説明

容器をブロー成形するための方法および装置

本発明による方法および装置は容器をブロー成形するために用いる。熱可塑性材料から成るパリソンを、まず、ブロー成形型内部の加熱路の領域で搬送経路に沿って熱的にコンディショニングする。次に、ブロー成形型内部でブロー成形圧を作用させることによりパリソンを容器に成形する。熱的なコンディショニングを、重設した複数個の加熱放射器によって行なう。容器のブロー成形に引き続いて、容器の少なくとも1つの高さレベルで壁厚を測定する。前記高さレベルに割り当てられる加熱放射器をその加熱力に関し制御する。制御器に、壁厚の設定値を目標値として供給し、測定した壁厚を実測値として供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器をブロー成形するための方法であって、パリソンを、ブロー成形型内部の加熱路の領域で搬送経路に沿って熱的にコンディショニングした後、ブロー成形圧を作用させることにより容器に成形し、熱的なコンディショニングを、重設した複数個の加熱放射器によって行なうようにした前記方法に関するものである。
さらに本発明は、熱可塑性材料から成る容器をブロー成形するための装置であって、パリソンの搬送経路に沿って配置される少なくとも1つの加熱路と、ブロー成形型を備えたブローステーションとを有し、加熱路が、少なくとも2つの加熱放射器を重設した少なくとも1つの加熱要素を有している前記装置にも関わる。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形圧を作用させて容器を成形する場合、熱可塑性材料(たとえばPET(ポリエチレンテレフタラート))から成っているパリソンは、ブロー成形機内部において種々の加工ステーションに供給される。この種のブロー成形機は、典型的には、加熱装置とブロー成形装置とを有し、ブロー成形装置の領域において、予め温度調整したパリソンを両軸方向に配向することで該パリソンを膨張させ容器を形成させる。膨張は圧縮空気を用いて行われ、圧縮空気は膨張されるパリソンの内部へ導入される。パリソンをこのように膨張させる際の方法技術的なプロセスに関しては特許文献1に説明されている。その冒頭で説明されている、加圧状態にあるガスの導入部は、発生する容器のブローホールに圧力ガスを導入させる部分と、ブロー成形開始時にパリソンに圧力ガスを導入させる部分とを有している。
【0003】
容器を成形するためのブローステーションの基本的な構成に関しては特許文献2に記載されている。また、パリソンを温度調整する可能な態様に関しては特許文献3に説明されている。
【0004】
ブロー成形装置の内部では、パリソンとブロー成形された容器とを種々の操作装置を用いて搬送することができる。特に、パリソンを嵌合させる搬送心棒を使用することは公知である。しかし、他の搬送装置を用いてパリソンを操作することもでき、たとえばパリソンを操作するやっとこの使用、パリソンの保持のために該パリソンの口領域に挿入可能な拡開心棒の使用もその構造的な例である。
【0005】
搬送ホイールを使用した容器の操作はたとえば特許文献4に記載されており、1つの搬送ホイールをブローホイールと搬出路との間に配置し、他の搬送ホイールを加熱路とブローホイールとの間に配置する構成になっている。
【0006】
前述したパリソンの操作にはいわゆる2段階方式で行われるものがある。すなわち、まずパリソンを射出成形法で製造し、次に中間蓄積してその後温度に関しコンディショニングを行い、容器にブロー成形させる。他方いわゆる1段階方式を適用したものもある。この方式では、パリソンを射出成形技術で製造し十分に固化した直後に、適宜温度調整してブロー成形する。
【0007】
使用されるブローステーションに関しては種々の実施態様が知られている。回転搬送ホイール上に配置されるブローステーションの場合には、型担持体を本のように開閉させる構成のものが多い。他方、互いに変位可能な型担持体或いは他の態様で案内される型担持体を使用することも可能である。特に複数のキャビティを収容するのに適している位置固定の型担持体の場合には、互いに平行に配置された板を型担持体として使用するのが通常である。
【0008】
パリソンは、加熱を実施する前に、典型的には搬送心棒上へ差し込まれる。搬送心棒は、パリソンを、ブロー成形機全体を通じて搬送するか、或いは、加熱装置の領域でのみ周回させる。パリソンを直立させて加熱する場合には、すなわちパリソンの口部を鉛直方向下向きに配向させて加熱する場合には、パリソンは通常搬送心棒のスリーブ状の保持要素の上に差し込まれる。パリソンを吊り下げて加熱する場合、すなわちパリソンをその口部が鉛直方向上向きになるように配向して加熱する場合には、通常、パリソンの口部に、パリソンを締め付け固定する拡開心棒が挿入される。
【0009】
ブロー成形技術で容器を成形する場合の主要な課題は、容器の壁に所定の材料分布を達成させることである。得られる材料分布を設定するための主要なパラメータは、ブロー成形前にパリソンに実現されている熱分布を配分することである。
【0010】
