定着装置及び画像形成装置
【課題】駆動手段を定着装置から分離可能に構成して交換コストの低減を図ると共に、前記駆動手段が定着装置から分離しても、分離部材を定着部材に対して離間した状態で保持することが可能な定着装置を提供する。
【解決手段】加熱源24によって加熱される定着部材21と、定着部材21に当接して定着ニップNを形成する対向部材22と、定着部材21に当接し定着ニップNを通過した記録媒体Pを定着部材21から分離する分離部材23を備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された定着装置におけるものである。定着装置は、分離部材23と定着部材21との当接を解除する方向に付勢力を作用させる当接解除方向付勢手段29と、当接解除方向付勢手段29の付勢力に抗して分離部材23を定着部材21に当接させる方向に駆動する駆動手段30とを備える。駆動手段30を定着装置本体に対して分離可能に構成した。
【解決手段】加熱源24によって加熱される定着部材21と、定着部材21に当接して定着ニップNを形成する対向部材22と、定着部材21に当接し定着ニップNを通過した記録媒体Pを定着部材21から分離する分離部材23を備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された定着装置におけるものである。定着装置は、分離部材23と定着部材21との当接を解除する方向に付勢力を作用させる当接解除方向付勢手段29と、当接解除方向付勢手段29の付勢力に抗して分離部材23を定着部材21に当接させる方向に駆動する駆動手段30とを備える。駆動手段30を定着装置本体に対して分離可能に構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体上の現像剤像を定着させる定着装置、及びその定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、記録媒体上に担持されたトナー画像を定着させる定着装置として、加熱加圧方式の定着装置が多く採用されている。この種の定着装置は、一般的に、ハロゲンヒータ等の加熱源によって加熱される定着回転体と、これに接触して定着ニップを形成する加圧回転体とを備える。画像の定着処理を行う場合は、定着ニップに記録媒体を通過させて、記録媒体を加熱及び加圧し、記録媒体に担持されたトナー画像を加熱溶融させて定着させる。しかし、このとき溶融したトナーの粘着力によって記録媒体が定着回転体の表面に貼り付くことがあり、これにより記録媒体が定着ニップから良好に排出されなくなる不具合が生じる。
【0003】
上記不具合を解決するために、例えば特許文献1(特開平7−140831号公報)には、記録媒体を定着回転体から剥離(分離)させるために、定着回転体に対してカウンタ方向に先端が接触するブレード形状や楔形状の分離爪等の分離部材を備えた定着装置が提案されている。しかしながら、このような定着装置においては、分離部材を定着回転体に接触させた状態で定着回転体を回転させるため、経時的に定着回転体の表面が摩耗し、その結果、画像上に光沢ムラやスジ等のノイズが発生するといった問題がある。
【0004】
このような画像品質の問題を解決するために、特許文献2(特開平4−125583号公報)や特許文献3(特開2003−186336号公報)において、搬送される記録媒体を検知したセンサの検知信号に基づいて、ソレノイドが分離部材を定着装置から離間させる定着装置が提案されている。この定着装置によれば、通紙時にのみ分離部材を定着回転体に接触させ、それ以外のときは分離部材を定着回転体から離間させることができる。これにより、分離部材が定着回転体に接触している時間を削減することができるので、分離部材の接触による定着回転体の摩耗量が減少し、定着装置の寿命を延ばすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、画像形成装置に関する低コスト化の要求は、画像形成装置自体の低コスト化だけではなく、ユーザーが1ページ印刷するごとに負担するコストの低減も要求されるのが一般的である。従って、画像形成装置の製品寿命を長くすることと、交換ユニットの低コスト化が必要である。定着装置は定着回転体や加圧回転体等の消耗部品を搭載しているため、これを交換ユニットとすることにより、画像形成装置の製品寿命を長くすることができる。一方、画像形成装置の製品寿命まで使用可能な部品は、交換ユニットとしての定着装置内に搭載しない方が経済的である。
【0006】
例えば、上記特許文献2又は3に記載の定着装置において、定着装置を画像形成装置本体に対して着脱可能に構成した場合に、寿命が残っているソレノイドまで一緒に交換すると、不経済であり、交換コストが高コストとなる問題がある。また、この問題を解決するために、ソレノイドを定着装置から分離可能に構成することも考えられる。しかし、特許文献2又は3に記載の定着装置において、定着装置からソレノイドを分離すると、分離部材がバネの付勢力によって定着回転体に当接した状態で保持される。このため、何らかの理由で定着装置の製品寿命が終える前に定着装置からソレノイドを分離した状態で長期間放置した場合は、分離部材が当接することによる定着部材の変形(永久歪み)が生じ、その後に定着装置を使用する場合に定着不良が生じる虞がある。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑み、ソレノイド等の駆動手段を定着装置から分離可能に構成して交換コストの低減を図ると共に、前記駆動手段が定着装置から分離しても、分離部材を定着部材に対して離間した状態で保持することが可能な定着装置、及びその定着装置を備えた画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、加熱源によって加熱される定着部材と、前記定着部材に当接して定着ニップを形成する対向部材と、前記定着部材に当接し前記定着ニップを通過した記録媒体を前記定着部材から分離する分離部材を備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された定着装置において、前記分離部材と前記定着部材との当接を解除する方向に付勢力を作用させる当接解除方向付勢手段と、前記当接解除方向付勢手段の付勢力に抗して前記分離部材を前記定着部材に当接させる方向に駆動する駆動手段とを備え、前記駆動手段を定着装置本体に対して分離可能に構成したものである。
【0009】
駆動手段を定着装置本体に対して分離可能に構成することにより、駆動手段を定着装置と一体的に交換しなくてもよくなる。このため、駆動手段を定着装置の製品寿命に関係なく継続して使用することができるようになり、交換コストの低コスト化を図れる。また、駆動手段を定着装置本体から分離しても、当接解除方向付勢手段の付勢力によって分離部材を定着部材から離間させておくことができる。このため、定着装置から駆動手段を分離した状態で長期間に亘って放置しても、分離部材が当接することによる定着部材の変形(永久歪み)が生じることがなく、定着不良の発生を防止することが可能である。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の定着装置において、前記駆動手段を画像形成装置本体側に設けたものである。
【0011】
この場合、定着装置を画像形成装置本体から取り外した際、駆動手段は定着装置本体から分離されて画像形成装置本体側に駆動手段を残すことができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の定着装置において、前記駆動手段がソレノイドであって、前記ソレノイドを定着装置筐体外に設けたものである。
【0013】
この場合、高コストな部品であるソレノイドを、上記と同様に、定着装置の製品寿命に関係なく継続して使用することができるので、経済的であり、交換コストの低コスト化を図れる。また、ソレノイドは、周囲が高温となることにより吸引力が低下する傾向にあるが、ソレノイドを定着装置筐体外に設けることで、ソレノイドが定着装置の熱の影響を受けにくくなり、吸引力の低下を抑制することが可能である。また、熱によるソレノイドの吸引力低下を抑制できることで、より出力の小さい低電力なソレノイドを採用することが可能となる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の定着装置において、前記駆動手段の駆動力を受けて前記分離部材を前記定着部材に対して離間させるための複数のリンク部材を設け、それらのリンク部材のうち、駆動手段側に設けられたリンク部材と、定着装置本体側に設けられたリンク部材とを、係脱可能に構成したものである。
【0015】
このように、駆動手段側に設けられたリンク部材と、定着装置本体側に設けられたリンク部材とを、係脱可能に構成することにより、駆動手段が定着装置本体に対して分離可能となる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4に記載の定着装置において、前記駆動手段側に設けられたリンク部材と、前記定着装置本体側に設けられたリンク部材とが、画像形成装置本体に対する定着装置本体の離脱時に、互いに非接触となるように構成したものである。
【0017】
このように構成することで、定着装置本体を画像形成装置本体に対して離脱させる際に、リンク部材同士が干渉することがないため、離脱作業をスムースに行うことができるようになる。
【0018】
請求項6の発明は、請求項5に記載の定着装置において、前記駆動手段又は前記駆動手段側に設けられたリンク部材の自重により、当該リンク部材を前記定着装置本体側に設けられたリンク部材に対して非接触となる方向へ付勢するように構成したものである。
【0019】
この場合、リンク部材を非接触状態に維持するための付勢手段を別途設ける必要がないため、低コスト化及び小型化を図ることが可能である。
【0020】
請求項7の発明は、請求項6に記載の定着装置において、前記駆動手段側に設けられたリンク部材が前記定着装置本体側に設けられたリンク部材に対して非接触となるように位置決めする非接触位置決め手段を設けたものである。
【0021】
駆動手段側に設けられたリンク部材が非接触位置決め手段によって位置決めされることにより、当該リンク部材を定着装置本体側に設けられたリンク部材に対して確実に非接触状態となるように配置することができる。
【0022】
請求項8の発明は、請求項7に記載の定着装置において、前記駆動手段と前記駆動手段側に設けられたリンク部材と前記非接触位置決め手段とを、画像形成装置本体側に設けられた同一部材に配設したものである。
【0023】
駆動手段と駆動手段側に設けられたリンク部材と非接触位置決め手段とを、画像形成装置本体側に設けられた同一部材に設けることにより、リンク部材の位置決め精度が向上する。
【0024】
請求項9の発明は、請求項4から8のいずれか1項に記載の定着装置において、定着装置本体に設けられたカバー部に、前記駆動手段側に設けられたリンク部材を挿入して前記定着装置本体側に設けられたリンク部材に係合するための開口部を設けたものである。
【0025】
この開口部を通して、駆動手段側のリンク部材と定着装置本体側のリンク部材とを互いに係脱することができる。
【0026】
請求項10の発明は、請求項1から9のいずれか1項に記載の定着装置において、前記分離部材を前記定着部材に対して所定の離間位置に位置決めする離間位置決め手段を、前記定着装置本体側に設けたものである。
【0027】
離間位置決め手段を定着装置本体側に設けることにより、定着装置を着脱しても、離間位置決め手段によって分離部材を所定の離間位置に位置決めしておくことができる。
【0028】
請求項11の発明は、請求項1から10のいずれか1項に記載の定着装置を備えた画像形成装置である。
【0029】
画像形成装置が請求項1から10のいずれか1項に記載の定着装置を備えているので、これらの定着装置による上記効果が得られる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、定着装置の交換時に駆動手段を分離して継続使用することができるので、交換コストの低減を図れる。また、駆動手段が定着装置から分離しても、分離部材を定着部材に対して離間した状態で保持することが可能である。このため、定着装置から駆動手段を分離した状態で長期間に亘って放置しても、分離部材が当接することによる定着部材の変形(永久歪み)が生じることがなく、定着不良の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のカラー画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明に係る定着装置の概略構成図である。
