説明

容器処理装置及び送出パイプ部分

タンク(T)及び離間したバルブハウジング(Y)を備える容器処理装置(H)では、湾曲部分(A)を有する耐圧送出パイプ(L)が、タンク(T)と各バルブハウジング(V)との間に直接又は中間のフローレギュレータ(M)を介して設けられ、送出パイプ(L)は、少なくとも湾曲部分(A)で硬質プラスチック(K)、具体的にはポリテトラフルオロエチレン(PTFE又はテフロン)で構成され、その硬質プラスチック(K)は、耐圧且つ耐温であり、耐酸且つ耐アルカリであり、食料品に対して使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の容器処理装置及び請求項2のプリアンブルに記載の送出パイプ部分に関する。
【背景技術】
【0002】
充填機(filler)として構成された独国公開特許明細書DE4309429Aによる容器処理装置では、送出パイプは、湾曲部分を有するステンレス鋼パイプである。タンクとそれぞれのバルブハウジングとの間にフローメータが取り付けられている。
【0003】
充填機として構成され酸素又は酸素/気体混合物を混入した飲料をボトルに充填することが意図された、独国公開特許明細書DE10343281A1による周知の容器処理装置では、各送出パイプはステンレス鋼製であり、タンクが直線のパイプ部分を介してフローメータに連結され、フローメータが送出パイプの湾曲部分を介してバルブハウジングに連結されている。
【0004】
一般に、このような容器処理装置のタンク及びバルブハウジングは共通のキャリアに取り付けられるが、避けられない生産及び取付け公差の結果、とりわけ、動作中の動作依存の相対位置変化の結果として、周期的な曲げ応力がタンクとバルブハウジングとの間で送出パイプの湾曲部分に生じ、時間が経つにつれて、その部分の湾曲の外側の微小な亀裂及び損傷につながる。
【0005】
充填機として構成された特開昭48−34133号広報による容器処理装置では、タンクは、湾曲している可撓性のホースを介してバルブハウジングに連結される。この原理は、実質上圧力なしで処理される静止した液体の場合にのみ利用可能である。それでも、外部及び内部の影響の結果、ホースが経年変化し脆くなる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、動作中の信頼性に関して上述のタイプの容器処理装置及び送出パイプ部分を改善するという目的、即ち攻撃的なガス又は物質が混入した液体及び洗浄液などが、圧力下で処理されるか又は圧力が小さい状態で処理されるかに関係なく、或いは、高温、低温又は冷却状態で処理されるかに関係なく、上述のタイプの容器処理装置及び送出パイプ部分を改善するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1及び2で特定された構成により達成される。
【0008】
送出パイプ部分は、プラスチック材料で一体に製造され、その材料故に、送出パイプ部分は可撓性を有し、タンク、バルブハウジング、フローメータそれぞれの間の動作依存の相対移動が微小な亀裂のリスクなしに吸収され、取付け公差が補償されるようになっている。プラスチック材料は、十分に耐圧且つ耐温、耐酸且つ耐アルカリであり、食料品に対して使用でき、そのため、実用的には、どんな液体も、即ち、圧力下又は圧力がない状態、或いは添加物がある状態又はない状態で充填することが意図された液体、並びに洗浄液又はアルカリ性洗浄液を、問題なく、さらにこれらの液体又は気体がサブクールされるか又は加熱されるかに関係なく、処理することができる。耐圧のプラスチック材料は、容器の充填及び洗浄中に生じる、周知の最大圧力に耐えなければならない。耐温は、充填及び洗浄中に生じる高温又は低温の液体及び気体を考慮する。耐酸及び耐アルカリは、酸性成分或いはアルカリ性溶液又は気体にそれぞれ耐える。食料品に関する許容は、例えばボトルなどの容器が飲料で満たされる場合に要件を満たす。
【0009】
送出パイプ部分は、既に動作している容器処理装置用の元々の装備部品でもよく、後付け部品でもよく、以前にはステンレス鋼パイプで防止することができなかった損傷を妨げる。
【0010】
