説明

安定化された農薬製剤

【課題】安定化された農薬製剤の提供。
【解決手段】(1)式


〔式中、R1は置換されていてもよい同素または複素環基を、nは0または1を、R2は水素または置換されていてもよい炭化水素基を、R3は第一、第二または第三アミノ基を、Xは電子吸引基を示す。〕で表されるグアニジン誘導体(I)またはその塩、(2)有機燐系農薬活性成分および(3)ポリオキシエチレン基を有する化合物を含有してなる安定化された農薬製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた殺虫作用を有するグアニジン誘導体、有機燐系農薬活性成分およびポリオキシエチレン基を有する化合物を含有してなる安定化された農薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
害虫防除能力を有する農園芸用殺虫剤として、グアニジン誘導体が合成され、優れた薬効を示すものが製造されている。例えば、特開平3−157308号に記載されたグアニジン誘導体は、水稲の重要害虫であるニカメイガ、イネミズゾウムシ、ウンカ類、畑作害虫であるアブラムシ類、アザミウマ類、リンシ目害虫等に対して優れた害虫防除能力を有する農園芸用殺虫剤であり、粉剤、粒剤、水和剤、水溶剤、フロアブル等の通常使用される有用な農園芸用製剤になることが見いだされている。
更に、該グアニジン誘導体と1種又は2種以上の農薬活性成分との混合製剤は、一層広い範囲での優れた薬効を有し、省力的同時防除も可能な非常に有用な製剤となる。特に、該グアニジン誘導体と有機燐系農薬活性成分との混合剤は、それぞれ単一の有効成分を用いる場合と比較して、相乗的に効果を発揮することが特開平4−112805号に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、グアニジン誘導体と有機燐系農薬活性成分との混合製剤では、有効成分同志の作用により互いに分解を促進するため、それぞれの単一製剤の場合と比較して分解の程度が極端に大きくなり、そのため長期保存が困難であり、殺虫、殺菌活性が十分に発揮できない。
従って、グアニジン誘導体及び有機燐系農薬活性成分の分解を抑制し、安定な農薬製剤の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、式
【化1】

〔式中、R1は置換されていてもよい同素または複素環基を、nは0または1を、R2は水素または置換されていてもよい炭化水素基を、R3は第一、第二または第三アミノ基を、Xは電子吸引基を示す。〕で表されるグアニジン誘導体(I)またはその塩と有機燐系農薬活性成分とを有効成分とする混合剤に、ポリオキシエチレン基を有する化合物を含有させることによって、有効成分の分解が抑制され、安定性が向上することを知見した。本発明者らは、この知見に基づいて、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成した。
【0005】
即ち、本発明は、
(1)[1]式
【化2】

〔式中、R1は置換されていてもよい同素または複素環基を、nは0または1を、R2は水素または置換されていてもよい炭化水素基を、R3は第一、第二または第三アミノ基を、Xは電子吸引基を示す。〕で表されるグアニジン誘導体(I)またはその塩、[2]有機燐系農薬活性成分および[3]ポリオキシエチレン基を有する化合物を含有してなる安定化された農薬製剤、
(2)グアニジン誘導体(I)が、式
【化3】

で表される化合物である第(1)項記載の農薬製剤、
(3)さらに抗酸化剤および/またはエポキシ基を有する化合物を含有する第(1)項記載の農薬製剤、
(4)ポリオキシエチレン基を有する化合物が、ポリエチレングリコール類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類あるいはそのリン酸又は硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類あるいはそのリン酸又は硫酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類から選ばれる1種以上である第(1)項記載の農薬製剤、
(5)抗酸化剤が、フェノール系抗酸化剤、アミン系抗酸化剤、チオジプロピオン酸誘導体系抗酸化剤および燐系抗酸化剤から選ばれる1種以上である第(3)項記載の農薬製剤、および
(6)エポキシ基を有する化合物が、エポキシ化植物油、環状脂肪族化合物およびグリシジル化合物から選ばれる1種以上である第(3)項記載の農薬製剤に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のポリオキシエチレン基を有する化合物を含有する農薬製剤は、グアニジン誘導体(I)またはその塩及び有機燐系農薬活性成分の分解が抑制され、保存安定性に優れているので、長期保存が可能であり、また、殺虫、殺菌活性等も十分に発揮できる優れた農薬製剤として有利に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の農薬製剤に用いられるグアニジン誘導体(I)は、Xの配置に関してシス体〔Z体(zusammen)〕とトランス体〔E体(entgegen)〕の立体異性体を生じ、またR2が水素原子である場合及びR3が第一又は第二アミノ基である場合は、理論的に互変異性体を生じるが、これらいずれの異性体も本発明のグアニジン誘導体(I)またはその塩に含まれる。
上記式(I)中、R1は置換されていてもよい同素または複素環基を示す。R1で示される同素または複素環基は、同一原子のみを含有する環状基または異なる2種以上の原子を含有する環状基であって、環状炭化水素基または複素環基を意味する。
