説明

容器保持具

【課題】顕微撮像装置の対物レンズに対して試料容器を光軸方向及び光軸に直交する方向の3軸方向に簡単、かつ、迅速に位置調整することを可能にした容器保持具を提供すること。
【解決手段】顕微撮像装置に設置或いは取り付け、試料容器の少なくとも一つの試料保持部に保持された試料の撮像或いは観察に使用される容器保持具1。試料容器5を収容する容器収容部材2と、顕微撮像装置の対物レンズに対して位置決めされる位置決め部4cを有し、容器収容部材に着脱自在に組み付けて試料容器を容器収容部材に対して位置決めする位置決め部材4とを備え、位置決め部材によって試料容器を対物レンズの光軸方向に位置決めすると共に、位置決め部によって試料容器を対物レンズの光軸に直交する方向に位置決めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微撮像装置に設置或いは取り付け、試料容器に保持された試料の撮像或いは観察に使用する容器保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生化学分野や病理学分野において、例えば、生体試料を顕微撮像装置によって撮像或いは観察する場合、生体試料を保持した試料容器をステージに設置或いはステージに載せるベース部に取り付けて撮像等を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−107364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような生体試料の撮像や観察に用いられる試料容器は、顕微撮像装置と光学的に結合させて試料容器内の試料を明瞭に撮像或いは観察するため、顕微撮像装置のステージに設置する都度、対物レンズに対してステージ面に沿った平面方向並びにステージ面に直交する光軸方向の位置調整を必要とする。しかし、この位置調整は、熟練を必要とするうえ調整に時間が掛かり、誰でも簡単にできるものではないという問題があった。しかも、複数の試料を長期間に亘って観察し、撮像する場合、顕微撮像装置は、複数の試料容器を順次交換しながらステージに設置しなければならないことがあり、平面方向並びに光軸方向の位置調整の作業が煩雑になるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、顕微撮像装置の対物レンズに対して試料容器を光軸方向及び光軸に直交する方向の3軸方向に簡単、かつ、迅速に位置調整することを可能にした容器保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る容器保持具は、顕微撮像装置に設置或いは取り付け、試料容器の少なくとも一つの試料保持部に保持された試料の撮像或いは観察に使用される容器保持具であって、前記試料容器を収容する容器収容部材と、前記顕微撮像装置の対物レンズに対して位置決めされる位置決め部を有し、前記容器収容部材に着脱自在に組み付けて前記試料容器を前記容器収容部材に対して位置決めする位置決め部材と、を備え、前記位置決め部材によって前記試料容器を前記対物レンズの光軸方向に位置決めすると共に、前記位置決め部によって前記試料容器を前記対物レンズの光軸に直交する方向に位置決めすることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る容器保持具は、上記の発明において、前記容器収容部材は、底壁と、内周に雌ねじ部が形成された側壁とを有し、前記位置決め部材は、前記雌ねじ部に螺合する雄ねじ部が外周に形成され、前記位置決め部が前記対物レンズの先端が係合すると共に、外部からの光を遮光して前記試料が発する光を前記対物レンズへ導く遮光孔であることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る容器保持具は、上記の発明において、前記遮光孔は、内周に雌ねじ部が形成され、前記顕微撮像装置は、前記対物レンズのレンズホルダ外周に形成され、前記遮光孔の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を有することを特徴とする。