説明

定着装置および画像形成装置

【課題】無端状ベルトの回転移動を案内する案内部材に変形(反り)が生じるのを抑制するようにした定着装置を提供する。
【解決手段】回転可能な加熱ローラ110と、加熱ローラ110に接触し、加熱ローラ110の回転と共に回転移動する無端状ベルト122と、長尺の形状を呈し、無端状ベルト122の内側において長手方向を加熱ローラ110の回転軸方向に向けられて配置され、無端状ベルト122を加熱ローラ110に押し付けるための押付部材128と、長尺な形状を呈し、長手方向を押付部材128の長手方向に向けられて押付部材128が取り付けられ、押付部材128による加熱ローラ110への押し付け荷重を保持する保持部材130と、保持部材130に取り付けられ、無端状ベルト122の内周面に接触し、無端状ベルト122の回転移動を案内する案内部材132と、を有するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図4に示されるように、加熱手段により加熱されて回転する加熱回転体と、前記加熱回転体の回転軸方向に沿う表面部分に接触して回転する無端ベルトと、前記無端ベルトをその内周面側から前記加熱回転体の当該表面部分に押し当てて圧接部を形成する押当て体と、前記押当て体を支持する支持材と、前記支持材を介して前記押当て体を前記加熱回転体にむけて押し付ける押付け機構とを備え、前記支持材が、裁断加工した長辺部を有する複数の板状支持材であり、その各板状支持材の当該長辺部を前記押当て体に前記加熱回転体の回転軸方向に沿ってそれぞれ接触させた状態で支持するように構成される定着装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−216910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、無端状ベルトの回転移動を案内する案内部材に変形(反り)が生じるのを抑制するようにした定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1の定着装置は、回転可能な加熱ローラと、前記加熱ローラに接触し、前記加熱ローラの回転と共に回転移動する無端状ベルトと、長尺の形状を呈し、前記無端状ベルトの内側において長手方向を前記加熱ローラの回転軸方向に向けられて配置され、前記無端状ベルトを前記加熱ローラに押し付けるための押付部材と、長尺な形状を呈し、長手方向を前記押付部材の長手方向に向けられて前記押付部材が取り付けられ、前記押付部材による前記加熱ローラへの押し付け荷重を保持する保持部材と、前記保持部材に取り付けられ、前記無端状ベルトの内周面に接触し、前記無端状ベルトの回転移動を案内する案内部材と、を有することを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2の定着装置は、請求項1に記載の定着装置において、前記案内部材は、複数に分割されて構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3の定着装置は、請求項1または請求項2に記載の定着装置において、前記案内部材は、前記無端状ベルトの内周面に接触する案内片を複数有すると共に、前記案内片毎に複数に分割されて構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4の画像形成装置は、静電潜像が形成される像保持体と、前記像保持体に形成された静電潜像を粉体で現像する現像装置と、前記現像装置によって現像された像を被転写体に転写する転写装置と、前記被転写体に転写された像を前記被転写体に定着させるための請求項1〜3のいずれかに記載の定着装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載の定着装置によれば、押付部材による加熱ローラへの押し付け荷重を保持する保持部材に案内部材を取り付けない場合に比べて、案内部材に変形(反り)が生じるのを抑制することができる。
【0010】
本発明の請求項2に記載の定着装置によれば、案内部材を複数に分割して構成しない場合に比べて、案内部材に変形(反り)が生じるのを一層抑制することができる。
【0011】
本発明の請求項3に記載の定着装置によれば、案内部材を案内片毎に複数に分割して構成しない場合に比べて、案内部材に変形(反り)が生じるのをより一層抑制することができる。
【0012】
