説明

容器の蓋

【課題】持ち運ぶ際にも内容物が漏れ出すことがない容器の蓋を提供すること。
【解決手段】天面部12の呑み口14の反対側に、容器側壁に沿って上昇する内容液およびその跳ね返りを防止する防液壁部15を下方に突き出して形成する一方、この防液壁部15の上面部16に容器内外と連通する貫通孔17を形成する。
これにより、防液壁部15を形成して容器側壁に沿って上昇したり、跳ね返っても、その上面部16に形成した貫通孔17にいたらないようにすることで、貫通孔17からの内容液の漏れ出しを防止できるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器の蓋に関し、コーヒーなどのホット飲料を持ち帰る場合に蒸気抜きの貫通孔から内容液がこぼれ出ないようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
コーヒーショップなどで販売されるホット飲料を持ち帰る場合には、容器の開口部を覆うように蓋を被せることが行われており、持ち帰った後、そのまま飲めるように、蓋の外縁部にあらかじめ呑み口を形成し、持ち運ぶ間はシール状態としておき、呑む時に開口するようにしたものが、種々提案されている(特許文献1、2など参照)。
【0003】
また、このような容器の蓋の一例は、図7に示すように、略有底円筒状の蓋本体1の外周下端部に容器への嵌着部2が形成され、天面部3には、外周部に環状で上方に突き出す有底の突出円筒部4が形成され、その上面部4aの一部分を他の部分より高くして呑み口5が貫通して形成されるとともに、突出円筒部4の内側の天面部3は、呑み口5側が最も低く傾斜させてあり、この傾斜させた天面部3の最も高い呑み口5の反対位置には、容器にホット飲料を入れる際に発生する蒸気を逃がしたり、呑む場合のホット飲料と空気との置換のため小さな蒸気抜きの貫通孔6が設けてある。
【特許文献1】実公平7−10610号公報
【特許文献2】実用新案登録第2600723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような容器の蓋では、ホット飲料を入れたまま持ち運ぶ間に、ホット飲料の液面が揺れて波が発生し、これによって蒸気抜きの貫通孔からホット飲料が漏れるという問題がある。
【0005】
この蒸気抜きの貫通孔からの漏れまで問題としている容器の蓋はこれまでになく、このような問題を解消できる容器の蓋の開発が望まれている。
【0006】
この発明は、上記従来技術の問題点と要望に鑑みてなされたもので、持ち運ぶ際にも内容物が漏れ出すことがない容器の蓋を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる従来技術の課題を解決するこの発明の請求項1記載の容器の蓋は、容器の上端開口部を覆って嵌着され天面部外周縁部に呑み口がシール状態で設けられる容器の蓋であって、前記天面部の前記呑み口の反対側に、前記容器側壁に沿って上昇する内容液およびその跳ね返りを防止する防液壁部を下方に突き出して形成する一方、この防液壁部の上面部に前記容器内外と連通する貫通孔を形成してなることを特徴とするものである。
【0008】
この容器の蓋によれば、天面部の呑み口の反対側に、容器側壁に沿って上昇する内容液およびその跳ね返りを防止する防液壁部を下方に突き出して形成する一方、この防液壁部の上面部に容器内外と連通する貫通孔を形成してあり、防液壁部を形成して容器側壁に沿って上昇したり、跳ね返っても、その上面部に形成した貫通孔にいたらないようにすることで、貫通孔からの内容液の漏れ出しを防止できるようにしている。
【0009】
また、この発明の請求項2記載の容器の蓋は、請求項1記載の構成に加え、前記防液壁部を円形ないし略U字状に形成してなることを特徴とするものである。
【0010】
この容器の蓋によれば、前記防液壁部を円形ないし略U字状に形成してあり、円形ないし略U字状の防液壁部によってあらゆる方向の液揺れに対してその上面部の貫通孔からの内容液の漏れ出しを防止できるようにしている。
【0011】
さらに、この発明の請求項3記載の容器の蓋は、請求項1または2記載の構成に加え、前記防液壁部を、前記天面部から前記蓋の下端縁までの範囲の高さに形成してなることを特徴とするものである。
【0012】
この容器の蓋によれば、前記防液壁部を、前記天面部から前記蓋の下端縁までの範囲の高さに形成してあり、蓋の天面部から下端縁までの範囲に形成した防液壁部によって貫通孔からの漏れ出しを防止できるとともに、蓋のスタック性なども確保できるようにしている。
【0013】
