説明

容器入り即席食品

【課題】フリーズドライ加工になじまない、とろみのある「あん」を有する具材を、レトルトパックを用いずに同梱させることができ、熱湯を注ぐだけで簡単に調理することができる容器入り即席食品を提供する。
【解決手段】湯切り穴6を有するシート状蓋材4が容器本体3のフランジ3aに対して貼着され、容器本体3の内側に食材が封入され、湯切り穴6が、いずれも容器本体3のフランジ3aから少なくとも2cm以上離れた中央寄りの位置に形成されており、容器本体3内に湯を注いで調理を行った後、シート状蓋材4が垂直となる状態で湯切りを行った場合に、容器本体3内に規定量の湯が残存するように構成され、付属する調味料パックの中に、湯に加えると、とろみをつけることができる調味料、又は、スープの素が含まれていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材が収容された容器内に熱湯を注ぎ、所定時間経過後に湯切りを行った後、調味料等を加えて混ぜ合わせることによって調理が完了する、容器入り即席食品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在では、熱湯を注ぐだけで簡単に調理できる容器入りの即席麺類として、非常に多くの種類のものが市場に供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−153987号公報
【特許文献2】特開2008−7145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器入り即席麺類の中には、他の製品との差別化を図るべく、使用される具材の種類やパッケージ方法に工夫を凝らしたものが数多く存在している。具体的に説明すると、従来は、野菜類等の副次的な具材については、フリーズドライ加工によって乾燥させた状態のものを、主食材である麺類とともに容器内に封入することが一般的であったが、近年では、フリーズドライ加工になじまない具材(例えば、とろみのある「あん」を有するような具材)などをレトルトパックに封入して容器内に同梱することが行われている。
【0005】
但し、レトルトパックに具材を封入して同梱する場合、コストが嵩み、製品単価を低く抑えることができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記のような従来の問題を解決すべくなされたものであって、フリーズドライ加工になじまない、とろみのある「あん」を有する具材を、レトルトパックを用いずに同梱させることができ、熱湯を注ぐだけで簡単に調理することができる容器入り即席食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る容器入り即席食品は、少なくとも一つ以上の湯切り穴を有するシート状蓋材が容器本体の上縁部に対して貼着され、容器本体の内側に食材が封入され、湯切り穴がいずれも、容器本体の上縁部のうち、湯切りの際に下方側となる部分から少なくとも2cm以上(好ましくは3cm以上)離れた中央寄りの位置に形成されており、容器本体内に湯を注いで調理を行った後、シート状蓋材が垂直となる状態で湯切りを行った場合に、容器本体内に規定量の湯が残存するように構成され、付属する調味料パックの中に、湯に加えると、とろみをつけることができる調味料、又は、湯に溶かすとスープを作ることができる粉末が含まれていることを特徴としている。
【0008】
尚、容器本体内に残存する湯についての「規定量」とは、容器本体内にて調理される主食材が、乾燥状態のものである場合には、その重量の10%以上(例えば、乾燥状態のやきそば麺100gが調理される場合には、10ml以上)、調理される主食材が、アルファ化された状態のものである場合には、その重量の10%以上を意味する。
【0009】
また、本発明に係る即席食品用容器は、即席調理が可能な食材を収容する容器本体と、少なくとも一つ以上の湯切り穴を有し、容器本体の上縁部に対して貼着されるシート状蓋材とによって構成され、湯切り穴がいずれも、容器本体の上縁部のうち、湯切りの際に下方側となる部分から少なくとも2cm以上離れた中央寄りの位置に形成されており、容器本体内に湯を注いで調理を行った後、シート状蓋材が垂直となる状態で湯切りを行った場合に、容器本体内に規定量の湯が残存するように構成されていることを特徴としている。
【0010】
尚、シート状蓋材の上面には、湯切り穴を閉塞するシールが貼着され、当該シールを剥がすことにより、シート状蓋材の上面において湯切り穴が開口するように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の容器入り即席食品は、湯切りの際に、規定量の湯が容器本体内に必然的に残存するように構成されており、この容器本体内に残した湯を利用して、とろみのある「あん」や、スープを生成することができ、「あんかけやきそば」などのように、具材として「あん」を有する食品、或いは、「スープ入りやきそば」などのように、若干少なめのスープに麺を浸した状態の食品などを、簡単に調理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の容器入り即席食品を構成する容器2の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の容器入り即席食品の調理方法の説明図である。
【図3】図3は、本発明の容器入り即席食品の調理方法の説明図である。
【図4】図4は、本発明の容器入り即席食品の調理方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に沿って本発明の実施形態について説明する。ここでは、本発明に係る「容器入り即席食品」の好適な実施形態として、「あんかけやきそば」への適用例を説明する。
【0014】
本実施形態の容器入り即席食品は、主食材(乾燥状態のやきそばの麺110g)と、具材(かやく)パックと、調味料パックと、それらを収容する容器とによって構成されている。これらのうち、容器2は、図1に示すように、容器本体3と、シート状蓋材4とによって構成されている。
【0015】