本発明の請求項4に記載の画像形成装置によれば、請求項1〜3に記載の定着装置を備えないものに比べて、案内部材に変形(反り)が生じるのを抑制する性能に優れた定着装置を有する画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を全体的に示す全体構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る定着装置の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る定着装置の内側部材を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る定着装置の内側部材を分解して示す分解斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る定着装置の内側部材の案内部材の取り付け態様を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る定着装置に対する比較例としての内側部材を分解して示す分解斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る定着装置の内側部材を示す側面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る定着装置の内側部材の別形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る定着装置および画像形成装置の実施形態について、添付の図面に基づいて説明する。
【0015】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る定着装置を有する画像形成装置の構成の一例を示している。画像形成装置10の装置本体10Aの上下方向をY方向、左右方向をX方向、奥行き方向をZ方向として記載する。
【0016】
図1に示すように、画像形成装置10の装置本体10Aには、複数のローラ12に張架され、モータ(図示省略)の駆動により矢印A方向に搬送される無端ベルト状の被転写体の一例としての中間転写体ベルト14が設けられている。
【0017】
画像形成装置10は、カラー画像の形成に対応しており、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応するトナー像を形成する画像形成ユニット28Y、28M、28C、28Kを有している。画像形成ユニット28Y、28M、28C、28Kは、中間転写体ベルト14の搬送方向に沿って配置され、装置本体10Aに脱着可能に支持されている。
【0018】
尚、各色に設けられた部材については、符号の末尾に各々の色を示すアルファベット(Y/M/C/K)を付与して示す。特に色を区別せずに説明する場合は、この符号末尾のアルファベットを省略する。
【0019】
各画像形成ユニット28Y、28M、28C、28Kは、図示しないモータ及びギアからなる駆動手段によって時計方向へ回転する像保持体の一例としての感光体ドラム16C、16Y、16M、16Cを備えている。
【0020】
各感光体ドラム16の周面には、感光体ドラム16の表面を一定の電位に一様に帯電させるための帯電ローラ18が配置されている。帯電ローラ18は、導電性のローラであり、その周面が感光体ドラム16の周面に接触し、かつ帯電ローラ18の軸線方向と感光体ドラム16の軸線方向とが平行となるように配置されている。
【0021】
各感光体ドラム16の回転方向の帯電ローラ18よりも下流側の周面には、露光装置の一例としてのLEDプリントヘッド(以下、「LPH」という)20が配置されている。LPH20は長尺であり、発光体ドラム16の軸方向に沿って配置されている。LPH20は、LED(発光ダイオード)アレイを光源として有している。LPH20は、画像データに応じて光ビームを感光体ドラム16に照射することにより、感光体ドラム16表面に静電潜像を形成させる。
【0022】
各感光体ドラム16の回転方向のLPH20よりも下流側の周面には、現像装置22が配置されている。現像装置22は、感光体ドラム16表面に形成された静電潜像を各色(イエロー/マゼンタ/シアン/ブラック)のトナーによって現像してトナー像を形成させるためのものである。
【0023】
具体的には、現像装置22は、感光体ドラム16に近接して配置され、回転可能に設けられた円筒状の現像ローラ24を有している。現像ローラ24には、現像バイアスが印加され、現像装置22内に装填されたトナー(粉体)が周面に付着される。現像ローラ24の回転により、現像ローラ24に付着されたトナーが感光体ドラム16の表面に搬送され、トナーが感光体ドラム16に擦りつけられて、感光体ドラム16表面に形成された静電潜像がトナー像として現像される構成となっている。
