説明

定量データ分析を可能にするために包括的2(多)次元クロマトグラフィー(分離)システムにおいてデータ取り込みおよびモジュレーションを同期させるシステムおよび方法

本発明は、モジュレータを含む包括的2次元ガスクロマトグラフのシステムおよび方法に関する。このシステムおよび方法においては、モジュレータのパルス化をデータ取り込みと同期させるので、結果を再現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的2次元ガスクロマトグラフィー(2DGCまたはGCxGC)に関する。特に、本発明は、再現可能なクロマトグラムを実現する2DGCまたはGCxGCに関する。
【背景技術】
【0002】
2次元ガスクロマトグラフィーは、ガスクロマトグラフィーにおいて2つの分離カラムを結合したものである。第1カラムからの流出物は周期的に第2カラムに注入/移送され、第2カラムにおいて、第1カラムとは異なる規準によって流出物の成分が分離される。ピークのクラウディング/重なり合いが、従来のクロマトグラフィーの有用性を制限している。ピーククラウディングの問題を処理する1つの方法が、重ね合わせ型包括的2次元ガスクロマトグラフィーである。このセットアップにおいては、第1カラムからの流出物は、カラム間に位置するモジュレータによって一連のパルスとして第2カラムに注入される。モジュレータは、第1カラムから第2カラムへの流出物の動きを周期的に開始しかつ停止する。第2カラムからの流出物は、流出物構成成分のデータ取り込みのために検出器に送られる。
【0003】
包括的2次元ガスクロマトグラフィーによる分離は、第2次元目の分離の開始および終点を規定するモジュレーションシステムに基づく。第2次元目の分離は、第1次元目の分離と第2次元目の分離との間の流出物の流れを制御したモジュレータのモジュレーション周期によって規定することができる。従来の包括的2次元ガスクロマトグラフィー(2DGCまたはGCxGC)システムにおいては、モジュレーションユニットは、GCデータ取り込みとは独立に運転される。これは、(1)第2次元目の分離の開始時刻が、たとえ実験条件が正確に同一でもランごとに変化する第1次元目の分離の開始時刻とは独立のものになること、および、(2)第2次元目の分離に薄く切り取って送られるピークフラクションが厳密には同一の形状/強さではないため、多くの後データ処理問題を引き起こす可能性があること、の原因となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、結果を再現可能にするために、「データ取り込みとモジュレーションとの同期」が、あらゆるタイプの包括的2次元ガスクロマトグラフィーによる分離に要求される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明においては、GCxGCシステムの精密な時間分解を可能にする同期ユニットのシステムおよび方法が開示される。GCxGCクロマトグラムにおける任意の成分に対する保持位置を、このセットアップを備えたGCxGC機器によって正確に再現することができる。即ち、データ取り込みをモジュレータと同期させることが可能になり、再現可能なクロマトグラムが実現される。「正確な再現」という用語が、この2次元クロマトグラフィー分離によって分離される成分の定量分析にとって最も重要な因子である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
包括的2次元ガスクロマトグラフィー(GCxGC)は、2次元分離を複雑な混合物に適用し得ることを例証してきた。単一次元のGCと比較した場合、GCxGC技法には2つの主要な利点がある。即ち、約10倍高い高分解能と約50倍程高い高感度とである。この新しい強力な分離機器を日常的な分析用具として利用するために、多重のステップを無人操作用に自動化することが非常に重要である。更に、その分解能が強力なため、硫黄のような元素選択検出器に対するGCxGCのインターフェースが、複雑な組成物問題の解決において非常に重要である。
【0007】
本発明は、自動化された、即ち無人操作が可能な改良型包括的2次元ガスクロマトグラフィーに関する。機器の無人操作に加えて、この場合クロマトグラムを高い精度で再現することが可能であり、これによって定量分析のステップの管理の改善が可能になる。
【0008】
図1のGCxGC概略図は、種々のユニットの機能的な一覧図と自動運転におけるその役割とを示す。この自動化の開発は次の諸項目を含んでいる。即ち、(1)液体窒素の液位制御および液体窒素の自動再充填システムの使用、(2)オートサンプラの追加、(3)改良型機器制御およびデータ取り込みのソフトウェア、および、(4)モジュレーションをGC事象と同期させるための外部トリガーオプションを備えたパルス発生器の導入、である。
【0009】
