説明

定着装置

【課題】定着ベルトと、定着ベルトの内側に配置された電気部材との接触を抑制することができる定着装置を提供する。
【解決手段】定着装置100は、定着ベルト110と、ハロゲンランプ120と、ニップ板130と、ニップ板130との間で定着ベルト110を挟む加圧ローラ140と、ハロゲンランプ120を覆うように配置され、ニップ板130を支持するステイ160と、ステイ160を挟んでハロゲンランプ120とは反対側に配置された電気部材(サーモスタット170、ケーブルC2)と、電気部材を支持するフレーム部材200とを備えている。フレーム部材200は、電気部材の少なくとも一部と定着ベルト110との間に位置する介在部(支持壁214、立設壁215、リブ246)と、回転する定着ベルト110の内周面を案内するガイド部(ニップ上流ガイド310、ニップ下流ガイド320、上部ガイド330、前部ガイド340)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートに転写された現像剤像を熱定着する定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置で用いられる定着装置として、例えば、特許文献1に示すように、筒状の定着ベルト(筒状部材)と、筒状部材の内側に配置されるハロゲンランプ(ヒータ)と、筒状部材の内周面に摺接する押圧パッドと、押圧パッドとの間で筒状部材を挟む加圧ロールとを備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−47769号公報(図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記したような構成の定着装置において、ヒータを制御するための温度センサや、温度センサやヒータなどに接続される配線などの電気部材(電気部品)を、筒状部材の内側に配置した場合、回転する筒状部材の内周面が温度センサや配線などに接触するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、筒状部材と、筒状部材の内側に配置された電気部材との接触を抑制することができる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)前記した目的を達成するため、本発明の定着装置は、可撓性を有する筒状部材と、筒状部材の内側に配置されたヒータと、筒状部材の内周面に摺接するように配置されたニップ部材と、ニップ部材との間で筒状部材を挟むバックアップ部材と、筒状部材の内側でヒータを覆うように配置され、ニップ部材を支持するステイと、筒状部材の内側でステイを挟んでヒータとは反対側に配置された電気部材と、筒状部材の内側に配置され、電気部材を支持するフレーム部材とを備えている。
フレーム部材は、電気部材の少なくとも一部と筒状部材との間に位置する介在部と、回転する筒状部材の内周面を案内するガイド部とを有する。
【0007】
このような構成によれば、電気部材を支持するフレーム部材に、電気部材と筒状部材との間に位置する介在部が形成されているので、筒状部材と、筒状部材の内側に配置された電気部材との接触を抑制することができる。また、フレーム部材に、ガイド部が形成されているので、筒状部材の回転を安定させることができる。また、フレーム部材にガイド部を形成したことで、フレーム部材とは別部品としてのガイド部材を設ける必要がなくなるので、部品点数の削減や、定着装置の小型化を図ることができる。
【0008】
(2)前記した定着装置において、ガイド部は、介在部に形成されていることが好ましい。
本発明において、介在部は、筒状部材と接触しやすいため、このような介在部にガイド部を形成することで、筒状部材の回転をより安定させることができる。
【0009】
(3)前記した各定着装置において、介在部は、電気部材を覆うように電気部材と筒状部材との間に設けられていることが好ましい。
このように、電気部材が介在部に覆われることで、筒状部材と電気部材との接触をより確実に抑制(防止)することができる。
【0010】
(4)前記した各定着装置において、ガイド部は、筒状部材の回転方向におけるニップ部材の下流側端部に隣接して設けられ、ニップ部材とバックアップ部材の間から搬出された筒状部材を案内する第1ガイドを有する構成とすることができる。
このような第1ガイドを有することで、ニップ部材とバックアップ部材の間から搬出された筒状部材の進行を安定させることができる。
【0011】
(5)前記した各定着装置において、ガイド部は、ヒータを挟んでニップ板とは反対側に設けられた第2ガイドを有する構成とすることができる。
このような第2ガイドを有することで、ヒータを挟んでニップ板とは反対側における筒状部材の進行を安定させることができる。
【0012】
(6)前記した各定着装置において、ガイド部は、筒状部材の回転方向におけるニップ部材の上流側端部に隣接して設けられ、ニップ部材とバックアップ部材の間に向けて筒状部材を案内する第3ガイドを有する構成とすることができる。
このような第3ガイド有することで、ニップ部材とバックアップ部材の間に向けて筒状部材を良好に案内することができる。
【0013】
(7)前記した第2ガイドを有する定着装置において、第2ガイドは、筒状部材の軸方向における両端のみに設けられていることが好ましい。
これによれば、筒状部材の内周面と第2ガイドとの摺動抵抗を小さくすることができるので、筒状部材を良好に回転させることができる。
【0014】
(8)前記した各定着装置において、フレーム部材は、ステイを覆うように配置され、電気部材を支持する第1フレームと、当該第1フレームの少なくとも一部を挟んでステイとは反対側に配置された第2フレームとを有する構成とすることができる。
この場合、電気部材は、第1フレームと第2フレームの間に配置され、ガイド部は、少なくとも第2フレームに形成されることが好ましい。
【0015】
これによれば、電気部材が第1フレームと第2フレームの間に配置されることで、外側から見て、電気部材が第2フレームに覆われることとなる。そして、ガイド部が電気部材を覆う第2フレームに形成されるので、筒状部材と電気部材との接触をより確実に抑制することができるとともに、筒状部材を良好に回転させることができる。
【0016】
(9)前記した各定着装置が備える電気部材は、一例としての温度検出部材である。
温度検出部材は、配線などの他の電気部材と比べて断面形状が大きいため、筒状部材に近づいて筒状部材と接触する可能性が高まる。したがって、電気部材と筒状部材の間に介在部を形成する本発明は、電気部材が温度検出部材である場合に特に有効である。
【0017】
(10)前記した各定着装置が備える電気部材は、他の例として配線である。
(11)このような配線は、ヒータに接続されているものであってもよい。
(12)前記した各定着装置が備える電気部材が、温度検出部材と配線である場合、配線は、温度検出部材に接続されているものであってもよい。
【0018】
(13)前記した電気部材が配線である定着装置において、フレーム部材は、配線の経路に沿って断続的に設けられたリブを有し、配線は、リブに挟まれるように配置されている構成とすることができる。
(14)前記したリブを有する定着装置において、介在部は、リブの一部であってもよい。
【0019】
(15)前記した各定着装置において、フレーム部材は、ステイに固定されていることが好ましい。
ステイは、ニップ部材を支持する剛性の高い部材なので、このような剛性の高い部材にガイド部が形成されるフレーム部材が固定されることで、筒状部材の回転をより安定させることができる。
【0020】
(16)前記した各定着装置において、フレーム部材は、筒状部材の軸方向における一方側がステイに対し前記軸方向に位置決めされた状態でステイに固定され、他方側がステイに固定するための締結具に対し前記軸方向に遊びを有した状態でステイに固定されていることが好ましい。
【0021】
これによれば、熱が伝わることでステイやフレーム部材が筒状部材の軸方向に線膨張したとしても、その膨張を吸収することができる。これにより、ステイやフレーム部材の変形を抑制することができる。
【0022】
(17)本発明の定着装置において、フレーム部材は、互いの少なくとも一部同士を重ね合わせるようにして組み立てられる第3フレームおよび第4フレームを有していてもよい。
この場合、電気部材は、第3フレームと第4フレームが重なり合った部分において第3フレームと第4フレームの間に配置され、第3フレームおよび第4フレームの少なくとも一方に支持されていることが好ましい。
【0023】
これによれば、第3フレーム、電気部材および第4フレーム(または、第4フレーム、電気部材および第3フレーム)をこの順に組み付けていくことができるので、組み付け性を向上させることができる。
【0024】
(18)前記した第3フレームと第4フレームを有する定着装置において、ガイド部は、第3フレームおよび第4フレームの少なくとも一方に形成されている。
【0025】
(19)前記した第3フレームと第4フレームを有する定着装置において、第3フレームと第4フレームは、ステイに対して共通のネジによって固定することができる。
【0026】
(20)前記した各定着装置において、フレーム部材は、筒状部材の軸方向における一端から他端にわたって電気部材を支持する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、電気部材を支持するフレーム部材に、電気部材と筒状部材との間に位置する介在部が形成されているので、筒状部材と、筒状部材の内側に配置された電気部材との接触を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の定着装置を備えたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】定着装置のサーモスタット付近の断面図である。
【図3】ニップ板、ハロゲンランプ、反射部材、ステイ、第1フレーム、サーモスタット、サーミスタおよび第2フレームの斜視図である。
【図4】定着装置の左右方向における中央に配置されたサーミスタ付近の拡大断面図である。
【図5】ケーブルの配置を示す斜視図である。
【図6】右側固定部付近の断面図(a)と、左側固定部付近の断面図(b)である。
【図7】前側から見たフレーム部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の実施形態に係る定着装置100を備えたレーザプリンタ1(画像形成装置)の概略構成を簡単に説明した後、定着装置100の詳細な構成について説明する。
【0030】
また、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0031】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、記録シートの一例としての用紙Sを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙S上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙S上に転写されたトナー像を熱定着する定着装置100とを主に備えている。
【0032】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスカートリッジ5(感光体ドラム61と転写ローラ63との間)に向けて供給される。
【0033】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。この露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、感光体ドラム61の表面を露光する。
【0034】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とから構成されている。
【0035】
ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナー(現像剤)を収容するトナー収容部74とを主に備えている。
【0036】
このプロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0037】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
【0038】
定着装置100は、プロセスカートリッジ5の後方に設けられている。用紙S上に転写されたトナー像(トナー)は、定着装置100を通過することで用紙S上に熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Sは、搬送ローラ23,24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0039】
<定着装置の詳細構成>
図2に示すように、定着装置100は、筒状部材の一例としての定着ベルト110と、ヒータの一例としてのハロゲンランプ120と、ニップ部材の一例としてのニップ板130と、バックアップ部材の一例としての加圧ローラ140と、反射部材150と、ステイ160と、温度検出部材の一例としてのサーモスタット170および2つのサーミスタ180(図3,4参照)と、配線の一例としてのケーブルC1,C2(図5参照)と、フレーム部材200とを主に備えている。
【0040】
なお、本実施形態において、サーモスタット170、サーミスタ180およびケーブルC1,C2は、電気部材(電気部品)の一例でもある。
【0041】
定着ベルト110は、耐熱性と可撓性を有する無端状(筒状)のベルトであり、フレーム部材200に形成された後述するガイド部(ニップ上流ガイド310、ニップ下流ガイド320、上部ガイド330および前部ガイド340)により回転が案内されている。本実施形態において、定着ベルト110は、金属製であり、例えば、ステンレス鋼やニッケルなどから形成されている。
【0042】
ハロゲンランプ120は、輻射熱を発してニップ板130および定着ベルト110(ニップ部N)を加熱することで用紙S上のトナーを加熱する部材であり、定着ベルト110の内側において定着ベルト110およびニップ板130の内面から所定の間隔をあけて配置されている。
【0043】
このハロゲンランプ120は、図3に示すように、細長い円筒状のガラス管121内に、図示しないフィラメントを配置し、ガラス管121の長手方向両端部を閉じてその内部にハロゲン元素を含む不活性ガスを封入することにより形成されている。このハロゲンランプ120の長手方向両端には、ガラス管121内のフィラメントの端部と電気的に接続された一対の電極122が設けられている。