好ましくは、プラスチック材料は、硬質の配合の非強化ポリテトラフルオロエチレンであり、そのためこのタイプのプラスチック材料により送出パイプ部分が可撓性になる。その可撓性により、送出パイプ部分は、簡単に、例えば手で曲げ、自動的に回復することができる。
【0011】
美的に魅力的な外観を考えると、ポリテトラフルオロエチレンは全て白色にすべきであり、補強されていないことが好ましい。
【0012】
好適な実施形態によれば、送出パイプ部分は、エルボ部、好ましくは約90度のエルボ部と、その両側のほぼ直線のレッグ部と、両レッグ部の端部の外端部フランジとを備える。各端部フランジに隣接して、縮径部が送出パイプ部分を形成する。この実施形態では、送出パイプ部分は、低コストで生成可能であり、寸法通りに作ることができる。具体的には、87度のエルボ部を備える実施形態が有利である。
【0013】
縮径部が隣接して配置された端部フランジにより、以前に使用された、溶着フランジを有するステンレス鋼のパイプと同様にコンパクトな取付けが可能になり、衛生的に許容できる洗浄を可能にするように連結部分のアンダーカットがほぼ避けられるというこの分野で重要な利点がある。
【0014】
好適には、端部フランジ、レッグ部及びエルボ部の送出パイプ部分の外径は、実質上同じである。
【0015】
好適な実施形態によれば、金属製取付けフランジは、端部フランジ及び縮径部上に取り付けられる。取付けフランジでは、プラスチック又は金属製の保持スリーブが配置され、長手方向に、好ましくは2つに、分割され、取付けフランジが取り付けられるか又は取り外されるときに最初に省かれるが、端部フランジを通した後にのみ、縮径部に、次いで取付けフランジに挿入される。
【0016】
好適には、保持スリーブは、端部フランジと面一であり、そのため、アンダーカットなしでシール位置を画定する。さらに、端部フランジとの協働を可能にするには、保持スリーブは、内側ショルダを備えるべきであり、取付けフランジとの協働を可能にするには、外側ショルダを備えるべきである。
【0017】
特に、保持スリーブの取外し後に、取付けフランジの内径は、保持スリーブを取り外した後で端部フランジを通して問題のない挿入及び引っ張りが可能になるように、端部フランジの外径より少しだけ大きくすべきである。
【0018】
好ましい実施形態では、送出パイプ部分の外径に対する一定の内径の比は、約0.6〜0.7である。好ましくは、外径は例えば22mmであり、内径は約14mmである。
【0019】
エルボ部の送出パイプ部分の軸の曲率半径は、外径の2倍より大きくすべきである。こうした曲率半径は、製造の点から扱いが簡単であり、内側断面でつぶれるのを避ける。
【0020】
さらに、取付けフランジを少なくとも1つの他のフランジに連結することができ、送出パイプ部分の端部フランジの端面と、外側フランジの端面との間にシールリングが取り付けられ、そのシールリングは、端部フランジの開口に直接隣接して配置される。これは、洗浄するのが難しいアンダーカットがなく中空空間を画定しない、移行領域にシール領域を設ける。
【0021】
本発明の主題の実施形態を図面によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】容器処理装置の部分断面図を示す図である。
【図2】そのような容器処理装置の送出パイプ部分を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、例えばボトルなどの容器を飲料で満たす充填機の(又は洗浄機(rinser))容器処理装置Hの一部分を示し、その容器処理装置Hは、上部に配置されたタンクTと、タンクの下に配置されそのタンクから離間したバルブハウジングV(1つのバルブハウジングVしか描いていない)とを備える。バルブハウジングVとタンクTとの間に送出パイプLが設置され、この送出パイプLは、この場合は、例えば湾曲部分A及び直線部分Bで形成され、フローメータMがそれらの部分AとBとの間に配置される。しかし、図1に示すフローメータMは、個々のケースに応じて省略することもできる。この場合は、送出パイプ部分Aは、バルブハウジングVに直接連結される。