【0024】
各感光体ドラム16の回転方向の現像装置22よりも下流側の周面には、各感光体ドラム16上のトナー像を中間転写体ベルト14に転写する転写装置の一例としての転写ローラ30が設けられている。転写ローラ30は、一定の電位に帯電されると共に、反時計方向に回転して中間転写体ベルト14を一定の速度で搬送し、中間転写体ベルト14を感光体ドラム16に押し付けている。これにより、感光体ドラム16表面のトナー像が中間転写体ベルト14上に転写されるようになっている。
【0025】
各感光体ドラム16の周面の転写ローラ30よりも下流側の周面には、クリーニングブレード26が配置されている。クリーニングブレード26は、一端が感光体ドラム16の表面に接触するように配設されており、中間転写体ベルト14に転写されずに感光体ドラム16上に残留したトナーや、転写時に感光体ドラム16上に付着してしまった他の色のトナーを削ぎとって回収するものである。
【0026】
各画像形成ユニット28により形成された各トナー像は、中間転写体ベルト14のベルト面上で、互いに重なり合うように転写される。これにより、中間転写体ベルト14上にカラーのトナー像が形成される。このようにして4色のトナー像が重ねて転写されたトナー像を、以下、「最終トナー像」と称する。
【0027】
4つの感光体ドラム16よりも中間転写体ベルト14の搬送方向下流側には、対向する2つのローラ34A、34Bを含んで構成される転写装置の一例としての二次転写装置34が配設されている。二次転写装置34では、画像形成装置10の底部に設けられた用紙トレイ36から取り出されてローラ34A、34Bの間に搬送されてきた被転写体の一例としての記録用紙Pに、中間転写体ベルト14上に形成された最終トナー像が転写されるようになっている。
【0028】
最終トナー像が転写された記録用紙Pの搬送経路には、定着装置100が設けられている。定着装置100は加熱ローラ110と加圧ローラ120とを含んで構成されており、定着装置100に搬送された記録用紙Pは加熱ローラ110と加圧ローラ120とによって挟持搬送される。それにより、記録用紙P上のトナーは溶融されると共に記録用紙Pに圧着されて記録用紙Pに定着される。
【0029】
一方、中間転写体ベルト14の外周面において、二次転写装置34よりも中間転写体ベルト14の搬送方向下流側には、二次転写装置34によって記録用紙Pに転写されずに中間転写体ベルト14上に残留したトナーを回収するクリーナ装置42が配設されている。クリーナ装置42は、中間転写体ベルト14に接するブレード44を有しており、中間転写体ベルト14上に残留したトナーを擦り取ることによって回収するようになっている。
【0030】
上記構成による画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0031】
まず、帯電ローラ18によって感光体ドラム16の表面が一様にマイナス帯電される。次いで、帯電された感光体ドラム16表面に対し、LHP20によって印刷すべき画像データに基づいて露光が行われ、感光体ドラム16表面に静電潜像が形成される。
【0032】
次いで、感光体ドラム16表面の静電潜像が現像装置22の現像ローラ24を通過すると、静電気力によってトナーが静電潜像に付着し、静電潜像はトナー像として可視化される。
【0033】
次いで、可視化された各色のトナー像は、転写ローラ30によって中間転写体ベルト14へ順次転写され、中間転写体ベルト14上にカラーの最終トナー像が形成される。
【0034】
次いで、中間転写体ベルト14上の最終トナー像は二次転写装置34のローラ34A、34Bの間に送り込まれ、用紙トレイ36から取り出されてローラ34A、34Bの間に搬送されてきた記録用紙Pに対してこの最終トナー像が転写される。
【0035】
次いで、記録用紙Pに転写されたトナー像は定着装置100で定着され、永久画像とされる。定着装置100を通過した記録用紙Pは、装置外へ排出される。
【0036】
(要部構成)
次に、定着装置100の詳細について説明する。
【0037】
図2に示すように、定着装置100は、加熱ローラ110と加圧ローラ120とを備えている。加熱ローラ110は中心部に熱源として例えばハロゲンランプ112を有している。ハロゲンランプ112は、長尺の形状を呈し、長手方向をZ方向に向けられて配置されている。加熱ローラ110のローラ部114は、ハロゲンランプ112から発せられる熱によって加熱される。ローラ部114はモータなどの駆動源(図示省略)によって回転駆動される構成となっている。即ち、加熱ローラ110は熱源を有する回転可能な駆動ローラとして構成されている。
