説明

定量吐出容器

【課題】定量吐出容器として、構造を簡単にし、容器底部のボタンを一回押すだけで鋸歯状に設けた中歯、外歯により中皿を一段ずつ上昇させ一定量吐出させることができ、しかも、容器の容量に比べ機構部を小さくし、容器の小型化がはかれる定量吐出容器を提供する。
【解決手段】容器体と中皿、および操作部材とからなる定量吐出容器であって、容器体は、上筒と下筒からなり、上筒は、上端に吐出筒を設け、下端に下筒が嵌合する縮径段部を設けた筒体を具備し、中皿は、上筒の筒体内面と液密にスライドする弾性片を具え、操作部材は、中皿押上げ部材と操作ボタンとからなり、中皿押上げ部材は、中皿に係合する頂壁と、下端内面に係止歯を設けた側周壁を具備し、操作ボタンは、操作板と、該操作板の中央部に立設され、押上げ部材の内面の係止歯に噛合う鋸歯を設けた内筒と、操作板の周縁に立設され、下筒と係合する外筒とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品、薬品、その他クリーム状、または粘性液状の内容物の定量吐出が可能な定量吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内容物を排出口より一定量吐出する化粧品、薬品、その他クリーム状、または粘性液状の内容物の押出容器として、外筒(1)内に可撓伸縮性を有する内筒(12)を収納し、該内筒(12)の下部に外方に突出するフック(19)を具えた小径の底部材(18)を配設するとともに、外筒(1)内面に鋸歯状の凹凸部(8)を設けた引き上げ杆(7)を、上下動自在に装着した押出容器であって、引き上げ杆(7)を押下げたときに、鋸歯状の凹凸部(8)がフック(19)を乗り越えて下降し、引き上げ杆(7)の押下げを解いたときにフック(19)に係合して引き上げ、内筒(12)の容量を減少させて、内容物を吐出するようにした定量押出容器は、従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、鋸歯状係合段部と受皿に設けた係合舌片とを係合させ、棒状化粧品を所定量押し出す押出容器も、従来より知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】実公平3−43191号公報
【特許文献2】実公昭58−5527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の押出容器では、押圧した時に内容物が排出されず、押圧をやめた時に内容物が排出されるので、使い勝手が悪く、構造が複雑で高価格になること、しかも内容量に応じて引上げ機構が大形になるという問題もあった。
また、上記特許文献2記載の記載では、受け皿と容器内面とが液密構造となっていないので、固形の内容物にしか利用できない等の問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、一定量吐出させる定量吐出容器として、構造を簡単にし、容器底部のボタンを一回押すだけで鋸歯状に設けた中歯、外歯により中皿を一段ずつ上昇させ一定量吐出させることができ、しかも、容器の容量に比べ機構部を小さくし、容器の小型化がはかれる定量吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するため、定量吐出容器として、容器体と中皿、および操作部材とからなる定量吐出容器であって、容器体は、上筒と下筒からなり、上筒は、上端に吐出筒を設け、下端に下筒が嵌合する縮径段部を設けた筒体を具備しており、中皿は、上筒の筒体内面と液密にスライドする弾性片を具えており、操作部材は、中皿押上げ部材と操作ボタンとからなり、中皿押上げ部材は、中皿に係合する頂壁と、下端内面に係止歯を設けた側周壁を具備しており、操作ボタンは、操作板と、該操作板の中央部に立設され、押上げ部材の内面の係止歯に噛合う鋸歯を設けた内筒と、操作板の周縁に立設され、下筒と係合する外筒とを具備していることを特徴とする構成を採用する。
【0007】
下筒と操作ボタンの関係構造として、下筒は、内面にストッパーを、下方にスリットを具備しており、操作板は、下筒のスリットに係合し、操作ボタンの回転を防止する突起が設けられ、操作板の周縁には、下筒に設けたストッパーと係合する膨出部を設けた外筒が立設されており、上筒の下端と外筒上端との間に、スプリングが弾装されていることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
