容器を封止する蓋体
【課題】湯切り部の強度を増加して破断しにくい蓋体を提供する。
【解決手段】基材及び表面材を剥離可能に積層し、当該基材側からハーフカットを設けて形成され、容器の開口部に当該基材をシールして当該容器を封止し、当該表面材を所定の領域に渡って剥離することによって、当該基材のハーフカットの内側部分を当該表面材に随伴して除去し、湯切り孔を現出させる蓋体であって、基材は、延伸ポリエチレンの層を含む積層体である。
【解決手段】基材及び表面材を剥離可能に積層し、当該基材側からハーフカットを設けて形成され、容器の開口部に当該基材をシールして当該容器を封止し、当該表面材を所定の領域に渡って剥離することによって、当該基材のハーフカットの内側部分を当該表面材に随伴して除去し、湯切り孔を現出させる蓋体であって、基材は、延伸ポリエチレンの層を含む積層体である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の容器を封止するための蓋体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カップ入り即席焼きそば、カップ入り即席スパゲティ等の食品は、喫食に際して、熱湯を注ぎ、所定時間経過後に、排湯することによって、熱湯処理や加熱を行う必要がある。これらの乾燥麺のような熱湯処理が必要な加工食品の容器の蓋体として、排湯用の湯切り孔を設けたものが知られている。例えば特許文献1は図13に示す蓋体901を開示している。図14は、図13におけるB−B´線に沿った、蓋体901及び容器920の断面図である。蓋体901は、容器920の開口部周縁にシールされて容器920を封止している。蓋体901は、容器920にシールされる基材902と、基材902と剥離可能に積層された表面材903とからなる積層体で形成されている。
【0003】
蓋体901の周縁部の1箇所には、開封用タブ904が設けられている。また、蓋体901の表面材903から基材902の内部にまで至る剥離用ハーフカット905が形成されている。また、剥離用ハーフカット905を挟んで開封用タブ904の反対側には、蓋体901の基材902側から、孔形状の湯切り孔用ハーフカット906が形成されているとともに周縁部の1箇所に剥離用タブ907が設けられている。
【0004】
熱湯処理の手順の一例を説明する。まず、開封用タブ904をつまんで、蓋体901を基材902ごと容器920から剥がして、部分的に開封して注湯した後、開封用タブ904を元の状態に戻して再び蓋を閉じ、容器内に収容された乾燥麺などの加工食品の湯戻し(蒸らし)を行なう。する。その後、剥離用タブ907をつまんで、蓋体901の表面材903を部分的に剥離して除去する。この際、表面材903の剥離は、剥離用ハーフカット905を超えて進行することはない。また、基材902のうち、湯切り孔用ハーフカット906に囲まれた部分については、表面材903に随伴して除去される。これにより、図14の一点鎖線で囲んだ部分は、湯切り孔が形成された基材902のみが容器に残り、湯切り部908が形成される。最後に、湯切り孔から排湯して、湯切り部908を含む蓋体901全体を容器920から除去することで、熱湯処理された食品が喫食可能となる。
【0005】
図15は、図14において一点鎖線で囲んだ領域に含まれる蓋体901の拡大図である。図15を参照して、このような従来の蓋体901の層構成の一例を説明する。蓋体901の表面材903は、容器920の外方となる側から内方に向かって、PET(ポリエチレンテレフタレート)/PE(ポリエチレン)の層構成を有している。また、蓋体901の基材902は、表面材903に接する側から、容器920の内方に向かって、紙層/PE/アルミ箔/シーラントの層構成を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4369713号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の蓋体においては、基材の強度が不十分であり、破断しやすいという課題があった。例えば、排湯時に湯切り孔間の部分が破断して孔径が拡大し、食品まで流出してしまうことがあった。また、喫食事に湯切り部を引っ張って容器から除去する際、引っ張った部分が破断し、容器とシールされた部分が残存し、喫食に支障を来たすことがあった。
【0008】
それ故に、本発明の目的は、湯切り部の強度を増加して破断しにくい蓋体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シート状の基材及び表面材を剥離可能に積層し、当該基材の一部に当該基材を貫通する環状のハーフカットを複数設け、当該基材の一部を覆う当該表面材の一部を剥離することによって、当該基材に複数の湯切り孔が現出する蓋体であって、基材は、延伸PE(ポリエチレン)の層を含む積層体である。
