説明

完全性を知る必要があるエレメントの識別および保護用デバイス

本発明は、完全性を知る必要があるエレメントに接続されるようにデザインされた、識別および保護用デバイスに関する。上記デバイスは、遠方からタグ(2)のコンテンツを読み取りできるように配置された第1のアンテナ(3)に接続された電子識別タグ(2)を含み、上記デバイスは、第1のアンテナ(3)に結合する少なくとも1つの第2のアンテナを含むことに特徴がある。上記第2のアンテナは、遠方からタグ(2)のコンテンツを読み取りできるように配置され、上記第2のアンテナは、エレメントが不正変更されたときに、第1のアンテナ(3)と第2のアンテナとの間の結合が壊れるようにエレメントに接続されるようにデザインされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、完全性を知る必要があるエレメントに接続されるようにデザインされた、識別および保護用デバイスに関連し、同様に、そのようなデバイスに対して読み取り/書き込みをするためのデバイスおよびシステムを含む、識別および保護用集合体にも関連する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、コンテンツを遠方から読み取り可能にする電子タグによる識別分野に関連し、特に特定のRFIDタグ分野に関連する。このようなタグは、非接触で識別するアプリケーションの数多くに使用されている。例えば、アクセス制御(識別用バッジ)、チケット処理(乗車用切符)、国家の安全保障(パスポート)、サンプルまたは内容物等の識別に使用される。タグは、情報を収容することができ、たとえば発生源情報(origin information)、日付、コンテンツ等の情報を収容することができる。識別用タグは、識別手段として、特にバーコードに取って代わる傾向にある。
【0003】
タグは、遠隔用読み取りデバイスを用いて、タグのコンテンツを遠方から読み取るためのアンテナに接続される。
【0004】
特定のアプリケーションにおいて、認識用タグを有するエレメントの完全性を知ることが要求される。換言すれば、上記エレメントが不正変更(tamper)された否かを知ることが必要であり、例えば、サンプルを収容しているコンテナが、開けられ、かつ封じ直されたか否かを知ることが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
安全テープのような物理的手段は、この完全性を検証するのに使用することができる。しかしながら、識別タグを有するエレメントを物理的にチェックすること無しで、読み取りデバイス内に当該情報を得ることは有用である。
【0006】
アンテナを、タグを有するエレメント上に置いて、エレメントが不正変更されたときにアンテナが壊れるようにする方法が知られている。この方法において、エレメントの完全性が、もはや保証されないとき、タグのコンテンツは、読み取ることができない。何故なら、エレメントがオープン状態になっていることを意味し、アンテナは、情報をもはや放射することができないからである。
【0007】
しかしながら、このタイプのシステムは、その後において、タグから情報を読み取ることを防ぐことになる。従って、タグは、使用不可能な状態になり、タグが収容している情報は、もはや読むことができない。それなのに、エレメントが不正変更されていても、タグ内に収容されている情報は、未だ使用可能である。
【0008】
本発明の目的は、上記不都合を解決することにある。解決を提供する識別および保護用デバイスは、互いに結合する2つのアンテナを備え、2つのアンテナは、タグのコンテンツを読むことを可能とし、2つのアンテナの1つは、自身が壊されるまたは分離されることにより、エレメントが不正変更されたか否かについて情報を提供することになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的のために、第1の態様において、本発明は、完全性を知る必要があるエレメントに接続されるようにデザインされた、識別および保護用デバイスに関連する。このデバイスは、タグ2のコンテンツを遠方から読み取ることができるように配置された第1のアンテナに接続されたRFIDタグを含む。このデバイスは、第1のアンテナに結合する少なくとも1つの第2のアンテナを含む。この第2のアンテナは、上記エレメントが不正変更されたときに、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の結合が壊れるように、エレメントに接続されてデザインされる。
【0010】
従って、タグ内に収容された情報が、第2のアンテナおよび第1のアンテナを用いて読み取ることができるとき、このことは、上記エレメントが不正変更されていないことを意味する。一方、上記収容情報が、第1のアンテナだけを用いて読み取れるとき、このことは、上記エレメントが不正変更されたことを意味する。いずれの場合においても、タグは、未だ読むことができ、タグが収容している情報は、失われていない。