また、この発明の請求項4記載の容器の蓋は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、前記防液壁部を円形に形成する場合の直径を少なくとも25mm以上としてなることを特徴とするものである。
【0014】
この容器の蓋によれば、前記防液壁部を円形に形成する場合の直径を少なくとも25mm以上としており、直径を25mm以上とすることで、その上面部の貫通孔からの内容液の漏れ出しを防止するようにしている。
【0015】
さらに、この発明の請求項5記載の容器の蓋は、請求項1〜4のいずれかに記載の構成に加え、前記防液壁部の上面部に形成する貫通孔を、前記呑み口の反対位置を中心とした両側90度の範囲で、前記蓋中心より前方に形成してなることを特徴とするものである。
【0016】
この容器の蓋によれば、前記防液壁部の上面部に形成する貫通孔を、前記呑み口の反対位置を中心とした両側90度の範囲で、前記蓋中心より前方に形成するようにしており、かかる範囲の貫通孔により、一層有効に内容物の漏れ出しを防止しながら、内容物充填時の蒸気抜きや飲む際の容器の傾きによる閉鎖や漏れも防止し、有効に機能させるようになる。
【0017】
また、この発明の請求項6記載の容器の蓋は、請求項1〜5のいずれかに記載の構成に加え、前記防液壁部の上面部の呑み口の反対側の内側5mm以内に前記貫通孔を形成してなることを特徴とするものである。
【0018】
この容器の蓋によれば、前記防液壁部の上面部の呑み口の反対側の内側5mm以内に前記貫通孔を形成しており、かかる範囲の貫通孔により、一層完全に内容物の漏れ出しを防止しながら、内容物充填時の蒸気抜きや飲む際の容器の傾きによる閉鎖や漏れも防止し、有効に機能させるようになる。
【0019】
さらに、この発明の請求項7記載の容器の蓋は、請求項1〜6のいずれかに記載の構成に加え、前記蓋が真空圧空成形または射出成形で一体成形されてなることを特徴とするものである。
【0020】
この容器の蓋によれば、前記蓋が真空圧空成形または射出成形で一体成形されており、効率的に成形して蓋を得ることができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
この発明の請求項1記載の容器の蓋によれば、天面部の呑み口の反対側に、容器側壁に沿って上昇する内容液およびその跳ね返りを防止する防液壁部を下方に突き出して形成する一方、この防液壁部の上面部に容器内外と連通する貫通孔を形成したので、内容液がゆれても容器側壁に沿って上昇したり、跳ね返える内容液を防液壁部でその上面部に形成した貫通孔にいたらないようにすることができ、貫通孔からの内容液の漏れ出しを防止することができる。
【0022】
また、この発明の請求項2記載の容器の蓋によれば、前記防液壁部を円形ないし略U字状に形成したので、円形ないし略U字状の防液壁部によってあらゆる方向の液揺れに対してその上面部の貫通孔からの内容液の漏れ出しを防止することができる。
【0023】
さらに、この発明の請求項3記載の容器の蓋によれば、前記防液壁部を、前記天面部から前記蓋の下端縁までの範囲の高さに形成したので、蓋の天面部から下端縁までの範囲に形成した防液壁部によって貫通孔からの漏れ出しを防止することができるとともに、蓋のスタック性なども確保することができる。
【0024】
また、この発明の請求項4記載の容器の蓋によれば、前記防液壁部を円形に形成する場合の直径を少なくとも25mm以上としたので、直径が25mm以上の上面部で、貫通孔からの内容液の漏れ出しを有効に防止することができる。
【0025】
さらに、この発明の請求項5記載の容器の蓋によれば、前記防液壁部の上面部に形成する貫通孔を、前記呑み口の反対位置を中心とした両側90度の範囲で、前記蓋中心より前方に形成するようにしたので、かかる範囲の貫通孔により、一層有効に内容物の漏れ出しを防止しながら、内容物充填時の蒸気抜きや飲む際の容器の傾きによる閉鎖や漏れも防止でき、貫通孔を有効に機能させることができる。
【0026】
また、この発明の請求項6記載の容器の蓋によれば、前記防液壁部の上面部の呑み口の反対側の内側5mm以内に前記貫通孔を形成したので、かかる範囲の貫通孔により、一層完全に内容物の漏れ出しを防止しながら、内容物充填時の蒸気抜きや飲む際の容器の傾きによる閉鎖や漏れも防止でき、管通行を完全に機能させることができる。
【0027】
さらに、この発明の請求項7記載の容器の蓋によれば、前記蓋が真空圧空成形または射出成形で一体成形したので、効率的に成形して蓋を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の容器の蓋の一実施の形態にかかる平面図およびA−A断面図である。
【0029】
