説明

定期券更新装置および定期券更新方法

【課題】 外部との通信手段を有していない路線バスにおいて、新たな通信手段を設けることなく、定期券の更新処理を可能にする。
【解決手段】 バスの運行開始前、運転手が営業所装置21のICカードリーダライタ42に乗務員証26をかざすと、更新要求のあった定期券のカードIDと更新条件とが乗務員証26に記録される。乗務員がバスに乗車する際、ICカードリーダライタ52に乗務員証26をかざすと、更新要求のあるカードIDと更新条件とが定期券更新装置28の記憶部53に記憶される。利用者がバスに乗車した際、定期券11がICカードリーダライタ52にかざされると、読み取られたカードIDが更新要求されていると、その定期券11の有効期限を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は路線バスや鉄道などの交通機関で利用される定期券に対し、その有効期間を更新するための定期券更新装置および定期券更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には定期券利用者は、定期券を購入する際、所定の手続きを踏むために、定期券を発行できる装置を有する営業所(販売所)の窓口に出向いて購入を申請する。その申請に基づいて、申請条件が適合すれば、係員は定期券発行装置で定期券を発行する。定期券は、有効期間が1,3,6,12ヶ月等、利用条件が普通、学生、福祉等の種類がある。
【0003】
定期券の有効期限が切れる前からの更新、あるいは休日等があれば、期限が切れてからの更新(以下これら両者を更新と記す)を行うために定期券販売所に出向いて手続きする。この際に、更新分の金額をクレジットあるいは現金で支払う行為がなされる。この更新手続きには、かなり時間を要した。すなわち定期券発行装置が高額なためにこれを設けた販売所が少なく、列をなして待つ人で時間を要していた。
【0004】
その対策として、定期券の有効期間の更新を行う旨の情報をその定期券の識別情報とともに外部、例えば駅装置から非接触式自動改札機に送信し、それらの情報を記憶しておき、前記記憶された識別情報と非接触式自動改札機において定期券から読み取られた識別情報とが一致すると、その定期券の有効期間の更新を行うものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、路線バスのように、駅装置と各車両との通信手段を有していない場合においても定期券の有効期間の更新が行えるものとして、予め定期券の有効期間の更新を行う旨の情報と、その定期券の識別情報とを着脱自在なメモリカートリッジに記憶しておき、バスの運行開始時に当該メモリカートリッジを路線バス内の運賃精算装置にセットすることにより、定期券更新に必要な情報を運賃精算装置に転送し、転送された識別情報と運賃精算装置において定期券から読み取られた識別情報とが一致すると、その定期券の有効期間の更新を行うものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2001−283262号公報
【特許文献2】特開2002−133450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
すべての路線バスに対し、駅装置との通信が可能となる通信手段を設けることは、コストの面で実現が難しい。また、メモリーカートリッジを介して定期券の有効期間の更新を行う旨の情報と、その定期券の識別情報とを各路線バスに転送する方式は、オンライン通信手段を設置するより安価にできるというメリットはあるものの、路線バスに搭載される運賃精算装置をメモリカートリッジ接続可能にしておく必要があるため、バス車両が多い場合、コスト増という問題が生じていた。
【0007】