液体窒素の役割は、モジュレーションの溶質トラップ相の間のコールドジェット用の低温ガス源を提供するために窒素ガスの熱交換を遂行することにある。これは、第1次元目のカラムから出てくる溶質をトラップするために必要である。分析の完遂に必要な多数サイクルにわたってモジュレーションユニットを操作するために、液体窒素の連続的な供給が必要とされる。液体窒素の再充填キットに加えて、液体窒素の液位制御システムを自動化パッケージの一部として導入した。
【0010】
多試料分析用のGCxGCを自動化するための第1の要件はオートサンプラである。GCのメーカと同じメーカ製のオートサンプラがすべての要件にぴったり適合するので、それを選定した。
【0011】
市販のオリジナルのGCxGCシステムは、モジュレーションユニットおよびデータ取り込みを制御するソフトウェアプログラムを含んでいたが、このプログラムは、データ取り込みを自動化し得る能力を有していなかった。別個の商業入手可能なデータ取り込みプログラムを用いて、このGCxGC操作用として調整しなければならなかった。この新しいプログラムは、オートサンプラおよびパルス発生器のような他の操作ユニットと統合可能であり、完全な自動化システムとすることができた。
【0012】
先行技術のGCxGCシステム構成においては、モジュレーションユニットは、GCデータ取り込みとは独立に操作された。この独立操作の結果、第2次元目のクロマトグラムにおいて相の移動が生起し、再現不能なクロマトグラムを得る結果になっていた。これを是正するため、相補正ソフトウェアまたはハードウェアの同期化が必要であった。再現可能なクロマトグラムを実現するために、本開発はハードウェアの同期化による解決策に集中された。
【0013】
本発明においては、データ取り込みがモジュレーションと同期化され、それによって完全な自動化操作が可能になった。同期化によって獲得された性能の強化は、複雑な混合物の分析におけるGCxGCのいくつかの適用例によって証明される。2つの代表的な適用例として次のものが挙げられる。即ち、1)種々の燃料を識別するクラスタイプの分離の威力を示すためのディーゼル燃料沸点範囲の燃料の分離、および、2)ハードな硫黄化合物のクラスタイプの分離の威力並びに水素化脱硫(HDS)触媒の選択性および効率を示すための、HDSの異なる段階におけるディーゼル燃料範囲のストリームにおける硫黄含有化合物のGCxGCによる硫黄特定検出、である。
【0014】
GCxGCの自動化
GCxGCユニットはZoex社(Zoex Inc.)(リンカーン市、ネブラスカ州(Lincoln,NE))から購入した(他に利用可能なものもある)。これは、GC(Agilent 6890)システムと、制御器を備えた第1世代のサーマルモジュレーションユニットと、Zoexの機器制御およびデータ取り込みソフトウェアを搭載したコンピュータとを用いる。サーマルモジュレーションはスロット付き回転ヒータを用いて実施した。第1次元カラムおよび第2次元カラム間に配置される薄膜被覆したキャピラリチューブ上に溶質を再フォーカシングすることが難しかったので、スロット付きヒータでは、モジュレーションの間に溶質トラップの効率的な制御を実現できなかった。短いキャピラリチューブは、オーブン温度に追随し、第1次元カラムから溶離する溶質を再フォーカシングするに十分なほど低温ではなかった。そのため、サーマルモジュレーションユニットをパルス化ジェットシステムに高度化した。モジュレーションの高度化において、GCxGCシステムを完全自動化するため、以下に概要を述べるいくつかのステップを実行した。
【0015】
液体窒素の液位制御および液体窒素の自動再充填システム
モジュレーション操作のトラップ機能の性能を確保するため、窒素ガスは室温から氷点以下の温度に冷却する必要がある。パルス化ジェットモジュレーションユニットにおいては、コールドジェット(ガス)源は外部の窒素ガス供給装置から得る。この熱交換の機構は、液体窒素のデュワー瓶に浸漬したコイル内に窒素ガスを通すことによって行われる。液体窒素の役割は、室温の窒素ガスの氷点以下の温度への熱交換を遂行することである。
【0016】
液体窒素のデュワー瓶の容積が固定しており、かつ冷却窒素ガスが中断されないことが必要であることから、液体窒素の大型容器が必要である。この大型容器と、自動充填能力との組み合わせによって24時間連続操作が可能になる。
【0017】
自動モードにおいては、液体窒素デュワー瓶の再充填が重要であるだけでなく、液体窒素の液位も同様に重要である。液位センサの距離によって再充填操作の頻度が制御される。始動センサの絶対高さがコールドジェットの最低温度を決定するであろう。この液体窒素供給操作は、他の必要な自動化操作とは全く独立に行うことができる。この独立性によって、液体窒素の液位制御および再充填システムの選定に柔軟性がもたらされる。抵抗またはキャパシタンスを用いるシステムが要求を満たし得る筈である。発明者らのシステムは当分野で周知の抵抗センサを用いる。
【0018】
オートサンプラ