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項4に係る容器保持具は、顕微撮像装置に設置或いは取り付け、試料容器の少なくとも一つの試料保持部に保持された試料の撮像或いは観察に使用される容器保持具であって、前記試料容器を収容する容器収容部材と、前記容器収容部材に着脱自在に組み付けて前記試料容器を前記容器収容部材に対して位置決めする前記顕微撮像装置の対物レンズと、を備え前記対物レンズによって前記試料容器を光軸方向並びに光軸に直交する方向に位置決めすることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る容器保持具は、上記の発明において、前記容器収容部材は、底壁と、内面に雌ねじ部が形成された側壁とを有し、前記対物レンズは、前記雌ねじ部に螺合する雄ねじ部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る容器保持具は、上記の発明において、前記容器収容部材は、前記底壁に前記顕微撮像装置との間の位置ずれを防止するずれ防止手段が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る容器保持具は、上記の発明において、前記位置決め部材は、前記試料が発する光を所定位置に結像させる結像手段が前記遮光孔に設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に係る容器保持具は、上記の発明において、前記結像手段は、凸レンズ又は一端にマイクロレンズを有する複数の光ファイバ束であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に係る容器保持具は、上記の発明において、前記結像手段は、焦点距離、拡大倍率或いは視野角の少なくとも一つを変更する変更機構を有していることを特徴とする。
【0015】
また、請求項10に係る容器保持具は、上記の発明において、更に、前記試料の発する光を表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項11に係る容器保持具は、上記の発明において、更に、加熱手段を備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項12に係る容器保持具は、上記の発明において、更に、前記試料の培養に必要な流体を前記試料容器に循環させる流体循環手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる容器保持具は、位置決め部材によって試料容器を顕微撮像装置の対物レンズに対して光軸方向に位置決めすると共に、位置決め部によって前記試料容器を前記対物レンズに対して光軸に直交する方向に位置決めするので、試料容器を対物レンズに対して光軸方向及び光軸に直交する方向の3軸方向に簡単、かつ、迅速に位置調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施の形態1)
以下、本発明の容器保持具にかかる実施の形態1について、図1〜図11を参照しつつ詳細に説明する。図1は、実施の形態1にかかる容器保持具を示す斜視図である。図2は、実施の形態1にかかる容器保持具で使用する容器収容部材の断面図である。図3は、実施の形態1にかかる容器保持具で使用する位置決め部材の斜視図である。図4は、実施の形態1にかかる容器保持具の組み付け状態を示す分解斜視図である。
【0020】
容器保持具1は、図1に示すように、容器収容部材2と位置決め部材4とを備え、試料容器5に保持された試料を顕微撮像装置で撮像或いは観察する際に使用される。
【0021】
容器収容部材2は、試料容器5を交換自在に収容するもので、図2及び図4に示すように、底壁2aと側壁2bとを有し、底壁2aと側壁2bとによって形成される空間に試料容器5を収容する。側壁2bは、上部に開口2cを有し、内面の高さ方向略中央まで雌ねじ部2dが形成されている。
【0022】
位置決め部材4は、容器収容部材2に着脱自在に組み付けて試料容器5を容器収容部材2に対して位置決めする。位置決め部材4は、図1及び図3に示すように、円筒状の本体4aの外周に雌ねじ部2dに螺合する雄ねじ部4bが形成され、容器保持具1外部からの光を遮光して試料容器5に保持された試料が発する生物発光や化学発光による光を顕微撮像装置へ導く遮光孔4cが中央に形成されている。遮光孔4cは、顕微撮像装置8の対物レンズ8bに対して位置決めする位置決め部となり、内面が黒色に塗装されている。
【0023】
