説明

定着装置、画像形成装置およびプログラム

【課題】複数のレーザ光でトナーを定着させる際に、レーザ光が照射される領域における各レーザ光の強度の差を抑える。
【解決手段】レーザ装置21は、レーザ光を用紙Pが通過する位置に照射する。レーザ光によりトナーが定着した用紙Pは、光源41から光が照射される。用紙Pにおいてトナーが定着した部分で反射した光は、センサ部42で受光される。センサ部42は、受光した光の光量に対応した信号を制御部50へ出力する。制御部50は、センサ部42から供給される信号が表す光量に応じてレーザ装置21が発するレーザ光の強度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置、画像形成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
定着の温度を制御する画像形成装置として、特許文献1に開示された画像形成装置がある。この画像形成装置は、記録体において当該記録体の搬送方向と交差する方向へ複数のテスト画像を並べて形成し、定着後の各テスト画像について、記録体の裏面側から光を照射する。また、画像形成装置は、各テスト画像を透過した透過光の強度を測定し、測定結果に基づいて、定着器の加熱ローラの一部または全部の温度を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−284620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、複数のレーザ光でトナーを定着させる際に、レーザ光が照射される領域における各レーザ光の強度の差を抑える技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る定着装置は、レーザ光を発生する複数のレーザ素子と、前記複数のレーザ素子で発生したレーザ光を、トナー像が転写された記録媒体が搬送される予め定められた領域内へ照射する照射部と、前記領域の長手方向の一端側から他端側にわたって前記レーザ光によりトナー像が定着した調整用の記録媒体が搬送される領域内へ光を照射する光源と、前記光源の光が照射される領域内を通過して前記調整用の記録媒体のトナー像で反射した前記光源の光を受光し、受光した光に対応した信号を出力する第1センサ部と、前記複数のレーザ素子を、前記第1センサ部が出力した信号に基づいて制御し、前記レーザ素子が発生するレーザ光の強度を調整する調整部とを備える。
【0006】
本発明の請求項2に係る定着装置は、前記トナー像が、複数の矩形を配置した像である構成を備える。
本発明の請求項3に係る定着装置は、前記トナー像の階調が中間調である構成を備える。
本発明の請求項4に係る定着装置は、前記レーザ光が照射される前の前記調整用の記録媒体のトナー像で反射した光を受光し、受光した光に対応した信号を出力する第2センサ部と、前記第1センサ部が出力した信号を前記第2センサ部が取得した信号に基づいて補正する補正部と、を備え、前記調整部は、前記補正部で補正された後の信号に基づいて前記複数のレーザ素子を制御する構成を備える。
本発明の請求項5に係る定着装置は、前記複数のレーザ素子の位置を調整する位置調整部を備える。
【0007】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、記録媒体にトナー像を転写する画像形成部と、レーザ光を発生する複数のレーザ素子と、前記複数のレーザ素子で発生したレーザ光を、トナー像が転写された記録媒体が搬送される予め定められた領域内へ照射する照射部と、前記領域の長手方向の一端側から他端側にわたって前記レーザ光によりトナー像が定着した調整用の記録媒体が搬送される領域内へ光を照射する光源と、前記光源の光が照射される領域内を通過して前記調整用の記録媒体のトナー像で反射した前記光源の光を受光し、受光した光に対応した信号を出力するセンサ部と、前記複数のレーザ素子を、前記センサ部が出力した信号に基づいて制御し、前記レーザ素子が発生するレーザ光の強度を調整する調整部とを備える。
【0008】
本発明の請求項7に係るプログラムは、レーザ光を発生する複数のレーザ素子と、前記複数のレーザ素子で発生したレーザ光を、トナー像が転写された記録媒体が搬送される予め定められた領域内へ照射する照射部と、前記領域の長手方向の一端側から他端側にわたって前記レーザ光によりトナー像が定着した調整用の記録媒体が搬送される領域内へ光を照射する光源と、前記光源の光が照射される領域内を通過して前記調整用の記録媒体のトナー像で反射した前記光源の光を受光し、受光した光に対応した信号を出力するセンサ部とを備える装置に設けられたコンピュータを、前記複数のレーザ素子を、前記センサ部が出力した信号に基づいて制御し、前記レーザ素子が発生するレーザ光の強度を調整する調整手段として機能させるための構成を備える。
【発明の効果】
【0009】
請求項1,6,7の構成によれば、本構成を有していない場合に比較して、複数のレーザ光でトナーを定着させる際に、レーザ光が照射される領域における各レーザ光の強度の差を抑えることができる。
請求項2の構成によれば、本構成を有しない場合に比べ、トナー像で反射する光について、トナー像を形成する際に起こるトナー像の濃度のバラつきによって受ける影響を低減することができる。
請求項3の構成によれば、本構成を有しない場合に比べ、トナー像で反射する光について、トナー像を形成する際に起こるトナー像の濃度のバラつきによって受ける影響を低減することができる。
請求項4の構成によれば、本構成を有しない場合に比べ、トナー像で反射する光について、トナー像を形成する際に起こるトナー像の濃度のバラつきによって受ける影響を低減することができる。
請求項5の構成によれば、レーザ素子の位置を制御し、トナー像に照射されるレーザ光の強度を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の構成を示した模式図。
【図2】レーザ装置21を搬送方向上流側から見た図。
【図3】ベルト22をレーザ装置21の側から見た図。
【図4】調整用画像の例を示した図。
【図5】制御部50で実現する機能の構成を示したブロック図。
【図6】制御部50が行う処理の流れを示したフローチャート。
【図7】変形例に係る調整用画像の例を示した図。
【図8】変形例における照射ユニット210a〜210eの配置位置を示した図。
【図9】変形例における照射ユニット210a〜210eの配置位置を示した図。
【図10】変形例に係る定着装置20Aの構成を示した模式図。
【図11】変形例に係る定着装置20Bの構成を示した模式図。
【図12】変形例におけるレーザ素子の制御の構成を示した図。
