説明

容器の装飾フィルム

【課題】 本発明は、装飾フィルム端縁からの切り始めに要する力を最小限に制御することが出来、装飾フィルムが不用意に破断することが無い。
【解決手段】 装飾フィルム1の上下端部1a,1bに複数の小穴3が破線状に開けられた複数の破線ラインL1,L2が該ペットボトル容器2の周方向に沿って設けられ、小穴3の位置はペットボトル容器2の軸方向において互いにずれた位置に配置され、上下端縁1a1,1b1から、その直近に設けられる小穴3までの離間距離をX、破線ラインL1,L2上の小穴3の離間ピッチをP、小穴3の口径をY、破線ラインL1,L2の数をN、所定の破線ラインL1上の小穴3と、それに隣接される他の破線ラインL2上で直近の小穴3とのペットボトル容器2の軸方向における離間距離をZとすると、0≦X≦Z、且つ、Z=(P/N)−Y≦0.5mmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル可能なペットボトル等の樹脂製容器、スチール製容器、アルミニウム製容器、ガラス製容器等の各種の容器の外周面に巻着される装飾フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、リサイクル可能な容器として、ポリエチレンテレフタレート(PET;Polyethylene terephthalate)を成形した容器(以下、「ペットボトル」という)やスチール缶、アルミニウム缶、ガラス瓶等の各種容器が多用されている。これら容器の胴部外周面には商品名や製造メーカー名等を印刷した装飾フィルムが熱収縮により巻着される。環境保護、資源回収の目的から消費者が容器本体と装飾フィルムとを簡単に分別出来ることが望まれている。
【0003】
装飾フィルムを容器本体から剥離する構造としては、装飾フィルムの縦方向に連続的なミシン目を付けて、そのミシン目に沿って装飾フィルムを破断して引き剥がすものが特許文献1〜5により提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−337880号公報
【特許文献2】特開2003−095225号公報
【特許文献3】特開2008−285195号公報
【特許文献4】特開2010−002458号公報
【特許文献5】特許第3898125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2の技術では、自動販売機内での落下時や輸送時の衝撃等による不用意な破断を防止するために切取り線のミシン目の両側にフィルムの表裏両面に膨出した堤状厚肉部が設けられ、レーザビームを断続照射することにより切取り線を形成する構成であるため高価な設備が必要となる。
【0006】
特許文献3、4の技術では、ミシン目上、或いはミシン目の端部に長尺状か或いは大径の穴からなる切り込み線や引き裂き穴が設けられるため自動販売機内での落下時や輸送時の衝撃等による不用意な破断が発生し易い。
【0007】
特許文献5の技術では、破線ラインが多数本設けられるためフィルムの強度が低下し、自動販売機内での落下時や輸送時の衝撃等による不用意な破断が発生し易い。
【0008】
また、特許文献1〜5では、不用意な破断を防止しつつ、フィルムの切り始めに要する力を最小限に制御する技術思想は開示されていない。
【0009】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、装飾フィルム端縁からの切り始めに要する力を最小限に制御することが出来、自動販売機内での落下時や輸送時の衝撃等で装飾フィルムが不用意に破断することが無い容器の装飾フィルムを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、装飾フィルムの上端縁または下端縁から、その直近に設けられる小穴までの離間距離をX、所定の破線ライン上の小穴と、それに隣接される他の破線ライン上で直近の小穴との前記ペットボトル容器の軸方向における離間距離をZとしたときに、0≦X≦Z≦0.5mmを満たすことで、装飾フィルム端縁からの切り始めに要する力を最小限に制御することが出来ることを実験的に見出し、本発明を完成させたものである。
【0011】
即ち、前記目的を達成するための本発明に係る容器の装飾フィルムの第1の構成は、容器の外周面に巻着される装飾フィルムであって、前記装飾フィルムの少なくとも上端部または下端部、或いは上下端部には、前記容器の軸方向に沿って複数の小穴が破線状に開けられた複数の破線ラインが該容器の周方向に沿って設けられ、前記複数の破線ラインに属するそれぞれの小穴の位置は前記容器の軸方向において互いにずれた位置に配置され、前記装飾フィルムの上端縁または下端縁から、その直近に設けられる小穴までの離間距離をX、前記破線ライン上の小穴の離間ピッチをP、前記小穴の前記破線ライン上の口径をY、前記破線ラインの数をN、所定の破線ライン上の小穴と、それに隣接される他の破線ライン上で直近の小穴との前記容器の軸方向における離間距離をZとすると、0≦X≦Z、且つ、Z=(P/N)−Y≦0.5mmを満たすことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る容器の装飾フィルムの第2の構成は、前記第1の構成において、前記複数の破線ラインが前記容器の周方向に沿って2組設けられ、該2組の破線ラインに沿って帯状に破断し得る破断帯を設けたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る容器の装飾フィルムの第3の構成は、前記第1、第2の構成において、前記複数の破線ラインが前記装飾フィルムの全長に亘って設けられたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