説明

実装基板

【課題】電気部品のプリント基板への実装状態の良否確認作業を容易且つ確実に行うことが出来る、新規な構造の実装基板を提供すること。
【解決手段】プリント基板12に電気部品14が搭載されて半田付けされている実装基板10において、プリント基板12に、電気部品14のプリント基板12への載置部24が搭載される搭載領域44内に良否判断用表示46を設けた。これにより、電気部品14が傾斜や位置ずれした状態でプリント基板12上に搭載された場合にのみ良否判断用表示46が視認可能となり、良否判断用表示46が目視可能であるか否かを判別することによって、電気部品14の搭載状態又は実装状態が適切であるか否かを簡単に見分けることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板に電気部品が半田付けされて実装されてなる実装基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント基板上にリレーやコネクタ等の複数の電気部品が搭載された実装基板が知られており、自動車用電気接続箱の内部回路等として広く用いられている。例えば、特開2009−38890号公報(特許文献1)に記載のものがそれである。
【0003】
ところで、このような実装基板では、電気部品の端子部がプリント基板に貫設されたスルーホールに挿通されて半田付けされることにより、電気部品の端子部とプリント基板のプリント配線とが接続されて相互に導通されるようになっている。そして、半田付けに際しては、電気部品の底面をプリント基板の表面に重ね合わせて端子部をスルーホールに挿通させた状態で、電気部品を治具等により位置決め保持して、半田付けが実行される。
【0004】
ところが、上述の如き電気部品のプリント基板への半田付けにおいては、電気部品のプリント基板への実装状態が不良となる場合があった。例えば、電気部品の端子部のスルーホールへの挿通状態が不十分で、電気部品が斜めになった状態で実装される場合や、半田付け時の半田の噴流圧力により、電気部品が浮いた状態で実装される場合等が挙げられる。このような実装不良が生じると、電気部品自体のプリント配線への接続不良や、コネクタの場合には、端子アライメント不良による他部材との接続不良等の重大な問題を招くおそれがあった。
【0005】
そこで、電気部品のプリント基板への半田付けの後に、実装状態の良否の判定を行っているが、かかる判断には、電気部品の水平状態やプリント基板上の位置等を確認する特別な測定器具が必要となって、コスト高を招くと共に、測定作業が煩雑で作業効率が悪いという問題を招いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−38890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、電気部品のプリント基板への実装状態の良否確認作業を容易且つ確実に行うことが出来る、新規な構造の実装基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、プリント基板に電気部品が搭載されて半田付けされている実装基板において、前記プリント基板には、前記電気部品の前記プリント基板への載置部が搭載される搭載領域内に良否判断用表示が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、プリント基板に対する電気部品の搭載後又は実装後において、良否判断用表示が視認可能であるか否かを確認することで、複雑な測定器具や煩雑な測定作業を必要とすることなく、プリント基板への電気部品の搭載状態または実装状態が良好であるか否かを即座に判断できる。即ち、良否判断用表示が電気部品の搭載領域内に形成されていることから、プリント基板上に電気部品が正規の状態で搭載されている場合には、当該良否判断用表示が電気部品の載置部に覆われて外部から視認できなくなる。一方、電気部品が非正規状態搭載されている場合、例えば、電気部品が全体に傾斜したり浮いた状態となっている場合には、良否判断用表示が載置部に覆われることなく外部から視認可能となる。従って、搭載領域内に良否判断用表示を設ける簡単な構成によって、容易に電気部品の搭載乃至は実装状態の良否を迅速且つ容易に判断することができ、確認時の作業性が向上されると共に、実装基板の品質の向上が図られる。
【0010】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載の実装基板において、前記良否判断用表示が、前記載置部の先端面と同等以下の面積を有している及び/又は該先端面の外縁より内方に位置しているものである。
【0011】