【図13】調整用画像の光沢と調整用画像で反射した光の光量の分布を示した図。
【図14】調整用画像の光沢と調整用画像で反射した光の光量の分布を示した図。
【図15】変形例に係る画像形成装置1の構成を示した模式図。
【図16】変形例に係る機能の構成を示したブロック図。
【図17】レーザユニットの位置や傾きの調整を説明するための図。
【図18】変形例に係る機能の構成を示したブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の構成を示した模式図である。画像形成装置1は、画像形成部10、定着装置20及び複数のロール30を備える。また、画像形成装置1は、制御部50、記憶部51、操作部52、通信部53及び表示部54を備える。画像形成装置1は、画像が形成される記録媒体の一例である用紙Pに電子写真方式によって画像を形成する装置であり、本発明に係る画像形成装置の一例である。画像形成装置1は、画像を表す画像データを外部から受け取り、受け取った画像データに基づいて用紙Pに画像を形成する。また、画像形成装置1は、予め記憶した画像を用紙Pに形成する。なお、用紙Pは、例えば、A列やB列などの予め定められた大きさの紙であるが、用紙Pのサイズは、これらのサイズに限定されるものではない。用紙Pは、用紙Pの搬送方向に連続した連続紙であってもよい。また、用紙Pの材質も、特定のものに限定されるものではない。
【0012】
ロール30は、用紙Pを搬送するロールである。ロール30は、図示せぬモータにより回転させられ、用紙Pを用紙の搬送路Sに沿って矢印Aの方向へ送り、用紙Pを画像形成部10や定着装置20へ搬送する。なお、搬送路Sについては、以下の説明では、用紙Pが搬送される方向である矢印Aの方向を下流、矢印Aとは反対の方向を上流と称する。
【0013】
画像形成部10は、用紙Pにトナー像を転写するものである。画像形成部10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色毎に画像形成ユニット100Y、100M、100C、100Kを備える。画像形成ユニットは、搬送方向上流側から画像形成ユニット100K、画像形成ユニット100C、画像形成ユニット100M、画像形成ユニットYの順番で並んでいる。画像形成部10は、画像データに基づいて色毎にトナー像を形成し、形成したトナー像を用紙Pに転写する。なお、図1に示した構成要素のうち、符号の末尾にアルファベット(Y、M、C又はK)を付したものは、当該構成要素が前記4色のいずれかに対応するものであることを示している。各ユニットは、対応する色が異なる以外は、構成や機能は共通しているため、画像形成ユニットの構成については、画像形成ユニット100Kを例にして説明する。画像形成部10は、本発明に係る画像形成部の一例である。
【0014】
画像形成ユニット100Kは、感光体101K、帯電装置102K、露光装置103K、現像装置104K、ロール105K、及びクリーニング装置106Kを備える。感光体101Kは、円筒状で表面に光導電層が形成された部品である。感光体101Kは、図示せぬモータにより回転させられ、表面にトナー像が形成される。帯電装置102Kは、コロナ放電によって感光体101Kの表面を帯電させる装置である。露光装置103Kは、光を発する光源を備えており、画像データに基づいて感光体101Kへ光を照射し、画像データに対応した静電潜像を感光体101Kに形成する。現像装置104Kは、感光体101Kに形成された静電潜像を現像する装置であり、黒色のトナーで静電潜像を現像する。円筒状のロール105Kは、搬送路Sを挟んで感光体101Kに対向している。ロール105Kは、感光体101Kの表面にあるトナー像を、感光体101Kとロール105Kとの間に搬送された用紙Pへ転写する。クリーニング装置106Kは、用紙Pに転写されずに感光体101Kの表面に残留したトナーを除去する装置である。
【0015】
次に定着装置20について説明する。定着装置20は、画像形成部10において用紙Pに転写されたトナー像を用紙Pに定着させる装置である。定着装置20は、画像形成部10より搬送路Sの下流側に設けられており、レーザ装置21、ベルト22、ロール23及びロール24を備える。定着装置20は、本発明に係る定着装置の一例である。
ロール23とロール24は、ベルト22が掛け渡されるロールである。ロール24は、図示せぬモータによって回転させられ、ベルト22を矢印Bの方向へ回転させる。ロール23は、ベルト22支持し、ベルト22の回転に伴って回転する。ベルト22は、トナー像が転写された用紙Pを搬送する無端ベルトである。用紙Pは、ベルト22に載せられて移動し、搬送路Sの下流側へ送られる。
【0016】
レーザ装置21は、用紙Pに転写されているトナーを加熱するためのレーザ光を発生するものであり、搬送路Sに対向する位置に配置されている。レーザ装置21は、照射ユニット210a〜210eを備えており、各照射ユニットは、レーザ光を発生するレーザユニット211a〜211eと、レーザユニットで発生したレーザ光を用紙Pへ照射する照射部212a〜212eを備えている。なお、図2においてレーザユニットと照射部の符号の末尾に付したアルファベット(a、b、c、d又はe)は、当該構成要素が前記照射ユニット210a〜201eのいずれかに対応するものであることを示している。各レーザユニットは、レーザ光を発生する一または複数のレーザ素子を備える。各照射部は、例えば、一または複数の光学部品(例えば、凹レンズや凸レンズなど光路を変更する部品)を備えている。この照射部は、本発明に係る照射部の一例である。レーザユニット211aで発生したレーザ光は、照射部212aの光学部品により集光または拡散されて照射される。他のレーザユニット211b〜211eについても、発生したレーザ光は、符号の末尾にレーザユニットと同じアルファベットが付された照射部によって集光または拡散されてベルト22へ照射される。なお、光源を紙に接近させる構成など、光学部品を用いるに照射部を構成することも考えられる。
【0017】
図2は、定着装置20を搬送方向上流側から見た模式図である。なお、図2においては、後述する測定部40の図示を省略している。図2に示したように、照射ユニット210a〜210eは、ベルト22の表面に沿って搬送方向に交差する方向へ一列に並べられている。具体的には、図2に示したように、用紙の搬送方向にY軸をとり、ベルト22の表面に沿ってY軸に交差するX軸をとり、X軸及びY軸に交差するZ軸をとった場合、照射ユニット210a〜210eは、X軸の方向(ベルト22の幅方向)に沿って一列に配置されている。
【0018】