る容器の装飾フィルムの第4の構成は、前記第1、第2の構成において、前記容器の周方向における前記複数の破線ラインの間に、前記容器の軸方向に沿って複数の小穴が破線状に開けられた他の破線ラインが前記装飾フィルムの略全長に亘って設けられたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る容器の装飾フィルムの第5の構成は、容器の外周面に巻着される装飾フィルムであって、前記装飾フィルムの少なくとも上端部が前記容器のくびれ形状部に巻着される場合に、前記くびれ形状部の縮径形状に対応した所定の曲率で複数の小穴が破線状に開けられた少なくとも一列以上の破線ラインが前記装飾フィルムの端部に向かって拡張する曲線状に設けられ、前記装飾フィルムが熱収縮により前記容器の外周面に巻着された状態で前記曲線状の破線ラインが略直線状に遷移することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る容器の装飾フィルムの第1の構成によれば、装飾フィルムの上端縁または下端縁から、その直近に設けられる小穴までの離間距離をX、所定の破線ライン上の小穴と、それに隣接される他の破線ライン上で直近の小穴との前記容器の軸方向における離間距離をZとしたときに、0≦X≦Z≦0.5mmを満たすことで、装飾フィルム端縁からの切り始めに要する力を最小限に制御することが出来る。ここで、X=0は、装飾フィルムの上端縁または下端縁に重なって小穴が形成されている場合を意味し、その小穴が装飾フィルム端部の引き裂き口に破断を導入するための切り欠きの役割を果たす。
【0017】
これにより、装飾フィルム端部の引き裂き口に破断を導入するための切り欠きを格別設けなくても装飾フィルムの上端縁または下端縁から、その直近に設けられる小穴までの離間距離Xが、所定の破線ラインに隣接される他の破線ライン上で所定の破線ライン上の小穴の直近の小穴とのペットボトル容器の軸方向における離間距離Z以下に設定されるため装飾フィルムの端縁から切り始める部位が局部的に弱くなって切り込み易くなるため装飾フィルム端部からの切り始めに要する力を最小限に制御することが出来る。その一方で、複数の破線ラインに属するそれぞれの小穴の位置が容器の軸方向において互いにずれた位置に配置されているため一つの破線ライン上に離間距離Zで小穴を設けた場合に比べて装飾フィルムの強度が得られ容器の外周面に装飾フィルムを巻着するシュリンク包装時の熱収縮や自動販売機内での落下時や輸送時の衝撃等で装飾フィルムの破断が自然発生し難い。
【0018】
また、前記離間距離Zの値を0.5mm以下に設定したことで、例えば、OPS(二軸延伸ポリスチレン)製の装飾フィルム端縁からの切り始めに要する力を5N以下に抑えて最小限に制御することが出来る。
【0019】
破線ライン上の小穴の離間ピッチをP、小穴の破線ライン上の口径をY、破線ラインの数をN、所定の破線ライン上の小穴と、それに隣接される他の破線ライン上で直近の小穴との容器の軸方向における離間距離をZとしたときに、Z=(P/N)−Yを満たすことで、所定の破線ライン上の小穴の離間ピッチPを複数の破線ラインの数Nで除した値(P/N)から、小穴一つ分の口径Yを差し引いた値{(P/N)−Y}をその所定の破線ラインに隣接される他の破線ライン上で所定の破線ライン上の小穴の直近の小穴との容器の軸方向における離間距離Zに設定したことで、容器の軸方向における直近の小穴同士の離間距離Zが均等に配置出来、これにより装飾フィルム端縁からの切り始めに要する力を最小限に制御出来る。
【0020】
本発明に係る容器の装飾フィルムの第2の構成によれば、複数の破線ラインが容器の周方向に沿って2組設けられ、該2組の破線ラインに沿って帯状に破断し得る破断帯を設けたことで、該破断帯を破断用の摘み部として該破断帯を装飾フィルムから容易に引きちぎることが出来る。
【0021】
本発明に係る容器の装飾フィルムの第3の構成によれば、複数の破線ラインが装飾フィルムの全長に亘って設けられたことで、該複数の破線ラインに沿って装飾フィルムを上端縁から下端縁まで容易に破断することが出来る。
【0022】
本発明に係る容器の装飾フィルムの第4の構成によれば、容器の周方向における複数の破線ラインの間に、該容器の軸方向に沿って複数の小穴が破線状に開けられた他の破線ラインが装飾フィルムの略全長に亘って設けられたことで、複数の破線ラインに沿って装飾フィルムを破断すると共に、該複数の破線ラインの間に設けられた他の破線ラインに沿って装飾フィルムを上端縁から下端縁まで容易に破断することが出来る。
【0023】
本発明に係る容器の装飾フィルムの第5の構成によれば、容器のくびれ形状部の縮径形状に対応した所定の曲率で破線ラインが装飾フィルムの端部に向かって拡張する曲線状に設けられ、装飾フィルムが熱収縮により容器の外周面に巻着された状態で曲線状の破線ラインが略直線状に遷移することで、容器のくびれ形状部においても破線ラインを略直線状に形成することが出来、これにより指がかかり易く、容器のくびれ形状部に位置する装飾フィルム端縁からの切り始めに要する力を最小限に制御することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る容器の装飾フィルムが巻着されたペットボトル容器の構成を示す正面説明図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明に係る容器の装飾フィルムの第1実施形態〜第3実施形態の構成を示す部分拡大図である。
【図3】(a)〜(c)は本発明に係る容器の装飾フィルムの第4実施形態〜第6実施形態の構成を示す部分拡大図である。
【図4】装飾フィルム端縁からの切り始めに要する力を測定する実験装置の構成を示す模式図である。