【0010】
また、表面材は、表面から順にPET/接着剤/印刷層/紙層/目止めニス層/剥離ニス層の層構成を含み、基材は、表面材に接する側から順にPE/延伸PE/接着剤/アルミ箔/シーラントの層構成を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、湯切り部の強度を増加でき、破断しにくい蓋体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1及び第2の実施形態に係る蓋体の平面図
【図2】本発明の第1及び第2の実施形態に係る蓋体の底面図
【図3】本発明の第1及び第2の実施形態に係る蓋体及び容器の斜視図
【図4】本発明の第1及び第2の実施形態に係る蓋体及び容器の断面図
【図5】本発明の第1の実施形態に係る蓋体の拡大断面図
【図6】本発明の第1及び第2の実施形態に係る蓋体の使用状態を示す図
【図7】本発明の第1及び第2の実施形態に係る蓋体の使用状態を示す図
【図8】本発明の第1及び第2の実施形態に係る蓋体の使用状態を示す図
【図9】本発明の第2の実施形態に係る蓋体の拡大断面図
【図10】本発明の蓋体の他の一例の平面図
【図11】本発明の蓋体の他の一例の平面図
【図12】本発明の蓋体の他の一例の使用状態を示す図
【図13】従来の蓋体の平面図
【図14】従来の蓋体及び容器の断面図
【図15】従来の蓋体の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下に本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る蓋体101の平面図である。また、図2は蓋体101の底面図である。また図3は、蓋体101と、蓋体101がシールされた容器120の斜視図である。また、図4は、図3に示したA−A´線に沿った蓋体101及び容器120の断面図である。蓋体101は、容器120の開口部周縁にシールされており、容器120を封止している。また、蓋体101は、容器120にシールされる基材102と、基材102と剥離可能に積層された表面材103とからなる積層体で形成されている。
【0014】
図5は、図4において一点鎖線で囲んだ箇所を模式的に拡大した拡大断面図である。蓋体101の層構成を図5を参照して説明する。蓋体101の表面材103は、容器120の外方となる側から内方に向かって、PET(ポリエチレンテレフタレート)/接着剤/印刷層/紙層/目止めニス層/剥離ニス層の層構成を有している。また、蓋体101の基材102は、表面材103に接する側から、容器120の内方に向かって、PE/延伸PE(ポリエチレン)/接着剤/アルミ箔/シーラントの層構成を有している。本実施形態では、シーラント層として、LTS(低温シーラント)を用いているが、他のシーラントを用いてもよい。
【0015】
剥離ニスは、例えば、ワックス系、ポリアミド系、シリコン系、アクリル系の樹脂系のものが好適に用いられる。また、剥離ニスの紙への含浸を防止するために、剥離ニス層と紙層との間に目止めニス層が設けられている。目止めニスは、例えば、硝化綿系、ウレタン系、ワックス系、ポリアミド系、シリコン系、アクリル系の樹脂系のものが好適に用いられる。
【0016】
図1及び図2を参照して、蓋体101の形状を説明する。蓋体101の周縁部の1箇所に、開封用タブ104が設けられている。開封用タブ104にはハーフカットは形成されておらず、開封用タブ104に加えた力が基材102にも伝わるため、開封用タブ104をつまんで捲くることで、蓋体101を基材102ごと、容器120から引き剥がして開封(開口)することができる。また、表面材103に含まれる紙層には、剥離用ミシン目105が形成されている。さらに、剥離用ミシン目105を挟んで開封用タブ104の反対側には、蓋体101の基材102側から、円形状の湯切り孔用ハーフカット106が形成されているとともに、周縁部に剥離用タブ107が設けられている。剥離用タブ107は、剥離用ミシン目105に近接する位置に設けられている。剥離用タブ107と蓋体101との接続部分には、基材102を切断する剥離開始用ハーフカット109が形成されている。
【0017】
熱湯処理の手順の一例を説明する。まず、開封用タブ104をめくり、図6に示すように、蓋体101を基材102ごと容器120から剥がして、部分的に開封する。そして注湯後、蓋体101の開いた部分を再度押さえて、開封口から熱が逃げるのを抑制し、所定時間待つ。次に、図7に示すように、剥離用タブ107をめくると、剥離開始用ハーフカット109から、基材102と表面材103との剥離が開始され、表面材103が剥離用ミシン目105に沿って切断されながら、完全に剥離される。この際、基材102の湯切り孔用ハーフカット106に囲まれた部分については、表面材103に随伴して除去されるため、容器120に残った基材102には湯切り孔110が形成される。すなわち、蓋体101の湯切り孔用ハーフカット106が形成された領域(図7の一点鎖線で囲んだ部分)の表面材103を剥離することで、当該領域に基材102のみからなる湯切り部108が形成される。最後に、図8に示すように、湯切り孔110から排湯して、湯切り部108を含む蓋体101全体を容器120から除去することで、熱湯処理された食品が喫食可能となる。