ここで、図2に示されている領域a1〜a5は、照射ユニット210a〜210eから照射されたレーザ光が照射される領域である。照射ユニット210aから照射されたレーザ光は領域a1に照射される。また、照射ユニット210b〜210eの各々から照射されるレーザ光も、各ユニットに対応した領域a2〜a5の領域に照射される。本実施形態においては、図2に示したように、一つの照射ユニットからレーザ光が照射される領域は、隣り合う照射ユニットからレーザ光が照射される領域と一部が重なることとなる。なお、照射ユニット210a〜210eは、X軸の方向に沿って配置する構成に限定されるものではなく、用紙Pが領域a1〜a5を通過するのであれば、一列に配置されている方向は、ベルト22の表面に沿ってY軸に交差する方向でであればよい。
【0019】
また、図3は、ベルト22をレーザ装置21の側から見た図である。なお、図3においては、レーザ装置21と後述する光源41の記載を省略している。図3に示したように、ベルト22において用紙Pが載せられるのは、図3に示したd1の範囲内である。また、レーザ装置21からのレーザ光が照射されるのは、図3に示した領域a1〜a5の領域である。つまり、レーザ光は用紙Pの幅より広いd2の範囲に照射される。用紙Pは、このレーザ光が照射される領域a1〜a5をベルト22に載せられて通過する。
【0020】
次に、測定部40について説明する。測定部40は、レーザ装置21より搬送方向の下流側であって、搬送路Sに対向する位置に設けられている。測定部40は、光源41と、センサ部42を備えている。光源41は、光を発生する発光ダイオードと、発光ダイオードで発生した光を拡散させてベルト22の方向へ照射する導光板で構成されている。発光ダイオードで発生した光は、導光板で拡散されてベルト22の方向へ照射される。なお、光を発生し、発生した光を拡散させて照射する構成は、この構成に限定されるものではなく、例えば、冷陰極管で発生した光を導光板を用いずにベルト22の方向へ照射する構成であってもよい。本実施形態においては、光源41からの光が照射されるのは、図3に示した領域b1〜b5を含む領域である。つまり、光源41からの光は用紙Pの幅より広い範囲に照射される。
【0021】
センサ部42は、光源41から照射されて用紙Pで反射した光を受光する複数のセンサユニット421a〜421eを備えている。各センサユニットは、撮像素子(例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ)を備えている。この撮像素子は、本発明に係るセンサの一例である。センサユニット421a〜421eは、本実施形態においては、X軸の方向に沿って一列に設けられている。なお、センサユニット421a〜421eも、X軸の方向に沿って配置する構成に限定されるものではなく、用紙Pで反射した光を受光するのであれば、一列に配置される方向は、ベルト22の表面に沿ってY軸に交差する方向であってもよい。
【0022】
センサユニット421aは、領域b1で反射した光を受光して当該光の光量を表す信号を出力し、センサユニット421bは、領域b2で反射した光を受光して当該光の光量を表す信号を出力する。また、センサユニット421cは、領域b3で反射した光を受光して当該光の光量を表す信号を出力し、センサユニット421dは、領域b4で反射した光を受光して当該光の光量を表す信号を出力し、センサユニット421e、領域b5で反射した光を受光して当該光の光量を表す信号を出力する。各センサユニットから出力された信号は、制御部50に入力される。
【0023】
なお、領域b1は、用紙Pにおいて照射ユニット210aからの光が照射された領域が通過する領域であり、領域b2は、用紙Pにおいて照射ユニット210bからの光が照射された領域が通過する領域である。また、領域b3は、用紙Pにおいて照射ユニット210cからの光が照射された領域が通過する領域であり、領域b4は、用紙Pにおいて照射ユニット210dからの光が照射された領域が通過する領域であり、領域b5は、用紙Pにおいて照射ユニット210eからの光が照射された領域が通過する領域である。
【0024】
用紙Pにトナー像が形成されている場合、センサユニット421aは、領域a1で定着したトナーで反射した光を受光し、センサユニット421bは、領域a2で定着したトナーで反射した光を受光する。また、センサユニット421cは、領域a3で定着したトナーで反射した光を受光し、センサユニット421dは、領域a4で定着したトナーで反射した光を受光し、センサユニット421eは、領域a5で定着したトナーで反射した光を受光する。つまり、測定部40のセンサユニットは、記録媒体のトナー像で反射した光を受光し、受光した光に対応した信号を出力するセンサ部(第1センサ部)の一例である。
【0025】
次に、制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備える。ROMにはCPUが実行するプログラムが記憶されている。このプログラムがCPUにより実行されると、外部から受け取った画像に応じて用紙Pに画像を形成する画像形成機能が実現する。また、このプログラムが実行されると、各照射ユニットが発生するレーザ光の強度を調整する調整機能が実現する。操作部52は、画像形成装置1を操作するための各種ボタンを備えている。制御部50は、操作部52において行われた操作に応じて各部を制御する。
【0026】
表示部54は、画像を表示する装置の一例である液晶ディスプレイ装置を備えている。表示部54は、制御部50により制御され、画像形成装置1を操作するためのメニュー画面を表示する。通信部53は、外部のコンピュータ装置と通信を行う通信インターフェースの機能を備えている。通信部53は、通信ネットワークに接続されており、通信ネットワークを介して送られた画像データを受け取り、受け取った画像データを制御部50へ供給する。
【0027】
記憶部51は、不揮発性メモリを備えており、制御部50に供給された画像データを記憶する。また、記憶部51は、照射ユニットが発生するレーザ光の強度を調整する際に使用する調整用の画像(以下、調整用画像と称する)を記憶している。図4の(a)は、本実施形態において用紙Pに形成する調整用画像の一例を示した図である。
この調整用画像は、黒の矩形R11〜R15が配置された画像となっている。本実施形態においては、矩形は用紙Pの搬送方向へ2行で配置され、1行目には矩形R11、矩形R13及び矩形R15が間隔を空けて配置され、2行目には、矩形R12と矩形R14が間隔を空けて配置されている。なお、矩形R11〜R15の階調は、本実施形態では各々黒100%の階調となっているが、この階調は、黒100%に限定されるものではなく、中間調であってもよい。また、調整用画像の色は黒に限定されず、他の色であってもよい。また、調整用画像は、複数の矩形に替えて複数の正方形や複数の多角形の画像であってもよく、また、多角形に限定されず楕円形の画像であってもよい。
