説明

容器の固定設置構造並びにこれに用いる固定具

【課題】 ウェットティッシュ等の容器を固定するための構成を比較的低廉なコストで提供でき、且つ使用の都度、ウェットティッシュの容器を移動設置する場合であっても、その操作が極めて簡単に行うことのできるようにした新規な容器の固定設置構造並びにこれに用いる固定具の開発を試みたものである。
【解決手段】 本発明の固定設置構造は、容器1を所望の設置部P に固定設置する構造であって、固定具本体20が容器1に外嵌された状態において、容器1を平滑な設置部Pに設置した場合には、吸盤作用により容器1を固定する、一方固定具本体20の外周部の一部を設置部Pから剥がすことにより、前記吸盤作用を解除するように構成されていることを特徴として成るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば容器に収納されているウェットティッシュ等を取り出し易くするための、容器の固定構造、並びに固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば容器入りのウェットティッシュは、ロール巻状に連続したウェットティッシュロールを弱化線から切り離しながら容器から取り出し、単葉状のウェットティッシュとして使用されている。
具体的には、容器上部にウェットティッシュの取出スリットが設けられ、ここからウェットティッシュの一端を摘んで引き出すと、取出スリットにより実質的に形成されている喰込フラップの引き出し抵抗作用により、弱化線でウェットティッシュが分断され、単葉毎に取り出せるように構成されている。
【0003】
このような構成に因み、ウェットティッシュの単葉毎の取り出し操作は、一方の手で容器を保持した上で、他の一方の手でウェットティッシュの一端を摘み出すものであり、必ず両手操作が要求される。このような両手操作は、当然ながら煩わしいものであると共に、使用者の身体状況によっては片手操作を余儀なくされている場合もあり、このような使用者にとっては、取り出し操作そのものが行い得ない状態となっている。このため従来から容器を固定して、片手操作によって、ウェットティッシュの取り出しが行えるようなアイデアが提案されている(特許文献1、特許文献2)。
しかしながら、いずれも実際に市場へ提供するにあたっての製品コスト等を勘案すると、現実性がなく、加えて設置位置を状況に応じて変更することが簡単にできるようにする点については、殆んど考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3057544号公報
【特許文献2】実用新案登録第3150979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これらの種々の背景を考慮してなされたものであって、ウェットティッシュ等の容器を固定するための構成を比較的低廉なコストで提供でき、且つ使用の都度、ウェットティッシュの容器を移動設置する場合であっても、その操作を極めて簡単に行うことができるようにした、新規な容器の固定設置構造並びにこれに用いる固定具の開発を試みたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の固定設置構造は、容器と固定具との組み合わせにより、容器を所望の設置部に固定設置する構造であって、容器は、その固定端部側に鍔状に圧着状態に外嵌めされる固定具本体を具え、この固定具本体は柔軟な適宜の弾性を有する平板状の素材で構成され、固定具本体が、容器に外嵌された状態において、固定具本体の外周側は設置部側に弾性的張り出し傾向を有し、且つ容器を平滑な設置部に設置した場合には、固定具本体は、前記弾性的張り出し傾向により設置部に対し、吸盤作用により容器を固定する、一方固定具本体の外周部の一部を設置部から剥がすことにより、前記吸盤作用を解除するように構成されていることを特徴として成るものである。
【0007】
請求項2記載の容器の固定設置に用いる固定具は、始発状態でほぼ平板上の固定具本体を有し、この固定具本体は、十分な柔軟な弾性を有する素材で構成され、且つ固定する容器の外周形状より小さい形状の容器嵌込孔を有することを特徴として成るものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シンプルな固定具によりコスト上昇を伴わず、且つ固定にあたっては強固な吸盤効果により十分な固定が図られ、一方設置場所を変更するにあたっては、固定具の一部を固定状態において摘み上げる操作だけで、簡単に吸盤作用を解除でき、設置場所の変更を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明の容器の固定設置構造を用いた固定具の使用状態を示す斜視図である。
【図2】同上分解斜視図である。
【図3】同上使用状態を示した縦断側面図である。
【図4】本願発明の容器の固定設置構造を用いた固定具を容器への取り付け方法を示す説明図並びに固定具が取り付けられた容器の設置部に対する着脱状態を示した説明図である。
【図5】本願発明の容器の固定設置に用いる固定具により水平面以外の設置部に固定している状態を示す斜視図である。
【図6】本願発明の容器の固定設置に用いる固定具に関する他の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態は、以下述べる実施例をその一つとするものであると共に、この技術思想に基づく種々の改良した実施例も含むものである。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。
本発明は、容器1に対し固定具2を組み合わせて、適宜の設置部Pに固定するものである。
まず、容器1について説明する。このものは、大別すると容器本体10と、その上部に取り付けられる蓋本体15とを具えてなる。容器本体10は、一例として図1、図2、図3に示す実施例においては、有底円筒状の本体胴部11に対し、その底部寄りに本体底部12が一体形成されるとともに反対側の上方部位を本体上部13とする。そして容器本体10の内部がウェットティッシュWの収納部14となる。
【0012】
なお、ここでウェットティッシュWについて説明すると、このものは一例として長尺の素材がロール状に形成されて収納されているものであり、このロール状のものをウェットティッシュロールWRとして示す。そしてウェットティッシュロールWRは、短寸のスリットからなる弱化線WSを有し、この弱化線WSから切り離されてウェットティッシュ単葉WLが引き出されるものである。そして、収納部14に対しては、ウェットティッシュWは、ウェットティッシュロールWRの状態で巻芯方向を上下方向に配置して収納されおり、ウェットティッシュロールWRの中心からウェットティッシュ単葉WLが引き出されてゆくように収納されている。
【0013】
更に本体底部12は、その下方に底部段差12Aを具え、本体胴部11より本体底部12側の径を幾分か太くしている。一方本体上部13は、その下方寄りに蓋当たり段差13Aを具え、その上方に本体オネジ部13Bを具え、更にその上縁を本体開口部13Cとする。そしてこの本体開口部13Cは、流通段階においてウェットティッシュWに含ませたアルコール分が放散してしまうことを防ぐために、開口部シートフィルム13Sが貼り付けられている。
【0014】
次に蓋本体15について説明する。この蓋本体15の主要部は、図2、図3に示すように容器本体10にねじ込まれる部分である蓋胴部16と、この蓋胴部16と一体で上面を覆う蓋天板17と、更に蓋天板17に一体に設けられている取出蓋18と、蓋天板17のほぼ中央に形成される取出部19とである。