1で示される環状炭化水素基としては、例えばシクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシル等のC3-8シクロアルキル基、例えばシクロプロペニル,1−シクロペンテニル,1−シクロヘキセニル,2−シクロヘキセニル,1,4−シクロヘキサジエニル等のC3-8シクロアルケニル基、例えばフェニル,1−または2−ナフチル,1−,2−または9−アントリル,1−,2−,3−,4−または9−フェナントリル,1−,2−,4−,5−または6−アズレニル等のC6-14アリール基等が用いられる。
好ましい環状炭化水素基は、例えば芳香族のものであり、フェニル等のC6-14アリール基等である。
【0008】
1で示される複素環基としては、例えば酸素原子,硫黄原子,窒素原子などのヘテロ原子を1〜5個含む5〜8員環またはその縮合環などが用いられる。その具体例としては、例えば2−または3−チエニル,2−または3−フリル,テトラヒドロ−3−フラニル,2−または3−ピロリル,2−,3−または4−ピリジル,2−,4−または5−オキサゾリル,2−,4−または5−チアゾリル,3−,4−または5−ピラゾリル,2−,4−または5−イミダゾリル,3−,4−または5−イソオキサゾリル,3−,4−または5−イソチアゾリル,3−または5−(1,2,4−オキサジアゾリル),1,3,4−オキサジアゾリル,3−または5−(1,2,4−チアジアゾリル),1,3,4−チアジアゾリル,4−または5−(1,2,3−チアジアゾリル),1,2,5−チアジアゾリル,1,2,3−トリアゾリル,1,2,4−トリアゾリル,1H−または2H−テトラゾリル,N−オキシド−2−,3−または4−ピリジル,2−,4−または5−ピリミジニル,N−オキシド−2−,4−または5−ピリミジニル,3−または4−ピリダジニル,ピラジニル,N−オキシド−3−または4−ピリダジニル,ベンゾフリル,ベンゾチアゾリル,ベンゾオキサゾリル,トリアジニル,オキソトリアジニル,テトラゾロ[1,5−b]ピリダジニル,トリアゾロ[4,5−b]ピリダジニル,オキソイミダジニル,ジオキソトリアジニル,ピロリジニル,ピペリジニル,ピラニル,チオピラニル,1,4−オキサジニル,モルホリニル,1,4−チアジニル,1,3−チアジニル,ピペラジニル,ベンゾイミダゾリル,キノリル,イソキノリル,シンノリニル,フタラジニル,キナゾリニル,キノキサリニル,インドリジニル,キノリジニル,1,8−ナフチリジニル,プリニル,プテリジニル,ジベンゾフラニル,カルバゾリル,アクリジニル,フェナントリジニル,フェナジニル,フェノチアジニル,フェノキサジニルなどが用いられる。
複素環基の好ましいものは、例えば2−,3−または4−ピリジル,2−,4−または5−チアゾリル等の5−又は6−員含窒素複素環基である。
【0009】
これらR1で示される同素または複素環基は、同一又は相異なる置換基を1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1個)有していてもよい。このような置換基としては例えばメチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,s−ブチル,t−ブチル,ペンチル,ヘキシル,ヘプチル,オクチル,ノニル,デシル,ウンデシル,ドデシル,トリデシル,テトラデシル,ペンタデシル等のC1-15アルキル、例えばシクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシル等のC3-10シクロアルキル、例えばビニル,アリル,2−メチルアリル,2−ブテニル,3−ブテニル,3−オクテニル等のC2-10アルケニル、例えばエチニル,2−プロピニル,3−ヘキシニル等のC2-10アルキニル、例えばシクロプロペニル,シクロペンテニル,シクロヘキセニル等のC3-10シクロアルケニル、例えばフェニル,ナフチル等のC6-10アリール、例えばベンジル,フェニルエチル等のC7-10アラルキル、ニトロ、水酸基、メルカプト、オキソ、チオキソ、シアノ、カルバモイル、カルボキシル、例えばメトキシカルボニル,エトキシカルボニル等のC1-4アルコキシ−カルボニル、スルホ、例えばフッ素,塩素,臭素,ヨウ素等のハロゲン、例えばメトキシ,エトキシ,プロポキシ,イソプロポキシ,ブトキシ,イソブトキシ,s−ブトキシ,t−ブトキシ等のC1-4アルコキシ、例えばフェノキシ等のC6-10アリールオキシ、例えばメチルチオ,エチルチオ,n−プロピルチオ,イソプロピルチオ,n−ブチルチオ,t−ブチルチオ等のC1-4アルキルチオ、例えばフェニルチオ等のC6-10アリールチオ、例えばメチルスルフィニル,エチルスルフィニル等のC1-4アルキルスルフィニル、例えばフェニルスルフィニル等のC6-10アリールスルフィニル、例えばメチルスルホニル,エチルスルホニル等のC1-4アルキルスルホニル、例えばフェニルスルホニル等のC6-10アリールスルホニル、アミノ、例えばアセチルアミノ,プロピオニルアミノ等のC2-6アシルアミノ、例えばメチルアミノ,エチルアミノ,n−プロピルアミノ,イソプロピルアミノ,n−ブチルアミノ,ジメチルアミノ,ジエチルアミノ等のモノ−又はジ−C1-4アルキルアミノ、例えばシクロヘキシルアミノ等のC3-6シクロアルキルアミノ、例えばアニリノ等のC6-10アリールアミノ、例えばアセチルなどのC2-4アシル、例えばベンゾイル等のC6-10アリール−カルボニル、例えば2−または3−チエニル,2−または3−フリル,3−,4−または5−ピラゾリル,2−,4−または5−チアゾリル,3−,4−または5−イソチアゾリル,2−,4−または5−オキサゾリル,3−,4−または5−イソオキサゾリル,2−,4−または5−イミダゾリル,1,2,3−または1,2,4−トリアゾリル,1Hまたは2H−テトラゾリル,2−,3−または4−ピリジル,2−,4−または5−ピリミジニル,3−または4−ピリダニジル,キノリル,イソキノリル,インドリル等の酸素、硫黄、窒素から選ばれたヘテロ原子を1〜4個含む5〜6員複素環基もしくはそれらとの縮合環基が挙げられる。