【0028】
なお、図4の(a)においては、用紙Pにおいて各照射ユニットからのレーザ光が照射される領域a1〜a5も図示している。レーザ光により調整用画像を用紙Pに定着させる際には、矩形R11〜R15は、この領域a1〜a5を通過する。具体的には、矩形R11は、領域a1を通過し、搬送方向に交差する方向の一端が領域a2の一部を通過する。また、矩形R12は、領域a2を通過し、搬送方向に交差する方向の一端が領域a1の一部を通過し、他端が領域a3の一部を通過する。また、矩形R13は、領域a3を通過し、搬送方向に交差する方向の一端が領域a2の一部を通過し、他端が領域a4の一部を通過する。また、矩形R14は、領域a4を通過し、搬送方向に交差する方向の一端が領域a3の一部を通過し、他端が領域a5の一部を通過する。また、矩形R15は、領域a5を通過し、搬送方向に交差する方向の一端が領域a4の一部を通過する。
【0029】
次に、レーザ光の強度調整を行うために制御部50おいて実現する各種機能について説明する。図5は、ROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより制御部50において実現する機能のうち、レーザ光の強度調整に係る機能の構成を示したブロック図である。
判断部501は、操作部52で行われたボタン操作を特定し、レーザ光の強度調整の指示が操作者によりなされたか判断する。調整用画像形成部500は、画像形成部10と定着装置20を制御するものである。レーザ光の強度調整の指示が操作者によりなされたと判断部501が判断すると、調整用画像形成部500は、記憶部51に記憶されている調整用画像を画像形成部10に供給し、調整用画像のトナー像が用紙Pに転写されるように画像形成部10を制御する。また、調整用画像形成部500は、定着装置20を制御し、用紙Pに転写された調整用画像のトナー像を用紙Pに定着させる。なお、レーザ光の強度調整については、ユーザの指示からによって開始する構成に限定されるものではなく、予め定められた周期で定期的に行うようにしてもよく、画像形成装置1の電源が入れられたときや省電力モードから復帰したときなどの予め定められたタイミングで自動的に行うようにしてもよい。
【0030】
取得部502は、センサユニット421a〜421eから出力された信号を取得する。各センサユニットから出力された信号は、矩形R11〜R15が領域b1〜b5を通過する際には、矩形R11〜R15で反射した光の光量を表すこととなる。
調整部503は、取得部502が取得した信号が表す光量に応じてレーザユニット211a〜211eのレーザ素子を制御し、レーザユニット211a〜211eが発生するレーザ光の強度を調整する調整手段として機能する。つまり、調整部503は、本発明に係る調整手段の一例である。
なお、本実施形態においては、一つのレーザユニットは、図5に示したように5つのレーザ素子2111〜2115を備えている。本実施形態においては、各レーザ素子について個別にレーザ光の強度を制御するのではなく、各レーザ素子からのレーザ光の強度を共に強くする、または共に弱くするという制御が行われる。
また、本実施形態においては、一つのレーザユニットにおいては、一つの基板上にレーザ素子2111〜2115が配置されている構成であるが、一つに基板に一つのレーザ素子を配置し、この基板を並べて配置した構成であってもよい。また、本実施形態においては、一つのレーザユニットが備えるレーザ素子の数は5つであるが、4つ以下であってもよく、また6つ以上であってもよい。
【0031】
次に本実施形態の動作について、図6に示したフローチャートを用いて説明する。画像形成装置1の操作者が、レーザ光の強度調整を指示する操作を操作部52において行うと、制御部50(判断部501)が、レーザ光の強度調整の指示が操作者によりなされたと判断する。制御部50は、照射ユニットの調整の指示がなされると、図6に示した処理を開始する。具体的には、まず制御部50(調整用画像形成部500)は、記憶部51から調整用画像を読み出し、読み出した調整用画像を画像形成部10へ供給する(ステップSA1)。
【0032】
また、制御部50(調整用画像形成部500)は、ロール30を回転させ、用紙Pの搬送を開始する(ステップSA2)。ロール30が回転させられると用紙Pが画像形成部10へ搬送される。また、制御部50(調整用画像形成部500)は、定着装置20を制御し、照射ユニット210a〜210eからのレーザ光の照射を開始する(ステップSA3)。
【0033】
調整用画像が画像形成部10に供給されると、画像形成部10は、調整用画像のトナー像を形成し、形成したトナー像を用紙Pに転写する。トナー像が転写された調整用の記録媒体の一例である用紙Pは、定着装置20へ搬送される。用紙Pが定着装置20へ搬送されると、調整用画像の矩形R11を形成するトナーは、領域a1,a2において加熱されて用紙Pに定着する。また、矩形R12を形成するトナーは、領域a1〜a3において加熱されて用紙Pに定着し、矩形R13を形成するトナーは、領域a2〜a4において加熱されて用紙Pに定着する。また、矩形R14を形成するトナーは、領域a3〜a5において加熱されて用紙Pに定着し、矩形R15を形成するトナーは、領域a4,a5において加熱されて用紙Pに定着する。
【0034】
調整用画像が定着した用紙Pは、搬送方向下流へ送られ、光源41からの光が照射される領域bを通過する。ここで、矩形R11〜R15が領域bを通過すると、矩形R11〜R15で反射した光はセンサユニット421a〜421eで受光される。センサユニット421aは、矩形R11で反射した光の光量を表す信号を出力する。また、センサユニット421bは、矩形R12で反射した光の光量を表す信号を出力し、センサユニット421cは、矩形R13で反射した光の光量を表す信号を出力する。また、センサユニット421dは、矩形R14で反射した光の光量を表す信号を出力し、センサユニット421eは、矩形R15で反射した光の光量を表す信号を出力する。制御部50(取得部502)は、センサユニット421a〜421eから出力された信号を取得する(ステップSA4)。
なお、例えば、調整用画像を用紙Pの全面にトナーを転写した所謂ベタ画像とした場合、用紙P上においてトナーの濃度にムラが生じる虞がある。トナー像にムラがある場合、センサユニットで受光する光は、このムラの影響を受けてしまう虞がある。しかしながら本実施形態においては、調整用画像は複数の矩形となっており、ベタ画像と比較するとトナー像にムラが生じにくいため、センサユニットで受光する光は、トナーの濃度ムラの影響を受けにくくなる。