【図5】図4の実験装置により測定された装飾フィルム端縁からの切り始めに要する力と、装飾フィルム端縁から破線ラインに属する最初の小穴までの距離との関係を示すグラフである。
【図6】本発明に係る容器の装飾フィルムの第7実施形態が巻着されたペットボトル容器の構成を示す正面説明図である。
【図7】本発明に係る容器の装飾フィルムの第8実施形態が巻着されたペットボトル容器の構成を示す正面説明図である。
【図8】(a)は本発明に係る容器の装飾フィルムの第9実施形態の構成を示す展開図、(b)は第9実施形態の装飾フィルムの上端部が容器のくびれ形状部に位置する状態で熱収縮により容器の外周面に巻着された様子を示す正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図により本発明に係る容器の装飾フィルムの一実施形態を具体的に説明する。
【実施例1】
【0026】
先ず、図1及び図2(a)を用いて本発明に係る容器の装飾フィルムの第1実施形態の構成について説明する。図1及び図2(a)において、1は容器の一例としてペットボトル容器2の外周面に巻着される装飾フィルムである。尚、装飾フィルム1が巻着される容器としては、リサイクル可能な樹脂製容器、スチール製容器、アルミニウム製容器、ガラス製容器等の各種の容器が適用可能である。
【0027】
装飾フィルム1の少なくとも上端部1a及び下端部1bには、ペットボトル容器2の軸方向(図1及び図2(a)の上下方向)に沿って複数の小穴3が破線状に開けられた複数の破線ラインL1,L2が該ペットボトル容器2の周方向(図1及び図2(a)の左右方向)に沿って設けられている。
【0028】
本実施形態では、小穴3が破線状に開けられた複数の破線ラインL1,L2が装飾フィルム1の上下端部1a,1bに設けられた一例について説明するが、装飾フィルム1の上端部1aまたは下端部1bの何れか一方に設けることでも良い。
【0029】
本実施形態の装飾フィルム1はポリスチレン(PS;Polystyrene)製で、ポリスチレン樹脂を縦横二方向に延伸し、20μm以上、且つ50μm以下の厚さのフィルム状にしたOPS(biaxial oriented Polystyrene;二軸延伸ポリスチレン)フィルムにより構成したものであり、安価で、ペットボトル容器2の外周面に熱収縮により巻着する際の装着性が良い。
【0030】
装飾フィルム1としては、ポリエチレンテレフタレート(PET;Polyethylene terephthalate)やOPP(biaxial oriented polypropylene;二軸延伸ポリプロピレン)製フィルム、ハイブリッドフィルム(PSとPETの共押し出しフィルム)、オレフィン系シュリンクフィルム等の各種の熱収縮フィルムが適用可能である。
【0031】
図2(a)に示すように、複数の破線ラインL1,L2に属するそれぞれの小穴3の位置はペットボトル容器2の軸方向(図2(a)の上下方向)において互いにずれた位置に配置され、装飾フィルム1の上端縁1a1及び下端縁1b1から、その直近に設けられる小穴3までの離間距離をX、破線ラインL1,L2上の小穴3の離間ピッチをP、小穴3の破線ラインL1,L2上の口径をY、破線ラインL1,L2の数をN(本実施形態ではN=2)、所定の破線ラインL1(L2)上の小穴3と、それに隣接される他の破線ラインL2(L1)上で直近の小穴3とのペットボトル容器2の軸方向(図2(a)の上下方向)における離間距離をZとすると、{0≦X≦Z、且つ、Z=(P/N)−Y≦0.5mm}の条件を満たすように設定されている。
【0032】
尚、図2(a)は装飾フィルム1の上端部1aの構成について説明したものであるが、装飾フィルム1の下端部1bの構成についても図2(a)に示す装飾フィルム1の上端部1aと同様の構成としたり、図2(a)の上下を反転させた構成とすることが出来る。
【0033】
本実施形態ではペットボトル容器2の周方向(図1及び図2(a)の左右方向)における複数の破線ラインL1,L2の間に該破線ラインL1,L2に延長して、ペットボトル容器2の軸方向(図1及び図2(a)の上下方向)に沿って複数の小穴5が破線状に開けられた他の破線ラインL4が装飾フィルム1の略全長に亘って設けられている。
【0034】
本実施形態では、上下端部1a,1bの破線ラインL1,L2上に設けられた小穴3に連続して破線ラインL1と破線ラインL2との間(略中央)に小穴5が破線状に開けられた他の破線ラインL4が設けられた一例であり、小穴5が破線状に開けられた他の破線ラインL4の長さは、装飾フィルム1の上端縁1a1から下端縁1b1までの全長から上下端部1a,1bに小穴3が破線状に開けられた破線ラインL1,L2の長さを差し引いた長さを有して構成される。また、破線ラインL4上の小穴5の離間ピッチは、破線ラインL1,L2上の小穴3の離間ピッチPよりも大きな値に設定されている。本実施形態では、破線ラインL1,L2上の小穴3の離間ピッチPを1mm〜2mmとした。また、小穴3の破線ラインL1,L2上の口径Yを0.3mm〜0.8mmとした。
【0035】
本実施形態では、図1に示すように、図2(a)に示す複数の破線ラインL1,L2がペットボトル容器2の周方向(図1の左右方向)に沿って2組設けられ、該2組の破線ラインL1,L2及び他の破線ラインL4に沿って帯状に破断し得る破断帯4が形成される。
【0036】
上記構成によれば、装飾フィルム1の上端縁1a1または下端縁1b1から、その直近に設けられる小穴3までの離間距離をX、所定の破線ラインL1(L2)上の小穴3と、それに隣接される他の破線ラインL2(L1)上で直近の小穴3とのペットボトル容器2の軸方向(図1及び図2(a)の上下方向)における離間距離をZとしたときに、0≦X≦Z≦0.5mmを満たすことで、装飾フィルム1端部からの切り始めに要する力を最小限に制御することが出来る。