蓋胴部16は、その内側に前記本体オネジ部13Bと噛み合う蓋メネジ16Aが形成されている。一方蓋天板17は、その上部に取出蓋収まり部17Aが凹陥形成されている。また、この取出蓋18は、ヒンジ18Aにおいて蓋本体15の蓋天板17と回動自在に接続され、ヒンジ18Aと反対側の自由端側を開放用の指掛け端部18Bとする。このヒンジ18Aは、側面視で蓋天板17の上面より僅かに突出している。そして、取出蓋18は、円環状の外シールリブ18Cをその内側(下面)に形成している。
更に取出部19は、前記ウェットティッシュWを実質的に引き出す引き出しスリット19Aを中央部に具えるものであり、一例としてこの引き出しスリット19Aは、平面視十字状に形成されている。このような引き出しスリット19Aの形成により、実質的に喰込フラップ19Bがその間に形成される。更に、引き出しスリット19Aを囲むように内シールリブ19Cが設けられ、この内シールリブ19Cに対し、前記取出蓋18における外シールリブ18Cが蓋閉め状態において外周側に弾性的に被せられるようにして密着する。
【0015】
このような容器に対して固定具2が組み合わされるものであって、固定具2は、ゴム系発泡体、エラストマー樹脂発泡体、シリコンゴム等の素材を適用した、始発状態でほぼ平板状の固定具本体20により構成されている。
この固定具本体20は、固定する容器1の外周形状の直径寸法D1 より小さい直径寸法D2 の容器嵌込孔21が中央に具えられ、その外縁近くの範囲を外周部22とするものである。
【0016】
これら容器1と固定具2とが組み合わされて容器1の設置構造が形成される。具体的には、図4(a)に示すように例えば容器1の上方から固定具2を当てがい容器嵌込孔21内に容器1を嵌め込みながら、固定本体20を容器1の本体底部12側にずらすようにして組み付ける。この組付状態は、図2に示すように固定具本体20の容器嵌込孔21が容器1における本体胴部11の直径よりも十分に小径のものであるから、弾性的に変形し断面視L字状に変形するような固定具2が容器1に組み付けられる。しかしながらこのとき固定具本体20の有する弾性により、自由状態にあっては図3、図4(a)(b)に示すように固定具本体20の外周部22の位置は、容器1の本体底部より設置部側に張り出し寸法Hだけ張り出す傾向を有しており、いわば傘状と表現されるような形状を呈している。
【0017】
このような構成が容器1と固定具2との組み合わせ形態であり、このものは次のように固定されて用いられる。
まず使用開始にあたっては、常法に従い開口部シートフィルム13Sを除去するとともに、容器本体10の収納部14に収められているウェットティッシュロールWRの中心からウェットティッシュWの一端を取り出す。このウェットティッシュWの一端を蓋本体15における取出部19の引き出しスリット19Aから外側に引き出すようにした上で、容器本体10に対し、蓋本体15をねじ込み取り付ける。なお、以後の使用にあたっては、容器1を安定させた状態で、最初の引き出し準備をしたウェットティッシュWの一端を引き出すようにしてウェットティッシュ単葉WL毎に使用する。ウェットティッシュ単葉WLが得られるのは、ウェットティッシュロールWRに対し、一定間隔ごとに弱化線WSが形成されており、ウェットティッシュWは、喰込フラップ19Bの抵抗を受けて弱化線WSで切り離されることによる。
【0018】
このウェットティッシュ単葉を取り出すとき、従来ウェットティッシュWの引き出し操作をする手と反対の手で容器1を保持するのであるが、本発明にあっては、容器1を比較的平滑な設置部Pに載置するだけで容器1の安定が図られており、片手操作によるウェットティッシュ単葉WLの取り出しが可能である。即ち、容器1が安定設置される作用について説明すると図4に示すように、まず容器1に対し、固定具2が組み付けられた状態にあっては、固定具本体20は、始発状態ではその外周部22が容器1の本体底部12の下面より幾分か(張り出し寸法Hの寸法分)下方にフランジ状に弾性的に張り出している。
次いでこれを平滑な設置部Pに置くときには、図4(b)(c)に示すように固定具2の外周部22が、まず設置部Pに触れ、容器1の置く操作に従い始発空間S0が押し縮められるような状態となり、吸盤作用を奏する負圧空間S1が現出するような状態となる。
従って、容器1を上方並びに斜めに傾けるような作用が加わった場合でも、固定具2によるいわば吸盤作用により容器1が設置部Pに固定状態に設置された状態を維持する。
【0019】
このような状態で固定具2によって容器1を設置部Pに安定させた後は、図1に示すように先に述べたような常法に従ってウェットティッシュWの取り出し操作が行い得る。即ち、まずウェットティッシュWの取り出しに先立ち、取出蓋18を開放させる作業を、指掛け端部18Bに指を掛けて取出蓋18をヒンジ18Aを支点に上方に開放させるようにして行うが、この操作と、これに続くウェットティッシュWを摘んでウェットティッシュ単葉WL毎に取り出す作業とは、固定具2の吸盤作用による容器1の固定により、片手で操作することができる。
【0020】
一方このようなウェットティッシュLの容器1の設置位置を変えて、他の場所で使いたい場合は、図4(d)に示すように固定具2の固定具本体20の外周部22を単に摘み上げるようにする。この操作により、図4(d)(e)に示すように負圧空間S1に対し、外気が導入され、吸盤作用による固定状態が一気に解除される。これにより容器1は、固定具2を伴ったまま当初の設置部Pから離れ、別の場所に移して、同様の操作で固定して用いることができる。
なお上記実施例では、容器1を平面状の設置部Pに設置したが、図5に示すようにデスク側面等に用いても十分な固定強度を発揮することが確認できている。
【0021】
〔他の実施の形態〕
本発明は以上述べた実施の形態を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
まず容器1については、円筒状のものを例示して説明したが、円筒状のものに限らず、固定具2の形状、物性により負圧空間S1を維持することができるのであれば角筒状のものであっても差し支えない。
【0022】
また図6に示すように固定具2については、幼児等に常に手あるいは身体を拭くなどの衛生的な習慣を身に付けさせるため、ウェットティッシュWを使うことに対して興味を示すよう工夫したものである。具体的にはその形態を、例えば動物の顔を描いたデザインとしたり、あるいは容器1との組み合わせることにより、より興味を引くようなデザインとするものである。因みに図6に示す実施例の場合、動物の耳を模した部位が突出しており、ここを摘むことにより、固定具2の吸盤作用による固定が解除し易くなり、容器1の移設が行い易い。
【0023】
また本実施例においては、ウェットティッシュW用の容器1を用いて説明したが、これ以外の容器1にも適用することも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 容器
10 容器本体
11 本体胴部
12 本体底部
12A 底部段差
13 本体上部
13A 蓋当たり段差
13B 本体オネジ部
13C 本体開口部
13S 開口部シートフィルム
14 収納部
15 蓋本体
16 蓋胴部
16A 蓋メネジ
17 蓋天板
17A 取出蓋収まり部
18 取出蓋
18A ヒンジ
18B 指掛け端部
18C 外シールリブ
19 取出部
19A 引き出しスリット
19B 喰込フラップ
19C 内シールリブ