【0044】
図2に戻り、ニップ板130は、ハロゲンランプ120からの輻射熱を受ける板状の部材であり、その下面が定着ベルト110の内周面に摺接するように配置されている。本実施形態において、ニップ板130は、金属製であり、例えば、後述するスチール製のステイ160より熱伝導率が大きい、アルミニウム板などを折り曲げることで形成されている。
【0045】
図3に示すように、ニップ板130は、ベース部131と、第1突出部132と、第2突出部133とを主に有している。
ベース部131は、定着ベルト110の内周面と摺接する部分であり、ハロゲンランプ120からの熱を定着ベルト110を介して用紙S上のトナーに伝達する。
【0046】
第1突出部132および第2突出部133は、平板状をなしており、ベース部131の後端から後方に向けて突出するように形成されている。第1突出部132は、ベース部131後端の左右方向における中央付近に1つ形成されており、その上面にサーモスタット170が対面して配置される。また、第2突出部133は、ベース部131後端の左右方向における中央付近と右端付近にそれぞれ1つずつ形成されており、それぞれの上面にサーミスタ180が対面して配置される。
【0047】
図2に示すように、加圧ローラ140は、ニップ板130との間で定着ベルト110を挟むことで定着ベルト110との間にニップ部Nを形成する部材であり、ニップ板130の下方に配置されている。本実施形態においては、ニップ部Nを形成するために、ニップ板130および加圧ローラ140の一方を他方に向けて付勢している。
【0048】
加圧ローラ140は、本体筐体2内に設けられた図示しないモータから駆動力が伝達されて回転駆動するように構成されており、回転駆動することで定着ベルト110(または用紙S)との摩擦力により定着ベルト110を従動回転させる。トナー像が転写された用紙Sは、加圧ローラ140と加熱された定着ベルト110の間(ニップ部N)を搬送されることでトナー像(トナー)が熱定着されることとなる。
【0049】
反射部材150は、ハロゲンランプ120からの輻射熱をニップ板130に向けて反射する部材であり、定着ベルト110の内側でハロゲンランプ120を取り囲む(覆う)ように、ハロゲンランプ120から所定の間隔をあけて配置されている。
【0050】
この反射部材150は、赤外線および遠赤外線の反射率が大きい、例えば、アルミニウム板などを断面視略U形状に湾曲させて形成されている。より詳細に、反射部材150は、湾曲形状をなす反射部151と、反射部151の前後方向における両端部から前後方向外側に向けて延びるフランジ部152とを主に有している。
【0051】
ステイ160は、ニップ板130(ベース部131)の前後の端部を反射部材150(フランジ部152)を介して支持することで加圧ローラ140からの荷重を受ける部材であり、定着ベルト110の内側でハロゲンランプ120および反射部材150を覆うように配置されている。なお、ここでいう荷重は、ニップ板130が加圧ローラ140を付勢する構成においては、ニップ板130が加圧ローラ140を付勢する力の反力をいうものとする。
【0052】
このようなステイ160は、比較的剛性が高い、例えば、鋼板などを反射部材150(反射部151)の外面形状に沿った断面視略U形状に折り曲げることで形成されている。図3に示すように、ステイ160は、右側に設けられた右側固定部161と、左側に設けられた左側固定部162とを有している。右側固定部161および左側固定部162は、いずれもステイ160の上壁から後方に向けて延びるように形成されており、それぞれ貫通したネジ穴(符号省略)が設けられている。
【0053】
図2に示すように、サーモスタット170は、図示しないバイメタルなどを有し、所定の温度を検出したときに通電を遮断するように構成された部材であり、定着ベルト110の内側で、反射部材150およびステイ160を挟んでハロゲンランプ120とは反対側(ステイ160の外側)に配置されている。
【0054】
さらに述べると、サーモスタット170は、温度検知面である下面が、第1突出部132の上面(加圧ローラ140側とは反対側の面)に対向して配置されている。第1突出部132は、加圧ローラ140との間で定着ベルト110(および用紙S)を挟むベース部131から直接延びる部分なので、この第1突出部132にサーモスタット170を対向して配置することで、ニップ部N付近の温度を精度良く検出することができる。
【0055】
また、サーモスタット170は、左右の両端面に、左右方向外側に向けて突出する板状の電極171を有している(図3も参照)。
【0056】
図4に示すように、サーミスタ180は、ニップ板130の温度を検出する温度センサであり、定着ベルト110の内側で、反射部材150およびステイ160を挟んでハロゲンランプ120とは反対側に配置されている。
【0057】
さらに述べると、サーミスタ180は、温度検知面である下面が、第2突出部133の上面に対向して配置されている。第2突出部133も、ベース部131から直接延びる部分なので、この第2突出部133にサーミスタ180を対向して配置することで、ニップ部N付近の温度を精度良く検出することができる。
【0058】
図2,4に示すように、サーモスタット170およびサーミスタ180は、それぞれ、コイルバネ191,192によりニップ板130の第1突出部132または第2突出部133に向けて付勢されている。これにより、検出対象であるニップ板130との位置関係が安定するので、温度をより精度良く検出することができる。
【0059】
図5に太い実線で示すケーブルC1は、ハロゲンランプ120に電力を供給する導線であり、定着ベルト110の内側でステイ160を挟んでハロゲンランプ120とは反対側に配置されている(図4参照)。このケーブルC1は、ハロゲンランプ120およびサーモスタット170に接続されている。
【0060】
より詳細に、ケーブルC1は、ハロゲンランプ120の右側の電極122に接続された導線C11と、ハロゲンランプ120の左側の電極122に直接または間接的に接続された導線C12,C13とから構成されている。
【0061】
導線C12は、ハロゲンランプ120の左側の電極122から後述する第1フレーム210の上壁213上を通って右に延び、第1フレーム210の左右方向における中央付近で後側壁211に沿って下方に延びた後、サーモスタット170の左側の電極171に接続されている。また、サーモスタット170の右側の電極171に接続された導線C13は、後側壁211に沿って上方に延び、第1フレーム210の上壁213上を通って右に延びた後、導線C11とともに、定着ベルト110の右端部から引き出されている。
【0062】
定着ベルト110の右端部から引き出されたケーブルC1の端部は、本体筐体2内に設けられた図示しない電源基板に接続される。これにより、ハロゲンランプ120への電力供給が可能となっている。なお、ケーブルC1の途中にサーモスタット170が接続されていることで、ニップ板130が過熱した場合には、サーモスタット170が通電を遮断するので、ハロゲンランプ120への通電を速やかに遮断することができるようになっている。