本態様によれば、電気部品が位置ずれしている時や浮き上がっている時のみ良否判断用表示が見えることから、より確実に電気部品の搭載状態の良否を判断することができる。
【0012】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載の実装基板において、前記良否判断用表示が、前記載置部の先端面と相似形状とされているものである。
【0013】
本態様によれば、良否判断用表示が、載置部の先端面の形状と相似形状で搭載領域内に設けられていることにより、電気部品が正規の搭載位置からどの方向に位置ずれしても、同様の精度で位置ずれや傾斜等を良好に発見することができる。
【0014】
本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れか1つの態様に記載の実装基板において、前記電気部品には、外周縁部において周上の複数箇所に前記載置部としての脚部が一体形成されており、該脚部が搭載される前記プリント基板の前記搭載領域のそれぞれに対して前記良否判断用表示が設けられているものである。
【0015】
本態様によれば、複数の脚部を介してプリント基板に搭載される電気部品の場合において、それぞれの脚部の載置箇所に良否判断用表示を設けることで、電気部品の僅かな傾斜も容易に確認することができ、確認時の作業効率を向上させることができる。即ち、複数の脚部によってプリント基板に載置されるコネクタ台座等の電気部品においては、重心が高くなり易いこともあって、電気部品の不正な傾斜が特に発生し易いが、本態様によれば、電気部品がこのような傾斜状態となっているか否かを容易に判別することができ、実装不良の見逃し等を有利に阻止できる。
【0016】
本発明の第五の態様は、前記第一〜第四の何れか1つの態様に記載の実装基板において、前記プリント基板の前記良否判断用表示がシルク印刷により形成されているものである。
【0017】
本態様によれば、基板番号等の表示で予め用いられるシルク印刷を利用して、良否判断用表示を安価に且つ簡単に設けることが出来る。
【発明の効果】
【0018】
本発明に従う実装基板によれば、電気部品の搭載領域内に位置して良否判断用表示を形成したことにより、電気部品が傾斜や位置ずれした状態でプリント基板上に搭載された場合にのみ、良否判断用表示が視認可能となるようにされている。これにより、良否判断用表示が目視可能であるか否かを判別することによって、電気部品の搭載状態又は実装状態が適切であるか否かを簡単に見分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一の実施形態としての実装基板の要部を示す斜視図。
【図2】図1に示すコネクタ台座の底面斜視図。
【図3】図1に示すプリント基板の表面側の平面図。
【図4】図1に示すコネクタ台座がプリント基板上に傾斜して載置された状態を示す要部の拡大斜視図。
【図5】本発明の第二の実施形態としての実装基板に用いられるプリント基板およびネジ止めコネクタの斜視図。
【図6】図5に示すネジ止めコネクタがプリント基板に傾斜してネジ止めされた状態を示す要部の拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
先ず、図1に、本発明の第一の実施形態としての実装基板10の要部の斜視図を示す。実装基板10は、プリント基板12に電気部品としてのコネクタ台座14が搭載されて半田付けされた構造とされている。
【0022】
図2に、コネクタ台座14の底面側の斜視図を示す。コネクタ台座14は従来公知のものであり、複数の端子金具16が台座18により支持された構造とされている。端子金具16は、銅合金等の導電性金属材料で形成された、或いは、銅合金等によるメッキ加工を施された金具により構成されている。端子金具16の一方の端部は、プリント基板12に挿通されて半田付けされる半田付け部20とされており、端子金具16の他方の端部は、図示しない雌コネクタが接続される接続部22とされている。
【0023】
台座18は、硬質の合成樹脂材料で形成された略矩形ブロック形状とされている。台座18には、図1,2における上下方向に貫通する複数の貫通孔が形成されており、これらの貫通孔にそれぞれ端子金具16が挿通されて支持されることにより、コネクタ台座14が構成されるようになっている。台座18の底面側には、プリント基板12側へ略矩形柱状に突出する四個の脚部24が形成されている。各脚部24は、平面視において長方形状とされた台座18の底面の四隅において、それぞれプリント基板12側に向かって一定の略矩形断面形状で突出している。これにより、本実施形態のコネクタ台座14は、底面側の外周縁部において、周上の四箇所に脚部24が一体形成された構造とされている。また、図1に示すように、本実施形態においては、略矩形状とされた各脚部24の先端面26がプリント基板12の表面に重ね合わされることによって、コネクタ台座14がプリント基板12上へ搭載されるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では脚部24によりコネクタ台座14のプリント基板12への載置部が構成されている。