【0024】
図2は、図1の送出パイプ部分Aの斜視詳細図を示す。この図は、プラスチック材料K製のパイプを示す。その送出パイプ部分Aは、エルボ部1、例えば90度のエルボ部と、実質上直線のレッグ部2とを備え、そのレッグ部2は、エルボ部1から始端し、外側に突出した端部フランジ3で終端する。各端部フランジ3に隣接して縮径部5が設けられ、この縮径部5は、丸みを帯びるか又は先細りの移行領域6を介して送出パイプ部分Aの外径Dになる。縮径部5の長さは、端部フランジ3の長さの数倍であり、端部フランジ3の開口を4で示す。送出パイプ部分の内径は、一定であり、寸法dである。外径Dに対する内径dの比は、例えば0.6から0.7である。特定の実施形態では、外径Dは例えば22mmであり、内径dは例えば14mmである。
【0025】
送出パイプ部分Aのプラスチック材料Kは、好適には、例えば硬質の配合の、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE又はテフロン(Teflon))であり、その送出パイプ部分Aは、ポリテトラフルオロエチレンで、例えば押出し及び曲げビレットから、一体成形され、縮径部5の領域内で又は射出成形部品として機械加工される。
【0026】
こうした容器処理装置で生じる圧力及び温度を考えて、使用するポリテトラフルオロエチレンは耐圧且つ耐温であり、液体中の可能な酸性成分又は酸性の気体を考えて耐酸であり、アルカリ洗浄液を考えて耐アルカリ性である。また、食料品に関して許容される。好適には、送出パイプ部分Aは、全て白色の非強化ポリテトラフルオロエチレンである。
【0027】
送出パイプ部分Aは、こうした容器処理装置のための元々の装備部品でもよく、既に動作している容器処理装置のための後付け部品でもよい。
【0028】
図1によれば、送出パイプ部分Aのレッグ部の各端部の連結は、取付けフランジ7、好ましくは金属製の取付けフランジ7で実現される。その取付けフランジ7は、挿置したシールリング13を介して端部フランジ3をバルブハウジングV又はフローメータM或いは取付けフランジ7に連結された他のフランジ8の端面の連結面に接して固定するように、長手方向に分割した保持スリーブ9の助けで縮径部5上に着座し、保持スリーブ9を介して端部フランジ3と干渉する。
【0029】
取付けフランジ7は、内腔10に、保持スリーブ9の外側ショルダ11と協働するショルダ12を備える。保持スリーブ9は、端部フランジ3と協働する内側ショルダ9aを備える。取付けフランジ7の内腔10の直径は、外径Dよりわずかに大きい。
【0030】
エルボ部1の曲率半径Rは、送出パイプ部分の軸Xに関して、例えば外径Dの2倍より大きい。
【0031】
送出パイプ部分Aを取り付けるためには、最初に、分割した保持スリーブ9のない状態で、取付けフランジ7を縮径部5の領域まで端部フランジ3上を通す。次いで、縮径部5を露出するように、取付けフランジ7をレッグ部2上にさらにずらす。次に、保持スリーブ9の部品を縮径部上に配置する。次いで、取付けフランジ7が保持スリーブ9上を滑り、その保持スリーブ9を端部フランジ3に向けて引っ張るまで、取付けフランジ7を再度元にずらす。好適には、保持スリーブ9は端部フランジ3と面一であり、取付けフランジ7はわずかに突出している。次いで、シールリング13を挿入し、その後取付けフランジ7を連結面又は他のフランジ8に接するように固定する。適切な場合、送出パイプ部分Aは、保持スリーブ9及び互いにねじ留めされたフランジ7、8と一緒に、予め単体として作製され、既にシールリング13を装備している。
【0032】
こうした取付けモードにより、シールリング13を端部フランジ3の開口4に直接隣接して配置することができ、そのため、連結領域には、清掃が難しいアンダーカットがなくなる。
【0033】
或いは、取付けフランジ7を、レッグ部の端部にねじ留め、接着、又は溶着することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填機、洗浄機その他の容器処理装置(H)であって、タンク(T)と、前記タンク(T)の下に配置され前記タンク(T)から離間したバルブハウジング(V)とを備え、湾曲部分(A)を有する耐圧送出パイプ(L)が、前記タンク(T)と各バルブハウジング(V)との間に直接的に、又はフローメータ(M)を介して設けられる、容器処理装置(H)において、
前記送出パイプ(L)が、少なくとも湾曲部分(A)で、硬質プラスチック材料(K)から一体形成され、前記硬質プラスチック材料(K)が、耐圧且つ耐温、耐酸且つ耐アルカリであり、食料品に対して使用できるものであることを特徴とする、容器処理装置。
【請求項2】
特に容器処理装置(H)用の送出パイプ部分(A)において、
当該送出パイプ部分(A)が、硬質プラスチック材料(K)から一体形成され、前記硬質プラスチック材料(K)が、耐圧且つ耐温、耐酸且つ耐アルカリであり、食料品に対して使用できるものであることを特徴とする、送出パイプ部分。
【請求項3】
前記プラスチック材料(K)が非強化ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする、請求項2に記載の送出パイプ部分。
【請求項4】
白色非強化ポリテトラフルオロエチレンを特徴とする、請求項3に記載の送出パイプ部分。
【請求項5】
当該送出パイプ部分(A)が、エルボ部(1)、好ましくは90度のエルボ部と、略直線のレッグ部(2)と、前記レッグ部の端部の外端部フランジ(3)とを備え、縮径部(5)が前記外端部フランジ(3)に隣接して配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の送出パイプ部分。
【請求項6】
前記外端部フランジ(3)、前記レッグ部(2)及び前記エルボ部(1)における当該送出パイプ部分(A)の外径(D)が実質的に同じであることを特徴とする、請求項2に記載の送出パイプ部分。
【請求項7】
金属製取付けフランジ(7)が、前記外端部フランジ(3)及び前記縮径部(5)上に取り付けられ、保持スリーブ(9)、好ましくはプラスチック又は金属製の保持スリーブ(9)が、前記取付けフランジ(7)に配置され、前記保持スリーブ(9)が、長手方向に、好ましくは2つに、分割されていることを特徴とする、請求項2に記載の送出パイプ部分。
【請求項8】
前記保持スリーブ(9)が、前記外端部フランジ(3)と面一であり、前記端部フランジ(3)との協働を可能にする内側ショルダ(9a)と、前記取付けフランジ(7)との協働を可能にする外側ショルダ(11)とを備えることを特徴とする、請求項7に記載の送出パイプ部分。
【請求項9】
前記取付けフランジ(7)の内径が、前記外端部フランジ(3)の外径(D)よりわずかに大きいことを特徴とする、請求項7に記載の送出パイプ部分。
【請求項10】
当該送出パイプ部分(A)の前記外径(D)に対する一定の内径(d)の比が約0.6〜0.7であり、好ましくは前記外径(D)が22mmの場合は前記内径(d)が約14mmであることを特徴とする、請求項2に記載の送出パイプ部分。
【請求項11】
前記エルボ部(1)における当該送出パイプ部分の軸(X)の曲率半径(R)が、前記外径(D)の2倍より大きいことを特徴とする、請求項5に記載の送出パイプ部分。
【請求項12】
前記取付けフランジ(7)が、少なくとも1つの他のフランジ(8)に連結され、シールリング(13)が、前記外端部フランジ(3)の端面と前記他のフランジ(8)の端面との間に取り付けられ、前記外端部フランジ(3)の開口(4)に隣接して配置されることを特徴とする、請求項7に記載の送出パイプ部分。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−532735(P2010−532735A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515410(P2010−515410)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005607
【国際公開番号】WO2009/007108
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(506040652)クロネス アクティェンゲゼルシャフト (55)
【Fターム(参考)】