ここで、試料容器5は、内皿5aに外皿5bが被せられた透明素材からなる容器(シャーレ)であり、内部に細胞等の生体試料が保持されている。
【0024】
このように構成される容器保持具1は、図4に示すように、試料容器5を開口2cから容器収容部材2に収容した後、位置決め部材4を被せて雄ねじ部4bを雌ねじ部2dに螺合し、位置決め部材4を組み付ける。これにより、容器保持具1は、底壁2aと位置決め部材4とによって試料容器5を挟み込み、試料容器5を容器収容部材2の底壁2aに対して一定の位置に位置決めする。
【0025】
このようにして試料容器5を位置決めした容器保持具1は、図5に示すように、顕微撮像装置8のステージ8a上の予め設定された位置に設置する。このとき、ステージ8aと対物レンズ8bとは予め作動距離以上に離しておく。次に、レボルバ8cを操作して、図6に示すように、所望倍率の対物レンズ8bを容器保持具1の遮光孔4c直上に移動する。そして、接眼レンズ8dによって像を見ながら微動焦点ハンドルを操作し、試料が発する光のピント合わせをした後、撮像する。
【0026】
ここで、顕微撮像装置8は、ピント合わせをすることにより、対物レンズ8b先端のテーパ部8eが、図7に示すように、遮光孔4cの上縁に当接する。このため、容器保持具1は、顕微撮像装置8のピント合わせに伴って対物レンズ8bが下降すると、遮光孔4cに係合したテーパ部8eによって位置決め部材4が対物レンズ8bの光軸に直交する方向に移動させられる。このため、遮光孔4cは、位置決め部材4、従って容器保持具1を光軸に直交する方向に位置決めする位置決め部となる。また、顕微撮像装置8は、予め低倍率の対物レンズ8bによってピント合わせをした後、高倍率の対物レンズ8bによってピント合わせをする。
【0027】
このとき、同一寸法の試料容器5を用いれば、容器保持具1は、ステージ8a上に設置するだけで試料容器5を顕微撮像装置8の光軸方向において同一の位置に位置決めすることができる。従って、容器保持具1は、試料容器5が位置決め部材4によって対物レンズ8bの光軸方向及び光軸に直交する方向の3軸方向に位置決めされるので、試料容器5を対物レンズ8bの光軸方向及び光軸に直交する方向の3軸方向に簡単、かつ、迅速に位置調整することができ、試料が発する光の鮮明な像を観察し、撮像することができる。
【0028】
ここで、容器保持具1は、図8に示すように、容器収容部材2の底壁2a下部外周に弾性リング3を設けておくとよい。弾性リング3は、図9に示すように、断面形状がC形の弾性体からなる位置ずれ防止手段であり、C形の部分が吸着部3aとなっている。このため、容器保持具1は、ステージ8aに設置すると、吸着部3aがステージ8aの上面に吸着し、顕微撮像装置8の光軸に直交する方向における位置ずれを防止することができる。ここで、ステージ8aが磁性体からなる場合、容器保持具1は、弾性リング3に代えて、磁性ゴムやリング状の永久磁石を容器収容部材2の底壁2a下部に設けることによっても、顕微撮像装置8の光軸に直交する方向における位置ずれを防止することができる。
【0029】
一方、位置決め部材4は、図10に示すように、遮光孔4cに遮光雌ねじ部4dを形成してもよい。このようにすると、予め対物レンズ8bに遮光雌ねじ部4dに螺合する雄ねじ部を形成しておけば、容器保持具1は、図11に示すように、顕微撮像装置8の対物レンズ8bに位置決め部材4をねじ止めにより着脱自在に取り付けることができる。このため、容器保持具1は、試料容器5が位置決め部材4によって対物レンズ8bの光軸方向及び光軸に直交する方向の3軸方向に位置決めされ、試料容器5の顕微撮像装置8に対する光学的な位置調整を簡単、かつ、迅速に行うことができる。
【0030】
(実施の形態2)
次に、本発明の容器保持具にかかる実施の形態2について、図12〜図14を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の容器保持具1は、位置決め部材4を使用していたが、実施の形態2の容器保持具10は、位置決め部材として顕微撮像装置8の対物レンズ8bを使用している。図12は、実施の形態2にかかる容器保持具を示す斜視図である。図13は、実施の形態2にかかる容器保持具の組み付け状態を示す分解斜視図である。ここで、以下に説明する実施の形態においては、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して説明している。
【0031】