【0010】
これらの置換基が、例えばC6-10アリール、 C7-10アラルキル、C3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルケニル、C6-10アリールオキシ、C6-10アリールチオ、C6-10アリールスルフィニル、C6-10アリールスルホニル、C6-10アリールアミノ、複素環基等である場合には、さらに、上記のようなハロゲン、水酸基、例えばメチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,s−ブチル,t−ブチル等のC1-4アルキル、例えばビニル,アリル,2−メチルアリル等のC2-4アルケニル、例えばエチニル,2−プロピニル等のC2-4アルキニル、C6-10アリール、C1-4アルコキシ、フェノキシ、C1-4アルキルチオ、フェニルチオ等で1〜5個置換されていてもよい。また、該同素または複素環基の置換基がC1-15アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、C1-4アルキルスルフィニル、C1-4アルキルスルホニル、アミノ、モノ−又はジ−C1-4アルキルアミノ、C3-6シクロアルキルアミノ、C6-10アリールアミノ等である場合には、さらに、上記のようなハロゲン、水酸基、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ等で1〜5個置換されていてもよい。
1の好ましい例は、例えばハロゲンで1ないし2個置換されていてもよいピリジル、チアゾリル等の5または6員含窒素複素環基である。nは0または1を示すが、1の場合が好ましい。
【0011】
2で示される「置換されていてもよい炭化水素基」における炭化水素基としては、R1について前述したC1-15のアルキル基、C3-10のシクロアルキル基、C2-10のアルケニル基、C2-10のアルキニル基、C3-10のシクロアルケニル基、6-10のアリール基、C7-10のアラルキル基等が用いられる。
また、R2で示される「置換されていてもよい炭化水素基」における置換基としては、R1で示される同素または複素環基の置換基として前述したものと同様のもの等が用いられる。
2の好ましい例としては、例えば水素、例えばメチル、エチル、プロピル等のC1-4アルキル基が挙げられる。
【0012】
3は第一、第二または第三アミノ基を示し、その例としては、例えば式
【化4】

〔式中、R4及びR5は、同一または相異なり、水素または置換されていてもよい炭化水素基を、あるいはR4及びR5は一緒になって隣接した窒素と共に環状アミノ基を示す。〕で表わされる基等が用いられる。
ここにおいて、第一アミノ基とは例えば上記式で言えばR4及びR5が水素である無置換アミノ基を、第二アミノ基とはR4かR5のいずれかが水素であるモノ置換アミノ基を、第三アミノ基とはR4とR5のどちらも水素でないジ置換アミノ基を意味する。
4及びR5で示される「置換されていてもよい炭化水素基」としては、例えば上記R2で述べたものと同一のもの等が用いられる。
また、R4及びR5が一緒になって隣接窒素と共に示す環状アミノ基としては、例えばアジリジノ,アゼチジノ,ピロリジノ,モルホリノ,チオモルホリノ基等が用いられる。
3の好ましい例としては、例えば無置換アミノ基、例えばメチルアミノ,エチルアミノ,プロピルアミノ等のモノ−C1-4アルキルアミノ基、例えばジメチルアミノ,エチルメチルアミノ等のジ−C1-4アルキルアミノ基、例えばホルムアミド,N−メチルホルムアミド,アセトアミド等のC1-4アシルアミノ基等が挙げられる。
【0013】
Xで示される電子吸引基としては、例えばシアノ、ニトロ、アルコキシカルボニル(例、メトキシカルボニル,エトキシカルボニル等のC1-4アルコキシ−カルボニル等)、ヒドロキシカルボニル、C6-10アリール−オキシカルボニル(例、フェノキシカルボニル等)、複素環オキシカルボニル(複素環基としては上記のもの等が用いられ、例えばピリジルオキシカルボニル,チエニルオキシカルボニル等)、例えばハロゲン(Cl,Br等)等で置換されていてもよいC1-4アルキルスルホニル(例、メチルスルホニル,トリフルオロメチルスルホニル,エチルスルホニル等)、スルファモイル、ジ−C1-4アルコキシホスホリル(例、ジエトキシホスホリル等)、例えばハロゲン(Cl,Br,F等)等で置換されていてもよいC1-4アシル(例、アセチル,トリクロロアセチル,トリフルオロアセチル等)、C6-10アリール−カルボニル(例、ベンゾイル等)、カルバモイル、C1-4アルキルスルホニルチオカルバモイル(例、メチルスルホニルチオカルバモイル等)等が用いられる。
好ましい電子吸引基としては、例えばニトロ、トリフルオロアセチル、シアノが挙げられる。
【0014】
グアニジン誘導体(I)またはその塩の好ましい例としては、例えば
【化5】

〔式中、R1bはピリジル基、ハロゲノピリジル基またはハロゲノチアゾリル基を示し、R2c,R4a,R5aは同一または相異なり、水素、メチル基、エチル基、 ホルミル基またはアセチル基を示す。〕で表わされる化合物(Ib)またはその塩等が挙げられる。