そこで本発明では、外部との通信手段を有していない路線バスまたは駅等において、新たな通信手段を設けることなく、定期券の更新処理に必要な情報を外部とやり取りできる定期券更新装置および定期券更新方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の定期券更新装置は、更新要求のある定期券の更新を行う定期券更新装置であって、ICカードに記録された更新要求のある定期券識別情報および更新条件と、定期券に記録された定期券識別情報とを読み取る読み取り手段と、前記ICカードから読み取った定期券識別情報および更新条件を記憶する記憶手段と、前記定期券から読み取った定期券識別情報が、前記記憶手段に記憶された定期券識別情報と一致するか否かを判定し、その定期券識別情報が一致すると、更新要求されている定期券と判定し、前記記憶手段に記憶された更新条件に応じた内容に定期券の記録情報を更新する手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の定期券更新装置は、請求項1に記載の定期券更新装置において、定期券の更新処理を行った場合、更新処理結果を該当する定期券識別情報と対応させて前記記憶手段に記憶することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の定期券更新方法は、更新要求のある定期券の更新を行う定期券更新方法であって、定期券管理装置は、定期券ごとにその記録情報をデータベースで管理するとともに、更新したい定期券の定期券識別情報と更新条件とをICカードに記録し、かつ、ICカードに記録された更新処理結果を読み取り、更新処理された定期券の更新条件に基づき、定期券更新に対する精算処理を行い、定期券更新装置は、ICカードに記録された更新要求のある定期券識別情報と更新条件とを読み取ると、その定期券識別情報と更新条件とを記憶手段に記憶するとともに、当該記憶手段に記憶された定期券識別情報に対応する更新処理結果をICカードに記録し、定期券に記録された定期券識別情報を読み取ると、その定期券識別情報が前記記憶手段に更新要求として記憶されているか否かを調べ、更新要求として記憶されていれば、その定期券の記録情報をその更新条件に更新するとともに、その更新処理結果を定期券識別情報と対応させて前記記憶手段に記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の定期券更新装置によれば、定期券から読み取った定期券識別情報が、ICカードから読み取った更新要求のある定期券識別情報と一致すると、更新条件に応じた定期券の更新処理がされる。したがって、新たな通信手段を設けることなく、更新要求のある定期券に対する更新処理が可能となる。
【0012】
請求項2に記載の定期券更新装置によれば、請求項1に記載の定期券更新装置の効果に加えて、定期券の更新処理を行った場合、更新処理結果が該当する定期券識別情報と対応して記憶手段に記憶される。したがって、更新処理の完了した定期券と完了していない定期券とを識別することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の定期券更新方法によれば、定期券ごとにその記録情報がデータベースで管理され、更新したい定期券の定期券識別情報と更新条件とが定期券管理装置でICカードに記録される。さらに、ICカードに記録された更新処理結果が読み取られると、更新処理された定期券の更新条件に基づき、定期券更新に対する精算処理がされる。また、当該ICカードが定期券更新装置で読み取られると、その定期券識別情報と更新条件とが記憶手段に記憶され、定期券から読み取った定期券識別情報が、前記記憶手段に記憶された更新要求のある定期券識別情報と一致すると、更新条件に応じた定期券の更新処理がされ、その更新処理結果が定期券識別情報と対応して前記記憶手段に記憶される。
【0014】
以上述べたように、本発明によれば、定期券から読み取った定期券識別情報が、ICカードから読み取った更新要求のある定期券識別情報と一致すると、更新条件に応じた定期券の更新処理がされる。したがって、新たな通信手段を設けることなく、更新要求のある定期券に対する更新処理が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を路線バスの定期券更新装置に具体化した一実施形態を説明する。図1は路線バスの定期券11の記録内容を示したものである。定期券11は読み書き可能な記録媒体、例えば非接触形式のICカードにより構成され、利用者の氏名、利用路線名、利用区間、つまり乗降する両端の駅名、必要に応じて乗継又は経由駅名、有効期日(○年○月○日−○年○月○日)、有効期間(○カ月)、金額、定期券11の識別情報(カードID)、年令、性別、発行会社名などが記録される。なお、定期券11を初めて購入する場合は、従来の購入方法と同様に、例えば利用する交通機関の定期券販売所に出向いて所定の手続きを行うことにより定期券を購入することができる。