【0038】
加圧ローラ120は、加熱ローラ110のローラ部114の回転に従動して(ローラ部114の回転と共に)回転移動する無端状ベルト122と、無端状ベルト122の内側に配置されて無端状ベルト122の回転移動を案内すると共に無端状ベルト122を加熱ローラ110に押し付けるための内側部材124とを備えている。尚、内側部材124は回転不能に固定支持されている。
【0039】
図3に示すように、内側部材124は、例えば圧縮バネなどの付勢部材(図中では模式的に示す)126によってX方向において加熱ローラ110側に付勢されている。
【0040】
そして、図2に示すように、内側部材124はその付勢力によって無端状ベルト122を加熱ローラ110に押し付けている。無端状ベルト122が内側部材124によって加熱ローラ110に押し付けられることで、無端状ベルト122と加熱ローラ110との間には記録用紙Pを挟持搬送しつつトナーを記録用紙Pに定着させるためのニップ部Nが形成される。尚、加熱ローラ110の熱はニップ部Nを介して無端状ベルト122に伝わることとなる。
【0041】
図2、図3、図4に示すように、内側部材124は、無端状ベルト122を加熱ローラ110に押し付けるための押付部材128と、押付部材128が取り付けられ、押付部材128による加熱ローラ110への押し付け荷重を保持する保持部材130と、保持部材130に取り付けられ、無端状ベルト122の内周面に接触し、無端状ベルト122の回転移動を案内する案内部材132とを有している。
【0042】
押付部材128は全体として長尺の形状を呈し、無端状ベルト122の内側において長手方向を加熱ローラ110の回転軸方向に向けられて配置されている。押付部材128は、シート部材134とパット部材136とホルダ部材138の3種類の部品から構成されている。
【0043】
シート部材134は例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を素材とし、無端状ベルト122のニップ部Nにおける摺動抵抗を低減させるためのものである。パット部材136は例えばスポンジ材から構成され、押し付け力によってニップ部Nを形成するように変形可能な素材から構成されている。ホルダ部材138は例えばポリエチレンテレフタレート(PET)などの耐熱樹脂材から構成され、無端状ベルト122を介して加熱ローラ110との間にニップを形成するニップヘッド138aと、パット部材136を収容する凹部138bを備えている。
【0044】
保持部材130は、Z方向に長尺な2枚の金属板140、142から構成されている。2枚の金属板140、142は、長手方向を押付部材128の長手方向(Z方向)に向けられ、短手方向を付勢力を受ける方向(X方向)に向けられると共に、短手方向の一端側において押付部材128(具体的にはホルダ部材138)に取り付けられている。金属板140、142は、Z方向に長尺な形状を有しているが、短手方向が付勢力を受ける方向(X方向)に向けられているため、受ける付勢力によって方向Z方向において撓むことが抑制されるように配置されている。即ち、金属板140、142はZ方向において高い曲げ剛性を有するように配置されている。
【0045】
詳細には、図2に良く示すように、2枚の金属板140、142の内の1枚の金属板140は、短手方向の他端側においてX方向からY方向へ直角に折り曲げられており、断面L字状を呈している。もう一枚の金属板142は、その短手方向の他端側において金属板140のY方向を向く部分と接続され、金属板140のX方向を向く部分と対向するように配置されている。
【0046】
金属板140のY方向を向く部分の金属板142が接続される面とは反対側の面には、不織布(フェルト)144がZ方向に沿って取り付けられている。不織布144には潤滑油が染み込まされており、図2に示すように、無端状ベルト122が不織布144に接触しつつ回転移動することで、不織布144から潤滑油が持ち運ばれるようになっている。無端状ベルト122の内周面に潤滑油が行き渡ることにより、無端状ベルト122の内側部材124に対する摺動抵抗が低減し無端状ベルト122の回転移動が滑らかとなる。
【0047】