中皿押上げ部材の実施例として、中皿押上げ部材が、外歯と中歯とからなり、外歯は、中皿に嵌合する頂壁と、下端内面に係止歯を設けた側周壁とを具備しており、中歯は、上壁と、内面下端に係止歯を設け、外面上端に外歯の係止歯と噛合うストッパーと外面全域に上側が平らな鋸歯を具備してていることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
操作部材を中皿押上げ部材と操作ボタンから構成しているので、内容物の吐出にあたって、操作ボタンを押圧すると、中皿押上げ部材を介して中皿を鋸歯1個分だけ上昇させ、一定量の内容物を吐出させることができる。
操作ボタンから手を離すと、中皿は、容器体の上筒に液密、かつ弾性的に嵌挿されているので、操作ボタンのみが復帰し、空気を導入しないで次の操作に具えることができるようになった。
【0010】
また、中皿押上げ部材を多段式にした場合には、容器の容量に対して、操作部材が小さくなり、容器全体の小型化が図れるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の定量吐出容器について、図面を参照して説明する。
図1において、Aはキャップ、Bは容器体、Cは中皿、Dは操作部材である。
【0012】
キャップAは、頂壁1と側周壁2とからなり、頂壁1下面には栓体3が設けられ、側周壁2内周にはねじ4が設けられている。
【0013】
容器体Bは、上筒5と下筒6とからなり、上筒5は、その上端に、外周にねじ7を設けた吐出筒8を立設し、中皿Cを摺動可能に嵌挿した筒体9を具え、筒体9の下方には、下筒6が嵌合する膨出部10を設けた縮径段部11が設けられている。
下筒6には、内面上端に係合部12が設けられ、下方にストッパー13、下端部にスリット14が設けられている。
【0014】
中皿Cは、外周に、筒体9内面に液密にスライドする弾性片15を設けた板体16を具え、板体16の下方には、突起17を有する突出部18を垂設している。
【0015】
図1、2に示すように、操作部材Dは、外歯D1と中歯D2と操作ボタンD3とからなっている。
外歯D1は、上方に中皿Cの突出部18の突起17へ嵌合する嵌合孔19を穿設した頂壁20と側周壁21とから構成され、側周壁21の下端内面には、下側が平らな係止歯22が設けられている。
【0016】
中歯D2は、中央に設けた支柱23と、上壁24と外筒体25とからなり、外筒体25の外周上端には、ストッパー26が設けられ、その下方には、外歯D1の係止歯22と係合する上側が平らな多数の鋸歯27が刻設されており、内周下端には、係止歯28が設けられている。
【0017】
操作ボタンD3は、操作板30とその中央部に立設された内筒31と、外周縁近くに立設された外筒32とからなっており、操作板30は、下筒6の内周面に嵌挿され、その外周には、下筒6のスリット14に係合する突起33が設けられている。
内筒31の外周面には、上側が平らな多数の鋸歯34が刻設されており、中歯D2内面に設けられた係止歯28と噛み合うようにしている。
【0018】
外筒32の上端部外周には、下筒6のストッパー13と係合する膨出部35が設けられており、外筒32の上端と上筒5の下端との間には、スプリング36が弾装されている。
【0019】
前記実施例では、外歯D1の係止歯22、中歯D2の鋸歯27、係止歯28、操作ボタンD3の鋸歯34は、それぞれ全周にわたって設けたが、一定角度において鋸歯と係止歯がそれぞれが係合するように設けてもよく、配設位置、形状は、実施例に限定されない。
【0020】
次に、本実施例の定量吐出容器の使用態様と、作用効果について、図1、および図3、図4を参照して説明する。
図1の状態からキャップAをはずし、操作ボタンD3の操作板30を押すと、内筒31の鋸歯34に噛合っている中歯D2の係止歯28に力が伝達され、中歯D2の鋸歯27から外歯D1の係止歯22へと力が伝達され、中皿Cが鋸歯27の一ノッチ分移動し、図3(a)に示す状態となり、内容物が定量吐出される。
【0021】
操作板30の押圧を解くと、操作ボタンD3がスプリング36により元に復帰するが、その時、中皿Cに設けた弾性片15と、容器体Bの内面が液密状態に保持されるとともに、摩擦抵抗で同位置にとどまり、図3(b)に示すように、中歯D2より外歯D1が一ノッチ分上方に移動した状態になる。
【0022】
何回も繰り返し操作ボタンD3を押圧していると、図4(a)に示すように、外歯D1が上死点まで行った時、中歯D2のストッパー26に外歯D1の係止歯22が当接し、上昇がストップする。