【0016】
発行された定期券11の各種情報は、定期券管理装置14で管理される。図2に示すように、定期券販売所の定期券発行装置12をインターネットなどのデータ通信網13を介して定期券管理装置14と接続し、定期券11を発行した際に得たその定期券11に関する情報を定期券管理装置14へ送信し、定期券管理装置14は各定期券11ごとにデータベース15で管理する。データベース15には例えば図3に示すように、定期券11ごとに、発行会社名、利用者氏名、その利用者の識別番号(UID、例えば暗証番号)、カードID、利用路線、利用区間、種別、期間、有効期日、金額、発行日、年令、性別、発行場所、住所、電話番号、口座番号、更新要求受付日、更新条件として更新開始日と期間、更新日時、更新路線、駅などを記録する。口座番号は定期券11の更新に対する金額をその利用者の銀行口座から引き落すために、定期券11を購入した際に予め申告してもらったものである。銀行口座番号の代りにクレジットカード番号などでもよい。
【0017】
定期券11の有効期限が近づき、定期券11の更新をしたい場合は、その利用者は定期券管理装置14に通信手段により更新要求をする。例えば、図2に示すように利用者16は電話機17により、利用している交通機関の申請部署、例えば営業所18、旅行会社などの取り扱い店19、定期券販売所などへ電話して更新要求をする。この更新要求は利用者名、暗証番号、更新条件(○年○月○日から○カ月、あるいは単に○カ月)などを伝えて行う。この電話を受けた者は、その営業所装置21あるいは取扱店装置22にその更新要求をデータ入力して、定期券管理装置14へデータ通信網13を介して送信する。
【0018】
図4に定期券管理装置14の構成を示す。定期券管理装置14はコンピュータによりプログラムを実行させて動作させる構成とされる。即ち、データ通信網13を介して定期券発行装置12などとの通信を行う送受信部31、データベース15、記憶部33、プログラムが格納されたメモリ34、入力手段35、CPU36がバス37に接続され、さらに、時計38がが前記バス37に接続され、CPU36がメモリ34内のプログラムを実行して動作する。
【0019】
図5に定期券管理装置14の処理手順を説明する。定期券管理装置14は、定期券の更新要求を受信すると(図5A、S1)、更新要求に対する審査を行い、更新要求情報中の利用者名又は/及び暗証番号をキーとしてデータベース15を検索して、その定期券に関する情報記録欄中の更新要求受付日の項にその受付け日を、更新条件の更新開始日の項、期間の項にそれぞれの受信対応情報の内容をそれぞれ記録する(S2)。なお有効期限が切れた翌日から更新開始とする場合は、更新開始日を省略してもよい。休日などで有効期限が切れた後から次の有効期限を設定したい場合は更新開始日も送る。なお、電話による更新要求の代わりに、利用者がパーソナルコンピュータ25を操作して、前記更新要求情報を入力して、定期券管理装置14へ直接送信してもよい。
【0020】
定期券管理装置14は定期的、例えば1日に1回、所定時刻になると(図5B、S1)データベース15中の更新要求受付日の項を検索し、これに日付が記録されている各定期券識別情報(カードID)と更新条件を読み出し(S2)、これらをデータ通信網13又は専用回線を通じて各営業所装置21へ送信する(S3)。前記更新要求を受付けたカードIDと更新条件の他に、利用路線も読み出し、これらを送信するようにしてもよい。あるいは営業所により統括する利用路線が異なる場合は、その営業所ごとの利用路線ごとに読み出したカードIDと更新条件を分けて、これら分けたものを対応する営業所装置21に送信してもよい。なお、更新要求を受付けるごとにそのカードIDと更新条件を各営業所装置21又は利用路線の営業所装置21へ送信するようにしてもよい。
【0021】
定期券管理装置14は図5Cに示すように、後述する更新済カードデータを受信すると(S1)、これを記憶部33に一時記憶し(S2)、その後、データベース15中のそのカードIDの欄中の更新日時項に更新した日時を、更新路線、駅項に更新した路線/停留所、必要に応じて車両番号を記録し、また必要に応じて更新要求受付日の項の日付を消去して、この定期券11は更新処理が終了したことのフラグとする(S3)。次にその口座番号の項を読み出し、必要に応じて住所、氏名も読み出し、これらをその銀行に送り、定期券更新に基づく料金の引き落し要求を行う、つまり決済処理を行う(S4)。なお前記更新要求受付日の消去はこの決済処理後でもよい。またこの決済処理は更新要求を受付けた時に行ってもよい。あるいは更新要求を受付けた時、又は更新処理が終了した時に、利用者に更新料金の請求書を送ってもよい。特に会社など集団に対しては、予めまとまった金額を受取っておき、その集団に属する利用者の定期券の更新料を、その受取った金額から引き落してもよく、あるいは定期的にそれまでの更新料金を合計してその集団に請求するようにしてもよい。