【図3】本発明に係る定着装置の概略構成図である。
【図4】本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の構成を模式的に示した概略図である。
【図5】本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の構成を模式的に示した概略図である。
【図6】本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の構成を模式的に示した概略図である。
【図7】本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の構成を模式的に示した斜視図である。
【図8】本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の構成を模式的に示した斜視図である。
【図9】本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の構成を模式的に示した斜視図である。
【図10】本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の構成を模式的に示した斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る定着装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0033】
まず、図1に基づいて、本発明を適用する画像形成装置の全体構成について説明する。
図1は、本発明に係るカラー画像形成装置の概略構成図である。図1に示す画像形成装置本体100には、画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkが着脱可能に装着されている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。
【0034】
具体的には、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、像担持体(潜像担持体)としてのドラム状の感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体2の表面にトナー(現像剤)を供給する現像手段としての現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード5を備えている。なお、図1では、イエローのプロセスユニット1Yが備える感光体2、帯電ローラ3、現像装置4、クリーニングブレード5のみに符号を付しており、その他のプロセスユニット1C,1M,1Bkにおいては符号を省略している。
【0035】
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの上方には、感光体2の表面を露光する露光手段(静電潜像形成手段)としての露光装置6が配設されている。露光装置6は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体2の表面へレーザ光を照射するようになっている。
【0036】
また、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、転写装置7が配設されている。転写装置7は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト8を有する。中間転写ベルト8は、支持部材としての駆動ローラ9と従動ローラ10に張架されており、駆動ローラ9が図の反時計回りに回転することによって、中間転写ベルト8は図の矢印に示す方向に周回走行(回転)するように構成されている。
【0037】
4つの感光体2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11が配設されている。各一次転写ローラ11はそれぞれの位置で中間転写ベルト8の内周面を押圧しており、中間転写ベルト8の押圧された部分と各感光体2とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。各一次転写ローラ11は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が一次転写ローラ11に印加されるようになっている。
【0038】
また、駆動ローラ9に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。この二次転写ローラ12は中間転写ベルト8の外周面を押圧しており、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ12は、一次転写ローラ11と同様に、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ12に印加されるようになっている。
【0039】
また、中間転写ベルト8の図の右端側の外周面には、中間転写ベルト8の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置13が配設されている。このベルトクリーニング装置13から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、転写装置7の下方に配設された廃トナー収容器14の入り口部に接続されている。
【0040】
画像形成装置本体100の下部には、紙やOHP等のシート状の記録媒体Pを収容した給紙カセット15が配設されている。給紙カセット15には、収容されている記録媒体Pを送り出す給紙ローラ16が設けてある。一方、画像形成装置本体100の上部には、記録媒体を外部へ排出するための一対の排紙ローラ17と、排出された記録媒体をストックするための排紙トレイ18とが配設されている。
【0041】
また、画像形成装置本体100内には、記録媒体Pを給紙カセット15から二次転写ニップを通って排紙トレイ18へ搬送するための搬送路Rが配設されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ12の位置よりも記録媒体搬送方向上流側には一対のレジストローラ19が配設されている。また、二次転写ローラ12の位置よりも記録媒体搬送方向下流側には、定着装置20が配設されている。
【0042】
定着装置20は、加熱源によって加熱される定着部材としての定着ローラ21と、その定着ローラ21に当接して定着ニップを形成する対向部材としての加圧ローラ22と、定着ローラ21から記録媒体を分離させる分離部材23等を有する。本実施形態では、定着ローラ21と加圧ローラ22が図示しない加圧手段によって互いに圧接されることにより、圧接箇所において定着ニップが形成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、定着部材と対向部材の少なくとも一方を無端状ベルトとし、そのベルトをローラ又はパッド等によって相手側に圧接させる構成としてもよい。また、定着部材と対向部材は、互いに圧接する場合に限らず、加圧を行わす単に接触させるだけの構成とすることも可能である。
【0043】
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体2の表面が帯電ローラ3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体2の表面には、露光装置6からレーザ光がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像(現像剤像)として可視像化される。
【0044】
駆動ローラ9が図の反時計回りに回転駆動されることにより、中間転写ベルト8が図の矢印で示す方向に走行駆動される。また、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ11と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト8はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。また、中間転写ベルト8に転写しきれなかった各感光体2上のトナーは、クリーニングブレード5によって除去される。そして、図示しない除電手段によって、感光体2の表面が除電され、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0045】
また、作像動作が開始されると、給紙ローラ16が回転して、給紙カセット15から記録媒体Pが送り出される。送り出された記録媒体Pは、レジストローラ19によってタイミングを計られて、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ12には、中間転写ベルト8上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上のトナー画像が記録媒体P上に一括して転写される。その後、記録媒体Pは定着装置20へと搬送され、定着ローラ21と加圧ローラ22によって記録媒体Pが加熱及び加圧されてトナー画像が定着される。トナー画像が定着された記録媒体Pは、分離部材23によって定着ローラ21から分離され、排紙ローラ17によって排紙トレイ18へと排出される。また、転写後の中間転写ベルト8上に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置13によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー収容器14へ搬送され回収される。
【0046】
以上の説明は、記録媒体上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0047】
図2、図3は、本発明に係る定着装置と分離部材の接離機構の概略構成図である。
図2又は図3に示すように、定着装置20が有する定着ローラ21は、内部に配設された加熱源24によって加熱されるようになっている。そして、この加熱源24によって定着ローラ21が所定の目標温度まで加熱された状態で、未定着画像を担持した記録媒体Pが、図の矢印の方向に回転する定着ローラ21と加圧ローラ22との間の定着ニップNに進入することにより、記録媒体P上のトナーが溶融され、画像が定着される。
【0048】
定着ローラ21は、熱伝導性基体の周囲に弾性層を形成し、さらに被覆層で被覆された円筒状部材である。熱伝導性基体としては、所要の機械的強度を有し、熱伝導性の良好な炭素鋼材やアルミニウム材が主として用いられる。また、弾性層は、例えばシリコーンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴムで形成される。さらに、弾性層の外側(外周面)の被覆層は、トナーとの離型性を良好とすると共に、弾性層の耐久性を高めるためのもので、熱伝導率が高く耐熱性に富む材料で形成される。例えば、フッ素樹脂(PFA)チューブで被覆したもの、フッ素樹脂(PFA又はPTFE)塗料を塗布したもの、あるいはシリコーンゴム層やフッ素ゴム層を形成したもの等が被覆層として用いられる。
【0049】
加圧ローラ22は、芯金、その芯金の外側(外周)に形成された弾性層、及び弾性層を被覆する被覆層から成る円筒状部材である。芯金として、例えばSTKM等が用いられ、弾性層として、シリコーンゴムやフッ素ゴム、あるいはこれらの発泡体が用いられる。被覆層は例えば離型性に富むPFA,PTFA等の耐熱性フッ素樹脂のチューブで形成される。
【0050】
また、定着ローラ21の周囲には、図示しない温度検知手段としてのサーミスタや、異常温度防止用のサーモスタット等が配設され、サーミスタからの検出信号により、定着ローラ21の表面温度は所定の温度域内に維持されるように制御されている。
【0051】
定着ニップNよりも記録媒体搬送方向の下流側(図2又は図3の上側)には、分離部材23が定着ローラ21に対向して配設されている。本実施形態では、分離部材23は定着ローラ21の軸方向に渡って4個配設されている。ただし、分離部材23の個数は4個に限定されるものではない。各分離部材23は、支点25を中心に互いに独立して回転可能に支持されている。分離部材23が支点25を中心に図の時計回り又は反時計回りに回転することにより、各分離部材23の先端23aは定着ローラ21に対して(互いに独立して)接近離間するようになっている。図2は分離部材23が定着ローラ21に対して離間している状態を示し、図3は分離部材23が定着ローラ21に対して当接している状態を示す。