【0063】
図5に太い破線で示すケーブルC2は、サーミスタ180に接続された導線であり、ケーブルC1と同様に、定着ベルト110の内側でステイ160を挟んでハロゲンランプ120とは反対側に配置されている(図4参照)。
【0064】
より詳細に、ケーブルC2は、サーミスタ180の筐体内に配置されている図示しないサーミスタ素子に接続され、サーミスタ180の筐体の左端面から引き出されている。サーミスタ180から延びるケーブルC2は、上方に延びた後、後述する第2フレーム220の後壁222に沿って左に延び、定着ベルト110の左端部から引き出されている。
【0065】
定着ベルト110の左端部から引き出されたケーブルC2の端部は、本体筐体2内に設けられた図示しない制御基板に接続される。サーミスタ180の検出結果は、制御基板に出力され、ハロゲンランプ120の制御に利用される。
【0066】
フレーム部材200は、電気部材としてのサーモスタット170、サーミスタ180およびケーブルC1,C2を支持する部材であり、定着ベルト110の内側においてステイ160を覆うように配置されている。このフレーム部材200は、第1フレーム210と、第2フレーム220とを主に備えて構成されている。
【0067】
なお、本実施形態において、第1フレーム210は第3フレームの一例でもあり、第2フレーム220は第4フレームの一例でもある。
【0068】
第1フレーム210は、断面視略U形状をなして左右方向に長く延びるように形成されており、ステイ160を挟んでハロゲンランプ120とは反対側でステイ160を覆うように配置されている(図2,4も参照)。この第1フレーム210は、定着ベルト110の軸方向における一端から他端、具体的には、右端から左端にわたって、電気部材としてのサーモスタット170、サーミスタ180およびケーブルC1を支持している。
【0069】
本実施形態において、第1フレーム210は、絶縁性の材料、例えば、液晶ポリマーやPEEK樹脂、PPS樹脂などから形成されている。この絶縁性の第1フレーム210の後側壁211は、サーモスタット170の電極171と、導電性を有する反射部材150やステイ160との間に位置し、電極171と反射部材150やステイ160との絶縁を確保している。
【0070】
図3に示すように、第1フレーム210は、後側壁211と、前側壁212と、後側壁211および前側壁212の上端同士を連結するように延びる上壁213と、後側壁211の下端から後方に向けて延びる支持壁214とを主に有している。また、第1フレーム210には、第1位置決め部231と、2つの第2位置決め部232と、固定部233と、切欠部234と、リブ235,236とが主に形成されている。
【0071】
第1位置決め部231は、サーモスタット170を位置決めする部分であり、後側壁211の左右方向における中央付近に設けられた凹部211Aと、支持壁214から立設して凹部211Aに対面するように設けられた平面視略U形状の立設壁215とによって構成されている。サーモスタット170は、この第1位置決め部231に配置されることで、前後方向および左右方向に位置決めされる(図5参照)。
【0072】
第2位置決め部232は、サーミスタ180を位置決めする部分であり、支持壁214の左右方向における中央付近と右端付近に設けられた立設壁216と、この立設壁216に対面する後側壁211とによって構成されている。第2位置決め部232を構成する後側壁211の左右方向における中央部分には、サーミスタ180の前方に向けて凸となる部分が嵌合する開口217が形成されている。サーミスタ180は、この第2位置決め部232に配置されることで、前後方向および左右方向に位置決めされる(図5参照)。
【0073】
なお、開口217は、後側壁211から支持壁214にわたって形成されているため、この開口217を介して、サーミスタ180がニップ板130に臨めるようになっている。また、第1位置決め部231の底壁(支持壁214)には、サーモスタット170をニップ板130に臨ませるための孔(符号省略)が設けられている。
【0074】
固定部233は、第1フレーム210をステイ160の右側固定部161に固定するための部分であり、第1フレーム210の右側で右側固定部161に対応して設けられている。この固定部233には、右側固定部161のネジ穴に対応した平面視略円形の貫通孔(符号省略)が設けられている。
【0075】
切欠部234は、第1フレーム210の左側において、上壁213、後側壁211および支持壁214にわたって設けられている。図5に示すように、第1フレーム210とステイ160を組みつけたとき、切欠部234からはステイ160の左側固定部162が露出するようになっている。この切欠部234は、左右方向の幅が、露出する左側固定部162の左右方向の長さよりも大きくなっている。
【0076】
リブ235,236は、上壁213から突出し、左右方向に沿って、より詳細には、上壁213上を通るケーブルC1の経路に沿って断続的に設けられている。リブ235とリブ236とは、前後方向に対向するように並んで設けられており、ケーブルC1は、リブ235,236に挟まれるように配置されている。これにより、上壁213におけるケーブルC1の前後方向へのずれを抑制することができるようになっている。
【0077】
なお、図2に示すように、本実施形態において、第1フレーム210の支持壁214および立設壁215は、サーモスタット170を基準としてハロゲンランプ120が配置された前側とは反対側の後側であって、サーモスタット170の一部と定着ベルト110との間に位置する「介在部」となっている。このような介在部としての支持壁214および立設壁215により、定着ベルト110とサーモスタット170との接触が抑制されている。
【0078】
また、図4に示すように、第1フレーム210の支持壁214および立設壁216は、サーミスタ180を基準としてハロゲンランプ120が配置された前側とは反対側の後側であって、サーミスタ180の一部と定着ベルト110との間に位置する「介在部」となっている。このような介在部としての支持壁214および立設壁216により、定着ベルト110と、サーミスタ180との接触が抑制されている。
【0079】
図2に示すように、第2フレーム220は、断面視略L形状をなして左右方向に長く延びるように形成されており、第1フレーム210の後側壁211と上壁213の一部を挟んでステイ160とは反対側に配置されている。この第2フレーム220は、ケーブルC2を支持している。
【0080】
本実施形態においては、第2フレーム220も、絶縁性の材料、例えば、液晶ポリマーやPEEK樹脂、PPS樹脂などから形成されている。
【0081】
第2フレーム220と第1フレーム210とは、互いの一部同士を重ね合わせるようにして組み立てられるように構成されている。第1フレーム210に第2フレーム220を重ね合わせるように組み付けると、ケーブルC1は、図4に示すように、上下方向における、第1フレーム210の上壁213と第2フレーム220の上壁221が重なり合った部分において、第1フレーム210と第2フレーム220との間に配置されることとなる。
【0082】
同様に、サーモスタット170やサーミスタ180は、図2,4に示すように、上下方向における、第1フレーム210の支持壁214と第2フレーム220の上壁221が重なり合った部分において、第1フレーム210と第2フレーム220との間に配置されることとなる。