【0011】
一つの実施例において、上記エレメントが不正変更されたとき、第2のアンテナをオープン状態にすることで、上記結合は壊される。この場合、上記結合は、永遠に壊された状態になる。
【0012】
上記実施例の変形において、上記エレメントが不正変更されたとき、第2のアンテナをオープン状態にすることが、当該アンテナを壊すことになる。
【0013】
代替となる別の実施例において、第2のアンテナは、周囲媒体によって生じるアンテナの劣化、たとえば特定時間後または所定温度を超過したときのアンテナの劣化によって、オープン状態になる。
【0014】
別の実施例において、上記結合は、上記エレメントが不正変更されたときに、第2のアンテナと第1のアンテナとの間の分離によって壊される。この場合、上記結合の破損は、回復可能であり、第2のアンテナを第1のアンテナに接近するように運ぶことで、アンテナ間の上記結合を回復させることができる。
【0015】
第1のアンテナおよび第2のアンテナは、これらのアンテナ間での接触が無い状態で、電磁的に結合することができる。
【0016】
第2の実施例によれば、本発明は、識別および保護用デバイスを備えた識別および保護用集合体であって、前記デバイスに対して読む取り/書き込みのためのシステムに関連する。上記システムは、第1のアンテナによって放射される信号を読み取るように配置された第1の読み取りヘッド、および第2のアンテナによって放射される信号を読み取るように配置された少なくとも1つの第2の読み取りヘッド含む。上記システムは、上記信号が上記2つのアンテナ上で読み取られたときは正の信号を放射し、上記信号が第1のアンテナ上だけで読み取られたときは負の信号を放射するように配置される。
【0017】
本発明の別の利点および特別な特徴は、添付図面を参照してなされる以下の説明から、明解になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1において、識別および保護用デバイス1が、記載されており、完全性を知ることが必要とされているエレメント(未表示)に接続されるようにデザインされている。
【0019】
デバイス1は、簡単にするために便宜上、エレメントがオープン状態にあるか否かを知ることができる物を含めて、完全性の状態にあるエレメントに接続された形で記載されている。
【0020】
デバイス1は、電子識別タグ2を含み、このタグのコンテンツは、遠方から読み取ることができる。タグ2は、たとえばRFIDタグである。バッテリーは、タグに給電するためにタグに接続することができ、この場合、RFIDタグは、能動的タグと呼ばれる。別の実施例によれば、タグ2は、タグのコンテンツを読むために配置された遠方の読み取りデバイスから給電することもできる。この場合、このタグは、バッテリーに接続することはなく、このタグは、受動的タグと呼ばれる。
【0021】
タグ2は、第1のアンテナ3に接続される。第1のアンテナ3は、タグ2のコンテンツが、読み取りデバイスによって遠方から読むことができるように配置される。同様に、コンテンツは、読み取りデバイスを用いてタグ2に書き込むこともできる。この場合、読み取りデバイスは、読み取り/書き込みデバイスとも呼ばれる。
【0022】
第1のアンテナ3は、たとえば電子的にタグ2に接続され、換言すれば、電子的接続が、アンテナ3およびタグ2との間に存在することになる。別の実施例において、アンテナ3は、電磁結合を用いて、タグ2に無接触で結合することができる。
【0023】
第1のアンテナ3は、エレメントがオープン状態のときに原型を維持するエレメントの一部分の上にあるタグ2の近くに置かれる。例えば、コンテナが、胴体とふたを含むとき、タグ2および第1のアンテナ3は、コンテナの胴体上に、完全に配置される。このようにして、タグ2のコンテンツは、エレメントが不正変更されたことがあっても、常に読み取りできることを保証することができる。第1のアンテナは、エレメントの実施例および幾何学的制約にしたがい種々の形状を有することができ、エレメント1は、エレメントに接続されるようにデザインされる。
【0024】
また、デバイス1は、第1のアンテナ3に結合する第2のアンテナ4を含む。図に示す実施例によれば、第2のアンテナ4は、電磁結合を用いて、第1のアンテナ3に結合している。換言すれば、第1のアンテナおよび第2のアンテナの間には、電気的接触は存在しないことになる。電磁結合は、タグ2のコンテンツを表す電磁変調を伝送するために、2つのアンテナ間の共振を適合させ、生成することを含む。
【0025】
第2のアンテナ4は、不正変更可能なエレメントの部分に少なくとも部分的に配列するようにデザインされる。従って、エレメントが、コンテナの胴体とふたとを含む場合、第2のアンテナ4は、少なくとも部分的にふたを越えて延ばせる。第2のアンテナ4は、エレメントの実施例および幾何学的制約にしたがい、種々の形状を有することができる。形状的制約の1つは、第1のアンテナ3に電磁結合することを保証することが、また必要なことである。
【0026】
図に示した実施例に従い、第2のアンテナ4は、第1のアンテナを囲み、第1のアンテナよりもはるかに大きいことである。
【0027】
通常の処理において、エレメントが、オープン状態でなく不正変更が無いとき、タグ2のコンテンツは、第2のアンテナ4及び/又は第1のアンテナ3によって読み取ることができる。このようにして、エレメントが原型を保っていることを示す付加的情報が、得られる。
【0028】
図に示す実施例において、第2のアンテナ4だけが、不正変更可能なエレメントの部分を越えて部分的に延びているとき、第2のアンテナ4は、エレメントが不正変更されたとき、図2に示すような形で破損されるように配置される。このようにして、エレメントが、オープン状態になったとき、タグ2のコンテンツは、第1のアンテナ3だけを用いて読み取ることができ、第2のアンテナ4は破損しており動作することはない。このようにして、エレメントが不正変更されたか否かの付加的情報が得られる。
【0029】
第2のアンテナ4の破損に加えて、第2のアンテナ4による実施例において、第2のアンテナ4を製作した材料の劣化で、オープン状態にすることが可能である。従って、完全性の情報が、保存期間中にエレメントが所定の温度範囲内で保管されていたか否かを知ることを含めるとき、第2のアンテナ4は、エレメントの保存期間中に所定の温度を超えていたとき、劣化する材料から製作することが可能である。この場合、そのような使用に適した材料を選択する。完全性の情報が、有効期限を過ぎたか否かを知ることを含むとき、第2のアンテナ4は、有効期限に一致した特定の期間の後から劣化する材料から製作することが可能である。同様に、アンテナは、エレメントの完全性について何が必要になるかに従い、他の材料4から製作することが可能である。例えば、アンテナは、水性、酸性、または基本の環境等において、劣化するものまたは放射を停止する材料から製作することが可能である。
【0030】
他の実施例において、第2のアンテナ4が、不正変更可能なエレメント部分の全体を越えて延びるとき、エレメントがオープン状態のとき、たとえば、ふたは、オープン状態またはクローズ状態にすることでき、第2のアンテナ4は、第1のアンテナ3およびタグ2から分離されることになる。このとき、2つのアンテナ間の電磁結合は壊され、タグ2のコンテンツは、第1のアンテナ3だけを用いて読み取ることができるようになる。このことは、エレメントが不正変更されたことを示す付加的情報を提供する。
【0031】
とにかく、タグ2のコンテンツは、未だ第1のアンテナを用いて読み取ることができ、タグ2のコンテンツは、エレメントが不正変更されたときでも失われていない。
【0032】
他の実施において、第2のアンテナ4に追加して、別のアンテナを提供することも可能である。これらのアンテナは、互いに結合しており、エレメントが不正変更されたときに、上述したように壊れる結合に配置することができる。例えば、エレメントが、オープン状態である等の条件のときに、壊れるように配置されたアンテナに加えて、温度に応じて劣化するアンテナを供給することは可能である。
【0033】
次に、以上で説明したと同様な識別および保護用集合体、およびこのデバイスのための読み取り/書き込みのシステムについて記述する。この読み取り/書き込みのシステムは、第1のアンテナによって放射される信号を読み取るように配置された第1の読み取りヘッドを含む。更に、この読み取り/書き込みのシステムは、第2のアンテナによって放射される信号を読み取るように配置された少なくとも1つの第2の読み取りヘッドを含む。そして、このデバイスは、第1のアンテナによって放射される信号と第2のアンテナによって放射される信号とを、同時に読み取ることができる。このシステムは、上記信号が上記2つのアンテナ上で読まれたときは正の信号を放射し、上記信号が第1のアンテナ上だけで読まれたときは負の信号を放射するようにデザインされている。上記の正の信号は、たとえば2つの信号が読まれたときに点灯するダイオードであり、上記の負の信号は、点灯しないダイオードである。システムで放射される信号は、また処理システムにも伝送される。
【0034】
一実施例において、システムは、タグに完全性の情報を書くために、書き込みヘッドを用いて、タグ2に正または負の信号を伝送するように配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】エレメントが原型を保つ状態での、本発明による識別および保護用デバイスを表す図である。
【図2】エレメントが不正変更されたときの図1のデバイスを表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
完全性を知る必要があるエレメントに接続されるようにデザインされた、識別および保護用デバイスであって、
前記デバイスは、電子識別タグ(2)のコンテンツを遠方から読み取りできるように配置された第1のアンテナ(3)に接続された電子識別タグ(2)を含み、前記デバイスは、前記第1のアンテナ(3)に結合する少なくとも1つの第2のアンテナを含むことを特徴とし、
前記第2のアンテナは、遠方から前記タグ(2)のコンテンツを読み取りできるように配置され、前記第2のアンテナは、前記エレメントが不正変更されたときに前記第1のアンテナ(3)と前記第2のアンテナとの間の結合が壊れるように、前記エレメントに接続されるようにデザインされた、デバイス。
【請求項2】
前記タグ(2)および前記第1のアンテナ(3)は、前記エレメントの完全性が常に維持される部分に配置されるようにデザインされることを特徴とし、前記第2のアンテナ(4)は、前記エレメントの不正変更可能な部分を、少なくとも部分的に越えて延びる請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記エレメントに不正変更がなされたとき、前記第2のアンテナ(4)をオープン状態にすることで、前記結合が壊されることを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記アンテナを壊すことで、前記第2のアンテナ(4)がオープン状態になることを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第2のアンテナ(4)は、周囲媒体の性質に応じて前記アンテナの材料の劣化により、オープン状態になることを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記結合は、前記エレメントが不正変更されたときに前記第2のアンテナ(4)と前記第1のアンテナ(3)との間の分離によって壊され、前記アンテナ間を接近させることで、前記アンテナ間の前記結合が回復されることを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1のアンテナ(3)および前記第2のアンテナ(4)は、前記アンテナ間での接触が無い状態で、電磁的に結合していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記タグ(2)の前記コンテンツは、前記エレメントが不正変更されていないときは、前記第2のアンテナ(4)及び/又は前記第1のアンテナ(3)を用いて読み取られ、前記エレメントが不正変更されたときだけ、前記第1のアンテナ(3)を用いて読み取られることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記電子識別タグ(2)が、前記タグに給電するバッテリーに接続されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記電子識別タグ(2)が、前記タグのコンテンツを読み取るために配置された遠隔の読み取りデバイスによって給電されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の識別および保護用デバイスを備えた、識別および保護用集合体であって、
前記デバイスに対して読み取り/書き込みのためのシステムを含み、
前記システムは、前記第1のアンテナ(3)によって放射される信号を読み取るように配置された第1の読み取りヘッド、および前記第2のアンテナ(4)によって放射される信号を読み取るように配置された少なくとも1つの第2の読み取りヘッドを含み、
前記システムは、前記信号が前記2つのアンテナ上で読み取られたときは正の信号を放射し、前記信号が前記第1のアンテナ(3)上だけで読み取られたときは負の信号を放射するように配置されたことを特徴とする集合体。
【請求項12】
前記システムは、前記タグに完全性情報を書く込むために、書き込みヘッドを用いて、前記タグ(2)に正または負の信号を伝送するように配置されていることを特徴とする請求項11に記載の集合体。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−512926(P2009−512926A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536085(P2008−536085)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際出願番号】PCT/FR2006/002350
【国際公開番号】WO2007/045766
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508154427)
【出願人】(508120651)
【Fターム(参考)】