【0022】
次に、図6に営業所装置21の構成を示す。営業所装置21は例えばコンピュータによりプログラムを実行させて動作させる構成とされる。即ち、定期券管理装置14などとの通信を行う送受信部41、ICカードリーダライタ42、記憶部43、プログラムが格納されたメモリ44、入力手段45、CPU46がバス47に接続され、CPU46がメモリ44内のプログラムを実行して動作する。
【0023】
営業所装置21の処理手順を図7に示す。定期券管理装置14から送信された前記カードIDとその更新条件、つまり更新要求データを送受信部41で受信すると(図7A、S1)、更新要求データを記憶部43に一時記憶する(S2)。
【0024】
バスの運転手(乗務員)はその日の運行を始める前に、バス営業所18の営業所装置21のICカードリーダライタ42に乗務員証26を読み取らせる。乗務員証26はICカードによって構成されており、ICカードリーダライタ42に乗務員証26がかざされると(図7B、S1)、前記記憶部43に記憶されている更新要求データを乗務員証26内の更新要求記憶領域26aに記憶する(S2)。そして、前記更新要求データが記憶された乗務員証26を持ってバス車両27に乗車し、後述するバス車両内の定期券更新装置28に乗務員証26を読み取らせる。
【0025】
バスの運転手がその日の運行を終えると、バス営業所18の営業所装置21のICカードリーダライタ42に乗務員証26を読み取らせる。ICカードリーダライタ42に乗務員証26がかざされると(図7C、S1)、乗務員証26内の更新要求記憶領域26aに記憶された更新済データ(定期券の更新された日時、更新された路線および停留所データ)を読取り(S2)、読み取った更新済データを記憶部43に記憶する(S3)。その後、更新要求記憶領域26aから読み取った更新済データを送受信部31を通じて定期券管理装置14へ送信する(S4)。
【0026】
次に、定期券更新装置28の構成を図8に示す。なお、この実施形態においては、定期券更新装置28はカード式乗車券処理装置と兼用されるものとする。即ち、定期券更新装置28は、定期券の更新処理とカード式乗車券による運賃精算処理を行うもので、定期券11および乗務員証26に対しその記録情報の読み出し、書替えを行うICカードリーダライタ52、記憶部53、プログラムが格納されたメモリ54、CPU56がバス57に接続され、さらに、時計58、表示部59が前記バス57に接続され、CPU56がメモリ54内のプログラムを実行して動作する。
【0027】
乗務員証26内の更新要求記憶領域26aは例えば図9に示すように、各カードIDごとに更新条件、更新日時、更新路線又は停留所および更新処理した車両番号をそれぞれ記録する項が設けられ、バスの運行前に、営業所において乗務員証26をICカードリーダライタ42にかざした際には、カードIDと更新条件のみが記録されている。
【0028】
定期券更新装置28の処理手順を図10に示す。バスの運転手は、営業所装置21のICカードリーダライタ42を介して更新要求データが記憶された乗務員証26を持ってバス車両27に乗車する。乗務員証26が定期券更新装置28(この例ではカード式乗車券処理装置と兼用)のICカードリーダライタ52にかざされると(図10A、S1)、乗務員番号と更新要求データが読取られ(S2)、乗務員証に定期券の更新要求データが書込まれていると(S3)、その更新要求データが定期券更新装置28の記憶部53に記憶される(S4)。
【0029】
定期券更新装置28、この例ではカード式乗車券処理装置28に対し、均一区間料金制の定期券(そのバス路線の何れの停留所から乗車して何れの停留所で降車しても同一運賃)は一般にバス乗車時にのみ定期券11をICカードリーダライタ52にかざして(図10B、S1)、定期券11の記録情報を読み取らせる(S2)。多区間料金制の定期券(乗車している区間表に応じた運賃を支払う)は乗車時と降車時に定期券11をICカードリーダライタ42にかざして定期券11の記録情報を読み取らせる。