【0024】
各脚部24は、平面視において上下又は左右対称となる形状とされており、何れの脚部24も、略矩形柱状の各脚部24を構成する四つの側面のうち、コネクタ台座14の外周端面を構成する側の外方側面28,28は、外方側面28,28同士が滑らかな曲面で連続されている。一方、コネクタ台座14の外周面を構成しない側の側面である内方側面30,30は、他の端面とは何れも直交して角部を形成している。
【0025】
これにより、各脚部24の先端面26は、各脚部24の外方側面28,28と接する側の縁部が、滑らかな角部を備えた形状とされている。即ち、各脚部24の先端面26においては、略矩形状とされた先端面26の四方の縁部のうち、コネクタ台座14の外周面側の縁部となる外方縁部32,32が相互に滑らかに連続した角部を形成して接している。一方、先端面26の四方の縁部のうち、各脚部24の内方側面30,30と接する側の残り二つの縁部は、何れも直線状の内方縁部34,34とされている。
【0026】
図3に、プリント基板12の表面の要部を示す。プリント基板12は、従来公知のように、紙フェノールやガラスエポキシ等の絶縁性基板に、図示しない銅箔等の導電材料によるプリント配線が設けられた構造とされている。プリント基板12の表面には、複数のスルーホール36を備えたコネクタ装着部38が設けられている。コネクタ装着部38には、コネクタ台座14の複数の端子金具16に対応して、端子金具16と同数のスルーホール36がプリント基板12を貫通して形成されている。各スルーホール36の周囲には、銅箔からなるランド部40が設けられている。
【0027】
コネクタ装着部38には、コネクタ装着部38の外周を矩形状に囲む細幅の枠線からなる外枠42が形成されている。図1に示すように、外枠42はコネクタ台座14の平面視における外周形状に合わせて設けられており、コネクタ台座14がプリント基板12上の正規の位置に実装された状態で、平面視におけるコネクタ台座14の外周端面の位置と外枠42の枠線の内周側の端部とが一致するようになっている。また、図示は省略するが、各スルーホール36の近傍には、回路名が形成されており、この回路名および外枠42は、何れも白色のシルク印刷塗料を用いたシルク印刷によって形成されている。
【0028】
また、図3に仮想線で示すように、本実施形態のコネクタ装着部38においては、外枠42の内側の四隅部において、各脚部24の先端面26が重ね合わされるようになっており、この四隅部が、コネクタ台座14の脚部24が搭載される搭載領域44とされている。
【0029】
そして、プリント基板12の搭載領域44内には、プリント基板12に対するコネクタ台座14の搭載状態又は実装状態の良否を示す良否判断用表示46が設けられている。本実施形態においては、プリント基板12上の四つの搭載領域44のそれぞれに対して良否判断用表示46が設けられており、各良否判断用表示46はシルク印刷による塗り潰しにて形成されている。また、各良否判断用表示46は、外枠42や回路名と同様に白色のシルク印刷塗料を用いて形成されており、外枠42や回路名の形成と同一のシルク印刷工程により形成されている。
【0030】
各良否判断用表示46は、それぞれ、略矩形状とされたコネクタ台座14の脚部24の先端面26と相似形状とされている。即ち、良否判断用表示46は、各脚部24の先端面26の形状をひと回り小さくしたような形とされており、各搭載領域44内において、搭載領域44よりもやや狭い範囲に設けられている。これにより、本実施形態の良否判断用表示46は、各脚部24の先端面26の面積よりも小さな面積で形成されている。また、良否判断用表示46は、図3に示すように、外枠42と接する側の縁部が、外枠42の枠線の内側端部から図3に示す距離Dだけ内周側に離隔して位置するように形成されている。これにより、良否判断用表示46は、コネクタ台座14が正規の位置に搭載された状態において搭載領域44に重ね合わされる脚部24の先端面26の外方縁部32,32の位置よりも、距離Dだけ内方に位置している。なお、コネクタ台座14の脚部24の先端面26の各外方縁部32,32からの距離Dは、0.1〜0.2mmの範囲内とされていることが望ましい。即ち、各外方縁部32,32からの距離Dが0.1mmよりも小さいと、良否判断用表示46のシルク印刷時のぶれ等によりシルク印刷塗料が外方縁部32,32の位置よりも外側にはみ出して、コネクタ台座14を正規の位置に搭載した場合にも良否判断用表示46が視認可能となってしまうおそれがある。一方、距離Dが0.2mmよりも大きいと、コネクタ台座14の微妙な浮きや位置ずれを充分に検知できなくなるおそれがあるからである。なお、良否判断用表示46は、コネクタ台座14が正規の位置に搭載された状態における脚部24の先端面26の外方縁部32,32から内方に離隔するだけでなく、外方縁部32,32および内方縁部34,34からなる先端面26の外縁全体から距離Dだけ内方に離隔していてもよい。
