説明

安定化された濃縮洗浄液及びその調製方法

本発明は、次亜塩素酸イオン源を含む安定化された濃縮洗浄液及び安定化された濃縮洗浄液を提供する方法に関する。本発明に係る安定化された濃縮洗浄液は、水酸化物イオン源、次亜塩素酸イオン源、及びキレート剤を含み、種々の成分を単に一緒に混合するだけで提供される。安定化された濃縮洗浄液は、例えば、ある量の銅、鉄、ニッケル、コバルト等を含む希釈液を用いた希釈及び約10週間から最大約1年間の期間の貯蔵に対する安定性を示し、目に見える劣化及び/又は効果の大幅な低下を生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定化された濃縮洗浄液及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
効果的に洗浄、消毒、及び殺菌する市販の洗浄液は多くの工業設備及び事業設備で極めて重要であり、実際、医療施設、食品製造施設、教育施設、政府施設、農業施設、水処理施設等に広範に存在する。少なくとも一部は価格的事情のために、これらの洗浄液はしばしば濃縮された形態で製造及び販売され、その後、使用時に、使用可能な濃度に希釈される。
【0003】
これらの溶液の使用者の多くは手元に在庫を有するため、濃縮洗浄液が使用されるまでに長期間経過することがある。しかし、一部の用途で濃縮液の保管安定性(shelf stability)が限定的であることが示されている。濃縮液は製造時には透明であるが、長期間貯蔵すると部分的に分解又は劣化し、目に見える沈殿を生じる傾向がある。これらの製品の用途を考慮すると、そのような目に見える残渣は通常、少なくとも審美的には消費者に受け入れられず、更に、沈殿又はその前駆物質は、濃縮洗浄液の活性成分と反応してその効果を低減させる可能性がある。
【0004】
ある理論によると、そのような残渣の生成は、市販の濃縮洗浄液の製造時に使用される原材料中に存在する商業的には許容されるレベルの不純物により起こるか、少なくとも促進される。実際、これらの原材料の多くは、種々の価格及び価格に関連した不純物レベルで利用可能である。すなわち不純物のより少ない原材料溶液をより高い価格で入手することができる。ある時点で、実質的に純粋な原材料の価格が、製品の商業的生産が存続できない程に製品の利ざやを浸食することがある。更に、国によっては、実質的に純粋な原材料を生産する製造プロセスの利用が環境規制によって制限又は禁止されていることがある。この場合、製造業者が不純物のより少ない原材料に対してより多く支払う準備ができていたとしても、そのような原材料が単純に市販されていないということが起こり得る。
【0005】
そのような濃縮洗浄液が比較的すぐに使用される場合であっても、濃縮洗浄液をその使用可能な濃度に希釈した際に、目に見える沈殿が形成されることがある。そのような沈殿はいずれも、希釈液による不純物の混入及びそれが洗浄液の成分と反応したことによって生じると考えられている。最終的な使用者が用いる水の品質は製造業者の管理下にはないが、使用可能な濃度に希釈した際の目に見える沈殿の形成に抵抗する又はそれを防ぐ濃縮洗浄液が提供されることが望ましい。
【0006】
したがって、濃縮洗浄液の製造業者等は、濃縮液中でのこのような目に見える沈殿の形成を低減又は除去するためのいくつものアプローチを試してきた。全ての目的のために参照により本願に援用する同時係属中の国際出願PCT/EP2006/061793号に記載されている1つのアプローチでは、ホスホノ化合物及びシリケートの混合物を濃縮洗浄液に添加する。実際、このアプローチは非常に良く機能する。しかし、2つの化学物質を利用することは、製造業者にとって望ましくない費用及び/又は時間の消費を意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
濃縮洗浄液に関する利便性及び消費者の満足度を高めるために、目に見える劣化及び/又は製品品質のその他の変化を伴わずに長期間貯蔵可能な溶液を生産することが望ましい。望ましくは、濃縮洗浄液はまた、以前に記載されているよりも費用及び/又は時間の効率が高くなるように、より高い保管安定性を付与され得る。更に、そのような濃縮液は望ましくは、希釈液による不純物の混入で商業的に許容不可能な量の目に見える沈殿が生じないように安定化され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、安定化された濃縮洗浄液及び濃縮洗浄液の安定化方法を提供する。本発明の方法を用いることで、保管時に安定な、すなわち室温又はほぼ室温で少なくとも10週間、更には1年間以上まで貯蔵した時に、商業的に許容不可能なレベルの沈殿が形成されない又は効果が低下しない安定化された濃縮洗浄液が提供され得る。更に、本発明の方法に従って製造された濃縮洗浄液は安定化されており、供給される水の中に一般的に見られるレベルの不純物が混入しても、商業的に許容不可能な量の目に見える沈殿が生じない。本方法は、複数の及び/又はより高価な化学物質を使用する方法と比べて、過度に時間を消費せず、安価であり、そのため、安定化された溶液を容易に製造することができるという利点を有する。