【0037】
図5に示すグラフにおいて、△,▲は、詳しくは図3(c)に示して後述する第6実施形態の装飾フィルム1の端縁から、その直近に設けられる小穴3までの離間距離Xと、図4に示す実験装置を用いて測定された装飾フィルム1の端縁からの切り始めに要する力(荷重F)との関係を複数の装飾フィルム1について測定した結果をプロットしたものであり、○,●は比較例として、従来のミシン目状の切り込み線を設けた装飾フィルムについて同様に測定した結果をプロットしたものである。図5に示すように、装飾フィルム1の端縁から、その直近に設けられる小穴3までの離間距離Xが短いほど、装飾フィルム1の端縁からの切り始めに要する力(荷重F)も小さくなり、ばらつきも小さくなる傾向が見られた。特に前記離間距離Xが0.5mm以下である場合に装飾フィルム1の端縁からの切り始めに要する力(荷重F)は5N以下に集中しており、複数のモニターによる感応試験を行ったところ、装飾フィルム1の端縁からの切り始めに要する力(荷重F)が5N以下の領域に含まれる場合に装飾フィルム1の端縁から楽に切り始められると感じるとの結果が得られた。
【0038】
また、装飾フィルム1の上端縁1a1または下端縁1b1から、その直近に設けられる小穴3までの離間距離Xが、所定の破線ラインL1(L2)に隣接される他の破線ラインL2(L1)上で所定の破線ラインL1(L2)上の小穴3の直近の小穴3とのペットボトル容器2の軸方向(図1及び図2(a)の上下方向)における離間距離Z以下に設定されるため装飾フィルム1の端縁から切り始める部位が局部的に弱くなって切り込み易くなり、装飾フィルム1の端部の引き裂き口に破断を導入するための切り欠きを格別設けなくても装飾フィルム1端部から切り始めに要する力が小さく且つ安定したものとなり、ペットボトル容器2の外周面に装飾フィルム1を巻着するシュリンク包装時の熱収縮や自動販売機内での落下時や輸送時の衝撃等により装飾フィルム1の破断が自然発生し難い。ここで、{X=0}は、図2(c)に示して後述するように、装飾フィルム1の上端縁1a1または下端縁1b1に重なって小穴3が形成されている場合を意味し、その小穴3が装飾フィルム1の端部の引き裂き口に破断を導入するための切り欠きの役割を果たす。
【0039】
また、破線ラインL1,L2上の小穴3の離間ピッチをP、該小穴3の破線ラインL1,L2上の口径をY、破線ラインL1,L2の数をN(本実施形態ではN=2)、所定の破線ラインL1(L2)上の小穴3と、それに隣接される他の破線ラインL2(L1)上で直近の小穴3とのペットボトル容器2の軸方向(図1及び図2(a)の上下方向)における離間距離をZとしたときに、{Z=(P/N)−Y}の条件を満たすことで、所定の破線ラインL1(L2)上の小穴3の離間ピッチPを複数の破線ラインL1,L2の数N(本実施形態ではN=2)で除した値(P/N)から、離間ピッチP内に含まれる一つ分の小穴3の口径Yを差し引いた値{(P/N)−Y}を、その所定の破線ラインL1(L2)に隣接される他の破線ラインL2(L1)上で所定の破線ラインL1(L2)上の小穴3の直近の小穴3とのペットボトル容器2の軸方向(図1及び図2(a)の上下方向)における離間距離Zに設定したことで、ペットボトル容器2の軸方向(図1及び図2(a)の上下方向)における直近の小穴3同士の離間距離Zが均等に配置出来、これにより装飾フィルム1の端縁からの切り始めに要する力を最小限に制御出来る。
【0040】
また、前記離間距離Zの値を0.5mm以下に設定したことで、例えば、OPS(二軸延伸ポリスチレン)製の装飾フィルム1の端縁からの切り始めに要する力を5N以下に抑えて最小限に制御出来る。
【0041】
また、複数の破線ラインL1,L2がペットボトル容器2の周方向(図1及び図2(a)の左右方向)に沿って2組設けられ、該2組の破線ラインL1,L2に沿って帯状に破断し得る破断帯4を設けたことで、該破断帯4を破断用の摘み部として該破断帯4を装飾フィルム1から容易に引きちぎることが出来る。尚、図1に示す2組の破線ラインL1,L2は、図1の左側が図2(a)に示す破線ラインL1,L2で構成され、図1の右側は図2(a)に示す破線ラインL1,L2を左右反転した構成の一例であるが、左右反転せずに図2(a)に示す破線ラインL1,L2を左右に並設しても良く、これ等に限定されるものではない。
【0042】
また、ペットボトル容器2の周方向(図1及び図2(a)の左右方向)における複数の破線ラインL1,L2の間に、該ペットボトル容器2の軸方向(図1及び図2(a)の上下方向)に沿って複数の小穴5が破線状に開けられた他の破線ラインL4が装飾フィルム1の略全長に亘って設けられたことで、複数の破線ラインL1,L2に沿って装飾フィルム1を破断すると共に、該複数の破線ラインL1,L2の間に設けられた他の破線ラインL4に沿って装飾フィルム1を上端縁1a1から下端縁1b1まで容易に破断することが出来る。
【0043】
本実施形態では小穴3,5の形状を丸穴としたことで、局部的に破断し易い箇所がなく、自然発生的な破断が起こり難い。尚、小穴3,5の形状は丸穴以外にも細長い方形状、楕円形状等、種々の形状で構成することも出来る。
【実施例2】
【0044】
次に図2(b)を用いて本発明に係る容器の装飾フィルムの第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。図2(a)に示す第1実施形態では、複数の破線ラインL1,L2の中間部に他の破線ラインL4を配置した構成の一例について説明したが、本実施形態では、図2(b)に示すように、複数の小穴3が破線状に開けられた一方の破線ラインL1に連続してその同一直線上に複数の小穴5が破線状に開けられた他の破線ラインL4を配置したものである。尚、図示しないが、複数の小穴3が破線状に開けられた他方の破線ラインL2に連続してその同一直線上に複数の小穴5が破線状に開けられた他の破線ラインL4を配置しても良く、ペットボトル容器2の周方向(図2(b)の左右方向)における複数の破線ラインL1,L2上、或いは破線ラインL1,L2の間に複数の小穴5が破線状に開けられた他の破線ラインL4を配置することが出来る。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例3】
【0045】
次に図2(c)を用いて本発明に係る容器の装飾フィルムの第3実施形態の構成について説明する。本実施形態では、装飾フィルム1の上端縁1a1または下端縁1b1から、その直近に設けられる小穴3までの離間距離X=0とした場合の一例であり、図2(c)に示すように、装飾フィルム1の上端縁1a1に重なって小穴3が形成されている場合である。上端縁1a1に重なって形成された小穴3が装飾フィルム1の端部の引き裂き口に破断を導入するための切り欠きの役割を果たす。尚、図示しないが、装飾フィルム1の下端縁1b1に重なって小穴3が形成される場合でも良い。他の構成は、前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例4】
【0046】
次に図3(a)を用いて本発明に係る容器の装飾フィルムの第4実施形態の構成について説明する。前記各実施形態では、ペットボトル容器2の軸方向に沿って複数の小穴3が破線状に開けられた2本の破線ラインL1,L2を該ペットボトル容器2の周方向に沿って配置した場合の一例について説明したが、本実施形態では、図3(a)に示すように、ペットボトル容器2の軸方向(図3(a)の上下方向)に沿って複数の小穴3が破線状に開けられた3本の破線ラインL1,L2,L3を該ペットボトル容器2の周方向(図3(a)の左右方向)に沿って配置した場合の一例である。
【0047】
本実施形態においても、図3(a)に示すように、複数の破線ラインL1,L2,L3に属するそれぞれの小穴3の位置はペットボトル容器2の軸方向(図3(a)の上下方向)において互いにずれた位置に配置され、装飾フィルム1の上端縁1a1及び下端縁1b1から、その直近に設けられる小穴3までの離間距離をX、破線ラインL1,L2,L3上の小穴3の離間ピッチをP、小穴3の破線ラインL1,L2,L3上の口径をY、破線ラインL1,L2,L3の数をN(本実施形態ではN=3)、所定の破線ラインL1(L2,L3)上の小穴3と、それに隣接される他の破線ラインL2(L1,L3)上で直近の小穴3とのペットボトル容器2の軸方向(図3(a)の上下方向)における離間距離をZとすると、{0≦X≦Z、且つ、Z=(P/N)−Y≦0.5mm}の条件を満たすように設定されている。
【0048】
上記構成により{0≦X≦Z≦0.5mm}を満たすことで、前記各実施形態と同様に、装飾フィルム1端部からの切り始めに要する力を最小限に制御することが出来る。また、所定の破線ラインL1(L2,L3)上の小穴3の離間ピッチPを複数の破線ラインL1,L2,L3の数N(本実施形態ではN=3)で除した値(P/N)から、一つ分の小穴3の口径Yを差し引いた値{(P/N)−Y}を、その所定の破線ラインL1(L2,L3)に隣接される他の破線ラインL2(L1,L3)上で所定の破線ラインL1(L2,L3)上の小穴3の直近の小穴3とのペットボトル容器2の軸方向(図3(a)の上下方向)における離間距離Zに設定したことで、ペットボトル容器2の軸方向における直近の小穴3同士の離間距離Zが均等に配置出来、これにより装飾フィルム1の端縁からの切り始めに要する力を最小限に制御出来る。
【0049】
また、その離間距離Zの値を0.5mm以下に設定したことで、例えば、OPS(二軸延伸ポリスチレン)製の装飾フィルム1の端縁からの切り始めに要する力を5N以下に抑えて最小限に制御出来る。
【0050】
また、所定の破線ラインL1(L2,L3)上の小穴3と、それに隣接される他の破線ラインL2(L1,L3)上で直近の小穴3とのペットボトル容器2の軸方向(図3(a)の上下方向)における離間距離をZ、装飾フィルム1の上端縁1a1または下端縁1b1から、その直近に設けられる小穴3までの離間距離をXとしたときに、{0≦X≦Z}の条件を満たすことで、装飾フィルム1の端部の引き裂き口に破断を導入するための切り欠きを格別設けなくても装飾フィルム1の上端縁1a1または下端縁1b1から、その直近に設けられる小穴3までの離間距離Xが、所定の破線ラインL1(L2,L3)に隣接される他の破線ラインL2(L1,L3)上で所定の破線ラインL1(L2,L3)上の小穴3の直近の小穴3とのペットボトル容器2の軸方向(図3(a)の上下方向)における離間距離Z以下に設定されるため装飾フィルム1の端縁から切り始める部位が局部的に弱くなって切り込み易くなり、装飾フィルム1の端部の引き裂き口に破断を導入するための切り欠きを格別設けなくても装飾フィルム1端部から切り始めに要する力が小さく且つ安定したものとなり、ペットボトル容器2の外周面に装飾フィルム1を巻着するシュリンク包装時の熱収縮や自動販売機内での落下時や輸送時の衝撃等により装飾フィルム1の破断が自然発生し難い。ここで、{X=0}は、図2(c)に示して前述したと同様に装飾フィルム1の上端縁1a1または下端縁1b1に重なって小穴3が形成されている場合を意味し、その小穴3が装飾フィルム1の端部の引き裂き口に破断を導入するための切り欠きの役割を果たす。
【0051】
また、本実施形態においても複数の破線ラインL1,L2,L3がペットボトル容器2の周方向(図3(a)の左右方向)に沿って2組設けられ、該2組の破線ラインL1,L2,L3に沿って帯状に破断し得る破断帯4を設けることで、該破断帯4を破断用の摘み部として該破断帯4を装飾フィルム1から容易に引きちぎることが出来る。
【0052】
