説明

容器収納装置

【課題】染色処理ラインへの容器の供給および回収を簡易に行える容器収納装置を提供する。
【解決手段】複数の容器Pを収納可能な容器収納部2と、容器Pを受け取ることが可能な保持台と、保持台3を上下動可能に支持する支持装置4と、容器収納部2に対して容器Pを出し入れする搬送装置5と、保持台3上の容器Pを染色処理ラインに送り出す送出装置6と、容器収納部2を回転駆動する回転駆動装置7と、制御装置とを備える。容器収納部2は、回転軸21を中心に放射状に区画された複数の容器収納空間20を有し、各容器収納空間20は、容器Pを複数段配置できるよう複数の容器収納室200に仕切られている。制御装置は、支持装置4および回転駆動装置7を駆動して保持台3を所定の容器収納室200に対向させることにより、該容器収納室200に対して容器Pの出し入れを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の容器を収納可能である容器収納装置に関し、より詳しくは、衣服や生地などの被染物を容器内に収容し、複数の容器を染色の1サイクルを構成する各処理工程を巡回させることにより被染物を染色する自動染色システムにおいて、容器を染色処理ラインに供給したり、染色終了後の容器を染色処理ラインから回収するための容器収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
染液を貯留したポット内に衣服や生地などの被染物を収容して、このポットを回転させることにより被染物を染色するポット式の染色機が従来から知られている。例えば、特許文献1には、図9に示すように、被染物および染液を収容する染色容器100と、染色容器100を回転させる回転軸101とを備え、回転軸101に固定された駆動用プーリ102を介して回転軸101に回転力を伝達するように構成されたユニット103を複数配置してなる染色機が開示されている。
【0003】
各ユニット103において、染色容器100の開口は上蓋104により閉じられ、上蓋104は取付部材105を介して回転軸101に取り付けられており、回転軸101の回転により染色容器100が回転し、被染物が染色される。染色が終了した後は、染色容器100を取り外して上蓋104を開放し、染色された被染物を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−309476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の染色機では、染色終了後の後処理工程、染色容器100からの被染物の取り出しや染液の回収工程、さらには染色容器100の洗浄工程などの各工程を、それぞれ別のステーションで、いずれも手作業で行う必要があるため、このような作業を複数のユニット103のそれぞれに対して行うことは煩雑で長時間を要するという問題がある。多品目少量生産を求められる製造現場では、生地の種類、サイズ、または色彩の異なる製品を、少ない需要を見込んで短時間で製造することが求められている。
【0006】
そこで、本願の出願人は、被染物を収容した複数の容器を、染液の調合・容器への染液の供給処理工程、染色処理工程、染色終了後の後処理工程、容器からの被染物の取り出し・染液の回収処理工程、さらには容器の洗浄処理工程など、染色の1サイクルを構成する各処理工程を巡回させることにより、被染物を染色するようにした自動染色システムを提案している(特願2010−112609)。この自動染色システムでは、容器を各処理工程を巡回させる染色処理ラインに乗せるだけで、染色に必要な一連の処理工程が自動的に実行されて、被染物の染色が行われるので、多様な染色を、煩雑な作業を必要とせずに、迅速にかつ効率良く行うことが可能となっている。
【0007】
上記構成の自動染色システムにおいて、染色終了後の容器は、そのまま次の被染物の染色処理に用いるために自動的に染色処理ラインのスタート地点に循環するように構成することもできるが、上記のように構成した場合、染色終了後、次の染色処理に用いられるまでの順番待ちの容器が染色処理ラインのスタート地点に多数貯留し、染色処理ラインから容器が溢れるおそれがある。また、システムのメンテナンス上、染色処理ラインから全ての容器を回収する必要がある場合もある。この問題を解消するため、染色処理ラインから溢れ出る容器や染色終了後の容器を随時、回収したり、また、容器を染色処理ラインに供給したりする作業を手作業により行ったのでは、作業に多大の労力と時間とを要し、非能率的である。
【0008】
本発明は、上記した問題に着目してなされたもので、染色処理ラインへの容器の供給および回収を簡易に行うことができる容器収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、被染物の染色処理に用いられる上部に開口を有する複数の容器を収納可能な容器収納部と、染色処理ライン中で、染色処理ラインに送り出す容器または染色処理ラインから処理済みの容器を受け取ることが可能な保持台と、前記保持台を上下動可能に支持する支持手段と、前記保持台に設けられ、前記容器収納部に対して容器を出し入れする搬送手段と、前記保持台上の容器を染色処理ラインに送り出す送出手段と、前記容器収納部を回転駆動する回転駆動手段と、前記支持手段、前記搬送手段、前記送出手段、および前記駆動手段の駆動を制御する制御装置とを備え、前記容器収納部は、回転軸を中心に放射状に区画された複数の容器収納空間を有し、前記各容器収納空間は、容器を上下方向に複数段配置できるよう複数の容器収納室に仕切られ、前記各容器収納室が前記回転軸を中心に回転可能に配置されており、前記制御装置は、前記支持手段および前記駆動手段を駆動して前記保持台を所定の容器収納室に対向させることにより、所定の容器収納室に対して容器の出し入れを行う容器収納装置により達成される。
