完全菌綱(Deuteromycetes)、サカゲツボカビ綱(Hyphochytridiomycetes)、卵菌綱(Oomycetes)、ネコブカビ綱(Plasmodiophoromycetes)、フンタマカビ綱(Sordariomycetes)、トリコミケス綱(Trichomycetes)及び接合菌綱(Zygomycetes)に由来する、請求項2に記載の製剤。
【請求項6】
前記真菌種の胞子が、アルトロボトリス・スペルバ(Arthrobotrys superba)、アルトロボトリス・イレグラル(Arthrobotrys irregular)、ベアウベリア・バシアナ(Beauveria bassiana)、フサリウム属種(Fusarium spp.)、ヒルステラ・ロシリエンシス(Hirsutella rhossiliensis)、ヒルステラ・トムプソニイ(Hirsutella thompsonii)、ラゲニジウム・ギガンテウム(Lagenidium giganteum)、ミロテシウム(Myrothecium)、ノムラエア・リレイイ(Nomuraea rileyi)、パエシロミセス・リラシヌス(Paecilomyces lilacinus)、トリコデルマ(Trichoderma)、ベリシリウム・レカニイ(Vericillium lecanii)及び/又はベルチシリウム・レカニイ(Verticillium lecanii)に由来する少なくとも1種の胞子である、請求項2に記載の製剤。
【請求項7】
前記少なくとも1種類の水混和性溶媒が極性有機溶媒である、請求項1に記載の製剤。
【請求項8】
前記極性水混和性有機溶媒が、1,3−ブチレングリコール、2−ピロリドン、アセトン、アセトニトリル、脂肪族アルコール、脂肪族カルボン酸アルキルエステル、シクロヘキサノン、ジグリコール、トリグリコール、ジアセトンアルコール、ジアルキルケトン、ジエチレングリコール、ジグリム、DMF、DMSO、エタノール、酢酸エチル、ホルムアミド、フルフリルアルコール、ガンマ−ブチロラクトン、グリセロール、グリコフロール、グリコールエーテル、グリコール、ヘキサメチレングリコール、イソプロパノール、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドン、ペンタメチレングリコール、リン酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール類、ポリヒドロキシル化アルカン、プロパノール、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、ピロリジン、ピロリジン、スルホラン、テトラヒドロフラン、テトラメチレングリコール、チオジグリコール及び/又はトリエチレングリコール並びにそれらの組合せを包含する、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
前記少なくとも1種類の疎水性剤が:(a)水素化重質ナフテン系留出物;(b)水素化植物油;及び/又は(c)植物起源の油〔ここで、植物起源の油としては、限定するものではないが、アーモンド油、カノラ油、ココナッツ油、トウモロコシ油、綿実油、亜麻仁油(flaxseed oil)、ブドウ種子油、ホホバ油、亜麻仁油(linseed oil)、カラシ油、オリーブ油、ヤシ油、落花生油、菜種油、米糠油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油及びクルミ油などを挙げることができる〕並びにそれらの混合物である、請求項1に記載の製剤。
【請求項10】
少なくとも1種類の化学物質〔ここで、該少なくとも1種類の化学物質は、界面活性剤、分散剤、懸濁助剤、安定剤、殺生物剤、緩衝剤、昆虫防除剤、殺有害生物剤、殺菌剤及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類である〕をさらに含んでいる、請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
(a)前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びそれらの組合せからなる群から選択され;
(b)前記分散剤が、イオン性水溶性ポリマー、アニオン性水溶性ポリマー及びそれらの組合せからからなる群から選択され〔ここで、(i)該イオン性水溶性ポリマーは、リグニンスルホネート分散剤、ポリアクリレート若しくは該ポリアクリレートのナトリウム塩又はそれらの組合せからなる群から選択され;及び、(ii)該非イオン性水溶性ポリマーは、ビニルピロリドンホモポリマー若しくはコポリマー又はポリ(ビニルアルコール)及び/若しくはポリ(エチレンオキシド)又はそれらの混合物である〕;
(c)前記懸濁助剤が、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ビニルピロリドンホモポリマー及びコポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、グアーガム、澱粉、誘導体化グアー及びポリアクリルアミド、アタパルジャイト、モンモリロナイト、有機的に修飾されたモンモリロナイトクレー、アルミナ及び/又は沈降シリカ並びにそれらの組合せからなる群から選択され;
(d)前記安定剤が、