この容器の蓋10(以下、単に蓋10とする。)は、例えばホットコーヒー、ホットココア、ホットチョコまたはスープなどのホット飲料が入れられるカップ状の容器の上端開口部に被せて持ち運んだり、そのまま持ち帰る場合に使用されるもので合成樹脂シートを用いる真空圧空成形などで成形される。
【0030】
この蓋10は、略有底円筒状に形成されて下方に開口する外周下端部に容器への嵌着部11が断面略逆U字状に形成され、容器の上端開口部の膨らんだ部分に嵌着して内外周壁面11a,11bで挟むようにしてあり、外周壁面11bに内側に突き出す係止部11cが円周方向に沿い、等間隔に複数形成され、簡単に外れないようにしてある。
【0031】
この蓋10の嵌着部11の内周側の天面部12には、外周部に上方に突き出す有底の突出円筒部13が形成され、この突出円筒部13の略水平な上面部13aが環状とされ、その一部分、例えば中心角で略90度の部分を他の部分より高くして略水平面に呑み口14が形成され、呑み口14の内側壁がほぼ垂直な平面14aとして窪ませてある。
【0032】
この呑み口14は、ホット飲料を飲む際に開口できるように貫通して形成した後、シールを貼って塞いだり、予め形成した薄肉部で連結された切込みで切り離すことができるように塞いだり、別に用意した栓で塞ぐようにして呑むまでは、シール状態とし、呑む際に開口できるようにしてある。
【0033】
さらに、この突出円筒部13の環状の上面部13aの内側と呑み口14の内側壁の平面14aとの間に下方に突き出す防液壁部15が平面視略U字状に形成されており、この防液壁部15は、平面視略U字状の外側壁15aが円筒側面の一部とされて呑み口14の内側の垂直壁14aと兼用され、内側壁15bが平面視U字状の凹部15cを介して円筒側面の一部とされて構成され、その結果、平面視U字状のUの開口部分に相当する直線部分には、凹部15cおよび内側壁15bが存在しない状態となっている。
【0034】
そして、防液壁部15の内側壁の上端縁と呑み口14の内側壁の平面14aの下端縁との間が呑み口側が低く、呑み口14と反対側が高い傾斜天面部16としてあり、平面視略U字状に形成され、この傾斜天面部16で蓋10の最も内側が塞がれることになる。
【0035】
この傾斜天面部16の呑み口14の反対側である容器中心を挟んで対向する反対位置には、容器にホット飲料を入れる際に発生する蒸気を逃がしたり、ホット飲料を呑む場合のホット飲料と空気との置換のため小さな蒸気抜きの貫通孔17が貫通して形成してある。
【0036】
このように構成した蓋10によれば、ホット飲料を入れた容器の上端開口部を塞ぐように嵌着部11で嵌着した状態では、容器を持ち運ぶと内容液がゆれて容器側壁に沿って上昇して蓋10で跳ね返るようになるが、内容液の漏れ出しが問題となる貫通孔17の外側に防液壁部15が下方に突き出して形成してあるので、防液壁部15の外側壁15aである円筒側面とその内側の凹部15cを介して設けた内側壁15bである円筒側面とで内容液の上昇や跳ね返りが抑えられて貫通孔17の内側部分に内容液が直接流れることも防止され、持ち運んだり、持ち帰る場合でも貫通孔17からの漏れ出しを防止することができる。
【0037】
次に、この発明の容器の蓋の他の一実施の形態について、図2により説明するが、すでに説明した蓋10と同一部分には、同一記号を記し、説明を省略する。
【0038】
この容器の蓋10A(以下、単に蓋10Aとする)では、防液壁部15Aを環状に形成したもので、すでに説明した平面視U字状のUの開口部を結ぶ直線部分にも外側壁15a,内側壁15bおよびその間の凹部15cを設けることで、防液壁部15Aが平面視略U字状で環状に形成されている。
なお、他の構成は、すでに説明した蓋10と同一である。
【0039】
このように構成した蓋10Aによれば、蓋10と同様に、ホット飲料を入れた容器の上端開口部を塞ぐように嵌着部11で嵌着した状態では、容器を持ち運ぶと内容液がゆれて容器側壁に沿って上昇して蓋10Aで跳ね返るようになるが、内容液の漏れ出しが問題となる貫通孔17の外側に環状に防液壁部15Aが下方に突き出して内外壁15a,15bが二重に形成してあるので、防液壁部15Aの外側壁15aである環状の円筒側面とその内側の環状の凹部15cを介して設けた内側壁15bである環状の円筒側面とであらゆる方向の内容液の上昇や跳ね返りが抑えられ、貫通孔17の内側部分に内容液が直接流れることも防止され、持ち運んだり、持ち帰る場合でも貫通孔17からの漏れ出しを一層有効に防止することができる。
【0040】
次に、この発明の容器の蓋のさらに他の一実施の形態について、図3により説明するが、すでに説明した蓋10Aと同一部分には、同一記号を記し、説明を省略する。
【0041】