【0018】
本実施形態に係る蓋体101では、基材102に強度を有する延伸PEを用いることにより、湯切り部108を破断しにくくすることができる。
【0019】
(第2の実施形態)
以下に本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る蓋体201及び蓋体201がシールされた容器の形状は、第1の実施形態と同様である。そのため、蓋体201の平面図及び底面図、蓋体201及び容器の斜視図及び断面図は、それぞれ図1〜4と同様である。図9に、図5と同様、蓋体201の層構成を示す拡大断面図を示す。本実施形態の蓋体201では、表面材203側に剥離用ハーフカット205が形成されており、紙層に剥離用ミシン目105が形成されている第1の実施形態と、この点で異なる。湯切り孔用ハーフカット206は、第1の実施形態の湯切り孔用ハーフカット106と同様である。
【0020】
本実施形態に係る蓋体201では、熱湯処理を行う際、剥離用ハーフカット205に沿って、表面材203を除去することで、湯切り部が形成される。第1の実施形態においては、表面材103のうち、紙層にのみ剥離用ミシン目105が入っており、表面材103のPET層は剥離用ミシン目105を跨いでつながっている。このPET層のつながりや異方性の影響により、表面材103を剥離する際、剥離用ミシン目105からずれて位置で表面材103が切断され、切断箇所が乱れるおそれがあった。これに対して、本実施形態に係る蓋体201では、表面材203に剥離用ハーフカット205が形成されているため、表面材203を剥離する際、表面材203を剥離用ハーフカット205に沿って容易に除去することができる。
【0021】
また、蓋体の形状として、図1及び図2に示すものの他、剥離タブの位置や個数、湯切り孔の位置、形状及び個数、剥離用ハーフカットの位置や形状の態様等について、多様なバリエーションが存在するが、いずれの形状と上述の各層構成とを組み合わせてもよい。バリエーションの例として、図10及び図11に蓋体701を示す。図10は本実施形態に係る蓋体701の平面図である。また、図11は蓋体701の底面図である。蓋体701では、剥離用タブ707と剥離開始用ハーフカット709は、蓋体701の中心部を挟んで、開封用タブ704のちょうど対向位置に設けられている。また、剥離用ハーフカット705は、剥離用タブ707を取り囲む曲線形状で設けられている。蓋体701においても、図12に示すように、蓋体101と同様、剥離用タブ707をめくることによって、表面材703が剥離用ハーフカット705に沿って切断されながら、完全に剥離される。この際、基材702の湯切り孔用ハーフカット706に囲まれた部分については、表面材703に随伴して除去されるため、容器720に残った基材702には湯切り孔710が形成される。
【0022】
以上のように、本発明では、基材に強度を有する延伸PEを用いることにより、蓋体の湯切り部を破断しにくくすることができる。これにより、排湯時に湯切り孔間の部分が破断して孔径が拡大して食品が流出することを防ぐことができる。また、湯切り部を引っ張って容器から除去する際、湯切り部が残存して喫食に支障を来たすことを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、食品等の容器を封止するための蓋体に有用である。
【符号の説明】
【0024】
101、201、701、901 蓋体
102、202、702、902 基材
103、203、703、903 表面材
104、704、904 開封用タブ
105 剥離用ミシン目
205、705、905 剥離用ハーフカット
106、206、706、906 湯切り孔用ハーフカット
107、707、907 剥離用タブ
108、708、908 湯切り部
109、709 剥離開始用ハーフカット
110、710 湯切り孔
120、720、920 容器
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の容器を封止するための蓋体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カップ入り即席焼きそば、カップ入り即席スパゲティ等の食品は、喫食に際して、熱湯を注ぎ、所定時間経過後に、排湯することによって、熱湯処理や加熱を行う必要がある。これらの乾燥麺のような熱湯処理が必要な加工食品の容器の蓋体として、排湯用の湯切り孔を設けたものが知られている。例えば特許文献1は図13に示す蓋体901を開示している。図14は、図13におけるB−B´線に沿った、蓋体901及び容器920の断面図である。蓋体901は、容器920の開口部周縁にシールされて容器920を封止している。蓋体901は、容器920にシールされる基材902と、基材902と剥離可能に積層された表面材903とからなる積層体で形成されている。
