説明

安定化された果実パルプ組成物、及び、それを含むピューレ組成物

1x1x1mmから15x15x15mmの寸法を有する小片を含む安定化された果実パルプ組成物が記述される。安定化された果実パルプ組成物は90℃以上の温度で処理されておらず、実質的に活性ポリフェノールオキシダーゼを含まず、ドレッシング、ディップ、若しくはスプレッドとして用いられるピューレ組成物としての使用に適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実パルプを小片として含む安定化された果実パルプ組成物、並びにそれを含む安定ピューレ組成物に関する。とりわけ、本発明は、果実を小片として含む安定化された果実パルプ組成物であって、前記パルプ組成物が化学処理、高真空工程、及び90℃以上の温度で処理されていないものに関する。本発明の安定化された果実パルプ組成物は、常温付近で、予期せず、長期の貯蔵上安定である期間を有し、少なくとも約5,000センチポイズの粘度を有する安定ピューレ組成物の生産のための増粘化ベースに加えられてもよく、ヒトの消費に適する。
【背景技術】
【0002】
抗酸化剤及び葉酸等の果実及び野菜に豊富な栄養素の消費は、心臓血管病の低発生率に関連している。さらに、食物繊維が豊富な果実類を食べることでコレステロール濃度を減少させることが可能であり、アテローム性動脈硬化症の予防となることもよく認識されている。
【0003】
果実を多く含む食事の他の利点は、白内障罹患のリスクが低いことに加え、より良い運動能力、慢性気管支炎の発現(発症)の危険の減少、最も一般的な癌(乳癌を含む)に罹患するリスクが低いことを含む。ドレッシング、ディップ、スプレッド等のパルプを含む食品製品は、ヒトの健康の利益に繋がるが、その様な食品は、しばしば、商業上の販売の為の準備が難しい。このことは事実であり、果実を含む食品の品質は、しばしば、食品内での酵素反応により変敗(例、茶褐色化、暗色化、黴の生成及び/又は風味の変化若しくは減少)を生じ、その結果、貯蔵上安定である期間が短く、従来の商業経路では限定された期間の経過後には訴求力のある外観又は味覚を有さない製品となる。
【特許文献1】米国特許第5384147号 米国特許第5871794号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
果実を含む食品の変敗を阻害するために、公知の技術が用いられてきた。これらは、果実の低温殺菌、酸素除去の為の高真空工程、及び食品製造前の亜硫酸塩化合物での果実の化学処理を含む。上述の既知の技術は、例えば、果実を含む食品の茶褐色化、暗色化を防ぐことができず、また、そのような手法は、処理される果実の風味、芳香、食感、及び栄養価、並びにそこから調製される食品に好ましくない効果を有する。
【0005】
また、これらの技術及び従来の食品加工技術は、しばしば、不良な食感、及び/又は、食した際の口中での柔らかかったり、どろどろした感じを有する製品に繋がる。これは、必ずしも消費者により望まれる食感や口中の感触ではない。
【0006】
例えば、容易に茶褐色化、暗色化及び風味の変化又は劣化を引き起こすことはなく、並びに、常温付近の温度で長期の貯蔵上安定である期間を有する安定化された果実パルプ組成物及び安定ピューレ組成物(すなわち、食品)の開発についての興味が増している。良好な感覚刺激特性、例えば、口内での感触、及び、良い食感を有する安定化された果実組成物の開発についての興味も増している。特に、口中で柔らかすぎたり、どろどろした感じがすることがなく、その中に消費者が果実の離散した小片を探知することができるが、同時にその小片は不快なほどは大きくない組成物の開発についての興味が増している。
ゆえに、本発明は、安定化された果実パルプ組成物であって、化学処理、高真空工程、及び90℃以上の温度で処理されていないものに関する。本発明の安定化された果実パルプ組成物は、少なくとも約5,000センチポイズの粘度を有する安定ピューレ組成物の生産のために使用されることができる。さらに、本発明の安定化された果実パルプ組成物、及び、そこから調製される安定ピューレ組成物は、予期せず、常温付近における長期の貯蔵上安定である期間を有し、かつ、収穫したて果実から、要求に応じて製造されたパルプ組成物及びピューレ組成物と実質的に同一の視覚、触感、芳香、及び味覚特性を有する。