式(Ib)で表わされる化合物(Ib)において、R1bは例えば3−ピリジル基を、例えば6−クロロ−3−ピリジル、6−ブロモ−3−ピリジル、5−ブロモ−3−ピリジル等のハロゲノピリジル基を、または2−クロロ−5−チアゾリル、2−ブロモ−5−チアゾリル等のハロゲノチアゾリル基を示す。
【0015】
該グアニジン誘導体(I)の最も好ましいものとしては、上記式(II)で表わされる化合物が挙げられる。該化合物としては、なかでも、(E)−1−(2−クロロチアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(以下、化合物(IIa)と略記する)が好ましい。
【0016】
グアニジン誘導体(I)の塩としては、例えば塩酸,臭化水素酸,ヨウ化水素酸,リン酸,硫酸,過塩素酸などの無機酸、例えばギ酸,酢酸,酒石酸,リンゴ酸,クエン酸,シュウ酸,コハク酸,安息香酸,ピクリン酸,p−トルエンスルホン酸などの有機酸との塩が用いられる。
グアニジン誘導体(I)またはその塩及びその製造法は、例えば特開平3−157308号に記載されている。
本発明の農薬製剤におけるグアニジン誘導体(I)またはその塩は1種以上用いることができる。
本発明の農薬製剤におけるグアニジン誘導体(I)またはその塩の含有量は、製剤全体に対し、通常約0.01〜90重量%、好ましくは約0.05〜50重量%である。
【0017】
本発明の農薬製剤に用いられる有機燐系農薬活性成分としては、例えば、シアノホス(CYAP)、フェンチオン(MPP)、フェニトロチオン(MEP)、ジクロフェンチオン(ECP)、ピリミホスメチル、エトリムホス、ダイアジノン、キナルホス、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、クロルピリホスメチル、クロルピリホス、オキシデプロホス(ESP)、バミドチオン、プロフェノホス、マラチオン(マラソン)、フェントエート(PAP)、ジメトエート、ホルモチオン、チオメトン、ジスルホトン(エチルチオメトン)、ホサロン、ホスメット(PMP)、メチダチオン(DMTP)、プロチオホス、スルプロホス、ピラクロホス、ジクロルボス(DDVP)、モノクロトホス、ナレッド(BRP)、テトラクロルビンホス(CVMP)、ジメチルビンホス、クロルフェンビンホス(CVP)、プロパホス、アセフェート、イソフェンホス、ジオキサベンゾホス(サリチオン)、トリクロルホン(DEP)、EPN、エチオン等の有機燐殺虫剤、イプロベンホス(IBP)、エジフェンホス(EDDP)、トルクロホスメチル、ピラゾホス、ホセチル等の有機燐殺菌剤の1種以上が用いられる。
本発明の農薬製剤における有機燐系農薬活性成分の含有量は、通常約0.1〜90重量%、好ましくは約0.5〜80重量%である。
【0018】
本発明の農薬製剤には、グアニジン誘導体(I)またはその塩及び有機燐系農薬活性成分に加えて、更に1種以上の殺虫剤、殺菌剤等の農薬活性成分を含有させることができる。
具体的には、殺虫剤としては、カルバリル(NAC)、メトルカルブ(MTMC)、イソプロカルブ(MIPC)、プロポキスル(PHC)、キシリルカルブ(MPMC)、XMC、ベンダイオカルブ、ピリミカーブ、メソミル、オキサミル、チオジカルブ等のカーバメート系殺虫剤、レスメトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、シフルトリン、フェンプロパトリン、シクロプロトリン、フルバリネート、フルシトリネート、シハロトリン、フェンバレレート、エトフェンプロックス、アクリナトリン等の合成ピレスロイド殺虫剤、カルタップ塩酸塩、チオシクラム、ベンスルタップ等のネライストキシン系殺虫剤、ニテンピラム等のクロロニコチル系殺虫剤、シラフルオフェン、また、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、クロルフルアズロン、ブプロフェジン等の昆虫成長抑制剤、ヘキシチアゾクス、シヘキサチン(酸化フェンブタスズ)、ピリダベン、クロフェンテジン等の殺ダニ剤等が挙げられる。
また、殺菌剤としては、ジラム、チウラム等の硫黄殺菌剤、キャプタン等のポリハロアルキルチオ殺菌剤、クロロタロニル(TPN)、フサライド等の有機塩素殺菌剤、チオファネートメチル、ベノミル、カルベンダゾール、チアベンダゾール、ジエトフェンカルブ等のベンゾイミダゾール系殺菌剤、イプロジオン、ビンクロゾリン、プロシミドン、フルオルイミド等のジカルボキシイミド殺菌剤、オキシカルボキシン、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン等のカルボキシアミド殺菌剤、メタラキシル、オキサジキシル等のアシルアラニン系殺菌剤、トリアジメホン、ヘキサコナゾール、トリホリン等のN−ヘテロ環系エルゴステロール生合成阻害剤、ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシンA、ミルディオマイシン等の抗生物質剤、キントゼン(PCNB)、ヒドロキシイソキサゾール、ダゾメット等の土壌殺菌剤、ジメチリモール、ジクロメジン、アニラジン(トリアジン)、フェリムゾン、プロベナゾール、イソプロチオラン、トリシクラゾール、ピロキロン、オキソリニック酸等が挙げられる。
グアニジン誘導体(I)またはその塩及び有機燐系農薬活性成分に更に他の農薬活性成分を含有させた場合、それら農薬活性成分の総量が、製剤全体に対し、通常約0.5〜95重量%、好ましくは約1.0〜50重量%、より好ましくは約1.5〜20重量%となるのが好ましい。
【0019】
