説明

定着装置及び画像形成装置

【課題】定着ニップ部を形成する回転体と複数の分離板との微小ギャップを精度よく維持することが可能な定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着ニップ部を形成する2つの回転体と、複数の分離板14、複数の分離板14を前記回転体の軸方向に並べて保持する保持部材16からなり、前記2つの回転体の少なくともいずれか一方の回転体側に分離板14が該回転体に非接触状態となるように配置される分離板ユニット6と、を備え、分離板14は、該分離板14を収納するブラケット17を介して保持部材16に保持され、分離板14とブラケット17の間で前記回転体の軸方向に垂直な断面における該回転体表面と分離板14の先端との微小ギャップの距離を調整するギャップ調整機構が設けられ、ブラケット17と保持部材16との間で前記回転体の軸方向に対する分離板14の先端の傾きを調整する傾き調整機構が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及び該定着装置を備えるレーザビームプリンタ、デジタル複写機、普通紙ファックス等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
可視像形成のためにトナーを用いる画像形成装置においては、トナー画像を転写紙等の記録媒体に永久画像として定着するために定着装置が備えられている。その定着装置では、加熱され回転している定着ローラや定着ベルトの定着部材と、それに圧接・回転している加圧ローラや加圧ベルトの加圧部材によって形成された圧接部である定着ニップ部を記録媒体が通過することによって、記録媒体上に担持されたトナーが溶融され記録媒体上にトナー画像が定着される。
【0003】
ここで、主に樹脂で構成されているトナーは圧接部で溶融し、定着ローラや定着ベルトと粘着する性質があるため、トナーへワックス成分を付加したり、定着ローラや定着ベルト表面を離型性の材質で被覆したり、定着ローラや定着ベルト表面にシリコーンオイル等の離型剤を塗布したりする等の様々な手段を用いて定着ローラや定着ベルトとトナーが粘着することを防止している。
【0004】
さらには、分離爪を備えたシート分離機構を定着ローラや定着ベルトに付設して、溶融したトナーによって定着ローラや定着ベルトに巻き付こうとしている記録媒体を強制的に分離している。
【0005】
しかしながら、前記分離爪による分離手段では分離爪と定着ベルトや定着ローラ等の定着部材と摺接しているために、接触箇所にトナーが溜まり易く、あるときその溜まったトナーが脱離して、記録媒体を汚す等の不具合が発生している。さらに分離爪と定着部材である回転体とが摺動している為に、該回転体表面に離型材料を被覆している場合に摺動跡が回転体に発生し、寿命低下、更にはその摺動跡が記録媒体に異常画像として発生する等の課題が生じている。この課題は、加圧ローラや加圧ベルトに関しても同様である。
【0006】
また近年、定着装置の離型剤は取り扱い性が悪い等の理由でトナーにワックス成分を付加し、定着部材である回転体表面にシリコーンオイル等の離型剤を塗布することを無くす傾向にある為、上記課題は益々顕著になってきている。
【0007】
上記課題を解決するために、最大画像領域内では定着部材である回転体と非接触状態で近接して配置され記録媒体を分離する分離板等に関する発明が提案されている。
【0008】
しかしながら分離板等のように定着部材である回転体と非接触状態で分離爪と同等以上に分離性能を維持するには分離部先端と定着部材である回転体とのギャップ(隙間)を極力微小にし、0.1mm単位でその隙間を維持しなければならない。更に、分離部先端を定着ニップ部直後の極力近傍に配置する必要がある。
【0009】
ここで、分離部先端を定着ニップ部直後の極力近傍に配置する際には、分離板先端を配置する定着ニップ部直後の回転体表面の位置や駆動時の微小な変動、さらには定着ニップ部直後であるために、非常に狭い空間を考慮する必要がある。また、記録媒体のシワ防止や搬送性向上を目的として、定着ローラや加圧ローラ等が外形を正クラウン形状や逆クラウン形状としたローラとなっており、このようなローラと分離板とのギャップ管理においてそれぞれ均一に微小ギャップを維持することが課題の一つとなっている。
【0010】
これらの課題に対して、例えば、特許文献1では、分離ガイド先端と回転体とのギャップ(隙間)の管理を最大画像領域外に設けた突き当て部材によって行う発明が記載されている。
【0011】
しかしながら、この構成では分離ガイドが耐熱樹脂で一体成型された構成であることから、この分離ガイドは少なからずソリが発生し、熱の影響による変形も無視できず、軸方向全域に渡って0.1〜0.6mmのギャップ(隙間)を維持するのは困難であった。特に、近年はダウンサイズにおける定着性向上や断熱性向上を目的に、定着ローラの弾性層が肉厚になり低硬度なローラを用いることが多くなってきており、分離ガイドのみならず、定着ローラにも高精度に触れや撓みや熱膨張によるギャップ変動を抑えることが難しくなってきている。
【0012】
また同様に、特許文献2でも、分離板先端と回転体とのギャップ(隙間)の管理を突き当て部材によって行う発明が記載されている。しかしながら、分離板は軸方向に真っ直ぐな板であり、局所的な定着ローラや定着ベルト表層のギャップ維持には限界があった。また、定着ローラに正クラウン形状や逆クラウン形状等を設けた場合、分離板先端が軸方向に真っ直ぐであると、必ず軸方向で定着ローラや定着ベルト表層とのギャップに偏差が生ることから、その形状に合わせた微小ギャップ維持にも限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、以上の従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、定着ニップ部を形成する回転体と複数の分離板との微小ギャップを精度よく維持することが可能な定着装置、及び該定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。なお、カッコ内に本発明を実施するための形態において対応する部位及び符号等を示す。
〔1〕 圧接して定着ニップ部(定着ニップ部N)を形成する2つの回転体(定着ベルト2,加圧ローラ4)と、複数の分離板(分離板14,24)と、前記複数の分離板を前記回転体の軸方向に並べて保持する保持部材(保持部材16)と、からなり、前記2つの回転体の少なくともいずれか一方の回転体側に前記分離板が該回転体に非接触状態となるように配置される分離板ユニット(分離板ユニット6,6',6'')と、を備え、前記分離板ユニットは、前記分離板ごとに、前記回転体の軸方向に垂直な断面における該回転体表面と前記分離板の先端との微小ギャップの距離を調整するギャップ調整機構と、前記回転体の軸方向に対する前記分離板の先端の傾きを調整する傾き調整機構と、を有することを特徴とする定着装置(定着装置20、図1,図5〜図8,図10〜図12,図14)。
〔2〕 前記分離板は、該分離板を収納するブラケット(ブラケット17,27)を介して前記保持部材に保持されており、前記分離板と前記ブラケットの間で前記ギャップ調整機構が設けられ、前記ブラケットと前記保持部材との間で前記傾き調整機構が設けられることを特徴とする前記〔1〕に記載の定着装置(図8,図12)。