【0007】
追加情報
果実パルプの製造方法については、米国特許第5384147号にアボカドパルプの処理方法が記述されている。
【0008】
他に、安定化された果実の製造方法については、米国特許第5871794号にオオブドウホオズキ(tomatillo)果実を有するグアカモーレ(guacamole)組成物の製造方法が記述されている。さらには、クリームを含む食品配合物については、米国特許第6284303号に野菜ベースのクリームを含む食品が記述されている。
【0009】
上記の追加情報のいずれも、上記パルプ組成物が化学処理、高真空工程、及び90℃以上の温度で処理されていない安定化された果実パルプについて記述していない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第一の本発明は、
(a) 約50.0から約99.0重量%の水;
(b)小片を含む果実パルプであって、上記小片が1x1x1mmから15x15x15mmの寸法を有するもの;及び
(c) 0.01 から約40.0重量%の油
を含む安定化された果実パルプ組成物であって、
安定化された果実パルプ組成物は、
水、上記小片を含むパルプ、及びオイルを含み、
約30℃から90℃を超えない温度で約4分より短い時間に渡り加熱された果実製品であって、その果実が加熱前において少なくとも約300ダインの硬度因子を有するものに関する。
【0011】
第二の本発明は、
(a) 約20.0から約95.0重量%の水;
(b) 約0.01 から約10.0重量%の増粘化ベース;及び
(c)小片を含む1から約75.0重量%の安定化された果実パルプ組成物であって、上記小片が1x1x1mmから15x15x15mmの寸法を有するもの
を含む安定ピューレ組成物であって、
ピューレ組成物は、約5,000から約90,000(好ましくは約18,000から約30,000)センチポイズの粘度を有し、また、常温付近で少なくとも約65日間の貯蔵上安定である期間を有するものに関する。
【0012】
第三の本発明は、上記第一の本発明の安定化された果実パルプ組成物の製造方法に関するものである。
【0013】
第四の本発明は、本発明の上記安定化されたピューレ組成物の製造方法に関するものである。
【0014】
ここで使用される果実は、植物の熟成部分であって、かつ、通常種子を有する部分を意味する。新鮮な、及び/又は、凍結された果実が使用されてもよい。オイルとは、安定化された果実パルプ組成物に存在する(起源とする)、天然に存在するトリグリセリド類及びその誘導体を意味する。
【0015】
安定化された(又は安定)とは、常温付近における温度で、カバーされた(つまり、密封された)容器中に保存される時、少なくとも65日間、及び好ましくは、85日間に渡り、黴の成長、茶褐色化、暗色化及び風味の変化又は減少が実質的に生じないものをいう。
【0016】
ピューレとは、安定化された果実パルプ組成物と増粘化ベースを含む組成物を意味するものであり、この組成物が、例えば、ドレッシング、ディップ、スプレッド、ベーキング用添加物、調理用添加物、又はこれらの任意の組み合わせとして用いられることが可能なものと定義される。増粘化ベースとは、安定化された果実パルプ組成物の最大の特徴の模倣の為に風味付け及び着色がなされることができ、そこから調製されるピューレ組成物の粘度維持に役立つことができる作用物質を意味するものと定義される。
【0017】
ここで使用される粘度とは、ハーク(Haake)レオメーターによって得られる変形特性を意味する。同レオメーターは、同心性のボブインカップ(bob-in-cup)シリンダー (3mm 間隙) を備え、ボブ(小球)は、30.4mmの直径を有し、カップは42 mmの直径を有するものである。なお、測定において、剪断は、常温で0 から135のレシプロカル秒でシリンダーに振動周期を与えることにより生じさせる。報告に係る粘度は、10レシプロカル秒の剪断率において測定される。
【0018】
ここで用いられる硬度因子とは、(SMS Stable Micro Systemsにより販売されるTA-TX2 Texture Analyzerの使用により)得られる硬度値のことを意味する。測定は常温で行われ、1mm/sec のスピードで動く50 kg ロードセルを使用して圧縮される果実の4mm厚のスライスの観測において、その力−距離曲線において観測される第一のピークを硬度因子として決定する。
【0019】
本発明の安定化されたパルプ組成物及び安定ピューレ組成物に用いられる果実のタイプに関しては、その果実がヒトの消費に適している限り、限定はない。しばしば、本発明において用いられる果実は、アボカド、バナナ、マンゴー、グァバ、イチジク、パパイヤ、キウイ、スターフルーツ、パイナップル、これらの混合物等である。最も好ましい実施態様によると、本発明において用いられる果実はアボカドである。
【0020】
本発明の安定化された果実パルプ組成物及び安定ピューレ組成物を製造する果実を選択する際には、一般に、果実は成熟する約1から約4週間前、好ましくは、約1から約3週間前、最も好ましくは、約2から約3週間前に収穫される。その後、収穫された果実は、(約10から約35℃の温度の)暗室において、約1.5週間未満、及び好ましくは約1週間未満、最も好ましくは約3日未満の間保存される。特に好ましい実施形態においては、本発明において使用されるために選択される果実は、収穫又は摘み取り後、相対湿度約40-70%の間の、最も好ましくは相対湿度約50-65%の間の貯蔵状態に置かれる。
【0021】
本発明の使用の為に選択された果実を調製する時には、果実は、必要に応じて、特に順序が制限されることなく、皮剥きされ、及び種子が取り除かれ、若しくは芯抜きがされる。得られる果肉部分を、次に、本発明に係るサイズの小片が存在することを条件に所望の食感又は濃度を得るために、すりつぶし、果実パルプを製造する。別の方法としては、果実は、要求されるサイズの小片の製造の為にはすりつぶされるよりむしろ、切断される。小片の寸法は、約2x2x2mmから約10x10x10mmであることが好ましく、より好ましくは、約3x3x3mmから約5x5x5mmである。好ましい実施形態においては、生産される果実パルプは、約300ダインから約3,000ダインまでの硬度因子を有する果実より調製される。果実パルプは、その後、(例えば、水浴中、オーブン中、電子レンジ中、キサゲ面付熱交換器中、管式熱交換器中、蒸気注入により、又は高圧容器中の断熱加熱により、)約30°Cから90℃を超えない温度で、約4分未満、及び好ましくは約10秒から約3.5分の間加熱される。その結果、安定化された果実パルプ組成物であって、約0.01から約20.0重量%(好ましくは少なくとも約5.0重量%、最も好ましくは少なくとも約10.0重量%)の油分を有し、実質的に活性酵素類を含まないもの(つまり、アミラーゼ、リポキシゲナーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)等の、品質について害になる全ての酵素が実質的に不活性化されたもの)が製造される。
【0022】
果実パルプは、所望の粒径を有する果実の小片のみを含んでもよいし、又は、前述のパルプの小片を、より小さい、又はより大きな小片との混合において含んでもよい。果実パルプは、請求の範囲に記載の小片を少なくとも20重量%で、好ましくは30から100重量%で、最も好ましくは40から90重量%で含む。
【0023】
別の好ましい実施態様においては、酸味料が加熱前に果実パルプに加えられ、混合される。酸味料が使用される場合には、典型的には、加熱される果実パルプの約0.01から5.0重量%を占める。本発明において用いられてもよい酸味料は、典型的に食品組成物において用いられているもの、例えば、乳酸、クエン酸、ソルビン酸、塩酸、アスコルビン酸、リン酸、これらの混合物、等を含む。
【0024】