【0052】
また、図3において、定着ニップNの出口(記録媒体搬送方向の下流端部)から、分離部材23の先端23aが定着ローラ21に当接する当接位置までの距離Dは、本実施形態では5mm〜6mmに設定している。また、定着ニップNの出口から排出される記録媒体Pの挙動を確認し、記録媒体Pが定着ローラ21の表面から最も離間する位置で、分離部材23の先端23aが当接するように上記距離Dを設定することにより、分離部材23が記録媒体Pを分離する際に生じる負荷を低減することができ、記録媒体Pへのダメージを小さくすることが可能となる。
【0053】
分離部材23の素材としては、主にPFAやPEK、PEEK等の離型性や摺動性の良い材料を用いられる。また、分離部材23の表面をPFAやテフロン(登録商標)離型性や摺動性の良い材料でコーティングしてもよい。
【0054】
各分離部材23の先端23aとは反対側の基端23b側には、当接方向付勢手段26が配設されている。本実施形態では、当接方向付勢手段26として引張コイルバネを用いているが、設置スペースや製造コストなどの諸条件に応じて、その他の付勢手段を当接方向付勢手段26として用いることも可能である。この当接方向付勢手段26によって、各分離部材23は定着ローラ21に対して当接させる方向に付勢されている。
【0055】
また、各分離部材23の基端23b側には、分離部材23の定着ローラ21への当接を解除可能な当接解除部材27が配設されている。当接解除部材27は、支点28を中心に回転可能に支持されている。当接解除部材27が支点28を中心に図の時計回り又は反時計回りに回転することにより、当接解除部材27の分離部材23側の先端27aは分離部材23の基端23bに対して接近離間するようになっている。当接解除部材27は、定着ローラ21の軸方向と平行な方向に渡って延在しており、複数の分離部材23の全てに対して当接可能に構成されている。
【0056】
当接解除部材27の素材としては、軽量でかつ所要の機械的強度を有するPPSやPEK等の耐熱や耐摩耗性に優れた樹脂材量を用いることができる。本実施形態では、当接解除部材27の軸方向(長手方向)に渡る撓み防止の観点から、特に支点28となる回転軸部分をSUS材にて別体で形成しているが、装置の大きさや分離部材23への付勢力に応じて材料選定を行うことが望ましい。
【0057】
当接解除部材27に駆動連結された図示しないリンク部材には、分離部材23を定着ローラ21に対して離間させるように当接解除部材27を付勢する当接解除方向付勢手段29が配設されている。なお、図2、図3においては、模式的に当接解除部材27の基端27bに当接解除方向付勢手段29を配設している。当接解除方向付勢手段29により当接解除部材27の基端27bが引っ張られることによって、当接解除部材27の先端27aは分離部材23の基端23bに当接する方向に付勢されている。なお、設置スペースや製造コストなどの諸条件に応じて、その他の付勢手段を当接解除方向付勢手段29として用いることも可能である。
【0058】
また、当接解除部材27を駆動させる駆動手段としてソレノイド30が配設されている。ソレノイド30は、コイルを内蔵するソレノイド本体31と、前記コイル内で進退可能に装着されたプランジャ32を有する。進退可能なプランジャ32は、当接解除部材27に駆動連結された図示しないリンク部材に連結されている。なお、図2、図3においては、模式的に当接解除部材27の基端27bにプランジャ32を連結させている。そして、ソレノイド本体31内のコイルが励磁され、プランジャ32がソレノイド本体31内へ吸引されて後退することにより、当接解除部材27が駆動(回転)されるようになっている。
【0059】
各分離部材23の図の上側には、各分離部材23を所定の離間位置に位置決めする離間位置決め手段33が設けてある。このように、離間位置決め手段33を設けることにより、部品寸法のばらつきや部品組付けのばらつきがあっても、各分離部材23を定着ローラ21の表面に対して適切な離間量をもって保持可能となっている。
【0060】
定着ニップNよりも記録媒体搬送方向の上流側(図2又は図3の下側)には、記録媒体Pを検知する記録媒体検知手段34が配設されている。記録媒体検知手段34は、支点35を中心に揺動(又は回転)可能に支持された検知部36を有する。通常、検知部36は記録媒体Pの搬送路Rに交差した位置に配設されており(図2参照)、搬送される記録媒体Pが検知部36に接触することで検知部36が揺動し(図3参照)、記録媒体Pを検知する仕組みとなっている。また、記録媒体Pの通過後、検知部36は、自重又は図示しない捩りコイルバネ等の付勢手段によって元の位置に戻り、図示しない位置決め部に当接して図2に示す所定の位置に保持されるようになっている。
【0061】
記録媒体Pが検知部36と接触することによって記録媒体Pの搬送姿勢に傾き(スキュー)が生じないように、検知部36は搬送路Rの幅方向中央近傍に配設することが好ましい。このように検知部36を配設することで、記録媒体Pを正しい姿勢で搬送することができ、画像の歪みや紙シワの発生などを防止して搬送信頼性を確保できる。
【0062】
また、記録媒体検知手段34を、上記のような記録媒体に接触することによって記録媒体を検知する接触式検知手段でなく、記録媒体に接触せずに記録媒体を検知する非接触式検知手段とすることも可能である。非接触式検知手段としては、例えば、反射型や透過型の光センサを用いることができる。非接触式検知手段を用いた場合は、記録媒体Pの搬送姿勢に傾き(スキュー)が生じる虞はない。
【0063】
また、定着ニップNの記録媒体搬送方向の上流側で記録媒体の詰まりの発生を検知する詰まり検知手段を設けている場合は、これを記録媒体検知手段34として兼用してもよい。この場合は、記録媒体を検知するための専用の検知手段を設ける必要がなくなるので、装置の小型化や低コスト化を図れる。
【0064】
上記ソレノイド30は、記録媒体検知手段34の検知信号に基づいて駆動されるように構成されている。詳しくは、ソレノイド30と記録媒体検知手段34とが、制御部37及び駆動回路38を介して電気的に接続されている。前記制御部37は、内部にI/Oポートを有するCPUである。搬送される記録媒体Pが記録媒体検知手段34によって検知されると、その検知信号に基づいて制御部37は駆動回路38を介してソレノイド30を駆動させるように構成されている。
【0065】
以下、上記本発明に係る定着装置の動作について説明する。
図2に示す状態では、記録媒体検知手段34によって記録媒体Pは検知されていない。従って、ソレノイド30に駆動力は生じず、当接解除部材27はソレノイド30からの力は受けない。この場合、当接解除部材27は、当接解除方向付勢手段29からの付勢力を受けている。詳しくは、当接解除方向付勢手段29によって当接解除部材27の基端27bが図の上方に引っ張られていることにより、当接解除部材27には図の時計回り方向の力(回転モーメントM3)が作用している。この時計回り方向の力(回転モーメントM3)が作用することによって、当接解除部材27の先端27aは、各分離部材23の基端23bを図の下方に押圧した状態となっている。
【0066】
当接解除部材27が各分離部材23の基端23bを図の下方に押圧していることにより、各分離部材23には図の反時計回り方向の力(回転モーメントM2)が作用している。他方、当接方向付勢手段26によって各分離部材23の基端23bが図の上方に引っ張られていることにより、各分離部材23には時計回り方向の力(回転モーメントM1)が作用している。このように、各分離部材23には互いに逆向きの力(回転モーメントM1と回転モーメントM2)が作用しているが、ここでは反時計回り方向の力(回転モーメントM2)の方が時計回方向の力(回転モーメントM1)よりも大きいため、各分離部材23の先端23aは定着ローラ21から離間した状態となっている。
【0067】
すなわち、記録媒体Pが定着ニップNに供給されない状況では、当接解除方向付勢手段29が当接解除部材27を介して分離部材23に付与する当接解除方向の力(回転モーメントM2)を、当接方向付勢手段26が分離部材23に付与する当接方向の力(回転モーメントM1)よりも大きくなるようにしているので、各分離部材23の定着ローラ21への当接が解除されている。このように分離部材23を離間させておくことで、分離部材23の当接による定着ローラ21の摩耗を抑制することができ、良好な画像形成を長期に亘って維持することが可能である。また、各分離部材23は、離間位置決め手段33に当接しており、それぞれ所定の離間位置に保持されている。
【0068】
そして、図3に示すように、記録媒体Pが記録媒体検知手段34の検知部36に接触し、記録媒体Pが検知された場合、記録媒体検知手段34からの信号によって制御部37は駆動回路38を介してソレノイド30を駆動させる。詳しくは、ソレノイド30に所定の電流が印加されることにより、プランジャ32が吸引されソレノイド本体31内へ後退する。これにより、当接解除部材27の基端27bは図の下方に引っ張られ、当接解除部材27には図の反時計回り方向の力(回転モーメントM4)が作用する。他方、当接解除部材27には当接解除方向付勢手段29によって上記時計回り方向の力(回転モーメントM3)が作用しているが、この時計回り方向の力(回転モーメントM3)よりも、上記ソレノイド30による反時計回り方向の力(回転モーメントM4)の方が大きいので、当接解除部材27は図の反時計回りに回転する。その結果、当接解除部材27の先端27aが各分離部材23の基端23bから離間し、当接解除部材27による各分離部材23の押圧が解除される。
【0069】
当接解除部材27による各分離部材23の押圧が解除されると、各分離部材23には当接方向付勢手段26による上記時計回り方向の力(回転モーメントM1)のみが作用することになるため、各分離部材23は図の時計回り方向に回転して、それぞれの先端23aが定着ローラ21に当接する。そして、定着ニップNを通過した記録媒体Pが、分離部材23によって定着ローラ21から分離される。
【0070】
その後、記録媒体Pの後端が定着ニップNを通過すると、ソレノイド30に印加されていた電流が遮断される。これにより、プランジャ32の吸引が解除され、当接解除部材27は当接解除方向付勢手段29からの力(回転モーメントM3)によって各分離部材23を押圧する。そして、その押圧力によって、各分離部材23に再び図の反時計回り方向の力(回転モーメントM2)が作用する。上述したように、分離部材23に作用する反時計回り方向の力(回転モーメントM2)は、当接方向付勢手段26によって各分離部材23に作用する上記時計回り方向の力(回転モーメントM1)よりも大きいので、各分離部材23は図の反時計回りに回転し、それぞれの先端23aが定着ローラ21から離間する。以降、記録媒体Pが定着ニップに供給される度に、上記分離部材23の接離動作が繰り返し行われる。
【0071】
以下、図4〜図10に基づいて、本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の特徴部分の構成について説明する。
図4〜図6は、本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の構成を模式的に示した概略図であり、図7〜図10は、それらの斜視図である。詳しくは、図4は、分離部材23の先端23aが定着ローラ21に対して離間している状態を示す図、図5は、分離部材23の先端23aが定着ローラ21に対して当接している状態を示す図、図6は、定着装置20が画像形成装置本体から取り外された状態を示す図である。また、図7は、定着装置のカバー部(筐体)を取り外して内部を露出させた状態を示す図、図8は、図7に示す分離部材の駆動部を定着装置の内側から見た図、図9は、それを定着装置の外側から見た図である。また、図10は、定着装置にカバー部(筐体)が取り付けられた状態での分離部材の駆動部の連結構造を示す図である。
【0072】
図4に示すように、当接解除部材27とソレノイド30のプランジャ32は、リンク部材としての第1リンク50と第2リンク51と本体リンク54によって駆動連結されている。第1リンク50は、当接解除部材27の支点28を中心に当接解除部材27と所定の位相関係を維持しながら回転可能に支持されている。第1リンク50の前記支点28に支持された端部とは反対側の端部側には軸50aが配設されており、その軸50aには第2リンク51の一端(図の上端)が回転可能に取り付けられている。また、第2リンク51には長孔51aが設けられており、その長孔51aに定着フレーム52(図7参照)に配設された軸53が挿通されている。これにより、第2リンク51は、第1リンク50が支点28を中心に回転した際、軸53に対して摺接しつつ図の上下方向にスライド移動するようになっている。