【0030】
定期券11から読み取ったカードIDと一致するカードIDが記憶部53に記憶されているか否かを調べ(S3)、一致するものがなければ通常の処理、つまりその定期券11が有効なものであるかを調べる(S4)。ステップS3で一致するものがあれば、その一致したカードIDの更新条件に、その定期券11の記録情報をICカードリーダライタ52で書替える(S5)。つまりこのようにして定期券11の有効期限の更新が、定期券11を利用して乗車する際に行う通常の動作、この例ではICカードリーダライタ52に定期券11をかざすという動作のみで自動的に行える。
【0031】
この更新した定期券のカードIDと、更新した日時と、更新した路線又は停留所とを記憶部43に一旦記憶し(S6)、通常処理(S4)に移る。従って乗車時に、定期券11の有効期限が切れていても、更新条件の更新開始日がその日以前であれば、その定期券11は有効なものとして処理される。
【0032】
路線バスの運行を終えた運転手がバスから降車する際、乗務員証26をICカードリーダライタ52にかざすと(図10C、S1)、乗務員証26の乗務員番号が読取られ(S2)、前記記憶部53に定期券の更新した日時、更新した路線および停留所データが記憶されていると(S3)、乗務員証26の更新要求記憶領域26aのそのカードIDに対応するエリアに更新済データ、即ち、定期券の更新した日時、更新した路線および停留所データが記憶され(S4)、前記記憶部53に記憶されていたカードID、更新条件および更新済データはクリアされる(S5)。
【0033】
上述したように、定期券管理装置14は更新要求のあった定期券のカードIDと更新条件とを営業所装置21に送信し、営業所装置21は送信された定期券のカードIDと更新条件とをICカードリーダライタ42を介して乗務員証26に記録し、定期券更新装置28はICカードリーダライタ52に乗務員証26がかざされると、乗務員証26に記録された更新要求のあった定期券のカードIDと更新条件とを読み取り、記憶部53に記憶する。乗客がバスに乗車する際、カード式乗車券処理装置28のICカードリーダライタ52に定期券11がかざされると、記憶部53を参照して、その定期券のカードIDが記憶部53に記憶されているか確認される。一致するカードIDが記憶部53に記憶されていなければ通常の定期券による精算処理が行われ、一致するものがあれば、その一致したカードIDの更新条件に、その定期券11の記録情報をICカードリーダライタ52で書替える。つまり、ICカードからなる乗務員証26を介して更新要求のあった定期券11のカードIDと更新条件とを定期券更新装置に送信することにより、メモリカートリッジの読み取り/書き込み手段を追加することなく、従来のカード式乗車券処理装置に設けられているICカードリーダライタを用いてバス車内での定期券の更新処理が可能となる。
【0034】
また、更新済データ(定期券の更新された日時、更新された路線および停留所データ)を定期券更新装置28のICカードリーダライタ52によって乗務員証28に記録し、営業所装置21でその乗務員証に記録された更新済データを読み取り、その更新済データを定期券管理装置14に送信することにより、メモリカートリッジの読み取り/書き込み手段を追加することなく、従来のカード式乗車券処理装置に設けられているICカードリーダライタを用いて定期券の更新処理結果を定期券管理装置14に送信することができる。
【0035】
なお、ステップ図10CのステップS5の記憶部53のクリアについては、運行終了の都度行うのではなく、必要に応じて、例えば、図示しないクリアボタンが押されるまでデータを保存するようにしてもよい。また、多区間用定期券11においては、乗車側カード式乗車券処理装置のICカードリーダライタ52に定期券11をかざし、その記録情報を読み取らせ、バス車両27内の図示しないデジタル運賃表示器から送られたバス車両27の現在の停留所情報や時計58からの現在の日時情報などに基づき、定期券11の有効性が判定される。降車時に降車側カード式乗車券処理装置28のICカードリーダライタ52に定期券11をかざし、その記録情報を読み取らせ、降車側カード式乗車券処理装置28は図8に示した構成を備え、図10に示した処理を行い、つまり更新要求のあるカードIDが乗務員証26に記録してあれば更新処理を行い、通常処理(図10B、S4)における有効性判定は乗車側の処理と同様に行う。