本発明において用いられてもよい増粘化ベースに関しては、ベースが人間の消費に適するものである限り、限定はない。この様な増粘化ベースは、典型的には、水に不溶性の食物繊維を含む組成物を含む柑橘類の繊維か、又は、野菜ピューレ(若しくはこれらの混合物)である。故に、本発明において用いられることが可能な増粘化ベースは、例えば、概してヒトの小腸における消化及び吸収に抵抗力のある食物材料に由来する食物成分を有する。例えば、増粘化ベースは、甘味づけされた若しくは甘味づけされてないリンゴソースであってもよく、又は、オレンジか若しくは他の柑橘系の果実の芯に由来する甘味づけされた若しくは甘味づけされてないセルロース材料であってよい。この様なセルロース材料は、柑橘系の果実の屑及び少量の皮を含んでもよい。典型的には、本発明の増粘化ベースを組成する柑橘系の果実は、本発明の安定ピューレ組成物の製造に用いられる安定化された果実パルプ組成物の組織化特性と実質的に類似か、又は同一である。好ましくは、増粘化ベース中の柑橘系繊維は、乾燥形態で、全ての範囲をそこに含みながら、約50ミクロンから約200ミクロンの粒径を有する。本発明において用いることができる増粘化ベースのタイプは、Herbstreith & Fox, BASF Corporation 及び FMC Corporation等の業者より商業的に利用可能なものを含む。
【0025】
本発明の安定ピューレ組成物の製造の際には、典型的には、全ての範囲をそこに含みながら、安定ピューレ組成物の全重量に関して、約20.0から約95.0%、好ましくは、約25.0から約75.0%、最も好ましくは、約50.0から約65.0%の水を、約0.01から約10.0%、好ましくは、約0.01から約7.5%、最も好ましくは、約1.0から約3.5%の増粘化ベースと混合する。得られるベース組み合わせ物は、その後、(好ましくは常温及び大気圧の条件において)攪拌され、ベース懸濁液を生じる。増粘化ベース懸濁液及び小片を含む果実パルプは、別々に加熱工程において安定化されてもよい。しかし、一つの好ましい実施態様においては、増粘化ベース懸濁液及び小片を含む果実パルプは、安定化工程が生じる前にお互いに混合され、結果として共に安定化工程を経る。
【0026】
本発明において任意の添加物類が用いられてもよく、例えば、ベース組み合わせ物に加えられる。使用されてもよく、また添加されてもよい任意の添加物類は、人口及び天然の食品等級の香味料類及び着色料類;乳清タンパク質等の蛋白質粉末;ソルベートカリウム及び安息香酸ナトリウム等の保存料; ペクチン、キサンタンガム、グアールガム等のガム類;モノグリセリド類、ジグリセリド類、及びポリソルベート等の乳化剤類;乳酸及び塩酸等のpH調製のための酸類;塩、ショウキョウ、ナツメグ、バジル、シナモン、タマネギ、及びコショウ等のスパイス類;及びミクロ結晶性セルロース等の質感改良剤(例、FMC Corporationにより販売されるAvicel)を含む。
【0027】
この様な任意の添加物類は本発明の安定ピューレの製造方法におけるいかなる時点に加えられてもよく、好ましくは、ベース組み合わせ物に、かつ、ベース懸濁液の生成の直前に加えられる。しかし、好ましい実施態様においては、食品香味料が望ましい任意の添加物類である場合、食品香味料は、本発明のピューレ組成物の生成の直前に加えられる。さらに別の好ましい形態においては、ベース懸濁液の生成のために加えられる約5.0から約10.0重量%の水に任意の添加物類が加えられる。
【0028】
本発明において用いられる食品香味料は味覚に基づいて加えられてもよく、また、着色料は色の好みに基づいて加えられてもよい。pH調整の為の酸類は、安定ピューレ組成物のpHを、少なくとも約3.0、しかし、約4.1未満とするために、調製物の加熱工程において添加される。ベース組み合わせ物に加えられる好ましい量の酸により、約3.3から約4.0のpHを有する安定ピューレ組成物となる。上述のpHの範囲とする為に酸類を加え、安定化工程を経た後、果実パルプ又は果実ピューレ組成物のpHは、例えば、水酸化ナトリウム等の食用の水酸化物の添加により、増加され得る。安定化工程におけるpH がここで与えられる範囲である限り、最終安定化された果実パルプ又は安定化された果実ピューレについてのpH の制限はない。乳化剤及び保存料がピューレ組成物の安定化の向上の為に添加される。使用されるスパイス類は味覚の為に、ガム類は所望の安定ピューレ組成物の粘度維持のため、タンパク質粉末は望みに応じて添加される。一般にピューレ組成物において用いられる任意の添加物類の量は、安定ピューレ組成物の全重量の10.0重量%を超えることはない。