この容器の蓋10B(以下、単に蓋10Bとする)では、防液壁部15Bを環状に形成するとともに、その下方への突き出し高さを、蓋10Bの全高さまで最大限高くしたもので、蓋10B単体でのスタック性を確保できるようにしたものである。
【0042】
すなわち、すでに説明した蓋10Aでは、蓋10Aの嵌着部11の外周壁面11bの下端より僅かに上までの高さの防液壁部15Aとしたのに対し、この蓋10Bでは、嵌着部11の外周壁部11bの下端まで深くして最大限の高さとした防液壁部15Bとしてある。
【0043】
また、蓋10に対しては、平面視略U字状のUの開口部を結ぶ直線部分にも外側壁15a,内側壁15bおよびその間の凹部15cを設けることで、防液壁部15Bが平面視略U字状で環状に形成されている。
なお、他の構成は、すでに説明した蓋10Aと同一である。
【0044】
このように構成した蓋10Bによれば、蓋10Aと同様に、ホット飲料を入れた容器の上端開口部を塞ぐように嵌着部11で嵌着した状態では、容器を持ち運ぶと内容液がゆれて容器側壁に沿って上昇して蓋10Bで跳ね返るようになるが、内容液の漏れ出しが問題となる貫通孔17の外側に環状に防液壁部15Bが一層高く下方に突き出して内外壁15a,15bが二重に形成してあるので、防液壁部15Bの外側壁15aである環状の円筒側面とその内側の環状の凹部15cを介して設けた内側壁15bである環状の円筒側面とであらゆる方向の内容液の上昇や跳ね返りが一層抑えられ、貫通孔17の内側部分に内容液が直接流れることも防止され、持ち運んだり、持ち帰る場合でも貫通孔17からの漏れ出しをさらに有効に防止することができる。
【0045】
次に、この発明の容器の蓋の他の一実施の形態について、図4により説明するが、すでに説明した蓋10と同一部分には、同一記号を記し、説明を省略する。
【0046】
この容器の蓋10C(以下、単に蓋10Cとする)では、防液壁部15Cを防液壁部10に比べて約半分程度に低く(凹部15cを浅く)したもので、すでに説明した蓋10と同様に、平面視U字状のUの開口部を結ぶ直線部分には、内側壁15bおよび凹部15cが存在しないものである。
なお、他の構成は、すでに説明した蓋10と同一である。
【0047】
このように構成した蓋10Cによっても、蓋10と同様に、ホット飲料を入れた容器の上端開口部を塞ぐように嵌着部11で嵌着した状態では、容器を持ち運ぶと内容液がゆれて容器側壁に沿って上昇して蓋10Cで跳ね返るようになるが、内容液の漏れ出しが問題となる貫通孔17の外側に防液壁部15Cが下方に突き出して形成してあるので、内容液の上昇や跳ね返りが抑えられ、貫通孔17の内側部分に内容液が直接流れることも防止され、持ち運んだり、持ち帰る場合でも貫通孔17からの漏れ出しを一層有効に防止することができる。
【0048】
次に、この発明の容器の蓋のさらに他の一実施の形態について、図5,6により説明するが、すでに説明した蓋10Aと同一部分には、同一記号を記し、説明を省略する。
【0049】
この容器の蓋10D(以下、単に蓋10Dとする)では、防液壁部15Aを円形の環状に形成したもので、すでに説明した平面視U字状に代え、円形の外側壁15a,内側壁15bおよびその間の凹部15cを設けることで、防液壁部15Dが平面視円形状の環状に形成してある。
【0050】
そして、図5の場合には、内側壁15bの直径が容器の上端開口部の直径(約80mm)に対して、約30%の25mmとされ、図6の場合には、約44%の35mmとしてあり、内側壁15bの中心を呑み口14の反対側にずらして形成してある。
なお、他の構成は、すでに説明した蓋10と同一である。
【0051】
このように構成した蓋10Dによれば、蓋10と同様に、ホット飲料を入れた容器の上端開口部を塞ぐように嵌着部11で嵌着した状態では、容器を持ち運ぶと内容液がゆれて容器側壁に沿って上昇して蓋10Dで跳ね返るようになるが、内容液の漏れ出しが問題となる貫通孔17の外側に円形状で環状に防液壁部15Dが下方に突き出して内外壁15a,15bが二重に形成してあるので、防液壁部15Dの外側壁15aである円形状で環状の円筒側面とその内側の環状の凹部15cを介して設けた内側壁15bである円形状で環状の円筒側面とであらゆる方向の内容液の上昇や跳ね返りが抑えられ、貫通孔17の内側部分に内容液が直接流れることも防止され、持ち運んだり、持ち帰る場合でも貫通孔17からの漏れ出しを一層有効に防止することができる。
【0052】
なお、内容物を入れた容器に加速度を与えて揺らすことで、貫通孔からの漏れ出しの有無について行った実験によれば、容器の上端開口部の直径を約80mmとした場合には、円形状の防液壁部15Dの直径が25mm以上ないと、有効に貫通孔17からの漏れ出しを防止することができないことが分かっている。