〔3〕 前記傾き調整機構は、前記ブラケットを、前記保持部材において前記回転体の軸方向の所定位置に位置決めするとともに、該回転体の軸方向に対して傾くように回転可能に支持するブラケット回転支持手段(ブラケット回転ボス16b,ブラケット回転穴17b)と、前記分離板の先端が前記回転体表面と平行となるように前記ブラケット回転支持手段において回転させた前記ブラケットを固定するブラケット傾き固定手段(固定ネジ19,調整穴16c,ネジ穴17c)と、を有することを特徴とする前記〔2〕に記載の定着装置(図8)。
〔4〕 前記傾き調整機構は、前記ブラケットを、前記保持部材において前記回転体の軸方向の所定位置に位置決めするとともに、該回転体の軸方向に対して傾くように回転可能に支持するブラケット回転支持手段(ブラケット回転軸2j、ブラケット回転穴27b)と、前記ブラケット回転支持手段において前記ブラケットをその回転方向に付勢しつつ前記分離板の先端が前記回転体表面と平行となる位置で前記ブラケットを保持するブラケット傾き保持手段(調整ネジ29、スプリング2b、ネジ穴)と、を有することを特徴とする前記〔2〕に記載の定着装置(図12)。
〔5〕 前記ギャップ調整機構は、前記ブラケットにおいて前記分離板の先端が前記回転体に接近しまたは離間する方向に、前記分離板を回転可能に支持する分離板回転支持手段(分離板回転軸14j,支持穴17a、分離板回転軸24j,支持穴27a)と、前記分離板回転支持手段において前記分離板をその回転方向に付勢しつつ前記回転体表面と前記分離板の先端との微小ギャップが所望の距離となる位置で前記分離板を保持する分離板回転保持手段(調整ネジ18,スプリング1a、ネジ穴16d、調整ネジ28,スプリング2a、ネジ穴16d)と、を有することを特徴とする前記〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載の定着装置(図8,図12)。
〔6〕 前記分離板ユニットは、前記回転体に当接して前記複数の分離板の先端を前記回転体から微小ギャップで離間させた非接触状態に保持する一対の突き当て部材(突き当て部材15)を前記保持部材に備えることを特徴とする前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の定着装置(図5,図10,図14)。
〔7〕 前記分離板は、硬質の基材(基材14a、24a)と、前記基材よりも柔らかいフッ素樹脂からなる先端部(先端部14b、24b)とがインサート成型により一体的に成形されてなることを特徴とする前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の定着装置(図6,図11)。
〔8〕 前記分離板ユニットは、前記分離板の記録媒体搬送方向下流側に配置され、前記定着ニップ部から排出される記録媒体を案内するガイド部材(ガイド部材1g、2g)を有しており、記録媒体の搬送経路側において、前記ガイド部材の一部(凸部1gt、2gt)が前記分離板の中央部に設けられた穴(挿入穴14c、24c)に入り込むように延伸していることを特徴とする前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の定着装置(図6,図9,図11,図13)。
〔9〕 前記分離板は、記録媒体の搬送経路側に、従動コロ(従動コロ2gr)を有することを特徴とする前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の定着装置(図14,図15)。
〔10〕 前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の定着装置(定着装置20)を備えることを特徴とする画像形成装置(画像形成装置100、図16)。
【発明の効果】
【0015】
本発明の定着装置によれば、傾き調整機構及びギャップ調整機構により複数の分離板それぞれについて、傾き調整とギャップ調整を行うことで、対象の回転体が正クラウン形状や逆クラウン形状であったとしても、分離板を配置したそれぞれの箇所において軸方向に平行な回転体表層に対する分離板の先端の傾きを調整し、回転体表層に合わせて軸方向に垂直な断面における微小ギャップを調整するので、分離板ユニット全体で精度良く均一且つ微小に分離板の先端と加圧ローラ表層との隙間を調整することができ、分離性能の向上を図ることが可能となる。また、分離板の先端の回転体に対する位置が非接触状態で固定されるので、記録媒体の衝突で分離板が回転体表層に接触して傷つけることを防止することができる。
本発明の画像形成装置によれば、本発明の定着装置を備えるので、定着ニップ部におけるジャムを発生させることなく、安定して画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る定着装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明に係る定着装置の構成を示す側面図である。
【図3】本発明に係る定着装置の加熱ローラ周辺の構成を示す側面図である。
【図4】本発明に係る定着装置の加熱ローラ周辺を定着装置の斜め上から見た図である。
【図5】本発明で用いる分離板ユニットの第1の構成例を示す斜視図である。
【図6】分離板の構成(1)を示す図である。
【図7】図5の分離板ユニットにおける分離板及びその周辺部の構成を示す斜視図である。
【図8】図7で示した分離板のギャップ調整機構及び傾き調整機構に関する分解図である。
【図9】図5の分離板ユニットにおける分離板とその記録媒体搬送方向下流側に配置されるガイド部材の構成を示す図である。
【図10】本発明で用いる分離板ユニットの第2の構成例を示す斜視図である。
【図11】分離板の構成(2)を示す図である。
【図12】図10で示した分離板のギャップ調整機構及び傾き調整機構に関する分解図である。
【図13】図10の分離板ユニットにおける分離板とその記録媒体搬送方向下流側に配置されるガイド部材の構成を示す図である。
【図14】図10の分離板ユニットにおける分離板とその記録媒体搬送方向下流側に配置されるガイド部材の別の構成を示す斜視図である。
【図15】図14の分離板ユニットにおける分離板とガイド部材の構成を示す断面図である。
【図16】本発明に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る定着装置及び画像形成装置の構成について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る定着装置の構成を示す概略図である。
図1に示すように、本発明に係る定着装置20は、定着ローラ1及び加熱ローラ3に一定のテンションで架け渡され、表面がヒータ3hにより加熱ローラ3を介して加熱される定着ベルト2と、定着ベルト2に対して回転自在に圧接し定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ4と、定着ニップ部Nの記録媒体排出側であって分離板が定着ベルト2に近接して配置され定着ベルト2への記録媒体の巻き付きを防止する分離板ユニット5と、定着ニップ部Nの記録媒体排出側であって分離板が加圧ローラ4に近接して配置され加圧ローラ4への記録媒体の巻き付きを防止する分離板ユニット6と、を備える。
【0018】
ここで、定着ベルト2は、内径80mmの無端ベルトであり、断面構造としては、例えば厚さ90μmのポリイミド(PI)基材に厚み200μmのシリコーンゴム層を形成し、さらにその上に最外層として厚さ20μmのPFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)層をコーティングにより形成した3層構造となっている。
【0019】