【0073】
図4に示す状態では、当接解除方向付勢手段29の付勢力によって、第2リンク51が図の上方へ押し上げられている。これにより、第1リンク50と当接解除部材27が支点28を中心に図の時計回りに一体的に回転して、当接解除部材27の先端27aが分離部材23の基端23bを図の下方に押し下げることにより、分離部材23の先端23aが定着ローラ21から離間した状態で保持されている。
【0074】
また、第2リンク51の他端(図の下端)には、本体リンク54と係合するための切り欠き状の係合部51bが形成されている。一方、本体リンク54の一端(図の右端)には、第2リンク51の係合部51bと係合可能な凸状の係合部54dが設けてある。また、本体リンク54の他端(図の左端)には、ソレノイド30のプランジャ32と連結する連結部54aが設けられており、プランジャ32が図の上下方向に進退することにより、本体リンク54はその中間部付近に配設された支点54bを中心に回転するように構成されている。
【0075】
また、本体リンク54の回転を規制することにより、本体リンク54の係合部54dが第2リンク51の係合部51bに対して非接触となるように位置決めする非接触位置決め手段が設けられている。この非接触位置決め手段は、画像形成装置本体の本体定着側板55(図9参照)に設けられた位置決め部55aと、本体リンク54に設けられた回転止めピン54cとから成る。図4に示す状態(分離部材23の先端23aが定着ローラ21から離間した状態)では、ソレノイド30には電流が印加されていないため、プランジャ32の自重によって本体リンク54の係合部54d側の端部が上方へ付勢された状態となっているが、このとき、回転止めピン54cが位置決め部55aに当接することによって本体リンク54の回転が規制され、本体リンク54の係合部54dと第2リンク51の係合部51bとが非接触の状態で保持される。
【0076】
また、図4において、ソレノイド30と本体リンク54は、定着装置本体側(カバー部56内)には配設されておらず、画像形成装置本体側に配設されている。詳しくは、ソレノイド30と本体リンク54は、本体定着側板55に配設されている。一方、ソレノイド30と本体リンク54以外の部材、すなわち、定着ローラ21、加圧ローラ22、分離部材23、当接方向付勢手段26、当接解除部材27、当接解除方向付勢手段29、第1リンク50、第2リンク51、第1リンク50及び第2リンク51を支持する軸50a、第2リンク51をガイドする軸53、離間位置決め手段33は、それぞれ定着装置本体側(カバー部56内に)配設されている。
【0077】
図4に示す状態からソレノイド本体31内のコイルに電流が印加され、プランジャ32が吸引され図の上方に移動すると、図5に示すように、プランジャ32に連結された本体リンク54が支点54bを中心に図の時計回りに回転する。これにより、本体リンク54の係合部54dが第2リンク51の係合部51bと係合し、第2リンク51が軸53にガイドされつつ図の下方へ押し下げられる。第2リンク51が押し下げられると、第1リンク50と当接解除部材27が支点28を中心に図の反時計回りに一体的に回転し、当接解除部材27の先端27aが分離部材23の基端23bから上方へ離間する。その結果、分離部材23には当接方向付勢手段26による付勢力のみが作用することになるため、分離部材23の基端23bが図の上方へ引き上げられると共に、先端23aが図の下方へ押し下げられて定着ローラ21に当接する。
【0078】
また、図6に示すように、定着装置20を画像形成装置本体に対して離脱させた状態にすると、ソレノイド30と本体リンク54は、定着装置本体とは分離され、画像形成装置本体に残される。また、定着装置20を画像形成装置本体から離脱させた状態では、当接解除方向付勢手段29の付勢力によって当接解除部材27が分離部材23の基端23bを押し下げているので、分離部材23の先端23aは定着ローラ21から離間した状態で保持されるようになっている。また、定着装置20のカバー部56には、画像形成装置本体側の本体リンク54が挿入される開口部57(図10参照)が形成されており、定着装置20の着脱時に、この開口部57を通して、画像形成装置本体側の本体リンク54と定着装置本体側の第2リンク51とが互いに係脱可能となっている。
【0079】
以上のように、上記本実施形態に係る定着装置20では、分離部材23の駆動手段としてのソレノイド30が定着装置本体に対して分離可能に構成されているので、ソレノイド30を定着装置20と一体的に交換しなくてもよくなる。このため、高コストな部品であるソレノイド30を、定着装置の製品寿命に関係なく継続して使用することができるので、経済的であり、交換コストの低コスト化を図れる。また、ソレノイド30は、周囲が高温となることにより吸引力が低下する傾向にあるが、本実施形態のようにソレノイド30を定着装置筐体内(カバー部56内)に設けないことで、ソレノイド30が定着装置20の熱の影響を受けにくくなり、吸引力の低下を抑制することが可能である。また、熱によるソレノイド30の吸引力低下を抑制できることで、より出力の小さい低電力なソレノイドを採用することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態では、ソレノイド30を定着装置本体から分離しても、当接解除方向付勢手段29の付勢力によって分離部材23を定着ローラ21から離間させておくことが可能である。このため、定着装置20を画像形成装置本体から取り外した状態で長期間に亘って放置しても、分離部材が当接することによる定着ローラ21の変形(永久歪み)が生じることがなく、定着不良の発生を防止できる。なお、上記実施形態では、分離部材23を離間した状態で位置決めする離間位置決め手段33を設けているが、この離間位置決め手段33は定着装置本体側に設けられているので、定着装置20を着脱しても、離間位置決め手段33によって分離部材23を所定の離間位置に位置決めしておくことができる。
【0081】
また、定着装置20を画像形成装置本体から取り外す前の状態(図4に示す状態)では、本体リンク54の係合部54dが第2リンク51の係合部51bに対して非接触状態となっているので、定着装置20を取り外す際に係合部54d,51b同士が干渉することがなく、取り外し作業をスムースに行うことができる。また、本実施形態の場合、ソレノイド30のプランジャ32の自重により、本体リンク54が第2リンク51に対して非接触となる方向へ付勢されるようになっているので、非接触状態を維持するための付勢手段を別途設ける必要がなく、低コスト化及び小型化を図ることが可能である。さらに、本体リンク54を非接触状態に位置決めするための非接触位置決め手段(回転止めピン54c及び位置決め部55a)によって、本体リンク54を確実に非接触状態となるように配置することができる。また、ソレノイド30と本体リンク54と非接触位置決め手段(回転止めピン54c及び位置決め部55a)とを、画像形成装置本体側に設けられた同一部材(本体定着側板55)に設けているため、本体リンク54の位置決め精度が向上する。
【0082】
また、本実施形態では、複数の分離部材23を一体的に接離可能に構成するのではなく、それぞれ独立して接離可能に構成しているので、分離部材23の寸法誤差や定着ローラ21の撓みや振れ等があっても、全ての分離部材23を定着ローラ21の表面に確実に当接させることができ、良好な分離性を安定して得られる。また、本実施形態に係る定着装置20は、複数の分離部材23に当接する当接解除部材27を設けていることにより、1つの駆動手段(ソレノイド30)によって複数の分離部材23を一様に接離操作することができる。このため、複数の分離部材23を駆動させるために、駆動手段を複数設ける必要がないので、各分離部材23の接離動作の信頼性が向上すると共に、装置の小型化及び低コスト化を図れる。
【0083】
また、図3に示すように、分離部材23が定着ローラ21に対して当接している状態では、当接解除部材27を分離部材23に接触させないことにより、分離部材23は当接解除部材27の影響を受けずに当接方向付勢手段26の付勢力のみによって定着ローラ21に当接する。これにより、分離部材23を定着ローラ21に対して適切な当接圧で当接させることが可能である。
【0084】
また、本実施形態では、分離部材23を定着ローラ21に当接させるときのみソレノイド30を駆動すればよい。一般に分離部材23が定着ローラ21に当接している時間は離間している時間に比べ短いため、分離部材23を当接させるときのみソレノイド30を駆動させる構成とすることで、ソレノイド30の通電率を低減させ、自己発熱によるプランジャ32の駆動力低下を抑制することが可能である。
【0085】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、図11に示すように、当接解除方向付勢手段29を分離部材23に直接設けた定着装置において、駆動手段としてのソレノイド30を定着装置本体から分離可能に構成してもよい。この場合も、上記と同様に、定着装置の交換時に駆動手段を分離して継続使用することができるので、交換コストの低減を図れると共に、駆動手段が定着装置から分離しても、分離部材を定着部材に対して離間した状態で保持することが可能である。また、本発明に係る定着装置を搭載する画像形成装置は、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、その他の複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
20 定着装置
21 定着ローラ(定着部材)
22 加圧ローラ(対向部材)
23 分離部材
26 当接方向付勢手段
27 当接解除部材
29 当接解除方向付勢手段
30 ソレノイド(駆動手段)
33 位置決め手段
50 第1リンク(リンク部材)
51 第2リンク(リンク部材)
54 本体リンク(リンク部材)
56 カバー部
57 開口部
P 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開平7−140831号公報
【特許文献2】特開平4−125583号公報
【特許文献3】特開2003−186336号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体上の現像剤像を定着させる定着装置、及びその定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、記録媒体上に担持されたトナー画像を定着させる定着装置として、加熱加圧方式の定着装置が多く採用されている。この種の定着装置は、一般的に、ハロゲンヒータ等の加熱源によって加熱される定着回転体と、これに接触して定着ニップを形成する加圧回転体とを備える。画像の定着処理を行う場合は、定着ニップに記録媒体を通過させて、記録媒体を加熱及び加圧し、記録媒体に担持されたトナー画像を加熱溶融させて定着させる。しかし、このとき溶融したトナーの粘着力によって記録媒体が定着回転体の表面に貼り付くことがあり、これにより記録媒体が定着ニップから良好に排出されなくなる不具合が生じる。
【0003】
上記不具合を解決するために、例えば特許文献1(特開平7−140831号公報)には、記録媒体を定着回転体から剥離(分離)させるために、定着回転体に対してカウンタ方向に先端が接触するブレード形状や楔形状の分離爪等の分離部材を備えた定着装置が提案されている。しかしながら、このような定着装置においては、分離部材を定着回転体に接触させた状態で定着回転体を回転させるため、経時的に定着回転体の表面が摩耗し、その結果、画像上に光沢ムラやスジ等のノイズが発生するといった問題がある。
【0004】
このような画像品質の問題を解決するために、特許文献2(特開平4−125583号公報)や特許文献3(特開2003−186336号公報)において、搬送される記録媒体を検知したセンサの検知信号に基づいて、ソレノイドが分離部材を定着装置から離間させる定着装置が提案されている。この定着装置によれば、通紙時にのみ分離部材を定着回転体に接触させ、それ以外のときは分離部材を定着回転体から離間させることができる。これにより、分離部材が定着回転体に接触している時間を削減することができるので、分離部材の接触による定着回転体の摩耗量が減少し、定着装置の寿命を延ばすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、画像形成装置に関する低コスト化の要求は、画像形成装置自体の低コスト化だけではなく、ユーザーが1ページ印刷するごとに負担するコストの低減も要求されるのが一般的である。従って、画像形成装置の製品寿命を長くすることと、交換ユニットの低コスト化が必要である。定着装置は定着回転体や加圧回転体等の消耗部品を搭載しているため、これを交換ユニットとすることにより、画像形成装置の製品寿命を長くすることができる。一方、画像形成装置の製品寿命まで使用可能な部品は、交換ユニットとしての定着装置内に搭載しない方が経済的である。
