説明

実験環境内におけるサンプル試験要請に関係する情報を管理するシステムと方法

本発明によるシステムは、実験環境内における少なくとも1つのサンプル(50)に対する複数の試験の要請に関する情報を管理するものである。システムは、少なくとも1つのサンプルを受け取れるよう構成された少なくとも1つのサンプル受入部と、少なくとも1つのサンプル(50)をスキャン処理し、それぞれの試験基準内に含まれる試験要件にしたがってその少なくとも1つのサンプル(50)を随意に分類および/または分別できるよう構成された前分析装置(20)と、分類および/または分別された少なくとも1つのサンプル(50)に対して、複数の試験うちの対応する1つの試験を実施できるよう構成された少なくとも1つの分析装置(30)と、サンプル(50)が完全に測定されるまで複数の試験が反復作業手順により遂行できるよう、サンプル受入部、前分析装置(20)、少なくとも1つの分析装置(30)を相互に接続するための接続部品、かつ、前記の装置間の通信の中間コーディネータとして作用する判定装置(10)とを具備し、さらに、判定装置(10)は、試験結果をサンプル(50)と適切に照合させて、それぞれの報告をホスト装置(200)に供与できるよう構成されている。本発明は、さらに、本発明によるシステム内で使用に適した判定装置と、および、実験環境内の少なくとも1つのサンプルに対する複数の試験の要請に関する情報を管理する方法とに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実験環境内におけるデータ管理のためのシステムと方法に関する。特に、本発明は、実験環境内における少なくとも1つのサンプルに対しての複数の試験回数の要請に関係する情報を管理するシステムと方法に関する。本発明は、また、そのような情報の管理のための判定装置、および、コンピュータプログラム製品、コンピュータプログラム、コンピュータ読み取り可能な媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の実験環境内においては、増加する多数のサンプルを取り扱わなければならない。そして、広い範囲の異なる特性について試験を実行する必要がある。それら実験室には、自動サンプル準備や自動分析のための多数の異なる器具が備わっている。実験手順には、前分析工程、分析工程、後分析工程が含まれ、同時に強力なデータ管理機能が必要である。それゆえ、全部の実験手順を最善に行うには、データ管理機能を使って前分析、分析、後分析判定を組み合わせることが予備必須要件である。さらに、実験効率を高めて、高品質の結果を提供できるよう、均等な方法で高度なサンプル作業手順を実現するための一定のバックボーンを確立することが望まれる。同時に、作業品質を高めて、満足できる作業環境を提供すると共に、そのような実験手順の複雑さを軽減することも求められるのである。
【発明の開示】
【0003】
それゆえ、本発明によるシムテムと方法は、分子診断所などの大きな実験場所を小さくして、コンピュータ支援サンプル処理機能をデータ管理判定と組み合わせた顧客用解決策を実現することである。
【0004】
前述の実験場所は、たとえば、増幅や検出のための分子診断実験室などの場合、一般的に、1つまたは複数のサンプル準備のための装置と1つまたは複数の分析のための装置を備える。
【0005】
本発明が提案するシステムは、請求項1の特徴を備えた、実験環境内における少なくとも1つのサンプルに対する複数の試験回数の要請に関する情報を管理するシステムである。本発明は、さらに、請求項13の特徴を備えた、情報を管理する判定装置、および、請求項20の特徴を備えた、情報を管理する方法に関する。さらに、本発明は、請求項33の特徴を備えた、コンピュータプログラム製品、請求項34の特徴を備えた、コンピュータプログラム、請求項35の特徴を備えた、コンピュータ読み取り可能媒体に関する。
【0006】
本発明の一実施例として、実験環境内における少なくとも1つのサンプルに対する複数の試験回数の要請に関する情報を管理するシステムを提供する。システムは、その少なくとも1つのサンプルをスキャン操作して、それぞれのサンプル基準内の試験要件に従った要請に応じて、その少なくとも1つのサンプルを分類、分別、および/または、保管できるよう構成された少なくとも1つの前分析装置と、その適切に分類および/または分別されたサンプルに対して複数試験回数のうち少なくとも1回の試験を実施できるよう構成された少なくとも1つの分析装置と、予め決められた停止規準が履行されるまで、特に、サンプルの測定が完了するまで、その判定装置で調整される作業手順、特に反復作業手順により複数の試験が行えるよう、少なくとも1つのホスト装置を、システムにアクセスさせて、サンプル基準を供与させ、かつ、その少なくとも1つの前分析装置とその少なくとも1つの分析装置とを相互接続させるための接続部品として動作し、かつ、それら前分析装置と分析装置とあいだの通信における中間媒体のコーディネータとして動作する判定装置とを具備し、さらに、判定装置が、得られた試験結果をサンプルと適切に照合させて、それぞれの報告をその少なくとも1つのホスト装置に供与できるよう構成されている。
【0007】
また、前記のシステムは、少なくとも1つのサンプルを受入できるよう構成された少なくとも1つのサンプル受入部を備えることも可能である。
【0008】
本発明の別の実施例として、実験環境内のシステムにおける少なくとも1つのサンプルに対しての複数の試験回数の要請に関係する情報をリアルタイムで管理する判定装置を提供する。その実験環境内のシステムは、少なくとも1つの前分析装置と少なくとも1つの分析装置とを具備する。判定装置は、少なくとも1つのホスト装置を、システムにアクセスさせて、その少なくとも1つのサンプルのためのサンプル基準を供与させる。さらに、判定装置は、予め決められた停止規準が履行されるまで、特に、サンプルの測定が完了するまで、判定装置により調整された作業手順、特に反復作業手順により複数の試験が行えるよう、その少なくとも1つの前分析装置とその少なくとも1つの分析装置とを相互接続させるための接続部品として動作し、かつ、それら前分析装置と分析装置とあいだの通信における中間媒体のコーディネータとして動作する。さらに判定装置は、得られた試験結果をサンプルと適切に照合させて、それぞれの報告を少なくとも1つのホスト装置に供与できるよう構成されている。
【0009】
判定装置は、異なる装置からの情報、たとえば、少なくとも1つの前分析装置や少なくとも1つの分析装置からの情報を合成して、それを基に、次の判定を行う。
【0010】
判定装置は、次の前分析工程を決定するため、現在分析試験結果情報などの現在分析データをその他のサンプル関連情報と組み合わせられるよう構成することも可能である。サンプル関連情報は、本明細書の範囲においては、サンプル品質、サンプル量、サンプル回転時間、サンプル負荷バランス情報、前結果のデルタチェック、および/または、年齢、性別、地域、依頼人/病棟などの患者関係統計情報のような、広義の意味で理解されるべきである。
【0011】
本発明のさらなる実施例として提案するのは、少なくとも1つの前分析装置と、少なくとも1つの分析装置と、判定装置とを具備する実験環境内におけるシステムにおいて、少なくとも1つのサンプルに対しての複数の試験回数の要請に関係する情報を管理する方法である。その方法は、
A.サンプルと受け取る工程と、
B.そのサンプルを少なくとも1つの前分析装置へ伝送する工程と、
C.そのサンプルを特定して、サンプル基準に割り当てる工程と、
D.それら少なくとも1つの前分析装置と少なくとも1つの分析装置とのダイナミック適合可能な調整相互動作により、サンプル基準に従ったサンプルを処理する工程と、
E.その処理報告を少なくとも1つのホスト装置へ送る工程とを備えて、前記の少なくとも1つの前分析装置と少なくとも1つの分析装置とのあいだの調整は、判定装置が、それぞれの装置間の通信における中間媒体コーディネータとして動作することにより管理され、かつ、前記の報告は、判定装置が、少なくとも1つのホスト装置に関係する統合前端として動作することにより作成される方法である。
【0012】
前記の処理は、反復作業手順により実施しても構わない。
【0013】
本発明による方法のさらなる実施例として、前記の工程(D)は、
D1.サンプルを分類および/または分別し、そのサンプルを所定の目標体に挿入して、前分析装置によりサンプル基準を処理する工程と、
D2.その分類および/または分別したサンプルを分析装置に入力する工程と、
D3.判定装置から分析装置へダウンロードされたサンプル試験要請情報とサンプル関連情報を備えたサンプル基準にしたがって、分析装置による複数の試験回数のうちの少なくとも1回の試験を実行する工程と、
D4.その試験結果を、分析装置から判定装置へアップロードする工程と、
D5.アップロードされた試験結果に基づいて、判定装置におけるサンプル基準を更新する工程と、
D6.予め決められた停止規準が履行されるまで、前記の工程の少なくともいくつかを繰り返す工程とを備える。
【0014】
試験を実施するときは、試験結果を判定装置に送り返す。判定装置では、サンプル基準が、たとえば、現在試験結果情報などのアップロードされた試験結果、および、現在のサンプル関連情報に基づいて更新される。試験結果情報は、全部の公開要請や未決の試験要請を含む。また、現在サンプル関連情報には、現況を説明する情報が含まれている。必要とあれば、現在試験結果と、現在結果フラグと、前サンプル結果と、性別、年齢、依頼人などのその他の患者関連統計情報とに基づいた新規試験や確認試験も、判定装置により実施可能であるし、また、完了した試験やその他の試験を、たとえば、コメントやフラグを使って、コメント、中断、公開、交換、修正、拡張することもできる。また、失敗した試験の繰り返すことも、同じく可能である。更新されたサンプル基準は、予め決められた停止規準に達するまで再度処理される。そのような停止規準は、たとえば、試験要請全部が完了した後に、履行しても構わない。
【0015】
別の実施例として前記の方法は、少なくとも1つのホスト装置から、サンプルID、および、サンプル試験要請情報とサンプル関連情報を伴ったサンプル試験要請とからなるサンプル基準を受け取る工程を備える。その意味するところは、サンプルIDと試験要請とを含むサンプル基準が、少なくとも1つのホスト装置から判定装置へダウンロードされることである。その場合、前分析装置が受け取ったサンプルをスキャン操作した後に、問い合わせが前分析装置から判定装置に送られるとみなす。判定装置は、サンプル基準を前分析装置へ送る。前分析装置では、サンプル基準を処理し、サンプル試験要請譲情報に基づいてサンプルを分類および/または分別し、サンプル試験管のサンプルを所定の目標体に挿入する。たとえば、サンプル試験要請情報に基づいて、サンプル材を所定のラックや目標体とされる第2試験管へピペット操作で移す。
【0016】
別の例として、前分析装置が直接にサンプル基準を受け取ることも可能である。つまり、たとえば、試験パラメータで分けたサンプル試験管をローディング操作することにより、サンプル基準を直接に前分析装置に入れることを意味する。その場合、判定装置は、前分析装置でアップロードされた周知のサンプル基準を処理する能力を有する必要がある。
【0017】
本発明によるシステムの別の実施例として、さらに、測定されたサンプルを保管できるよう構成された少なくとも1つの後分析装置をシステムに具備する。後分析装置は、たとえば、サンプルの保管など、各実験室の後分析機能を実行するのに使用する機器である。その機器は、必要な後分析工程を実行可能なロボットで実現できる。
【0018】
また、少なくとも1つの前分析装置と少なくとも1つの後分析装置とを、1個の共通物理的装置内に内蔵することも可能である。
【0019】
本発明による判定装置は、1つまたは複数の既存ホスト装置に関連するシステムの全部の前分析装置と後分析装置のための統合標準化前端部を備える。ゆえに、ホスト装置のリアルタイム任務が軽減される。
【0020】
本発明によるシステムは、最新のサンプル作業手順を実施して、実験効率を高め、高度な品質結果を達成できるようなバックボーンを形成する。システムにより、前分析判定、分析判定、後分析判定を自動結果評価規準としてのデータ管理機能と組み合わせることができる。これは、前述したように、全部の実験処理を最適化するための前要件である。
【0021】
本発明によるシステムのさらなる実施例として、特にASTMやHL7などの標準ホストインターフェイスプロトコルにより、システムを少なくとも1つのホスト装置と通信可能にする。そのような標準ホストインターフェイスプロトコルと標準関数との利用により、特定の実験環境におけるシステムの統合が、迅速、容易、低リスクで行える。それにより、複雑性を低減でき、試験品質を改善できる。
【0022】
本発明によるシステムのさらに別の実施例として、判定装置は、判定装置自体により設定され、少なくとも1つの前分析装置からの前分析情報に基づいて、および/または、サンプル品質、サンプル量、サンプル回転時間、サンプル負荷バランス規準、前のサンプル結果、および/または、年齢、性別、地域情報、依頼人/病棟、患者統計データなどの患者関連情報など、現在の結果フラグである別のサンプル関連情報と随意でリアルタイムに組み合わせた、少なくとも1つ分析装置から受入した現在の分析データに基づいて、リアルタイムに実行される配送規準にしたがって、少なくとも1つのサンプルを少なくとも1つの分析装置へ配送する配送部として動作する。さらに、現在の試験やその他の要請された試験を、たとえば、コメントやフラグを使って、コメント、中断、公開、交換、修正、拡張することもできる。現在の分析データとは、すでに終了した試験や対応する試験結果に起因するデータを意味する。
【0023】
一般的には、システムが多数の試験を実施するのを可能にするため、システムに複数の分析装置を具備しても構わない。特に、それら試験を平行に実施することができる。さらに、複数の試験を、互いに異なる試験とすることも可能である。このことは、少なくとも1つのサンプルに対する複数の試験が、適切な異なる分析装置により、必要ならば、平行に行えることを意味する。
【0024】
さらに、本発明によるシステムの別の実施例として、少なくとも1つの前分析装置は、少なくとも1つの分析装置へ転送するため、分類および/または分別されたサンプルを所定の目標体に挿入できるよう構成する。
【0025】
さらにまた、分析装置を、判定装置から問い合わせモードまたはバッチモードのいずれかで公開試験要請を受け取れる構成することも可能である。
【0026】
本発明によるシステムにて実現できる反復作業手順の主たる特徴の1つは、少なくとも1つのサンプルで行う次の動作が、論理地点で行われることである。この論理地点は、普通は実験室のいわゆるサンプル配布域に配置された判定装置により実現できる。動作自体は、分類工程、分別工程、分類と分別の合成工程、または、保管工程などである。前分析動作は、ロボットによる自動化、または、コンピュータ支援の手動システムによる半自動化が可能である。
【0027】
判定装置は、規準エンジンを内蔵しても、または、それに接続しても構わない。
【0028】
本発明によるシステムの実施例で実施可能な反復操作手順の主工程は、以下のとおりである。
1.少なくとも1つのサンプルが、サンプル受入装置に到着して、少なくとも1つの前分析装置と判定装置とを備えたいわゆるサンプル配布域に手動または自動で転送される。
2.少なくとも1つの前分析装置で、一般的にはバーコードで特定可能なサンプルを、手動スキャン域において手動スキャン処理、または、ロボットシステム内のスキャナーにより自動スキャン処理する。
3.判定装置により、バーコードが示すそのサンプルIDが周知かどうかの判断が行われる。サンプルが周知のものであって、予めシステムに受入されて、判定装置に接続されたデータベースに格納されているサンプル基準から派生する公開要請が存在する場合は、サンプルを所定の次の目標体へ配送する。配送基準も、予め設定されて、前述のように、判定装置内に保管されている。この判定処理においては、分析前分析情報や現在分析データが考慮される。必要なら、現在試験結果、現在結果フラグ、前のサンプル結果、性別、年齢、ジップコード、依頼人などのその他の患者関連統計情報に基づいた、判定装置による新規の試験や確認試験を実施することも可能であり、終了した試験や別の要請試験を、コメントやフラグにて、コメント、停止、公開、交換、修正、拡張処理することも可能である。
4.サンプルを、手動または自動で所定のトレイやラックへ移す。そして、トレイやラックを、手動または自動でサンプル配布域から必要な測定が行われる対応分析装置へ移動させる。
5.サンプルを分析装置に載置する。分析装置は、サンプル基準を含む公開要請を、判定装置から問い合わせモードまたはバッチモードで受け取る。
6.最後に、各試験の試験結果を判定装置にアップロードする。
7.判定装置は、現在の試験結果情報によりサンプル基準をアップロードする。必要なら、現在試験結果、現在結果フラグ、前のサンプル結果、性別、年齢、ジップコード、要請者などのその他の患者関連統計情報に基づいた、判定装置による新規の試験や確認試験をリアルタイムで実施することも可能であり、終了した試験や別の要請試験を、コメントやフラグにて、コメント、停止、公開、交換、修正、拡張処理することも可能である。
8.サンプルは、分析装置が能力を有する場合には直ちに分析装置で処理を行うか、または、前分析装置へ戻す。
9.サンプルを、再度スキャン処理して、公開試験要請がある場合には、さらなる目標体に配送する。
10.公開試験要請がない場合は、測定を終えたサンプルを後分析装置にて保管することができる。
【0029】
本発明によるシステム手段、および/または、本発明による判定装置手段により実施することが可能な、このような反復作業手順は、以下にそのいくつかを概略説明する多数の優位点を提供できる。
【0030】
全部のサンプル配布判断が判定装置により行われるため、処理が明白である。判定装置による判断は、すでに入手の場合は、現在の分析試験結果と同様に、前分析情報をも考慮する。随意の患者関係情報のサンプル情報も、参照可能である。反復作業手順により、分析結果による前分析規準設定と、その他のサンプルや実験処理を表す患者関係情報との組み合わせ処理も実行できる。全部の必要な処理動作が完了するまで、サンプルは実験室に残る。さらに、実施する処理は、構成が単純であるため、実験作業者にとっては容易である。しかも、完全コンピュータ支援判定装置により、エラー率を低減し、品質を高めることができる。
【0031】
本発明はさらに、コンピュータプログラムが格納されたコンピュータプログラム製品もカバーしており、コンピュータプログラム製品には、そのコンピュータプログラムが、コンピュータで作動するとき、特に、本発明のシステムに内蔵されたコンピュータで作動するとき、本発明による方法を実行するのに適したプログラムコードと共にコンピュータプログラムが格納されている。
【0032】
本発明はさらにコンピュータプログラムにも関し、そのコンピュータプログラムが、コンピュータで作動するとき、特に、本発明のシステムに内蔵されたコンピュータで作動するとき、本発明による方法を実行するのに適したプログラムコードを備える。
【0033】
本発明はさらに、コンピュータプログラムを内蔵したコンピュータ読み取り可能媒体に関し、コンピュータプログラムは、コンピュータで作動するとき、特に、本発明のシステム、および/または、判定装置が内蔵されたコンピュータで作動するとき、本発明による方法を実行するのに適したプログラムコードを備える。
【0034】
本発明のさらなる特徴や実施例は、下記の説明と付随図面から明白になるであろう。
【0035】
説明の明瞭化のため、本文はシステムの概略例にて説明する。しかしながら、本発明の方法やシステムは、以下の図面に図示した特定の実施例とは非常に異なるネットワークや通信システムを含む様々なタイプのシステムでも動作可能である。
【0036】
本発明の説明は特定のシステムにしたがって行うが、本発明によるシステムや方法から利益が得られるであろう、高度医療実験システム、高度実験ネットワーク、その他の通信システムなどの多様な通信システムにおいても、本発明が適用可能なのも理解できよう。本明細書と請求項に記載のシステムは、特別な要件を必要としない限り、いずれの通信システムでの利用に好適である。
【0037】
本発明は、好適実施例の形態にて図面に概略的に図示し、図面を参照して詳細な説明をする。それゆえ、本文の説明は、本発明の好適実施例を記述したものにすぎず、本発明の範囲を制限するものではないことを理解してほしい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、同様の部品は、同様の番号により指し示す。
【0039】
図1は、本発明によるシステムの一実施例のブロック図である。システム100は、判定装置10と、少なくとも1つの前分析装置20と、少なくとも1つの分析装置30と、少なくとも1つの後分析装置40とを具備する。それぞれの装置の能力は、所定の数字で表し、連続して配置されたブロック形状で図示する。判定装置10はデータベース11に接続しており、リンクAで示す。データベース11は、判定装置10内に統合内蔵しても構わない。判定装置10は、リンクBで示すように、少なくとも1つまたは複数のホスト装置200に接続している。たとえば、判定装置10を、ASTMやHL7などの標準ホストインターフェイスプロトコルにて、一連の標準関数を備える少なくとも1つのホスト装置200と通信させることも可能である。ホスト装置では、特定の論理を実現する必要はない。それゆえ、統合が迅速、容易、低リスクで行える。
【0040】
システム100の動作時間中に、サンプルIDとサンプル試験要請とを含むサンプル基準を、標準インターフェイスプロトコルにて、少なくとも1つのホスト装置200からシステム100の判定装置10にダウンロードする。サンプル試験要請の情報や、随意でサンプル基準に含まれるその他のサンプル情報や患者統計情報を含むサンプル情報は、判定装置10のローカルデータベース11内に格納されている。サンプル試験管50状態のサンプルが、図1の左側に示すように、前分析装置20内に到着する。サンプルスキャン操作は前分析装置20により実行され、リンクC経由で判定装置10へ送られる。
【0041】
サンプル基準に含まれる、所定の目標体情報または未決の試験要請であるサンプル情報は、リンクC経由で、判定装置10から前分析装置20へダウンロードされる。目標体や未決の試験であるダウンロードされたサンプル情報に応じて、少なくとも1つの前分析装置20で、サンプル試験管50の分類や分別、サンプル試験管50を所定の目標体への挿入などの必要な処理を行う。前分析分類/分別情報は、リンクC経由で、判定装置10へ(拡張サンプル基準の形態で)アップロードする。分類分別されたサンプル試験管50は、リンクD経由で、分析装置30へ送られる。
【0042】
分析装置30は、バッチモードまたは問い合わせモードにて、判定装置10からの所定の試験要請情報をリンクE経由で要求する。判定装置10は、それに対応した情報を含む拡張サンプル基準を、リンクK経由で、分析装置30へダウンロードする。分析装置30による対応試験の実施が完了した後、試験結果は、分析装置30から判定装置10へリンクE経由でアップロードされる。
【0043】
判定装置10は、アップロードされた試験結果に応じてサンプル基準をアップロードする。この意味することは、判定装置10が試験結果を処理し、それから公開および/または未決の試験要請を抜き出し、必要に応じて、さらなる処理を決定し、その処理を開始することである。さらに、判定装置10は、データベース11に格納されたサンプル基準を更新する。判定装置10は、判定装置10の調整機能を行うための規準エンジン12を具備することも可能である。規準エンジン12は、要件を取り扱い、要件の判断規準を適用することができる簡単に入手可能な規準エンジンでかまわない。判断規準は、予め定義しておき、新しい環境に動的に適用することが可能である。
【0044】
規準エンジンにより、現在試験結果、現在試験結果フラグ、サンプル品質、サンプル量、サンプル回転時間、サンプル負荷バランス規準、前のサンプル結果などのその他のサンプル情報、および/または、年齢、性別、地域情報、依頼人/病棟などのその他の患者関連統計情報に基づいた、新規の試験や確認試験を追加することも可能であり、終了した試験や別の要請試験を、コメントやフラグにて、コメント、停止、公開、交換、修正、拡張処理することも可能である。
【0045】
サンプル試験管50は、分析装置が能力を備える場合には、後ろ向けの矢印Iで示すように、分析装置30にて直ちに処理されるか、または、サンプル試験管50は、後ろ向けの矢印Fで示すように、前分析装置20の1つへ戻される。
【0046】
前分析装置20はサンプル50を再度スキャン処理して、そのスキャン結果をリンクCを経由して、判定装置10へ送る。試験要請が未決の場合、判定装置10は、リンクC経由で、前分析装置20へ所定の試験要請または目標情報をダウンロードし、全部の試験要請/目標が完了し、公開試験要請/目標がなくなるまで上記の工程を繰り返す。
【0047】
その後、サンプル試験管50は、リンクH経由で判定装置10から指示され、少なくとも1つの後分析装置40により保管トレイにリンクK経由で分類される。
【0048】
システム100においては、特定の作業手順の論理をホスト装置200で実施する必要はない。リンクA、B、C、E、Hは、所定のインターフェイスプロトコルを使って情報データを相互に交換する通信リンクであるが、リンクD、F、G、Iはサンプル試験管50の転送接続に対応したものである。
【0049】
ホスト装置200は、前分析判定、分析判定、後分析判定などの全部の必要な判定が判定装置10に行えるため、そのリアルタイム任務を軽減できる。システム100内の処理装置により高品質の結果が得られ、ホスト装置200にて複雑なアルゴリズムを演算する必要がない。上記のような実験処理は、判定装置10において、前分析判定、分析判定、後分析判定などのサンプル手順関連の判定を、サンプル情報や患者情報を伴った受入した試験結果などのデータ管理情報と組み合わせることにより、最適化することができる。ASTMやHL7などの標準ホストインターフェイスプロトコルを利用するため、従来の実験環境にて作業手順やデータ管理機能が迅速、容易、低リスクで実施できる。このため、複雑さが低減され、実験品質が向上し、満足できる作業環境の提供が可能となる。
【0050】
前分析装置、分析装置、後分析装置を実験量や回転時間の条件にしたがって追加できるため、システムの拡大や拡張が可能となる。しかも、ホスト装置200と判定装置10とのあいだのインターフェイスを変更することなく実現できる。
【0051】
複数の前分析装置20を備えることも可能で、全部の前分析装置に同じ機能をもたせて1つのサンプルに対して同じ作業を行う。それゆえ、複数のサンプル1〜nを平行に処理することが可能となる。このことは、たとえば、サンプル1〜iを前分析装置20_1で処理する一方、サンプルi+1〜nは前分析装置20_2で処理できることを意味する。前分析装置が2つ以上の場合でも、同様に処理可能である。
【0052】
別の例として、それぞれの前分析装置1つのサンプルの前分析処理における対応工程を実行して、各前分析装置が前分析処理全体の部分を補完できるような、複数の前分析装置20を備えることも可能である。たとえば、前分析処理がm工程ある場合に、工程1〜iまでは前分析装置20_1で行い、工程i+1〜mまでは前分析装置20_2で行うのである。前分析装置が2つ以上であっても、工程の割り当ては随意に変更が可能である。
【0053】
図2は、本発明によるシステムの別の実施例のブロック図である。このシステム100は、判定装置10と、前分析装置と後分析装置を内蔵した少なくとも1つの分析装置30およびさらに装置25を具備する。判定装置10は、判定装置10の統合部分の役目をするデータベース11に、リンクA経由で接続されている。また、判定装置10を、リンクBで示す標準インターフェイスプロトコルにより、少なくとも1つのホスト装置200に接続しても構わない。さらにまた、判定装置10は、それぞれリンクC、E、Hで示す所定のインターフェイスプロトコルにて、前分析/後分析装置25と分析装置30とに接続することもできる。図の左側に示すように、サンプル試験管50は、サンプルスキャン処理が行われる前分析/後分析装置25に到達した後、判定装置10へ送られる。スキャン結果に基づいて、判定装置10は、判定装置10のローカルデータベース11に格納され、随意にサンプル情報や患者情報を組み合わせた、サンプルID、サンプル試験要請または目標情報を含む所定のサンプル基準をダウンロードする。その他の随意情報を伴ったサンプル基準は、前もって、ホスト装置200からシステム100の判定装置10へ、標準インターフェイスプロトコル経由でダウンロードしておく。
【0054】
ダウンロードされたサンプル基準/サンプル目標情報にしたがって、分類、分別、保管、サンプル試験管50の所定の目標体への挿入などの前分析/後分析装置25の所用処理を行う。サンプル基準は、前分析での分類/分別譲歩により拡張することが可能である。サンプル拡張、サンプル位置、その他の情報を含むサンプル情報から拡張されたサンプル基準は、前分析/後分析装置25から判定装置10へリンクC経由でアップロードされる。分類/分別したサンプル試験管50は、接続Dにて分析装置30へ送られる。
【0055】
分析装置30は、リンクEを経由して、判定装置10からの所定の試験要請情報を請求する。そのような分析装置30の請求動作は、バッチモードか問い合わせモ―ドのいずれかで行う。判定装置10は、サンプル基準または必要な情報を含むサンプル情報の広義な意味での拡張サンプル基準を分析装置30にダウンロードする。必要な試験が完了した後、試験結果は分析装置30から判定装置10へアップロードされる。
【0056】
判定装置10は、アップロードされた試験結果をもとにサンプル基準を更新する。判定装置10により、現在試験結果、現在試験結果フラグ、サンプル品質、サンプル量、サンプル回転時間、サンプル負荷バランス規準、前のサンプル結果などのその他のサンプル情報、および/または、年齢、性別、地域情報、依頼人/病棟などのその他の患者関連統計情報に基づいた、新規の試験や確認試験を追加することも可能であり、終了した試験や別の要請試験を、コメントやフラグにて、コメント、停止、公開、交換、修正、拡張処理することも可能である。サンプル試験管50は、分析装置が能力を備える場合には、後ろ向けの矢印Iで示すように、分析装置30にて直ちに処理されるか、または、サンプル試験管50は、後ろ向けの矢印Fで示すように、前分析/後分析装置25へ戻される。前分析/後分析装置25はサンプル試験管50を再度スキャン処理して判定装置10へ送る。
【0057】
試験要請が未決の場合、全部の試験要請が完了し、サンプル試験管50の公開目標体がなくなるまで、前に説明した工程を繰り返す。公開試験要請がなくなるか、または、目標体がなくなると、サンプル試験管50を前分析/後分析装置25にて保管トレイに分類する。
【0058】
図3は、本発明による方法の一実施例のフローチャーである。本文で説明する方法は、大規模の分子診断所において利用可能である。そのような場所には、一般的に、1つまたは複数の自動サンプル準備用の機器や、1つまたは複数の自動増幅検出用の機器が備わる。自動サンプル準備用機器は、たとえば、ロシェダイアグノティック社(Roche Diagnotics)の「COBAS AmpliPrep」(商品名)などが挙げられる。自動増幅検出用機器としては、たとえば、同様にロシェダイアグノティック社の「COBAS TagMan」分析器、「COBAS TagMan 48」分析器、「COBAS Amplicor」分析器などの使用が可能である。実験室によっては、前記のいわゆる「COBAS AmpliPrep」のS字試験管にサンプル試験管を自動ピペット操作するために、1つまたは複数のハミルトン社の「Hamilton Star」(商品名)が使用される。それらの実験室では、たとえば、HIV/HBV/HCV試験用のウイルス学分析が行われる。本発明による方法の実施例で説明する作業手順においては、分別装置としてハミルトン社の装置の利用することができ、バーコードのあるサンプル試験管から、いわゆるSK24ラックで分別する。ハミルトン社の装置は、プール装置としての利用は不可である。本発明によるシステムの実施例の一部としての判定装置は、前述した作業手順や異なる装置間の所定のデータ情報伝送を管理するものである。判定装置により、分子診断作業手順におけるホスト装置とのインターフェイス処理や、ハミルトン社の装置と「Amplilink」データステーションである分析装置とのあいだのデータ伝送処理が実行され、試験結果と対応サンプル試験管との照合が行われ、対応するホスト装置へのサンプル基準および/または試験基準の報告がなされる。
【0059】
図3に示す例では、サンプル基準はホスト装置200で作成される。サンプル基準は、固有のサンプルIDと、複数の試験要請とからなる。サンプルIDや試験要請などのサンプル基準は、システム100の部品としての判定装置10にダウンロードされる。ハミルトン社の装置が利用できる1つまたは複数の前分析装置20は、サンプル試験管が前分析装置20にてスキャン処理されるやいなや、判定装置10への問い合わせを送る。判定装置10は、サンプル試験要請を加えたサンプルIDを含むサンプル基準を、リンクC経由で、前分析装置20へ送る。前分析装置20は、サンプル基準を処理する。試験要請にしたがって、サンプル材をピペット操作にてSKラックなどのラックに移す。前分析装置20は、ラックIDやラック位置にしたがってサンプル基準を拡張する。拡張された酸プリ基準は、リンクC経由で、判定装置10へアップロードされる。
【0060】
別の例として、試験要請とサンプルIDであるサンプル基準を、たとえば、試験パラメータで分類した対応サンプルのロード操作などにより、前分析装置20に直接に入力することも可能である。それゆえ、判定装置10は、前分析装置20によりアップロードされた周知でないサンプル基準を取り扱う必要がある。ホスト装置200も、試験処理の最後に判定装置10からアップロードされるサンプル試験結果とサンプルIDを含む未知のサンプルを取り扱う必要がある。
【0061】
判定装置10は、サンプルID、修正サンプルID、ラックID、ラック位置、試験要請を含む拡張サンプル基準を受け取る。判定装置10は、前分析装置20から受け取ったラックID、および、複数の分析装置30がそれぞれのリンクE_1・・・E_Nにて接続されている場合には割り当てられたラック範囲にしたがってサンプル基準を転送する。それら複数の分析装置30は、番号30_1〜30_Nによって示すラックにより分割する。この例の場合、分析装置30_1がラックA〜Mを取り扱い、分析装置30_NがラックN〜Zを取り扱う。分析装置30_1は、ラックA〜Mに関するサンプル基準を処理する。分析装置30_Nは、ラックN〜Zに関するサンプル基準を処理する。対応する試験が完了した後、それぞれの分析装置30は、フラグやコメントを含む試験結果とサンプル基準を、判定装置10へリンクE経由でアップロードする。判定装置10は、受け取った試験結果にしたがってサンプル基準を更新する。判定装置10は、試験結果を含む更新されたサンプル基準をホスト装置200へアップロードする。そのようなアップロードは、予め決められた規則によって行われる。判定装置10は、そのサンプル基準をホスト装置へ周期的にアップロードして、実際のサンプル基準/試験結果をホスト装置に通知しても構わない。別の例として、全部の試験要請が完了した後に、ホスト装置にアップロードされたサンプル基準のみを通知することも可能である。未決の試験要請が存在する場合には、判定装置10から、前分析装置20へ、サンプル試験結果と未決の試験要請を含むサンプル基準をリンクC経由で再度ダウンロードすることも可能である。
【0062】
本文の例では、試験要請を実施する目標システムを考慮して、実験室にてラックを予め分類する必要がある。
【0063】
図4は、本発明による方法の別の実施例のフローチャートである。
【0064】
サンプル基準を、ホスト装置200により再度作成する。サンプル基準は、固有のサンプルIDと、対応サンプルに対する複数の試験要請とからなる。サンプルIDや試験要請などのサンプル基準は、システム100の部品としての判定装置10にダウンロードされる。システム100内に装備された1つまたは複数の前分析装置20は、サンプル試験管が前分析装置20にてスキャン処理されると同時に、判定装置10への問い合わせを送る。判定装置10は、サンプル基準をリンクC経由で前分析装置20へ送る。前分析装置20で、サンプル基準が処理される。試験要請にしたがって、サンプル材をピペット操作にて、たとえばSKラックなどのラックに移す。前分析装置20は、ラックIDやラック位置にしたがってサンプル基準を拡張する。拡張された酸プリ基準は、リンクC経由で、判定装置10へアップロードされる。
【0065】
図3を参照して前述したように、サンプル基準を、たとえば、試験パラメータで分類したサンプルのロード操作などにより、前分析装置20に直接に入力することも可能である。それゆえ、判定装置10は、ホスト装置200と同様に、それぞれ前分析装置20と判定装置10によりアップロードされた周知でないサンプル基準を取り扱う必要がある。
【0066】
判定装置10は、サンプルID、修正サンプルID、ラックID、ラック位置、試験要請を含む拡張サンプル基準を受け取る。判定装置10は、それぞれのリンクE_1・・・E_Nにて判定装置10に接続されている分析装置30_1〜30Nの全部にサンプル基準を一括ダウンロードにて転送する。それら複数の分析装置30のうちのSK24ラックに収容された分析装置30_iにより、サンプル基準が処理される。分析装置30_iは、フラグやコメントを含む試験結果とサンプル基準とを、判定装置10へアップロードする。判定装置10でのサンプル受入が完了した後、ローカル分析データベースからの自動的オーダを取り消すため、判定装置はキャンセル要請を、リンクE_j経由で他の分析装置30_j(i≠j)へ送る。判定装置10は、試験結果にしたがってサンプル基準を更新し、試験結果を含む更新されたサンプル基準を少なくとも1つのホスト装置200へアップロードする。未決の試験要請が存在する場合には、判定装置10から、前分析装置20へ、サンプル試験結果と未決の試験要請を含むサンプル基準をリンクC経由で再度ダウンロードする。
【0067】
本例では、図3に示すシナリオの方法と違って、ラックの予備分類の必要がない。複数の分析装置が接続されている場合、試験ガラスを重ねることも可能である。
【0068】
図5は、本発明によるシステムの別の実施例にて実施可能な反復作業手順を示す。試験要請のみに基づく簡単な反復作業手順は、本例ではハミルトン社の装置である前分析装置、PSMである判定装置、「Amplilink」である分析装置とて実施される。本例における反復作業手順では、現在までに処理が完了していない試験要請が残っていると仮定する。全部の試験が完了した場合には、サンプル準備装置として作用する前分析装置へ所定のフラグが送られる。処理完了したサンプルは、それゆえ保管処理に回されるのである。判定装置が未知の要求サンプルがある場合には、所定のフラグが前分析装置へ送られる。
【0069】
図5に示す例では、サンプル「123」は試験要請「T1/T2/T3/T4」によるものである。少なくとも1つのハミルトン社の前分析装置がPSMの判定装置に問い合わせ1を使ってサンプル「123」を要求する。PSMの判定装置からハミルトン社の前分析装置へ送られる返答として、試験要請「T1/T2/T3/T4」を伴ったサンプルID「123」が供給される。ハミルトン社の前分析装置は、ピペット操作などの前分析処理を行い、サンプル「123」からの結果、「サンプルID123T1;R―ID/R−Pos/123」で表す、をPSMの判定装置へ送る。結果に対する応答として、サンプルが試験要請T1を処理する所定の分析装置へ送られる。問い合わせ2を使って、少なくとも1つのハミルトン社の前分析装置がPSMの判定装置へサンプル「123」の要求を行う。PSMの判定装置からハミルトン社の前分析装置へ返答が行われて、T1の処理が完了しているため、試験要請「T2/T3/T4」を伴ったサンプルID「123」にサンプルが導入される。ハミルトン社の前分析装置は前分析処理(ピペット操作)を行い、「サンプルID123T2;R―ID/R−Pos/123」で表す試験の結果をPSMの判定装置へ送る。結果に対する応答として、サンプル「123」がPSMの判定装置から試験要請T2を処理する所定の分析装置へ送られる。その後、少なくとも1つのハミルトン社の前分析装置は、問い合わせ3にてPSMの判定装置へサンプル「123」の要求を行う。PSMの判定装置からの応答により、試験要請「T3/T4」を伴ったサンプルID「123」が供給される。ハミルトン社の前分析装置はサンプル「123」のピペット操作を行い、「サンプルID123T3、T4;R―ID/R−Pos/123」で表す結果をPSMの判定装置へ送る。それゆえ、サンプルは分析装置に送られて、試験要請T3とT4が処理される。その後、サンプルは少なくとも1つのハミルトン社の前分析装置へ送り返されて、サンプル「123」のための問い合わせ4がPSMの判定装置へ出力される。判定装置からは、サンプルID132であるサンプル「123」の情報が前分析装置に供与され、もはや残った試験要請は存在しない。この例では、その結果として空の記録が送られるため、ハミルトン社の前分析装置はそれ以上の動作を行わない。その後、サンプルが保管される後分析装置へとそのサンプルが送られる。そのような後分析装置は、共通の物理的装置内で前分析装置と統合させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明によるシステムの一実施例の概略ブロック図である。
【図2】本発明によるシステムの別の実施例の概略ブロック図である。
【図3】本発明による方法の一実施例のフローチャートである。
【図4】本発明による方法の別の実施例のフローチャートである。
【図5】本発明によるシステムにて実施可能な概略の反復作業手順である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実験環境内における少なくとも1つのサンプル(50)に対する複数の試験回数の要請に関する情報を管理するシステムであって、
その少なくとも1つのサンプル(50)をスキャン操作して、それぞれのサンプル基準内の試験要件にしたがって、その少なくとも1つのサンプル(50)を要請に応じて分類、分別、および/または、保管できるよう構成された少なくとも1つの前分析装置(20)と、
その適切に分類および/または分別されたサンプル(50)に対して複数試験回数のうち少なくとも1回の試験を実施できるよう構成された少なくとも1つの分析装置(30)と、
予め決められた停止規準が履行されるまで、特に、サンプル(50)の測定が完了するまで、作業手順、特に反復作業手順により複数の試験が行えるよう、少なくとも1つのホスト装置(200)を、システムにアクセスさせて、その少なくとも1つのサンプルのためのサンプル基準を供与させ、かつ、その少なくとも1つの前分析装置(20)とその少なくとも1つの分析装置(30)との通信における中間媒体のコーディネータとして動作する判定装置(10)とを具備し、さらに、判定装置(10)が、得られた試験結果をサンプル(50)と適切に照合させて、それぞれの報告をその少なくとも1つのホスト装置(200)に供与できるよう構成されたシステム。
【請求項2】
前記のシステム(100)が、さらに、作業手順の一部として測定サンプルを保管できるよう構成された少なくとも1つの後分析装置(40)を具備する請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記の少なくとも1つの前分析装置と前記の少なくとも1つの後分析装置とが、1つまたは複数の共通物理的機器(25)内に内蔵されている請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記の判定装置(10)が、特にASTMやHL7などの標準ホストインターフェイスプロトコルにより前記のホスト装置(200)と通信できる請求項1〜3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記の判定装置(10)が、前記の少なくとも1つのホスト装置(200)に関連するシステム(100)の全部の前分析装置と後分析装置のための統合前端部を形成して、ホスト装置のリアルタイム任務を軽減する請求項1〜4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記の判定装置(10)が、判定装置(10)自体により設定され、前記の少なくとも1つの前分析装置(20)からの前分析情報に基づいて、および/または、随意で別のサンプル関連情報と組み合わせた、前記の少なくとも1つ分析装置(30)から受け取った現在の分析データに基づいて、リアルタイムに実行される配送規準にしたがって、前記の少なくとも1つのサンプル(50)を前記の少なくとも1つの分析装置(30)へ配送する配送部として動作する請求項1〜5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記の判定装置(10)が、リアルタイムで現状分析データを、別のサンプル関連情報と組み合わせられるよう構成された請求項1〜6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記の少なくとも1つの前分析装置(20)が、半自動機能を備えた携帯スキャナー装置、または、自動的に前分析機能を実行するロボット装置である請求項1〜7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記のシステム(100)が、さらに、システム(100)に複数の試験、特に複数の異なる試験を平行に実施させる複数の分析装置(30)を備える請求項1〜8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記の少なくとも1つの前分析装置(20)が、さらに、前記の少なくとも1つの分析装置(30)へ転送するため、分類および/または分別されたサンプルを所定の目標体に挿入できるよう構成された請求項1〜9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記の分析装置(30)が、前記の判定装置(10)から問い合わせモードまたはバッチモードのいずれかで公開試験要請を受け取れるよう構成された請求項1〜10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記のシステムが、さらに、前記の少なくとも1つのサンプルを受入する少なくとも1つの受入部を備える請求項1〜11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
実験環境内のシステムにおける少なくとも1つのサンプル(50)に対しての複数の試験回数の要請に関係する情報をリアルタイムで管理する判定装置であって、その実験環境が、少なくとも1つの前分析装置(20)と少なくとも1つの分析装置(30)とを具備し、該判定装置(10)が、予め決められた停止規準が履行されるまで、特に、サンプル(50)の測定が完了するまで、判定装置(10)により調整された作業手順、特に反復作業手順により複数の試験が行えるよう、少なくとも1つのホスト装置を、システムにアクセスさせて、その少なくとも1つのサンプルのためのサンプル基準を供与させ、かつ、その少なくとも1つの前分析装置(20)とその少なくとも1つの分析装置(30)との通信における中間媒体のコーディネータとして動作し、さらに、その判定装置(10)が、得られた試験結果をサンプル(50)と適切に照合させて、それぞれの報告を少なくとも1つのホスト装置(200)に供与できるよう構成された判定装置。
【請求項14】
さらに、特にASTMやHL7などの標準ホストインターフェイスプロトコルにより前記のホスト装置(200)と通信できる請求項13記載の判定装置。
【請求項15】
前記の判定装置(10)が、前記の少なくとも1つのホスト装置(200)に関連するシステム(100)の全部の前分析装置と後分析装置のための統合前端部を形成して、ホスト装置のリアルタイム任務を軽減する請求項13または14記載の判定装置。
【請求項16】
判定装置(10)自体により設定され、前記の少なくとも1つの前分析装置(20)からの前分析情報に基づいて、および/または、随意で別のサンプル関連情報と組み合わせた、前記の少なくとも1つ分析装置(30)による実行が完了した複数の試験からの試験結果に基づいてリアルタイムに実行される配送規準にしたがって前記の少なくとも1つのサンプル(50)を前記の少なくとも1つの分析装置(30)へ配送する配送部として動作する請求項13、14、または15に記載の判定装置。
【請求項17】
前記の判定装置(10)が、さらに、サンプル情報、サンプル試験情報、サンプル試験要請情報、サンプル内容情報、患者統計情報を格納するためのデータベース(11)に接続された請求項13〜16のいずれかに記載の判定装置。
【請求項18】
前記のデータベース(11)が、判定装置(10)の基本部分である請求項17記載の判定装置。
【請求項19】
前記の判定装置(10)が、現状分析データを、別のサンプル関連情報と随意に組み合わせられるよう構成された請求項13〜18のいずれかに記載の判定装置。
【請求項20】
実験環境内における少なくとも1つのサンプルに対しての複数の試験回数の要請に関係する情報を管理する方法であって、その実験環境が、少なくとも1つの前分析装置(20)と、少なくとも1つの分析装置(30)と、判定装置(10)とを具備し、前記の方法が、
A.サンプルと受け取る工程と、
B.そのサンプルを少なくとも1つの前分析装置(20)へ伝送する工程と、
C.そのサンプルを特定して、サンプル基準に割り当てる工程と、
D.それら少なくとも1つの前分析装置(20)と少なくとも1つの分析装置(30)とのダイナミック適合可能な調整相互動作により、サンプル基準に従ったサンプルを処理する工程と、
E.その処理報告を少なくとも1つのホスト装置(200)へ送る工程とを備え、前記の少なくとも1つの前分析装置(20)と少なくとも1つの分析装置(30)とのあいだの調整は、判定装置(10)が、それぞれの装置間の通信における中間媒体コーディネータとして動作することにより管理され、かつ、前記の報告は、判定装置(10)が、少なくとも1つのホスト装置(200)に関係する統合前端として動作することにより作成される方法。
【請求項21】
さらに、少なくとも1つのホスト装置(200)から、サンプルID、および、サンプル試験要請情報とサンプル関連情報を伴ったサンプル試験要請からなるサンプル基準を受け取る工程を備える請求項20記載の方法。
【請求項22】
さらに、前分析装置(20)によるスキャン操作を行い、そのサンプルスキャン情報を判定装置(10)へ送る工程(C1)を備える請求項20または21記載の方法。
【請求項23】
前記の処理が、回帰的作業手順にて行われる請求項20〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記の工程(D)が、
D1.サンプルを分類および/または分別し、そのサンプルを所定の目標体に挿入して、前分析装置(20)によりサンプル基準を処理する工程と、
D2.分類および/または分別したサンプルを分析装置(30)に入力する工程と、
D3.判定装置(10)から分析装置(30)へダウンロードされたサンプル試験要請情報とサンプル関連情報を備えたサンプル基準にしたがって、分析装置(30)による複数の試験回数のうちの少なくとも1回の試験を実行する工程と、
D4.その試験結果を、分析装置(30)から判定装置(10)へアップロードする工程と、
D5.アップロードされた試験結果に基づいて、判定装置(10)におけるサンプル基準を更新する工程と、
D6.予め決められた停止規準が履行されるまで、前記の工程の少なくともいくつかを繰り返す工程とを備える、請求項23記載の方法。
【請求項25】
さらに、前記の予め決められた停止規準が履行された場合、特に、試験要請が全部完了した場合に、保管トレイにサンプルを分類する工程を備える請求項20〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記の少なくとも1つのホスト装置(200)へ送られた報告が、試験結果および/またはサンプル基準状況を備える請求項20〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記のサンプル基準状況を報告する工程が、周期的に行われる請求項26記載の方法。
【請求項28】
さらに、得られた試験結果を対応サンプルと照合する工程を備える請求項20〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記の工程の少なくともいくつかが、自動的に、特にロボット装置により実行される請求項20〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記のサンプルIDが、バーコードに表示される、請求項21〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記の基準が、バッチモードまたは問い合わせモードのいずれかで、少なくとも1つサンプルの分析装置(30)へダウンロードされる請求項20〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
複数のサンプルが試験される請求項20〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
コンピュータプログラムが格納されたコンピュータプログラム製品であって、そのコンピュータプログラムが、コンピュータで作動するとき、特に、請求項13〜19のいずれかに記載の判定装置内に搭載されたコンピュータで作動するとき請求項20〜32のいずれかに記載の方法を実行するのに適したプログラムコードと共にコンピュータプログラムが格納されたコンピュータプログラム製品。
【請求項34】
コンピュータプログラムであって、そのコンピュータプログラムが、コンピュータで作動するとき、特に、請求項13〜19のいずれかに記載の判定装置内に搭載されたコンピュータで作動するとき請求項20〜32のいずれかに記載の方法を実行するのに適したプログラムコードを備えたコンピュータプログラム。
【請求項35】
コンピュータプログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能媒体であって、そのコンピュータプログラムが、コンピュータプログラムがコンピュータで作動するとき、特に、請求項13〜19のいずれかに記載の判定装置内に搭載されたコンピュータで作動するとき請求項20〜32のいずれかに記載の方法を実行するのに適したプログラムコードを具備するコンピュータ読み取り可能媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2009−539077(P2009−539077A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512462(P2009−512462)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004581
【国際公開番号】WO2007/137750
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】