容器保持具10は、図12及び図13に示すように、容器収容部材2と位置決め部材となる対物レンズ8bとを備えている。対物レンズ8bは、顕微撮像装置8のレボルバ8cに取り付ける雄ねじ部8fが一端に形成されている他、他端には容器収容部材2の雌ねじ部2dに螺合する雄ねじ部8gが形成されている。
【0032】
従って、容器保持具10は、図14に示すように、雄ねじ部8fによって対物レンズ8bを顕微撮像装置8のレボルバ8cに取り付けるだけで、光軸方向及び光軸に直交する方向の3軸方向に位置決めされる。このため、容器保持具10は、試料容器5の顕微撮像装置8に対する光学的な位置調整を簡単、かつ、迅速に行うことができる。この場合、容器保持具10は、試料容器5の試料を観察又は撮像する際のピント合わせは、容器収容部材2を左右方向に回し、雄ねじ部8gとの螺合量を調節することによって行う。
【0033】
(実施の形態3)
次に、本発明の容器保持具にかかる実施の形態3について、図15〜図18を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の容器保持具1は、位置決め部材4が遮光孔4cを有していたが、実施の形態3の容器保持具15は、遮光孔4cに集光レンズが設けられている。図15は、実施の形態3にかかる容器保持具を示す断面図である。図16は、実施の形態3にかかる容器保持具の変形例を示す斜視図である。図17は、図16の容器保持具で使用する光ファイバレンズを示す斜視図である。
【0034】
容器保持具15は、図15に示すように、遮光孔4cに凸レンズを用いた集光レンズ6が設けられている。集光レンズ6は、試料容器5に保持された試料が発する生物発光や化学発光による光を顕微撮像装置8の物体側焦点に結像させる。このため、容器保持具15は、顕微撮像装置8の焦点調整を行う上で、試料容器5の顕微撮像装置8に対する光学的な位置調整を簡単、かつ、迅速に行うことができる。このとき、容器保持具15は、実施の形態1の容器保持具1と同様にして試料容器5を位置決め部材4によって対物レンズ8bの光軸方向及び光軸に直交する方向の3軸方向に位置決めする。
【0035】
ここで、容器保持具15は、図16に示すように、集光レンズ6に代えて光ファイバレンズ7を使用してもよい。光ファイバレンズ7は、図17に示すように、一端にマイクロレンズ7bを形成した光ファイバ7aを複数束ねたもので、各光ファイバ7aの他端が結像面Fとなる。このため、光ファイバレンズ7は、実施の形態1で説明した3軸方向の位置決めが可能なように、結像面Fが光ファイバレンズ7に位置する焦点距離となるマイクロレンズ7bを使用する。光ファイバレンズ7は、駆動機構によるピント合わせに伴って遮光孔4cに沿って移動され、図18に示すように、遮光孔4c内に没し、焦点距離、拡大倍率或いは視野角の少なくとも一つを変更する。このため、光ファイバレンズ7を用いると、容器保持具15は、試料容器5の顕微撮像装置8に対する光学的な位置調整をより簡単、かつ、より迅速に行うことができるうえ、試料容器5に保持された試料が発する光の鮮明な像を顕微撮像装置8によってより観察し、撮像することができる。ここで、図16に示す容器保持具15は、光ファイバレンズ7が遮光孔4cから突出した状態に描いてあるが、ピント合わせをした状態では結像面Fが遮光孔4cに没しており、以下に説明する図面においても同様である。
【0036】
(実施の形態4)
次に、本発明の容器保持具にかかる実施の形態4について、図19〜図21を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の容器保持具1は、容器収容部材2と位置決め部材4とを備えていたが、実施の形態4の容器保持具20は、更に試料容器5に保持された試料が発する光を受光し、受光した光を表示する表示デバイスを備えている。図19は、実施の形態4にかかる容器保持具を示す斜視図である。図20は、図19の容器保持具を手に持って表示デバイスを操作する様子を示す斜視図である。図21は、図19に示す容器保持具の使用状態を示す斜視図である。
【0037】