【0083】
第2フレーム220は、上壁221と、上壁221の後端から下方に向けて延びる後壁222と、後壁222の下端から後方に向けて延びる支持壁223とを主に有している。また、図3に示すように、第2フレーム220には、第1支持部241と、2つの第2支持部242(図4参照(1つのみ図示))と、円穴243と、長穴244と、リブ245,246とが主に形成されている。
【0084】
図2に示すように、第1支持部241は、コイルバネ191を支持する部分であり、上壁221の左右方向における中央付近(すなわち、第1フレーム210の第1位置決め部231に対応する部分)から下方に向けて突出して設けられている。コイルバネ191は、第1支持部241に係合することで、フレーム部材200に支持される。
【0085】
図4に示すように、第2支持部242は、コイルバネ192を支持する部分であり、上壁221の左右方向における中央付近と右端付近(すなわち、第1フレーム210の第2位置決め部232に対応する部分)から下方に向けて突出して設けられている。コイルバネ192は、第2支持部242に係合することで、フレーム部材200に支持される。
【0086】
図3に示すように、円穴243は、上壁221の右側でステイ160の右側固定部161のネジ穴に対応して設けられた平面視略円形状の貫通孔であり、長穴244は、上壁221の左側でステイ160の左側固定部162のネジ穴に対応して設けられた左右方向に長い平面視略長円形状の貫通孔である。
【0087】
リブ245,246は、支持壁223から突出し、ケーブルC2の経路に沿って断続的に設けられている。より詳細に、リブ245は、支持壁223と後壁222をつなぐようにこれらの隅部に設けられ、リブ246は、支持壁223の後端から立設している。リブ245とリブ246とは、前後方向において対向しており、図5に示すように、サーミスタ180から延びるケーブルC2は、支持壁223の上でリブ245,246に挟まれるように配置されている。このような構成により、ケーブルC2の支持壁223からの脱落を抑制することができるようになっている。
【0088】
なお、図4に示すように、本実施形態において、第2フレーム220の上壁221は、ケーブルC1を基準としてハロゲンランプ120が配置された下側とは反対側の上側であって、ケーブルC1と定着ベルト110との間に位置する「介在部」となっている。さらに述べると、上壁221は、ケーブルC1の上壁221上に配置された部分全体を覆うように、ケーブルC1と定着ベルト110との間に設けられている。このような介在部としての上壁221により、定着ベルト110とケーブルC1との接触が防止されている。
【0089】
また、第2フレーム220のリブ246は、ケーブルC2を基準としてハロゲンランプ120が配置された前側とは反対側の後側であって、ケーブルC2と定着ベルト110との間に位置する「介在部」となっている。このような介在部としてのリブ246により、定着ベルト110とケーブルC2との接触が抑制されている。
【0090】
ちなみに、第1フレーム210に設けられた介在部(支持壁214および立設壁215,216)と、第2フレーム220に設けられた介在部(上壁221およびリブ246)は、いずれも絶縁性の材料から形成されているため、この介在部により定着ベルト110とケーブルC1などの電気部材との接触が抑制されることで、定着ベルト110と電気部材との絶縁を確保することもできるようになっている。
【0091】
ここで、本実施形態における、ステイ160、サーモスタット170、サーミスタ180、コイルバネ191,192およびフレーム部材200の組み立てについて簡単に説明する。
【0092】
図3に示す状態から、まず、ステイ160に対して、第1フレーム210を被せるように組み付ける。次に、第1フレーム210の第1位置決め部231にサーモスタット170を配置し、各第2位置決め部232にサーミスタ180を配置する。また、第2フレーム220の第1支持部241にコイルバネ191を取り付け、第2支持部242にコイルバネ192を取り付ける。そして、ステイ160に組み付けられた第1フレーム210に対して、第2フレーム220を重ね合わせるように組み付ける。
【0093】
その後、図6(a)に示すように、ネジB1を、第2フレーム220の円穴243および第1フレーム210(固定部233)の円形の貫通孔に通して、ステイ160の右側固定部161のネジ穴に螺合する。これにより、第1フレーム210と第2フレーム220、すなわち、フレーム部材200は、右側(軸方向における一方側)がステイ160に対し左右方向に位置決めされた状態でステイ160に固定されることとなる。
【0094】
また、図6(b)に示すように、締結具の一例としてのネジB2を、第2フレーム220の長穴244および第1フレーム210の切欠部234に通して、ステイ160の左側固定部162のネジ穴に螺合する。ここで、切欠部234は左右方向の幅が左側固定部162の左右方向の長さよりも大きく、長穴244は左右方向に長い貫通孔なので、フレーム部材200は、左側(軸方向における他方側)が、フレーム部材200をステイ160に固定するためのネジB2に対し、左右方向に遊びを有した状態でステイ160に固定されることとなる。
【0095】
以上により、ステイ160、サーモスタット170、サーミスタ180、コイルバネ191,192およびフレーム部材200が組み立てられる。
【0096】
なお、本実施形態では、前記のとおり、ステイ160に対して、(1)第1フレーム210、(2)サーモスタット170およびサーミスタ180、並びに、(3)コイルバネ191,192を支持する第2フレーム220を、(1)〜(3)の順に組み付けていくことができる。これにより、例えば、1部品としてのフレーム部材にサーモスタット170やコイルバネ191などを組み付けていくような構成と比較して、組み付け性を向上させることができるようになっている。
【0097】
また、フレーム部材200は、右側が位置決めされた状態でステイ160に固定され、左側がネジB2に対し左右に遊びを有した状態でステイ160に固定されているので、熱が伝わることでステイ160やフレーム部材200が線膨張したとしても、その膨張を吸収することができるようになっている。これにより、ステイ160やフレーム部材200の変形が抑制可能となっている。
【0098】
図4に示すように、フレーム部材200には、回転する定着ベルト110の内周面と摺接して定着ベルト110の回転を案内するガイド部が形成されている。具体的に、フレーム部材200は、ガイド部として、第3ガイドの一例としてのニップ上流ガイド310と、第1ガイドの一例としてのニップ下流ガイド320と、第2ガイドの一例としての上部ガイド330と、前部ガイド340とを有している。
【0099】
ニップ上流ガイド310は、ニップ板130と加圧ローラ140の間に向けて定着ベルト110を案内するガイドであり、第1フレーム210の前側壁212の下端部に形成されている。より詳細に、ニップ上流ガイド310は、定着ベルト110の回転方向(図4の時計回り方向)におけるニップ板130の上流側端部130Fに隣接して、上流側端部130Fのすぐ上流側に設けられており、定着ベルト110の内周面に向けて凸となる断面を有する曲面形状をなしている。
