説明

家畜用飼料及びその製造方法

【課題】廃棄処分される味噌や醤油粕を利用した家畜用飼料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】調味料製造工程において発生する残渣、および出荷後に残留する調味料を使用して製造される家畜用飼料であって、調味料である醤油製造時に発生する醤油粕と、製造後出荷され残留した味噌とを所定の重量比で混合し、自然乾燥する。尚、醤油粕に対する前記味噌の混合重量比は0.01〜200%が望ましく、さらに食品加工残渣である水分含有野菜が混合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜用飼料に関し、とくに牛や豚などの家畜の飼料として良好な風味と味とを備える家畜用飼料に関するものである
【背景技術】
【0002】
従来より、食品廃棄物を利用した家畜用の飼料が数多く提案されている。例えば醤油製造工程で大量に発生する
醤油粕は高蛋白質で粗脂肪の含有量が多く、また塩分濃度が高いことから、良質な家畜用飼料として利用されている(特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、醤油粕には独特の臭いが有り、また塩分濃度が高いことから、配合飼料に添加する場合には、その使用量に制限があった。
【0004】
また、同じく調味料である味噌を利用する技術として、可食固形物から成る担持基材に対して、利用期限を経過した再利用対象食品を混合し、この再利用対象食品を前記担持基材に担持さえ、更にこれを乾燥させて成る飼料もある(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−306861号公報
【特許文献1】特開2009−136166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている飼料は、製造に多額の経費が係るものであり、中小の企業では大きな負担となるものであった。
【0007】
また、特許文献2に記載された技術は、担持基材としてコーンコブやパンの破砕物が必要となり、しかも利用期限を経過した調味料を利用するために、各種の殺菌工程を必要とするという欠点があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、醤油製造工程で発生する醤油粕と、製品の出荷後に返品された調味料である味噌を混合することによって、簡易な作業で家畜用飼料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため本発明の家畜用飼料及びその製造方法は、調味料製造工程において発生する残渣、および出荷後に残留する調味料を使用して製造される家畜用飼料であって、醤油製造時に発生する醤油粕と、製造後出荷され残留した味噌とを所定の重量比で混合し、自然乾燥したことを第1の特徴とする。
【0010】
また、前記醤油粕に対する前記味噌の混合重量比は0.01〜200%であることを第2の特徴とする。
【0011】
さらに、前記家畜用飼料に、さらに食品加工残渣である水分含有野菜を混合することを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る家畜用飼料によれば、産業廃棄物として大量に処分されていた、醤油粕や出荷後に残留する味噌を所定の比率で混合することで、簡易に飼料を製造できるという優れた効果を有する。
【0013】
また、醤油粕に対する前記味噌の混合重量比は0.01〜200%で混合することで味噌に含まれる水分を醤油粕に吸着させることが可能となり、配合飼料などへの添加作業が容易であるという優れた効果を有する。
【0014】
さらに、食品加工残渣である水分含有野菜が利用できるため、廃棄資源の有効活用ができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る家畜用飼料の製造工程の一実施例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に示す実施例に基づいて説明するが、本発明が本実施例に限定されないことは言うまでもない。図1は本発明に係る家畜用飼料の製造工程の一実施例を示すフロー図である。
【実施例】
【0017】
図1は本発明の家畜用飼料の製造工程を示すフロー図である。まず醤油製造工程で発生した醤油粕と、スーパーやデパートから返品となった味噌を用意し、攪拌装置に適宜の比率で投入する(S1)。
【0018】
この際、醤油粕の水分量は30%、味噌の水分量は45%であり、醤油粕に対する味噌の混合重量比を、10%、100%の二種で調節した。
【0019】
次に、攪拌装置を稼動させて、5〜10分間攪拌する(S2)。
【0020】
攪拌装置は、加熱させる必要は無いが、短時間で攪拌を終了させるためには、適度の加熱を行なうことが望ましい。尚、攪拌後の水分量は、それぞれ31.4%、37.5%の水分量となった。
【0021】
次に、攪拌装置内において自然乾燥を行い(S3)、家畜用飼料を排出する(S4)。
【0022】
上記の製造工程で作成された家畜用飼料は、醤油粕と味噌とが適度に混合されたサラサラの状態の家畜用飼料となり、牛などの家畜用配合飼料への添加作業が容易となった。
【0023】
また、高蛋白質で粗脂肪の含有量が多く、また塩分濃度が高い醤油粕や味噌を利用しており、牛の配合飼料への添加物としてしたところ、牛の食いつきが改善され食欲が向上した。
【0024】
尚、本実施例においては、醤油粕と味噌とを混合して家畜用飼料を製造する工程を説明したが、キャベツなどの水分含有野菜を予め添加しても良く、混合する比率は適宜選択される。
【0025】
以上、本発明による家畜用飼料及びその製造方法によれば、醤油製造時に発生する醤油粕と、製造後出荷され残留した味噌とを醤油粕に対する前記味噌の混合重量比は0.01〜200%で混合して形成したため、水分量を適度に調節することが可能となり、サラサラの状態の家畜用飼料が得られ、牛などの家畜用飼料として有効に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調味料製造工程において発生する残渣、および出荷後に残留する調味料を使用して製造される家畜用飼料であって、調味料である醤油の製造時に発生する醤油粕と、製造後出荷され残留した味噌とを所定の重量比で混合し、自然乾燥したことを特徴とする家畜用飼料。
【請求項2】
前記醤油粕に対する前記味噌の混合重量比は0.01〜200%であることを特徴とする請求項1記載の家畜用飼料。
【請求項3】
前記家畜用飼料に、さらに食品加工残渣である水分含有野菜を混合することを特徴とする請求項1に記載の家畜用飼料。
【請求項4】
調味料製造工程において発生する残渣と、出荷後に残留する調味料とを使用する家畜用飼料の製造方法であって、調味料である醤油製造時に発生する醤油粕と、製造後出荷され残留した味噌とを、攪拌装置に前記醤油粕に対する前記味噌の混合重量比を0.01〜200%で投入し、所定の時間攪拌することを特徴とする家畜用飼料の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−30518(P2011−30518A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181149(P2009−181149)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(509222501)株式会社都城調味社 (1)
【Fターム(参考)】