【0031】
このようなプリント基板12に対するコネクタ台座14の実装は、例えば、以下のように行われる。先ず、台座18の貫通孔に対して複数の端子金具16をそれぞれ植設して、コネクタ台座14を形成する。そして、図1に示すように、コネクタ台座14を、脚部24側がプリント基板12側となるようにして、コネクタ装着部38の外枠42の内側に位置合わせして搭載する。これにより、コネクタ台座14の各端子金具16の半田付け部20は、プリント基板12の各スルーホール36にそれぞれ挿通される。また、コネクタ台座14がプリント基板12上の正規の位置に搭載されていれば、コネクタ台座14の脚部24の先端面26は、各搭載領域44にそれぞれ重ね合わされる。これにより、各搭載領域44に設けられた良否判断用表示46は、脚部24の先端面26により完全に覆い隠されて、外部からは視認不能となる。一方、コネクタ台座14が正規の位置に載置されていない場合、例えば、コネクタ台座14が水平方向に位置ずれしていたり、プリント基板12から浮いた状態となっていたり、傾斜したりしている場合には、図4に示すように、脚部24の先端面26が正規の搭載領域44に載置されないことにより、良否判断用表示46が平面視方向或いは斜め方向等から視認可能な状態と可能となる。従って、作業者は、良否判断用表示46が見えるか否かを目視により確認することにより、コネクタ台座14が正規の位置に、浮き上がりや傾斜が無く良好な状態でプリント基板12に搭載されているかを容易に判断することができる。
【0032】
そして、プリント基板12上に正しく搭載されたコネクタ台座14は、図示しない位置決め用治具等によってプリント基板12に対して位置決め状態で保持され、プリント基板12上に載置された図示しないコネクタやリレー等の他の電気部品と同時に、プリント基板12に対して半田付けされる。半田付けは、例えば公知のフロー方式等によって実施される。即ち、プリント基板12の裏面および半田付け部20の先端部を、図示しない半田槽から上方に向かって噴き上がる溶融半田の噴流上を通過させる。これにより、スルーホール36の内部に半田48が充填されて各端子金具16がプリント基板12に対して固定され、コネクタ台座14の各半田付け部20がプリント基板12の図示しないプリント配線に対して電気的に接続される。こうして、プリント基板12上に搭載されたコネクタ台座14のプリント基板12に対する実装が完了し、実装基板10が完成される。
【0033】
なお、このようなフロー半田においては、半田付け時のフロー半田の噴流圧力により、コネクタ台座14が位置ずれや浮き上がり等を起こす場合がある。本実施形態によれば、プリント基板12に良否判断用表示46が設けられていることから、コネクタ台座14の実装後の半田不良等の確認時において、コネクタ装着部38に設けられた四つの良否判断用表示46の全体が各脚部24の先端面26により正しく隠されているか否かを確認することにより、コネクタ台座14が位置ずれや傾斜等を起こすことなく、正規の位置において良好に実装されているかどうかを瞬時に判別することができる。
【0034】
このように、本実施形態に従う実装基板10によれば、コネクタ台座14が搭載されるプリント基板12の表面に、良否判断用表示46が設けられていることから、プリント基板12に対してコネクタ台座14が正規の位置に搭載、又は実装されているかどうかを、良否判断用表示46が視認可能であるか否かを確認することにより、簡単に判別することができる。即ち、本実施形態においては、コネクタ台座14の各脚部24の搭載領域44内に良否判断用表示46が設けられていることから、コネクタ台座14が正規の位置に載置されている場合には、各良否判断用表示46の全体が脚部24の先端面26により覆い隠されて、全ての良否判断用表示46が完全に見えなくなる。一方、コネクタ台座14に位置ずれや浮き上がり、傾斜等が発生し、コネクタ台座14が不正な状態で搭載又は実装されている場合には、脚部24が水平方向に位置ずれしたり、脚部24の先端面26がプリント基板12の表面から離隔して隙間が生じることにより、良否判断用表示46が脚部24の先端面26に覆い隠されることなく視認可能となる。