【0035】
次に制御部50(調整部503)は、取得した信号に基づいてレーザユニット211a〜211eを調整する(ステップSA5)。具体的には、例えば、センサユニット421aから取得した信号が表す光量が、予め定められた光量の範囲内である場合、制御部50は、照射ユニット210aのレーザユニット211aについては調整を行わない。
一方、例えば、レーザユニット211bが発生するレーザ光の強度が予め定められた強度より弱く、矩形R12のトナーが十分に加熱されなかった場合、矩形R12で反射される光の光量は少なくなり、矩形R11と矩形R12とを比較すると、定着後の光沢に差が生じる。制御部50は、この差を抑えるため、センサユニット421bから取得した信号が表す光量が予め定められた前記範囲の下限値より小さい場合、照射ユニット210bのレーザユニット211bのレーザ素子を制御し、レーザユニット211bが発生するレーザ光の強度を強くする。なお、レーザ光の強度を調整する際には、前記範囲の下限値とセンサユニットから取得した信号が表す光量との差が大きい場合には、レーザ光の強度を強くする程度を大きくし、差が小さい場合には、レーザ光の強度を強くする程度を小さくする。
【0036】
また、例えば、レーザユニット211cが発生するレーザ光の強度が予め定められた強度より強く、矩形R13のトナーが加熱されすぎた場合、矩形R13で反射される光の光量は多くなり、矩形R11と矩形R13とを比較すると、定着後に光沢に差が生じる。制御部50は、この差を抑えるため、センサユニット421cから取得した信号が表す光量が、予め定められた前記範囲の上限値より大きい場合、照射ユニット210cのレーザユニット211cのレーザ素子を制御し、レーザユニット211cが発生するレーザ光の強度を弱くする。なお、レーザ光の強度を調整する際には、前記範囲の上限値とセンサユニットから取得した信号が表す光量との差が大きい場合には、レーザ光の強度を弱くする程度を大きくし差が小さい場合には、レーザ光の強度を弱くする程度を小さくする。
【0037】
このように、定着前に矩形R11〜R15の階調が同じであっても、複数のレーザユニット211a〜211eでレーザ光の強度が異なることによってトナーを加熱する温度が異なると、トナーの溶融の程度に差が生じて画像表面の凹凸に差が生じ、定着後の画像においてはトナー像で反射した反射光の光量が領域a1〜a5で異なることとなる。換言すると、定着後の画像で反射した反射光の光量は、トナーを加熱したレーザ光の強度に対応する。
本実施形態では、複数のレーザユニットに対応して反射光の光量を用紙上の複数の位置で測定する。そして、測定結果に応じてレーザ光の強度を調整するため、複数のレーザユニットの間でレーザ光の強度の差が小さくなり、定着後の画像において領域a1〜a5の各領域の反射光の光量を比較すると、その差が小さくなる。
【0038】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態でも実施され得る。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態および以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。
【0039】
上述した実施形態においては、画像形成装置1は、照射ユニットが発生するレーザ光の強度を調整する際、図4の(a)に示した調整用画像を形成するが、調整用画像は、図4の(a)に示した画像に限定されるものではない。
例えば、図4の(b)に示したように、調整用画像の各矩形は、領域a1〜a5のいずれか一つの領域でレーザ光が照射されるようにしてもよい。また、図4の(c)のように、1行目の矩形と2行目の矩形との間を空け、各矩形は、図4の(a)と同様に複数の照射ユニットからレーザ光が照射されるようにしてもよく、図4の(d)のように、1行目の矩形と2行目の矩形との間を空け、各矩形は、領域a1〜a5のいずれか一つの領域でレーザ光が照射されるようにしてもよい。
また、図4の(e)に示したように、矩形R11〜R15を5行で配置し、各行の間隔を空け、各矩形は、図4の(a)と同様に複数の照射ユニットからレーザ光が照射されるようにしてもよく、図4の(f)に示したように、矩形R11〜R15を5行で配置し、各行の間隔を空け、各矩形は、領域a1〜a5のいずれか一つの領域でレーザ光が照射されるようにしてもよい。また、図4の(e)や図4の(f)に示したように5行で矩形を配置する場合、搬送方向へ間隔を空けずに矩形を配置していもよい。
また、図7において黒の矩形で示したように矩形R11〜R15を各々複数の矩形に分割し、分割した矩形を用紙Pの搬送方向にずらして配置してもよい。
【0040】
また、調整用画像は、複数の矩形を配置したものに限定されず、例えば、図2において用紙PのX軸方向の一端から他端へ横断する帯状の一つの矩形の画像を調整用画像としてもよく、また、用紙Pの全面にトナーを転写した、所謂ベタ画像を調整用画像としてもよい。
【0041】
上述した実施形態においては、照射ユニット210a〜210eは、X軸方向へ一列に配置されているが、照射ユニット210a〜210eの配置は、上述した実施形態の配置に限定されるものではない。図8と図9は、照射ユニット210a〜210eの配置の変形例の一例を示した図であり、レーザ装置21の側からベルト22を見た図である。照射ユニット210a〜210eは、図8に示したように、搬送方向へずらして配置してもよい。また、図9に示したように、搬送方向へ2行で配置してもよい。
【0042】
上述した実施形態においては、光源41から用紙Pに照射される光の用紙Pへの入射角は固定となっているが、光源41を支持する部品を可動式とし、光源41から用紙Pに照射される光の用紙Pへの入射角を変更するようにしてもよい。
【0043】
上述した実施形態においては、調整用画像の一つの矩形に対してレーザ光が照射される回数は一回であるが、レーザ光を2回照射する構成であってもよい。
図10は、本発明の一変形例に係る定着装置20Aの構成を示した模式図である。定着装置20Aは、レーザ装置21に加えてレーザ装置21aを備える。本変形例においては、レーザ装置21から照射されるレーザ光の強度がレーザ装置21aから照射されるレーザ光の強度より強くなっている。また、用紙Pにおいてレーザ装置21aからのレーザ光が照射される搬送方向の幅は、用紙Pにおいてレーザ装置21からのレーザ光が照射される搬送方向の幅より広くなっている。このため、レーザ装置21aからのレーザ光は、レーザ装置21からのレーザ光より長い時間、用紙Pに照射されることとなる。外部から受け取った画像データに基づいて画像を形成する場合には、定着装置20Aは、レーザ装置21とレーザ装置21aからレーザ光を用紙Pに照射する。