図3、図4に示すように、金属板140、142のZ方向における両端側には、サイドガイド部材146,148が取り付けられている。各サイドガイド部材146,148には挿入孔150が2個設けられており、この2個の挿入孔150には金属板140、142のZ方向における両端側に設けられる突出部152がそれぞれ挿入されている。また、各サイドガイド部材146,148には無端状ベルト122の内周面に接触して無端状ベルト122の回転移動を案内する部分から径方向において外方に張り出すように形成される張出部154が設けられており、この張出部154によって無端状ベルト122のZ方向の位置が規定されるようになっている。
【0048】
図4、図5に示すように、案内部材132は4個の部材に分割されている。各案内部材132は、4個の略扇状の案内片156と、それら案内片156同士を結合する3本のリブ158と、案内部材132の両端側ないしは3本のリブ158の内の中央のリブ158に設けられてY方向に伸びる2本ないしは3本の係合脚160とを有している。各案内部材132は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)などの耐熱樹脂材から一体的に形成されている。
【0049】
4個の案内片156は、Z方向に沿い、かつ、互いが平行に並ぶように3本のリブ158によって結合されている。各案内片156は、無端状ベルト122の内周面に接触して無端状ベルト122の回転移動を案内する円弧状部162を有している。
【0050】
各案内部材132は、それぞれの係合脚160が金属板140、142に貫通形成される係合孔164に嵌め入れられることによって金属板140、142に直接的に取り付けられている。具体的には、金属板140には4個の係合孔164が貫通形成されており、2本の係合脚160を有する案内部材132が2個取り付けられている。また、金属板142には6個の係合孔164が貫通形成されており、3本の係合脚160を有する案内部材132が2個取り付けられている。尚、個数を違えることで、金属板140に取り付けるべき案内部材132と金属板142に取り付けるべき案内部材132とを区別し、間違って取り付けられるのを防ぐようにしている(図2に示すように、金属板140に取り付けられる案内部材132と金属板142に取り付けられる案内部材132は非対称の形状とされている)。
【0051】
図6は、本実施形態の内側部材124に対する比較例としての内側部材200を分解して示す分解斜視図である。内側部材200の案内部材202は、断面U字状の箱型を呈するZ方向に長尺な1個の部材から構成されており、その外周面に無端状ベルト122の内周面と接触する案内片204が複数設けられている。各案内片204は、断面U字状を呈しているが、一部が切り欠けられており、その切り欠き部分に渡たるように不織布144がZ方向に沿って取り付けられるようになっている。
【0052】
内側部材200は案内部材202の内部に金属板140、142を収容するようにして組み立てられるが、金属板140、142のZ方向における両端側に設けられる突出部152をサイドガイド部材146,148に設けられる挿入孔150に挿入し、案内部材202のZ方向における両端側に設けられる突出部206をサイドガイド部材146,148に設けられる取付穴208に嵌め入れるようにして組み立てられているため、案内部材202は金属板140、142には直接的に取り付けられていない。
【0053】
このように、内側部材200においては、案内部材202はZ方向に長尺な1個の部材から構成されていると共に、Z方向において曲げ剛性を有する金属板140、142に直接的に取り付けられていないため、案内部材202には無端状ベルト122から伝わる熱によってZ方向において変形(反り)が生じる場合がある。案内部材202にZ方向における変形(反り)が生じると、無端状ベルト122の回転移動の負荷が増大し、無端状ベルト122に回転不良が生じる。
【0054】
これに対し、本実施形態の内側部材124にあっては、案内部材132をZ方向において高い曲げ剛性を有する金属板140、142に直接的に取り付けられるため、案内部材132に変形(反り)が生じるのが抑制されるようになっている。そのため、無端状ベルト122の回転移動を安定させることが可能となり、無端状ベルト122の回転不良を抑制することが可能となる。また、案内部材132自体にZ方向における曲げ剛性を備えさせる必要がないため、案内片156同士を結合するための部材として3本のリブ158を採用し、案内部材132自体の体積(樹脂量)を少なくすることが可能となり、軽量化、コスト低減を図ることが可能となる。
【0055】
また、案内部材132を4個の部材に分割した上で金属板140、142に取り付けているため、1個の部材で構成する場合に比べて、案内部材132に変形(反り)が生じるのが一層抑制される。