本発明の農薬製剤において使用されるポリオキシエチレン基を有する化合物としては、ポリエチレングリコール類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合物、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル,ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類あるいはそのリン酸又は硫酸エステル塩類、例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル,ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類あるいはそのリン酸又は硫酸エステル類、例えばポリオキシエチレンオレイン酸エステル,ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の1種以上が挙げられる。
本発明の農薬製剤におけるポリオキシエチレン基を有する化合物の含有量は、製剤全体に対して通常約0.01〜30重量%、好ましくは約0.05〜15重量%である。
【0020】
本発明の農薬製剤には、所望によりさらに抗酸化剤および/またはエポキシ基を有する化合物を含有させてもよい。
抗酸化剤としては、フェノール系抗酸化剤、アミン系抗酸化剤、チオジプロピオン誘導体系抗酸化剤、燐系抗酸化剤等が挙げられる。具体的には、例えばジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジブチルヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4'−メチレンビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4−tert−ブチルカテコール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル〕メタン(Irganox 1010)、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン(Ionox 330)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン(Topanol CA)、ノルジヒドログアヤレチン酸(NDGA)、ジオクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスホネート(RA−1093)、DL−トコフェロール、没食子酸プロピル、Antioxidant Hoechst TMOZ等のフェノール系、例えばα−ナフチルアミン、ジフェニルアミン、2,2,4−トリメチルジヒドロキノリン、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N'−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジフェニルエチレンジアミン、p−イソプロポキシジフェニルアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、アルドール−α−ナフチルアミン等のアミン系、例えばジラウリルチオジプロピオネート(DLTP)、ジステアリルチオジプロピオネート(DSTP)、ジミリスチルチオジプロピオネート、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−4,6−ジオクチルチオトリアジン(RA−565)、4,4'−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(Y−SR)、2,2'−チオビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ジンクジエチルジチオホスフェート、トリラウリルトリチオホスフェート等のチオジプロピオン誘導体系、例えばトリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、SANKO−220、SANKO−DC等の燐系、その他、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、クエン酸イソプロピル等の1種以上が用いられる。本発明の農薬製剤におけるこれらの化合物の含有量は、製剤全体に対して通常約0.01〜50重量%、好ましくは約0.05〜20重量%である。
【0021】
また、エポキシ基を有する化合物としては、エポキシ植物油、環状脂肪族化合物、グリシジル化合物等が挙げられる。具体的には、エポキシ化乾性油(例、エポキシ化アマニ油,エポキシ化キリ油,エポキシ化エノ油等)、エポキシ化半乾性油(例、エポキシ化大豆油,エポキシ化綿実油,エポキシ化ゴマ油,エポキシ化ナタネ油等)、エポキシ化不乾性油(例、エポキシ化ヒマシ油,エポキシ化オリーブ油,エポキシ化ツバキ油,エポキシ化ラッカセイ油,エポキシ化ヤシ油等)等のエポキシ植物油、例えばシクロヘキセンオキサイド、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカーボネート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3',4'−エポキシ−6'−メチルシクロヘキサンカーボネート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキサン−1,1−ジメタノールビス(9,10−エポキシステアレート)、エポキシ化脂肪酸、エポキシ脂肪酸アルキルエステル等の環状脂肪族化合物、例えばエポキシグリセライド、ジエポキシグリセライド、トリエポキシグリセライド、モノ−,ジ−もしくはトリ−エポキシグリセライドの複合物、グリセロールグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、モノ−,ジ−もしくはトリ−グリシジルエーテルの複合物、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタンジグリシジルエーテル、フェノールホルマリン樹脂(トリマー)トリグリシジルエーテル、テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のグリシジル化合物、その他、エピクロルヒドリン、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイド等の1種以上が用いられる。