【0009】
そこで、本発明の一態様によれば、安定化された濃縮洗浄液が提供される。この溶液は、1wt%〜約40wt%の水酸化物イオン源、約5wt%〜約80wt%の次亜塩素酸イオン源、及び約0.0001wt%〜約2.00wt%のキレート剤を含む。ある好ましい実施形態では、安定化された洗浄液は、約15wt%〜約30wt%の水酸化物イオン源、約20wt%〜約70wt%の次亜塩素酸イオン源、及び約0.0002wt%〜約0.50wt%のキレート剤を含んでもよい。キレート剤は、EDTA、MGDA、NTA、IDS、ポリアクリレート、又はこれらの組合せであってよい。ある実施形態では、EDTA、MGDA、又はNTAが好ましい。
【0010】
本発明の更に別の態様では、次亜塩素酸イオン源を含む濃縮洗浄液の安定化方法が提供される。この方法は、そのような溶液を準備する工程、キレート剤を準備する工程、及びキレート剤を洗浄液に添加する工程を含む。キレート剤は、洗浄液中に提供されるキレート剤の濃度が約0.0001wt%〜約2.00wt%、より典型的には約0.0002wt%〜約0.5wt%の範囲となるように洗浄液に添加することが望ましく、好ましくは約0.0005wt%〜約0.05wt%という少ない量で存在してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、安定化された濃縮洗浄液及びこれらの溶液の調製方法を提供する。少なくとも1つの次亜塩素酸イオン源を含む濃縮洗浄液が、長期間貯蔵された際又は不純物を含む希釈液が添加された際に目に見える沈殿を形成する傾向があり得るということが近年発見された。沈殿は一般的に酸化鉄、酸化ニッケル、酸化銅、及び/又は酸化コバルトであり、その場合、沈殿は、出発原材料又は希釈液中の重金属不純物と濃縮洗浄液中の酸化剤との反応によるものであると考えられている。十分な不純物が存在し、十分な酸化剤と反応すると、濃縮洗浄液の効果が低下し得る。効果が許容可能なままであったとしても、目に見える沈殿の存在は、洗浄用途での使用が意図される製品では商業的に許容不可能であり得る。
【0012】
本発明に係る安定化された濃縮洗浄液は、室温又はほぼ室温で少なくとも10週間、3ヶ月、6ヶ月、更には1年間までの期間の貯蔵後に目に見える量の沈殿を形成しない。この効果は、少量の1又は複数のキレート剤を濃縮洗浄液に含ませることで得られる。この結果は驚くべきことである。なぜなら、同時係属中のPCT出願PCT/EP2006/061793号に記載されているように、これらの同じキレート剤は、より多くの量で、これらの溶液中での沈殿形成を低減又は防止するのに有効ではなかったからである。如何なる理論にも限定されるものではないが、より高濃度のキレート剤では、貯蔵温度にて水溶液に溶けるよりも大量の重金属/キレート剤錯体が形成され、そのため、錯体形成した重金属不純物が沈殿に含まれるにも関わらず、沈殿が形成されると考えられる。
【0013】
この例から示されるように、本明細書に記載の溶液及び方法で使用される、より低い濃度において、キレート剤は、長期間貯蔵した際に洗浄液中に形成され得る目に見える沈殿の量を低減するか更には除去するのに非常に有効である。更に、これらの結果は概して、商業的に容易に利用可能で比較的安全なほんの1種類のキレート剤を非常に少量で用いて達成され、このことは、これらの種類の洗浄液を安定化するその他の公知の方法よりも費用及び時間が節約されることを意味し、貯蔵及び取扱い上の安全性でも大きな利点をもたらす。
【0014】
本明細書で使用されているように、且つ当該技術分野で公知のように、キレート剤は、通常2個以上の水素結合又はイオン結合を介して金属イオンに可逆的に結合する多座配位子である。安定化された濃縮洗浄液及びその調製方法中で使用するための好ましいキレート剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジコハク酸塩(IDS)、ポリアクリレート、又はこれらの組合せが含まれる。
【0015】
驚くべきことに、より高濃度のキレート剤では必ずしもより良い又は同じだけの有益な結果は得られないが、非常に低濃度のキレート剤は、所望の安定性を有する濃縮洗浄液、すなわち長期間貯蔵した際又は銅、鉄、ニッケル、若しくはコバルト不純物を含む希釈液を添加した際の目に見える沈殿が低減されているか更には除去されている濃縮洗浄液を得るのに非常に有効である。より具体的には、約0.0001wt%〜約2.00wt%の量、より典型的には約0.0002wt%〜約0.5wt%、更には約0.0005wt%〜約0.05wt%という少ない量で、所望の安定性を有する濃縮洗浄液を得ることが可能であることを見出した。