従って、コネクタ台座14の搭載完了後や実装完了後の確認作業時において、作業者が良否判断用表示46が見えるか否かを目視により確認することによって、コネクタ台座14の傾斜や浮き上がり、位置ずれ等の発生の有無を容易に確認することができる。これにより、接続不良等の不具合に繋がるおそれのある、コネクタ台座14の傾きや位置ずれに起因する端子金具16の位置ずれの発生等を、迅速且つ簡単に、しかも高い精度で発見することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、プリント基板12上に良否判断用表示46を形成するだけの簡単な構造によって、複雑な測定器具や煩雑な測定作業を要することなく、目視のみによってコネクタ台座14の搭載状態又は実装状態の良否を簡単且つ迅速に判別できる。また、良否判断用表示46の有無の目視確認は、従来から行われていた半田上がり等の目視確認や、各端子金具16のスルーホール36への挿通確認等と同時に行うことができることから、特別な工程を増やすことなく、低コストに実装基板10の品質を向上させることができる。
【0036】
さらに、本実施形態によれば、良否判断用表示46が脚部24の先端面26よりも小さな面積を有しており、且つ、脚部24の先端面26の外方縁部32,32よりも距離Dだけ内方に位置して配置されている。これにより、コネクタ台座14に位置ずれや浮き上がり等が生じている時にのみ良否判断用表示46が見えることから、良否判断用表示46の目視によるコネクタ台座14の搭載状態の良否判定が確実に行えるようになっている。
【0037】
加えて、搭載領域44内に形成された良否判断用表示46が、何れも脚部24の先端面26と相似形状とされていることにより、コネクタ台座14の位置ずれや傾斜等がどの方向で生じていても、正規の搭載位置からのずれや浮き上がりを良好に発見することができる。
【0038】
また、本実施形態においては、良否判断用表示46が、シルク印刷により形成されていることから、従来のシルク印刷工程を利用して、簡単且つ低コストに良否判断用表示46を設けることができる。特に、良否判断用表示46を、例えば白色等、従来からプリント基板12上に存在する回路名等と同色のシルク印刷塗料を用いて形成すれば、一回のシルク印刷工程によって、工数や顔料の種類の増加を伴うことなく簡単に良否判断用表示46を形成することができる。
【0039】
なお、コネクタ台座14は、脚部24により本体部分がプリント基板12の表面から離隔していることに加えて、長尺の端子金具16が複数挿通されることによって、重心の位置がプリント基板12から離れた状態となることから、従来のコネクタ台座と同様に、全体が不安定で傾斜や位置ずれが特に発生し易い傾向がある。本実施形態によれば、このように傾斜や位置ずれが生じ易い構造のコネクタ台座14においても、四つの脚部24の搭載領域44にそれぞれ良否判断用表示46を設けたことにより、たとえ僅かな傾斜であっても容易に発見することができることから、傾斜の見逃しを有効に防ぎ、実装基板10の品質を向上させることができる。特に、コネクタ台座14が傾斜したままプリント基板12に実装されていると、各端子金具16の位置ずれにより、半田付け後に接続される別体の雌コネクタが各接続部22と嵌合不能となるおそれや、雌コネクタ装着時の不正な押圧力により半田48に半田クラック等が生じるおそれがあるが、本実施形態によれば、このような深刻な不具合の発生を未然に防ぐことが可能となる。
【0040】
また、本実施形態によれば、半田付けを行う前の、プリント基板12にコネクタ台座14を載置して冶具等により固定した段階において、載置状態が良好であるか否かを簡単に判別できることから、位置ずれや傾斜等に起因する半田付け不良の発生を未然に防ぐことができる。従って、半田付け不良による製品の廃棄などの無駄を有利に削減できる。また、コネクタ台座14の半田付け後においても、半田付け前と同様に容易にコネクタ台座14の搭載状態の良否判別を容易且つ簡便に行うことができることから、製品の信頼性の担保を安価に達成することができる。
【0041】
次に、図5に、本発明の第二の実施形態としての実装基板を構成するプリント基板52の要部および電気部品としてのネジ止めコネクタ54を示す。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と同様の構造とされた部材および部位には、図中に前記第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、その説明を適宜に省略する。
【0042】