【0029】
ベース懸濁液の生成に引き続き、同生成物は隙間値が約125ミクロンから約1250ミクロン、好ましくは約250ミクロンから約750ミクロンである標準コロイドミル、又は、約30から約300 barの圧力で操作されるホモジナイザーにかけられる。得られるミルにかけられた、又は、均一化された懸濁液は、次に、請求項に記載の安定化された果実パルプ組成物と混合され、本発明の安定ピューレ組成物を生産する。用いられる安定化された果実パルプ組成物の量は、典型的には、安定ピューレ組成物の全重量に関して、約1.0から約75.0重量%、好ましくは、約5.0から約50.0重量%、最も好ましくは、約10.0から約25.0重量%の安定化された果実パルプ組成物である。
【0030】
特に好ましい実施態様においては、脂肪添加物がベース懸濁液に添加されてもよい。この様な脂肪添加物は、天然、又は、合成のものであってよく、安定化された果実パルプ組成物と共に与えられるいかなるオイルとも別に、安定ピューレ組成物に与えられる。脂肪添加物は、例えば、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、カノーラ油、ヤシ油、ベニバナ油、ナタネ油、大豆油、これらの混合物等であってよい。脂肪添加物は、また、脂肪代替物、例えば、スクロース脂肪酸ポリエステル類、脂肪酸エステル化プロポキシル化されたグリセリン等であってよい。脂肪添加物が用いられる場合には、安定ピューレ組成物の全重量に関して、ピューレ組成物の約0.5から約25.0重量%、好ましくは、約5.0から約20.0重量% を占める。
【0031】
本発明の安定ピューレ組成物は、多く食品用途に適する。例えば、同組成物は、ドレッシング、ディップ、若しくはスプレッドとして、又は、調理用、若しくはベーキング用添加物として使用されてよい。この様な安定ピューレ組成物は、慣習的な食品包装(例えば、プラスチック又はガラスボトル類)に包装されることができる。そしてホット充填(例、低温殺菌)が製品の安定性の維持に必要とされることはない。
【0032】
以下の実施例は本発明の理解の促進に供するものである。請求項に記載の発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0033】
[例1]
約300ダインの硬度因子を有するアボカドを成熟する約2.5週間前に収穫し、約25°C (相対湿度約 55%)の暗室で約二日間保存した。
【0034】
アボカドを半分に切り、種子を取ることにより、半切のアボカドを生産した。半切のアボカドの皮を剥き、3x3x3mmの粒径を有する様にすりつぶし、0.5重量%アスコルビン酸と混合し、その後約85°Cで3.0分間加熱した。
加熱され、すりつぶされたアボカドを冷却し、約15重量%のオイル、及び、80.0重量%の水を含み、活性ポリフェノール酸化酵素を実質的に含まない安定化されたアボカドパルプ組成物を製造した。
【0035】
[例2]
アボカドパルプを商業的供給者から得た。アボカドパルプを4.3のpH に酸性化し、パルプを75℃の温度で2分間加熱した。製品を包装した。2日後、パルプは茶褐色に変色し、そのため試験を中止した。
【0036】
[例3]
アボカドパルプを商業的供給者から得た。アボカドパルプを3.5のpH に酸性化し、パルプを75℃の温度で2分間加熱した。製造物を包装した。約65日後、包装を開いたところ、本発明の安定製品組成物には茶褐色化、暗色化、又は黴の生成は観察されなかった。
【0037】
[実施例4]
安定ピューレ組成物を以下の方法で製造した。冷凍アボカドを、−10℃において3x3x3mmの小片に切り分けた。
【0038】
ベース懸濁液を以下の原料の混合により調製した。:
【表1】

【0039】
得られたベース組成物を混合してベース懸濁液を製造した。ベース懸濁液をコロイドミルで均一化した。
【0040】
ベース及びアボカドの小片を4 : 1の重量比で混合し、塩酸を用いることにより、そのpHを20℃において3.7とした。この製品をキサゲ面付熱交換器中で約75℃に加熱した。
この温度で約2.7分間保った後、続いてキサゲ面付熱交換器中で約30℃に冷却した。