容器本体3は、平面形状が矩形状で、所定の深さを有しており、上縁部には所定幅で外側へ突出するフランジ3aが形成されている。シート状蓋材4は、容器本体3のフランジ3a(上縁部)に対して糊付けされており、主食材、具材パック、及び、調味料パックは、このシート状蓋材4により、容器本体3内に封入されている。尚、図1に示すように、シート状蓋材4には、複数の湯切り穴6が形成されているが、これらの湯切り穴6は、シート状蓋材4の上面に貼着されたシール5によって閉塞されている。
【0016】
ここで、本実施形態の容器入り即席食品の調理手順について説明すると、まず、シート状蓋材4を部分的に開封する。具体的には、図2に示すように、容器本体3のフランジ3aに接着されているシート状蓋材4を部分的に引き剥がし、容器本体3の一部を開口させて、開口部3bを形成する。尚、開口部3bは、容器本体3の四つの隅部のうち、湯切りの際に上方側となる隅部(開口側隅部3c)に形成する。
【0017】
次に、容器本体3の中から、具材パック及び調味料のパック(図示せず)を取り出し、具材パックを開封して、中身(調理前の具材)を容器本体3内に投入し、開口部3bから容器本体3内へ熱湯を注ぐ。続いて、シート状蓋材4の剥がした部分を元の位置に戻して開口部3bを閉じ、容器本体3内の主食材を加熱、調理する。その後、所定時間(例えば3分)が経過したら、シール5を剥がして、図3に示すように、シート状蓋材4の上面において、湯切り穴6を開口させる。
【0018】
次に、容器本体3を、湯切側隅部3dが下側となるようにして、ゆっくりと傾けていき、最終的には図4に示すように、シート状蓋材4が垂直な状態となるまで回動させる。そうすると、容器本体3内の湯が、湯切り穴6から排出される。但し、湯切り穴6はいずれも、容器本体3のフランジ3a(上縁部)のうち、湯切りの際に下方側となる部分(湯切側隅部3d)から少なくとも2cm以上離れた中央寄りの位置に形成されており、シート状蓋材4が垂直となる状態で湯切りを行った場合、容器本体3内に少なくとも11ml以上(主食材の重量の10%以上)、湯が残存するようになっている。
【0019】
そして、湯切りが完了したら、シート状蓋材4を容器本体3から剥がして除去し、容器本体3内の加熱調理済みの主食材、具材、及び、残存している湯に対し、調味料パックの中身(調味料)を加えてよく混ぜる。この調味料には、片栗粉等のように、湯に加えると、とろみをつけることができる材料が含まれているため、容器本体3内の主食材、及び、具材に対する味付けだけでなく、容器本体3内の湯と混ぜることにより、とろみのある「あん」を生成することができ、「あんかけやきそば」を作ることができる。
【0020】
尚、本実施形態においては、容器本体3として、平面形状が矩形状のものを用いているが、円形の容器に適用することも可能である。また、ここでは、本発明の実施形態として、「あんかけやきそば」への適用例を説明したが、「麻婆やきそば」など、とろみのある具材をかける食品であれば、どのようなものでも適用することができる。また、本実施形態においては、主食材として、やきそばの麺が使用されているが、これには限定されず、うどんの麺、スパゲティ、米飯(雑炊)、その他の食材などに、幅広く適用することができる。
【0021】
更に本発明は、とろみのある「あん」をかけた食品のほかに、スープスパゲティやスープ入りやきそばなどのように、若干少なめのスープに麺を浸した状態の食品に適用することもできる。この場合、湯切り後に、容器本体内の加熱調理済みの主食材、具材、及び、残存している湯に対して加える調味料として、湯に溶かすとスープを作ることができる粉末(いわゆるスープの素)を、その他の調味料とともに調味料パックに封入して付属させることが好ましい。
【符号の説明】
【0022】
2:容器、
3:容器本体、
3a:フランジ、
3b:開口部、
3c:開口側隅部、
3d:湯切側隅部、
4:シート状蓋材、
5:シール、
6:湯切り穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つ以上の湯切り穴を有するシート状蓋材が容器本体の上縁部に対して貼着され、容器本体の内側に食材が封入されてなる容器入り即席食品において、
湯切り穴がいずれも、容器本体の上縁部のうち、湯切りの際に下方側となる部分から少なくとも2cm以上離れた中央寄りの位置に形成されており、容器本体内に湯を注いで調理を行った後、シート状蓋材が垂直となる状態で湯切りを行った場合に、容器本体内に規定量の湯が残存するように構成され、
付属する調味料パックの中に、湯に加えると、とろみをつけることができる調味料、又は、湯に溶かすとスープを作ることができる粉末が含まれていることを特徴とする容器入り即席食品。
【請求項2】
シート状蓋材の上面に、湯切り穴を閉塞するシールが貼着されており、当該シールを剥がすことにより、シート状蓋材の上面において湯切り穴が開口するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の容器入り即席食品。
【請求項3】
即席調理が可能な食材を収容する容器本体と、少なくとも一つ以上の湯切り穴を有し、容器本体の上縁部に対して貼着されるシート状蓋材とによって構成される即席食品用容器において、
湯切り穴がいずれも、容器本体の上縁部のうち、湯切りの際に下方側となる部分から少なくとも2cm以上離れた中央寄りの位置に形成されており、容器本体内に湯を注いで調理を行った後、シート状蓋材が垂直となる状態で湯切りを行った場合に、容器本体内に規定量の湯が残存するように構成されていることを特徴とする即席食品用容器。
【請求項4】
シート状蓋材の上面に、湯切り穴を閉塞するシールが貼着されており、当該シールを剥がすことにより、シート状蓋材の上面において湯切り穴が開口するように構成されていることを特徴とする、請求項3に記載の即席食品用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−201377(P2012−201377A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65233(P2011−65233)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(503408598)まるか食品株式会社 (1)
【Fターム(参考)】