本発明の農薬製剤におけるこれらの化合物の含有量は、製剤全体に対して通常約0.01〜10重量%、好ましくは約0.1〜10重量%である。
【0022】
本発明の農薬製剤は、例えば、粉剤、粒剤、水和剤、水溶剤等に成型することができ、界面活性剤、増量剤、流動助剤、固結防止剤、凝集剤、水分除去剤、着色剤、結合剤、香料、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、防腐剤等の、通常使用される農薬補助剤を用いることができる。
本発明の農薬製剤において、界面活性剤は通常、分散剤、展着剤、湿潤剤、浸透剤、造粒性改良剤等の目的で用いられ、上記に示したポリオキシエチレン基を有する化合物の他に、以下に示した界面活性剤を用いることができる。具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸ナトリウム等のリグニンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、マレイン酸とオレフィンの共重合体のナトリウム塩等のポリカルボニックアシド塩、芳香族スルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物等の陰イオン界面活性剤、モノオレイン酸等のソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、アミン塩型、第四級アンモニウム塩型等の陽イオン界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型等の両性界面活性剤が挙げられる。この界面活性剤を用いる際には、製剤全体に対して、通常約0.01〜30重量%、好ましくは約0.05〜20重量%の範囲で用いられる。
【0023】
増量剤としては、例えば大豆粉、タバコ粉、小麦粉、木粉等の植物性粉末、クレー、ベントナイト、酸性白土、ラジオライト等の粘土鉱物類、滑石粉、ロウ石粉等のタルク類、珪藻土、雲母粉等のシリカ類等の鉱物性粉末、乳糖、重曹、尿素粉末、炭酸カルシウム、アルミナ、硫黄粉末、活性炭等を1種以上を用いることができる。
流動助剤としては、例えばPAP助剤(例、イソプロピルアシッドホスフェート)、ホワイトカーボン、タルク、トール油脂肪酸等が必要に応じて用いられる。
固結防止剤としては、例えばホワイトカーボン、珪藻土、ステアリン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化チタン等が必要に応じて用いられる。
凝集剤としては、例えば流動パラフィン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソブチレン重合体(例、IPソルベント2835:登録商標;出光石油化学(株)製)等が必要に応じて用いられる。
水分除去剤としては、例えば無水石膏、シリカゲル粉末等が必要に応じて用いられる。
着色剤としては、例えばシアニングリーンG(住友化学製)等が必要に応じて用いられる。
結合剤としては、例えばカルボキシルメチルセルロースナトリウム塩、α化デンプン、リグニンスルホン酸ナトリウム、デキストリン、ポリビニルアルコール、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、グルコース、ショ糖、マンニトール、ソルビトール等が必要に応じて用いられる。
香料としては、例えばトキサノンL(三洋化成製)等が必要に応じて用いられる。
紫外線吸収剤としては、例えば2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−エトキシ−2'−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物等が必要に応じて用いられる。
紫外線散乱剤としては、例えば二酸化チタン等が必要に応じて用いられる。
防腐剤としては、例えばブチルパラベン、ソルビン酸カリウム等が必要に応じて用いられる。
【0024】
流動助剤が用いられる場合には、製剤全体に対して、通常約0.05〜20重量%、好ましくは約0.1〜10重量%の範囲で用いられる。固結防止剤が用いられる場合には、製剤全体に対して、通常約0.05〜50重量%、好ましくは約0.1〜20重量%の範囲で用いられる。凝集剤が用いられる場合には、製剤全体に対して、通常約0.05〜20重量%、好ましくは約0.1〜10重量%の範囲で用いられる。水分除去剤が用いられる場合には、製剤全体に対して、通常約0.1〜30重量%、好ましくは約0.5〜20重量%の範囲で用いられる。着色剤が用いられる場合には、製剤全体に対して、通常約0.01〜2.0重量%、好ましくは約0.01〜1.0重量%の範囲で用いられる。結合剤が用いられる場合には、製剤全体に対して、通常約0.1〜10重量%、好ましくは約0.5〜7重量%の範囲で用いられる。香料が用いられる場合には、製剤全体に対して、通常約0.01〜5重量%、好ましくは約0.01〜1重量%の範囲で用いられる。紫外線吸収剤が用いられる場合には、製剤全体に対して、通常約0.05〜20重量%、好ましくは約0.1〜10重量%の範囲で用いられる。紫外線散乱剤が用いられる場合には、製剤全体に対して、通常約0.05〜90重量%、好ましくは約0.1〜20重量%の範囲で用いられる。防腐剤が用いられる場合には、製剤全体に対して、通常約0.01〜1.5重量%、好ましくは約0.05〜3重量%の範囲で用いられる。