【0006】
例えば、上記特許文献2又は3に記載の定着装置において、定着装置を画像形成装置本体に対して着脱可能に構成した場合に、寿命が残っているソレノイドまで一緒に交換すると、不経済であり、交換コストが高コストとなる問題がある。また、この問題を解決するために、ソレノイドを定着装置から分離可能に構成することも考えられる。しかし、特許文献2又は3に記載の定着装置において、定着装置からソレノイドを分離すると、分離部材がバネの付勢力によって定着回転体に当接した状態で保持される。このため、何らかの理由で定着装置の製品寿命が終える前に定着装置からソレノイドを分離した状態で長期間放置した場合は、分離部材が当接することによる定着部材の変形(永久歪み)が生じ、その後に定着装置を使用する場合に定着不良が生じる虞がある。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑み、ソレノイド等の駆動手段を定着装置から分離可能に構成して交換コストの低減を図ると共に、前記駆動手段が定着装置から分離しても、分離部材を定着部材に対して離間した状態で保持することが可能な定着装置、及びその定着装置を備えた画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、加熱源によって加熱される定着部材と、前記定着部材に当接して定着ニップを形成する対向部材と、前記定着部材に当接し前記定着ニップを通過した記録媒体を前記定着部材から分離する分離部材を備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された定着装置において、前記分離部材と前記定着部材との当接を解除する方向に付勢力を作用させる当接解除方向付勢手段と、前記当接解除方向付勢手段の付勢力に抗して前記分離部材を前記定着部材に当接させる方向に駆動する駆動手段とを備え、前記駆動手段を定着装置本体に対して分離可能に構成したものである。
【0009】
駆動手段を定着装置本体に対して分離可能に構成することにより、駆動手段を定着装置と一体的に交換しなくてもよくなる。このため、駆動手段を定着装置の製品寿命に関係なく継続して使用することができるようになり、交換コストの低コスト化を図れる。また、駆動手段を定着装置本体から分離しても、当接解除方向付勢手段の付勢力によって分離部材を定着部材から離間させておくことができる。このため、定着装置から駆動手段を分離した状態で長期間に亘って放置しても、分離部材が当接することによる定着部材の変形(永久歪み)が生じることがなく、定着不良の発生を防止することが可能である。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の定着装置において、前記駆動手段を画像形成装置本体側に設けたものである。
【0011】
この場合、定着装置を画像形成装置本体から取り外した際、駆動手段は定着装置本体から分離されて画像形成装置本体側に駆動手段を残すことができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の定着装置において、前記駆動手段がソレノイドであって、前記ソレノイドを定着装置筐体外に設けたものである。
【0013】
この場合、高コストな部品であるソレノイドを、上記と同様に、定着装置の製品寿命に関係なく継続して使用することができるので、経済的であり、交換コストの低コスト化を図れる。また、ソレノイドは、周囲が高温となることにより吸引力が低下する傾向にあるが、ソレノイドを定着装置筐体外に設けることで、ソレノイドが定着装置の熱の影響を受けにくくなり、吸引力の低下を抑制することが可能である。また、熱によるソレノイドの吸引力低下を抑制できることで、より出力の小さい低電力なソレノイドを採用することが可能となる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の定着装置において、前記駆動手段の駆動力を受けて前記分離部材を前記定着部材に対して離間させるための複数のリンク部材を設け、それらのリンク部材のうち、駆動手段側に設けられたリンク部材と、定着装置本体側に設けられたリンク部材とを、係脱可能に構成したものである。
【0015】
このように、駆動手段側に設けられたリンク部材と、定着装置本体側に設けられたリンク部材とを、係脱可能に構成することにより、駆動手段が定着装置本体に対して分離可能となる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4に記載の定着装置において、前記駆動手段側に設けられたリンク部材と、前記定着装置本体側に設けられたリンク部材とが、画像形成装置本体に対する定着装置本体の離脱時に、互いに非接触となるように構成したものである。
【0017】
このように構成することで、定着装置本体を画像形成装置本体に対して離脱させる際に、リンク部材同士が干渉することがないため、離脱作業をスムースに行うことができるようになる。
【0018】
請求項6の発明は、請求項5に記載の定着装置において、前記駆動手段又は前記駆動手段側に設けられたリンク部材の自重により、当該リンク部材を前記定着装置本体側に設けられたリンク部材に対して非接触となる方向へ付勢するように構成したものである。
【0019】
この場合、リンク部材を非接触状態に維持するための付勢手段を別途設ける必要がないため、低コスト化及び小型化を図ることが可能である。
【0020】
請求項7の発明は、請求項6に記載の定着装置において、前記駆動手段側に設けられたリンク部材が前記定着装置本体側に設けられたリンク部材に対して非接触となるように位置決めする非接触位置決め手段を設けたものである。
【0021】
駆動手段側に設けられたリンク部材が非接触位置決め手段によって位置決めされることにより、当該リンク部材を定着装置本体側に設けられたリンク部材に対して確実に非接触状態となるように配置することができる。
【0022】
請求項8の発明は、請求項7に記載の定着装置において、前記駆動手段と前記駆動手段側に設けられたリンク部材と前記非接触位置決め手段とを、画像形成装置本体側に設けられた同一部材に配設したものである。
【0023】
駆動手段と駆動手段側に設けられたリンク部材と非接触位置決め手段とを、画像形成装置本体側に設けられた同一部材に設けることにより、リンク部材の位置決め精度が向上する。
【0024】
請求項9の発明は、請求項4から8のいずれか1項に記載の定着装置において、定着装置本体に設けられたカバー部に、前記駆動手段側に設けられたリンク部材を挿入して前記定着装置本体側に設けられたリンク部材に係合するための開口部を設けたものである。
【0025】
この開口部を通して、駆動手段側のリンク部材と定着装置本体側のリンク部材とを互いに係脱することができる。
【0026】
請求項10の発明は、請求項1から9のいずれか1項に記載の定着装置において、前記分離部材を前記定着部材に対して所定の離間位置に位置決めする離間位置決め手段を、前記定着装置本体側に設けたものである。
【0027】
離間位置決め手段を定着装置本体側に設けることにより、定着装置を着脱しても、離間位置決め手段によって分離部材を所定の離間位置に位置決めしておくことができる。
【0028】
請求項11の発明は、請求項1から10のいずれか1項に記載の定着装置を備えた画像形成装置である。
【0029】
画像形成装置が請求項1から10のいずれか1項に記載の定着装置を備えているので、これらの定着装置による上記効果が得られる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、定着装置の交換時に駆動手段を分離して継続使用することができるので、交換コストの低減を図れる。また、駆動手段が定着装置から分離しても、分離部材を定着部材に対して離間した状態で保持することが可能である。このため、定着装置から駆動手段を分離した状態で長期間に亘って放置しても、分離部材が当接することによる定着部材の変形(永久歪み)が生じることがなく、定着不良の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のカラー画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明に係る定着装置の概略構成図である。
【図3】本発明に係る定着装置の概略構成図である。
【図4】本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の構成を模式的に示した概略図である。
【図5】本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の構成を模式的に示した概略図である。
【図6】本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の構成を模式的に示した概略図である。
【図7】本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の構成を模式的に示した斜視図である。
【図8】本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の構成を模式的に示した斜視図である。
【図9】本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の構成を模式的に示した斜視図である。
【図10】本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の構成を模式的に示した斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る定着装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0033】
まず、図1に基づいて、本発明を適用する画像形成装置の全体構成について説明する。
図1は、本発明に係るカラー画像形成装置の概略構成図である。図1に示す画像形成装置本体100には、画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkが着脱可能に装着されている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。
【0034】
具体的には、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、像担持体(潜像担持体)としてのドラム状の感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体2の表面にトナー(現像剤)を供給する現像手段としての現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード5を備えている。なお、図1では、イエローのプロセスユニット1Yが備える感光体2、帯電ローラ3、現像装置4、クリーニングブレード5のみに符号を付しており、その他のプロセスユニット1C,1M,1Bkにおいては符号を省略している。
【0035】
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの上方には、感光体2の表面を露光する露光手段(静電潜像形成手段)としての露光装置6が配設されている。露光装置6は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体2の表面へレーザ光を照射するようになっている。
【0036】
また、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、転写装置7が配設されている。転写装置7は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト8を有する。中間転写ベルト8は、支持部材としての駆動ローラ9と従動ローラ10に張架されており、駆動ローラ9が図の反時計回りに回転することによって、中間転写ベルト8は図の矢印に示す方向に周回走行(回転)するように構成されている。
【0037】