一方、照射ユニットのレーザユニットの調整を行う際には、まず、レーザ装置21からレーザ光を調整用画像に照射し、レーザ装置21aからはレーザ光を照射せず、レーザ装置21の照射ユニット210a〜210eのレーザユニットを上述した実施形態と同様に調整する。そして、レーザ装置21のレーザユニットを調整し終えた後、レーザ装置21aからレーザ光を調整用画像に照射し、レーザ装置21からはレーザ光を照射せず、レーザ装置21aのレーザユニットを調整する。なお、この調整を行う場合、用紙Pの搬送速度を遅くしてもよく、また、レーザ素子をパルス駆動するようにしてもよい。また、レーザ装置21aのレーザユニットを調整する場合、照射部を制御してレーザ光の照射範囲を狭くし、用紙Pに照射されるレーザ光の単位面積あたりの強度を強くするようにしてもよい。
【0044】
また、図11は、本発明の一変形例に係る定着装置20Bの構成を示した模式図である。定着装置20Bは、レーザ装置21に加えてレーザ装置21bを備える。レーザ装置21bの構成は、レーザ装置21と同じとなっており、本変形例においては、レーザ装置21から照射されるレーザ光の強度と、レーザ装置21bから照射されるレーザ光の強度は同じとなっている。また、用紙Pにおいてレーザ装置21bからのレーザ光が照射される搬送方向の幅は、用紙Pにおいてレーザ装置21bからのレーザ光が照射される搬送方向の幅と同じとなっている。本変形例においても、外部から受け取った画像データに基づいて画像を形成する場合には、定着装置20Bは、レーザ装置21とレーザ装置21bからレーザ光を用紙Pに照射する。
一方、照射ユニットのレーザユニットの調整を行う際には、まず、レーザ装置21からレーザ光を調整用画像に照射し、レーザ装置21bからはレーザ光を照射せず、レーザ装置21の照射ユニット210a〜210eのレーザユニットを上述した実施形態と同様に調整する。そして、レーザ装置21のレーザユニットを調整し終えた後、レーザ装置21bからレーザ光を調整用画像に照射し、レーザ装置21からはレーザ光を照射せず、レーザ装置21bの照射ユニットのレーザユニットを調整する。なお、この調整を行う場合にも、用紙Pの搬送速度を遅くしてもよく、また、レーザ素子をパルス駆動するようにしてもよい。
なお、上記の構成は、レーザ装置21に加えレーザ装置21bを備える構成であるが、更に複数のレーザ装置を備える場合がある。照射ユニットのレーザユニットの調整を行う際には、一つのレーザ装置毎に発光させ、上述した実施形態と同様に調整する。この調整を行う場合にも、用紙Pの搬送速度を遅くしてもよく、また、レーザ素子をパルス駆動するようにしてもよい。
【0045】
上述した実施形態においては、複数のレーザ素子を有するレーザユニット211a〜211eを複数配置しているが、複数のレーザ素子をX軸方向へ一列に並べて配置し、これらのレーザ素子で発生するレーザ光を照射部で拡散して図3のd2の範囲に照射されるようにしてもよい。この場合、レーザユニットの数が一つとなる。また、上述した実施形態においては、調整用画像で反射した反射光を撮像素子で受光しているが、複数のフォトダイオードをX軸方向へ一列に並べ、調整用画像で反射した反射光を、これらのフォトダイオードで受光してもよい。なお、この構成においては、レーザ素子と、このレーザ素子によりレーザ光が照射された領域で反射した反射光を受光するフォトダイオードとを対応付け、フォトダイオードで受光した光量が予め定められた光量の範囲内にない場合、このフォトダイオードに対応付けられたレーザ素子を制御してレーザ光の強度を調整するようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、センサ部42は複数のセンサユニットを備えているが、センサユニットの数は一つであってもよい。この構成の場合、調整用画像で反射した光をレンズなどの光学部品を用いて一つの撮像素子に集光することにより、定着後の用紙Pの調整用画像を一つの撮像素子で全て撮影し、この撮像素子が出力する信号が表す調整用画像の矩形毎に、反射した光の光量を撮影した画像から特定してもよい。そして、特定した光量に基づいて、各矩形にレーザ光を照射したレーザユニット211a〜211eを制御してもよい。例えば、矩形R11の部分で反射した光の光量を特定すると、この矩形R11にレーザ光を照射したレーザユニット211aを制御してレーザ光の強度を調整する。また、センサユニットの数が一つである場合、複数の撮像素子を並べた構成であってもよい。
【0046】
上述した実施形態においては、レーザ装置21は、複数の照射部212a〜212eを備えているが、照射部212a〜212eを一体化して照射部の数を一つとしてもよい。
【0047】
上述した実施形態においては、制御部50は調整機能を備え、他の機能は別に設けられた画像形成装置1の全体を制御する制御部で実現されるようにしてもよい。
この構成の場合、ステップSA2までの処理は他の制御部が行い、ステップSA3以降の処理を調整機能を備える制御部が行うようにしてもよい。また、この構成の場合、定着装置20が、調整機能を有する制御部と、測定部40を備えるようにしてもよい。
【0048】
上述した実施形態においては、一つのレーザユニットにおいて、各レーザ素子について個別にレーザ光の強度を制御するのではなく、各レーザ素子からのレーザ光の強度を共に強くする、または共に弱くするという制御を行っているが、レーザ素子の制御は、この構成に限定されるものでない。例えば、図12に示したように、レーザ素子2111〜2115を制御部50から個別に制御する構成であってもよい。図12においては、図面が煩雑になるのを防ぐため、レーザユニット211b〜211eについては制御部50との接続の図示を省略しているが、レーザユニット211b〜211eにおいても、レーザユニット211aと同様に、各レーザユニットが備えるレーザ素子が個別に制御される。なお、本変形例においては、一つの基板上にレーザ素子2111〜2115が配置されている構成であるが、一つに基板に一つのレーザ素子を配置し、この基板を並べて配置した構成であってもよい。また、一つのレーザ素子に複数の発光点を有する場合がある。この構成の場合、これらの発光点のレーザ光の強度を個別に制御する構成にすることもできる。
【0049】
また、図12の構成にあっては、一つのセンサユニットにおいて、対応する調整用画像で反射した光の光量の分布を求め、求めた分布に応じて各レーザ素子を制御するようにしてもよい。図13は、定着後の矩形R11の光沢と、矩形R11で反射してセンサユニット421aで受光された光の光量の分布の一例を示した図である。