オートサンプラの導入は、24時間連続の多試料分析の自動化においてもう1つの重要なステップである。ある種のGCxGC適用には長い分析時間が必要であるので、オートサンプラの使用はきわめて重要である。更に、機械操作が自動化されているために、注入のタイミング、試料の注入量、注入速度および注入深さを、すべて正確にかつ再現可能なように制御できる。また、ニードルの加温による試料蒸発のようなあらゆるニードル効果およびニードル滞留時間(dwell time)による試料のディスクリミネーションをすべて除去できる。GCxGCにオートサンプラを用いるその他の重要な利点は、GC開始タイミングの制御である。GC開始時刻は、データ取り込みの基準時点並びにモジュレーションの開始時刻をも規定する非常に重要な時間事象である。GCxGC分析においては、データ取り込みをモジュレーション周期に同期させなければならない。GC開始時刻を、同期させる必要がある他の事象を制御/規定する基準点として使用するために、制御または参照し得ることは非常に重要である。
【0019】
GCxGCに用いられるオートサンプラは従来型のGCオートサンプラと全く同じものである。
【0020】
機器制御およびデータ取り込みのソフトウェア
本発明の自動化開発においては、GCxGCの自動実験を遂行するため、ソフトウェアパッケージが、すべてのハードウェア構成機器並びにソフトウェアプログラムを統合することが望ましい。
【0021】
GCxGCの自動化にはシステムにおけるいくつかの異なる構成要素の制御および情報伝達が要求される。即ち、1)モジュレーションユニット。これには、ハードおよびコールドジェット流れと、ホットジェットの加熱と、コールドジェットの冷却とが含まれる。分析の前後にはガス弁を開閉する必要がある。加熱用の電力と、液体窒素の液位制御および再充填システム用の電力とについても分析の前後に入り切りする必要がある。2)方法のセットアップと、シーケンスのセットアップと、オートサンプラ制御と、データ取り込みとを含むGCxGC機器の制御。この部分は伝統的なGCのものと同じである。3)パルス発生器のような外部のタイミング装置による同期化。4)第2オーブンチャンバ内における加熱および冷却の制御。5)GCxGCのサンプリング速度の要求に適合するために高速サンプリングを実現し得ること。
【0022】
1つのソフトウェアパッケージが実験遂行に要求される全事象を制御できれば、必要なすべてのパラメータをコマンドファイルにコンパイルすることができ、何度も繰り返すことができる。このコマンドファイルを、この自動化開発に用いられるソフトウェアパッケージにおいては方法ファイルと称する。1つのランシーケンスの間、異なるタスクを実行するために異なる方法ファイルを呼び出すことができる。これが、データ取り込みソフトウェア並びにこの機器構成の真の自動化の利点である。
【0023】
商業的に入手可能なGC機器制御およびデータ取り込みのパッケージが多数存在する。この自動化に使用したソフトウェアパッケージは、GCおよびオートサンプラと同じ提供者からのものである。しかし、このパッケージはモジュレーションユニットをGCデータ取り込みと同期させることをしない。
【0024】
同期システム
オリジナルのGCxGCシステムにおいては、モジュレーションユニットはGCデータ取り込みとは独立に操作される。このため、第2次元目のGCxGCクロマトグラムにおいてピークの位置が変化することになる。実験ランをたとえ厳密に同じ実験条件で行っても、クロマトグラムは第2次元目の位置において同じにはならないであろう。この結果は、データ取り込みがモジュレーションユニットにおけるパルスと同期していないということである。
【0025】
第2次元目のカラムにおいて同じ保持時間を得るために、データ取り込みの開始を、モジュレーションユニットの基準時点と同期させなければならない。本発明においては、これを達成する方法は、データ取り込みの開始点を、パルス列の開始点と同期させることである。パルス列はGCデータ取り込みの開始よりもかなり早くスタートしているので、データ取り込みが開始されるときにパルス列をリセットする必要がある。
【0026】
同期化は、分析後のソフトウェア補正によっても実現できる。しかし、これは、試料における基準成分の強化または機器的に生成された基準信号のいずれかを必要とするであろう。分析後のソフトウェア補正は、科学的に有意のクロマトグラムを得るために付加的なステップをも必要とする。ハードウェアによる同期化方法は、更に別の操作を必要とすることなく、毎回正しいクロマトグラムを生成するであろう。本自動化開発においては、外部トリガーのオプションを備えたパルス発生器を導入する。GCが開始準備され、同時にデータ取り込みの開始準備がなされると、それがトリガー信号をパルス発生器ユニットに送り出してパルス列をリセットする。このトリガー機構によって、パルス発生器がデータ取り込みの開始点と同期することが可能になる。図2は、この割り込みおよびリセットパルス列が如何にしてGC開始をデータ取り込みと同期させるかを示す。
【0027】
同期化されたGCxGCの性能