安定な製品を包装中に密封し、常温で保存した。
約65日後、包装を開いたところ、本発明の安定製品組成物には茶褐色化、暗色化、又は黴の生成は観察されなかった。
【0041】
[実施例5]
ベース懸濁液を以下の原料の混合により調製した。:
【表2】

得られたベース組成物を混合してベース懸濁液を生産した。ベース懸濁液をコロイドミルで均一化した。
【0042】
ベース及びアボカドの小片を4 : 1の重量比で混合し、塩酸を用いることにより、そのpHを20℃において3.7とした。この製品をキサゲ面付熱交換器中で約75℃に加熱した。
この温度で約2.7分間保った後、続いてキサゲ面付熱交換器中で約30℃に冷却した。安定な製品を包装中に密封し、常温で保存した。約65日後、包装を開いたところ、本発明の安定製品組成物には茶褐色化、暗色化、又は黴の生成は観察されなかった。
【0043】
上述の実験結果は、本発明により調製されたパルプ及びピューレ組成物は、予期せず優れた貯蔵上安定である期間を有することを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約50.0から約99.0重量%の水;
(b)小片を含む果実パルプであって、前記小片が約1x1x1mmから約15x15x15mmの寸法を有するもの;及び
(c)0.01から約40.0重量%の油
を含む安定化された果実パルプ組成物であって、
前記安定化された果実パルプ組成物は、
水、前記小片を含むパルプ、及びオイルを含み、
約30℃から90℃を超えない温度で約4分より短い時間に渡り加熱された果実製品であって、その果実が加熱前において、少なくとも約300ダインの硬度因子を有する安定化された果実パルプ組成物。
【請求項2】
前記果実は、アボカド、バナナ、マンゴー、グァバ、イチジク、パパイヤ、キウイ、スターフルーツ、パイナップル、又はこれらの混合物である請求項1に記載の安定化された果実パルプ組成物。
【請求項3】
前記果実は、アボカドである請求項1又は2に記載の安定化された果実パルプ組成物。
【請求項4】
前記果実は、成熟する約1から4週間前に収穫され、加熱される前に約15から30℃の温度の暗室において、約1.5週間未満の間保存される請求項1から3のいずれか一項記載の安定化された果実パルプ組成物。
【請求項5】
前記果実が、加熱される前に相対湿度40-70%の間の保存状態に置かれる請求項1から4のいずれか一項記載の安定化された果実パルプ組成物。
【請求項6】
前記果実は、約10秒から約3.5分の間加熱された請求項1から5のいずれか一項記載の安定化された果実パルプ組成物。
【請求項7】
前記安定化された果実パルプ組成物が、ピューレ組成物の生産のために増粘化ベースを含む組成物に加えられてもよい請求項1から6のいずれか一項記載の安定化された果実パルプ組成物。
【請求項8】
前記小片が、約2x2x2mmから約10x10x10mmの寸法を有する請求項1から7のいずれか一項記載の安定化された果実パルプ組成物。
【請求項9】
(a) 約20.0から約95.0重量%の水;
(b) 約0.01から約10.0重量%の増粘化ベース;及び
(c)小片を含む約1から75.0重量%の安定化された果実パルプ組成物であって、前記小片が1x1x1mmから15x15x15mmの寸法を有するもの
を含む安定ピューレ組成物であって、
前記ピューレ組成物は、約5,000から約90,000センチポイズの粘度を有し、また、常温付近で少なくとも約65日間の貯蔵上安定である期間を有する安定ピューレ組成物。
【請求項10】
前記安定ピューレ組成物は、少なくとも約3.0から約7.0以下のpHを有する請求項9に記載の安定ピューレ組成物。
【請求項11】
前記安定ピューレ組成物は、ドレッシング、ディップ、スプレッド、調理用添加物、又は、ベーキング用添加物として使用されることができる請求項8又は9に記載の安定ピューレ組成物。
【請求項12】
前記安定ピューレ組成物は、さらに約0.5から約25.0重量%の脂肪添加物を含む請求項9から11のいずれか一項記載の安定ピューレ組成物。
【請求項13】