【0036】
また、上述した実施形態では、更新要求データを乗務員証26に記録する例を記載したが、乗務員証とは別の専用のICカードを用いるようにしてもよい。また、乗務員証26に運行時の乗降客データや、運行に要した時間などを記録するようにしてもよい。この場合であっても、メモリカートリッジの読み取り/書き込み手段を追加することなく、従来のカード式乗車券処理装置に設けられているICカードリーダライタを用いてバス車内での定期券の更新処理が可能となる。
【0037】
また、定期券の更新を行う場合、利用者が定期券管理装置14に更新要求する例を記載したが、定期券購入時、予め自動更新する旨を選択することにより、更新中止の要求がない限り、定期券の有効期間が切れないよう自動的に更新要求がされるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】定期券11の記録内容の例を示す図。
【図2】この発明方法が適用されるシステム構成の例を示す図。
【図3】定期券管理装置14のデータベース15の記録情報の例を示す図。
【図4】定期券管理装置14の構成例を示す図。
【図5】定期券管理装置14の各種の処理手順の例を示す流れ図。
【図6】営業所装置21の構成例を示す図。
【図7】営業所装置21の処理手順の例を示す流れ図。
【図8】この発明の定期券更新装置28の構成例を示す図。
【図9】乗務員証26の更新要求記憶領域26aの記憶内容例を示す図。
【図10】この発明の定期券更新装置28の処理手順の例を示す流れ図。
【符号の説明】
【0039】
11 定期券、12 定期券発行装置、14 定期券管理装置、15 データベース、
21 営業所装置、26 乗務員証、28 定期券更新装置、42 営業所装置におけるICカードリーダライタ、52 定期券更新装置にけるICカードリーダライタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
更新要求のある定期券の更新を行う定期券更新装置であって、
ICカードに記録された更新要求のある定期券識別情報および更新条件と、定期券に記録された定期券識別情報とを読み取る読み取り手段と、
前記ICカードから読み取った定期券識別情報および更新条件を記憶する記憶手段と、
前記定期券から読み取った定期券識別情報が、前記記憶手段に記憶された定期券識別情報と一致するか否かを判定し、その定期券識別情報が一致すると、更新要求されている定期券と判定して前記記憶手段に記憶された更新条件に応じた内容に定期券の記録情報を更新する手段と、
を備えたことを特徴とする定期券更新装置。
【請求項2】
請求項1に記載の定期券更新装置において、定期券の更新処理を行った場合、更新処理結果を該当する定期券識別情報と対応させて前記記憶手段に記憶することを特徴とする定期券更新装置。
【請求項3】
更新要求のある定期券の更新を行う定期券更新方法であって、
定期券管理装置は、定期券ごとにその記録情報をデータベースで管理するとともに、更新したい定期券の定期券識別情報と更新条件とをICカードに記録し、かつ、ICカードに記録された更新処理結果を読み取り、更新処理された定期券の更新条件に基づき、定期券更新に対する精算処理を行い、
定期券更新装置は、ICカードに記録された更新要求のある定期券識別情報と更新条件とを読み取ると、その定期券識別情報と更新条件とを記憶手段に記憶するとともに、当該記憶手段に記憶された定期券識別情報に対応する更新処理結果をICカードに記録し、
定期券に記録された定期券識別情報を読み取ると、その定期券識別情報が前記記憶手段に更新要求として記憶されているか否かを調べ、更新要求として記憶されていれば、その定期券の記録情報をその更新条件に更新するとともに、その更新処理結果を定期券識別情報と対応させて前記記憶手段に記憶することを特徴とする定期券更新方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−31061(P2006−31061A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204030(P2004−204030)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】