容器保持具20は、図16に示す容器収容部材2及び光ファイバレンズ7を有する位置決め部材4に表示デバイス21が被着されている。表示デバイス21は、位置決め部材4の本体4aに位置決めされて容器収容部材2の側壁2b上部に載置される。表示デバイス21は、本体21aに設けた受光手段が光ファイバレンズ7の結像面Fに当接し、試料容器5に保持された試料が発する生物発光や化学発光による光を受光手段によって光ファイバレンズ7を介して受光し、その発光像を画面21bに表示する。また、表示デバイス21は、発光像を画面21bに表示する操作を行う操作ボタンと、試料が発する光の光量の異常を告知する警報ランプを有している。このとき、光ファイバレンズ7は、各光ファイバ7aの他端が結像面Fとなっている。従って、表示デバイス21は、受光手段が受光した光をそのまま画面21bに表示することができる。
【0038】
このため、容器保持具20は、図20に示すように、操作者が手に持って表示デバイス21の前記操作ボタンを操作し、試料容器5に保持された試料が発する光を画面21bに表示させることができる。
【0039】
一方、容器保持具20は、試料容器5に保持された試料が発する光を顕微撮像装置8によって観察又は撮像するときには、図21に示すように、ステージ8aに設置した後、表示デバイス21を外し、微動焦点ハンドルを操作して対物レンズ8bを微動させ、試料が発する光のピント合わせをする。容器保持具20は、試料容器5に保持された試料が発する光を光ファイバレンズ7が顕微撮像装置8の物体側焦点に結像させ、位置決め部材4が試料容器5を対物レンズ8bの光軸方向及び光軸に直交する方向の3軸方向に位置決めするので、試料容器5の顕微撮像装置8に対する光学的な位置調整を簡単、かつ、迅速に行うことができる。
【0040】
(実施の形態5)
次に、本発明の容器保持具にかかる実施の形態5について、図22を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の容器保持具1は、容器収容部材2と位置決め部材4とを備えていたが、実施の形態5の容器保持具25は、更に保温手段を備えている。図22は、実施の形態5にかかる容器保持具を示す斜視図である。
【0041】
容器保持具25は、図22に示すように、図1に示す容器収容部材2及び位置決め部材4の上下に加熱装置26,27が設けられている。加熱装置26は、位置決め部材4上に被着され、本体26aの上部に透明部材からなる窓26bを有し、内部には窓26bを加熱するヒータが設けられている。加熱装置27は、容器収容部材2の下面に取り付けられ、収容した試料容器5内に保持された試料を所定の培養温度に保持する。ここで、加熱装置26,27は、共に加熱温度を所定温度に設定する制御手段とスイッチとを有している。
【0042】
従って、容器保持具25は、試料容器5内に保持された試料を所定の温度に保持した状態で試料を培養することができる。そして、試料が発する光を顕微撮像装置8によって観察又は撮像するときには、容器保持具25は、加熱装置26,27を外してステージ8aに設置する。そして、容器保持具25は、実施の形態1の容器保持具1と同様に、試料容器5を位置決め部材4によって対物レンズ8bの光軸方向及び光軸に直交する方向の3軸方向に位置決めするので、試料容器5の顕微撮像装置8に対する光学的な位置調整を簡単、かつ、迅速に行うことができ、試料が発する光の鮮明な像の観察や撮像をすることができる。
【0043】
ここで、試料を培養する際、容器保持具25は、加熱装置27によって試料を所定の培養温度に加熱すると、試料容器5内の液体が蒸発して生ずる水蒸気が窓26bに結露する。このため、容器保持具25は、加熱装置26,27を装着した状態での観察等が妨げられることがある。従って、このような場合、容器保持具25は、加熱装置26のスイッチをオンし、ヒータによって窓26bを加熱し、結露を防止する。
【0044】
(実施の形態6)
次に、本発明の容器保持具にかかる実施の形態6について、図23及び図24を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態5の容器保持具25は、容器収容部材2と位置決め部材4とを備えていたが、実施の形態6の容器保持具30は、更に流体循環装置を備えている。図23は、実施の形態6にかかる容器保持具を示す斜視図である。図24は、実施の形態6にかかる容器保持具で使用する試料容器を示す斜視図である。
【0045】
容器保持具30は、図23に示すように、図1に示す容器収容部材2及び位置決め部材4に流体循環装置31が設けられている。流体循環装置31は、試料の培養に必要な流体を試料容器35に循環させるもので、制御手段を備えた本体31aと容器収容部材2との間に試料容器35に薬液を供給する薬液供給チューブ31b、試料容器35に二酸化炭素等の気体を供給する気体供給チューブ31c及び供給した薬液や気体を回収する回収チューブ31dが接続されている。