【0025】
本発明の農薬製剤は、通常の農薬製剤の製造法に従って、粉剤DL、粒剤、水溶剤、水和剤などに成型することができ、特に粉剤DL、粒剤が好適である。例えば、粉剤DLの場合には、上記の各成分を自動乳鉢などで混合した後、ハンマーミル、エアーミル等の粉砕機で粉砕する等の通常の方法によって製造することができる。また、粒剤の場合には、粉砕物をさらにローラーコンパクターなどの圧縮成型器、押出造粒機、転動造粒機を用いて顆粒状に成型する等の通常の方法によって製造することができる。
【0026】
施用対象栽培植物としては、例えば、稲、麦(例、小麦、大麦)、てんさい、とうもろこし、綿、野菜(例、キャベツ、ハクサイ、ダイコン、キュウリ、ナス、ジャガイモなど)、果樹(例、みかん、もも、なしなど)、茶、タバコなどが挙げられる。
施用対象害虫としては、例えば、半翅目害虫(例、ナガメ、イネクロカメムシ、ホソヘリカメムシ、ナシグンバイ、トビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカ、ツマグロヨコバイ、チャノミドリヒメヨコバイ、オンシツコナジラミ、ヤノネカイガラムシ、クワコナカイガラムシ、ダイズアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ、ダイコンアブラムシ、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、リンゴアブラムシなど)、鱗翅目害虫(例、ハスモンヨトウ、コナガ、モンシロチョウ、ニカメイガ、タマナギンウワバ、タバコガ、アワヨトウ、ヨトウガ、リンゴコカクモンハマキ、ワタノメイガ、コブノメイガ、ジャガイモガ、チャノホソガ、チャノコカクモンハマキなど)、甲虫目害虫(例、ニジュウヤホシテントウムシ、ウリハムシ、キスジノミハムシ、コロラドイモハムシ、カメノコハムシ、イネドロオイムシ、イネゾウムシ、ヤサイゾウムシなど)、双翅目害虫(例、イエバエ、アカイエカ、ウシアブ、タマネギバエ、タネバエなど)、直翅目害虫(例、トノサマバッタ、ケラなど)、網翅類(例、チャバネゴキブリ、クロゴキブリなど)、ハダニ類(例、ナミハダニ、ミカンハダニ、カンザワハダニ、ミセナミダニ、リンゴハダニ、ミカンサビダニなど)、線虫(例、イネシンガレセンチュウなど)などが挙げられる。
【0027】
本発明の農薬製剤は、毒性が極めて少なく安全で、優れた農薬である。そして、本発明の農薬製剤は、従来の殺虫剤、殺菌剤等と同様の方法で用いることができ、その結果従来品に比べて優れた効果を発揮することができる。たとえば、本発明の農薬製剤を殺虫剤として用いる場合、対象の害虫に対して、たとえば、空中散布、土壌散布、茎葉散布、育苗箱散布、側条施用、種子処理、床上混和、虫体散布、水田の水中施用などにより使用することができる。
本発明の農薬製剤の使用量は、例えば、農薬活性成分の種類、剤型の種類、対象害虫、施用時期、施用場所、施用方法などに応じて、適宜選択することができる。
例えば、粉剤DLの場合はそのままで使用することができ、通常は水田などに使用する。農薬活性成分としては、その種類に応じて10a当たり約1〜250g、好ましくは約2〜200g使用する。
粒剤の場合は、そのままで使用でき、通常は、水田、畑(例、茶,小麦,てんさい,とうもろこし,じゃがいも,綿などの畑)、果樹園などに使用する。農薬活性成分としては、その種類に応じて10a当たり約1〜500g、好ましくは約2〜300g使用する。
【0028】
以下に実施例、参考例および実験例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、化合物(IIa)は、特開平3−157308号(特許第2546003号)の実施例に記載の方法(表−4、化合物No.19)に従って製造した。
【実施例1】
【0029】
安定化剤としてニューポールPE−64(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合物、三洋化成製)を用いて、下記処方の原料を均一に混合し、適量の水を加えて練合した後に、スクリーン径1.0mmφの押出造粒機で造粒後、乾燥して粒剤を得た。
化合物(IIa) 0.5重量%
アセフェート 5.0
ニューポールPE−64 1.0
デキストリン 3.0
粒剤用炭酸カルシウム 合計100
【実施例2】
【0030】
安定化剤としてノニポール85(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、三洋化成製)を用いて、下記の処方で実施例1と同様にして粒剤を得た。
化合物(IIa) 0.5重量%
アセフェート 5.0
ノニポール85 1.0
デキストリン 3.0
粒剤用炭酸カルシウム 合計100
【実施例3】
【0031】
安定化剤としてPEG1000(ポリエチレングリコール、三洋化成製)を用いて、下記の処方で実施例1と同様にして粒剤を得た。
化合物(IIa) 0.5重量%
アセフェート 5.0
PEG1000 1.0
デキストリン 3.0
粒剤用炭酸カルシウム 合計100
【実施例4】
【0032】
安定化剤としてニューポールPE−64及びジブチルヒドロキシトルエンを用いて、下記の処方で実施例1と同様にして粒剤を得た。