4つの感光体2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11が配設されている。各一次転写ローラ11はそれぞれの位置で中間転写ベルト8の内周面を押圧しており、中間転写ベルト8の押圧された部分と各感光体2とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。各一次転写ローラ11は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が一次転写ローラ11に印加されるようになっている。
【0038】
また、駆動ローラ9に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。この二次転写ローラ12は中間転写ベルト8の外周面を押圧しており、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ12は、一次転写ローラ11と同様に、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ12に印加されるようになっている。
【0039】
また、中間転写ベルト8の図の右端側の外周面には、中間転写ベルト8の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置13が配設されている。このベルトクリーニング装置13から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、転写装置7の下方に配設された廃トナー収容器14の入り口部に接続されている。
【0040】
画像形成装置本体100の下部には、紙やOHP等のシート状の記録媒体Pを収容した給紙カセット15が配設されている。給紙カセット15には、収容されている記録媒体Pを送り出す給紙ローラ16が設けてある。一方、画像形成装置本体100の上部には、記録媒体を外部へ排出するための一対の排紙ローラ17と、排出された記録媒体をストックするための排紙トレイ18とが配設されている。
【0041】
また、画像形成装置本体100内には、記録媒体Pを給紙カセット15から二次転写ニップを通って排紙トレイ18へ搬送するための搬送路Rが配設されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ12の位置よりも記録媒体搬送方向上流側には一対のレジストローラ19が配設されている。また、二次転写ローラ12の位置よりも記録媒体搬送方向下流側には、定着装置20が配設されている。
【0042】
定着装置20は、加熱源によって加熱される定着部材としての定着ローラ21と、その定着ローラ21に当接して定着ニップを形成する対向部材としての加圧ローラ22と、定着ローラ21から記録媒体を分離させる分離部材23等を有する。本実施形態では、定着ローラ21と加圧ローラ22が図示しない加圧手段によって互いに圧接されることにより、圧接箇所において定着ニップが形成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、定着部材と対向部材の少なくとも一方を無端状ベルトとし、そのベルトをローラ又はパッド等によって相手側に圧接させる構成としてもよい。また、定着部材と対向部材は、互いに圧接する場合に限らず、加圧を行わす単に接触させるだけの構成とすることも可能である。
【0043】
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体2の表面が帯電ローラ3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体2の表面には、露光装置6からレーザ光がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像(現像剤像)として可視像化される。
【0044】
駆動ローラ9が図の反時計回りに回転駆動されることにより、中間転写ベルト8が図の矢印で示す方向に走行駆動される。また、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ11と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト8はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。また、中間転写ベルト8に転写しきれなかった各感光体2上のトナーは、クリーニングブレード5によって除去される。そして、図示しない除電手段によって、感光体2の表面が除電され、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0045】
また、作像動作が開始されると、給紙ローラ16が回転して、給紙カセット15から記録媒体Pが送り出される。送り出された記録媒体Pは、レジストローラ19によってタイミングを計られて、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ12には、中間転写ベルト8上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上のトナー画像が記録媒体P上に一括して転写される。その後、記録媒体Pは定着装置20へと搬送され、定着ローラ21と加圧ローラ22によって記録媒体Pが加熱及び加圧されてトナー画像が定着される。トナー画像が定着された記録媒体Pは、分離部材23によって定着ローラ21から分離され、排紙ローラ17によって排紙トレイ18へと排出される。また、転写後の中間転写ベルト8上に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置13によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー収容器14へ搬送され回収される。
【0046】
以上の説明は、記録媒体上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0047】
図2、図3は、本発明に係る定着装置と分離部材の接離機構の概略構成図である。
図2又は図3に示すように、定着装置20が有する定着ローラ21は、内部に配設された加熱源24によって加熱されるようになっている。そして、この加熱源24によって定着ローラ21が所定の目標温度まで加熱された状態で、未定着画像を担持した記録媒体Pが、図の矢印の方向に回転する定着ローラ21と加圧ローラ22との間の定着ニップNに進入することにより、記録媒体P上のトナーが溶融され、画像が定着される。
【0048】
定着ローラ21は、熱伝導性基体の周囲に弾性層を形成し、さらに被覆層で被覆された円筒状部材である。熱伝導性基体としては、所要の機械的強度を有し、熱伝導性の良好な炭素鋼材やアルミニウム材が主として用いられる。また、弾性層は、例えばシリコーンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴムで形成される。さらに、弾性層の外側(外周面)の被覆層は、トナーとの離型性を良好とすると共に、弾性層の耐久性を高めるためのもので、熱伝導率が高く耐熱性に富む材料で形成される。例えば、フッ素樹脂(PFA)チューブで被覆したもの、フッ素樹脂(PFA又はPTFE)塗料を塗布したもの、あるいはシリコーンゴム層やフッ素ゴム層を形成したもの等が被覆層として用いられる。
【0049】
加圧ローラ22は、芯金、その芯金の外側(外周)に形成された弾性層、及び弾性層を被覆する被覆層から成る円筒状部材である。芯金として、例えばSTKM等が用いられ、弾性層として、シリコーンゴムやフッ素ゴム、あるいはこれらの発泡体が用いられる。被覆層は例えば離型性に富むPFA,PTFA等の耐熱性フッ素樹脂のチューブで形成される。
【0050】
また、定着ローラ21の周囲には、図示しない温度検知手段としてのサーミスタや、異常温度防止用のサーモスタット等が配設され、サーミスタからの検出信号により、定着ローラ21の表面温度は所定の温度域内に維持されるように制御されている。
【0051】
定着ニップNよりも記録媒体搬送方向の下流側(図2又は図3の上側)には、分離部材23が定着ローラ21に対向して配設されている。本実施形態では、分離部材23は定着ローラ21の軸方向に渡って4個配設されている。ただし、分離部材23の個数は4個に限定されるものではない。各分離部材23は、支点25を中心に互いに独立して回転可能に支持されている。分離部材23が支点25を中心に図の時計回り又は反時計回りに回転することにより、各分離部材23の先端23aは定着ローラ21に対して(互いに独立して)接近離間するようになっている。図2は分離部材23が定着ローラ21に対して離間している状態を示し、図3は分離部材23が定着ローラ21に対して当接している状態を示す。
【0052】
また、図3において、定着ニップNの出口(記録媒体搬送方向の下流端部)から、分離部材23の先端23aが定着ローラ21に当接する当接位置までの距離Dは、本実施形態では5mm〜6mmに設定している。また、定着ニップNの出口から排出される記録媒体Pの挙動を確認し、記録媒体Pが定着ローラ21の表面から最も離間する位置で、分離部材23の先端23aが当接するように上記距離Dを設定することにより、分離部材23が記録媒体Pを分離する際に生じる負荷を低減することができ、記録媒体Pへのダメージを小さくすることが可能となる。
【0053】
分離部材23の素材としては、主にPFAやPEK、PEEK等の離型性や摺動性の良い材料を用いられる。また、分離部材23の表面をPFAやテフロン(登録商標)離型性や摺動性の良い材料でコーティングしてもよい。
【0054】
各分離部材23の先端23aとは反対側の基端23b側には、当接方向付勢手段26が配設されている。本実施形態では、当接方向付勢手段26として引張コイルバネを用いているが、設置スペースや製造コストなどの諸条件に応じて、その他の付勢手段を当接方向付勢手段26として用いることも可能である。この当接方向付勢手段26によって、各分離部材23は定着ローラ21に対して当接させる方向に付勢されている。
【0055】
また、各分離部材23の基端23b側には、分離部材23の定着ローラ21への当接を解除可能な当接解除部材27が配設されている。当接解除部材27は、支点28を中心に回転可能に支持されている。当接解除部材27が支点28を中心に図の時計回り又は反時計回りに回転することにより、当接解除部材27の分離部材23側の先端27aは分離部材23の基端23bに対して接近離間するようになっている。当接解除部材27は、定着ローラ21の軸方向と平行な方向に渡って延在しており、複数の分離部材23の全てに対して当接可能に構成されている。
【0056】
当接解除部材27の素材としては、軽量でかつ所要の機械的強度を有するPPSやPEK等の耐熱や耐摩耗性に優れた樹脂材量を用いることができる。本実施形態では、当接解除部材27の軸方向(長手方向)に渡る撓み防止の観点から、特に支点28となる回転軸部分をSUS材にて別体で形成しているが、装置の大きさや分離部材23への付勢力に応じて材料選定を行うことが望ましい。
【0057】
当接解除部材27に駆動連結された図示しないリンク部材には、分離部材23を定着ローラ21に対して離間させるように当接解除部材27を付勢する当接解除方向付勢手段29が配設されている。なお、図2、図3においては、模式的に当接解除部材27の基端27bに当接解除方向付勢手段29を配設している。当接解除方向付勢手段29により当接解除部材27の基端27bが引っ張られることによって、当接解除部材27の先端27aは分離部材23の基端23bに当接する方向に付勢されている。なお、設置スペースや製造コストなどの諸条件に応じて、その他の付勢手段を当接解除方向付勢手段29として用いることも可能である。
【0058】
また、当接解除部材27を駆動させる駆動手段としてソレノイド30が配設されている。ソレノイド30は、コイルを内蔵するソレノイド本体31と、前記コイル内で進退可能に装着されたプランジャ32を有する。進退可能なプランジャ32は、当接解除部材27に駆動連結された図示しないリンク部材に連結されている。なお、図2、図3においては、模式的に当接解除部材27の基端27bにプランジャ32を連結させている。そして、ソレノイド本体31内のコイルが励磁され、プランジャ32がソレノイド本体31内へ吸引されて後退することにより、当接解除部材27が駆動(回転)されるようになっている。
【0059】
各分離部材23の図の上側には、各分離部材23を所定の離間位置に位置決めする離間位置決め手段33が設けてある。このように、離間位置決め手段33を設けることにより、部品寸法のばらつきや部品組付けのばらつきがあっても、各分離部材23を定着ローラ21の表面に対して適切な離間量をもって保持可能となっている。
【0060】