【0046】
また、試料容器35は、図24に示すように、内皿35aに外皿35fが被せられた透明素材からなる容器であり、内部に細胞等の生体試料が保持されている。内皿35aは、側壁に薬液注入孔35b、気体注入孔35c及び注入した薬液や気体を回収する回収孔35dが形成されている。
【0047】
従って、容器保持具30は、顕微撮像装置8のステージ8aに設置した状態で、薬液供給チューブ31bや気体供給チューブ31cによって容器収容部材2に薬液や気体を供給する。これにより、容器収容部材2に供給された薬液や気体は、底壁2aと側壁2bとによって形成される空間に収容された試料容器35の薬液注入孔35bや気体注入孔35cから試料容器35内へ導入され、生体試料に薬液や気体を供給した後、生体試料が排出した老廃物と共に回収孔35dから排出され、回収チューブ31dによって流体循環装置31の本体31aに回収される。容器保持具30は、このようにして流体循環装置31と試料容器35との間に薬液や気体を循環させて試料容器35内に保持された試料を培養する。
【0048】
そして、培養中の生体試料が発する光を顕微撮像装置8によって観察又は撮像するときには、容器保持具30は、顕微撮像装置8の微動焦点ハンドルを操作して対物レンズ8bを微動させ生体試料が発する光のピント合わせをすればよい。このとき、容器保持具30は、実施の形態1の容器保持具1と同様に、位置決め部材4が試料容器5を対物レンズ8bの光軸方向及び光軸に直交する方向の3軸方向に位置決めする。このため、容器保持具30は、試料容器5の顕微撮像装置8に対する光学的な位置調整を簡単、かつ、迅速に行うことができ、生体試料が発する光の鮮明な像の観察や撮像をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施の形態1にかかる容器保持具を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1にかかる容器保持具で使用する容器収容部材の断面図である。
【図3】実施の形態1にかかる容器保持具で使用する位置決め部材の斜視図である。
【図4】実施の形態1にかかる容器保持具の組み付け状態を示す分解斜視図である。
【図5】図1に示す容器保持具を顕微撮像装置に設置した使用状態を示す斜視図である。
【図6】対物レンズの位置を容器保持具の遮光孔に調節した状態を示す斜視図である。
【図7】顕微撮像装置のピント合わせにより対物レンズが遮光孔の上縁に当接した状態を示す断面図である。
【図8】容器収容部材に弾性体からなる位置ずれ防止手段を設けた容器保持具の第一の変形例を示す斜視図である。
【図9】図8の位置ずれ防止手段を直径上で切断した要部断面図である。
【図10】位置決め部材の遮光孔に雌ねじ部を形成した容器保持具の第二の変形例を示す斜視図である。
【図11】図10に示す容器保持具を顕微撮像装置に取り付けた使用状態を示す斜視図である。
【図12】実施の形態2にかかる容器保持具を示す斜視図である。
【図13】実施の形態2にかかる容器保持具の組み付け状態を示す分解斜視図である。
【図14】図12に示す容器保持具を顕微撮像装置に取り付けた使用状態を示す斜視図である。
【図15】実施の形態3にかかる容器保持具を示す断面図である。
【図16】実施の形態3にかかる容器保持具の変形例を示す斜視図である。
【図17】図16の容器保持具で使用する光ファイバレンズを示す斜視図である。
【図18】図16に示す容器保持具の使用状態を示す斜視図である。
【図19】実施の形態4にかかる容器保持具を示す斜視図である。
【図20】図20は、図19の容器保持具を手に持って表示デバイスを操作する様子を示す斜視図である。
【図21】図19に示す容器保持具の使用状態を示す斜視図である。
【図22】実施の形態5にかかる容器保持具を示す斜視図である。
【図23】実施の形態6にかかる容器保持具を示す斜視図である。
【図24】実施の形態6にかかる容器保持具で使用する試料容器を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 容器保持具
2 容器収容部材
2a 底壁
2b 側壁
2c 開口
2d 雌ねじ
3 弾性リング
3a 吸着部
4 位置決め部材
4a 本体
4b 雄ねじ
4c 遮光孔
4d 雌ねじ部
5 試料容器
5a 内皿