【0003】
蓋体901の周縁部の1箇所には、開封用タブ904が設けられている。また、蓋体901の表面材903から基材902の内部にまで至る剥離用ハーフカット905が形成されている。また、剥離用ハーフカット905を挟んで開封用タブ904の反対側には、蓋体901の基材902側から、孔形状の湯切り孔用ハーフカット906が形成されているとともに周縁部の1箇所に剥離用タブ907が設けられている。
【0004】
熱湯処理の手順の一例を説明する。まず、開封用タブ904をつまんで、蓋体901を基材902ごと容器920から剥がして、部分的に開封して注湯した後、開封用タブ904を元の状態に戻して再び蓋を閉じ、容器内に収容された乾燥麺などの加工食品の湯戻し(蒸らし)を行なう。する。その後、剥離用タブ907をつまんで、蓋体901の表面材903を部分的に剥離して除去する。この際、表面材903の剥離は、剥離用ハーフカット905を超えて進行することはない。また、基材902のうち、湯切り孔用ハーフカット906に囲まれた部分については、表面材903に随伴して除去される。これにより、図14の一点鎖線で囲んだ部分は、湯切り孔が形成された基材902のみが容器に残り、湯切り部908が形成される。最後に、湯切り孔から排湯して、湯切り部908を含む蓋体901全体を容器920から除去することで、熱湯処理された食品が喫食可能となる。
【0005】
図15は、図14において一点鎖線で囲んだ領域に含まれる蓋体901の拡大図である。図15を参照して、このような従来の蓋体901の層構成の一例を説明する。蓋体901の表面材903は、容器920の外方となる側から内方に向かって、PET(ポリエチレンテレフタレート)/PE(ポリエチレン)の層構成を有している。また、蓋体901の基材902は、表面材903に接する側から、容器920の内方に向かって、紙層/PE/アルミ箔/シーラントの層構成を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4369713号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の蓋体においては、基材の強度が不十分であり、破断しやすいという課題があった。例えば、排湯時に湯切り孔間の部分が破断して孔径が拡大し、食品まで流出してしまうことがあった。また、喫食事に湯切り部を引っ張って容器から除去する際、引っ張った部分が破断し、容器とシールされた部分が残存し、喫食に支障を来たすことがあった。
【0008】
それ故に、本発明の目的は、湯切り部の強度を増加して破断しにくい蓋体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シート状の基材及び表面材を剥離可能に積層し、当該基材の一部に当該基材を貫通する環状のハーフカットを複数設け、当該基材の一部を覆う当該表面材の一部を剥離することによって、当該基材に複数の湯切り孔が現出する蓋体であって、基材は、延伸PE(ポリエチレン)の層を含む積層体である。
【0010】
また、表面材は、表面から順にPET/接着剤/印刷層/紙層/目止めニス層/剥離ニス層の層構成を含み、基材は、表面材に接する側から順にPE/延伸PE/接着剤/アルミ箔/シーラントの層構成を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、湯切り部の強度を増加でき、破断しにくい蓋体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1及び第2の実施形態に係る蓋体の平面図
【図2】本発明の第1及び第2の実施形態に係る蓋体の底面図
【図3】本発明の第1及び第2の実施形態に係る蓋体及び容器の斜視図
【図4】本発明の第1及び第2の実施形態に係る蓋体及び容器の断面図
【図5】本発明の第1の実施形態に係る蓋体の拡大断面図
【図6】本発明の第1及び第2の実施形態に係る蓋体の使用状態を示す図
【図7】本発明の第1及び第2の実施形態に係る蓋体の使用状態を示す図
【図8】本発明の第1及び第2の実施形態に係る蓋体の使用状態を示す図
【図9】本発明の第2の実施形態に係る蓋体の拡大断面図
【図10】本発明の蓋体の他の一例の平面図
【図11】本発明の蓋体の他の一例の平面図
【図12】本発明の蓋体の他の一例の使用状態を示す図
【図13】従来の蓋体の平面図
【図14】従来の蓋体及び容器の断面図