定着ニップNよりも記録媒体搬送方向の上流側(図2又は図3の下側)には、記録媒体Pを検知する記録媒体検知手段34が配設されている。記録媒体検知手段34は、支点35を中心に揺動(又は回転)可能に支持された検知部36を有する。通常、検知部36は記録媒体Pの搬送路Rに交差した位置に配設されており(図2参照)、搬送される記録媒体Pが検知部36に接触することで検知部36が揺動し(図3参照)、記録媒体Pを検知する仕組みとなっている。また、記録媒体Pの通過後、検知部36は、自重又は図示しない捩りコイルバネ等の付勢手段によって元の位置に戻り、図示しない位置決め部に当接して図2に示す所定の位置に保持されるようになっている。
【0061】
記録媒体Pが検知部36と接触することによって記録媒体Pの搬送姿勢に傾き(スキュー)が生じないように、検知部36は搬送路Rの幅方向中央近傍に配設することが好ましい。このように検知部36を配設することで、記録媒体Pを正しい姿勢で搬送することができ、画像の歪みや紙シワの発生などを防止して搬送信頼性を確保できる。
【0062】
また、記録媒体検知手段34を、上記のような記録媒体に接触することによって記録媒体を検知する接触式検知手段でなく、記録媒体に接触せずに記録媒体を検知する非接触式検知手段とすることも可能である。非接触式検知手段としては、例えば、反射型や透過型の光センサを用いることができる。非接触式検知手段を用いた場合は、記録媒体Pの搬送姿勢に傾き(スキュー)が生じる虞はない。
【0063】
また、定着ニップNの記録媒体搬送方向の上流側で記録媒体の詰まりの発生を検知する詰まり検知手段を設けている場合は、これを記録媒体検知手段34として兼用してもよい。この場合は、記録媒体を検知するための専用の検知手段を設ける必要がなくなるので、装置の小型化や低コスト化を図れる。
【0064】
上記ソレノイド30は、記録媒体検知手段34の検知信号に基づいて駆動されるように構成されている。詳しくは、ソレノイド30と記録媒体検知手段34とが、制御部37及び駆動回路38を介して電気的に接続されている。前記制御部37は、内部にI/Oポートを有するCPUである。搬送される記録媒体Pが記録媒体検知手段34によって検知されると、その検知信号に基づいて制御部37は駆動回路38を介してソレノイド30を駆動させるように構成されている。
【0065】
以下、上記本発明に係る定着装置の動作について説明する。
図2に示す状態では、記録媒体検知手段34によって記録媒体Pは検知されていない。従って、ソレノイド30に駆動力は生じず、当接解除部材27はソレノイド30からの力は受けない。この場合、当接解除部材27は、当接解除方向付勢手段29からの付勢力を受けている。詳しくは、当接解除方向付勢手段29によって当接解除部材27の基端27bが図の上方に引っ張られていることにより、当接解除部材27には図の時計回り方向の力(回転モーメントM3)が作用している。この時計回り方向の力(回転モーメントM3)が作用することによって、当接解除部材27の先端27aは、各分離部材23の基端23bを図の下方に押圧した状態となっている。
【0066】
当接解除部材27が各分離部材23の基端23bを図の下方に押圧していることにより、各分離部材23には図の反時計回り方向の力(回転モーメントM2)が作用している。他方、当接方向付勢手段26によって各分離部材23の基端23bが図の上方に引っ張られていることにより、各分離部材23には時計回り方向の力(回転モーメントM1)が作用している。このように、各分離部材23には互いに逆向きの力(回転モーメントM1と回転モーメントM2)が作用しているが、ここでは反時計回り方向の力(回転モーメントM2)の方が時計回方向の力(回転モーメントM1)よりも大きいため、各分離部材23の先端23aは定着ローラ21から離間した状態となっている。
【0067】
すなわち、記録媒体Pが定着ニップNに供給されない状況では、当接解除方向付勢手段29が当接解除部材27を介して分離部材23に付与する当接解除方向の力(回転モーメントM2)を、当接方向付勢手段26が分離部材23に付与する当接方向の力(回転モーメントM1)よりも大きくなるようにしているので、各分離部材23の定着ローラ21への当接が解除されている。このように分離部材23を離間させておくことで、分離部材23の当接による定着ローラ21の摩耗を抑制することができ、良好な画像形成を長期に亘って維持することが可能である。また、各分離部材23は、離間位置決め手段33に当接しており、それぞれ所定の離間位置に保持されている。
【0068】
そして、図3に示すように、記録媒体Pが記録媒体検知手段34の検知部36に接触し、記録媒体Pが検知された場合、記録媒体検知手段34からの信号によって制御部37は駆動回路38を介してソレノイド30を駆動させる。詳しくは、ソレノイド30に所定の電流が印加されることにより、プランジャ32が吸引されソレノイド本体31内へ後退する。これにより、当接解除部材27の基端27bは図の下方に引っ張られ、当接解除部材27には図の反時計回り方向の力(回転モーメントM4)が作用する。他方、当接解除部材27には当接解除方向付勢手段29によって上記時計回り方向の力(回転モーメントM3)が作用しているが、この時計回り方向の力(回転モーメントM3)よりも、上記ソレノイド30による反時計回り方向の力(回転モーメントM4)の方が大きいので、当接解除部材27は図の反時計回りに回転する。その結果、当接解除部材27の先端27aが各分離部材23の基端23bから離間し、当接解除部材27による各分離部材23の押圧が解除される。
【0069】
当接解除部材27による各分離部材23の押圧が解除されると、各分離部材23には当接方向付勢手段26による上記時計回り方向の力(回転モーメントM1)のみが作用することになるため、各分離部材23は図の時計回り方向に回転して、それぞれの先端23aが定着ローラ21に当接する。そして、定着ニップNを通過した記録媒体Pが、分離部材23によって定着ローラ21から分離される。
【0070】
その後、記録媒体Pの後端が定着ニップNを通過すると、ソレノイド30に印加されていた電流が遮断される。これにより、プランジャ32の吸引が解除され、当接解除部材27は当接解除方向付勢手段29からの力(回転モーメントM3)によって各分離部材23を押圧する。そして、その押圧力によって、各分離部材23に再び図の反時計回り方向の力(回転モーメントM2)が作用する。上述したように、分離部材23に作用する反時計回り方向の力(回転モーメントM2)は、当接方向付勢手段26によって各分離部材23に作用する上記時計回り方向の力(回転モーメントM1)よりも大きいので、各分離部材23は図の反時計回りに回転し、それぞれの先端23aが定着ローラ21から離間する。以降、記録媒体Pが定着ニップに供給される度に、上記分離部材23の接離動作が繰り返し行われる。
【0071】
以下、図4〜図10に基づいて、本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の特徴部分の構成について説明する。
図4〜図6は、本発明に係る定着装置と分離部材の駆動部の構成を模式的に示した概略図であり、図7〜図10は、それらの斜視図である。詳しくは、図4は、分離部材23の先端23aが定着ローラ21に対して離間している状態を示す図、図5は、分離部材23の先端23aが定着ローラ21に対して当接している状態を示す図、図6は、定着装置20が画像形成装置本体から取り外された状態を示す図である。また、図7は、定着装置のカバー部(筐体)を取り外して内部を露出させた状態を示す図、図8は、図7に示す分離部材の駆動部を定着装置の内側から見た図、図9は、それを定着装置の外側から見た図である。また、図10は、定着装置にカバー部(筐体)が取り付けられた状態での分離部材の駆動部の連結構造を示す図である。
【0072】
図4に示すように、当接解除部材27とソレノイド30のプランジャ32は、リンク部材としての第1リンク50と第2リンク51と本体リンク54によって駆動連結されている。第1リンク50は、当接解除部材27の支点28を中心に当接解除部材27と所定の位相関係を維持しながら回転可能に支持されている。第1リンク50の前記支点28に支持された端部とは反対側の端部側には軸50aが配設されており、その軸50aには第2リンク51の一端(図の上端)が回転可能に取り付けられている。また、第2リンク51には長孔51aが設けられており、その長孔51aに定着フレーム52(図7参照)に配設された軸53が挿通されている。これにより、第2リンク51は、第1リンク50が支点28を中心に回転した際、軸53に対して摺接しつつ図の上下方向にスライド移動するようになっている。
【0073】
図4に示す状態では、当接解除方向付勢手段29の付勢力によって、第2リンク51が図の上方へ押し上げられている。これにより、第1リンク50と当接解除部材27が支点28を中心に図の時計回りに一体的に回転して、当接解除部材27の先端27aが分離部材23の基端23bを図の下方に押し下げることにより、分離部材23の先端23aが定着ローラ21から離間した状態で保持されている。
【0074】
また、第2リンク51の他端(図の下端)には、本体リンク54と係合するための切り欠き状の係合部51bが形成されている。一方、本体リンク54の一端(図の右端)には、第2リンク51の係合部51bと係合可能な凸状の係合部54dが設けてある。また、本体リンク54の他端(図の左端)には、ソレノイド30のプランジャ32と連結する連結部54aが設けられており、プランジャ32が図の上下方向に進退することにより、本体リンク54はその中間部付近に配設された支点54bを中心に回転するように構成されている。
【0075】
また、本体リンク54の回転を規制することにより、本体リンク54の係合部54dが第2リンク51の係合部51bに対して非接触となるように位置決めする非接触位置決め手段が設けられている。この非接触位置決め手段は、画像形成装置本体の本体定着側板55(図9参照)に設けられた位置決め部55aと、本体リンク54に設けられた回転止めピン54cとから成る。図4に示す状態(分離部材23の先端23aが定着ローラ21から離間した状態)では、ソレノイド30には電流が印加されていないため、プランジャ32の自重によって本体リンク54の係合部54d側の端部が上方へ付勢された状態となっているが、このとき、回転止めピン54cが位置決め部55aに当接することによって本体リンク54の回転が規制され、本体リンク54の係合部54dと第2リンク51の係合部51bとが非接触の状態で保持される。
【0076】
また、図4において、ソレノイド30と本体リンク54は、定着装置本体側(カバー部56内)には配設されておらず、画像形成装置本体側に配設されている。詳しくは、ソレノイド30と本体リンク54は、本体定着側板55に配設されている。一方、ソレノイド30と本体リンク54以外の部材、すなわち、定着ローラ21、加圧ローラ22、分離部材23、当接方向付勢手段26、当接解除部材27、当接解除方向付勢手段29、第1リンク50、第2リンク51、第1リンク50及び第2リンク51を支持する軸50a、第2リンク51をガイドする軸53、離間位置決め手段33は、それぞれ定着装置本体側(カバー部56内に)配設されている。
【0077】
図4に示す状態からソレノイド本体31内のコイルに電流が印加され、プランジャ32が吸引され図の上方に移動すると、図5に示すように、プランジャ32に連結された本体リンク54が支点54bを中心に図の時計回りに回転する。これにより、本体リンク54の係合部54dが第2リンク51の係合部51bと係合し、第2リンク51が軸53にガイドされつつ図の下方へ押し下げられる。第2リンク51が押し下げられると、第1リンク50と当接解除部材27が支点28を中心に図の反時計回りに一体的に回転し、当接解除部材27の先端27aが分離部材23の基端23bから上方へ離間する。その結果、分離部材23には当接方向付勢手段26による付勢力のみが作用することになるため、分離部材23の基端23bが図の上方へ引き上げられると共に、先端23aが図の下方へ押し下げられて定着ローラ21に当接する。
【0078】
また、図6に示すように、定着装置20を画像形成装置本体に対して離脱させた状態にすると、ソレノイド30と本体リンク54は、定着装置本体とは分離され、画像形成装置本体に残される。また、定着装置20を画像形成装置本体から離脱させた状態では、当接解除方向付勢手段29の付勢力によって当接解除部材27が分離部材23の基端23bを押し下げているので、分離部材23の先端23aは定着ローラ21から離間した状態で保持されるようになっている。また、定着装置20のカバー部56には、画像形成装置本体側の本体リンク54が挿入される開口部57(図10参照)が形成されており、定着装置20の着脱時に、この開口部57を通して、画像形成装置本体側の本体リンク54と定着装置本体側の第2リンク51とが互いに係脱可能となっている。