図13においては、受光した光の光量が予め定められた光量の範囲内にある部分C1と、受光した光の光量が予め定められた光量より少ない部分C2と、受光した光の光量が予め定められた光量より多い部分C3とが示してある。制御部50は、例えば、部分C2がレーザユニット211aのレーザ素子2112で発生した光が照射された部分である場合、レーザ素子2112が発生する光の強度が強くなるようにレーザ素子2112を制御する。また、制御部50は、例えば、部分C3がレーザユニット211aのレーザ素子2114で発生した光が照射された部分である場合、レーザ素子2114が発生する光の強度が弱くなるようにレーザ素子2114を制御する。なお、制御部50は、他のレーザユニット211b〜211eについても、上記と同様の制御を行う。
【0050】
また、この変形例にあっては、上述した変形例のように、用紙PのX軸方向の一端から他端へ横断する帯状の一つの矩形の画像を調整用画像とし、この調整用画像で反射した光の光量の分布を求め、求めた分布に応じて各レーザ素子を制御するようにしてもよい。
図14は、この帯状の矩形の画像の光沢と、この画像で反射してセンサユニット421a〜421eで受光された光の光量の分布の一例を示した図である。ここで、制御部50は、部分C2がレーザユニット211aのレーザ素子2112で発生した光が照射された部分である場合、このレーザ素子が発生する光の強度を強くする制御を行う。また、制御部50は、例えば、部分C3がレーザユニット211dのレーザ素子2113で発生した光が照射された部分である場合、このレーザ素子が発生する光の強度を弱くする制御を行う。
【0051】
また、図13や図14に示したように、調整用画像で反射した光の光量の分布を求める構成においては、各レーザユニットを制御する構成が上述した実施形態の構成のように、一つのレーザユニットにおいて各レーザ素子からのレーザ光の強度を共に強くする、または共に弱くするという制御を行う構成であってもよい。
例えば、定着後に図14に示した調整用画像と光量の分布が得られた場合、制御部50は、部分C2がレーザユニット211aで発生した光が照射された部分であると、レーザユニット211aのレーザ素子2111〜2115が発生する光の強度を強くする制御を行う。また、制御部50は、部分C3がレーザユニット211dで発生した光が照射された部分であると、レーザユニット211dのレーザ素子2111〜2115が発生する光の強度を弱くする制御を行う。
【0052】
上述した実施形態においては、図15に示したように、レーザ装置21より搬送方向の上流側に光源41とセンサ部42を備える測定部40aを設けるようにしてもよい。この構成においては、測定部40aの光源41から照射されて定着前のトナー像で反射した光が測定部40aのセンサ部42で受光され、制御部50は、調整用画像で反射した光の光量の分布を測定部40aのセンサ部42で得られる信号から取得する。つまり、測定部40aのセンサ部42の各センサユニットは、レーザ光が照射される前の記録媒体のトナー像で反射した光を受光し、受光した光に対応した信号を出力するセンサ部(第2センサ部)の一例である。制御部50は、光量の分布を取得すると、得られた分布に基づいて、測定部40で得られる光量の分布を補正する。
図16は、本変形例に係る機能の構成を示したブロック図である。取得部502は、測定部40のセンサユニット421a〜421eから出力される信号と、測定部40aのセンサユニット421a〜421eから出力される信号とを取得する。分布取得部504は、取得部502が取得した信号から上述の光量の分布を求めるものである。補正部505は、測定部40から得た信号から求めた光量分布を、測定部40aから得た信号から求めた光量分布に基づいて補正する。つまり、補正部505は、取得部502が取得した信号を補正する補正部の一例である。
【0053】
測定部40aで得られた光量の分布においては、定着前のトナー濃度によって反射光の光量が異なる。制御部50は、測定部40で得られた光量を、測定部40aで得られた光量に応じて補正する。例えば、測定部40aで得られた光量分布において予め定められた光量より多い光量が測定された部分については、測定部40で得られた光量分布において対応する部分の光量の測定結果を補正する。また、測定部40aで得られた光量分布において予め定められた光量より少ない光量が測定された部分についても、測定部40で得られた光量分布において対応する部分の光量の測定結果を補正する。なお、Y,M,Cのトナーにおいては、測定部40aの光源の角度を反射光量とトナー量が対応するように設定する。また、Kのトナーにおいても、測定部40aの光源の角度を反射光量とトナー量が対応するように設定する。
領域a1〜a5に照射された光の強度が予め定められた範囲内にあっても、調整用画像のトナーの濃度に差があると、測定部40で得た光量の分布にムラが生じてしまう。この場合、本変形例の構成を備えていないと、このムラに応じてレーザ素子を制御してレーザ光の強度を調整してしまう。一方、本変形例にあっては、測定した光量の分布においてトナーの濃度の差による影響をキャンセルするように補正するため、トナーの濃度の影響を少なくしてレーザ光の強度が調整される。
【0054】
上述した実施形態においては、各レーザユニットは固定されているが、レーザユニットの位置や傾きの調整をできるようにしてもよい。図17は、レーザユニットの位置や傾きの調整を説明するための図であり、一例としてレーザユニット211aを示している。
また、図18は、本変形例に係る機能の構成を示したブロック図である。駆動部60は、モータやモータの回転を直線運動に変更する機構を備える。位置制御部506は、駆動部60を制御し、レーザユニット211a〜211eの位置を制御する。駆動部60と位置制御部506は、本発明に係る位置調整部の一例である。
【0055】
図17においては、移動の方向を直交するx軸、y軸及びz軸の3つの軸で表し、レーザユニット211aを正面から見たときの左右方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向、高さ方向をz軸方向とした場合、モータの回転を直線運動に変換してレーザユニット211aを左右方向や上下方向に移動させてもよい。また、レーザユニット211aにおいて左右方向の左側を右側に対して低くしたり、左右方向の右側を左側に対して低くすることにより、レーザユニット211aを傾けるようにしてもよい。なお、位置や傾きを調整するのは、レーザユニット211a〜211eだけでなく、照射部212a〜212eについても、位置や傾きを調整するようにしてもよい。また、レーザユニットや照射部ではなく照射ユニットそのものの位置や傾きを調整するようにしてもよい。