【図15】従来の蓋体の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下に本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る蓋体101の平面図である。また、図2は蓋体101の底面図である。また図3は、蓋体101と、蓋体101がシールされた容器120の斜視図である。また、図4は、図3に示したA−A´線に沿った蓋体101及び容器120の断面図である。蓋体101は、容器120の開口部周縁にシールされており、容器120を封止している。また、蓋体101は、容器120にシールされる基材102と、基材102と剥離可能に積層された表面材103とからなる積層体で形成されている。
【0014】
図5は、図4において一点鎖線で囲んだ箇所を模式的に拡大した拡大断面図である。蓋体101の層構成を図5を参照して説明する。蓋体101の表面材103は、容器120の外方となる側から内方に向かって、PET(ポリエチレンテレフタレート)/接着剤/印刷層/紙層/目止めニス層/剥離ニス層の層構成を有している。また、蓋体101の基材102は、表面材103に接する側から、容器120の内方に向かって、PE/延伸PE(ポリエチレン)/接着剤/アルミ箔/シーラントの層構成を有している。本実施形態では、シーラント層として、LTS(低温シーラント)を用いているが、他のシーラントを用いてもよい。
【0015】
剥離ニスは、例えば、ワックス系、ポリアミド系、シリコン系、アクリル系の樹脂系のものが好適に用いられる。また、剥離ニスの紙への含浸を防止するために、剥離ニス層と紙層との間に目止めニス層が設けられている。目止めニスは、例えば、硝化綿系、ウレタン系、ワックス系、ポリアミド系、シリコン系、アクリル系の樹脂系のものが好適に用いられる。
【0016】
図1及び図2を参照して、蓋体101の形状を説明する。蓋体101の周縁部の1箇所に、開封用タブ104が設けられている。開封用タブ104にはハーフカットは形成されておらず、開封用タブ104に加えた力が基材102にも伝わるため、開封用タブ104をつまんで捲くることで、蓋体101を基材102ごと、容器120から引き剥がして開封(開口)することができる。また、表面材103に含まれる紙層には、剥離用ミシン目105が形成されている。さらに、剥離用ミシン目105を挟んで開封用タブ104の反対側には、蓋体101の基材102側から、円形状の湯切り孔用ハーフカット106が形成されているとともに、周縁部に剥離用タブ107が設けられている。剥離用タブ107は、剥離用ミシン目105に近接する位置に設けられている。剥離用タブ107と蓋体101との接続部分には、基材102を切断する剥離開始用ハーフカット109が形成されている。
【0017】
熱湯処理の手順の一例を説明する。まず、開封用タブ104をめくり、図6に示すように、蓋体101を基材102ごと容器120から剥がして、部分的に開封する。そして注湯後、蓋体101の開いた部分を再度押さえて、開封口から熱が逃げるのを抑制し、所定時間待つ。次に、図7に示すように、剥離用タブ107をめくると、剥離開始用ハーフカット109から、基材102と表面材103との剥離が開始され、表面材103が剥離用ミシン目105に沿って切断されながら、完全に剥離される。この際、基材102の湯切り孔用ハーフカット106に囲まれた部分については、表面材103に随伴して除去されるため、容器120に残った基材102には湯切り孔110が形成される。すなわち、蓋体101の湯切り孔用ハーフカット106が形成された領域(図7の一点鎖線で囲んだ部分)の表面材103を剥離することで、当該領域に基材102のみからなる湯切り部108が形成される。最後に、図8に示すように、湯切り孔110から排湯して、湯切り部108を含む蓋体101全体を容器120から除去することで、熱湯処理された食品が喫食可能となる。
【0018】
本実施形態に係る蓋体101では、基材102に強度を有する延伸PEを用いることにより、湯切り部108を破断しにくくすることができる。
【0019】
(第2の実施形態)
以下に本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る蓋体201及び蓋体201がシールされた容器の形状は、第1の実施形態と同様である。そのため、蓋体201の平面図及び底面図、蓋体201及び容器の斜視図及び断面図は、それぞれ図1〜4と同様である。図9に、図5と同様、蓋体201の層構成を示す拡大断面図を示す。本実施形態の蓋体201では、表面材203側に剥離用ハーフカット205が形成されており、紙層に剥離用ミシン目105が形成されている第1の実施形態と、この点で異なる。湯切り孔用ハーフカット206は、第1の実施形態の湯切り孔用ハーフカット106と同様である。
【0020】