同期化試験
従来型のGC分析においては、成分の同定が保持時間に基づいている場合は、異なるラン間の保持時間の変動は、3個のデータポイントより多くなることはあり得ない。サンプリングの頻度に応じて、これら3個のデータポイントの保持時間の差異は、データ収集速度が1ヘルツ(Hz)であれば、±0.02分より大きくないことが必要になることがある。GCxGCにおいては、同じ条件の場合、保持時間の変動を±0.001分より大きいとすることができる。これは、GCxGCにおいては、サンプリング速度が通常100Hzであるが故である。同じ化合物に対して保持時間位置を有するために、モジュレーションプロセスをデータ取り込みと同期させることが必要である。以下の例は、モジュレーションプロセスおよびデータ取り込みの間を同期させた場合と、その間に同期がない場合とに得られたクロマトグラムにおける一群の化合物の保持時間の変動を示す。
【0028】
従来型のGC分析においては、成分の同定が保持時間に基づいている場合は、異なるラン間の保持時間の変動は、3個のデータポイントより多くなることはあり得ない。サンプリングの頻度に応じて、これら3個のデータポイントの保持時間の差異は、データ収集速度が1ヘルツ(Hz)であれば、±0.02分より大きくないことが必要になることがある。GCxGCにおいては、同じ条件の場合、保持時間の変動を±0.001分より大きいとすることができる。これは、GCxGCにおいては、サンプリング速度が通常100Hzであるが故である。同じ化合物に対しては同じ保持時間(GCxGCに対する保持位置)を有するために、モジュレーションプロセスをデータ取り込みと同期させることが必要である。以下の例は、モジュレーションプロセスおよびデータ取り込みの間を同期させた場合と、その間に同期がない場合とに得られたクロマトグラムにおける一群の化合物の保持時間の変動を示す。
【0029】
表1は、モジュレーションプロセスをデータ取り込みと同期させた場合のC13−C16パラフィンの保持時間を示す。4つの異なるラン後において、対応するピークの範囲内の保持時間の変動は±0.001分より小さい。これは、GCxGCのクロマトグラムにおいては、あらゆる化合物が常に同じ位置に再現するであろうことを保証するものである。
【0030】
【表1】

【0031】
表2は、モジュレーションプロセスがデータ取り込みと同期していない場合のC13−C16パラフィンの別の1組の保持時間を示す。4つの異なるラン後において、ピークにおける保持時間の変動はおよそ±0.167分(10秒/モジュレーション周期)である。モジュレーションプロセスがデータ取り込みと同期していないために、保持時間が変動しており、同じ化合物がGCxGCクロマトグラムにおいて(第2次元目の)同じ位置に出現しないであろう。この状況を図3に見ることができる。
【0032】
【表2】

【0033】
データ取り込みがモジュレーションプロセスと同期していない場合は、定量分析において重大な問題が生じるであろう。各モジュレーション周期の間における第1次元から第2次元への分割ピークのタイミングを分析ごとに正確に再現できないので、同じ成分の相対的なピーク数並びに相対的なピーク強さ/面積が再現されないことがある。後者は、ピーク容積の積分法が用いられるGCxGCにおけるピーク容積の計数の変動に影響するであろう。表3は、データ取り込みをモジュレーションプロセスと同期させた場合のC13−C16直鎖パラフィン標準に対するピーク面積の変動を示す。保持時間およびピーク強さのいずれもよく再現されている。データ取り込みがモジュレーションプロセスと同期していない場合は、同じ成分の範囲内で接合されたピークの数並びに相対的なピークの強さは分析ごとに変動するであろう。図4は、データ取り込みがモジュレーションプロセスと同期していない場合の、4つの異なる分析に対するC13−C16直鎖パラフィン標準のピークパターンを示す。
【0034】
【表3】

【実施例】
【0035】
定量分析における再現クロマトグラフィーの利点
GCxGC(2DGC)クロマトグラムを再現できる場合には、定性および定量分析が一層効果的かつ効率的になるであろう。成分の同定および定量化は、クロマトグラムにおける保持位置に完全に基づいて行うことができ、定性および定量分析のテンプレートは、同じ実験条件で発生させた1組の試料に対して構成することができる。図5は、ディーゼル燃料試料の典型的なGCxGC(2DGC)クロマトグラムを示す。異なるタイプの定量分析に対する種々のテンプレートを実験目的に応じて構成することができる。その例を以下に示す。
【0036】
図6は、沸点に基づいて各成分を定量化しかつ分類するシミュレーション蒸留タイプの定量分析を示す。表4は、このタイプの分析の定量的結果を列挙する。
【0037】
【表4】

【0038】
図7は、分子構造または分子量に基づいて各成分を定量化しかつ分類する炭素数系列に基づく別のタイプの定量分析を示す。表5は、このタイプの分析の定量的結果を列挙する。
【0039】