【0100】
このニップ上流ガイド310は、図7に示すように、定着ベルト110の軸方向(左右方向)のほぼ全範囲にわたって連続的に設けられている。
このようなニップ上流ガイド310を有することで、ニップ板130と加圧ローラ140の間に向けて定着ベルト110を良好に案内することができるようになっている。
【0101】
図4に戻り、ニップ下流ガイド320は、ニップ板130と加圧ローラ140の間から搬出された定着ベルト110を案内するガイドであり、第1フレーム210の支持壁214の後端部(すなわち介在部)に形成されている。より詳細に、ニップ下流ガイド320は、定着ベルト110の回転方向におけるニップ板130の下流側端部130Rに隣接して、下流側端部130Rのすぐ下流側に設けられており、定着ベルト110の内周面に向けて凸となる断面を有する曲面形状をなしている。
【0102】
本実施形態においては、ニップ下流ガイド320は、図3や図5に示すように、左右方向に沿って断続的に設けられているが、ニップ上流ガイド310と同様に、定着ベルト110の軸方向のほぼ全範囲にわたって連続的に設けられていてもよい。
このようなニップ下流ガイド320を有することで、ニップ板130と加圧ローラ140の間から搬出された定着ベルト110の進行を安定させることができるようになっている。
【0103】
なお、上記において、すぐ上流側とは、定着ベルト110の回転方向におけるニップ上流ガイド310とニップ板130との間に定着ベルト110の回転を案内するための他のガイドが設けられていないことを意味し、すぐ下流側とは、回転方向におけるニップ板130とニップ下流ガイド320との間に他のガイドが設けられていないことを意味する。
【0104】
図4に示すように、上部ガイド330は、定着ベルト110の上部分を案内するガイドであり、ハロゲンランプ120を挟んでニップ板130とは反対側の上側に配置された第2フレーム220の上壁221(すなわち介在部)に形成されている。より詳細に、上部ガイド330は、図7に示すように、定着ベルト110の軸方向における上壁221の両端のみに上方に向けて突出するように設けられており、左右方向から見て、定着ベルト110の内周面に向けて凸となる曲面形状をなしている。
【0105】
前部ガイド340は、定着ベルト110の前部分を案内するガイドであり、第1フレーム210の前側壁212に形成されている。より詳細に、前部ガイド340は、前側壁212の右端のみに前方に向けて突出するように設けられており、左右方向から見て、定着ベルト110の内周面に向けて凸となる曲面形状をなしている。
【0106】
本実施形態において、前部ガイド340は、図4に示すように、上部ガイド330のガイド面と定着ベルト110の内周面とが接する面のうち、定着ベルト110の回転方向における下流側の端部に接する平面PLよりも下側(ハロゲンランプ120側)に配置されるように設けられている。
【0107】
第2フレーム220に設けられた上部ガイド330と、第1フレーム210に設けられた前部ガイド340との間には継ぎ目ができることとなるが、上記したように前部ガイド340を設けることにより、定着ベルト110を上部ガイド330から前部ガイド340へスムーズに案内することができるようになっている。
【0108】
以上のような上部ガイド330や前部ガイド340を有することで、フレーム部材200の上部や前部における定着ベルト110の進行を安定させることができるようになっている。また、本実施形態では、上部ガイド330が左右両端のみに設けられ、前部ガイド340が右端のみに設けられているので、定着ベルト110の内周面と、上部ガイド330や前部ガイド340との摺動抵抗を小さくすることができる。これにより、定着ベルト110を良好に回転させることができるようになっている。
【0109】
以上説明した定着装置100によれば、サーモスタット170やケーブルC1,C2などの電気部材を支持するフレーム部材200に、介在部(支持壁214、立設壁215,216、上壁221、リブ246)が形成されているので、定着ベルト110と、定着ベルト110の内側に配置された各電気部材との接触を抑制することができる。
【0110】
また、フレーム部材200に、ニップ下流ガイド320や上部ガイド330などのガイド部が形成されているので、定着ベルト110の回転を安定させることができる。さらに、フレーム部材200にガイド部を形成したことで、フレーム部材200とは別部品としてのガイド部材を設ける必要がなくなるので、部品点数の削減や、定着装置100の小型化を図ることができる。
【0111】
本実施形態では、ニップ下流ガイド320や上部ガイド330が、定着ベルト110と接触する可能性が高い介在部(支持壁214、上壁221)に形成されているので、定着ベルト110と電気部材との接触を抑制しつつ、定着ベルト110の回転をより安定させることができる。
【0112】
また、本実施形態では、介在部としての上壁221がケーブルC1をほぼ完全に覆うようにケーブルC1と定着ベルト110との間に設けられているので、定着ベルト110とケーブルC1との接触をより確実に抑制(防止)することができる。
【0113】
さらに補足すると、ケーブルC1は、第1フレーム210と第2フレーム220の間に配置され、外側から見て第2フレーム220に覆われることとなり、さらに、ガイド部(上部ガイド330)がケーブルC1を覆う第2フレーム220に形成されるので、定着ベルト110とケーブルC1との接触をより確実に防止できるとともに、上部ガイド330により定着ベルト110を良好に回転させることができる。
【0114】
また、本実施形態では、ガイド部が形成されるフレーム部材200が、剛性の高いステイ160に固定されているので、フレーム部材200の位置が安定するため、定着ベルト110の回転をより安定させることができる。
【0115】
なお、本実施形態では、電気部材としてサーモスタット170やサーミスタ180を備えるが、このような電気部材は、ケーブルC1,C2と比べて断面形状が大きいため、定着ベルト110の内側に配置したときに定着ベルト110に近づいて接触する可能性が高まる。したがって、電気部材と定着ベルト110の間に介在部を形成する本発明は、断面形状が大きい電気部材を備える場合に特に有効である。
【0116】
また、サーモスタット170やケーブルC1,C2などの電気部材は、ステイ160や第1フレーム210を挟んでハロゲンランプ120とは反対側に配置されているので、電気部材に熱が伝わることを抑制できる。これにより、電気部材の耐熱性をそれほど高める必要がなくなるので、安価な部品の使用が可能となり、コストを抑制することができる。
【0117】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0118】
前記実施形態で示した介在部としての支持壁214や立設壁215,216、上壁221、リブ246は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、前記実施形態の図2を参照して説明すると、第2フレーム220がサーモスタット170の後側を完全に覆うような壁を有する場合、この壁が介在部となる。また、介在部は、上壁221のように電気部材の全体を覆うように電気部材と筒状部材との間に設けられるものであってもよいし、支持壁214や立設壁215,216のように電気部材の一部と筒状部材との間に設けられるものであってもよい。
【0119】
前記実施形態で示したガイド部の構成は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、前記実施形態の図2を参照して説明すると、リブ246に定着ベルト110の後部分を案内するガイドを形成してもよい。また、ガイド部は、ニップ下流ガイド320や上部ガイド330のように介在部に形成したものであってもよいし、ニップ上流ガイド310や前部ガイド340のようにフレーム部材の介在部ではない部分に形成したものであってもよい。
【0120】
前記実施形態では、上部ガイド330(第2ガイド)は、定着ベルト110の軸方向における両端のみに設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2ガイドは、筒状部材の軸方向に沿って断続的に設けられていてもよいし、軸方向の全範囲にわたって設けられていてもよい。
【0121】
前記実施形態では、ガイド部が第1フレーム210と第2フレーム220の両方に形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、一方のフレームが、他方のフレームを完全に覆うように重なり合っている場合、ガイド部が前記一方のフレームのみに形成されていてもよい。さらに言えば、本発明において、フレーム部材が複数のフレームから構成されている場合には、ガイド部は、少なくとも1つのフレームに形成されていればよい。
【0122】
前記実施形態では、フレーム部材200がリブ235,236,245,246を有し、ケーブルC1,C2がリブ235,236またはリブ245,246に挟まれるように配置されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、フレーム部材は、配線の経路に沿って設けられた溝を有し、配線は、溝内に配置されていてもよい。
【0123】
前記実施形態では、フレーム部材200がステイ160に固定されていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、フレーム部材は、回転する筒状部材の軸方向両端面を案内する部材などに固定されていてもよい。なお、筒状部材の回転を安定させるため、ガイド部が形成されるフレーム部材は、剛性の高い部材に固定されることが望ましい。
【0124】
前記実施形態では、フレーム部材200は、右側が位置決めされた状態でステイ160に固定され、左側がネジB2(締結具)に対し左右方向に遊びを有した状態でステイ160に固定されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、フレーム部材は、筒状部材の軸方向における中央が位置決めされた状態でステイに固定され、両端が締結具に対し左右方向に遊びを有した状態でステイに固定されていてもよい。
【0125】
前記実施形態では、第3フレームの一例としての第1フレーム210と、第4フレームの一例としての第2フレーム220が、ステイ160に対して共通のネジB1,B2によって固定されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、第3フレームと第4フレームは、ステイに対して別々のネジによって固定されていてもよい。
【0126】
前記実施形態では、第1フレーム210と第2フレーム220とは、互いの一部同士を重ね合わせるようにして組み立てられるように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、重ね合わせたときに、一方のフレームが、他方のフレームを完全に覆うように構成されていてもよい。
【0127】
前記実施形態では、フレーム部材が2つのフレーム(部品)から構成されていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、1部品から構成されていてもよいし、3つ以上の部品から構成されていてもよい。
【0128】
前記実施形態では、サーモスタット170やサーミスタ180(温度検出部材)が、ニップ板130(第1突出部132や第2突出部133)の温度を検出するように配置されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、温度検出部材は、筒状部材の内周面の温度を検出するように配置されていてもよい。なお、本発明において、温度検出部材の温度検出面は、検出対象に対して、接触していてもよいし、非接触であってもよい。
【0129】
前記実施形態では、サーモスタット170やサーミスタ180、ケーブルC1が第1フレーム210に支持され、ケーブルC2が第2フレーム220に支持されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明において、フレーム部材が複数のフレームから構成されている場合には、電気部材は、少なくとも1つのフレームに支持されていればよい。
【0130】
前記実施形態では、電気部材として、サーモスタット170、サーミスタ180およびケーブルC1,C2を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、前記実施形態のサーモスタット170の代わりとしての温度ヒューズなどであってもよい。
【0131】
前記実施形態では、バックアップ部材として加圧ローラ140を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ベルト状の加圧部材などであってもよい。
【0132】
前記実施形態の定着装置100は、ニップ板130(ニップ部材)を介して定着ベルト110(筒状部材)を加熱する構成であったが、本発明はこれに限定されず、例えば、ヒータによって筒状部材を直接加熱するような構成であってもよい。
【0133】
言い換えると、ニップ部材は、ヒータによって加熱されないものであってもよい。この場合、ヒータは、例えば、筒状部材の内側でステイを挟んでニップ部材とは反対側に配置されていてもよい。
【0134】
前記実施形態では、発熱体としてハロゲンランプ120(ハロゲンヒータ)を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、カーボンヒータやIHヒータなどであってもよい。
【0135】
前記実施形態では、定着ベルト110(筒状部材)が金属製であったが、本発明はこれに限定されず、例えば、ポリイミド樹脂などの樹脂から形成されていてもよいし、ゴムなどの弾性を有する材料から形成されていてもよい。また、筒状部材は、多層構造であってもよい。具体的には、例えば、金属製ベルトの表面に摺動抵抗を低減するための樹脂層などを有する構造であってもよいし、金属製ベルトの表面にゴム層などの弾性層を有する構造であってもよい。
【0136】
前記実施形態の定着装置100は、反射部材150を備えていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、反射部材を備えない構成であってもよい。この場合、ステイは、ヒータと対向する側の面に、ヒータからの輻射熱をニップ板に向けて反射する反射面を有していてもよい(すなわち、ステイと反射部材が一体に構成されていてもよい。)。
【0137】
前記実施形態では、記録シートとして、普通紙やはがきなどの用紙Sを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【0138】
前記実施形態では、本発明の定着装置を備える画像形成装置として、モノクロの画像を形成するレーザプリンタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、カラーの画像を形成するプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0139】
100 定着装置
110 定着ベルト
120 ハロゲンランプ
130 ニップ板
140 加圧ローラ
160 ステイ
170 サーモスタット
180 サーミスタ
200 フレーム部材
210 第1フレーム
214 支持壁
215 立設壁
216 立設壁
220 第2フレーム
221 上壁
233 固定部
234 切欠部
235 リブ
236 リブ
243 円穴
244 長穴
245 リブ
246 リブ
310 ニップ上流ガイド
320 ニップ下流ガイド
330 上部ガイド
B1 ネジ
B2 ネジ
C1 ケーブル
C2 ケーブル
S 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートに転写された現像剤像を熱定着する定着装置であって、
可撓性を有する筒状部材と、
前記筒状部材の内側に配置されたヒータと、
前記筒状部材の内周面に摺接するように配置されたニップ部材と、
前記ニップ部材との間で前記筒状部材を挟むバックアップ部材と、
前記筒状部材の内側で前記ヒータを覆うように配置され、前記ニップ部材を支持するステイと、
前記筒状部材の内側で前記ステイを挟んで前記ヒータとは反対側に配置された電気部材と、
前記筒状部材の内側に配置され、前記電気部材を支持するフレーム部材と、を備え、
前記フレーム部材は、前記電気部材の少なくとも一部と前記筒状部材との間に位置する介在部と、回転する前記筒状部材の内周面を案内するガイド部とを有することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記介在部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記介在部は、前記電気部材を覆うように前記電気部材と前記筒状部材との間に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記筒状部材の回転方向における前記ニップ部材の下流側端部に隣接して設けられ、前記ニップ部材と前記バックアップ部材の間から搬出された前記筒状部材を案内する第1ガイドを有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記ヒータを挟んで前記ニップ板とは反対側に設けられた第2ガイドを有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記ガイド部は、前記筒状部材の回転方向における前記ニップ部材の上流側端部に隣接して設けられ、前記ニップ部材と前記バックアップ部材の間に向けて前記筒状部材を案内する第3ガイドを有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
前記第2ガイドは、前記筒状部材の軸方向における両端のみに設けられていることを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
【請求項8】
前記フレーム部材は、前記ステイを覆うように配置され、前記電気部材を支持する第1フレームと、当該第1フレームの少なくとも一部を挟んで前記ステイとは反対側に配置された第2フレームとを有し、
前記電気部材は、前記第1フレームと前記第2フレームの間に配置され、
前記ガイド部は、少なくとも前記第2フレームに形成されたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項9】
前記電気部材は、温度検出部材であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項10】
前記電気部材は、配線であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項11】
前記配線は、前記ヒータに接続されていることを特徴とする請求項10に記載の定着装置。
【請求項12】
前記電気部材は、温度検出部材と、当該温度検出部材に接続される配線であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項13】
前記フレーム部材は、前記配線の経路に沿って断続的に設けられたリブを有し、
前記配線は、前記リブに挟まれるように配置されていることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項14】
前記介在部は、前記リブの一部であることを特徴とする請求項13に記載の定着装置。
【請求項15】
前記フレーム部材は、前記ステイに固定されていることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項16】
前記フレーム部材は、前記筒状部材の軸方向における一方側が前記ステイに対し前記軸方向に位置決めされた状態で前記ステイに固定され、他方側が前記ステイに固定するための締結具に対し前記軸方向に遊びを有した状態で前記ステイに固定されていることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項17】
前記フレーム部材は、互いの少なくとも一部同士を重ね合わせるようにして組み立てられる第3フレームおよび第4フレームを有し、
前記電気部材は、前記第3フレームと前記第4フレームが重なり合った部分において前記第3フレームと前記第4フレームの間に配置され、前記第3フレームおよび前記第4フレームの少なくとも一方に支持されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項18】
前記ガイド部は、前記第3フレームおよび前記第4フレームの少なくとも一方に形成されていることを特徴とする請求項17に記載の定着装置。
【請求項19】
前記第3フレームと前記第4フレームは、前記ステイに対して共通のネジによって固定されていることを特徴とする請求項17または請求項18に記載の定着装置。
【請求項20】
前記フレーム部材は、前記筒状部材の軸方向における一端から他端にわたって前記電気部材を支持することを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−252061(P2012−252061A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122830(P2011−122830)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】