本実施形態に係る蓋体201では、熱湯処理を行う際、剥離用ハーフカット205に沿って、表面材203を除去することで、湯切り部が形成される。第1の実施形態においては、表面材103のうち、紙層にのみ剥離用ミシン目105が入っており、表面材103のPET層は剥離用ミシン目105を跨いでつながっている。このPET層のつながりや異方性の影響により、表面材103を剥離する際、剥離用ミシン目105からずれて位置で表面材103が切断され、切断箇所が乱れるおそれがあった。これに対して、本実施形態に係る蓋体201では、表面材203に剥離用ハーフカット205が形成されているため、表面材203を剥離する際、表面材203を剥離用ハーフカット205に沿って容易に除去することができる。
【0021】
また、蓋体の形状として、図1及び図2に示すものの他、剥離タブの位置や個数、湯切り孔の位置、形状及び個数、剥離用ハーフカットの位置や形状の態様等について、多様なバリエーションが存在するが、いずれの形状と上述の各層構成とを組み合わせてもよい。バリエーションの例として、図10及び図11に蓋体701を示す。図10は本実施形態に係る蓋体701の平面図である。また、図11は蓋体701の底面図である。蓋体701では、剥離用タブ707と剥離開始用ハーフカット709は、蓋体701の中心部を挟んで、開封用タブ704のちょうど対向位置に設けられている。また、剥離用ハーフカット705は、剥離用タブ707を取り囲む曲線形状で設けられている。蓋体701においても、図12に示すように、蓋体101と同様、剥離用タブ707をめくることによって、表面材703が剥離用ハーフカット705に沿って切断されながら、完全に剥離される。この際、基材702の湯切り孔用ハーフカット706に囲まれた部分については、表面材703に随伴して除去されるため、容器720に残った基材702には湯切り孔710が形成される。
【0022】
以上のように、本発明では、基材に強度を有する延伸PEを用いることにより、蓋体の湯切り部を破断しにくくすることができる。これにより、排湯時に湯切り孔間の部分が破断して孔径が拡大して食品が流出することを防ぐことができる。また、湯切り部を引っ張って容器から除去する際、湯切り部が残存して喫食に支障を来たすことを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、食品等の容器を封止するための蓋体に有用である。
【符号の説明】
【0024】
101、201、701、901 蓋体
102、202、702、902 基材
103、203、703、903 表面材
104、704、904 開封用タブ
105 剥離用ミシン目
205、705、905 剥離用ハーフカット
106、206、706、906 湯切り孔用ハーフカット
107、707、907 剥離用タブ
108、708、908 湯切り部
109、709 剥離開始用ハーフカット
110、710 湯切り孔
120、720、920 容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の基材及び表面材を剥離可能に積層し、当該基材の一部に当該基材を貫通する環状のハーフカットを複数設け、当該基材の一部を覆う当該表面材の一部を剥離することによって、当該基材に複数の湯切り孔が現出する蓋体であって、
前記基材は、延伸ポリエチレンの層を含む積層体である、蓋体。
【請求項2】
前記表面材は、表面から順にポリエチレンテレフタレート/接着剤/印刷層/紙層/目止めニス層/剥離ニス層の層構成を含み、
前記基材は、前記表面材に接する側から順にポリエチレン/延伸ポリエチレン/接着剤/アルミ箔/シーラントの層構成を含む、請求項1に記載の蓋体。
【請求項1】
シート状の基材及び表面材を剥離可能に積層し、当該基材の一部に当該基材を貫通する環状のハーフカットを複数設け、当該基材の一部を覆う当該表面材の一部を剥離することによって、当該基材に複数の湯切り孔が現出する蓋体であって、
前記基材は、延伸ポリエチレンの層を含む積層体である、蓋体。
【請求項2】
前記表面材は、表面から順にポリエチレンテレフタレート/接着剤/印刷層/紙層/目止めニス層/剥離ニス層の層構成を含み、
前記基材は、前記表面材に接する側から順にポリエチレン/延伸ポリエチレン/接着剤/アルミ箔/シーラントの層構成を含む、請求項1に記載の蓋体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−51636(P2012−51636A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198060(P2010−198060)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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