2 固定具
20 固定具本体
21 容器嵌込孔
22 外周部

1 直径寸法(外周側)
2 直径寸法(内周側)
S0 始発空間
S1 負圧空間

W ウェットティッシュ
WR ウェットティッシュロール
WL ウェットティッシュ単葉
WS 弱化線
H 張り出し寸法
P 設置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と固定具との組み合わせにより、容器を所望の設置部に固定設置する構造であって、容器は、その固定端部側に鍔状に圧着状態に外嵌めされる固定具本体を具え、この固定具本体は柔軟な適宜の弾性を有する平板状の素材で構成され、固定具本体が、容器に外嵌された状態において、固定具本体の外周側は設置部側に弾性的張り出し傾向を有し、且つ容器を平滑な設置部に設置した場合には、固定具本体は、前記弾性的張り出し傾向により設置部に対し、吸盤作用により容器を固定する一方、固定具本体の外周部の一部を設置部から剥がすことにより、前記吸盤作用を解除するように構成されている
ことを特徴とする容器の固定設置構造。
【請求項2】
始発状態でほぼ平板上の固定具本体を有し、この固定具本体は、十分な柔軟な弾性を有する素材で構成され、且つ固定する容器の外周形状より小さい形状の容器嵌込孔を有することを特徴とする容器の固定設置に用いる固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−131915(P2011−131915A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293150(P2009−293150)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(500066539)株式会社コーヨー化成 (6)
【Fターム(参考)】