説明

害虫及び小動物捕獲シート

【課題】従来技術の捕虫シートであると、ビニタイでの結束が必要であったり、取付状態が何かにぶら下げて垂直状態で使用するしかなく限定された使用方法しかないという課題があった。
【解決手段】少なくとも一方の面に粘着剤を塗布した湾曲自在な長尺シート1a、1bからなり、長尺シート1a、1bの長手方向の一方の端部に3つ以上の孔2a、2bを空け、シート短手方向に並ぶ両側2つの孔2a、2a間に曲線部を有して連通するように形成された第1切り込み3と、第1切り込み3によって形成される挿入部4と、長尺シート1の長手方向の他方の端部に1つの孔5を空けるとともに、シート短手方向に設けた第2切り込み6とを有し、挿入部4は、長尺シート1を湾曲させて第2切り込み6へ挿入して係止可能な形状である害虫及び小動物捕獲シートによって解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハウス栽培等における野菜類、花卉類の栽培時や、野外の果実用樹木類の栽培における新芽発生時に付着するアブラムシ、コナジラミ、スリップス、ハモグリバエ、ヨコバエ等の害虫及び野ねずみ等の小動物、又家屋、飲食店舗などにおいてハエやゴキブリ等の害虫及び家ねずみ等の小動物を捕獲する害虫及び小動物捕獲シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年ハウス栽培の野菜類、花卉類の栽培では無農薬、減農薬という栽培方法によって、定植後に若芽が伸長し始めるときに、その若い芽や葉にアブラムシ、コナジラミ、スリップス、ハモグリバエ、ヨコバエ等の害虫が付着して大発生する場合がある。同様に果実用樹木類の栽培、特に無農薬、減農薬の栽培方法でもアブラムシやヨコバエなどの害虫が発生する場合がある。
【0003】
このような状態を防ぐ為に栽培農家は、栽培ハウスや栽培果樹園に多数の捕虫用シートを吊り下げたりして害虫を接着させて捕虫することが知られていた。
【0004】
このような栽培ハウスや、栽培果樹園に設置する捕虫シートとしては、ほぼ長方形の合成樹脂シートからなり両面又は片面に捕虫用接着剤を塗布し、長方形の一端近傍に孔を空け、その孔に紐状体であるビニタイを通して、ビニタイによって栽培ハウス内の適宜高さの水平状ポールなどにぶら下げることによって設置していた(従来技術1)。
【0005】
又、図8に示すようにほぼ長方形の合成樹脂シートからなり両面又は片面に捕虫用接着剤を塗布し、長方形の一端近傍に2つの孔100、100を開け、その2つの孔100、100を連通する曲線状のカット101を設けている捕虫シート(従来技術2)が知られていた。従来技術2に開示されている捕虫シートは、曲線状のカット101に設置されている水平状のポール102等に引っ掛けて、水平状のポール102を2つの孔100、100に導く作用をしている。また、従来技術2の捕虫シートは、フックや紐等に引っ掛けて吊す場合の孔103が、長手方向の両端部に設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術1のような捕虫シートであると、高い場所にビニタイ(ビニル樹脂等で形成される紐状体)で一つ一つ結束する必要があり、長時間の作業が困難である課題があった。特に高齢者の比率が高い農作業者にとっては作業を長時間続けることは困難であった。
【0007】
また、従来技術2のような捕虫シートでも、ビニタイは必要ないためシートを水平状ポール102等に取り付ける作業時間は短縮されるが、取付場所は水平状ポール102や、シート長手方向の両端部に中央に設けられるどちらかの孔103に引っ掛けるフックや鉤状体に限定される課題があった。また。従来技術2の捕虫シートは、取付状態が従来技術1と同じで何かにぶら下げて垂直状態で使用するしかなく限定された使用方法しかないという課題があった。
【0008】
また、栽培ハウスなどにおいて、作物が初期段階の苗木状態のときは苗床に近い場所に捕獲シートを設置する方が効率よく害虫を捕獲でき望ましいが、従来技術1や従来技術2では、土の表面に設置しにくく作業が難しい課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、少なくとも一方の面に粘着剤を塗布した湾曲自在な長尺シートからなり、
長尺シートの長手方向の一方の端部に3つ以上の孔を空け、シート短手方向に並ぶ両側2つの孔間に曲線部を有して連通するように形成された第1切り込みと、
第1切り込みによって形成される挿入部と、
長尺シートの長手方向の他方の端部に1つの孔を空けるとともに、シート短手方向に設けた第2切り込みとを有し、
挿入部は、長尺シートを湾曲させて第2切り込みへ挿入して係止可能な形状であることを特徴とする害虫及び小動物捕獲シートを提案する。
【0010】
また、長尺シートが、両面に粘着剤を塗布した長尺シートである0009欄に記載の害虫及び小動物捕獲シートを提案する。
【0011】
更に、長尺シートが、片面に粘着剤を塗布し、その裏面はシリコン樹脂処理をした面からなる長尺シートである0009欄に記載の害虫及び小動物捕獲シートを提案する。
【0012】
更に又、長尺シートが、挿入部を長尺シートを湾曲させて第2切り込みへ挿入して係止した状態のとき、一方の端部の真ん中の孔と他方の端部の1つの孔が合致するような位置に設けられた0009欄又は0010欄又は0011欄に記載の害虫及び小動物捕獲シートを提案する。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、一枚の粘着剤シートによって、吊り下げ状態で使用したり、垂直状ポールに長手方向の両端部に設けられた孔を通して「帆掛け」状態で使用したりすることができるとともに、長尺シートを湾曲して挿入部を第2切り込みへ挿入して係止した形状(以下ドーム型という)で使用することができるため、使用場所、使用状態を従来と比べ多様化することができる効果がある。
【0014】
この発明は、ドーム型形状とすることによって、従来はビニタイを使わない場合、孔が細いワイヤーや紐にしか入らないため使用出来なかったが、太いポールや枝、支柱などに掛けることができる。
【0015】
また、栽培ハウスなどにおける使用について、作物が初期段階の苗木状態のときは苗床に近い場所に捕獲シートを設置する方が望ましいが、この発明では図3に示すようにドーム型とし長辺を上下として立てて土の表面に直に置いて使用することが出来るため、効率よく害虫を捕獲できる。
【0016】
更に、図6及び図7に示すように害虫及び小動物捕獲シートを長手方向へ2枚以上連結してドーム型や吊り下げ型として使用出来るため、ドーム型の大きさを容易に変えることが出来、野ねずみなどの小動物用の捕獲シートとして様々な場所に適応できる。
【0017】
片面のみ粘着剤が着いているシートの場合、例えば内周面のみに粘着剤があるようにすると外周面には粘着シートがないので人が触っても着かないため、図3や図4の状態で人の出入りの多い場所や通行があるところなどに置くことが出来る。更に内周面のみに粘着剤があり外周面には粘着シートがないドーム型を図5のようにして置くと高さを隙間に合わせて凹ませることができ、幅の違う様々な隙間に挟み込んで、ゴキブリ捕獲用に使用することが出来る。
【0018】
また、片面のみ粘着剤が着いているシートの場合、虫の種類や数を調査する調査用に使用した後、従来は粘着面にラップ等の保護フィルムを被せて個々のシートを管理していたが、この発明のように裏面がシリコン樹脂処理をした面であると、そのまま重ねて持ち帰ることができるため調査作業が従来と比べ迅速に行える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施の形態である害虫及び小動物捕獲シートの正面図
【図2】この発明の実施の形態である害虫及び小動物捕獲シートをドーム型として組み立てる途中の斜視図
【図3】この発明の実施の形態である害虫及び小動物捕獲シート1枚を使用してドーム型とした使用形態を示す斜視図
【図4】同じくこの発明の実施の形態である害虫及び小動物捕獲シート1枚を使用してドーム型とし置き方が別の使用形態を示す斜視図
【図5】同じくこの発明の実施の形態である害虫及び小動物捕獲シート1枚を使用してドーム型とし置き方が別の使用形態を示す斜視図
【図6】この発明の実施の形態である害虫及び小動物捕獲シート2枚を使用してドーム型とした使用形態を示す斜視図
【図7】この発明の実施の形態である害虫及び小動物捕獲シート2枚を使用して吊り下げ型とした使用形態を示す斜視図
【図8】従来技術2である捕虫シートの正面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施の形態である害虫及び小動物捕獲シートについて、図1乃至図7に基づいて説明する。
【0021】
この発明の実施の形態である害虫及び小動物捕獲シートは、少なくとも一方の面に粘着剤を塗布した湾曲自在な長尺シート1からなる。長尺シート1は、厚さ1mm以下程度であり、シリコン樹脂等の素材からなり、両面に粘着剤を塗布した長尺シート1a、及び片面に粘着剤を塗布し、その裏面はシリコン樹脂処理をした面からなる長尺シート1bの2つの実施形態がある。
【0022】
長尺シート1は、長手方向の一方の端部に3つ以上、この実施形態では3つの孔2を空けており、シート短手方向に並ぶ両側2つの切り込み孔2a、2a、その間に中央孔2bが形成される。切り込み孔2a、2a間に連通し曲線部を有する長方形の3辺によって形成された第1切り込み3を切り込み孔2aから中央側に設ける。第1切り込み3は、両側2つの孔2a、2aに端部側から連通しており、第1切り込み2によって長尺シート1から舌状に折り曲げ可能な挿入部4が形成される。
【0023】
長尺シート1の長手方向の他方の端部の中央に1つの孔5を空けるとともに、シート短手方向に設けた第2切り込み6とを形成する。第2切り込み部6は、長尺シート1の長手方向の他方の端部の辺と平行な方向に形成された直線状の切り込みである。第2切り込み部6は、その直線の長さをおおよそ2つの切り込み孔2aと2aの間の距離と同じ長さに形成する。
【0024】
長尺シート1の両端部の中央に設ける中央孔2bと孔5は、挿入部4を長尺シート1を湾曲させて第2切り込み6へ挿入して係止した状態のとき、中央孔2bと孔5は合致するような位置に設けられている。
【0025】
長尺シート1の1つの面、又は両面には、調査用升目7を適宜、例えば1つの升が5cm×5cmになるように縦横の升目用直線7を設けておく。
【0026】
長尺シート1は、販売や搬送する場合、両面に粘着剤を塗布した長尺シート1aを数枚、例えば10枚積層させ、上下1枚ずつ片面に粘着剤を塗布し、その裏面はシリコン樹脂処理をした面からなる長尺シート1bを重ねて積層された上下面が粘着面でないようにする。
【0027】
この発明の実施の形態である害虫及び小動物捕獲シート1a、1bは、使用方法としてフックなどの中央孔2b又は孔5を引っ掛けることで吊り下げ型として使用することが出来る。また垂直状ポールや水平状ポールに、長手方向両端部の2つの孔である中央孔2b又は孔5を通すことによって帆掛け型として設置することも可能である。
【0028】
更に、図2に示すように挿入部4を長尺シート1a、1bを湾曲させて挿入部4を第2切り込み6へ挿入して係止させてドーム型として使用することができ、このドーム型では中央孔2bと孔5とが重なって合致し1つの孔となる。
【0029】
このドーム型の設置方法としては、図3に示すように長辺を上下として立てて土等の平面に置いて使用する場合、図4に示すように結合部分と逆側の湾曲面を下にして置いたり、合致した中央孔2bと孔5を枝やフックに吊り下げて使用する場合、図5に示すように片面で平面に置いたり隙間に置いたりして使用する場合がある。
【0030】
また、図6に示すように害虫及び小動物捕獲シートを長手方向へ2枚以上連結してドーム型として野外や栽培ハウスに立てて使用することも可能であり、図7に示すように長手方向に連結して長い捕獲シートとして使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は、ハウス栽培等に置ける野菜類、花卉類の栽培時や、野外の果実用樹木類の栽培における新芽発生時に付着するアブラムシ、コナジラミ、スリップス、ハモグリバエ、ヨコバエ等の害虫及び野ねずみ等の小動物、又家屋、飲食店舗などにおいてハエやゴキブリ等の害虫及び家ねずみ等の小動物を捕獲する害虫及び小動物捕獲シートとして利用される。
【符号の説明】
【0032】
1 長尺シート
1a 両面に粘着剤を塗布した長尺シート
1b片面に粘着剤を塗布し、その裏面はシリコン樹脂処理をした面からなる長尺シート
2a 切り込み孔
2b 中央孔
3 第1切り込み
4 挿入部
5 孔
6 第2切り込み
7 升目用直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の面に粘着剤を塗布した湾曲自在な長尺シートからなり、
長尺シートの長手方向の一方の端部に3つ以上の孔を空け、シート短手方向に並ぶ両側2つの孔間に曲線部を有して連通するように形成された第1切り込みと、
第1切り込みによって形成される挿入部と、
長尺シートの長手方向の他方の端部に1つの孔を空けるとともに、シート短手方向に設けた第2切り込みとを有し、
挿入部は、長尺シートを湾曲させて第2切り込みへ挿入して係止可能な形状であることを特徴とする害虫及び小動物捕獲シート。
【請求項2】
長尺シートが、両面に粘着剤を塗布した長尺シートである請求項1に記載の害虫及び小動物捕獲シート。
【請求項3】
長尺シートが、片面に粘着剤を塗布し、その裏面はシリコン樹脂処理をした面からなる長尺シートである請求項1に記載の害虫及び小動物捕獲シート。
【請求項4】
長尺シートが、挿入部を長尺シートを湾曲させて第2切り込みへ挿入して係止した状態のとき、一方の端部の真ん中の孔と他方の端部の1つの孔が合致するような位置に設けられた請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の害虫及び小動物捕獲シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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