(i)アルミニウム、カルシウム、銅、鉄、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛からなる群から選択される少なくとも1のカチオン;及び、
(ii)酢酸アニオン、臭化物、炭酸アニオン、塩化物、亜塩素酸アニオン、クロム酸アニオン、クエン酸アニオン、縮合リン酸アニオン、シアン酸アニオン、リン酸二水素アニオン、リン酸二水素アニオン、フッ化物、ギ酸アニオン、炭酸水素アニオン、重炭酸アニオン、リン酸水素アニオン、亜リン酸水素アニオン、亜硫酸水素アニオン、重亜硫酸水素アニオン、次亜塩素酸アニオン、次亜リン酸アニオン、硝酸アニオン、亜硝酸アニオン、オルトリン酸アニオン、シュウ酸アニオン、リン酸アニオン、リン化物、ホスホン酸アニオン、ピロリン酸アニオン、サリチル酸アニオン、ケイ酸アニオン、硫酸アニオン、硫化物、亜硫酸アニオン、チオシアン酸アニオン及びチオ硫酸アニオンからなる群から選択される少なくとも1のアニオン;
を有する少なくとも1種類の化学的塩化合物であり〔ここで、該安定剤は、好ましくは、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム又は硫酸亜鉛である〕;
(e)前記殺生物剤が、5−クロロ−2−メチル−3(2H)−イソチアゾロン(例えば、商品名「Kathon」)、o−フェニルフェノール、ナトリウムo−フェニルフェネート、シス−1−(クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロリド、7−エチルビシクロオキサゾリジン、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、ブロノポール、グルタルアルデヒド、水酸化銅、クレゾール、ジクロロフェン、ジピリチオン、ドジン、フェナミノスルフ、ホルムアルデヒド、ヒドラルガフェン、8−ヒドロキシキノリンスルフェート、カスガマイシン、ニトラピリン、オクチリノン、オキソリン酸、オキシテトラサイクリン、プロベナゾール、ストレプトマイシン、テクロフタラム、チメロサール、ポリ第4級塩化アンモニウム、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、2−メチル−4−イソチアゾロン、2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−プロピル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ブチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−アミル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−ブロモ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−ヨード−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−ブチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−ブロモ−2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−ヨード−2−アミル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン及びそれらの組合せからなる群から選択され;
(f)前記緩衝剤が、クエン酸、アスコルビン酸、塩酸、硫酸及びそれらの組合せからなる群から選択され;
(g)前記昆虫防除剤が、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン(イミダクロプリド)、3−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−1,3−チアゾリジン−2−イリデンシアナミド(チアクロプリド)、1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(クロチアニジン)、ニテンピラム(nitempyran)、N−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N−シアノ−N−メチルアセトアミジン(アセタミプリド)、3−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−5−メチル−1,3,5−オキサジアジナン−4−イリデン(ニトロ)アミン(チアメトキサム)、1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン(ジノテフラン)及びカーバメート系〔ここで、該カーバメート系としては、限定するものではないが、アルジカルブ、カルバリル、カルボフラン及びチオジカルブなどを挙げることができる〕並びにそれらの組合せからなる群から選択され;
及び、
(h)前記殺菌剤が、アシベンゾラル−S−メチル、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベナラキシル−M、ベノミル、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、ビテルタノール、ブラストサイジン−S、ボスカリド、ブロムコナゾール、カプタホール、キャプタン、カルベンダジム、カルボキシン、カルプロパミド、クロロタロニル、銅に基づく殺菌剤組成物、銅の誘導体、例えば、水酸化銅及び塩基性塩化銅、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ジクロラン、ジクロシメット、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフルメトリム、ジメトモルフ、ジニコナゾール、ジスコストロビン(discostrobin)、ドデモルフ、ドジン、エジフェンホス、エポキシコナゾール、エタボキサム、エチリモール、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナリモール、フェンブコナゾール、フェンヘキサミド、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルメトベル、フルオピコリド、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアホール、ホルペル(folpel)、ホセチル−Al、フララキシル、フラメトピル、グアザチン、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、イマザリル、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソプロチオラン、カスガマイシン、クレソキシム−メチル、マンゼブ、マンジプロパミド、マンネブ、メフェノキサム、メパニピリム、メタラキシル及びそれらのエナンチオマー形態、例えば、メタラキシル−M、メトコナゾール、メチラム−亜鉛、メトミノストロビン、オキサジキシル、メトラフェノン、オリサストロビン、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンチオピラド、フタリド、ピコキシストロビン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピリメタニル、ピロキロン、キノキシフェン、シルチオファム、シメコナゾール、スピロキサミン、テブコナゾール、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート、チオファネート−メチル、チウラム、トリルフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリチコナゾール、バリンアミドの誘導体、例えば、イプロバリカルブ、ビンクロゾリン、ジネブ、ゾキサミド、並びに、それらの組合せからなる群から選択される;
請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
前記化学物質が、
(a)0.2%(w/w)〜50%(w/w)の少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤及び/又は0.1%(w/w)〜25%(w/w)の少なくとも1種類のアニオン性界面活性剤並びにそれらの組合せを含んでいる界面活性剤;
(b)0.1%(w/w)〜37%(w/w)の前記分散剤;
(c)0.5%(w/w)〜25%(w/w)の前記懸濁助剤;
(d)0.5%(w/w)〜30%(w/w)の前記安定剤;
(e)0.1%(w/w)〜12%(w/w)の前記殺生物剤;
(f)0.1%(w/w)〜3%(w/w)の前記緩衝剤;
(g)1%(w/w)〜99%(w/w)の前記昆虫防除剤;
(h)1%(w/w)〜60%(w/w)の前記殺菌剤;及び、
(i)100%(w/w)とするのに充分な量の水;
からなる群の1以上から選択される、請求項10に記載の製剤。
【請求項13】
「Brookfield」粘度計による150〜3500cpsの粘度及び約2.5〜9.5のpHを示す、請求項1に記載の製剤。
【請求項14】
植物を保護する方法であって、
(a)水性製剤〔ここで、該製剤は、以下のものを含んでいる:
3%(w/w)〜80%(w/w)の量の少なくとも1種類の胞子;
5%(w/w)〜50%(w/w)の量の少なくとも1種類の水混和性溶媒及び/又は疎水性剤の水性エマルション;
1%(w/w)〜60%(w/w)の昆虫防除剤、殺有害生物剤及び/又は殺菌剤;
場合により、0.2%(w/w)〜20%(w/w)の少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤;
場合により、0.1%(w/w)〜10%(w/w)の少なくとも1種類のアニオン性界面活性剤又は湿潤剤;
場合により、0.1%(w/w)〜20%(w/w)の少なくとも1種類の高分子分散剤;
場合により、0.5%(w/w)〜20%(w/w)の、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属又はアルミニウム、アンモニウム、亜鉛及び/若しくは鉄の塩からなる少なくとも1種類の安定剤;
場合により、0.5%(w/w)〜10%(w/w)の少なくとも1種類の懸濁助剤;
場合により、0.1%(w/w)〜10%(w/w)の少なくとも1種類の殺生物剤;
場合により、5%(w/w)〜30%(w/w)の少なくとも1種類のアジュバント;
場合により、少なくとも1種類の緩衝剤;並びに、
総量を100%(w/w)とするのに充分な量の水〕
を提供すること;及び、
(b)該製剤を有効な量で植物に施用すること;
を含む、前記方法。
【請求項15】
前記植物が、遺伝子組換え植物、非遺伝子組換え植物及びそれらの組合せからなる群から選択され、並びに、前記組成物が、植物の茎葉部に対して施用され、植物の種子及び/又は果実に対して施用され、植物の根又は根の周囲に施用され、及び、それらの組合せに対して施用される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記種子が、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、コムギ、オオムギ、イネ、ナタネ、テンサイ、トマト、インゲンマメ、ニンジン及びタバコからなる群から選択される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
請求項10の農業上許容される安定な水性製剤を調製する方法であって、
請求項1に記載の少なくとも1種類の胞子を含んでいるが殺虫剤、殺有害生物剤又は殺菌剤は含んでいない水性胞子懸濁液モジュールを調製すること;
請求項10に記載の化学物質を含んでいるが少なくとも1種類の胞子は含んでいない水性化学物質懸濁液モジュールを調製すること;及び、
該胞子モジュールと該化学物質モジュールをを合して安定な水性製剤を形成させること;
を含んでいる、前記方法。
【請求項18】
(a)前記胞子が細菌種又は真菌種であり〔ここで、
(i)細菌胞子の場合は、それは、バシルス属(Bacillus)に由来し、そして、バシルス・アイザワイ(Bacillus aizawai)、バシルス・セレウス(Bacillus cereus)、バシルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バシルス・クルスタキ(Bacillus kurstaki)、バシルス・レンチモルブス(Bacillus lentimorbus)、バシルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バシルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシルス・ポピラエ(Bacillus popillae)、バシルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バシルス・スファエリクス(Bacillus sphaericus)、バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)及び/又はバシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)のうちの少なくとも1種類であり;並びに、
(ii)真菌胞子の場合は、それは、担子菌綱(Basidiomycetes)、ツボカビ綱(Chytridiomycetes)、不完全菌綱(Deuteromycetes)、サカゲツボカビ綱(Hyphochytridiomycetes)、卵菌綱(Oomycetes)、ネコブカビ綱(Plasmodiophoromycetes)、フンタマカビ綱(Sordariomycetes)、トリコミケス綱(Trichomycetes)及び接合菌綱(Zygomycetes)に由来し、そして、アルトロボトリス・スペルバ(Arthrobotrys superba)、アルトロボトリス・イレグラル(Arthrobotrys irregular)、ベアウベリア・バシアナ(Beauveria bassiana)、フサリウム属種(Fusarium spp.)、ヒルステラ・ロシリエンシス(Hirsutella rhossiliensis)、ヒルステラ・トムプソニイ(Hirsutella thompsonii)、ラゲニジウム・ギガンテウム(Lagenidium giganteum)、ミロテシウム(Myrothecium)、ノムラエア・リレイイ(Nomuraea rileyi)、パエシロミセス・リラシヌス(Paecilomyces lilacinus)、トリコデルマ(Trichoderma)、ベリシリウム・レカニイ(Vericillium lecanii)及び/又はベルチシリウム・レカニイ(Verticillium lecanii)に由来する少なくとも1種類である〕;
(b)前記化学物質モジュールが、殺有害生物剤、殺菌剤、殺虫剤及びそれらの組合せからなる群から選択される活性成分の100g/L〜750g/Lの化学物質含有量を示し、且つ、レーザー光散乱法により2〜25ミクロンの50%重量平均粒径を示し;
(c)前記胞子モジュールが、少なくとも20g/Lの含有量を有し;及び、
(d)前記安定な水性製剤が、150〜3500cpsの「Brookfield」粘度及び2.5〜9.5のpHを示す;
請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2011−517461(P2011−517461A)
【公表日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504056(P2011−504056)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2009/038861
【国際公開番号】WO2009/126473
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(506018237)バイエル・クロツプサイエンス・エル・ピー (16)
【Fターム(参考)】