【0016】
別の言い方をすると、キレート剤(例えば38wt%溶液として提供されるEDTA)を、約0.4ppm〜約7600ppm、又は約0.76ppm〜約1900ppm、更には約1.9ppm〜約190ppmの範囲の量を使用することができる。
【0017】
費用/効率を検討すると、所望の効果を達成するために必要であるよりも多くのキレート剤を使用するべきではないことが言え、実際、より高濃度のキレート剤は、長期間貯蔵した際に起こり得る目に見える沈殿の低減又は除去に有効ではないことがある。これらの理由から、安定化された濃縮洗浄液の総質量を基準にして2.5wt%を超える量のキレート剤は避けるべきである。
【0018】
本方法の適用の利益を受ける濃縮洗浄液には、ある量の次亜塩素酸イオンを含むものが含まれる。次亜塩素酸イオン源としては、限定されるものではないが、塩素、次亜塩素酸塩、クロラミンT、ジクロラミンT、トリクロロイソシアヌル酸が含まれ、これらのいずれか又はこれらの組合せが本発明の安定化された濃縮洗浄液中での使用に適している。好ましくは、安定化された濃縮洗浄液は、次亜塩素酸イオン源として1又は複数の次亜塩素酸塩を含み、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸カリウム、及び/又は次亜塩素酸ナトリウムが特に好ましい。典型的な濃縮洗浄液中の次亜塩素酸イオン源は、約5〜約80wt%、又は約20wt%〜約70wt%、より具体的には40〜60wt%にわたり、これらの濃度範囲は本発明の安定化された濃縮洗浄液中での使用に適している。
【0019】
そのような濃縮洗浄液の殺菌効果は、水中の次亜塩素酸塩又は次亜塩素酸の解離によって形成される次亜塩素酸イオンによってもたらされる。次亜塩素酸は、塩素が水と反応する時に形成され得、その量は溶液のpHに依存する。
【0020】
Cl2+H2O HOCl+HCl
この反応の平衡、及びこのようにして生成する次亜塩素酸の量は、溶液のpHに依存する。アルカリ性溶液では、より多くの次亜塩素酸が生成されるため、観察される殺菌効果は上昇する。
【0021】
したがって、本発明の安定化された濃縮洗浄液はまた、望ましくはアルカリ性であり、濃縮洗浄液をアルカリ性にするのに十分な量の水酸化物イオン源を含む。
【0022】
通常、水酸化物イオンは、1又は複数の苛性又は塩基性の溶液を含めることで洗浄液中に提供される。そのような溶液は当該技術分野で周知であり、それらのいずれを用いてもよいが、入手が容易であり使い勝手が良いことから、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。水酸化物イオン源は通常、従来の濃縮洗浄液中に約1wt%〜約40wt%、好ましくは約5wt%〜約35wt%、より典型的には約15wt%〜約30wt%の量の1又は複数の水酸化物イオン源として含まれ、これらの範囲がまた、目に見える沈殿の形成に対して望ましくは安定化された洗浄液を提供するため、本発明の方法を適用することの利益を受ける。
【0023】
したがって、例えば本発明に係る特定の安定化された濃縮洗浄液は、約15wt%〜約30wt%の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等の水酸化物イオン源、約40wt%〜約60wt%の次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸イオン源、及び約0.0005wt%〜約0.05wt%のEDTA等のキレート剤を含み得る。
【0024】
更に、本発明に係る安定化された濃縮洗浄液は、従来の濃縮洗浄液に通常含まれるその他の成分のいずれを含んでもよい。例えば多くのそのような溶液は、1又は複数の金属イオン封鎖剤、界面活性剤、腐食防止剤、ビルダー、可溶化剤、溶媒、その他の添加剤、又はこれらの組合せを含む。
【0025】
金属イオン封鎖剤は通常、硬水でのスケール付着を低減又は防止するために洗浄液に含める。本発明の安定化された濃縮洗浄液に所望により含めてもよい好適な金属イオン封鎖剤の例としては、ポリリン酸塩、有機ポリホスホネート(organic phosponates)、クエン酸塩、乳酸、これらの組合せ等が含まれる。
【0026】