定着ローラ1は、外径54mmで厚み15mmのシリコーンゴムまたはフッ素ゴムからなる耐熱・弾性層を有した構成である。また、加熱ローラ3は、外径40mmで厚み1mm以下のアルミ製中空円筒からなり、内部にハロゲンヒータなどのヒータ3hを備えている。
【0020】
加圧ローラ4は、鋼製で厚み1mmの中空芯金に厚み1.5mmのシリコーンゴムが覆っており、最外層にはPFAチューブを備えた外径65mmのローラであり、内部にハロゲンヒータなどのヒータ4hを備えている。また、加圧ローラ4は、図示していない加圧機構4aにより一定の圧力で定着ローラ1の方向へ押されることにより、定着ベルト2へ押し当てられ定着ニップ部Nを形成する。本構成では、加圧ローラ4は定着ベルト2を介して定着ローラ1に対して4mm食い込み、およそ16mmのニップ幅を形成する。
【0021】
定着装置20の駆動の際には、加圧ローラ4が定着ベルト2に押圧された状態で、不図示の駆動機構により加圧ローラ4が図中反時計回り方向に回転し、これに伴い定着ベルト2、定着ローラ1、加熱ローラ3が連れ周りするようになり、定着ベルト2が記録媒体を排出する方向(図1では時計回り方向)に駆動される。また、定着の際には、定着ベルト2は、加熱ローラ3内部の配置されたヒータ3hによりトナー定着に適する温度まで加熱される。
【0022】
なお、本発明では、定着部材として、図1に示す定着ベルト方式の形態を示したが、これに限定されるものではなく、中空円筒形状のローラ(定着ローラ)からなる定着ローラ方式としてもよい。また、本発明でいう回転体とは、定着部材(定着ベルト2、定着ローラ方式にあっては定着ローラ)と加圧部材(加圧ローラ4、加圧ベルト方式にあっては加圧ベルト)である。
【0023】
また、図1及び図2に示すように、定着ニップ部Nの排出側であって定着ベルト2側には記録媒体を定着ベルト2から剥離するために分離板ユニット5を備えている。図2は、定着装置20を側面から見た図である。
分離板ユニット5は、図2に示すように、紙詰まり(ジャム)を起したときに、記録媒体を除去できるように、分離板ユニット5全体が定着ニップ部N出口部分から退避して、その部分を露出させることができる構成となっている。また、分離板ユニット5を定着ニップ部N出口に装着するときには、分離板ユニット5の分離手段回転軸10が定着ローラ1を保持した定着側板20fに設けられた回転軸受け溝11に嵌め込まれ、分離手段回転軸10は定着ローラ1に対して高精度な位置決めをして配置することができる。そして、分離手段回転軸10を中心に分離手段(分離板及び突き当て部材)が回動自在な構成となっているところ、引張りスプリング12の弾性力が分離手段の分離手段回転軸10を中心とした定着ベルト2側へ付勢される方向への回転に作用し、分離手段のうち突き当て部材が定着ベルト2を介して定着ローラ1に押し当てられて分離板の先端が定着ベルト2に対して所定の微小ギャップの非接触状態で配置されるようになる。
【0024】
また、図1、図3及び図4に示すように、定着ニップ部Nの排出側であって加圧ローラ4側にも記録媒体を加圧ローラ4から剥離するための分離板ユニット6を備えている。図3は、定着装置20を側面から見た図であり、図4は、定着装置20を斜め上から見た図である。いずれの図も定着ローラ1等を含む上部構成は省略している。
分離板ユニット6は、図3(a),図4(a)に示すように、加圧ローラ4のユニットと一体となるように固定された構成となっており、加圧機構4aによる加圧ローラ4の定着ローラ1への加圧・脱圧動作時には加圧ローラ4とともに移動するようになっている。
【0025】
また、分離板ユニット6においても、分離手段回転軸10を中心に分離手段(分離板及び突き当て部材)が回動自在な構成となっており、ここではトーションスプリング13の弾性力が分離手段回転軸10よりも分離手段側に設けられた受け部材16aに作用することにより(図3(b)、図4(b),(c))、分離手段が分離手段回転軸10を中心として加圧ローラ4側へ付勢される方向へ回転するようになり、分離手段のうち突き当て部材が加圧ローラ4に押し当てられて分離板の先端が加圧ローラ4に対して所定の微小ギャップの非接触状態で配置されるようになる(図3(a)、図4(a))。
【0026】
定着装置20では、図1に示すように、定着ベルト2、加圧ローラ4が定着ニップ部Nを形成するとともに回転駆動された状態で、定着ベルト2の表面は所定の温度まで加熱されており、未定着トナーが形成された記録媒体が入口ガイド板9に案内されて定着ニップ部Nに通され、定着ニップ部Nにおける加圧及び加熱により未定着トナーを記録媒体上に熱融着させて定着を行なう。ついで、トナー定着された記録媒体は定着ニップ部Nから排出されるが、このとき記録媒体が定着ベルト2に巻き付いたまま出てくることがある。その場合には、分離板ユニット5の分離板の先端部が記録媒体の先頭端部に当接することにより、該記録媒体を定着ベルト2から分離させるようになっている。また、記録媒体が加圧ローラ4に巻き付いたまま出てくる場合には、分離板ユニット6の分離板の先端部が記録媒体の先頭端部に当接することにより、該記録媒体を加圧ローラ4から分離させるようになっている。
定着ニップ部Nから排出された記録媒体は、その後、中継排紙ガイド下ユニット7と排紙ガイド板ユニット8の案内によって定着装置20から送り出される。
【0027】
なお、本発明の画像形成装置(後述)では、両面印刷の機能を有しており、定着装置20では、両面印刷の第2面定着時に第1面(印刷済みの面)が加圧ローラ4と接触するようになる。このとき、従来の定着装置のように、加圧ローラ4に分離爪が接触する構成では、分離爪により傷ついた加圧ローラ4表面が第1面の画像に悪影響を及ぼすことから、加圧ローラ4表面が傷つかないように、分離板ユニット6における分離板は加圧ローラ4に対して非接触の状態とする必要があった。
【0028】
ここで、両面印刷の場合には、第2面定着時に第1面(印刷済みの面)が加圧ローラ4と接触し、貼り付き易くなるため、分離板ユニット6における分離板は加圧ローラ4に対して所定の微小ギャップ量で精度よく配置する必要があった。とくに、加圧ローラ4は、比較的硬いものである(少なくとも定着ニップ部Nを形成するときに定着部材側に食い込む程度に硬いものである)ことから、分離板ユニット6の分離板先端と加圧ローラ4との微小ギャップ量を定着部材(定着ベルト2)に対する場合(例えば、微小ギャップ量0.3mm)よりも小さくする必要があった(例えば、微小ギャップ量0.1mm)。また、分離板ユニット6の部品精度からすると、微小ギャップは加圧ローラ4の軸方向に配列される複数の分離板それぞれで調整する必要があった。
また、加圧ローラ4は、通常、軸方向にフラットなローラではなく、軸方向端部に向かうに従って大径となる逆クラウンをつけたローラ(つづみローラ)あるいは正クラウンをつけたローラ(太鼓ローラ)であることから、加圧ローラ4の軸方向に配列される複数の分離板それぞれの先端が該軸方向に水平な状態のままでは目標の微小ギャップ量に精度よく調整することは困難であった。
【0029】
発明者は、この問題を解決すべく鋭意検討を行い、分離板ユニットの構造に工夫を施すことにより、本発明を成すに至った。以下、本発明の根幹を成す分離板ユニットの構成について説明する。
【0030】
[分離板ユニット(第1の構成例)]
まず、本発明に係る定着装置に適用される分離板ユニットの第1の構成例について説明する。
図5は、分離板ユニット6の構成を示す斜視図であり、図1において記録媒体搬送経路側から見た図である。なお、分離板ユニット6の長手方向が加圧ローラ4の軸方向となる。
【0031】