【0053】
なお、上記各実施の形態では、貫通孔17を防液壁部15の内側壁15bの内側の傾斜天面部16の呑み口14の反対位置である容器の中心を挟んで対向する位置の最も離れた高い位置に形成した場合を図示して説明したが、内容物を入れた容器に加速度を与えて揺らすことで、貫通孔からの漏れ出しの有無について行った実験によれば、呑み口14の反対位置(容器の中心を通る直径の反対位置すなわち、対角線の交差位置)の両側90度の範囲で中心より前方側、すなわち、呑み口14を下にした場合の中心より上側であれば良く、特に内側壁15bから5mm以内の範囲に貫通孔17を形成することで、漏れ出しを一層有効に防止することができることが分かっている。
【0054】
また、上記実施の形態では、合成樹脂シートを用いる真空圧空成形法で成形できることを説明したが、この場合には、シート厚さが0.2〜1.00mmまであれば、成形可能である。
さらに、真空圧空成形法に限らず、射出成形法で成形するようにしても良い。
【0055】
また、上記実施の形態では、防液壁部を円形ないし略U字状に形成する場合を例に説明したが、楕円や矩形、多角形など他の形状であっても良く、蓋の形状も円形に限らず、容器の開口部の形状に対応した形状であれば良く、楕円、矩形、多角形などであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明の容器の蓋の一実施の形態にかかる平面図およびA−A断面図である。
【図2】この発明の容器の蓋の他の一実施の形態にかかる平面図およびA−A断面図である。
【図3】この発明の容器の蓋のさらに他の一実施の形態にかかる平面図およびA−A断面図である。
【図4】この発明の容器の蓋の他の一実施の形態にかかる平面図およびA−A断面図である。
【図5】この発明の容器の蓋のさらに他の一実施の形態にかかる平面図およびA−A断面図である。
【図6】この発明の容器の蓋の他の一実施の形態にかかる平面図およびA−A断面図である。
【図7】従来の容器の蓋の平面図およびA−A断面図である。
【符号の説明】
【0057】
10 容器の蓋
11 嵌着部
11a 内周壁面
11b 外周壁面
11c 係止部
12 天面部
13 突出円筒部
13a 上面部
14 呑み口
14a 垂直な平面
15 防液壁部
15a 外側壁
15b 内側壁
15c 凹部
16 傾斜天面部
17 貫通孔
10A,10B,10C,10D 蓋
15A,15B,15C,15D 防液壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の上端開口部を覆って嵌着され天面部外周縁部に呑み口がシール状態で設けられる容器の蓋であって、
前記天面部の前記呑み口の反対側に、前記容器側壁に沿って上昇する内容液およびその跳ね返りを防止する防液壁部を下方に突き出して形成する一方、この防液壁部の上面部に前記容器内外と連通する貫通孔を形成してなることを特徴とする容器の蓋。
【請求項2】
前記防液壁部を円形ないし略U字状に形成してなることを特徴とする請求項1記載の容器の蓋。
【請求項3】
前記防液壁部を、前記天面部から前記蓋の下端縁までの範囲の高さに形成してなることを特徴とする請求項1または2記載の容器の蓋。
【請求項4】
前記防液壁部を円形に形成する場合の直径を少なくとも25mm以上としてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の容器の蓋。
【請求項5】
前記防液壁部の上面部に形成する貫通孔を、前記呑み口の反対位置を中心とした両側90度の範囲で、前記蓋中心より前方に形成してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器の蓋。
【請求項6】
前記防液壁部の上面部の呑み口の反対側の内側5mm以内に前記貫通孔を形成してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の容器の蓋。
【請求項7】
前記蓋が真空圧空成形または射出成形で一体成形されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の容器の蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−99370(P2007−99370A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293951(P2005−293951)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】