【0079】
以上のように、上記本実施形態に係る定着装置20では、分離部材23の駆動手段としてのソレノイド30が定着装置本体に対して分離可能に構成されているので、ソレノイド30を定着装置20と一体的に交換しなくてもよくなる。このため、高コストな部品であるソレノイド30を、定着装置の製品寿命に関係なく継続して使用することができるので、経済的であり、交換コストの低コスト化を図れる。また、ソレノイド30は、周囲が高温となることにより吸引力が低下する傾向にあるが、本実施形態のようにソレノイド30を定着装置筐体内(カバー部56内)に設けないことで、ソレノイド30が定着装置20の熱の影響を受けにくくなり、吸引力の低下を抑制することが可能である。また、熱によるソレノイド30の吸引力低下を抑制できることで、より出力の小さい低電力なソレノイドを採用することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態では、ソレノイド30を定着装置本体から分離しても、当接解除方向付勢手段29の付勢力によって分離部材23を定着ローラ21から離間させておくことが可能である。このため、定着装置20を画像形成装置本体から取り外した状態で長期間に亘って放置しても、分離部材が当接することによる定着ローラ21の変形(永久歪み)が生じることがなく、定着不良の発生を防止できる。なお、上記実施形態では、分離部材23を離間した状態で位置決めする離間位置決め手段33を設けているが、この離間位置決め手段33は定着装置本体側に設けられているので、定着装置20を着脱しても、離間位置決め手段33によって分離部材23を所定の離間位置に位置決めしておくことができる。
【0081】
また、定着装置20を画像形成装置本体から取り外す前の状態(図4に示す状態)では、本体リンク54の係合部54dが第2リンク51の係合部51bに対して非接触状態となっているので、定着装置20を取り外す際に係合部54d,51b同士が干渉することがなく、取り外し作業をスムースに行うことができる。また、本実施形態の場合、ソレノイド30のプランジャ32の自重により、本体リンク54が第2リンク51に対して非接触となる方向へ付勢されるようになっているので、非接触状態を維持するための付勢手段を別途設ける必要がなく、低コスト化及び小型化を図ることが可能である。さらに、本体リンク54を非接触状態に位置決めするための非接触位置決め手段(回転止めピン54c及び位置決め部55a)によって、本体リンク54を確実に非接触状態となるように配置することができる。また、ソレノイド30と本体リンク54と非接触位置決め手段(回転止めピン54c及び位置決め部55a)とを、画像形成装置本体側に設けられた同一部材(本体定着側板55)に設けているため、本体リンク54の位置決め精度が向上する。
【0082】
また、本実施形態では、複数の分離部材23を一体的に接離可能に構成するのではなく、それぞれ独立して接離可能に構成しているので、分離部材23の寸法誤差や定着ローラ21の撓みや振れ等があっても、全ての分離部材23を定着ローラ21の表面に確実に当接させることができ、良好な分離性を安定して得られる。また、本実施形態に係る定着装置20は、複数の分離部材23に当接する当接解除部材27を設けていることにより、1つの駆動手段(ソレノイド30)によって複数の分離部材23を一様に接離操作することができる。このため、複数の分離部材23を駆動させるために、駆動手段を複数設ける必要がないので、各分離部材23の接離動作の信頼性が向上すると共に、装置の小型化及び低コスト化を図れる。
【0083】
また、図3に示すように、分離部材23が定着ローラ21に対して当接している状態では、当接解除部材27を分離部材23に接触させないことにより、分離部材23は当接解除部材27の影響を受けずに当接方向付勢手段26の付勢力のみによって定着ローラ21に当接する。これにより、分離部材23を定着ローラ21に対して適切な当接圧で当接させることが可能である。
【0084】
また、本実施形態では、分離部材23を定着ローラ21に当接させるときのみソレノイド30を駆動すればよい。一般に分離部材23が定着ローラ21に当接している時間は離間している時間に比べ短いため、分離部材23を当接させるときのみソレノイド30を駆動させる構成とすることで、ソレノイド30の通電率を低減させ、自己発熱によるプランジャ32の駆動力低下を抑制することが可能である。
【0085】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、図11に示すように、当接解除方向付勢手段29を分離部材23に直接設けた定着装置において、駆動手段としてのソレノイド30を定着装置本体から分離可能に構成してもよい。この場合も、上記と同様に、定着装置の交換時に駆動手段を分離して継続使用することができるので、交換コストの低減を図れると共に、駆動手段が定着装置から分離しても、分離部材を定着部材に対して離間した状態で保持することが可能である。また、本発明に係る定着装置を搭載する画像形成装置は、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、その他の複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
20 定着装置
21 定着ローラ(定着部材)
22 加圧ローラ(対向部材)
23 分離部材
26 当接方向付勢手段
27 当接解除部材
29 当接解除方向付勢手段
30 ソレノイド(駆動手段)
33 位置決め手段
50 第1リンク(リンク部材)
51 第2リンク(リンク部材)
54 本体リンク(リンク部材)
56 カバー部
57 開口部
P 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開平7−140831号公報
【特許文献2】特開平4−125583号公報
【特許文献3】特開2003−186336号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱源によって加熱される定着部材と、前記定着部材に当接して定着ニップを形成する対向部材と、前記定着部材に当接し前記定着ニップを通過した記録媒体を前記定着部材から分離する分離部材を備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された定着装置において、
前記分離部材と前記定着部材との当接を解除する方向に付勢力を作用させる当接解除方向付勢手段と、前記当接解除方向付勢手段の付勢力に抗して前記分離部材を前記定着部材に当接させる方向に駆動する駆動手段とを備え、前記駆動手段を定着装置本体に対して分離可能に構成したことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記駆動手段を画像形成装置本体側に設けた請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記駆動手段がソレノイドであって、前記ソレノイドを定着装置筐体外に設けた請求項1又は2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記駆動手段の駆動力を受けて前記分離部材を前記定着部材に対して離間させるための複数のリンク部材を設け、それらのリンク部材のうち、駆動手段側に設けられたリンク部材と、定着装置本体側に設けられたリンク部材とを、係脱可能に構成した請求項1から3のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項5】
前記駆動手段側に設けられたリンク部材と、前記定着装置本体側に設けられたリンク部材とが、画像形成装置本体に対する定着装置本体の離脱時に、互いに非接触となるように構成した請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記駆動手段又は前記駆動手段側に設けられたリンク部材の自重により、当該リンク部材を前記定着装置本体側に設けられたリンク部材に対して非接触となる方向へ付勢するように構成した請求項5に記載の定着装置。
【請求項7】
前記駆動手段側に設けられたリンク部材が前記定着装置本体側に設けられたリンク部材に対して非接触となるように位置決めする非接触位置決め手段を設けた請求項6に記載の定着装置。
【請求項8】
前記駆動手段と前記駆動手段側に設けられたリンク部材と前記非接触位置決め手段とを、画像形成装置本体側に設けられた同一部材に配設した請求項7に記載の定着装置。
【請求項9】
定着装置本体に設けられたカバー部に、前記駆動手段側に設けられたリンク部材を挿入して前記定着装置本体側に設けられたリンク部材に係合するための開口部を設けた請求項4から8のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項10】
前記分離部材を前記定着部材に対して所定の離間位置に位置決めする離間位置決め手段を、前記定着装置本体側に設けた請求項1から9のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
加熱源によって加熱される定着部材と、前記定着部材に当接して定着ニップを形成する対向部材と、前記定着部材に当接し前記定着ニップを通過した記録媒体を前記定着部材から分離する分離部材を備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された定着装置において、
前記分離部材と前記定着部材との当接を解除する方向に付勢力を作用させる当接解除方向付勢手段と、前記当接解除方向付勢手段の付勢力に抗して前記分離部材を前記定着部材に当接させる方向に駆動する駆動手段とを備え、前記駆動手段を定着装置本体に対して分離可能に構成したことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記駆動手段を画像形成装置本体側に設けた請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記駆動手段がソレノイドであって、前記ソレノイドを定着装置筐体外に設けた請求項1又は2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記駆動手段の駆動力を受けて前記分離部材を前記定着部材に対して離間させるための複数のリンク部材を設け、それらのリンク部材のうち、駆動手段側に設けられたリンク部材と、定着装置本体側に設けられたリンク部材とを、係脱可能に構成した請求項1から3のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項5】
前記駆動手段側に設けられたリンク部材と、前記定着装置本体側に設けられたリンク部材とが、画像形成装置本体に対する定着装置本体の離脱時に、互いに非接触となるように構成した請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記駆動手段又は前記駆動手段側に設けられたリンク部材の自重により、当該リンク部材を前記定着装置本体側に設けられたリンク部材に対して非接触となる方向へ付勢するように構成した請求項5に記載の定着装置。
【請求項7】
前記駆動手段側に設けられたリンク部材が前記定着装置本体側に設けられたリンク部材に対して非接触となるように位置決めする非接触位置決め手段を設けた請求項6に記載の定着装置。
【請求項8】
前記駆動手段と前記駆動手段側に設けられたリンク部材と前記非接触位置決め手段とを、画像形成装置本体側に設けられた同一部材に配設した請求項7に記載の定着装置。
【請求項9】
定着装置本体に設けられたカバー部に、前記駆動手段側に設けられたリンク部材を挿入して前記定着装置本体側に設けられたリンク部材に係合するための開口部を設けた請求項4から8のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項10】
前記分離部材を前記定着部材に対して所定の離間位置に位置決めする離間位置決め手段を、前記定着装置本体側に設けた請求項1から9のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−118108(P2012−118108A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265108(P2010−265108)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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