分離板ユニット6は、図5に示すように、複数の分離板14(図4では7つの分離板14)と、一対の突き当て部材15と、長手方向両端に分離手段回転軸10及び受け部材16aを有し複数の分離板14及び一対の突き当て部材15を分離手段回転軸10方向(分離板ユニット長手方向)に並べて保持する保持部材(ステーともいう)16と、からなり、定着装置20において加圧ローラ4側に該加圧ローラ4の軸と保持部材16の分離手段回転軸10とが略平行となるように配置されるものである。また、分離板ユニット6は、記録媒体搬送経路側にガイド部材1gを有する。
【0032】
ここで、分離板14は、定着ニップ部Nから排出される記録媒体が衝突しても変形しない程度の強度と、万が一先端が加圧ローラ4に接触しても加圧ローラ4表面を傷つけない程度の柔軟性と、トナーが付着しにくいトナー離型性を有していることが好ましい。
【0033】
図6は、分離板14の構成例を示した図である。図6(a)は、分離板14の斜視図、図6(b)は、分離板14の上面図、図6(c)は図6(b)におけるA−A断面図である。
【0034】
分離板14は、図6に示すように、フッ素樹脂より硬い材料からなり先端側に所定の幅をもつように板金加工された基材14aと、基材14aの先端に基材14aよりも柔らかいフッ素樹脂がインサート成形によって一体的に成形された先端部14bと、からなるものである。なお、基材14aは、板金加工品でなくても、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)やピーク材等の硬質な樹脂材でも構わない。
【0035】
ここで、基材14aには、後述するギャップ調整機構に関するものとして、先端部14bとは反対側の端部に設けられる貫通穴14hと、先端部14bと貫通穴14hとの中間において先端部14bの幅方向に対応して両方向に延設される分離板回転軸14jが設けられている。また、基材14aの先端部14b側の幅方向中央部に、ガイド部材1gの一部(凸部1gt)が挿入される挿入穴14cが設けられている(後述)。
【0036】
先端部14bは、耐熱性、トナー離型性に優れるフッ素樹脂からなる。とくに、離型性の高いテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)とすることにより、トナー堆積・付着に対してより有利になり、先端部14b表層へのトナー堆積・付着がしにくいため、先端部14bにおいてトナーが画像面と擦れて異常画像となることがなく、良好な画像品質を得られる。また、非攻撃性に優れた樹脂を先端部14bに使用しているので、相手部材に傷を付ける等の不具合を防ぐことができる。さらに、先端部14bは、加圧ローラ4との摺動性にも優れているため、万が一先端部14bが加圧ローラ4に接触しても加圧ローラ4に傷が付き難い。
【0037】
なお、先端部14bを構成するフッ素樹脂は非常に柔らかく、それ単体では外圧によって変形したり、熱によっても変形が発生する可能性があるために狙いの微小ギャップに調整することが非常に困難であるが、先端部14bとしての剛性は基材14aにより確保されているために記録媒体の詰まり等の外圧が加わっても変形することがない。また先端部14bの先端近傍まで基材14aがいきわたっているため、高精度に先端部14bの位置を維持することができ、熱による変形によって先端部14bと加圧ローラ4との微小ギャップが狂うこともない。
【0038】
突き当て部材15は、先端に曲率半径R0.5mmの曲率形状を有した位置決め部材であり、保持部材16において、最大画像領域外となる両端それぞれに配置されている。この一対の突き当て部材15が、前述のようにトーションスプリング13の弾性力が作用して、加圧ローラ4の表面に所定圧力で接触することにより、定着ニップ部N直後の加圧ローラ4に対して分離板14を非接触な状態で配置することができる。
【0039】
分離板ユニット6は、前述のように分離手段回転軸10を中心に分離手段(分離板14及び突き当て部材15)が回動自在に加圧ローラ4のユニットに固定される構成となっている。そして、トーションスプリング13の弾性力が分離手段回転軸10よりも分離手段側に設けられた受け部材16aに作用することにより、分離手段(分離板14及び突き当て部材15)が分離手段回転軸10を中心として加圧ローラ4側へ付勢される方向へ回転するようになり、突き当て部材15が加圧ローラ4に押し当てられて分離板14の先端が加圧ローラ4に対して所定の微小ギャップの非接触状態で配置されるようになっている。
【0040】
また、分離板ユニット6は、分離板14ごとに、加圧ローラ4の軸方向に垂直な断面における加圧ローラ4の表面と分離板14の先端との微小ギャップの距離(微小ギャップ量)を調整するギャップ調整機構と、加圧ローラ4の軸方向に対する分離板14の先端の傾きを調整する傾き調整機構と、を有する。
【0041】
図7,図8に、その具体的構成を示す。
図7は、分離板ユニット6における分離板14及びその周辺部の構成を示す斜視図である。図7(a)は、図5の分離板ユニット6においてガイド部材1gを取り外した状態を示す全体図、図7(b)は、1つの分離板14の構成を示す拡大図である。
【0042】
分離板ユニット6における分離板14は、図7(b)に示すように、分離板14を収納するブラケット17を介して保持部材16に保持されており、分離板14とブラケット17の間で前記ギャップ調整機構が設けられ、ブラケット17と保持部材16との間で前記傾き調整機構が設けられている。なお、ブラケット17は、箱型の板金加工品(あるいは射出成形品)である。
【0043】
そして、ギャップ調整機構としては、分離板14に配置された調整ネジ18を調整することによって、軸方向に垂直な断面における、分離板14の先端と加圧ローラ4表面との距離(微小ギャップ量)を調整することができる。
【0044】
また、傾き調整機構としては、保持部材16に設けられた固定ネジ19を緩めてブラケット17の加圧ローラ4に対する傾きを調整することによって、加圧ローラ4表面の軸方向に対する分離板14の先端の傾きを調整することができ、ついで固定ネジ19を締めることによってその傾き位置を固定することができる。
【0045】
図8は、図7で示した分離板14のギャップ調整機構及び傾き調整機構に関する分解図である。
(ギャップ調整機構)
ギャップ調整機構は、ブラケット17において分離板14の先端が加圧ローラ4表面に接近しまたは離間する方向に、分離板14を回転可能に支持する分離板回転支持手段(分離板回転軸14j,支持穴17a)と、前記分離板回転支持手段において分離板14をその回転方向に付勢しつつ加圧ローラ4表面と分離板14の先端との微小ギャップが所望の距離となる位置で分離板14を保持する分離板回転保持手段(調整ネジ18,スプリング1a、ネジ穴16d)と、を有する構成となっている。
【0046】
すなわち、図8に示すように、分離板14は、分離板14のボディ部に加圧ローラ4の軸方向となる方向に延設された分離板回転軸14jがブラケット17に設けられた支持穴17aに挿入されることにより、該分離板回転軸14jを中心に回動自在にブラケット17に保持されている(分離板回転支持手段)。ついで、この分離板14及びブラケット17を保持部材16の所定位置に配置し、保持部材16(あるいはブラケット17)と分離板14との間にスプリング1aが挟まれる状態として、スプリング1aの弾性力により分離板14に分離板回転軸14jを中心とした回転モーメントが付与されるようになっている。そして、調整ネジ18が、分離板14の基材14aに設けられた貫通穴14hからスプリング1aを通して保持部材16のネジ穴16dにネジ締結されており、この調整ネジ18のネジ穴16dへのねじ込み状態を調整することにより、加圧ローラ4の軸方向に垂直な断面において分離板14の先端の加圧ローラ4表面に対する位置を変位させることが可能となる(分離板回転保持手段)。なお、スプリング1aの弾性力が作用する方向(分離板回転軸14jを中心とした回転モーメント)は図8に示した構成とは反対方向(加圧ローラ4側に付勢する方向)としてもよい。