安定化された濃縮洗浄液のクリーニング性能を高めるために1又は複数の界面活性剤を含めてもよい。任意の種類の界面活性剤、すなわち陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤が、本発明の濃縮洗浄液にその安定性に悪影響を与えずに添加され得る。安定化された濃縮洗浄液は通常アルカリ性であり得るため、陰イオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤が濃縮洗浄液に含めるのに特に適している。
【0027】
陰イオン性界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルスルホネート、アルファオレフィンスルホネート、又はアルキルスルフェート等のアルキルアレーンスルホネートが含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明の安定化された溶液に含めてもよい特に好ましい陰イオン性界面活性剤の例の1つは、ラウリル硫酸ナトリウムである。
【0028】
非イオン性界面活性剤の例としては、エトキシ化及び/又はプロポキシ化脂肪アルコール又は脂肪アミン、アルキルポリグルコシド及びアミノキシド、又はこれらの組合せが含まれる。アミノキシドが好ましく、その例としてはココナッツアルキルジメチルアミンオキシド及びラウリルジメチルアミンオキシドが含まれる。
【0029】
本発明の洗浄液に陽イオン性界面活性剤を含めてもよい。アルカリ溶液中でいくらかの洗浄活性を提供できると考えられる陽イオン性界面活性剤としては、第四級アンモニウム塩を例示することができる。好ましい第四級アンモニウム塩は、飽和又は不飽和であってよく、脂肪酸でエステル化された後に適切なアルキル化剤で四級化されたトリアルカノールアミンに由来するものである。
【0030】
界面活性剤は、安定化された濃縮洗浄液の総質量を基準にして約1wt%〜30wt%、好ましくは約2wt%〜約20wt%、最も好ましくは約4wt%〜約15wt%の量で使用され得る。
【0031】
可溶化剤は通常、水溶液中で界面活性剤等の必須でない成分を含む有機成分の分散を促進するように作用し、必要に応じて、安定化された濃縮洗浄液中に1又は複数が含まれてもよい。可溶化剤の例としては、キシレン、トルエン、エチルベンゾエート、イソプロピルベンゼン、ナフタレン、又はアルキルナフタレンのスルホン酸塩のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及びアルカノールアンモニウム塩;アルコキシル化アルキルフェノールのリン酸エステル;アルコキシル化アルコールのリン酸エステル;及びアルキルサルコシネートのナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩、並びにこれらの混合物が含まれる。所望により含まれる場合、1又は複数の可溶化剤は、約1〜約35wt%又は約5〜約25wt%、より好ましくは約9〜約20wt%の量で存在し得る。
【0032】
また、安定化された濃縮洗浄液は必要に応じて、洗浄液に一般的に使用される1又は複数のその他の成分を含んでもよく、その例としては、限定されるものではないが、ビルダー、溶媒、及びその他の添加剤が含まれる。これらはそれぞれ、約20%まで、又は約15wt%まで、更には約10%までの量が好適である。
【0033】
安定化された濃縮洗浄液中に含まれてもよいビルダーの例としては、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、三リン酸五ナトリウム等のリン酸若しくはその塩、クエン酸若しくはその塩、又はこれらの組合せが挙げられる。
【0034】
以下に非限定的な例を用いて本発明を更に説明する。
【実施例1】
【0035】
表1に、本発明に従って調製された複数の例示的な安定化された濃縮洗浄液及び複数の比較用溶液の貯蔵安定性を示す。各溶液は、記載されている順番及び量で成分を単に混合することで調製した。更に、記載されている全ての量は、溶液の総質量を基準にした質量パーセントである。
【0036】
調製後、溶液を室温(25℃)又はほぼ室温で貯蔵し、10週間、3ヶ月、6ヶ月、及び1年の時点で視覚的に評価した。評価の尺度は以下の通りである:0=沈殿なし、1=最小限の沈殿、商業的に許容可能、2=幾分の沈殿、商業的に許容不可能、3=多量の沈殿、商業的に許容不可能。
【0037】
【表1】

1 ソカランCP45はポリアクリレートであり、例示溶液中で分散剤として作用する。
2 バイヒビットAMはポリホスホン酸塩であり、例示溶液中で金属イオン封鎖剤として作用する。
【0038】
示されているように、0.05%のEDTAは、試験された全ての溶液中で、目に見えるレベルの沈殿の形成防止に効果的である。
【実施例2】
【0039】