また、本実施形態では、ペットボトル容器2の周方向(図3(a)の左右方向)における複数の破線ラインL1,L2,L3の間に、該ペットボトル容器2の軸方向(図3(a)の上下方向)に沿って複数の小穴5が破線状に開けられた他の破線ラインL4が破線ラインL2と同一直線上に装飾フィルム1の略全長に亘って設けられたことで、複数の破線ラインL1,L2,L3に沿って装飾フィルム1を破断すると共に、破線ラインL2と同一直線上に設けられた他の破線ラインL4に沿って装飾フィルム1を上端縁1a1から下端縁1b1まで容易に破断することが出来る。尚、複数の小穴5が破線状に開けられた他の破線ラインL4は複数の破線ラインL1,L2,L3と同一直線上に有る場合に限らず、破線ラインL4を複数の破線ラインL1,L2,L3の間に適宜配置することも出来る。
【0053】
破線ラインLの数Nを増やすことで、所定の破線ラインL上の小穴3の離間ピッチPをその破線ラインLの数Nで除した、所定の破線ラインL上の小穴3と、それに隣接される他の破線ラインL上で直近の小穴3とのペットボトル容器2の軸方向(図3(a)の上下方向)における離間距離Zをより小さくすることが出来、装飾フィルム1の端縁からの切り始めに要する力をより最小限に制御出来る。他の構成は、前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例5】
【0054】
次に図3(b)を用いて本発明に係る容器の装飾フィルムの第5実施形態の構成について説明する。本実施形態では複数の破線ラインL1,L2,L3のうちで破線ラインL2,L3上の小穴3の配置位置を変えたものである。本実施形態においても図3(b)に示すように、複数の破線ラインL1,L2,L3に属するそれぞれの小穴3の位置はペットボトル容器2の軸方向(図3(b)の上下方向)において互いにずれた位置に配置され、装飾フィルム1の上端縁1a1及び下端縁1b1から、その直近に設けられる小穴3までの離間距離をX、破線ラインL1,L2,L3上の小穴3の離間ピッチをP、小穴3の破線ラインL1,L2,L3上の口径をY、破線ラインL1,L2,L3の数をN(本実施形態ではN=3)、所定の破線ラインL1(L2,L3)上の小穴3と、それに隣接される他の破線ラインL3(L1,L2)上で直近の小穴3とのペットボトル容器2の軸方向(図3(b)の上下方向)における離間距離をZとすると、{0≦X≦Z、且つ、Z=(P/N)−Y≦0.5mm}の条件を満たすように設定されている。
【0055】
上記構成により{0≦X≦Z≦0.5mm}を満たすことで、前記各実施形態と同様に、装飾フィルム1端部からの切り始めに要する力を最小限に制御することが出来る。また、所定の破線ラインL1(L2,L3)上の小穴3の離間ピッチPを複数の破線ラインL1,L2,L3の数N(本実施形態ではN=3)で除した値(P/N)から、一つ分の小穴3の口径Yを差し引いた値{(P/N)−Y}を、その所定の破線ラインL1(L2,L3)に隣接される他の破線ラインL3(L1,L2)上で所定の破線ラインL1(L2,L3)上の小穴3の直近の小穴3とのペットボトル容器2の軸方向(図3(b)の上下方向)における離間距離Zに設定したことで、ペットボトル容器2の軸方向における直近の小穴3同士の離間距離Zが均等に配置出来、これにより装飾フィルム1の端縁からの切り始めに要する力を最小限に制御出来る。
【0056】
また、その離間距離Zの値を0.5mm以下に設定したことで、例えば、OPS(二軸延伸ポリスチレン)製の装飾フィルム1の端縁からの切り始めに要する力を5N以下に抑えて最小限に制御出来る。
【0057】
また、所定の破線ラインL1(L2,L3)上の小穴3と、それに隣接される他の破線ラインL3(L1,L2)上で直近の小穴3とのペットボトル容器2の軸方向(図3(b)の上下方向)における離間距離をZ、装飾フィルム1の上端縁1a1または下端縁1b1から、その直近に設けられる小穴3までの離間距離をXとしたときに、{0≦X≦Z}の条件を満たすことで、装飾フィルム1の端部の引き裂き口に破断を導入するための切り欠きを格別設けなくても装飾フィルム1の上端縁1a1または下端縁1b1から、その直近に設けられる小穴3までの離間距離Xが、所定の破線ラインL1(L2,L3)に隣接される他の破線ラインL3(L1,L2)上で所定の破線ラインL1(L2,L3)上の小穴3の直近の小穴3とのペットボトル容器2の軸方向(図3(b)の上下方向)における離間距離Z以下に設定されるため装飾フィルム1の端縁から切り始める部位が局部的に弱くなって切り込み易くなり、装飾フィルム1の端部の引き裂き口に破断を導入するための切り欠きを格別設けなくても装飾フィルム1端部から切り始めに要する力が小さく且つ安定したものとなり、ペットボトル容器2の外周面に装飾フィルム1を巻着するシュリンク包装時の熱収縮や自動販売機内での落下時や輸送時の衝撃等により装飾フィルム1の破断が自然発生し難い。ここで、{X=0}は、図2(c)に示して前述したと同様に装飾フィルム1の上端縁1a1または下端縁1b1に重なって小穴3が形成されている場合を意味し、その小穴3が装飾フィルム1の端部の引き裂き口に破断を導入するための切り欠きの役割を果たす。他の構成は、前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例6】
【0058】
次に図3(c)を用いて本発明に係る容器の装飾フィルムの第6実施形態の構成について説明する。前記第1実施形態では、図2(a)に示すように、複数の小穴3が破線状に開けられた複数の破線ラインL1,L2の間に該破線ラインL1,L2に延長して複数の小穴5が破線状に開けられた他の破線ラインL4を設けたが、本実施形態では、図3(c)に示すように、複数の小穴3が破線状に開けられた複数の破線ラインL1,L2の間で該破線ラインL1,L2と並行して複数の小穴5が破線状に開けられた他の破線ラインL4を設けたものである。本実施形態の小穴5の形状は長方形で構成される。小穴5の形状を長方形としたことで、破断がし易い。