この調整作業により、分離板14ごとに、加圧ローラ4の軸方向に垂直な断面における先端部14bと加圧ローラ4表層に対する微小ギャップを調整ネジ18の締め加減によってアナログ的に精度良く調整することができる。
【0047】
(傾き調整機構)
傾き調整機構は、ブラケット17を、保持部材16において加圧ローラ4の軸方向の所定位置に位置決めするとともに、加圧ローラ4の軸方向に対して傾くように回転可能に支持するブラケット回転支持手段(ブラケット回転ボス16b,ブラケット回転穴17b)と、分離板14の先端が加圧ローラ4表面と平行となるように前記ブラケット回転支持手段において回転させたブラケット17を固定するブラケット傾き固定手段(固定ネジ19,調整穴16c,ネジ穴17c)と、を有する構成となっている。
【0048】
すなわち、図8に示すように、ブラケット17に設けられたブラケット回転穴17bに分離板ユニット6の保持部材16に設けられたブラケット回転ボス16bが嵌合された構成であり、これによりブラケット17は、保持部材16に対してブラケット回転ボス16bを中心に回動自在に保持されている(ブラケット回転支持手段)。ついで、そのブラケット17の回転位置(傾き)は、固定ネジ19を保持部材16に設けられた調整穴16cを通してブラケット17に設けられたネジ穴17cと締結して固定される(ブラケット傾き固定手段)。すなわち、分離板ユニット6が加圧ローラ4のユニットに装着されている状態で、まずネジ穴17cに締結されている固定ネジ19を緩めて、ブラケット17が保持部材16に対して回転可能な状態として、分離板14の先端部14bの加圧ローラ4の軸方向に対する傾きを調整し、ついでその傾けた状態で再び固定ネジ19を締めつけることにより、ブラケット17を保持部材16に固定する。なお、調整穴16cは、ブラケット17が回転してもネジ穴17cがその調整穴16cを通して固定ネジ19でネジ止め可能な程度の大きさをもつ穴である。
この調整作業により、分離板14ごとにその先端部14bの加圧ローラ4表層に対する傾きを調整しその位置を固定することが可能である。
【0049】
分離板ユニット6における分離板14ごとの先端部14bのギャップ及び傾きの調整はつぎのように行う。
まず、分離板ユニット6が加圧ローラ4のユニットに装着されている状態で、分離板14の先端部14bの幅方向における加圧ローラ4とのギャップ量をCCDなどによりモニターすることで測定しながら、前述した傾き調整機構により分離板14の先端部14bの傾きを調整し、先端部14bの幅方向において加圧ローラ4とのギャップ量が等しくなるようにする。
つぎに、分離板14の先端部14bと加圧ローラ4とのギャップ量をCCDなどによりモニターすることで測定しながら、前述したギャップ調整機構により先端部14bの加圧ローラ4表面に対する位置を変位させ、先端部14bと加圧ローラ4との微小ギャップ量を所定値とする。
【0050】
このように、最大画像領域内に複数個(本実施形態では7個)備えた分離板14それぞれについて、傾き調整とギャップ調整を行うことにより、加圧ローラ4が正クラウン形状や逆クラウン形状であったとしても、分離板14を配置したそれぞれの箇所において軸方向に平行な加圧ローラ4表層に対する先端部14bの傾きを調整し、加圧ローラ4表層に合わせて軸方向に垂直な断面における微小ギャップを調整するので、分離板ユニット6全体で精度良く均一且つ微小に分離板14の先端部14bと加圧ローラ4表層との隙間を調整することができ、分離性能の向上を図ることが可能となる。
【0051】
図9は、分離板ユニット6における分離板14とその記録媒体搬送方向下流側に配置されるガイド部材1gの構成を示した図である。このうち、図9(a)は、分離板ユニット6の全体構成を示す斜視図、図9(b)は、分離板ユニット6の断面図である。
分離板ユニット6は、図9に示すように、分離板14の記録媒体搬送方向下流側に配置され、定着ニップ部Nから排出される記録媒体を案内するガイド部材1gを有しており、記録媒体の搬送経路(図9(b)中の矢印)側において、ガイド部材1gの一部が分離板14の中央部に設けられた挿入穴14cに入り込むように延伸している。すなわち、ガイド部材1gには、分離板14の先端部14b側に延伸された凸部1gtを有しており、ガイド部材1gが分離板ユニット6に装着されると、凸部1gtが分離板14の挿入穴14cに挿入されるようになっている。
【0052】
これにより、通常では分離板14の先端部14bの記録媒体搬送方向下流側にガイド部材1gの端部が記録媒体の先端が引っ掛かる段差となって、紙詰まりの原因となるところ、先端部14bの挿入穴14cにガイド部材1gの一部(凸部1gt)が入り込み、段差がなくなることから、分離板14によって分離した記録媒体をその下流のガイド部材1gにスムーズに受け渡すことができ、分離板14とガイド部材1gとの隙間で紙詰まりを発生する不具合を防止することが可能となる。
【0053】
[分離板ユニット(第2の構成例)]
つぎに、本発明に係る定着装置に適用される分離板ユニットの第2の構成例について説明する。
なお、本構成例は、第1の構成例において、分離板14ごとに設けられるギャップ調整機構及び傾き調整機構の構成が異なるだけであるため、分離板ユニット6’としてその部分の構成について説明する。
【0054】
図10〜図12に、その具体的構成を示す。
図10は、分離板ユニット6’における分離板24及びその周辺部の構成を示す斜視図である。図10(a)は、分離板ユニット6’においてガイド部材1gを取り外した状態を示す全体図、図10(b)は、1つの分離板24の構成を示す拡大図である。
【0055】
分離板ユニット6’における分離板24は、図10(b)に示すように、分離板24を収納するブラケット27を介して保持部材16に保持されており、分離板24とブラケット27の間で前記ギャップ調整機構が設けられ、ブラケット27と保持部材16との間で前記傾き調整機構が設けられている。
【0056】
そして、ギャップ調整機構としては、分離板24に配置された調整ネジ28を調整することによって、軸方向に垂直な断面における、分離板24の先端と加圧ローラ4表面との距離(微小ギャップ量)を調整することができる。
【0057】
また、傾き調整機構としては、ブラケット27に設けられた調整ネジ29を調整することによって、加圧ローラ4表面の軸方向に対する分離板24の先端の傾きを調整することができる。
【0058】
図11は、分離板24の主要な構成例を示した図である。図11(a)は、分離板24の斜視図、図11(b)は、分離板24の上面図、図11(c)は図11(b)におけるA−A断面図である。
【0059】
分離板24は、図11に示すように、フッ素樹脂より硬い材料からなり先端側に所定の幅をもつように板金加工された基材24aと、基材24aの先端に基材24aよりも柔らかいフッ素樹脂がインサート成形によって一体的に成形された先端部24bと、からなるものである。なお、基材24aは、板金加工品でなくても、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)やピーク材等の硬質な樹脂材でも構わない。
【0060】
ここで、基材24aには、ギャップ調整機構に関するものとして、先端部24bとは反対側の端部に設けられる貫通穴24hと、先端部24bと貫通穴24hとの中間において先端部24bの幅方向に対応して両方向に延設される分離板回転軸24j(不図示)が設けられている。なお、分離板回転軸24jは別部材として基材24aに固定される。また、基材24aの先端部24b側の幅方向中央部に、ガイド部材2gの一部(凸部2gt)あるいは従動コロ2grが挿入される挿入穴24cが設けられている。
【0061】
先端部24bは、耐熱性、トナー離型性に優れるフッ素樹脂からなる。とくに、離型性の高いテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)とすることにより、トナー堆積・付着に対してより有利になり、先端部24b表層へのトナー堆積・付着がしにくいため、先端部24bにおいてトナーが画像面と擦れて異常画像となることがなく、良好な画像品質を得られる。また、非攻撃性に優れた樹脂を先端部24bに使用しているので、相手部材に傷を付ける等の不具合を防ぐことができる。さらに、先端部24bは、加圧ローラ4との摺動性にも優れているため、万が一先端部24bが加圧ローラ4に接触しても加圧ローラ4に傷が付き難い。
【0062】
なお、先端部24bとしての剛性は基材24aにより確保されているために記録媒体の詰まり等の外圧が加わっても変形することがない。また先端部24bの先端近傍まで基材24aがいきわたっているため、高精度に先端部24bの位置を維持することができ、熱による変形によって先端部24bと加圧ローラ4との微小ギャップが狂うこともない。
【0063】
図12は、図10で示した分離板24のギャップ調整機構及び傾き調整機構に関する分解図である。
(ギャップ調整機構)
ギャップ調整機構は、ブラケット27において分離板24の先端が加圧ローラ4表面に接近しまたは離間する方向に、分離板24を回転可能に支持する分離板回転支持手段(分離板回転軸24j,支持穴27a)と、前記分離板回転支持手段において分離板24をその回転方向に付勢しつつ加圧ローラ4表面と分離板24の先端との微小ギャップが所望の距離となる位置で分離板24を保持する分離板回転保持手段(調整ネジ28,スプリング2a、ネジ穴16d)と、を有する構成となっている。
【0064】
すなわち、図12に示すように、分離板24は、分離板24のボディ部に加圧ローラ4の軸方向となる方向に延設された分離板回転軸24jがブラケット27に設けられた支持穴27aに挿入されることにより、該分離板回転軸24jを中心に回動自在にブラケット27に保持されている(分離板回転支持手段)。ついで、この分離板24及びブラケット27を保持部材16の所定位置に配置し、ブラケット27と分離板24との間にスプリング2aが挟まれる状態として、スプリング2aの弾性力により分離板24に分離板回転軸24jを中心とした回転モーメントが付与されるようになっている。そして、調整ネジ28が、分離板24の基材に設けられた貫通穴からスプリング2aを通して保持部材16のネジ穴16dにネジ締結されており、この調整ネジ28のネジ穴16dへのねじ込み状態を調整することにより、加圧ローラ4の軸方向に垂直な断面において分離板24の先端の加圧ローラ4表面に対する位置を変位させることが可能となる(分離板回転保持手段)。なお、スプリング2aの弾性力が作用する方向(分離板回転軸24jを中心とした回転モーメント)は図12に示した構成とは反対方向(加圧ローラ4側に付勢する方向)としてもよい。
この調整作業により、分離板24ごとに、加圧ローラ4の軸方向に垂直な断面における先端部24bと加圧ローラ4表層に対する微小ギャップを調整ネジ28の締め加減によってアナログ的に精度良く調整することができる。
【0065】
(傾き調整機構)
傾き調整機構は、ブラケット27を、保持部材16において加圧ローラ4の軸方向の所定位置に位置決めするとともに、加圧ローラ4の軸方向に対して傾くように回転可能に支持するブラケット回転支持手段(ブラケット回転軸2j、ブラケット回転穴27b)と、前記ブラケット回転支持手段においてブラケット27をその回転方向に付勢しつつ分離板24の先端が加圧ローラ4表面と平行となる位置でブラケット27を保持するブラケット傾き保持手段(調整ネジ29、スプリング2b、ネジ穴)と、を有する構成となっている。
【0066】
すなわち、図12に示すように、ブラケット27において分離板24の幅方向に対して直交する方向に連設されたブラケット回転穴27bに、保持部材16において加圧ローラ4の軸方向に対して直交する方向に延設されたブラケット回転軸2jが挿入されており、ブラケット27及び分離板24は、ブラケット回転軸2jを中心に回動自在に保持部材16の所定位置に保持されている(ブラケット回転支持手段)。ついで、ブラケット27と保持部材16との間にスプリング2bが挟まれる状態として、スプリング2bの弾性力によりブラケット27にブラケット回転軸2jを中心とした回転モーメントが付与されるようになっている。そして、調整ネジ29が、ブラケット27に設けられた貫通穴からスプリング2bを通して保持部材16のネジ穴(不図示)にネジ締結されており、この調整ネジ29のネジ穴へのねじ込み状態を調整することにより、加圧ローラ4の軸方向に対して分離板24の先端の傾きを変位させることが可能となる(ブラケット傾き保持手段)。
この調整作業により、分離板24ごとにその先端部24bの加圧ローラ4表層に対する傾きを調整ネジ29の締め加減によってアナログ的に精度良く調整することができる。
【0067】
分離板ユニット6’における分離板24ごとの先端部24bのギャップ及び傾きの調整はつぎのように行う。
まず、分離板ユニット6’が加圧ローラ4のユニットに装着されている状態で、分離板24の先端部24bの幅方向における加圧ローラ4とのギャップ量をCCDなどによりモニターすることで測定しながら、前述した傾き調整機構により分離板24の先端部24bの傾きを調整し、先端部24bの幅方向において加圧ローラ4とのギャップ量が等しくなるようにする。
つぎに、分離板24の先端部24bと加圧ローラ4とのギャップ量をCCDなどによりモニターすることで測定しながら、前述したギャップ調整機構により先端部24bの加圧ローラ4表面に対する位置を変位させ、先端部24bと加圧ローラ4との微小ギャップ量を所定値とする。
【0068】
このように、最大画像領域内に複数個(本実施形態では9個)備えた分離板24それぞれについて、傾き調整とギャップ調整を行うことにより、加圧ローラ4が正クラウン形状や逆クラウン形状であったとしても、分離板24を配置したそれぞれの箇所において軸方向に平行な加圧ローラ4表層に対する先端部24bの傾きを調整し、加圧ローラ4表層に合わせて軸方向に垂直な断面における微小ギャップを調整するので、分離板ユニット6’全体で精度良く均一且つ微小に分離板24の先端部24bと加圧ローラ4表層との隙間を調整することができ、分離性能の向上を図ることが可能となる。
【0069】
図13は、分離板ユニット6’における分離板24とその記録媒体搬送方向下流側に配置されるガイド部材2gの構成例(1)を示した図である。このうち、図13(a)は、分離板ユニット6’の全体構成を示す斜視図、図13(b)は、分離板ユニット6’の断面図である。
分離板ユニット6’は、図13に示すように、分離板24の記録媒体搬送方向下流側に配置され、定着ニップ部Nから排出される記録媒体を案内するガイド部材2gを有しており、記録媒体の搬送経路(図13(b)中の矢印)側において、ガイド部材2gの一部が分離板24の中央部に設けられた挿入穴24cに入り込むように延伸している。すなわち、ガイド部材2gには、分離板24の先端部24b側に延伸された凸部2gtを有しており、ガイド部材2gが分離板ユニット6’に装着されると、凸部2gtが分離板24の挿入穴24cに挿入されるようになっている。