熱分布は、典型的には、パリソンの周方向において同一の温度レベルを生じさせ、パリソンの縦方向において温度プロフィールを生じさせるようにして実現される。さらに、パリソンの壁の外側から内側へ向けて適当な温度プロフィールの設定も行なわれる。基本的には、パリソンの、温度がより低い領域が、ブロー成形された容器の、より厚い壁領域になり、パリソンの、より熱い領域が、ブロー成形を実施するときにより大きく引伸ばされ、これによってブロー成形された容器の、より薄い壁領域になるように、するべきである。
【0011】
パリソンの個々の領域の温度はいわゆる高温計を用いて測定することができる。ブロー成形された容器の領域での実際の壁厚を測定技術で検出することは、いわゆる壁厚センサを用いて行なうことができる。壁厚センサはたとえば光学的に或いは音波を使用して作動することができる。
【0012】
パリソンの加熱に使用される加熱要素および個々の加熱放射器の実際の調整は、ブロー成形された容器の領域での壁厚分布の評価にしたがって主に手動で行なわれる。パリソンの搬送方向に直列に多数の加熱要素が配置され、熱補償工程が発生するため、広範囲のテスト作動で調整が適宜手動で行なわれる。テスト作動では、実験的に加熱要素の調整を変化させて、ブロー成形される容器への影響を調べる。この種の処置は通常非常に時間を要することが明らかになっている。また、周囲温度または空気湿度がかなり変動すると、後調整が必要な場合が多い。
【0013】
【特許文献1】独国特許出願公開第4340291号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4212583号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2352926号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19906438号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、冒頭で述べた種類の方法を、少ない機械工学的コストで高品位の加熱が可能であり、同時に高処理量が可能であるように改善することである。
本発明の他の課題は、冒頭で述べた種類の装置を、簡潔な構成と優れた製品品質で高処理量が可能になるように構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題は、本発明による方法によれば、容器のブロー成形に引き続いて、容器の少なくとも1つの高さレベルで壁厚を測定すること、前記高さレベルに割り当てられる加熱放射器をその加熱力に関し制御すること、制御器に、壁厚の設定値を目標値として供給し、測定した壁厚を実測値として供給することによって解決される。
【0016】
壁厚センサを、対応する加熱放射器の高さレベルに直接関連付けられている容器の高さレベルに配置することにより、自動制御の範囲内で、容器の所定の壁厚が正確に達成されるように加熱放射器の熱放射を調整することが可能である。このような制御により、加熱パラメータを手動で調整する必要のない、十分に自動的な作動が可能になる。特に、周囲温度の変化から生じる障害は自動的にコントロールされる。さらに、制御は、生じる壁厚に間接的にしか影響しないパラメータに作用するのではなく、主要な出発パラメータが制御のための実測値として考慮される。
【0017】
ブロー成形された容器の輪郭の高信頼性を達成するため、容器の壁厚測定を複数個の異なる高さレベルで行なう。
【0018】
異なる高さレベルでの壁厚状態を合目的に制御するため、容器の壁厚を測定する少なくとも2対の測定装置と、互いに対応する高さレベルにそれぞれ配置されている複数個の壁厚制御器とを、高さレベル固有の壁厚制御を実施するためにそれぞれ1つの制御回路に組み込む。
【0019】
ブロー成形された容器の品質をさらに改善するため、パリソンの温度測定を行なう。
【0020】
簡潔な制御構成を提供するため、温度制御と壁厚制御とをカスケード制御で行なうことが提案される。
【0021】
壁厚分布をダイレクトに制御するため、温度制御をカスケード制御の内側の制御回路で行い、壁厚制御をカスケード制御の外側の制御回路で行う。
【0022】
使用するすべての加熱要素によりパリソンを熱的に制御するため、パリソンの温度測定を加熱路の後方で行なうことが考慮される。
【0023】
パリソンの材料内部での熱的補償工程を考慮するため、パリソンの搬送方向での該パリソンの温度測定を、加熱路とブローホイールとの間で行なうことが提案される。
【0024】
装置の簡潔な構成を達成するため、搬送方向での壁厚測定をブローホイールの後方で行なう。
【0025】
制御工程を迅速に実施するため、加熱路の加熱要素の一部分だけを壁厚制御器により制御する。
【0026】
制御を実施する際の遅延時間を少なくするため、少なくとも、パリソンの搬送方向において最後の加熱要素を、壁厚制御器により制御する。
【0027】
簡潔な構成は、少なくとも2つの加熱要素を壁厚制御器によりパラレル制御することによって提供される。
【0028】
少なくとも、パリソンの搬送方向において最初の加熱要素は、制御されずに、パリソンの基本温度を生成させることも基本構成の簡潔化に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明の実施形態を添付の図面を用いて詳細に説明する。
図1と図2はパリソン(1)をブロー成形して容器(2)を形成するための装置の基本構成図である。
【0030】
容器(2)の成形装置は実質的にブローステーション(3)から成り、ブローステーション(3)はパリソン(1)を挿着可能なブロー成形型(4)を備えている。パリソン(1)はたとえばポリエチレンテレフタラートから成る射出成形品である。パリソン(1)をブロー成形型(4)に挿着し、且つ完成した容器(2)を取り出すことができるようにするため、ブロー成形型(4)は型半部分(5,6)と底部(7)とから成っている。底部(7)は昇降装置(8)により位置決め可能である。パリソン(1)はブローステーション(3)の領域において搬送心棒(9)によって保持されていてよい。搬送心棒(9)は、パリソン(1)とともに、装置内部の多数の処理ステーションを通過する。他方、パリソン(1)をたとえばやっとこ或いは他の操作手段を介して直接ブロー成形型(4)に挿着するようにしてもよい。
【0031】
圧縮空気の誘導を可能にするため、搬送心棒(9)の下方には接続ピストン(10)が配置されている。接続ピストン(10)はパリソン(1)に圧縮空気を供給するとともに、搬送心棒(9)に対する密封の用をも成す。他方、変形実施形態では、固定の圧縮空気管を使用することも基本的には考えられる。
【0032】
パリソン(1)の引伸ばしは、本実施形態では、引伸ばし棒(11)を用いて行う。引伸ばし棒(11)はシリンダ(12)により位置決めされる。他の実施形態によれば、ピックアップローラによって付勢されるカムセグメントを介して引伸ばし棒(11)の機械的位置決めを行う。カムセグメントの使用は、特に、多数のブローステーション(3)が1つの回転ブロー成形ホイール上に配置されている場合に合目的である。
【0033】
図1に図示した実施形態の場合、引伸ばしシステムは、2つのシリンダ(12)のタンデム配置が可能であるように構成されている。引伸ばし棒(11)は、本来の引伸ばし工程を開始する前に、まず第1次シリンダ(13)によりパリソン(1)の底部(14)の領域まで移動させる。本来の引伸ばし工程を実施している間、引伸ばし棒を走出させた第1次シリンダ(13)は、該第1次シリンダ(13)を担持している往復台(15)とともに第2次シリンダ(16)により位置決めされ、或いはカム制御部を介して位置決めされる。特に、引伸ばし工程を実施している間に曲線軌道に沿って滑動するガイドローラ(17)により実際の引伸ばし位置が設定されるように、第2次シリンダ(16)をカム制御して使用することが考えられる。ガイドローラ(17)は第2次シリンダ(16)により案内軌道に対し押圧される。往復台(15)は2つの案内要素(18)に沿って滑動する。
【0034】
担持体(19,20)の領域に配置される型半部分(5,6)を閉じた後、ロック装置(40)を用いて担持体(19,20)を互いにロックさせる。
【0035】
パリソン(1)の口部分(21)の種々の形状に適合させるため、図2によれば、ブロー成形型(4)の領域に別個のスレッドインサート(22)を使用する。
【0036】
図2はブロー成形された容器(2)に加えて破線でパリソン(1)を示すとともに、成長している容器ブローホール(23)を概略的に図示したものである。
【0037】
図3はブロー成形機の基本構成を示す。ブロー成形機は加熱路(24)と回転ブローホイール(25)とを備えている。パリソン(1)はパリソン装入部(26)を起点として搬送ホイール(27,28,29)により加熱路(24)の領域へ搬送される。加熱路(24)に沿って加熱要素(30)とファン(31)とが配置され、パリソン(1)を温度調整するようになっている。パリソン(1)を十分に温度調整した後、パリソン(1)はブローホイール(25)へ搬送される。ブローホイール(25)の領域にはブローステーション(3)が配置されている。ブロー成形を完了した容器(2)は他の搬送ホイールにより排出路(32)に供給される。
【0038】
容器(2)内に充填される食料品の、特に飲料物の長い有効寿命を保証するような材料特性を容器(2)が有するようにパリソン(1)を容器(2)に成形するには、パリソン(1)の加熱と配向の際に特別な方法ステップを厳守する必要がある。さらに、特殊な寸法規定を厳守することにより有利な成果を得ることができる。
【0039】
熱可塑性材料としては種々のプラスチックを使用することができる。たとえばPET,PENまたはPPを使用できる。
【0040】
配向工程を実施している間のパリソン(1)の膨張は圧縮空気の供給により行う。圧縮空気の供給は、ガス(たとえば圧縮空気)を低圧レベルで供給するブロー成形前段階と、ガスを高圧レベルで供給する次のブロー成形主段階とに分ける。典型的には、ブロー成形前段階を実施している間は10バールないし25バールの範囲の圧力を持った圧縮空気を供給し、ブロー成形主段階を実施している間は25バールないし40バールの範囲の圧力を持った圧縮空気を供給する。
【0041】
図3からわかるように、図示した実施形態の場合、加熱路(24)は周回する多数の搬送要素(33)から形成され、これらの搬送要素(33)はチェーン状に互いに列設され、転向ホイール(34)によって案内されている。特に、チェーン状に配置することにより実質的に長方形の基本輪郭を張るよう想定している。図示した実施形態の場合、加熱路(24)の搬送ホイール(29)側および装入ホイール(35)側の拡がり領域には比較的大きなサイズの単独の転向ホイール(34)が使用され、この領域に隣接している転向領域には比較的小サイズの2つの転向ホイール(36)が使用されている。しかし基本的には他の任意のガイドも考えられる。
【0042】
搬送ホイール(29)と装入ホイール(35)とを互いに可能な限り密に配置することができるようにするにはこの種の配置が特に合目的であることが判明した。というのは、加熱路(24)の対応する拡がり領域には3つの転向ホイール(34,36)が位置決めされ、より厳密に言えば、小さいほうの転向ホイール(36)がそれぞれ加熱路(24)の直線部への移行領域に位置決めされ、大きいほうの転向ホイール(34)が搬送ホイール(29)と装入ホイール(35)とに直接移行する領域に位置決めされているからである。チェーン状の搬送要素(33)を使用する代わりに、たとえば回転加熱ホイールを使用してもよい。
【0043】
容器(2)のブロー成形が終了した後、容器(2)は取り出しホイール(37)によりブローステーション(3)から搬出され、搬送ホイール(28)と搬出ホイール(38)とを介して搬出路(32)へ搬出される。
【0044】
図4に図示した加熱路(24)の変形実施形態では、より多数の加熱要素(30)を設けることにより、単位時間当たりより大量のパリソン(1)を温度調整することができる。この変形実施形態では、ファン(31)が冷却空気を冷却空気管路(39)の領域へ誘導する。冷却空気管路(39)はそれぞれ付設の加熱要素(30)に対向配置され、排流穴を介して冷却空気を放出する。このように排流方向を設定することにより、冷却空気の流動方向は実質的にパリソン(1)の搬送方向に対し横方向に実現される。冷却空気管路(39)は、加熱要素(30)に対向している表面の領域に、加熱放射線のための反射器を備えていてもよい。同様に、放出された冷却空気を介して加熱要素(30)の冷却を行うようにしてもよい。
【0045】
図5は加熱要素(30)の概略構成図である。加熱要素(30)は互いに重設された複数個の放射加熱器(41)を備えている。加熱放射器(41)を使用すると、パリソン(1)の縦軸線(41)の方向に所定の温度プロフィールを生じさせることができる。引伸ばし工程を実施する場合、パリソン(1)の引伸ばし領域(43)に実質的に2軸延伸を付与する。
【0046】
図6は、容器(2)の壁厚を検出するための複数個のセンサ(45)を重設した測定装置(44)の概略構成図である。引伸ばし工程およびブロー成形工程の結果、パリソン(1)の引伸ばし領域(43)は容器(2)の延伸領域(46)に変形される。パリソン(1)の引伸ばし領域(43)は初期長さ(47)を有し、容器(2)の延伸領域(46)は製品長さ(48)を備えている。製品長さ(48)と初期長さ(47)との比は実現引伸ばし係数である。
【0047】
容器(2)は容器縦軸線(49)を有し、その方向に直列にセンサ(45)が配置されている。センサの間隔(50)は加熱放射器の間隔(51)と引伸ばし係数との積から得られる。
【0048】
図7はブロー成形機(52)の概略構成図で、図3の図示に比べてきわめて簡略に図示したものである。パリソン(1)の温度を検知するための温度センサ(53)は、加熱路(24)の領域でのパリソン(1)の搬送方向において加熱要素(30)の後方に配置されている。有利には、温度センサ(53)をブローホイール(25)にできるだけ密接して配置して、パリソン(1)の壁内部での熱補償工程を実施した後に温度検知を行なえるようにするのがよい。温度センサ(53)としてたとえば高温計を使用することができる。特に、パリソン(1)の縦軸線(42)の方向に複数個の温度センサ(53)を重設してパリソン(1)の温度プロフィールを検知してよい。複数個の温度センサ(53)をそれぞれ加熱放射器(41)の高さレベルに位置決めして、個々の加熱放射器(41)をダイレクトに制御できるようにするのが特に有利であることが判明した。
【0049】
図7には、容器(2)の壁厚を検知するための測定装置(44)の配置構成も図示されている。測定装置(44)は、たとえば、ブロー成形した容器(2)をブローホイール(25)の領域から離間させる取出し装置(54)の領域に配置することができる。
【0050】
図8は加熱要素(30)または加熱放射器(41)のための制御システムの概略構成図である。この制御システムはカスケード制御装置として構成されている。外側の制御回路は、ブローステーション(3)の後方で、測定装置(44)を介して、所定の高さレベルで容器(2)の壁厚を検出し、その実測値を壁厚制御器(55)の入力部に送る。壁厚制御器(55)に対する即時入力値は、所定の壁厚と測定で検出した壁厚との制御差である。壁厚制御器(55)の出力値は内側の温度制御回路のための目標値を提供する。
【0051】
温度制御器(56)には、即時制御値として、壁厚制御器(55)の出力値と温度センサ(53)により検出されたパリソン(1)の所定の高さレベルでの温度値との差が送られる。
【0052】
簡単な制御によれば、内側の制御回路を省略し、温度を測定、検出して制御せずに壁厚に関する制御のみを行う。有利には、制御器(55,56)の少なくとも1つに積分動作を持たせて、制御差を回避するのがよい。他の制御態様によれば、パリソン(1)または容器(2)の搬送経路の長さによる制御システムの不感時間挙動を考慮する。この場合、制御量の変動と出力量の変動との間に、搬送速度に依存して既知の遅延があることが考慮される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】パリソンから容器を製造するためのブローステーションの斜視図である。
【図2】パリソンを延伸させ膨張させるブロー成形型の縦断面図である。
【図3】容器をブロー成形するための装置の基本構成を説明するための概略図である。
【図4】加熱容量を増大させた加熱路の実施態様を示す図である。
【図5】複数個の加熱放射器を重設した加熱要素と付設のパリソンとの横断面図である。
【図6】ブロー成形される容器の壁厚を測定するためのセンサ装置の横断面図である。
【図7】加熱路とブローホイールと高温計と壁厚センサとを備えたブロー成形機の原理を説明する図である。
【図8】パリソンの温度を制御し、ブロー成形される容器の壁厚を制御するための制御コンセプトを説明する概略構成図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器をブロー成形するための方法であって、熱可塑性材料から成るパリソンを、ブロー成形型内部の加熱路の領域で搬送経路に沿って熱的にコンディショニングした後、ブロー成形圧を作用させることにより容器に成形し、熱的なコンディショニングを、重設した複数個の加熱放射器によって行なうようにした前記方法において、
容器(2)のブロー成形に引き続いて、容器(2)の少なくとも1つの高さレベルで壁厚を測定すること、
前記高さレベルに割り当てられる加熱放射器(41)をその加熱力に関し制御すること、
制御器に、壁厚の設定値を目標値として供給し、測定した壁厚を実測値として供給すること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
容器(2)の壁厚測定を複数個の異なる高さレベルで行なうことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
容器(2)の壁厚を測定する少なくとも2対の測定装置(44)と、互いに対応する高さレベルにそれぞれ配置されている複数個の壁厚制御器(55)とを、高さレベル固有の壁厚制御を実施するためにそれぞれ1つの制御回路に組み込むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
パリソン(1)の温度測定を行なうことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
温度制御と壁厚制御とをカスケード制御で行なうことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
温度制御をカスケード制御の内側の制御回路で行い、壁厚制御をカスケード制御の外側の制御回路で行うことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
パリソンの温度測定を加熱路(24)の後方で行なうことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
パリソン(1)の搬送方向での該パリソン(1)の温度測定を、加熱路(24)とブローホイール(25)との間で行なうことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
搬送方向での壁厚測定をブローホイール(25)の後方で行なうことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
加熱路(24)の加熱要素(30)の一部分だけを壁厚制御器(55)により制御することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
少なくとも、パリソン(1)の搬送方向において最後の加熱要素(30)を、壁厚制御器(55)により制御することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも2つの加熱要素(30)を壁厚制御器(55)によりパラレル制御することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
少なくとも、パリソン(1)の搬送方向において最初の加熱要素(30)は、制御されずに、パリソン(1)の基本温度を生成させることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
熱可塑性材料から成る容器をブロー成形するための装置であって、パリソンの搬送経路に沿って配置される少なくとも1つの加熱路と、ブロー成形型を備えたブローステーションとを有し、加熱路が、少なくとも2つの加熱放射器を重設した少なくとも1つの加熱要素を有している前記装置において、
加熱放射器(41)が、容器(2)の壁厚を検知するための少なくとも1つのセンサ(45)と接続されている制御器に接続されていること、
センサ(45)が、容器(2)の引伸ばされた領域の長さとパリソン(1)の付属領域の長さとの比によって形成される引伸ばし率を考慮に入れた加熱放射器(41)の高さレベルに相当する高さレベルに配置されていること、
を特徴とする装置。
【請求項15】
複数個のセンサ(45)が互いに異なる高さレベルに配置されていることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
それぞれ異なる高さレベルに付設されている、センサ(45)と加熱放射器(41)との対が、それぞれの高さレベルに割り当てられた制御回路内に配置されていることを特徴とする、請求項14または15に記載の装置。
【請求項17】
制御器が少なくとも1つの温度センサ(53)を有していることを特徴とする、請求項14から16までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項18】
少なくとも1つの温度センサ(53)と壁厚測定用の少なくとも1つのセンサ(45)とが壁厚制御器(55)および温度制御器(56)とともにカスケード制御装置内に配置されていることを特徴とする、請求項14から17までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項19】
温度センサ(53)と温度制御器(56)とがカスケード装置の内側の制御回路内に配置され、壁厚制御用のセンサ(45)と壁厚制御器(55)とがカスケード制御装置の外側の制御回路の一部を形成していることを特徴とする、請求項14から18までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項20】
温度センサ(53)がパリソン(1)の搬送方向において加熱路(24)の後方に配置されていることを特徴とする、請求項14から19までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項21】
温度センサ(53)がパリソン(1)の搬送方向において加熱路(24)とブローホイール(25)との間に配置されていることを特徴とする、請求項14から20までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項22】
壁厚測定用のセンサ(45)がパリソン(1)の搬送方向においてブローホイール(25)の後方に配置されていることを特徴とする、請求項14から21までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項23】
加熱路(24)の加熱要素(30)の一部部のみが壁厚制御回路内に配置されていることを特徴とする、請求項14から22までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項24】
少なくとも、パリソン(1)の搬送方向において最後の加熱要素(30)が、壁厚制御回路の一部として構成されていることを特徴とする、請求項14から23までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項25】
異なる加熱要素(30)の、同じ高さレベルに配置されている少なくとも2つの加熱放射器(41)が、壁厚制御回路によってパラレル制御されていることを特徴とする、請求項14から24までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項26】
少なくとも、パリソン(1)の搬送方向において最初の加熱要素(30)が、壁厚制御回路の外側に配置されていることを特徴とする、請求項14から25までのいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−531196(P2009−531196A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501830(P2009−501830)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際出願番号】PCT/DE2007/000331
【国際公開番号】WO2007/110018
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(509017365)カーハーエス コーポプラスト ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (15)
【Fターム(参考)】