前記安定ピューレ組成物は、さらに食品等級の香味料、食品等級の着色料、蛋白質粉末、保存料、乳化剤、酸、スパイス類、質感改良剤、又はこれらの混合物を含む請求項8から12のいずれか一項記載の安定ピューレ組成物。
【請求項14】
前記果実は、成熟する1から4週間前に収穫され、加熱される前に約15から約30℃の温度の暗室において、約1.5週間未満の間保存される請求項9から13のいずれか一項記載の安定ピューレ組成物。
【請求項15】
前記果実は、加熱される前に相対湿度約40から70%の間の保存状態に置かれる請求項9から14のいずれか一項記載の安定ピューレ組成物。
【請求項16】
前記安定ピューレ組成物は、常温付近で少なくとも約65日間の貯蔵上安定である期間を有する請求項9から15のいずれか一項記載の安定ピューレ組成物。
【請求項17】
前記安定ピューレ組成物は、約18,000から約30,000センチポイズの粘度を有する請求項9から16のいずれか一項記載の安定ピューレ組成物。
【請求項18】
前記小片が、約2x2x2mm から約10x10x10mmの寸法を有する請求項9から17のいずれか一項記載の安定ピューレ組成物。
【請求項19】
前記果実は、アボカド、バナナ、マンゴー、グァバ、イチジク、パパイヤ、キウイ、スターフルーツ、パイナップル、又はこれらの混合物である請求項9から18のいずれか一項記載の安定ピューレ組成物。
【請求項20】
(a)果実を成熟する約1から4週間前に収穫すること;
(b)収穫された果実を、約10から約35℃の温度の暗室において、約1.5週間未満の間保存すること;
(c)果実パルプであって、前記パルプは1x1x1mmから15x15x15mmの寸法を有する小片を含むもの、を生産するために、必要に応じて、特に順序が制限されることなく、皮剥、種子の取り除き、又は芯抜きをし、さらに前記果実を切断又はすりつぶすこと;
(d)酸味料と果肉部分の混合物を生産するために、前記果肉部分を約0.01から5.0重量%酸味料と混合すること;
(e)前記酸味料と果肉部分の混合物を約90℃を超えない温度で、約4分未満加熱すること
の工程を含み、前記果実は加熱前に少なくとも300ダインの硬度因子を有する、前記安定化された果実パルプ組成物の製造方法。
【請求項21】
(a)果実パルプであって、前記パルプは1x1x1mmから15x15x15mmの寸法を有する小片を含むもの、と増粘化ベース組成物を共に混合すること;
(b)工程(a)により得られた混合物を約0.01から約5.0重量%酸味料と混合して、工程(b)の混合物のpHを3.0から4.1とすること;
(c)工程(b)により得られた混合物を90℃を超えない温度で、4分未満加熱すること
の工程を含む安定ピューレ組成物の製造方法。
【請求項22】
前記果実は、アボカド、バナナ、マンゴー、グァバ、イチジク、パパイヤ、キウイ、スターフルーツ、パイナップル、又はこれらの混合物である請求項20又は21に記載の安定化された果実パルプ組成物又は安定ピューレ組成物の製造方法。
【請求項23】
前記安定化された果実パルプ組成物は、
約50.0から約99.0重量%の水;
果実パルプ;
0.01から約40.0重量%の油を含み;
加熱後において品質について害となる酵素の活動が実質的にない請求項20又は21に記載の安定化された果実パルプ組成物の製造方法。
【請求項24】
前記安定化された果実パルプ組成物は、
約75.0から約99.0重量%の水;
果実パルプ;
0.1から約20.0重量%の油を含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項20から24のいずれか一項記載の方法により得ることができる安定化された果実パルプ組成物又は果実ピューレ組成物。

【公表番号】特表2007−506408(P2007−506408A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515933(P2006−515933)
【出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006424
【国際公開番号】WO2004/112502
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】