【0070】
これにより、通常では分離板24の先端部24bの記録媒体搬送方向下流側にガイド部材2gの端部が記録媒体の先端が引っ掛かる段差となって、紙詰まりの原因となるところ、先端部24bの挿入穴24cにガイド部材2gの一部(凸部2gt)が入り込み、段差がなくなることから、分離板24によって分離した記録媒体をその下流のガイド部材2gにスムーズに受け渡すことができ、分離板24とガイド部材2gとの隙間で紙詰まりを発生する不具合を防止することが可能となる。
【0071】
また図14は、分離板ユニット6’’における分離板24とその記録媒体搬送方向下流側に配置されるガイド部材2g’の構成例(2)を示した図である。このうち、図14(a)は、分離板ユニット6’’の全体構成を示す斜視図、図14(b)は、分離板ユニット6’’における分離板24の拡大斜視図である。
【0072】
分離板ユニット6’’は、分離板ユニット6’において記録媒体のガイドに関する構成のみが異なるものであり、図14に示すように、分離板24が、記録媒体の搬送経路側に、従動コロ2grを有している。これにより、図15に示すように、分離板ユニット6''を定着ベルト2側に配置すると、定着ニップ部Nの出口で分離板24の先端部24bによって記録媒体を分離した後、従動コロ2grが記録媒体を分離板24から離すので、記録媒体が分離板24に強く擦って、画像に分離板擦り跡等を発生させてしまう不具合等を防止することができる。
【0073】
次に、本発明に係る画像形成装置について説明する。
図16は、本発明に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置であり、図16に示すように、複写装置本体150、給紙テーブル200、スキャナ300及び原稿自動搬送装置(ADF)400を備えている。
【0074】
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ114、115及び116に張架され、図16中、時計回りに回転することが可能とされている。支持ローラ115の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するためのクリーニング装置117が配置されている。支持ローラ114と支持ローラ115とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの4つの画像形成ユニット118が対向して並置された画像形成手段120が配置されている。また、画像形成手段120の近傍には、露光装置121が配置され、中間転写体50における、画像形成手段120が配置された側とは反対側には、二次転写装置122が配置されている。二次転写装置122においては、無端ベルトである二次転写ベルト124が一対の支持ローラ123に張架されており、二次転写ベルト124上を搬送される記録媒体と中間転写体50とは互いに接触することが可能である。二次転写装置122の記録媒体搬送方向下流側には、本発明の定着装置20が配置されている。
また、定着装置20の記録媒体搬送方向下流側に、記録媒体の両面に画像を形成するために、記録媒体を反転させるための反転装置128が配置されている。
【0075】
次に、画像形成手段120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台上に原稿をセットするか、原稿自動搬送装置400を開いて、スキャナ300のコンタクトガラス132上に原稿をセットして、原稿自動搬送装置400を閉じる。
【0076】
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス132上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス132上に原稿をセットした時は、直ちに、スキャナ300が駆動し、第一走行体133及び第二走行体134が走行する。このとき、第一走行体133により、光源からの光が照射され、原稿面からの反射光を第二走行体134におけるミラーで反射する。さらに、結像レンズ135を通して、読み取りセンサ136で受光されて原稿が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。次に、各画像情報は、画像形成手段120における各画像形成ユニット118にそれぞれ伝達され、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の可視像が形成される。
【0077】
画像形成ユニット118は、それぞれ、感光体、該感光体を一様に帯電させる帯電装置、露光装置により、各画像情報に基づいて、各画像様に感光体を露光することにより形成された静電潜像を、各トナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー)を用いて現像して、各トナーによる可視像を形成する現像装置、可視像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器、クリーニング装置及び除電装置を備えており、各画像情報に基づいて、各色の可視像を形成することが可能である。次に、各色の可視像は、支持ローラ114、115及び116により回転移動される中間転写体50上に、順次転写(一次転写)され、各色の可視像が重ね合わされて複合転写像が形成される。
【0078】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つから記録媒体を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写装置本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ149に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ142を回転させ、手差しトレイ153a上の記録媒体を繰り出し、分離ローラ152で1枚ずつ分離して手差し給紙路153に入れ、同じくレジストローラ149に突き当てて止める。なお、レジストローラ149は、一般には、接地されて使用されるが、記録媒体の紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体50上に形成された複合転写像にタイミングを合わせてレジストローラ149を回転させ、中間転写体50及び二次転写装置122の間に、記録媒体を送出させ、二次転写装置122により複合転写像を記録紙上に転写(二次転写)することにより、記録媒体上にカラー画像を形成する。なお、中間転写体50上に残留したトナーは、クリーニング装置117により除去される。
【0079】
カラー画像が形成された記録媒体は、二次転写装置122により搬送されて、定着装置20へと送出され、定着装置20において、複合転写像が記録媒体上に加熱加圧定着される。その後、記録媒体は、切換爪155で切り換えて排出ローラ156により排出され、排紙トレイ157上にスタックされる。あるいは、切換爪155で切り換えて反転装置128により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を形成した後、排出ローラ156により排出され、排紙トレイ157上にスタックされる。
【0080】
本発明の画像形成装置によれば、本発明の定着装置を備えているので、定着ニップ部Nにおけるジャムを発生させることなく、安定して画像形成を行うことができる。