5b 外皿
6 集光レンズ
7 光ファイバレンズ
7a 光ファイバ
7b マイクロレンレンズ
8 顕微撮像装置
8a ステージ
8b 対物レンズ
8c レボルバ
8d 接眼レンズ
8e テーパ部
8f,8g 雄ねじ部
10,15 容器保持具
20 容器保持具
21 表示デバイス
21a 本体
21b 画面
25 容器保持具
26,27 加熱装置
30 容器保持具
31 流体循環装置
31a 本体
31b 薬液供給チューブ
31c 気体供給チューブ
31d 回収チューブ
35 試料容器
35a 内皿
35b 薬液注入孔
35c 気体注入孔
35d 回収孔
35f 外皿
F 結像面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微撮像装置に設置或いは取り付け、試料容器の少なくとも一つの試料保持部に保持された試料の撮像或いは観察に使用される容器保持具であって、
前記試料容器を収容する容器収容部材と、
前記顕微撮像装置の対物レンズに対して位置決めされる位置決め部を有し、前記容器収容部材に着脱自在に組み付けて前記試料容器を前記容器収容部材に対して位置決めする位置決め部材と、
を備え、
前記位置決め部材によって前記試料容器を前記対物レンズの光軸方向に位置決めすると共に、前記位置決め部によって前記試料容器を前記対物レンズの光軸に直交する方向に位置決めすることを特徴とする容器保持具。
【請求項2】
前記容器収容部材は、底壁と、内周に雌ねじ部が形成された側壁とを有し、
前記位置決め部材は、前記雌ねじ部に螺合する雄ねじ部が外周に形成され、前記位置決め部が前記対物レンズの先端が係合すると共に、外部からの光を遮光して前記試料が発する光を前記対物レンズへ導く遮光孔である
ことを特徴とする請求項1に記載の容器保持具。
【請求項3】
前記遮光孔は、内周に雌ねじ部が形成され、
前記顕微撮像装置は、前記対物レンズのレンズホルダ外周に形成され、前記遮光孔の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の容器保持具。
【請求項4】
顕微撮像装置に設置或いは取り付け、試料容器の少なくとも一つの試料保持部に保持された試料の撮像或いは観察に使用される容器保持具であって、
前記試料容器を収容する容器収容部材と、
前記容器収容部材に着脱自在に組み付けて前記試料容器を前記容器収容部材に対して位置決めする前記顕微撮像装置の対物レンズと、
を備え
前記対物レンズによって前記試料容器を光軸方向並びに光軸に直交する方向に位置決めすることを特徴とする容器保持具。
【請求項5】
前記容器収容部材は、底壁と、内面に雌ねじ部が形成された側壁とを有し、
前記対物レンズは、前記雌ねじ部に螺合する雄ねじ部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の容器保持具。
【請求項6】
前記容器収容部材は、前記底壁に前記顕微撮像装置との間の位置ずれを防止するずれ防止手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の容器保持具。
【請求項7】
前記位置決め部材は、前記試料が発する光を所定位置に結像させる結像手段が前記遮光孔に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の容器保持具。
【請求項8】
前記結像手段は、凸レンズ又は一端にマイクロレンズを有する複数の光ファイバ束であることを特徴とする請求項7に記載の容器保持具。
【請求項9】
前記結像手段は、焦点距離、拡大倍率或いは視野角の少なくとも一つを変更する変更機構を有していることを特徴とする請求項8に記載の容器保持具。
【請求項10】
更に、前記試料の発する光を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の容器保持具。
【請求項11】
更に、加熱手段を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の容器保持具。
【請求項12】
更に、前記試料の培養に必要な流体を前記試料容器に循環させる流体循環手段を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の容器保持具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate