説明

実質的に動物肉由来の原料及び動物油脂を含まないソース

【課題】本発明は、動物由来原料を含まないカレーソース等のソースであって、動物由来原料を有するソースと比較して遜色のない風味及び食感を有するソースを提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題は、実質的に動物肉由来の原料及び動物油脂を含まないソースであって、目開き11200μmの篩をパスし、目開き2000μmの篩にオンする大きさを有し、且つ1.0×10N/m〜1.0×10N/mのかたさを有する植物性原料の粒状物(第一粒状物)が、5質量%〜70質量%含まれていることを特徴とするソースにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カレーソース、シチューソース、デミグラスソース、ハヤシソース等の形態で提供される、実質的に動物肉の原料及び動物油脂を含まないソースに関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
レトルトカレーソース、シチューソース、デミグラスソース、ハヤシソースなどは、油脂と小麦粉を焙煎した小麦粉ルウや、肉エキス、乳製品などの調味材を含んで、風味付けされ、口どけや歯ざわりのよい食感に調製される。これらのソースに特有の食感及び風味は動物性原料を使用することにより付与される。また、油脂による舌に絡む食感は、これにより液状食品の風味にコク味を与え、酸味の感じ方をまろやかにする効能も奏する。
【0003】
一方、動物由来原料を含まない食品(「アニマルフリー」食品と呼ばれることがある)は、動物性アレルゲン及び動物性油脂の摂取の抑制の観点、低カロリー化の観点等から強く要望されている。しかしながら、上記の通り、ソースに特有の食感及び風味は動物性原料を使用することにより付与されるため、動物由来原料を用いない場合にはソースの食感や風味が損なわれてしまう。また、トマトなどの植物性の原料を主体として調製したレトルトカレーソースなどでは、単純な水系となり、酸味がつよく、当該酸味がストレートに感じられてしまうという問題もある。
【0004】
このため、動物由来原料を含まないカレーソース等のソースであって、動物由来原料を有するソースと比較して遜色のない風味及び食感を有するソースは従来提供されていない。
【0005】
なお本発明と関連する先行技術文献としては特許文献1及び2が挙げられる。特許文献1には、手作りにより得られるものと同様の軽くてやさしい味、風味を有する、玉葱を含有する液状又はペースト状レトルト食品であって、目開き2000μm篩オンの大きさを有する玉葱を5〜20質量%含有する食品が開示されている。特許文献2には食感、風味、見栄えが優れたカレーソースを製造するためのカレールーであって、目開き4750μmパス〜355μmオンの範囲に含まれる野菜等の固形粒子状原料を、カレールー全量に対して15〜66重量%含有するカレールーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−9827号公報
【特許文献2】特許第2727378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、動物肉由来の原料及び動物油脂を含まないカレーソース等のソースであって、動物由来原料を有するソースと比較して遜色のない風味及び食感を有するソースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、研究の結果、レトルトカレーソースなどのソース(液状食品)に、特定の大きさとかたさを有する植物性原料の粒状物を特定量配合することによって、当該粒状物が動物性油脂に近い感覚で舌に絡み、食感の改善並びにコク味の付与、酸味の抑制(酸味がストレートに感じられず、適度なアクセントとして感じられる)の効能が奏され、動物肉の原料や動物性油脂を加えたものに近い風味、食感が得られる、という新知見を得るにいたった。
【0009】
更に、前記の植物性原料の粒状物と組合わせて、玉葱などのより軟らかい、特定の大きさを有する植物性原料の粒状物を配合することによって、ソースのコク味、口どけや歯ざわりがより改善されるという知見を得るにいたった。
【0010】
すなわち本発明は以下の発明を包含する。
【0011】
(1)実質的に動物肉由来の原料及び動物油脂を含まないソースであって、目開き11200μmの篩をパスし、目開き2000μmの篩にオンする大きさを有し、且つ1.0×10N/m〜1.0×10N/mのかたさを有する植物性原料の粒状物(第一粒状物)が、5質量%〜70質量%含まれていることを特徴とするソース。