【0081】
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0082】
例えば、分離板ユニット6,6’におけるギャップ調整機構及び傾き調整機構の構成として、分離板14(24)を収納するブラケット17(27)を介して保持部材16に保持されており、分離板14(24)とブラケット17(27)の間で前記傾き調整機構が設けられ、ブラケット17(27)と保持部材16との間で前記ギャップ調整機構が設けられている構成としてもよい。
【0083】
また、分離板ユニット6,6’を定着部材(定着ベルト2、あるいは定着ローラ方式の場合には定着ローラ)側に配置してもよいし、分離板ユニット6''を加圧ローラ4側に配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の活用例として、OA機器の定着装置、現像・クリーニング機構の中のローラに対して隙間調整を必要とするユニット部材が挙げられる。
【符号の説明】
【0085】
1 定着ローラ
2 定着ベルト
3 加熱ローラ
3h,4h ヒータ
4 加圧ローラ
5,6,6,6’,6'' 分離板ユニット
7 中継排紙ガイド下ユニット
8 排紙ガイド板ユニット
9 入口ガイド板
10 分離手段回転軸
11 回転軸受け溝
12 引張りスプリング
13 トーションスプリング
14,24 分離板
14a,24a 基材
14b,24b 先端部
14c,24c 挿入穴
14h,24h 貫通穴
14j,24j 分離板回転軸
15 突き当て部材
16 保持部材
16a 受け部材
16b ブラケット回転ボス
16c 調整穴
16d,17c ネジ穴
17,27 ブラケット
17a,27a 支持穴
17b,27b ブラケット回転穴
18,28,29 調整ネジ
19 固定ネジ
1a,2a,2b スプリング
1g,2g,2g’ ガイド部材
1gt,2gt 凸部
2gr 従動コロ
2j ブラケット回転軸
20 定着装置
20f 定着側板
50 中間転写体
70 支持治具
100 画像形成装置
114,115,116,123 支持ローラ
117 クリーニング装置
118 画像形成ユニット
120 画像形成手段
121 露光装置
122 二次転写装置
124 二次転写ベルト
128 反転装置
132 コンタクトガラス
133 第一走行体
134 第二走行体
135 結像レンズ
136 読み取りセンサ
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
149 レジストローラ
150 複写装置本体
152 分離ローラ
153 手差し給紙路
153a 手差しトレイ
155 切換爪
156 排出ローラ
157 排紙トレイ
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
N 定着ニップ部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特許第2823168号公報
【特許文献2】特開2006−11193号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧接して定着ニップ部を形成する2つの回転体と、
複数の分離板と、前記複数の分離板を前記回転体の軸方向に並べて保持する保持部材と、からなり、前記2つの回転体の少なくともいずれか一方の回転体側に前記分離板が該回転体に非接触状態となるように配置される分離板ユニットと、を備え、
前記分離板ユニットは、前記分離板ごとに、前記回転体の軸方向に垂直な断面における該回転体表面と前記分離板の先端との微小ギャップの距離を調整するギャップ調整機構と、前記回転体の軸方向に対する前記分離板の先端の傾きを調整する傾き調整機構と、を有することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記分離板は、該分離板を収納するブラケットを介して前記保持部材に保持されており、
前記分離板と前記ブラケットの間で前記ギャップ調整機構が設けられ、前記ブラケットと前記保持部材との間で前記傾き調整機構が設けられることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記傾き調整機構は、前記ブラケットを、前記保持部材において前記回転体の軸方向の所定位置に位置決めするとともに、該回転体の軸方向に対して傾くように回転可能に支持するブラケット回転支持手段と、前記分離板の先端が前記回転体表面と平行となるように前記ブラケット回転支持手段において回転させた前記ブラケットを固定するブラケット傾き固定手段と、を有することを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記傾き調整機構は、前記ブラケットを、前記保持部材において前記回転体の軸方向の所定位置に位置決めするとともに、該回転体の軸方向に対して傾くように回転可能に支持するブラケット回転支持手段と、前記ブラケット回転支持手段において前記ブラケットをその回転方向に付勢しつつ前記分離板の先端が前記回転体表面と平行となる位置で前記ブラケットを保持するブラケット傾き保持手段と、を有することを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項5】
前記ギャップ調整機構は、前記ブラケットにおいて前記分離板の先端が前記回転体に接近しまたは離間する方向に、前記分離板を回転可能に支持する分離板回転支持手段と、前記分離板回転支持手段において前記分離板をその回転方向に付勢しつつ前記回転体表面と前記分離板の先端との微小ギャップが所望の距離となる位置で前記分離板を保持する分離板回転保持手段と、を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の定着装置。
【請求項6】
前記分離板ユニットは、前記回転体に当接して前記複数の分離板の先端を前記回転体から微小ギャップで離間させた非接触状態に保持する一対の突き当て部材を前記保持部材に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の定着装置。
【請求項7】
前記分離板は、硬質の基材と、前記基材よりも柔らかいフッ素樹脂からなる先端部とがインサート成型により一体的に成形されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の定着装置。
【請求項8】
前記分離板ユニットは、前記分離板の記録媒体搬送方向下流側に配置され、前記定着ニップ部から排出される記録媒体を案内するガイド部材を有しており、記録媒体の搬送経路側において、前記ガイド部材の一部が前記分離板の中央部に設けられた穴に入り込むように延伸していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の定着装置。
【請求項9】
前記分離板は、記録媒体の搬送経路側に、従動コロを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の定着装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−98451(P2012−98451A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245167(P2010−245167)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】