本実施形態においては、プリント基板52の表面に、前記第一の実施形態のコネクタ台座14に代えて、ネジ止めコネクタ54が搭載されている。ネジ止めコネクタ54は、従来公知のものであり、硬質の合成樹脂材料で形成された端子保持部材56と、複数の端子金具16とにより構成されている。端子保持部材56は、長手矩形板状の構造とされており、長手方向中央部分において、プリント基板52側に開口する端子収容部58と、端子収容部58とは反対側(図5中、上側)に凹状に開口するコネクタ収容部60とを備えている。なお、これらの端子収容部58とコネクタ収容部60の間の隔壁には、端子金具16が挿通される図示しない複数の貫通孔が形成されている。また、端子保持部材56の長手方向両端部には略矩形ブロック形状の固定部62がそれぞれ形成されている。
【0043】
各固定部62は、プリント基板52側の先端面(底面)の全体がプリント基板52上に載置されるようになっている。また、各固定部62には、端子保持部材56を図5中上下方向に貫通するネジ止め孔64が設けられており、プリント基板52の裏面側から図示しないネジが挿通されることにより、ネジ止めコネクタ54がプリント基板52に固定されている。このことから明らかなように、本実施形態においては、各固定部62により、ネジ止めコネクタ54のプリント基板52への載置部が構成されている。また、本実施形態においては、固定部62のコの字状に延びる外周壁面66が、ネジ止めコネクタ54の外周壁部を構成している。これにより、略矩形状とされた固定部62のプリント基板52側の先端面の縁部のうち、各外周壁面66の下端部と接する各縁部により、固定部62の先端面の外方縁部68が構成されている。
【0044】
詳細な図示は省略するが、ネジ止めコネクタ54の端子金具16の一方の端部には、別体の雌コネクタと接続される接続部が形成されており、コネクタ収容部60の内側に突出されている。また、端子金具16の他方の端部には、プリント基板52と半田付けされる半田付け部が形成されており、各スルーホール36に挿通されている。そして、このような端子金具16の長手方向中間部分が、端子保持部材56の図示しない貫通孔に挿通されて固定されることにより、ネジ止めコネクタ54が構成されている。
【0045】
プリント基板52には、図6に示すように、ネジ止めコネクタ54が正規の位置から位置ずれしたり、浮き上がっている場合等にのみ視認可能となる良否判断用表示70が設けられている。即ち、図5に示すネジ止めコネクタ54の正規の搭載状態においては、良否判断用表示70は、固定部62の先端面が重ね合わされることにより、良否判断用表示70が見えなくなっている。詳細な図示は省略するが、本実施形態における良否判断用表示70は、略矩形状の固定部62の先端面よりもひと回り小さな相似形状とされており、正規の搭載位置における固定部62の先端面の外方縁部68の位置よりも内方に位置して、固定部62の先端面よりも小さな面積で形成されている。
【0046】
このようなネジ止めコネクタ54は、半田付けに先立って、例えば以下のようにしてネジ止めによりプリント基板52に固定される。先ず、ネジ止めコネクタ54がプリント基板上に搭載されて、各端子金具16の半田付け部が各スルーホール36にそれぞれ挿通される。また、固定部62のネジ止め孔64は、プリント基板52に設けられた図示しないネジ挿通孔と相互に位置合わせされる。さらに、ネジ止めコネクタ54がプリント基板52上の正しい位置に載置されると、図5に示すように、良否判断用表示70は固定部62の先端面により覆い隠されて、完全に視認不能となる。そして、このような正しい位置においてネジ止めコネクタ54を位置決め保持した状態において、プリント基板52の裏面側から図示しないネジをプリント基板のネジ挿通孔を通じて各固定部62の各ネジ止め孔64に挿通し、螺着する。これにより、ネジ止めコネクタ54がプリント基板52に対して位置決めされて固定される。
【0047】
なお、このようなネジ止め固定においては、例えば何れかのネジ止め孔64に対するネジ止めが不完全であったり、或いは斜め方向から不正なネジ止めが行われた場合には、ネジ止めコネクタ54が全体に斜めに傾いたり、浮き上がったり、位置ずれした状態となる場合がある。このような場合には、図6に示すように、搭載領域内に設けられた良否判断用表示70が見える状態となる。一方、ネジ止めが何れも良好に行われ、正しい位置でネジ止めコネクタ54がプリント基板に固定された場合には、図5に示すように、良否判断用表示70は見えないままの状態となる。従って、本実施形態によれば、ネジ止めによる固定後に、良否判断用表示70が見えるか否かを確認することによって、ネジ止めコネクタ54の固定が良好に行われたか否かを簡単に判別することができる。そして、このような固定の良否の確認後に、別途、端子金具16の半田付け部とプリント基板52との半田付けが行われて、実装基板が完成される。
【0048】