(2)前記第一粒状物が、根菜類、茎菜類、果菜類、きのこ類、豆類、穀類、粒状植物たんぱく及びコンニャクからなる群から選ばれた1以上の原料の粒状物である(1)に記載のソース。
(3)目開き11200μmの篩をパスし、目開き2000μmの篩にオンする大きさを有し、且つ1.0×10N/mに満たないかたさを有する植物性原料の粒状物(第二粒状物)が、5質量%〜50質量%含まれており、
前記第一粒状物と前記第二粒状物との合計が、ソース全体の10質量%〜70質量%である、(1)又は(2)に記載のソース。
(4)前記第二粒状物が玉葱の粒状物である(3)に記載のソース。
(5)植物性原料のペースト状物を含む(1)〜(4)のいずれかに記載のソース。
【0012】
(6)粘度が200〜2500mPa・sである(1)〜(5)のいずれかに記載のソース。
(7)pHが4.6〜5.3である(1)〜(6)のいずれかに記載のソース。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載のソースと、目開き11200μmの篩にオンする大きさを有する具材とを含む具材入りソース。
(9)レトルト食品である(1)〜(8)のいずれかに記載のソース。
(10)95Kcal/100g以下である(1)〜(9)のいずれかに記載のソース。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、動物肉の原料及び動物油脂を含まないカレーソース等のソースであって、動物肉の原料及び動物油を有するソースと比較して遜色のない風味及び食感を有するソースが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.ソース
本発明において「ソース」とは、水を基調とし、各種食材が配合された液状食品組成物であって、典型的には、カレーソース、シチューソース、デミグラスソース、ハヤシソース等の形態のものが挙げられる。
【0015】
なお、本発明において、目開き11200μmの篩にオンする成分を「具材」という。「具材」は「ソース」を構成しない。「ソース」とは目開き11200μmの篩をパスする、固形部分及び液体部分からなる。具材とソースとを組み合わせたもの(例えば通常の具材入りカレーソース)を、本発明では「具材入りソース」という。本発明において、「目開き11200μmの篩」とは、JIS規格Z8801−1:2000の公称目開き11200μmでかつ線径2500μmの篩を指し、「目開き2000μmの篩」とは、前記JIS規格の公称目開き2000μmでかつ線径900μmの篩を指す。
【0016】
本発明のソースは、実質的に動物肉の原料及び動物油脂を含まない。すなわち本発明のソースは動物油脂、動物肉及び動物エキスを製造原料として含まない。本発明において「実質的に動物肉由来の原料及び動物油脂を含まない」とは、PCR法を用いて試料中の動物肉由来成分を検出する方法によりソースを分析した場合に、動物肉由来成分の遺伝子が検出されないことを指す。このようなPCR法は、日本ハム株式会社 受託検査 畜種鑑別(DNA分析PCR増幅電気泳動法)方法等により実施されている。また、「動物油脂を含まない」とは、食品衛生法、JAS法等に基づいて、表示が義務付けられるレベルで、動物油脂を含まないことを意味する。つまり、油脂を含まない表示となっている製品は、本発明のソースに該当する。レトルト食品の表示基準としては、レトルトパウチ食品品質表示基準 平成12年12月19日農林水産省告示第1680号が挙げられる。
【0017】
本発明のソースは、更に、他の動物性原料(動物乳原料及び卵の原料)をも実質的に含まないことが好ましい。
【0018】
本発明において「実質的に動物乳原料を含まない」とは、動物乳のタンパク質量がソース全体に対して10μg/g未満であることを指す。動物乳のタンパク質量は、日本ハム株式会社製FASTKITエライザVer.IIシリーズで測定することができる。
【0019】
本発明において「実質的に卵の原料を含まない」とは、卵のタンパク質量がソース全体に対して10μg/g未満であることを指す。卵のタンパク質量は、日本ハム株式会社製FASTKITエライザVer.IIシリーズで測定することができる。
【0020】
2.粒状物
本発明のソースは、目開き11200μmの篩をパスし(目開き11200μmの篩を通過し)、目開き2000μmの篩にオンする(目開き2000μmの篩を通過できない)大きさを有し、且つ1.0×10N/m〜1.0×10N/m(好ましくは1.0×10N/m〜1.0×10N/m)のかたさを有する植物性原料の粒状物(以下「第一粒状物」と記載することがある)を、5質量%〜70質量%、好ましくは10質量%〜50質量%含有することを特徴とする。ソース中に第一粒状物を5質量%〜70質量%配合することにより、当該粒状物が動物性油脂に近い感覚で舌に絡み、食感が改善され、コク味が付与され、トマト等に由来する酸味が抑制されるため、動物肉由来の原料及び動物油を有するソースと比較して遜色のない風味及び食感を有するソースが提供される。
【0021】
第一粒状物は人参、ゴボウ等の根菜類、タケノコ、クワイ、イモ等の茎菜類、ピーマン、ナス等の果菜類、エリンギ、シイタケ等のきのこ類、レンズ豆、あずき等の豆類、押し麦、大麦等の穀類、粒状植物たんぱく及びコンニャクからなる群から選ばれた1以上の原料の粒状物であることが好ましい。後述する、より大きな具材が破壊されて小さくなった結果、目開き11200μmの篩をパスし、目開き2000μmの篩にオンする大きさを有し、且つ1.0×10N/m〜1.0×10N/mのかたさを有することとなった粒状物が第一粒状物の一部又は全部を構成してもよい。乾燥状態、凍結状態等の原料を使用し、ソースの製造工程で前記の性能を有することとなった粒状物が第一粒状物の一部又は全部を構成してもよい。
【0022】
本発明のソースは第一粒状物に加えて、目開き11200μmの篩をパスし、目開き2000μmの篩にオンする大きさを有し、且つ1.0×10N/mに満たないかたさを有する植物性原料の粒状物(以下「第二粒状物」と記載することがある)を、5質量%〜50質量%含有する(ただし第一粒状物と第二粒状物との合計は、ソース全体の10質量%〜70質量%、好ましくは30質量%〜50質量%である)ことが好ましい。比較的硬い材料である第一粒状物と、比較的軟らかい材料である第二粒状物とを組み合わせてソース中に配合することにより、動物肉由来の原料及び動物油脂を含有するソースにより近い風味と食感が実現される。第二粒状物は玉葱の粒状物であることが好ましい。
【0023】
なお、ソース中における第一粒状物と第二粒状物との含有率は、質量比で前者1:後者2〜前者2:後者1であることが、前記と同じ理由で好ましい。
【0024】
本発明において、第一粒状物及び第二粒状物の大きさ、かたさ、及び含有量は、いずれもソースの形態に調理された状態で分析を行って値を取得することができる。具体的には、以下の手順で分析することができる。
【0025】
(1)具材等を含むソースを目開き11200μmの篩に通す。
(2)前記の篩にオンした具材等を取り除き、篩をパスした画分を目開き2000μmの篩に通す。篩にオンした粒状物に60℃の温水を掛けて、ソースの他の成分を取り除いた後、30秒間水切りする。
(3)(2)のはじめに取り除かれた、目開き11200μmの篩にオンした、湿った状態の粒状物(具材)の質量を測定する(質量の測定)。
(4)(2)で目開き2000μmの篩にオンした、水切り後の湿った状態での粒状物を試料として、常温(15〜25℃)で、レオメーター(YAMADEN社製 RE2−33005B)により、プランジャーNO.49を用いて、テーブルスピード0.5mm/秒の条件で測定する。試料の種類毎に複数の試料について測定値した値の平均値(N/m)を「かたさ」とする。
【0026】
(5)1.0×10N/m〜1.0×10N/mのかたさを有する粒状物を第一粒状物に分類する。1.0×10N/mに満たないかたさを有する粒状物を第二粒状物に分類する。
(6)第一粒状物及び第二粒状物の湿質量を測定する(第一粒状物及び第二粒状物の質量の測定)。
(7)具材を除くソースの全質量に対する、第一又は第二粒状物の湿質量基準の含有量(質量%)を算出する。
【0027】
本発明のソースを製造する際には、最終的に得られるソースを上記手順で分析した際に、第一粒状物及び第二粒状物の大きさ、かたさ、及び含有量の数値が所定の範囲となるように、原料の加工、原料配合量の決定、調理条件(温度、時間、攪拌速度等)の決定を行えばよい。
【0028】
第一粒状物及び第二粒状物を構成する植物性原料は、植物性原料を、単に、剥皮、洗浄、カットすることにより得られるものであってもよいが、ブランチング処理したものであってもよい。ブランチング処理は、剥皮、洗浄、カットした植物性原料を、水中又は粘性材を含む溶液中で加熱処理することにより行うことができる。
【0029】
3.他の成分
本発明のソースは、カレーソース、シチューソース、デミグラスソース、ハヤシソース等の目的とする最終形態に応じて、種々の成分を含有することができる。
【0030】
例えば、粘性材(例えば、小麦粉、小麦粉ルウ、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉等の澱粉質原料)や、植物性油脂(例えば、綿実油、オリーブ油、なたね油、ごま油等)、各種香辛料(例えばカレーソースを製造する場合はカレーパウダー、こしょう、唐辛子、ナツメグ、シナモン等)や各種調味料等の風味原料を含んでいてもよく、その種類、量及び配合割合は、得ようとするソースの種類等により適宜決定することができる。
【0031】
本発明のソースは、植物性原料のペースト状物を成分として含むことが好ましい。植物性原料のペースト状物としてはトマトペースト、オニオンペースト、カボチャペースト、ブロッコリーペースト、ポテトペースト、リンゴペースト等が例示できる。植物性原料のペースト状物は、ソースの全質量に対して、湿質量基準で5〜50質量%配合することが好ましい。植物性原料のペースト状物が有する微細な粒子と前記の粒状物とが組み合わされることにより、動物肉由来の原料及び動物油脂を含有するソースにより近い風味と食感が実現される。またトマトペーストを用いた実施形態では、トマトペーストによる酸味と、上記の粒状物と組み合わされることにより、更に好ましい風味と食感が実現される。
【0032】
4.本発明のソースの他の特性
本発明のソースの粘度は、典型的には、200〜2500mPa・sである。粘度の値は、具材を除去した60℃のソースを、B型粘度計(東機産業社製 RB80型粘度計)により、ローターNo.4 回転数60rpmの条件で測定することにより得られる値を採用することができる。この粘度を有するソースは、カレーソース、シチューソース、デミグラスソース、ハヤシソース等として自然な食感を有する。
【0033】
本発明のソースの常温におけるpH値は、典型的には、4.6〜5.3である。
【0034】
5.具材入りソース
本発明のソースには、種々の具材と組み合わせて具材入りソースとすることができる。
【0035】
具材とは、目開き11200μmの篩を通したとき、篩上に残る(オンする)大きさの固形分を指す。
【0036】
具材もまた植物性原料であることが好ましい。具材を構成する植物性原料は、植物性原料を、単に、剥皮、洗浄、カットすることにより得られるものであってもよいが、ブランチング処理したものであってもよい。ブランチング処理は、剥皮、洗浄、カットした植物性原料を、水中又は粘性材を含む溶液中で加熱処理することにより行うことができる。具材としては、ゴボウ、ダイコン等の根菜類や、チェーチ、枝豆等の豆類や、レンコン、アスパラ等の茎菜類や、ホウレンソウ、ハクサイ、キャベツ等の葉菜類や、ナス、トマト、オクラ等の果菜類や、ブロッコリー、カリフラワー等の花菜類や、ワカメ、ヒジキ、コンブ等の藻類や、シメジ、マッシュルーム、マイタケ等のきのこ類、パイナップル、リンゴ等の果実類、アーモンド、ゴマ等の種子類が挙げられる。
【0037】
本発明のソースと具材との配合比は特に限定されないが、典型的には、湿質量基準で具材入りソース全量に対して具材が5〜35質量%が好適である。
【0038】
本発明のソース又は具材入りソースは、動物肉由来の原料及び動物油脂を含まないことから低カロリー化が容易である。例えば、95Kcal/100g以下とすることが可能である。
【0039】
6.本発明のソース及び具材入りソースの製造方法
本発明のソースは、カレーソース、シチューソース、デミグラスソース、ハヤシソース等を製造する際の通常の手順に従って製造することができ、特に限定されない。具材を配合する順序は特に限定されず、ソースを調製した後に具材を添加してもよいし、ソースの調製の最初又は途中の段階から具材を添加することもできる。
【0040】
7.レトルト食品
本発明のソース及び具材入りソースは、レトルト食品の形態で提供されることが好ましい。本発明のソース及び具材入りソースは、レトルト食品に加工した場合に、第一粒状物と第二粒状物を各々好適なかたさと食感に加工できるため好ましい。レトルト食品の製造は定法により行うことができる。例えば、本発明のソースと、所望の大きさにカットした具材とをレトルトパウチに充填した後、密封し、これを120〜125℃で20〜40分間加熱することによりレトルト処理して、本発明のレトルト食品を得ることができる。
【実施例】
【0041】
実施例1
1.原料
【0042】
(ソース)
【表1】

【0043】
(具 材)
【表2】

※具材の質量部は、ソース原料100質量部に対する割合として示した。
【0044】
2.製造工程
玉葱、タケノコ及び植物性油脂を、加熱釜で原料の品温が約98℃になるまで約10分間加熱混合した。さらに、粒状植物性たんぱく、トマトペースト、小麦粉、カレーパウダー、調味料、フレーバー及び水を加熱釜に投入し、原料の品温が約95℃になるまで約100分間加熱混合してカレーソースを調製した。
【0045】
調製したカレーソースと、具材のレンコン及びゴボウを、レトルトパウチに総量で180g充填し、レトルトパウチを密封して、122℃で、25分間の条件でレトルト処理を施してレトルトカレーを調製した。
【0046】
3.レトルトカレーの特性、性能
以下の測定方法に基づいて調べた場合の測定値は、各々次のとおりであった。
(1)植物性原料の粒状物のかたさ:
タケノコ:9.45×10N/m
粒状植物性たんぱく:1.0×10N/m
レンコン(具材):5.165×10N/m
ゴボウ(具材):2.69×10N/m
玉葱:1.0×10N/m未満
【0047】
(2)植物性原料の粒状物(目開き11200μm篩パス、目開き2000μm篩オン)の具材を除くカレーソースの全原料に対する質量%:
タケノコ:10.0質量%
粒状植物性たんぱく:5.0質量%
玉葱:15.0質量%
※カレーソースと具材の質量比は、表1及び表2に記載の比率と同じであった。
【0048】
(3)カレーソースの粘度:900mPa・s
【0049】
(4)カレーソースのpH:5.0
【0050】
(5)具材を含むカレーソース中の成分量:
(i)動物肉の原料及び動物油脂:未検出
(ii)乳原料:陰性
(iii)卵の原料:陰性
(iv)カロリー:72Kcal(100gあたり)
【0051】
(6)喫食評価:
レトルトカレーを食すると、口どけと歯ざわりのよい食感で、風味にコク味があり、酸味がストレートに感じられず、適度なアクセントとして感じられ、甘味があった。
【0052】
4.測定方法
4.1.植物性原料の粒状物のかたさ及びカレーソース中の質量の測定
(1)レトルトカレーを湯煎で3〜5分間温め、レトルトパウチを開封して、中身を目開き11200μmの篩に通す。
(2)前記の篩にオンした具材等を取り除き、篩をパスした中身を目開き2000μmの篩に通す。篩にオンした粒状物に60℃の温水を掛けて、カレーソースを取り除いた後、30秒間水切りする。
(3)残った粒状物の質量を測定する(質量の測定)。
(4)(3)で残った粒状物を試料として、常温(15〜25℃)で、レオメーター(YAMADEN社製 RE2−33005B)により、プランジャーNO.49を用いて、テーブルスピード0.5mm/秒の条件で測定する。試料の種類毎に複数の試料について測定値した値の平均値(N/m)を「かたさ」とする。
【0053】
なお、前記の工程(2)において、取り除いた具材のかたさについても、これを試料として工程(4)と同様にして測定する。
【0054】
4.2.カレーソースの粘度の測定
レトルトカレーを湯煎で3〜5分間温め、レトルトパウチを開封して、中身を皿に空け、カレーソースから具材を取り除く。具材を取り除いたカレーソースの60℃における粘度(mPa・s)を、B型粘度計(東機産業社製 RB80型粘度計)により、ローターNo.4 回転数60rpmの条件で測定する。
【0055】
4.3.液状食品のpHの測定
レトルトカレーを湯煎で3〜5分間温め、レトルトパウチを開封して、中身を皿に空け、カレーソースから具材を取り除く。具材を取り除いて常温(15〜25℃)に冷ましたカレーソースのpHをPHメーター(東亜ディーケーケー社製 HM−50G)により測定する。
【0056】
4.4.液状食品中の成分の測定
(1)動物肉の原料及び動物油脂
レトルトパウチから出したカレーソースを、日本ハム株式会社受託検査 畜種鑑別(DNA分析PCR増幅電気泳動法)方法で測定し、カレーソースに含まれる動物肉のDNAの有無を判断する。電気泳動で動物肉のDNAに由来するバンドが見られない場合は、未検出となり、本発明では、これをもって「実質的に動物肉の原料及び動物油脂を含まない」もの、と判定する。具材についても同様に測定する。
【0057】
(2)乳原料
レトルトパウチから出したカレーソースを、日本ハム株式会社製FASTKITエライザVer.IIシリーズで測定し、カレーソースに含まれる動物乳のタンパク質量(μg/g)を測定する。
【0058】
測定値が10μg/g未満の場合は、陰性となり、本発明では、これをもって「実質的に動物乳の原料を含まない」もの、と判定する。具材についても同様に測定する。
【0059】
(3)卵の原料
レトルトパウチから出したカレーソースを、日本ハム株式会社製FASTKITエライザVer.IIシリーズで測定し、カレーソースに含まれる卵のタンパク質量(μg/g)を測定する。
【0060】
測定値が10μg/g未満の場合は、陰性となり、本発明では、これをもって、「実質的に卵の原料を含まない」もの、と判定する。具材についても同様に測定する。
【0061】
(4)カロリー
修正アトウォーター法にて測定。エネルギー換算係数として、たんぱく;4、脂質;9、炭水化物;4を用いた。
【0062】
実施例2〜4及び比較例1
玉葱とタケノコと水の質量部を変えた以外は、実施例1と同様の原料配合及び手順によりレトルトカレーを調製した。得られたレトルトカレーを実施例1と同様の操作及び基準により評価した。
【0063】
各々のレトルトカレーに含まれるタケノコ及び具材のかたさは、実施例1のものと同様の測定値であった。
【0064】
【表3】

【0065】
実施例5
1.原料
【0066】
(ソース)
【表4】

【0067】
(具 材)
【表5】

※具材の質量部は、ソース原料100質量部に対する割合として示した。
【0068】
2.製造工程
玉葱、人参及び植物性油脂を、加熱釜で原料の品温が約98℃になるまで約10分間加熱混合した。さらに、粒状植物性たんぱく、ガーリックペースト、小麦粉、カレーパウダー、調味料、フレーバー及び水を加熱釜に投入し、原料の品温が約95℃になるまで約100分間加熱混合してカレーソースを調製した。
【0069】
調製したカレーソースと、具材のチェーチ及び枝豆を、レトルトパウチに総量で180g充填し、レトルトパウチを密封して、122℃で、25分間の条件でレトルト処理を施してレトルトカレーを調製した。
【0070】
3.レトルトカレーの特性、性能
以下の測定方法に基づいて調べた場合の測定値は、各々次のとおりであった。
(1)原料固形物のかたさ:
人参:2.6×10N/m
粒状植物性たんぱく:1.0×10N/m
チェーチ(具材):1.08×10N/m
枝豆(具材):8.05×10N/m
玉葱:1.0×10N/m未満
【0071】
(2)植物性原料の粒状物(目開き11200μm篩パス、目開き2000μm篩オン)の具材を除くカレーソースの全原料に対する質量%
人参:12.6質量%
粒状植物性たんぱく:6.7質量%
玉葱:12.8質量%
※カレーソースと具材の質量比は、表4及び表5に記載の比率と同じであった。
【0072】
(3)カレーソースの粘度:1500mPa・s
【0073】
(4)カレーソースのpH:5.2
【0074】
(5)具材を含むカレーソース中の成分量:
(i) 動物肉の原料及び動物油脂:未検出
(ii) 乳原料:陰性
(iii) 卵の原料:陰性
(iv) カロリー:88Kcal(100gあたり)
【0075】
(6)喫食評価:
レトルトカレーを食すると、口どけと歯ざわりのよい食感で、風味にコク味があり、酸味がストレートに感じられず、適度なアクセントとして感じられ、甘味があった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に動物肉由来の原料及び動物油脂を含まないソースであって、目開き11200μmの篩をパスし、目開き2000μmの篩にオンする大きさを有し、且つ1.0×10N/m〜1.0×10N/mのかたさを有する植物性原料の粒状物(第一粒状物)が、5質量%〜70質量%含まれていることを特徴とするソース。
【請求項2】
前記第一粒状物が、根菜類、茎菜類、果菜類、きのこ類、豆類、穀類、粒状植物たんぱく及びコンニャクからなる群から選ばれた1以上の原料の粒状物である請求項1に記載のソース。
【請求項3】
目開き11200μmの篩をパスし、目開き2000μmの篩にオンする大きさを有し、且つ1.0×10N/mに満たないかたさを有する植物性原料の粒状物(第二粒状物)が、5質量%〜50質量%含まれており、
前記第一粒状物と前記第二粒状物との合計が、ソース全体の10質量%〜70質量%である、請求項1又は2に記載のソース。
【請求項4】
前記第二粒状物が玉葱の粒状物である請求項3に記載のソース。
【請求項5】
植物性原料のペースト状物を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のソース。
【請求項6】
粘度が200〜2500mPa・sである請求項1〜5のいずれか1項に記載のソース。
【請求項7】
pHが4.6〜5.3である請求項1〜6のいずれか1項に記載のソース。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のソースと、目開き11200μmの篩にオンする大きさを有する具材とを含む具材入りソース。
【請求項9】
レトルト食品である請求項1〜8のいずれか1項に記載のソース。
【請求項10】
95Kcal/100g以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載のソース。