【0056】
このように、レーザユニット211a〜211eや照射部212a〜212eの位置や傾きを調整する構成を備えている場合、振動や経時変化により製造時点から位置がずれたり傾いたりしても、レーザユニット211a〜211eや照射部212a〜212eの位置や傾きが調整される。また、経時変化によりレーザ光の照射される領域が製造時点から変化しても、位置や傾きを調整することにより、レーザ光の照射領域が調整される。
【0057】
また、このように照射ユニット210a〜210eで位置や傾きを調整する構成を備えている場合にあっては、調整用画像で反射した光の光量の分布をセンサ部42で得られる信号から求め、求めた光量の分布に基づいて、レーザユニット211a〜211eや照射部212a〜212eの位置や傾きを調整するようにしてもよい。
例えば、領域b1において矩形R11で反射した光の光量が、予め定められた光量より少ない場合、レーザユニット211aを下方に移動させ、領域b1において矩形R11で反射した光の光量が、予め定められた光量より多い場合、レーザユニット211aを上方に移動させるようにしてもよい。
【0058】
上述したROMに記憶されているプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk)))、光記録媒体(光ディスク)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し、インストールしてもよい。また、通信回線を介してダウンロードしてインストールしてもよい。
【0059】
上述した実施形態においては、制御部50は、CPU、ROM及びRAMを備えた所謂コンピュータ装置となっているが、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)または電子部品を組み合わせた集積回路などで実現してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…画像形成装置、10…画像形成部、20…定着装置、21,21a,21b…レーザ装置、22…ベルト、23,24…ロール、30…ロール、40…測定部、41…光源、42…センサ部、60…駆動部、100Y、100M、100C、100K…画像形成ユニット、101Y、101M、101C、101K…感光体、102Y、102M、102C、102K…帯電装置、103Y、103M、103C、103K…露光装置、104Y、104M、104C、104K…現像装置、105Y、105M、105C、105K…ロール、106Y、106M、106C、106K…クリーニング装置、50…制御部、51…記憶部、52…操作部、53…通信部、54…表示部、210a〜210e…照射ユニット、211a〜211e…レーザユニット、212a〜212e…照射部、421a〜421e…センサユニット、501…判断部、500…調整用画像形成部、502…取得部、503…調整部、504…分布取得部、505…補正部、506…位置制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発生する複数のレーザ素子と、
前記複数のレーザ素子で発生したレーザ光を、トナー像が転写された記録媒体が搬送される予め定められた領域内へ照射する照射部と、
前記領域の長手方向の一端側から他端側にわたって前記レーザ光によりトナー像が定着した調整用の記録媒体が搬送される領域内へ光を照射する光源と、
前記光源の光が照射される領域内を通過して前記調整用の記録媒体のトナー像で反射した前記光源の光を受光し、受光した光に対応した信号を出力する第1センサ部と、
前記複数のレーザ素子を、前記第1センサ部が出力した信号に基づいて制御し、前記レーザ素子が発生するレーザ光の強度を調整する調整部と
を備える定着装置。
【請求項2】
前記トナー像が、複数の矩形を配置した像であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記トナー像の階調が中間調であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記レーザ光が照射される前の前記調整用の記録媒体のトナー像で反射した光を受光し、受光した光に対応した信号を出力する第2センサ部と、
前記第1センサ部が出力した信号を前記第2センサ部が取得した信号に基づいて補正する補正部と、
を備え、
前記調整部は、前記補正部で補正された後の信号に基づいて前記複数のレーザ素子を制御すること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の定着装置。
【請求項5】
前記複数のレーザ素子の位置を調整する位置調整部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の定着装置。
【請求項6】
記録媒体にトナー像を転写する画像形成部と、
レーザ光を発生する複数のレーザ素子と、
前記複数のレーザ素子で発生したレーザ光を、トナー像が転写された記録媒体が搬送される予め定められた領域内へ照射する照射部と、
前記領域の長手方向の一端側から他端側にわたって前記レーザ光によりトナー像が定着した調整用の記録媒体が搬送される領域内へ光を照射する光源と、
前記光源の光が照射される領域内を通過して前記調整用の記録媒体のトナー像で反射した前記光源の光を受光し、受光した光に対応した信号を出力するセンサ部と、
前記複数のレーザ素子を、前記センサ部が出力した信号に基づいて制御し、前記レーザ素子が発生するレーザ光の強度を調整する調整部と
を備える画像形成装置。
【請求項7】
レーザ光を発生する複数のレーザ素子と、前記複数のレーザ素子で発生したレーザ光を、トナー像が転写された記録媒体が搬送される予め定められた領域内へ照射する照射部と、前記領域の長手方向の一端側から他端側にわたって前記レーザ光によりトナー像が定着した調整用の記録媒体が搬送される領域内へ光を照射する光源と、前記光源の光が照射される領域内を通過して前記調整用の記録媒体のトナー像で反射した前記光源の光を受光し、受光した光に対応した信号を出力するセンサ部とを備える装置に設けられたコンピュータを、
前記複数のレーザ素子を、前記センサ部が出力した信号に基づいて制御し、前記レーザ素子が発生するレーザ光の強度を調整する調整手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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