【0056】
図7に示すように、本実施形態の内側部材124の案内部材132にあっては、案内片156を片側にZ方向に沿って8個(両側に計16個)設け、4個の案内片156をリブ158によって結合している。これに対する別形態として、図8に示すように、案内部材132を案内片156毎(片側において8個、両側において16個)に分割して構成しても良い。即ち、図8の如く、案内部材132を案内片156毎に分割した上で金属板140、142に取り付けるように構成しても良い。
【0057】
このように案内部材132を案内片156毎に分割した上で金属板140、142に取り付けることで、複数(4個)の案内片156をリブ158で結合して案内部材132を構成する場合に比べて、案内部材132に変形(反り)が生じるのがより一層抑制される。
【0058】
尚、本実施形態に係る画像形成装置10では、中間転写ベルト14を有し一次転写と二次転写を行う形式のものについて説明したが、感光体ドラム16に保持されるトナー像を記録用紙Pに直接転写する形式の画像形成装置についても本発明を適用可能である。
【0059】
また、本実施形態に係る内側部材124の案内部材132にあっては、各案内片156を互いに平行に配置するようにしたが、各案内片156が内側部材124の長手方向(Z方向)の中心に向くように各案内片156を非平行に配置させてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 画像形成装置
14 中間転写体ベルト(被転写体の一例)
16 発光体ドラム(像保持体の一例)
18 帯電ローラ
20 LEDプリントヘッド(LPH)(露光装置の一例)
22 現像装置
24 現像ローラ
26 クリーニングブレード
28 画像形成ユニット
30 転写ローラ(転写装置の一例)
34 二次転写装置(転写装置の一例)
100 定着装置
110 加熱ローラ
112 ハロゲンランプ
114 ローラ部
120 加圧ローラ
122 無端状ベルト
124 内側部材
126 付勢部材
128 押付部材
130 保持部材
132 案内部材
134 シート部材
136 パット部材
138 ホルダ部材
140 金属板
142 金属板
144 不織布
146 サイドガイド部材
148 サイドガイド部材
150 挿入孔
152 突出部
154 張出部
156 案内片
158 リブ
160 係合脚
162 円弧状部
164 係合孔
N ニップ部
P 記録用紙(被転写体の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な加熱ローラと、
前記加熱ローラに接触し、前記加熱ローラの回転と共に回転移動する無端状ベルトと、
長尺の形状を呈し、前記無端状ベルトの内側において長手方向を前記加熱ローラの回転軸方向に向けられて配置され、前記無端状ベルトを前記加熱ローラに押し付けるための押付部材と、
長尺な形状を呈し、長手方向を前記押付部材の長手方向に向けられて前記押付部材が取り付けられ、前記押付部材による前記加熱ローラへの押し付け荷重を保持する保持部材と、
前記保持部材に取り付けられ、前記無端状ベルトの内周面に接触し、前記無端状ベルトの回転移動を案内する案内部材と、
を有する定着装置。
【請求項2】
前記案内部材は、複数に分割されて構成されている請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記案内部材は、前記無端状ベルトの内周面に接触する案内片を複数有すると共に、前記案内片毎に複数に分割されて構成されている請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
静電潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体に形成された静電潜像を粉体で現像する現像装置と、
前記現像装置によって現像された像を被転写体に転写する転写装置と、
前記被転写体に転写された像を前記被転写体に定着させるための請求項1〜3のいずれかに記載の定着装置と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−203260(P2012−203260A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68767(P2011−68767)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】