説明

家庭暖房および温水用ボイラの二重管熱交換器

【課題】加熱水および温水の供給のためボイラ内の熱交換器の入口に、冷たい加熱水または冷水が導入されても水の凝結を防ぐことができる、加熱水および温水を供給するボイラのための二重管熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換には、燃焼室のバーナーから燃焼熱が加えられる複数の外管310a,310bと、それぞれが各外管内に挿入されている複数の内管320a,320bと、冷たい加熱水が導入される戻りの加熱水管52と、冷水が導入される冷水管70と、が含まれている。前記戻りの加熱水管および前記冷水管が、前記内管のうちの1つに接続されている。熱交換器300は、戻りの冷たい加熱水または冷水が最初に熱交換器の内管に導入され、充分に予熱され、熱交換器の外管に再び導入されるという構造を有し、これにより、戻りの冷たい加熱水または冷水が導入される熱交換器の入口周囲で水が凝結することを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱水および温水を供給するボイラのための二重管熱交換器に関し、さらに詳しくは、加熱水および温水の供給のためボイラ内の熱交換器の入口に、冷たい加熱水または冷水が導入されても水の凝結を防ぐことができる、加熱水および温水を供給するボイラのための二重管熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、家庭や公共の建物において室内を暖房するため、および温水を供給するためボイラは使用されてきた。一般に、ボイラは、油またはガスを燃料として使用し、バーナーを使用して燃料を燃焼する。そして、ボイラは、燃焼の過程において生成された燃焼熱を使用して水を加熱し、必要な場合に室内を暖房するためや温水を供給するため、加熱された水を循環させる。
【0003】
一般に、ボイラは、二重管熱交換器または単一管熱交換器を使用する。二重管熱交換器とは、温水熱交換管が加熱水熱交換器に挿入されているものを意味する。単一管熱交換器とは、温水熱交換器および加熱水熱交換器が別々に設置されているものを意味する。
【0004】
二重管熱交換器を有するボイラは、単一管熱交換器を有するボイラに比較して小型サイズに製造され得るので、ボイラの製造コストを削減することが可能である。さらに、ボイラは、高い熱効率を有する。
【0005】
図1は、二重管熱交換器を有する通常のボイラの構成を示す図である。
【0006】
通常のボイラにおいて、バーナー20が燃焼室10の下部に配置されている。熱交換器30は、バーナー20の上部に設置されている。従って、バーナー20から生成した熱エネルギーは、水が通常流れる管を含む熱交換器30に伝達される。
【0007】
室内を暖房する間、ボイラの膨張タンク40に蓄えられた水は、循環ポンプ60によって熱交換器30に流れる。その後、熱交換器30によって加熱された水は、加熱水供給管51を介して加熱水ライン50に流れることにより、室内を暖房し、戻り加熱水管52を介して順次循環し、その後膨張タンク40に戻る。
【0008】
二重管熱交換器を有する通常のボイラは、ユーザーが温水を使用するとき、バーナー20の燃焼熱が外管31を介して内管32に伝達されて迅速に温水を供給するように、加熱水ライン50が三方弁53で割り込まれるとして設計されてきた。
【0009】
一般に、ボイラの熱交換器30に導入される加熱水の温度が、バーナー20内での燃焼で生じた排気ガス中に含まれる水蒸気の露点よりも低い場合は、加熱水は凝結する。
【0010】
さらに、ボイラ用燃料に含まれるハイドロカーボンC2n+2が酸素Oと反応し、熱を放出しながら水蒸気HOおよび二酸化炭素COに変化する。そして、排気ガスは、排気ポートから外部に放出される。
【0011】
しかし排気ガスと混合した水蒸気が、冷水または戻りの加熱水が導入される入口管によって冷却されると、その温度が露点よりも下がり、水蒸気は液体状態の水HOへと変化する。このように凝結した水は、排気ガスに含まれる別の成分である二酸化硫黄SOに反応し、硫酸HSOへと変化し、熱交換器用の管の入口周囲に腐食を生じさせる。
【0012】
図2は、通常の二重管熱交換器の構成を示す断面図である。
【0013】
本明細書に添付の図2に示すように、通常の二重管熱交換器において、凝結は熱交換器の入口31aに集中的に生じ、戻りの冷たい加熱水が熱交換器の入口周囲の管の腐食を生じさせる。従って、熱交換器とボイラの寿命が短くなるという課題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、先行技術で生じている上述の課題を解決するために本発明はなされ、加熱水と温水を供給するボイラのための二重管熱交換器を提供することが本発明の目的であり、これにより、加熱水と温水を供給するボイラ内の熱交換器の入口に、冷たい加熱水または冷水が導入されても凝結水の生成を防ぐことができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的を達成するため、加熱水と温水を供給するボイラのための二重管熱交換器が提供され、これには、燃焼室のバーナーから燃焼熱が加えられる複数の外管と、それぞれが各外管内に挿入されている複数の内管と、冷たい加熱水が導入される戻りの加熱水管と、冷水が導入される冷水管と、が含まれ、戻りの加熱水管および冷水管が、内管のうちの1つに接続されている。
【0016】
さらに、戻りの加熱水管に接続された内管が、増大する直径を有して、加熱水供給管に接続された外管に接続されており、冷水管に接続された内管が、増大する直径を有して、温水管に接続された外管に接続されている。
【0017】
さらに、戻りの加熱水管が、温水管を介して延びて1つの内管に接続されており、冷水管が、加熱水供給管を介して延びて別の内管に接続されている。
【0018】
さらに、戻りの加熱水管および冷水管が、並行して垂直に延びる内管にそれぞれ接続されており、流体経路キャップが燃焼室の側壁であって内管の両端をそれぞれカバーし、内管を流れている戻りの加熱水が集められた流体経路キャップの一端が、加熱水供給管に接続された外管に接続されており、冷水が集められた流体経路キャップの一端が、温水管に接続された外管に接続されている。
【0019】
さらに、外管および内管には、螺旋型管、コイル型管、およびフィン型管が含まれる。
【0020】
有利な効果
本発明に従った、加熱水と温水を供給するボイラのための二重管熱交換器は、戻りの冷たい加熱水または冷水が最初に熱交換器の内管に導入されて充分に予熱され、その後、外管に導入されるという構造を有する。従って、戻りの冷たい加熱水または冷水が導入される入口周囲での水蒸気の凝結を防ぐという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の先述または他の目的、特徴、および利点は、添付の図面とともに上記の詳細な説明からさらに明確になるであろう。
【図1】二重管熱交換器を有する通常のボイラの構成を示す図である。
【図2】二重管熱交換器を有する通常のボイラの構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に従った、加熱水と温水を供給するボイラのための二重管熱交換の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の別の実施形態に従った、加熱水と温水を供給するボイラのための二重管熱交換器の構成を示す断面図である。
【図5】本発明のさらに別の実施形態に従った、加熱水と温水を供給するボイラのための二重管熱交換器の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図3は、本発明の実施形態に従った、加熱水と温水を供給するボイラのための二重管熱交換器の構成を示す断面図である。
【0024】
本明細書に添付の図3に示すように、そのそれぞれに外管310および内管320が含まれる2つの二重管が、燃焼室に接続されている。本明細書に添付の図3に示すように、戻りの加熱水管52が、下部温水管71を介して延び、そして熱交換器300の内管320aに接続されている。内管320aは、温水管71に接続される外管310aとともに二重管を形成する。
【0025】
戻り加熱水管52に接続された内管320aは、延びてボイラの上部に配置された外管310bに接続されている。外管310bは加熱水管51に接続され、ここにおいて冷水管70に接続された内管320bが挿入されて二重管を形成している。この場合、下部温水管71に接続された外管310aは、内管320bに接続されており、これは徐々に小さくなる直径を有し、ボイラの上部に配置された冷水管70に接続されている。
【0026】
他方で、戻りの加熱水が熱交換器に導入される戻りの加熱水管52は、温水管71を介して延び、熱交換器300の内管320aに接続されている。さらに、冷水管70は、加熱水供給管51を介して延び、熱交換器300の別の内管320bに接続されている。
【0027】
このようにして、燃焼室の排気ガスがありながら、戻りの冷たい加熱水および冷水が流れる内管320aと320bの直接接続を回避することが可能である。戻りの冷たい加熱水は、内管320aを流れながら外管310aを流れる温水によって予熱されて、別の二重管の外管310bに流れる。このようにして、凝結水の生成を防ぐことが可能である。さらに、冷水は、内管320bを流れながら外管310bを流れる温水によって予熱されて、別の二重管の外管310aを流れる。このようにして、凝結水の生成を防ぐことができる。
【0028】
図4は、本発明の別の実施形態に従った、加熱水と温水を供給するボイラのための二重熱交換器の構成を示す断面図である。
【0029】
図4に示すように、1つの外管310aおよび並行して配置された2つの内管を含む二重管が、熱交換器の下部に設置されている。1つの外管310bおよび並行して配置された2つの内管を含む別の二重管が、冷水が導入される熱交換器の上部に設置されている。2つの二重管は、互いに積み重ねられている。この場合、並行して設置されている2つの内管320aおよび320bは、流体経路キャップ340および341によって互いに接続されている。この実施形態において、2つの内管320bは、熱交換器内に設けられている。しかし、ボイラの容量に応じて2つ以上の内管が熱交換器内に設置されてもよい。
【0030】
本明細書に添付の図4に示すように、戻りの冷たい加熱水が導入される戻りの加熱水管52は、熱交換器の下部で流体経路キャップ340aに接続されている。流体経路キャップ340aは、燃焼室の側壁に設置されており、並行して垂直に延びる2つの内管320aの端部をカバーする。
【0031】
内管320aは、内管320aを囲む外管を介して延びて、別のキャップ341aに接続されている。複数の内管320aを流れる戻りの加熱水のための流体経路は、流体経路キャップ341aに集められている。流体経路キャップ341aの上部端は、熱交換器の上部に設置された外管310bの下部端に接続されている。外管310bは加熱水供給管51に接続されている。
【0032】
さらに、冷水が導入される冷水管70は、熱交換器の側方で流体経路キャップ341bに接続されている。流体経路キャップ341bは、燃焼室の側壁に取り付けられ、並行して垂直に延びる2つの内管320bをカバーする。
【0033】
内管320bは、内管320bを囲う外管310bを介して延び、熱交換器の別の側に取り付けられた流体経路キャップ340bに接続されている。複数の内管320bを流れる冷水の流体経路は、流体経路キャップ340bに集められている。流体経路キャップ340bの下部端は、熱交換器の下部端に設置された外管310aの上部端に接続されている。外管310aは、温水管71に接続されている。
【0034】
上述の構造の本発明の実施形態によれば、戻りの加熱水管52に導入された戻りの冷たい加熱水は、流体経路キャップ340aによって互いに並行に接続された2つの内管320aを流れ、内管320aを囲う外管310aを流れる温水によって予熱される。そして、戻りの冷たい加熱水は、熱交換器の上部に配置された外管310bを流れる。このようにして、凝結水の生成を防ぐことができる。
【0035】
さらに、冷水管70に導入された冷水は、流体経路キャップ341bによって互いに並行に接続された2つの内管を流れ、内管320bを囲う外管310b内に流れる温水によって予熱される。そして、冷水は、熱交換器の下部に配置された外管310aを流れる。このようにして、水が凝結することを防ぐことができる。
【0036】
さらに、燃焼室の外部に取り付けられている流体経路キャップ340および341は、複数の二重管が配置されている熱交換器の接続管として使用されているので、熱交換器は、二重管の簡単な構造を有することができる。二重管の経路は、簡単に変更することができる。
【0037】
図5は、本発明の実施形態に従った、加熱水と温水を供給するボイラのための二重管熱交換器の構成を示す別の断面図である。
【0038】
図5に示すように、二重管熱交換器は、図4に示す二重管熱交換器と同様の構造を有するが、図4に示す二重管熱交換器と異なる点があり、それぞれ外管310および内管320を含む二重管の3つのバンドルが、互いに3列で積み重ねられている。
【0039】
本明細書に添付の図5に示すように、戻りの冷たい加熱水が導入される戻りの加熱水管52、および冷水が導入される冷水管70が、熱交換器内で並行して配置された内管320aおよび320bによって互いに接続されている。
【0040】
従って、戻りの冷たい加熱水は、内管320aを流れ、外管310aを流れる温水によって予熱される。そして、戻りの冷たい加熱水は、流体経路キャップ341aを介して外管310bへ流れる。冷水は、最上部の管束の内管320bを流れ、内管320bを囲う外管310bを流れる温水によって予熱される。そして、冷水は、最下部の管束の外管310aを流れる。このようにして、水が凝結することを防ぐことが可能である。
【0041】
好ましくは、外管および内管310および320には、排気ガスとの接触面積を増やすことで熱交換器の熱伝達能力を高めるため、螺旋型管、コイル型管、およびフィン型管が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、戻りの冷たい加熱水または冷水が最初に熱交換器の内管に導入され、充分に予熱され、熱交換器の外管に再び導入されるという構造を有し、これにより、戻りの冷たい加熱水または冷水が導入される熱交換器の入口周囲で水が凝結することを防ぐ、加熱水および温水を供給するボイラのための二重管熱交換器を提供する。
【0043】
本発明の好適な実施形態を説明の目的で記載してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲に開示された発明の範囲と精神から逸脱することなく、多様な改変、追加、置換が可能であることを理解するであろう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱水および温水を供給するボイラのための二重管熱交換器であって、
第1及び第2の二重管と、前記加熱水を供給する加熱水供給管と、冷めた戻りの加熱水が導入される戻りの加熱水管と、冷水が導入される冷水管と、前記温水を供給する温水管と、前記ボイラの燃焼室の側壁に設置された第1乃至第4の流体経路キャップとを備え、
前記第1及び第2の二重管が、それぞれ、前記燃焼室のバーナーから燃焼熱が加えられる1本の外管と、前記外管に挿入され互いに平行に配置された複数本の内管とを含み、
前記第1の二重管の前記内管は、一端が前記第1の流体経路キャップを介して前記戻りの加熱水管に接続され、他端が前記第2の流体経路キャップを介して前記第2の二重管の前記外管に接続され、
前記第2の二重管の前記内管は、一端が前記第3の流体経路キャップを介して前記冷水管に接続され、他端が前記第4の流体経路キャップを介して前記第1の二重管の前記外管に接続され、
前記第1の二重管の前記外管が前記温水管に接続され、前記第2の二重管の前記外管が前記加熱水供給管に接続されている、二重管熱交換器。
【請求項2】
前記外管および内管には、螺旋型管、コイル型管、およびフィン型管が含まれる、請求項1記載の二重管熱交換器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−211759(P2012−211759A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−118355(P2012−118355)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【分割の表示】特願2008−542219(P2008−542219)の分割
【原出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(508151390)キョントン エバロン カンパニー リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】Kyungdong Everon Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】233, Donsan−ri, Angseong−myeon, Chungju−si, Chungcheongbuk−do380−863, Republic of Korea
【Fターム(参考)】