さらに、操作ボタンD3を押圧すると、図4(b)に示すように、操作ボタンD3の内筒31の鋸歯34により中歯D2の係止歯28に力が伝達され、中皿Cが上昇し、最後まで内容物を吐出できる。
【0023】
操作部材Dに、多段方式を採用したので、容器の小型化が可能となった。
また、操作ボタンD3の突起33と、容器体Bのスリット14との係合により、相互に回転しないので操作ボタンD3の動作時に余分な応力がかからず、動作がよりスムースになった。
【0024】
また、外歯D1と、中歯D2と、操作ボタンD3のそれぞれの係止歯と鋸歯とを一定角度として係合させるとき、組立が容易になるとともに、動作がスムースとなった。
【0025】
前記実施例では、操作部材Dとして、外歯D1、中歯D2と操作ボタンD3とから形成したが、外歯D1と中歯D2を一体化し、押上げ部材として、外歯D1の構成を採用し、操作ボタンD3の内筒に設けた鋸歯と噛み合うようにしてもよい。
また、実施例では、一対の外歯と中歯を用いて二段方式にしたが、中歯の数を増やし多段方式にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、一定量吐出させる定量吐出容器として、構造を簡単にすることができた。
また、容器底部の操作ボタンを一回押すだけで、鋸歯を設けた操作ボタン、中歯、外歯により中皿を一段ずつ上昇させ、一定量吐出させることができ、しかも、多段方式を採用したので、容器の容量に比べ操作部材を小さくできるので、容器全体を小型化がはかれるようになり、定量吐出容器としての広く利用できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明定量吐出容器の一部断面立面図である。
【図2】吐出容器の操作部材の拡大図である。
【図3】操作ボタンの作動説明図で、(a)は操作ボタンの押圧時、(b)は操作 ボタンの押圧を解いたときの説明図である。
【図4】中皿ボタンの作動説明図で、(a)は外歯の最上昇時、(b)は中皿の最上位置にある時の説明図である。
【符号の説明】
【0028】
A キャップ
B 容器体
C 中皿
D 操作部材
D1 外歯
D2 中歯
D3 操作ボタン
1 頂壁
2 側周壁
3 栓体
4、7 ねじ
5 上筒
6 下筒
8 吐出筒
9 筒体
10 膨出部
11 縮径段部
12 係合部
13 ストッパー
14 スリット
15 弾性片
16 板体
17 突起
18 突出部
19 嵌合孔
20 頂壁
21 側周壁
22 係止歯
23 支柱
24 上壁
25 外筒体
26 ストッパー
27、34 鋸歯
28 係止歯
30 操作板
31 内筒
32 外筒
33 突起
35 膨出部
36 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体と中皿、および操作部材とからなる定量吐出容器であって、
容器体は、上筒と下筒からなり、上筒は、上端に吐出筒を設け、下端に下筒が嵌合する縮径段部を設けた筒体を具備しており、
中皿は、上筒の筒体内面と液密にスライドする弾性片を具えており、
操作部材は、中皿押上げ部材と操作ボタンとからなり、
中皿押上げ部材は、中皿に係合する頂壁と、下端内面に係止歯を設けた側周壁を具備しており、
操作ボタンは、操作板と、該操作板の中央部に立設され、押上げ部材の内面の係止歯に噛合う鋸歯を設けた内筒と、操作板の周縁に立設され、下筒と係合する外筒とを具備していることを特徴とする定量吐出容器。
【請求項2】
下筒は、内面にストッパーを、下方にスリットを具備しており、
操作板は、下筒のスリットに係合し、操作ボタンの回転を防止する突起が設けられ、
操作板の周縁には、下筒に設けたストッパーと係合する膨出部を設けた外筒が立設されており、
上筒の下端と外筒上端との間に、スプリングが弾装されていることを特徴とする請求項1記載の定量吐出容器。
【請求項3】
中皿押上げ部材が、外歯と中歯とからなり、
外歯は、中皿に嵌合する頂壁と、下端内面に係止歯を設けた側周壁とを具備しており、
中歯は、上壁と、内面下端に係止歯を設け、外面上端に外歯の係止歯と噛合うストッパーと外面全域に上側が平らな鋸歯を具備してていることを特徴とする請求項1記載の定量吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−137684(P2008−137684A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324174(P2006−324174)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】