表2に、本発明に従って調製された複数の例示的な安定化された濃縮洗浄液及び比較用溶液の貯蔵安定性を示す。各溶液は、記載されている順番及び量で成分を単に混合することで調製した。更に、記載されている全ての量は、溶液の総質量を基準にした質量パーセントである。
【0040】
調製後、溶液を室温(25℃)又はほぼ室温で貯蔵し、10週間、3ヶ月、6ヶ月、及び1年の時点で視覚的に評価した。評価の尺度は以下の通りである:0=沈殿なし、1=最小限の沈殿、商業的に許容可能、2=幾分の沈殿、商業的に許容不可能、3=多量の沈殿、商業的に許容不可能。
【0041】
【表2】

【0042】
示されているように、1つを除く全ての濃度のEDTAで、試験溶液1と比較して、目に見える沈殿が大幅に減少したか除去された。EDTA濃度が2.5%の溶液11は許容不可能なレベルの沈殿を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)約1wt%〜約40wt%の水酸化物イオン源;
(ii)約5wt%〜約80wt%の次亜塩素酸イオン源;及び
(iii)約0.0001wt%〜約2.00wt%のキレート剤、
を含む、安定化された濃縮洗浄液。
【請求項2】
(i)約5wt%〜約35wt%の水酸化物イオン源;
(ii)約20wt%〜約70wt%の次亜塩素酸イオン源;及び
(iii)約0.0002wt%〜約0.5wt%のキレート剤、
を含む、請求項1に記載の安定化された濃縮洗浄液。
【請求項3】
前記キレート剤が、EDTA、MGDA、NTA、IDS、ポリアクリレート、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の安定化された濃縮洗浄液。
【請求項4】
前記キレート剤が、EDTA、MGDA、NTA、又はこれらの組合せを含む、請求項2に記載の安定化された濃縮洗浄液。
【請求項5】
前記水酸化物イオン源が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の安定化された洗浄液。
【請求項6】
前記次亜塩素酸イオン源が、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の安定化された洗浄液。
【請求項7】
(i)次亜塩素酸イオン源を含む濃縮洗浄液を準備する工程;
(ii)キレート剤を準備する工程;及び
(iii)前記キレート剤を前記濃縮洗浄液に添加する工程、
を含む、酸化剤を含む濃縮洗浄液の安定化方法。
【請求項8】
前記キレート剤が、前記洗浄液に、前記溶液中の前記キレート剤の最終濃度が約0.0001wt%〜約2.00wt%となる量で添加される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記キレート剤が、前記洗浄液に、前記溶液中の前記キレート剤の最終濃度が約0.0002wt%〜約0.5wt%となる量で添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記キレート剤が、前記洗浄液に、前記溶液中の前記キレート剤の最終濃度が約0.0005wt%〜約0.05wt%となる量で添加される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記キレート剤が、EDTA、MGDA、NTA、IDS、ポリアクリレート、又はこれらの組合せを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
(i)約15wt%〜約30wt%の水酸化物イオン源;
(ii)約40wt%〜約60wt%の次亜塩素酸イオン源;及び
(iii)約0.0005wt%〜約0.05wt%のキレート剤、
を含む、安定化された濃縮洗浄液。
【請求項13】
前記水酸化物イオン源が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はこれらの組合せを含む、請求項12に記載の安定化された濃縮洗浄液。
【請求項14】
前記次亜塩素酸イオン源が次亜塩素酸ナトリウムを含む、請求項12に記載の安定化された濃縮洗浄液。
【請求項15】
前記キレート剤がEDTAを含む、請求項12に記載の安定化された濃縮洗浄液。

【公表番号】特表2010−533765(P2010−533765A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516957(P2010−516957)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/016147
【国際公開番号】WO2009/011676
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(500320453)イーコラブ インコーポレイティド (120)
【Fターム(参考)】