【表5】

【0040】
この同期化ユニットの発明によって、包括的2(多)次元クロマトグラフィー分離技法の定性および定量分析の進展が可能になる。これは、この包括的2(多)次元クロマトグラフィー分離技法を実用化に至らしめる架け橋となる重要な構成要素である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のGCxGCユニットの概略図を示す。
【図2】割り込みおよびリセットパルス列が如何にしてGC開始をデータ取り込みと同期させるかを示す。
【図3】モジュレーションプロセスがデータ取り込みと同期していない表2のデータについて、保持時間の変動によって、GCxGCクロマトグラムにおいて同一の化合物が同じ位置(第2次元目において)に出現しないであろうことを示す。
【図4】データ取り込みがモジュレーションプロセスと同期していない場合の、C13−C16直鎖パラフィン標準の4つの異なる分析に対するピークパターンを示す。
【図5】ディーゼル燃料試料の典型的なGCxGC(2DGC)クロマトグラムを示す。実験目的に応じて、異なるタイプの定量分析に対する種々のテンプレートを構成することができる。
【図6】沸点に基づいて各成分を定量化しかつ分類するシミュレーション蒸留タイプの定量分析を示す。このタイプの分析の定量的結果を表4に列挙する。
【図7】分子構造または分子量に基づいて各成分を定量化しかつ分類する炭素数系列に基づく別のタイプの定量分析を示す。このタイプの分析の定量的結果を表5に列挙する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1次ガスクロマトグラフィーカラム;
(b)前記第1次ガスクロマトグラフィーカラムからの流出物を受け入れる第2次ガスクロマトグラフィーカラム;
(c)試料を前記第1次ガスクロマトグラフィーカラムに注入する注入器;
(d)データ取り込みのために前記第2次クロマトグラフィーカラムからの流出物を受け入れる検出器;
(e)前記第1次ガスクロマトグラフィーカラムの流出物をパルス化して前記第2次ガスクロマトグラフィーカラムに送り込むモジュレータ;および
(f)前記モジュレータの前記パルス化を前記検出器からのデータ取り込みと同期させる手段
を含むことを特徴とする包括的2次元ガスクロマトグラフシステム。
【請求項2】
前記注入器がオートサンプラであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記モジュレータが、液体窒素、液体窒素の液位制御および液体窒素の自動再充填システムを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記同期させる手段が、前記第2次ガスクロマトグラフィーカラムにおいて0.001秒より短い保持時間をもたらすことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
ディーゼル燃料沸点範囲の燃料を分離することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
ディーゼル燃料範囲のストリームにおける硫黄含有化合物を分離することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
データ取り込みの開始をモジュレーションユニットの基準時点と同期させることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
データ取り込みの開始をパルス列の開始と同期させることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
データ取り込みが開始されるときに、パルス列の開始をリセットすることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
データ取り込みをモジュレーションと同期させることによって2次元ガスクロマトグラフィーシステムの結果を再現する方法。
【請求項11】
データ取り込みをパルス列の開始と同期させて開始することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
データ取り込みが開始されるときに、パルス列をリセットすることを特徴とする請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−508107(P2009−508107A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530055(P2008−530055)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/031407
【国際公開番号】WO2007/032840
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY