説明

家庭用薄葉紙収納箱

【課題】簡素な構造で薄葉紙を収納し、収納物を容易に封止することができる家庭用薄葉紙収納箱を提供する。
【解決手段】ティシューカートンは、上面部の側端縁から延出された上面側フラップ5bと、底面部の側端縁から延出された底面側フラップ5aと、一対の側面部の側端縁からそれぞれ延出された側面側フラップ5cと、を備える。妻面部5は、上面側フラップ5b、底面側フラップ5a及び一対の側面側フラップ5cが重畳するようにそれぞれ折り曲げることにより形成される。上面側フラップ5b及び底面側フラップ5aの少なくとも何れかに、その端部から基部に向けて所定形状に切り込まれた切込9,10を設けて係止部を形成する。係止部を側面側フラップ5cの内側面に係止させることにより、上面側フラップ5b、底面側フラップ5a及び側面側フラップ5cが互いに係合されて取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用薄葉紙収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層され、或いはロール状に巻回された家庭用薄葉紙を内部に収容し、上面部などに設けられた開口部から内部に収容された家庭用薄葉紙を取り出して使用する家庭用薄葉紙収納箱が知られている。
【0003】
このような家庭用薄葉紙収納箱として、例えば、衛生用紙の束を収納し得る内部空間が形成された箱状をなす衛生用紙収納用カートンにおいて、上面、底面、及び一対の側面のそれぞれの端縁から延出された4つのロック式フラップを備え、その4つのロック式フラップが内側に折り曲げられ、重なり合う状態で係合されることによって妻面が形成される衛生用紙収納用カートンがある(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、略立方形に形成された収納箱本体において、上面の開口縁部に、その一側部に延長突片が延設された2つの被係合片と、その上部両側部に係合凹部が形成された1つの係合片と、蓋体と、を延設し、2つの被係合片及び係合片間に形成される取出し口を蓋装することができるように構成された衛生用紙の組立式収納箱がある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−127065号公報
【特許文献2】特開2009−173293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献の何れも、衛生用紙の収納を容易にし、また、詰め替えを可能としているが、衛生用紙を収納した後、内部空間を封止するためのフラップの形状が複雑であり、衛生用紙収納用カートンや収納箱を形成するためのカートンブランクの製造コストがかかってしまう。
【0007】
本発明の課題は、簡素な構造で薄葉紙を収納し、収納物を容易に封止することができる家庭用薄葉紙収納箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、上面部、底面部、一対の側面部及び一対の妻面部により区画されて内部空間を形成し、該内部空間に家庭用薄葉紙を収納して取出口から該家庭用薄葉紙を取り出し可能な家庭用薄葉紙収納箱において、
前記上面部の側端縁から延出された上面側フラップと、
前記底面部の側端縁から延出された底面側フラップと、
前記一対の側面部の側端縁からそれぞれ延出された側面側フラップと、
を備え、
前記上面側フラップ、前記底面側フラップ及び前記一対の側面側フラップが重畳するようそれぞれ折り曲げることにより前記妻面部を形成し、
前記上面側フラップ及び前記底面側フラップの少なくとも何れかに、その端部から基部に向けて所定形状に切り込まれた切込部を設けて係止部を形成し、
該係止部を前記側面側フラップの内側面に係止させることにより、前記上面側フラップ、前記底面側フラップ及び前記側面側フラップが互いに係合されて取り付けられることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記切込部は、前記妻面部を形成したときに、基端部が前記側面側フラップの端部と重なる位置から内側であるとともに、一部が少なくとも前記側面側フラップと重畳するように形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記切込部は、直線状に切り込まれていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記上面側フラップ及び前記底面側フラップの少なくとも何れかに前記係止部を2つ設け、
前記一対の側面側フラップの内側面にそれぞれ前記係止部を係止させて、前記上面側フラップ、前記底面側フラップ及び前記側面側フラップが取り付けられることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記係止部は、前記上面側フラップ及び前記底面側フラップのそれぞれに設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記上面側フラップと前記底面側フラップは、前記妻面部を形成したときに、端部が互いに重畳されるように、基部から端部までの長さが設定され、
前記妻面部は、前記一対の側面側フラップを互いに端部が対向するように折り曲げた後に、前記上面側フラップ及び前記底面側フラップを、それぞれ前記側面側フラップの外側面に重畳するように折り曲げることにより形成されることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記上面側フラップ及び前記底面側フラップは、何れか一方が前記内部空間側に位置する内側フラップであり、他方が前記内側フラップの外側に位置する外側フラップであって、
前記内側フラップには、端部から基部に向けて形成され、前記妻面部を形成したときに、一部が前記外側フラップに重畳されるとともに一部が外側に露出され、ミシン目により形成された破断用切込線に囲まれて分離可能に形成された破断部が備えられ、
前記破断部の前記外側フラップに重畳される位置と前記外側フラップの内側面とを貼着して前記妻面部を形成し、
前記破断部を破断により分離すると、該破断部が前記外側フラップに貼着されたまま、前記内部空間が開放されることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記切込部はミシン目により形成され、該ミシン目を破断することにより前記係止部が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、切込部を設けて係止部を形成することにより内部空間を簡単に封止することができるので、家庭用薄葉紙収納箱の製造コストの低減が図れるようになる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、係止部を押し込んで係止部が内側に折曲変形した後、係止部が復元して側面側フラップに係止されるので、家庭用薄葉紙収納箱の封止をより容易に行わせることが可能となる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、切込部の加工が容易であり、家庭用薄葉紙収納箱の製造コストがより低減される。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、上面側フラップ、底面側フラップ及び側面側フラップを安定して取り付けることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、上面側フラップ及び底面側フラップをそれぞれ側面側フラップに対して安定して取り付けることができるようになる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、妻面部の強度を高めることができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、妻面部の強度を高めることができるとともに、品質の低下を抑制できる。そして、妻面部を容易に解体することができるので、家庭用薄葉紙の詰め替え作業が容易となる。また、妻面部を容易に解体することができるので、再利用しない場合の家庭用薄葉紙収納箱の処理において容易に取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態にかかるティシューカートンの一例を示す斜視図である。
【図2】ティシューカートンを展開した表面の展開図である。
【図3】ティシューカートンを展開した裏面の展開図である。
【図4】ティシューカートンの側面図である。
【図5】ティシューカートンの妻面部を解体したときの状態を示す斜視図である。
【図6】ティシューカートンを再利用するための手順を説明する図である。
【図7】ティシューカートンを再利用するための手順を説明する図である。
【図8】ティシューカートンを再利用するための手順を説明する図である。
【図9】ティシューカートンを再利用するための手順を説明する図である。
【図10】ティシューカートンを再利用するための手順を説明する図である。
【図11】ティシューカートンを再利用するための手順を説明する図である。
【図12】妻面部を構成する各フラップの他の例を示す図である。
【図13】ティシューカートンの他の形態における再利用のための手順について説明する図である。
【図14】ティシューカートンの他の形態における再利用のための手順について説明する図である。
【図15】ティシューカートンの他の形態における再利用のための手順について説明する図である。
【図16】切込の他の形態について説明する図である。
【図17】切込の他の形態について説明する図である。
【図18】切込の他の形態について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態に係る家庭用薄葉紙収納箱について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
本発明の実施の形態では、家庭用薄葉紙収納箱として、家庭用薄葉紙としてのティシューペーパーを収納する、ティシューカートンを例示して説明を行う。
【0025】
本実施の形態に係るティシューカートン1は、例えば、図1〜図4に示すように、上面部2、底面部3、一対の側面部4,4、及び、一対の妻面部5,5により区画された箱体により構成されている。このティシューカートン1は、図2及び図3に示す紙製のカートンブランク1aを折り曲げることにより形成されるものである。このティシューカートン1の内部空間には、積層されたティシューペーパーTが収納されており、上面部2に形成された取出口2aからティシューペーパーTを外部へ取り出すことができるようになっている。なお、カートンブランク1aは、紙製に限らず、樹脂によって形成されてもよい。
【0026】
ここで、「箱体」とは、ティシューペーパーTを収納し得る内部空間が形成される形状のものであり、例えば、直方体状、立方体状等の六面体状のものを挙げることができる。例えば、図1は、ティシューカートン1を直方体状に構成した例である。
六面体の形状では、上面部2と底面部3、一対の側面部4,4及び一対の妻面部5,5がそれぞれ対向するように平行に配置される。なお、これらの形状において、二つの面の稜線部分を面取りしたもの等も「箱体」に含まれるものとする。
【0027】
上面部2には、図3に示すように、取出口2aを覆うように裏面側からスリット8aを有する樹脂製のフィルム8が貼着されている。フィルム8は、上面部2裏面の取出口2a周囲に塗布された接着剤8bにより、スリット8aが取出口2aに臨むように上面部2に対して貼着される。そして、ティシューペーパーTは、このスリット8aを通して外部に取り出されることとなる。なお、フィルム8の材質は、ポリエチレンやポリプロピレンが採用されるが、これらに限定されない。また、取出口2aは、上面部2に設けられたミシン目を切って、上面部2の一部を切り取ることにより形成される。
【0028】
また、図2及び図3に示すように、上面部2、底面部3及び側面部4,4は、それぞれ略長方形状に形成され、折り曲げ可能に連接されている。そして、底面部3の長手端縁には、側面部4の長手端縁と連結するための台形状の糊代部3aが折曲線3bにて折り曲げ可能に連接されている。このように形成されたカートンブランク1aは、上面部2、底面部3及び側面部4,4をそれぞれ折曲するとともに、糊代部3aを折曲して底面部3と連接していない側の側面部4の裏面の長手端縁に糊付けして底面部3と側面部4とを連結することにより、筒状に形成される。
【0029】
また、上面部2、底面部3及び一対の側面部4,4の両側端縁から、それぞれ、上面側フラップ5b、底面側フラップ5a、側面側フラップ5cが延出され、それぞれ、折曲部13,14,15にて内側に折り曲げ可能に連接されている。そして、側面側フラップ5cを、対向配置される側面側フラップ5cの端部が対向するように、それぞれ内側に折曲し、次に、底面側フラップ5aを折曲して、側面側フラップ5cの外面側に設けられた接着部G1によって側面側フラップ5cに貼着する。そして、上面側フラップ5bの裏面(内側面)端部が底面側フラップ5aの外面端部に重畳するように、上面側フラップ5bを折曲し、底面側フラップ5aに対して取り付ける。ここで、上面側フラップ5bの裏面端部の所定部位には接着部G2,G3が設けられており、上面側フラップ5bが底面側フラップ5aに対して貼着されることとなる。
このようにして、上面側フラップ5b、底面側フラップ5a及び一対の側面側フラップ5cが重畳するように取り付けられることにより、図1及び図4に示されるような妻面部5が形成されるようになっている。
【0030】
底面側フラップ5aの端部の略中央には破断部12が設けられ、その外周がミシン目からなる破断用切込線7により形成されて底面側フラップ5aと分離可能に構成されている。この破断部12は、底面側フラップ5aの端部から基部に向けて矩形状に延びた糊代部12aと、その糊代部12aの略中央から底面側フラップ5aの基部に向けて延びた半円、楕円あるいは蒲鉾形状の押圧部6によって構成され、糊代部12aと押圧部6の境界部分には、ミシン目からなる折曲用切込線11が形成されている。この折曲用切込線11は、切込部分の間隔が破断用切込線7よりも大きくなっており、折り曲げを容易にするが破断困難とする構成となっている。なお、折曲用切込線11を設けない構成としてもよく、また、折曲用切込線11に代えて折曲線を形成するようにしてもよい。糊代部12aは、上述のようにして、底面側フラップ5aに対して上面側フラップ5bが重畳されると、接着部G2により上面側フラップ5bの内側面に貼着される。押圧部6は、妻面部5が形成された状態においては、図1及び図4に示すように、上面側フラップ5bに被覆されることなく、外側に露出される。
【0031】
本実施の形態におけるティシューカートン1は、工場出荷時には、積層された複数のティシューペーパーTを内部空間に収納し、上述のようにして各フラップを貼着して妻面部5を形成して内部空間を封緘することにより、側面部の強度を高め、ティシューカートン1の輸送や店頭での陳列時において、外部からの力によってティシューペーパーTがティシューカートン1より脱出することを防止している。
【0032】
ここで、従来は、ティシューカートンに収納されたティシューペーパーが全て取り出されると、その使用済みのティシューカートンは、たとえ使用状態が良好であったとしても、廃棄され、あるいは、リサイクルのために処理されており、不経済であった。
そこで、本実施の形態では、以下のように構成してティシューペーパーを詰め替え可能とし、ティシューカートン1を再利用できるように構成している。
【0033】
すなわち、本実施の形態において、底面側フラップ5aの破断部12の両側には、図2及び図3に示すように、それぞれ、底面側フラップ5aの端部から基部の中央に向けて直線状に切り込まれた一対の切込9が形成されている。この一対の切込9は、底面側フラップ5aの長手方向に対してそれぞれ所定角度傾斜させて形成されており、ハ字状をなしている。そして、切込9を形成することにより、底面側フラップ5aの切込9よりも中央側には、後述するように、側面側フラップ5cの内側面端部に係止するための係止部9aが形成される。
なお、破断部12の形状は上述したものに限定されず、任意の形状とすることが可能であるが、設計を容易にするため、切込9よりも内側に形成されるのが好ましい。
【0034】
上面側フラップ5bには、その端部から基部中央に向けて直線状に切り込まれた一対の切込10が形成されている。この一対の切込10は、上面側フラップ5bの長手方向に対して所定角度傾斜されて形成されており、ハ字状をなしている。そして、切込10を形成することにより、上面側フラップ5bの切込10よりも中央側には、後述するように、側面側フラップ5cの裏面端部に係止するための係止部10aが形成される。
【0035】
ここで、一対の切込9の間隔及び一対の切込10の間隔は、図4に示されるようになっている。すなわち、一対の切込9,10の基端部の間隔X1は、一対の側面側フラップ5cによって形成される間隙Lよりも小さい。なお、一対の切込9,10の基端部の間隔X1は間隙Lと同一であってもよい。また、本実施の形態では、一対の切込9の基端部の間隔と、一対の切込10の基端部の間隔を同一にしたが、異なるものであってもよい。
一方、一対の切込9,10の基端部とは反対側の端部である先端部の間隔X2は、間隙Lよりも大きい。なお、本実施の形態では、一対の切込9の先端部の間隔と、一対の切込10の先端部の間隔を同一にしたが、異なるものであってもよい。
本実施の形態では、以上のようにして切込9,10の間隔が設定されているため、後述するように、係止部9a,10aがそれぞれ側面側フラップ5cの内側面端部に係止可能となっている。
【0036】
以上のように構成されたティシューカートン1の妻面部5の解体手順について説明する。
先ず、図1に示される状態のティシューカートン1の一対の妻面部5に設けられた押圧部6のうちの少なくとも何れかに対し、指などによってティシューカートン1の内部空間の方向に圧力をかけると、破断用切込線7のうちの押圧部6を囲む部分が破断され、押圧部6が、折曲用切込線11を支軸として内部空間方向に回動し、底面側フラップ5aに指穴が形成される。なお、押圧部6の大きさは任意に設定することができるが、後述するように、ティシューカートン1を再利用したときに、開口部分ができるだけ小さくなるようにするため、指穴が形成されたときに、指を挿入するのに必要最小限の大きさとなるように設定するのが好ましい。
そして、この指穴に指などを挿入し、上面側フラップ5bの内側面から外側方向に圧力をかけると、破断用切込線7の全てが破断されて破断部12が底面側フラップ5aから完全に分離し、この破断部12が上面側フラップ5bに貼着された状態で、上面側フラップ5bが、折曲線14を支軸として外側方向に回動され、内部空間の一部が開放される。
【0037】
そして、側面側フラップ5cに対して貼着された底面側フラップ5aを側面側フラップ5cから分離し、底面側フラップ5a及び側面側フラップ5cを、それぞれ折曲部14,15を支軸としてそれぞれ外側方向に回動させると、図5に示すように、妻面部5が解体されてティシューカートン1の内部空間が完全に開放される。
【0038】
以上のようにして妻面部5が解体されたティシューカートン1に対して詰め替え用のティシューペーパーT等を収納し、ティシューカートン1を再利用するための手順について図6〜図11を参照しながら説明する。なお、図6〜図11は、図5において矢印Aにて示す方向からティシューカートン1を見た側面図である。また、説明を容易にするため、図6〜図11において、側面側フラップ5cをパターンにより塗りつぶして表している。
【0039】
先ず、ティシューカートン1の内部空間に詰め替え用のティシューペーパーTを収納した後、図6に示す状態において、一対の側面側フラップ5cを折曲部15を支軸としてそれぞれ内側に折曲し、図7に示すように、一対の側面側フラップ5cの端部をそれぞれ対向させる。
【0040】
次に、底面側フラップ5aを、折曲部14を支軸として内側に折曲し、図8に示すように、側面側フラップ5cに重畳させる。
その状態で、係止部9aを指などによって押圧すると、切込9により係止部9aの端部が底面側フラップ5aから分離され、係止部9aが撓曲されながら、側面側フラップ5cの内側への回動動作の作用と相俟って、係止部9aが側面側フラップ5cの端部を乗り越え、側面側フラップ5cよりも内部空間側に進入する。そして、係止部9aへの押圧を解除すると、側面側フラップ5cの復元力により側面側フラップ5cが外側方向に回動するとともに、撓曲によって変形されていた係止部9aが復元し、図9に示すように、係止部9aの外面が側面側フラップ5cの内側面に係止されて側面側フラップ5cが底面側フラップ5aによって挟持されることにより、底面側フラップ5aが側面側フラップ5cに対して取り付けられる。
【0041】
同様に、上面側フラップ5bを、折曲部13を支軸として内側に折曲し、図10に示すように、上面側フラップ5bの裏面端部を底面側フラップ5aの外面端部に重畳させる。
その状態で、係止部10aを指などによって押圧すると、切込10により係止部10aの端部が上面側フラップ5bから分離され、係止部10aが撓曲されながら、側面側フラップ5cの内側への回動動作の作用と相俟って、係止部10aが側面側フラップ5cの端部を乗り越え、側面側フラップ5cよりも内部空間側に進入する。そして、係止部10aへの押圧を解除すると、側面側フラップ5cの復元力により側面側フラップ5cが外側方向に回動するとともに、撓曲によって変形されていた係止部10aが復元し、図11に示すように、係止部10aの外面が側面側フラップ5cの内側面あるいは側面側フラップ5cに係止された係止部9aの内側面に係止されて側面側フラップ5cが上面側フラップ5bによって挟持されることにより、上面側フラップ5bが側面側フラップ5cに対して取り付けられる。
【0042】
以上のようにして、妻面部5が再度形成され、内部空間に収納された詰め替え用のティシューペーパーTが封止される。なお、ティシューカートン1を再利用し、その後損傷等して、再利用できなくなった場合には、底面側フラップ5a、上面側フラップ5b及び側面側フラップ5cをそれぞれ外側方向に引っ張ることにより、少しの力で妻面部5を容易に解体させることができる。そして、妻面部5を解体させた後、ティシューカートン1を平面状に展開することにより、ティシューカートン1の嵩を減らして廃棄やリサイクル処理を行うことができるので、取り扱いが容易となる。
なお、ティシューカートン1を再利用することなく廃棄等する場合には、上述のようにして妻面部5を解体させた後、同様にして平面状に展開させることにより、容易に処理可能とすることができる。
【0043】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、ティシューカートン1は、上面部2の側端縁から延出された上面側フラップ5bと、底面部3の側端縁から延出された底面側フラップ5aと、一対の側面部4の側端縁からそれぞれ延出された側面側フラップ5cと、を備える。そして、妻面部5は、上面側フラップ5b、底面側フラップ5a及び一対の側面側フラップ5cが重畳するようにそれぞれ折り曲げることにより形成される。そして、上面側フラップ5b及び底面側フラップ5aの少なくとも何れかに、その端部から基部に向けて所定形状に切り込まれた切込9,10を設けて係止部9a,10aを形成する。そして、係止部9a,10aを側面側フラップ5cの内側面に係止させることにより、上面側フラップ5b、底面側フラップ5a及び側面側フラップ5cが互いに係合されて取り付けられる。その結果、切込を設けて係止部を形成することにより内部空間を簡単に封止することができるので、ティシューカートンの製造コストの低減が図れるようになる。
【0044】
また、本発明の実施の形態によれば、切込9,10は、妻面部5を形成したときに、基端部が側面側フラップ5cの端部と重なる位置から内側であるとともに、一部が少なくとも側面側フラップ5cと重畳するように形成されているので、係止部を押し込んで係止部が内側に折曲変形した後、係止部が復元して側面側フラップに係止されるので、ティシューカートンの封止をより容易に行わせることが可能となる。
【0045】
また、本発明の実施の形態によれば、切込9,10は、直線状に切り込まれているので、切込の加工が容易であり、ティシューカートンの製造コストがより低減される。
【0046】
また、本発明の実施の形態によれば、上面側フラップ5b及び底面側フラップ5aの少なくとも何れかに係止部9a,10aを2つ設ける。そして、一対の側面側フラップ5cの内側面にそれぞれ係止部9a,10aを係止させて、上面側フラップ5b、底面側フラップ5a及び側面側フラップ5cが取り付けられる。その結果、上面側フラップ、底面側フラップ及び側面側フラップを安定して取り付けることができる。
【0047】
また、本発明の実施の形態によれば、係止部9a,10aは、上面側フラップ5b及び底面側フラップ5aのそれぞれに設けられるので、上面側フラップ及び底面側フラップをそれぞれ側面側フラップに対して安定して取り付けることができるようになる。
【0048】
また、本発明の実施の形態によれば、上面側フラップ5bと底面側フラップ5aは、妻面部5を形成したときに、端部が互いに重畳されるように、基部から端部までの長さが設定されている。そして、妻面部5は、一対の側面側フラップ5cを互いに端部が対向するように折り曲げた後に、上面側フラップ5b及び底面側フラップ5aを、それぞれ側面側フラップ5cの外側面に重畳するように折り曲げることにより形成される。その結果、妻面部の強度を高めることができる。
【0049】
また、本発明の実施の形態によれば、底面側フラップ5aには、端部から基部に向けて形成され、妻面部5を形成したときに、一部が上面側フラップ5bに重畳されるとともに一部が外側に露出され、ミシン目により形成された破断用切込線7に囲まれて分離可能に形成された破断部12が備えられている。そして、破断部12の上面側フラップ5bに重畳される位置と上面側フラップの内側面とを貼着して妻面部5を形成する。そして、破断部12を破断により分離すると、破断部12が上面側フラップ5bに貼着されたまま、内部空間が開放される。その結果、妻面部の強度を高めることができ、例えば、工場出荷から消費者の手に渡るまでの間において、ティシューカートンの輸送及び店頭への陳列時等において妻面部に外部から強い力が加えられた場合に、内部空間からティシューペーパーが容易に脱出するのを防止でき、品質の低下を抑制する。そして、妻面部を容易に解体することができるので、ティシューペーパーの詰め替え作業が容易となる。また、妻面部を容易に解体することができるので、再利用しない場合のティシューカートンの処理において容易に取り扱うことができる。
【0050】
なお、本発明の実施の形態における記述は、本発明に係る家庭用薄葉紙収納箱の一例であり、これに限定されるものではない。家庭用薄葉紙収納箱を構成する各部の細部構成に関しても適宜変更可能である。
【0051】
また、本実施の形態では、工場出荷時において、上面側フラップ5b、底面側フラップ5a及び側面側フラップ5cが接着部G1〜G3によって互いに貼着されることにより妻面部5を構成するようにしたが、貼着を行わず、工場出荷時において、係止部9a,10aを側面側フラップ5cに係止させて上面側フラップ5b及び底面側フラップ5aを側面側フラップ5cに取り付けて妻面部5を形成し、その状態で出荷されるようにしてもよい。このようにすれば、接着材料の使用を低減させ、また、簡素な設備にてティシューカートンを製造することができ、製造コストを低減させることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、家庭用薄葉紙収納箱に収納する家庭用薄葉紙の例としてティシューペーパーTを挙げたが、他の家庭用薄葉紙であってもよく、例えば、ペーパータオル、キッチンペーパー、トイレットペーパー等のロール状シートを適用してもよい。
【0053】
また、本実施の形態では、底面側フラップ5aを内側フラップとし、上面側フラップ5bを外側フラップとして、底面側フラップ5aの外側面に上面側フラップ5bを重畳させて妻面部5を形成するようにしたが、上面側フラップ5bの外側面に底面側フラップ5aを重畳させるようにしてもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、上面側フラップ5bと底面側フラップ5aの端部を互いに重畳するように取り付けて妻面部5を形成するようにしたが、例えば、図12に示すように、上面側フラップ50bと底面側フラップ50aとを重畳させず、端部を突き合わるようにし、上述したようにして係止部を側面側フラップ5cにそれぞれ係止させて上面側フラップ50bと底面側フラップ50aとを取り付け、妻面部5を形成するようにしてもよい。
【0055】
また、本実施の形態では、上面側フラップ5bと底面側フラップ5aにそれぞれ一対の切込9,10を設けるようにしたが、上面側フラップ5b及び底面側フラップ5aの何れか一方のみ設けても妻面部5を形成することができる。例えば、上面側フラップ5bのみに切込10を設けた場合には、係止部10aを側面側フラップ5cに係止させ、上面側フラップ5bにて側面側フラップ5cを底面側フラップ5aの端部とともに挟持することにより、各フラップの取り付けを行うことができる。
【0056】
また、本実施の形態では、上面側フラップ5bと底面側フラップ5aにそれぞれ一対の切込9,10を設けるようにしたが、切込9,10を一対としない形態としても妻面部5を形成することができる。例えば、図13に示すように、切込21を、上面側フラップ51bの破断部12の左側のみに配置した場合には、以下のようにして各フラップを取り付けることにより妻面部5を形成することができる。すなわち、上面側フラップ51b、底面側フラップ51a及び側面側フラップ5cを、図13に示すように、I〜IVの順に各フラップを折曲すると図14に示すようになる。そして、図15に示すようにして、係止部21aを側面側フラップ5cの内側面に係止することにより、上面側フラップ51bが底面側フラップ51a及び側面側フラップ5cの外側への動きを抑制するように係止されて妻面部5が形成される。
【0057】
また、本実施の形態において、切込9,10を、図16に示すように、ミシン目によって形成し、再利用する際にミシン目22,23を破断して切込が形成されるように構成するようにしてもよい。これにより、係止部の先端が損傷する等の不具合が抑制でき、取り扱いが容易となる。
【0058】
また、切込の形状は、本実施の形態のように直線としたものに限らず、妻面部5を形成したときに、基端部が側面側フラップ5cの端部と重なる位置から内側であるとともに、一部が少なくとも側面側フラップ5cと重畳するように形成されるものであれば、適宜設定することができ、例えば、図17及び図18に示されるような形状を採用することができる。なお、以下の説明では、底面側フラップに構成された切込を示して説明するが、上面側フラップについても同様の構成とすることができることは言うまでもない。
例えば、図17(A)に示すように、切込24を、その先端部が側面側フラップ5cに重畳し、基端部を側面側フラップ5cの端部と重なる位置又はそれよりも内側まで延ばしたL字状に形成するようにし、これにより係止部24aを形成するようにしてもよい。また、図17(B)に示すように、上述したL字状の切込において、角をR状に形成して切込25を形成し、これにより係止部25aを形成するようにしてもよい。
また、図17(C)に示すように、切込26を、その先端部が側面側フラップ5cの端部と重合し、底面側フラップ55aの長手方向に対して垂直方向に延ばした後、底面側フラップ55aの長手方向外側に向けてコ字状に形成して、基端部を側面側フラップ5cの端部と重なる位置又はそれよりも内側まで延ばした形状とし、これにより係止部26aを形成するようにしてもよい。また、図17(D)に示すように、上述したコ字状に形成された部分を円弧状にして切込27を形成し、これにより係止部27aを形成するようにしてもよい。
【0059】
また、図18(A)に示すように、切込28を、その先端部が側面側フラップ5cに重畳し、外側を中心とした円弧状に形成して、基端部を側面側フラップ5cの端部と重なる位置又はそれよりも内側まで延ばしたものとし、これにより係止部28aを形成するようにしてもよい。
また、図18(B)に示すように、切込29を、その先端部が側面側フラップ5cの端部と重合し、内側を中心とした円弧状に形成した後、底面側フラップ58aの中央に向けて長手方向に延ばし、基端部を側面側フラップ5cの端部と重なる位置又はそれよりも内側となるように形成し、これにより係止部29aを形成するようにしてもよい。
また、図18(C)に示すように、切込30を、その先端部が側面側フラップ5cの端部と重合し、外側に幅広となる三角形状として、基端部を側面側フラップ5cの端部と重なる位置又はそれよりも内側となるように形成し、これにより係止部30aを形成するようにしてもよい。また、図18(D)に示すように、上述した三角形状のうちの一辺を、外側を中心とした円弧状にして切込31を形成し、これにより係止部31aを形成するようにしてもよい。
【0060】
なお、図17(C)(D)及び図18(B)(C)(D)に示す例において、切込の先端部を側面側フラップ5cの端部と重合する位置よりもずれた位置としてもよい。
【符号の説明】
【0061】
T ティシューペーパー(家庭用薄葉紙)
1 ティシューカートン(家庭用薄葉紙収納箱)
2 上面部
3 底面部
4 側面部
5 妻面部
5a 底面側フラップ(内側フラップ)
5b 上面側フラップ(外側フラップ)
5c 側面側フラップ
6 押圧部
7 破断用切込線
9 切込(切込部)
10 切込(切込部)
10a 係止部
12 破断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面部、底面部、一対の側面部及び一対の妻面部により区画されて内部空間を形成し、該内部空間に家庭用薄葉紙を収納して取出口から該家庭用薄葉紙を取り出し可能な家庭用薄葉紙収納箱において、
前記上面部の側端縁から延出された上面側フラップと、
前記底面部の側端縁から延出された底面側フラップと、
前記一対の側面部の側端縁からそれぞれ延出された側面側フラップと、
を備え、
前記上面側フラップ、前記底面側フラップ及び前記一対の側面側フラップが重畳するようそれぞれ折り曲げることにより前記妻面部を形成し、
前記上面側フラップ及び前記底面側フラップの少なくとも何れかに、その端部から基部に向けて所定形状に切り込まれた切込部を設けて係止部を形成し、
該係止部を前記側面側フラップの内側面に係止させることにより、前記上面側フラップ、前記底面側フラップ及び前記側面側フラップが互いに係合されて取り付けられることを特徴とする家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項2】
前記切込部は、前記妻面部を形成したときに、基端部が前記側面側フラップの端部と重なる位置から内側であるとともに、一部が少なくとも前記側面側フラップと重畳するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項3】
前記切込部は、直線状に切り込まれていることを特徴とする請求項2に記載の家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項4】
前記上面側フラップ及び前記底面側フラップの少なくとも何れかに前記係止部を2つ設け、
前記一対の側面側フラップの内側面にそれぞれ前記係止部を係止させて、前記上面側フラップ、前記底面側フラップ及び前記側面側フラップが取り付けられることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項5】
前記係止部は、前記上面側フラップ及び前記底面側フラップのそれぞれに設けられることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項6】
前記上面側フラップと前記底面側フラップは、前記妻面部を形成したときに、端部が互いに重畳されるように、基部から端部までの長さが設定され、
前記妻面部は、前記一対の側面側フラップを互いに端部が対向するように折り曲げた後に、前記上面側フラップ及び前記底面側フラップを、それぞれ前記側面側フラップの外側面に重畳するように折り曲げることにより形成されることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項7】
前記上面側フラップ及び前記底面側フラップは、何れか一方が前記内部空間側に位置する内側フラップであり、他方が前記内側フラップの外側に位置する外側フラップであって、
前記内側フラップには、端部から基部に向けて形成され、前記妻面部を形成したときに、一部が前記外側フラップに重畳されるとともに一部が外側に露出され、ミシン目により形成された破断用切込線に囲まれて分離可能に形成された破断部が備えられ、
前記破断部の前記外側フラップに重畳される位置と前記外側フラップの内側面とを貼着して前記妻面部を形成し、
前記破断部を破断により分離すると、該破断部が前記外側フラップに貼着されたまま、前記内部空間が開放されることを特徴とする請求項6に記載の家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項8】
前記切込部はミシン目により形成され、該ミシン目を破断することにより前記係止部が形成されることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−76744(P2012−76744A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220681(P2010−220681)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】