このような本実施形態によれば、良否判断用表示70を設けたことにより、ネジ止め固定時におけるネジ止めコネクタ54の傾斜や浮き上がり等の発生を、ネジ止め後に良否判断用表示70が見えているか否かを確認することで、容易に発見することできる。従って、従来問題となっていた、ネジ締めの不足や、斜め方向からのネジ止め等に起因するネジ止めコネクタ54の固定不良を簡単に判別することが可能となり、実装基板の品質を有利に向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態のネジ止めコネクタ54のように、複数のネジ止め孔64を備えた電気部品においては、複数のネジを何れも完全に締めることで、電気部品をプリント基板52に対して平行に固定する必要があるが、プリント基板52上に良否判断用表示70を設けた場合には、電気部品の搭載面とプリント基板52の隙間から良否判断用表示70が見えるか否かを確認することで、ネジ締め作業中においても、ネジ締めが十分であるのかを簡単に確認することができる。また、このとき、何れかのネジの付近で良否判断用表示70が見えた場合には、そのネジを増し締めすることで、極めて簡単にネジ止め固定を完全に行うことができる。特に、本実施形態に従えば、目視のみでネジ止めの状態を確認することができることから、例えばネジ止めコネクタ54を手で揺り動かして固定状態を確認する場合に比して、端子金具16やプリント基板52にダメージを与えることなく、迅速に確認を行うことができる。
【0050】
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、電気部品が台座コネクタやネジ止めコネクタに限定されないのは勿論であって、何らかの載置部がプリント基板上に重ね合わされて搭載される電気部品であれば、他の公知のコネクタやリレー等、従来からプリント基板に実装される各種の電気部品が任意に採用可能である。
【0051】
また、良否判断用表示の具体的な形成方法や形状等も、特に限定されない。例えば、回路名等とは別の色の塗料を用いたシルク印刷によって形成しても良い。これにより、良否判断用表示の視認性が向上され、作業者がより簡単に電気部品の搭載不良又は実装不良等を発見できるようになる。また、良否判断用表示を、搭載領域内の全体に、載置部の先端面と同等の面積で設けてもよいし、搭載領域内のごく一部のみに設けてもよい。また、一つの電気部品に複数の載置部がある場合には、そのうち一部の載置部の搭載領域にのみ良否判断用表示を設けてもよい。
【0052】
また、良否判断用表示は、載置部の先端面と相似形状とされていることが好ましいが、その場合、良否判断用表示は上記実施形態の如く、少なくとも載置部の先端面の縁部のうち、平面視において電気部品の外周側に面する外方縁部よりも内側に位置して形成されていてもよいし、先端面の外縁全体から内方に位置して形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10:実装基板、12,52:プリント基板、14:コネクタ台座(電気部品)、24:脚部(載置部)、26:先端面、44:搭載領域、46,70:良否判断用表示、48:半田、54:ネジ止めコネクタ(電気部品)、62:固定部(載置部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板に電気部品が搭載されて半田付けされている実装基板において、
前記プリント基板には、前記電気部品の前記プリント基板への載置部が搭載される搭載領域内に良否判断用表示が設けられていることを特徴とする実装基板。
【請求項2】
前記良否判断用表示が、前記載置部の先端面と同等以下の面積を有している及び/又は該先端面の外縁より内方に位置している請求項1に記載の実装基板。
【請求項3】
前記良否判断用表示が、前記載置部の先端面と相似形状とされている請求項1又は2に記載の実装基板。
【請求項4】
前記電気部品には、外周縁部において周上の複数箇所に前記載置部としての脚部が一体形成されており、該脚部が搭載される前記プリント基板の前記搭載領域のそれぞれに対して前記良否判断用表示が設けられている請求項1〜3の何れか1項に記載の実装基板。
【請求項5】
前記プリント基板の前記良否判断用表示がシルク印刷により形成されている請求項1〜4の何れか1項に記載の実装基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−119504(P2012−119504A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268192(P2010−268192)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】