【0059】
図4は装飾フィルム1の上端縁1a1からの切り始めに要する力を測定する実験装置の構成を示す模式図であり、本実施形態の装飾フィルム1の破断帯4の上端部1aに両面テープ6を介して可撓性の引っ張り板7を貼着し、該引っ張り板7を基板9側に配置して破断帯4の左右両側の装飾フィルム1を粘着テープ8により基板9に貼着固定する。そして、株式会社エー・アンド・デイ社製のテンシロン万能材料試験機RTGシリーズ(型式RTG-1310)の引張試験機10に設けられた搬送コロ11a〜11dにより基板9に固定された装飾フィルム1が図4(c)の右方向に移動自在に保持される。引っ張り板7は中央部に配置された搬送コロ11bの周面に沿って基板9の面に対して90度の方向に図示しないチャックにより挟持されて引っ張られる。このときの装飾フィルム1の上端縁1a1からの切り始めに要する力を測定した。尚、搬送コロ11bに対向する搬送コロ11dは図示しないバネからなる付勢手段により図4(c)の上方向に付勢され基板9に固定された装飾フィルム1が搬送コロ11b,11dにより挟持されて支持される。基板9は破線ラインL1,L2,L4が切れていくのに合わせて図4(c)の右方向に滑走する。
【0060】
図5は図4に示す実験装置により測定された装飾フィルム1の上端縁1a1からの切り始めに要する力と、装飾フィルム1の上端縁1a1から破線ラインL1,L2に属する最初の小穴3までの距離Xとの関係を示すグラフである。図5に示すグラフにおいて、△,▲は、本実施形態の装飾フィルム1の上端縁1a1から、その直近に設けられる小穴3までの離間距離Xと、図4に示す実験装置を用いて測定された装飾フィルム1の上端縁1a1からの切り始めに要する力(荷重F)との関係を複数の装飾フィルム1について測定した結果をプロットしたものであり、△は厚さ45μmのOPS(二軸延伸ポリスチレン)からなる装飾フィルム1のサンプルであり、▲は厚さ50μmのOPS(二軸延伸ポリスチレン)からなる装飾フィルム1のサンプルである。
【0061】
また、図5に示すグラフにおいて、○,●は比較例として、従来のミシン目状の切り込み線を2列設けて破断帯4を構成した装飾フィルム1について同様に測定した結果をプロットしたものであり、○は厚さ45μmのOPS(二軸延伸ポリスチレン)からなる装飾フィルム1のサンプルであり、●は厚さ50μmのOPS(二軸延伸ポリスチレン)からなる装飾フィルム1のサンプルである。
【0062】
○,●で示した比較例は、装飾フィルム1の上端縁1a1からミシン目状の切り込み線に属する最初の小穴までの距離Xが0.6mm〜3.2mmの間で、装飾フィルム1の上端縁1a1からの切り始めに要する力(荷重F)が5.5N〜15.5Nの範囲で大きくばらついており、装飾フィルム1の上端縁1a1からの切り始めに大きな力を要すると共に、ばらつきが大きいため安定感がなかった。
【0063】
一方、△,▲で示した本実施形態では、装飾フィルム1の上端縁1a1から、その直近に設けられる小穴3までの離間距離Xが短いほど、装飾フィルム1の端縁からの切り始めに要する力(荷重F)も小さくなり、ばらつきも小さくなる傾向が見られた。特に本実施形態では前記離間距離Xが0.5mm以下であるため装飾フィルム1の上端縁1a1からの切り始めに要する力(荷重F)は5N以下に集中させることが出来、複数のモニターによる感応試験を行ったところ、装飾フィルム1の端縁からの切り始めに要する力(荷重F)が5N以下の場合には装飾フィルム1の端縁から楽に切り始められると感じるとの結果が得られた。本実施形態では厚さ45μm,50μmのOPS(二軸延伸ポリスチレン)からなる装飾フィルム1の一実験例について説明したが、厚さ50μm以下のOPS(二軸延伸ポリスチレン)からなる装飾フィルム1の場合、同様の実験結果が得られた。
【0064】
尚、装飾フィルム1の厚さや材質を適宜選択することで、装飾フィルム1の上端縁1a1からの切り始めに要する力(荷重F)はそれぞれ異なった所定の値を示すものの、装飾フィルム1の上端縁1a1から、その直近に設けられる小穴3までの離間距離Xが0.5mm以下の場合には、同様に装飾フィルム1の端縁からの切り始めに要する力(荷重F)も小さくなり、ばらつきも小さくなる傾向が見られた。他の構成は、前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例7】
【0065】
次に図6を用いて本発明に係る容器の装飾フィルムの第7実施形態の構成について説明する。前記第1実施形態では、破線ラインL1,L2に延長して、ペットボトル容器2の軸方向(図1の上下方向)に沿って複数の小穴5が破線状に開けられた破線ラインL4を設けた構成であるが、本実施形態では、小穴5が破線状に開けられた破線ラインL4を省略して、装飾フィルム1の上端部1a及び下端部1bに、ペットボトル容器2の軸方向(図6の上下方向)に沿って複数の小穴3が破線状に開けられた複数の破線ラインL1,L2のみを該ペットボトル容器2の周方向(図1の左右方向)に沿って設けたものである。他の構成は、前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例8】
【0066】
次に図7を用いて本発明に係る容器の装飾フィルムの第8実施形態の構成について説明する。図7に示す装飾フィルム1は、複数の小穴3が破線状に開けられた複数の破線ラインL1,L2を装飾フィルム1の上端縁1a1から下端縁1b1までの全長に亘って設けたものである。これにより、複数の破線ラインL1,L2に沿って装飾フィルム1を上端縁1a1から下端縁1b1までの全長に亘って容易に且つ確実に破断することが出来る。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【0067】
また、図示しないが、図3(a),(b)に示した複数の破線ラインL1,L2,L3が装飾フィルム1の全長に亘って設けられた場合には、該複数の破線ラインL1,L2,L3に沿って装飾フィルム1を上端縁1a1から下端縁1b1まで容易に破断することが出来る。
【実施例9】
【0068】
次に図8を用いて本発明に係る容器の装飾フィルムの第9実施形態の構成について説明する。本実施形態では、図8(a)に示すように、装飾フィルム1の少なくとも上端部1aがペットボトル容器2のくびれ形状部2aに巻着される場合に該くびれ形状部2aの縮径形状に対応した所定の曲率で複数の破線ラインL1,L2が装飾フィルム1の上端縁1a1に向かって拡張する曲線状に設けられ、該装飾フィルム1が熱収縮によりペットボトル容器2の外周面に巻着された状態で該曲線状の複数の破線ラインL1,L2が図8(b)に示すように、略直線状に遷移するように構成したものである。
【0069】
このように、ペットボトル容器2のくびれ形状部2aの縮径形状に対応した所定の曲率で複数の破線ラインL1,L2が装飾フィルム1の上端縁1a1に向かって拡張する曲線状に設けられ、装飾フィルム1が熱収縮によりペットボトル容器2の外周面に巻着された状態で曲線状の複数の破線ラインL1,L2が略直線状に遷移することで、ペットボトル容器2のくびれ形状部2aにおいても複数の破線ラインL1,L2を略直線状に形成することが出来、これにより指がかかり易く、ペットボトル容器2のくびれ形状部2aに位置する装飾フィルム1の上端縁1a1からの切り始めに要する力を最小限に制御することが出来る。
【0070】
尚、装飾フィルム1の上端部1aがペットボトル容器2のくびれ形状部2aに巻着される場合だけでなく、装飾フィルム1の下端部1b、或いは上下端部1a,1bがペットボトル容器2のくびれ形状部2aに巻着される場合も同様に適用出来る。尚、複数の小穴3が破線状に開けられた破線ラインは少なくとも一列以上あれば同様に適用出来る。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の活用例として、リサイクル可能なペットボトル等の樹脂製容器、スチール製容器、アルミニウム製容器、ガラス製容器等の各種の容器の外周面に巻着される装飾フィルムに適用出来る。
【符号の説明】
【0072】
L1,L2,L3…破線ライン
L4 …他の破線ライン
N…破線ラインの数
P…小穴の離間ピッチ
X…端部からの離間距離
Y…小穴の口径
Z…異なる破線ライン間で直近の小穴の軸方向の離間距離
1 …装飾フィルム
1a …上端部
1a1 …上端縁
1b …下端部
1b1 …下端縁
2 …ペットボトル容器
2a …くびれ形状部
3 …小穴
4 …破断帯
5 …小穴
6 …両面テープ
7 …引っ張り板
8 …粘着テープ
9 …基板
10 …引張試験機
11a〜11d …搬送コロ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の外周面に巻着される装飾フィルムであって、
前記装飾フィルムの少なくとも上端部または下端部、或いは上下端部には、前記容器の軸方向に沿って複数の小穴が破線状に開けられた複数の破線ラインが該容器の周方向に沿って設けられ、
前記複数の破線ラインに属するそれぞれの小穴の位置は前記容器の軸方向において互いにずれた位置に配置され、
前記装飾フィルムの上端縁または下端縁から、その直近に設けられる小穴までの離間距離をX、前記破線ライン上の小穴の離間ピッチをP、前記小穴の前記破線ライン上の口径をY、前記破線ラインの数をN、所定の破線ライン上の小穴と、それに隣接される他の破線ライン上で直近の小穴との前記容器の軸方向における離間距離をZとすると、
0≦X≦Z
且つ
Z=(P/N)−Y≦0.5mm
を満たすことを特徴とする容器の装飾フィルム。
【請求項2】
前記複数の破線ラインが前記容器の周方向に沿って2組設けられ、該2組の破線ラインに沿って帯状に破断し得る破断帯を設けたことを特徴とする請求項1に記載の容器の装飾フィルム。
【請求項3】
前記複数の破線ラインが前記装飾フィルムの全長に亘って設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の容器の装飾フィルム。
【請求項4】
前記容器の周方向における前記複数の破線ラインの間に、前記容器の軸方向に沿って複数の小穴が破線状に開けられた他の破線ラインが前記装飾フィルムの略全長に亘って設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の容器の装飾フィルム。
【請求項5】
容器の外周面に巻着される装飾フィルムであって、
前記装飾フィルムの少なくとも上端部が前記容器のくびれ形状部に巻着される場合に、前記くびれ形状部の縮径形状に対応した所定の曲率で複数の小穴が破線状に開けられた少なくとも一列以上の破線ラインが前記装飾フィルムの端部に向かって拡張する曲線状に設けられ、前記装飾フィルムが熱収縮により前記容器の外周面に巻着された状態で前記曲線状の破線ラインが略直線状に遷移することを特徴とする容器の装飾フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−232789(P2012−232789A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103946(P2011−103946)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(591023859)株式会社千代田グラビヤ (13)
【Fターム(参考)】