説明

安定化されたヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)含有医薬組成物

【課題】 安定化された、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)含有医薬組成物。
【解決手段】 ベンジルアルコール、フェノキシエタノール又はソルビン酸塩を安定化剤として含んでなる、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)含有医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分としてヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を含有する、安定化された医薬組成物に関する。ここで、安定化とは、当該医薬組成物の使用前にヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の分子量が低下せず、且つ離漿(ゲル剤の固液分離)が起こらないことを意味する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)は、下腿の皮膚潰瘍症状の治療等に用いる新規化合物として見出された物質であり(特許登録第2571312号)、ラットの肉芽増殖促進作用及び血管新生作用が確認され、種々の創傷に対する治療効果が期待されている。また、顕著な皮膚バリア機能改善作用および保湿作用を有することにより総合的に皮膚の諸症状を改善し、皮膚本来の機能を維持・正常化する皮膚症状改善作用が期待されている。更に、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎等を含む湿疹・皮膚炎群治療剤としても期待されている。
【0003】
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を含有する医薬組成物において、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の分子量が低下する問題点は知られている。特開2001−278791号公報には、クエン酸、マレイン酸又はこれらの塩から選ばれる1種以上を2ミリモル以上含有せしめし、pHを5.7〜7.5に調節することによりヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の分子量低下を抑制した例が記載されている。しかしながら、この手段では、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の分子量低下を抑制するものの、ヒアルロン酸亜鉛の錯体形成割合の低下が起こり、期待される作用を十分に発揮できなくなる。更に、ゲル剤においては、わずかではあるが、基剤の離漿(水の分離)を引き起こし、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の不均一化が生じるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記従来の課題に鑑みなされたものである。すなわち、ヒアルロン酸亜鉛の分子量低下をおこさず、かつ、基剤の離漿(水の分離)を引き起こさない薬剤的に安定なヒアルロン酸亜鉛皮膚適用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは,上記課題を解決すべく種々検討した結果、クエン酸、マレイン酸又はこれらの塩が、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の錯体形成の割合を低下させるものと考え、これらクエン酸、マレイン酸又はこれらの塩に代わる新たな安定化手段を見出すべく鋭意研究した結果、ベンジルアルコール又はフェノキシエタノールを安定化剤として添加することにより、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の分子量低下を抑制し、さらに、基剤の離漿(水の分離)を引き起こすことのないヒアルロン酸亜鉛の製剤品を製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
従って本発明は、ベンジルアルコール又はフェノキシエタノールを安定化剤として含んでなる、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)含有医薬組成物を提供する。
前記安定化剤の含有量は、医薬組成物全重量に対して0.01重量%〜10重量%であり、好ましくは医薬組成物全重量に対して0.05重量%〜5重量%であり、例えば医薬組成物全重量に対して0.1重量%〜1重量%である。
【0007】
なお、前記安定化は、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の分子量の低下の抑制、及び離漿の抑制である。ここで、前記ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の平均分子量は、約100kD〜約2,000kDであり、好ましくは約400〜1,200kDであり、例えば約1,000kDである。
本発明の医薬組成物は、離漿を抑制するため、クエン酸、マレイン酸及びこれらの塩類のいずれも含有しないのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を含有する医薬組成物にベンジルアルコール又はフェノキシエタノールが安定化剤として添加されているため、当該ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の分子量が低下せず、且つゲル剤において離漿を起こさないという効果を奏する。また、クエン酸、マレイン酸及びそれらの塩のいずれも添加しないことにより、離漿抑制効果が確実なものにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)
本発明の活性成分は、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)である。ヒアルロン酸は通常ナトリウム塩として存在し、Meyetら、J,BiolChem、Vol,107,p,629(1934)により記載された巨大分子である。ヒアルロン酸は、β1,3-グルクロン酸成分とβ1,4-グルコサミン成分とを交互に有する高粘性グルコサミノグリカンであり、その分子量は50kD〜数百万Dである。ヒアルロン酸はすべての噛乳類の結合組織に見出され、皮膚、目の硝子体、滑液、麟帯及び軟骨組織に高レベルで存在する。ヒアルロン酸は結合組織の基礎的な成分であるため、生物適合性であり、生物吸着性であり、且つ免疫原性でない。このため、ヒアルロン酸は、関節軟骨の潤滑性及び保護のごとき多くの生物学的機能を演じている。
【0010】
本発明のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)において、ヒアルロン酸と亜鉛との比率は、重量比として、ヒアルロン酸:亜鉛が約5:1〜20:1の範囲であり、好ましくは約10:1である。本発明において使用するヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の平均分子量は好ましくは約100kD〜2,000kDであり、更に好ましくは安定性や製剤設計性の観点から約400〜1,200kDの範囲であり、例えば約1000kDの平均分子量が好ましい。本発明の、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)は、例えばヒアルロン酸ナトリウムの水溶液と亜鉛塩、例えば塩化亜鉛の水溶液とを混合することにより製造することができる(ヨーロッパ特許明細書No-EPO413016)。
【0011】
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)は、物理的最大投与量200mg/kgでラット及びマウスに皮下投与しても、全身性の毒性症状は認められなかった。
【0012】
添加物など
本発明の医薬組成物を皮膚外用剤に用いる場合、本発明必須成分に加えて、化粧品及び/又は皮膚科学的領域において常套的に使用される付加的な成分を必要に応じて適宜配合することができる。すなわち、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常化粧料や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば、保湿剤、油性成分、界面活性剤、ビタミン類、蛋白分解酵素、増粘剤、防腐剤、粉体、酸化防止剤、紫外線吸収剤、乳化剤、香料、化粧品用又は製薬用活性剤、ビタミン類、必須脂肪酸、スフィンゴ脂質、自己サンタン剤、サンスクリーン剤、皮膜形成ポリマー、着色料、顔料、アルコール類、色材、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。言うまでもなく、当業者であれば、考えられる添加により、本発明の組成物の有利な特性が悪影響を受けないか、実質的に受けないように留意して、任意の付加的な化合物及び/又はその量を選択するであろう。
【0013】
保湿剤
保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1、3−ブチレングリコール等の多価アルコール、ソルビット、マンニット等の糖アルコール、コンドロイチン硫酸塩、キトサン等の水溶性高分子、尿素、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸、コラーゲン、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ヨクイニン抽出物、黒糖抽出物及びキトサン誘導体塩等が挙げられ、その他にも、ヘパリン類似物質、コラーゲン、γ−オリザノール、γ−リノレイン酸、リノール酸、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンA、スクワレン、スクワラン、コレステロール、トリグリセリド、セラミド等が挙げられる。
【0014】
油性成分
油性成分としては、例えば、大豆油、ヌカ油、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ脂、ゴマ油、パーシック油、ヒマシ油、ヤシ油、ミンク油、牛脂、豚脂等の天然油脂、これらの天然油脂を水素添加して得られる硬化油及びミリスチン酸グリセリド、2−エチルヘキサン酸グリセリド等の合成グリセリド、ジグリセリド等の油脂類、ホホバ油、カルナウバロウ、鯨ロウ、ミツロウ、ラノリン等のロウ類、流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、プリスタン等の炭化水素類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸類、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、コレステロール、2−ヘキシルデカノール、ホホバアルコール等の高級アルコール類、オクタン酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸コレステロール等のエステル類、精油類およびシリコーン油類が挙げられる。
【0015】
界面活性剤
界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ショ糖脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルカノールアミド等の非イオン性界面活性剤、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを付加したアルキルエーテルカルボン酸塩又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、アミノ酸型界面活性剤、リン酸エステル型界面活性剤、タウリン型界面活性剤、アマイドエーテルサルフェート型界面活性剤等の陰イオン性界面活性剤、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸、スルホベタイン型等の両性界面活性剤および4級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤が挙げられるが、安全性の面から非イオン性界面活性剤が特に好ましい。
【0016】
ビタミン類
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンK、ビタミンP、ビタミンU等が挙げられる。
蛋白分解酵素
蛋白分解酵素としては、例えば、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、カテプシン、パパイン、ブロメライン、フィシン及び細菌、酵母、カビ由来のプロテアーゼ等が挙げられる。
【0017】
増粘剤
増粘剤としては、例えばカルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カラギーナン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリアクリル酸塩等の水溶性高分子化合物、塩化カリウム等の無機塩が挙げられる。
【0018】
粉体
粉体としては、例えばタルク、セリサイト、マイカ、カオリン、シリカ、ベントナイト、バーミキュライト、亜鉛華、雲母、雲母チタン、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、ベンガラ、酸化鉄、群青等が挙げられる。その他の成分としては、香料、色素、殺菌剤等を挙げることができる。
【0019】
剤形
本発明の皮膚バリア機能改善組成物の剤形としては特に限定されず、例えば、軟膏剤、クリーム剤、液剤、ゲル剤、ゾル剤、水溶液剤、アルコール剤、グリセリン・グリコール剤、油剤、懸濁型ローション剤、乳剤型ローション剤、ニス剤、湿布剤、噴霧剤等が挙げられる。
【0020】
軟膏剤
軟膏剤は、通常の軟膏剤を製造する方法を用いることにより製造できる。例えば、活性成分と基剤とを加温攪拌し、加温分散させた後、攪拌下、室温に冷却することにより製造できる。
クリーム剤
クリーム剤は、通常、クリーム剤を製造する方法を用いることにより製造できる。例えば、まず基剤を加熱攪拌下に製造し、これに、活性成分自体又はこれを含有する溶液を、加熱撹件下に添加し、生じた乳化液を室温に冷却することにより製造できる。
【0021】
ローション
ローション剤は、通常、ローション剤を製造する方法を用いることにより製造でき、例えば、油性基剤又は、加温融解した油性基剤と水性基剤の混合基剤に、活性成分自体又はこれを含有する溶液を加熱攪拌下に添加し、次いで、水性基剤を添加して、生じた液体を室温に冷却することにより製造できる。
【0022】
貼付剤
貼付剤は、通常、貼付剤を製造する方法を用いることにより製造でき、例えば、加温融解した油性基剤と水性基剤の混合基剤に、添加剤を攪拌しながら加え、これに、活性成分自体又はこれを含有する溶液を加熱攪拌下に添加し、得られた膏体を不織布に展延し、適当な大きさに裁断することにより、または、加温融解した油性基剤の混合基剤に、活性成分自体又はこれを含有する溶液を加熱攪拌下に添加し、次いで、これを、合成樹脂の加温融解した混合物に攪拌しながら添加し、得られた膏体を不織布又は織布に展延し、適当な大きさに裁断することにより製造できる。
【0023】
支持体
支持体を用いる場合は、その剤型に応じて適宜選択されるが、有効成分が不透過又は難透過性で柔軟なものが好ましく、例えば、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリ塩化ビール、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレンーブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、ボリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の樹脂フィルム、アルミニウムシート、織布、不織布等、及びこれらの積層シート等が挙げられる。
【0024】
粘着剤
粘着剤を使用する場合は、薬学的に許容しうるものであればよく、従来公知のものを用いることができ、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられ、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤が好適に用いられる。また上記支持体上に展延する際には、粘着剤の性状としては、溶剤系、エマルジョン系 ホソトメルト系等の任意のものを用いることができる。
さらに必要に応じて、カオリン、ベントナイト、酸化チタン等の無機充填剤、粘度調整剤、老化防止剤、pH調整剤、グリセリン、ブロピレングリコール等の保湿剤、緩衝剤、防腐剤、香料等を添加してもよい。
【0025】
ゲル剤
ゲル剤は、通常、ゲル剤を製造する方法を用いることにより製造でき、例えば、ゲル基剤を均一に溶解した後、有効成分を加え、加温し、溶解、分散等させることにより製造できるなど、いずれの剤形も通常の製法で造ることができる。
【0026】
また、その使用形態も任意であり、例えば化粧水、クリーム、乳液、ローション、パック、軟膏、ムース、及び石けんの他、ファンデーション、アイシャドー、しみ・隈カバー、リップクリーム、マスカラ、口紅、ボディ用メークアップ製品等のメークアップ化粧料、ヘアーリンス、シャンプー、皮膚の日焼け止めクリームまたは日焼け用クリーム、さらには皮膚科用軟膏、浴用剤等、従来化粧品及び/又は皮膚科学的領域において用いるものであれば何れの形態でも使用することができる。
本発明の皮膚バリア機能改善組成物の製造方法としては特に限定されず、従来公知の方法により製造することができる。
【実施例】
【0027】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明する。
製剤処方例
実施例1
調製法
下記処方中のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を除く処方成分すべてを約80重量部の精製水に溶解させた。この溶液にヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を少量ずつ加えて溶解させた後、約70℃に加温して疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースを少量ずつ加えて分散させた。この懸濁液を精製水で全量を100重量部とした後、室温まで冷却してゲルとした。このゲルをアルミラミネートチューブに充填して密封した。
処方
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物) 1.0 重量部
疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース90L 0.5 重量部
濃グリセリン 10.0 重量部
ベンジルアルコール 1.0 重量部
精製水 適量
全 量 100.0 重量部
【0028】
実施例2
調製法
下記処方中のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を除く処方成分すべてを約80重量部の精製水に溶解させた。この溶液にヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を少量ずつ加えて溶解させた後、約70℃に加温して疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースを少量ずつ加えて分散させた。この懸濁液を精製水で全量を100重量部とした後、室温まで冷却してゲルとした。このゲルをアルミラミネートチューブに充填して密封した。
処方
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物) 0.25重量部
疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース90L 0.5 重量部
濃グリセリン 10.0 重量部
フェノキシエタノール 1.0 重量部
精製水 適量
全 量 100.0 重量部
【0029】
実施例3
調製法
下記処方中のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を除く処方成分すべてを約80重量部の精製水に溶解させた。この溶液にヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を少量ずつ加えて溶解させた後、約70℃に加温して疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースを少量ずつ加えて分散させた。この懸濁液を精製水で全量を100重量部とした後、室温まで冷却してゲルとした。このゲルをアルミラミネートチューブに充填して密封した。
処方
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物) 0.25重量部
疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース90L 0.5 重量部
濃グリセリン 10.0 重量部
フェノキシエタノール 0.5 重量部
精製水 適量
全 量 100.0 重量部
【0030】
実施例4
調製法
下記処方中のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を除く処方成分すべてを約80重量部の精製水に溶解させた。この溶液にヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を少量ずつ加えて溶解させた後、約70℃に加温して疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースを少量ずつ加えて分散させた。この懸濁液を精製水で全量を100重量部とした後、室温まで冷却してゲルとした。このゲルをアルミラミネートチューブに充填して密封した。
処方
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物) 0.25重量部
疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース90L 0.5 重量部
濃グリセリン 10.0 重量部
フェノキシエタノール 0.2 重量部
精製水 適量
全 量 100.0 重量部
【0031】
実施例5
調製法
下記処方中のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を除く処方成分すべてを約80重量部の精製水に溶解させた。この溶液にヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を少量ずつ加えて溶解させた後、約70℃に加温して疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースを少量ずつ加えて分散させた。この懸濁液を精製水で全量を100重量部とした後、室温まで冷却してゲルとした。このゲルをアルミラミネートチューブに充填して密封した。
処方
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物) 0.25重量部
疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース90L 0.5 重量部
濃グリセリン 10.0 重量部
ベンジルアルコール 1.0 重量部
精製水 適量
全 量 100.0 重量部
【0032】
実施例6
調製法
下記処方中のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を除く処方成分すべてを約80重量部の精製水に溶解させた。この溶液にヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を少量ずつ加えて溶解させた。この溶液を精製水で全量を100重量部とした後、室温まで冷却して液剤とした。この液剤をプラスチック容器に充填して密封した。
処方
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物) 0.25重量部
濃グリセリン 10.0 重量部
フェノキシエタノール 1.0 重量部
精製水 適量
全 量 100.0 重量部
【0033】
実施例7
調製法
下記処方中のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を除く処方成分すべてを約80重量部の精製水に溶解させた。この溶液にヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を少量ずつ加えて溶解させた後、約70℃に加温して疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースを少量ずつ加えて分散させた。この懸濁液を精製水で全量を100重量部とした後、室温まで冷却してゲルとした。このゲルをアルミラミネートチューブに充填して密封した。
処方
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物) 0.25重量部
疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース90L 0.8 重量部
濃グリセリン 10.0 重量部
ベンジルアルコール 1.0 重量部
精製水 適量
全 量 100.0 重量部
【0034】
実施例8
調製法
下記処方中のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を除く処方成分すべてを約80重量部の精製水に溶解させた。この溶液にヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を少量ずつ加えて溶解させた後、約70℃に加温して疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースを少量ずつ加えて分散させた。この懸濁液を精製水で全量を100重量部とした後、室温まで冷却してゲルとした。このゲルをアルミラミネートチューブに充填して密封した。
処方
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物) 0.25重量部
疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース90L 0.5 重量部
濃グリセリン 10.0 重量部
ベンジルアルコール 0.2 重量部
精製水 適量
全 量 100.0 重量部
【0035】
実施例9
調製法
下記処方中のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を除く処方成分すべてを約80重量部の精製水に溶解させた。この溶液にヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を少量ずつ加えて溶解させた後、約70℃に加温して疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースを少量ずつ加えて分散させた。この懸濁液を精製水で全量を100重量部とした後、室温まで冷却してゲルとした。このゲルをアルミラミネートチューブに充填して密封した。
処方
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物) 0.25重量部
疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース90L 0.5 重量部
濃グリセリン 10.0 重量部
ベンジルアルコール 0.5 重量部
精製水 適量
全 量 100.0 重量部
【0036】
比較例1
調製法
下記処方中のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を精製水に少量ずつ加えて溶解させた後、水溶液とした。
処方
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物) 0.25重量部
精製水 適量
全 量 100.0 重量部
【0037】
比較例2
調製法
下記処方中のヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)及び疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースを除く処方成分すべてを約80重量部の精製水に溶解させ、pHを約6.5に調節した。この溶液にヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)を少量ずつ加えて溶解させた後、約70℃に加温して疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースを少量ずつ加えて分散させた。この懸濁液を精製水で全量を100重量部とした後、室温まで冷却してゲルとした。このゲルをアルミラミネートチューブに充填して密封した。
処方
ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物) 0.25重量部
疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース90L 1.0 重量部
濃グリセリン 10.0 重量部
クエン酸 0.21重量部
パラオキシ安息香酸メチル 0.15重量部
パラオキシ安息香酸プロピル 0.02重量部
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
全 量 100.0 重量部
【0038】
試験例
試験例1. ヒアルロン酸の分子量低下の比較
実施例1から実施例9、並びに比較例1及び比較例2の薬剤を製造し、バイアルに充てんして、40℃、6箇月間保存した。保存前後の薬剤について、示差屈折計(RI)及び低角度光散乱光度計(LS)を用いたゲルろ過法によりヒアルロン酸の分子量を測定した。その結果、実施例1から実施例9の薬剤は、比較例1の薬剤よりも高い分子量残存率抑制効果が認められた。なお、比較例2の薬剤について、高い分子量残存率抑制効果は認められたものの、40℃、2箇月後に離漿を引き起こした。(表1)。
【0039】
【表1】

【0040】
試験例2. 薬剤の保存効力試験
実施例4及び実施例8の薬剤について、第十四改正日本薬局方第一追補・参考情報・保存効力試験法を参考に保存効力を測定した。その結果、いずれの薬剤も基準範囲内の保存効力を示した(表2、表3及び表4)。
【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンジルアルコール又はフェノキシエタノールを安定化剤として含んでなる、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)含有医薬組成物。
【請求項2】
前記安定化剤の含有量が、医薬組成物全重量に対して0.01重量%〜10重量%である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記安定化剤の含有量が、医薬組成物全重量に対して0.05重量%〜5重量%である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記安定化剤の含有量が、医薬組成物全重量に対して0.1重量%〜1重量%である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記安定化が、ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の分子量の低下の抑制、及び離漿の抑制である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の平均分子量が約100kD〜約2,000kDである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の平均分子量が約400〜1,200kDである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記ヒアルロン酸亜鉛複合体(会合物)の平均分子量が約1,000kDである、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
クエン酸、マレイン酸及びこれらの塩類のいずれも含有しない、請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2006−327985(P2006−327985A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153956(P2005−153956)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000169880)高田製薬株式会社 (33)
【Fターム(参考)】