化合物(IIa) 0.5重量%
アセフェート 5.0
ニューポールPE−64 1.0
デキストリン 3.0
ジブチルヒドロキシトルエン 2.0
粒剤用炭酸カルシウム 合計100
【実施例5】
【0033】
安定化剤としてニューポールPE−64及びアデカサイザー O−180A(エポキシ化アマニ油、旭電化工業製)を用いて、下記の処方で実施例1と同様にして粒剤を得た。
化合物(IIa) 0.5重量%
アセフェート 5.0
ニューポールPE−64 1.0
デキストリン 3.0
アデカサイザー O−180A 2.0
粒剤用炭酸カルシウム 合計100
【実施例6】
【0034】
安定化剤としてニューポールPE−64を用いて、下記処方の原料を乳鉢で均一に混合して粉剤DLを得た。
化合物(IIa) 0.15重量%
フェニトロチオン 3.0
フェリムゾン 2.0
フサライド 1.5
ニューポールPE−64 2.0
IPソルベント 0.2
PAP助剤 0.05
ホワイトカーボン 3.0
クレーDL 合計100
【実施例7】
【0035】
安定化剤としてニューポールPE−64及びジブチルヒドロキシトルエンを用いて、下記の処方で実施例6と同様にして粉剤DLを得た。
化合物(IIa) 0.15重量%
フェニトロチオン 3.0
フェリムゾン 2.0
フサライド 1.5
ニューポールPE−64 2.0
IPソルベント 0.2
PAP助剤 0.05
ホワイトカーボン 3.0
ジブチルヒドロキシトルエン 2.0
クレーDL 合計100
【実施例8】
【0036】
安定化剤としてニューポールPE−64及びアデカサイザー O−180Aを用いて、下記の処方で実施例6と同様にして粉剤DLを得た。
化合物(IIa) 0.15重量%
フェニトロチオン 3.0
フェリムゾン 2.0
フサライド 1.5
ニューポールPE−64 2.0
IPソルベント 0.2
PAP助剤 0.05
ホワイトカーボン 3.0
アデカサイザー O−180A 2.0
クレーDL 合計100
【比較例1】
【0037】
実施例1において、ニューポールPE−64をニューカルゲンEP−60P(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、竹本油脂製)に置き換えて、下記の処方で実施例1と同様にして粒剤を得た。
化合物(IIa) 0.5重量%
アセフェート 5.0
ニューカルゲンEP−60P 1.0
デキストリン 3.0
粒剤用炭酸カルシウム 合計100
【試験例1】
【0038】
実施例1〜5及び比較例1で製造した製剤を硝子瓶に密栓して、40℃の恒温槽に静置した。3カ月後に各農薬活性成分の含量を高速液体クロマトグラフィーで測定し、次式より残存率を求めた。
農薬活性成分の残存率(%)=(含量)/(初期含量)×100
結果を〔表1〕に示した。
【表1】

表1に示されているように、ポリオキシエチレン基を有する化合物を添加することにより、グアニジン誘導体(I)またはその塩及び有機燐系農薬活性成分の安定性が向上されることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のポリオキシエチレン基を有する化合物を含有する農薬製剤は、グアニジン誘導体(I)またはその塩及び有機燐系農薬活性成分の分解が抑制され、保存安定性に優れているので、長期保存が可能であり、また、殺虫、殺菌活性等も十分に発揮できる優れた農薬製剤として有利に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)式
【化1】

〔式中、R1は置換されていてもよい同素または複素環基を、nは0または1を、R2は水素または置換されていてもよい炭化水素基を、R3は第一、第二または第三アミノ基を、Xは電子吸引基を示す。〕で表されるグアニジン誘導体(I)またはその塩、(2)有機燐系農薬活性成分および(3)ポリオキシエチレン基を有する化合物を含有してなる安定化された農薬製剤。
【請求項2】
グアニジン誘導体(I)が、式
【化2】

で表される化合物である請求項1記載の農薬製剤。
【請求項3】
さらに抗酸化剤および/またはエポキシ基を有する化合物を含有する請求項1記載の農薬製剤。
【請求項4】
ポリオキシエチレン基を有する化合物が、ポリエチレングリコール類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類あるいはそのリン酸又は硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類あるいはそのリン酸又は硫酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類から選ばれる1種以上である請求項1の農薬製剤。
【請求項5】
抗酸化剤が、フェノール系抗酸化剤、アミン系抗酸化剤、チオジプロピオン酸誘導体系抗酸化剤および燐系抗酸化剤から選ばれる1種以上である請求項3の農薬製剤。
【請求項6】
エポキシ基を有する化合物が、エポキシ化植物油、環状脂肪族化合物およびグリシジル化合物から選ばれる1種以上である請求項3の農薬製剤。

【公開番号】特開2007−145874(P2007−145874A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67742(P2007−67742)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【分割の表示】特願平9−26952の分割
【原出願日】平成9年2月10日(1997.2.10)
【出願人】(502433575)住化武田農薬株式会社 (8)
【Fターム(参考)】