【0010】
本発明の好ましい実施態様においては、前記各容器収納室は、少なくとも2本の棒状の支持部材上に容器を載置するように構成されており、各支持部材の表面には、滑り止め部材が設けられていることを特徴としている。
【0011】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記搬送手段は、上面に上方に突き出る2つの鉤部材が間隔をあけて設けられた少なくとも1つの把持部材と、前記把持部材を前後方向に移動させる移動手段と、前記把持部材の前端部を上下方向に傾動させる傾動手段とを備え、前記2つの鉤部材は、前方に設けられた第1の鉤部材の方が後方に設けられた第2の鉤部材よりも高さが低く形成されており、前記保持台上に上下反転して設けられた容器に対して、前記第1の鉤部材を容器の下方に位置させて前記第2の鉤部材により容器の外周面を押すことによって、前記容器収納室に容器を収納するとともに、前記第1の鉤部材を容器内に位置させて前記第1の鉤部材により容器の内周面を引っ掛けることによって、前記容器収納室から容器を取り出すことを特徴としている。
【0012】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記送出手段は、前記保持台が染色処理ラインから処理済みの容器を受け取る位置よりも高い位置に設けられていることを特徴としている。
【0013】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記容器収納部の前記保持台と対向する位置の前記容器収納空間に収納される容器の有無を検出できるように設けられたセンサをさらに備え、前記センサは、前記容器収納空間の前記容器収納室の数に応じて上下に複数並べて設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の容器収納装置によれば、ラインへの容器の供給および回収を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る容器収納装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】容器収納部の全体構成を示す斜視図である。
【図3】容器収納部の横断面図である。
【図4】搬送装置の動作を説明するための斜視図である。
【図5】搬送装置の動作を説明するための斜視図である。
【図6】搬送装置の動作を説明するための斜視図である。
【図7】搬送装置の構成を示す斜視図である。
【図8】支持部材の縦断面図である。
【図9】従来の染色機の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る容器収納装置1の外観構成を示す斜視図である。本実施形態の容器収納装置1は、例えば、衣服や下着、生地などの衣料を収容した複数の容器Pを、染液の調合・容器への染液の供給処理工程、衣料の染色処理工程、染色終了後の後処理工程、容器からの衣料の取り出し・染液の回収処理工程、さらには容器の洗浄処理工程など、染色の1サイクルを構成する各処理工程を巡回させることにより、衣料を自動的に染色するようにした自動染色システムに好適に適用される。各処理工程は、ベルトコンベヤなどで連結されて染色処理ラインを構成しており、複数の容器Pが各処理工程に順次搬送されるようになっている。この容器収納装置1は、この染色処理ライン中に設けられ、上記した衣料の染色に用いる容器Pを多数収納して、染色処理ラインに容器Pを供給したり、または、染色処理ラインから処理済みの容器Pを回収したりするためのものである。
【0017】
図示例の容器収納装置1は、上部に開口を有する容器Pを複数収納可能な容器収納部2と、染色処理ラインに送り出す容器Pまたは容器収納部2に収納する処理済みの容器Pを容器収納部2または染色処理ラインから受け取ることが可能な保持台3と、保持台3を上下動可能に支持する支持装置4と、保持台3と容器収納部2との間で容器Pを出し入れする搬送装置5と、保持台3上の容器Pを染色処理ラインに送り出す送出装置6と、容器収納部2を回転駆動する回転駆動装置7と、制御装置(図示せず)とを備えている。
【0018】
保持台3は、図1および図4〜図6に示すように、容器Pを載置することが可能な平板状のものであり、例えばポリアセタールなどの合成樹脂により形成されている。図示例では、保持台3は、2枚の長方矩形状のポリアセタール板30A,30Bを所定の間隔をあけて設けることにより構成されており、両ポリアセタール板30A,30B上に跨って容器Pが上下反転した状態で載置される。2枚のポリアセタール板30A,30Bの間には、搬送装置5が設けられている。
【0019】
この保持台3は、図1に示すように、上記した染色処理ラインの容器の洗浄処理工程の下流に配備される。染色処理ラインにおいて、容器Pは、衣料が収容されるとともに、この衣料に適した染液や助剤が注入され(染液供給処理工程)、容器Pを密閉して回転させることにより、衣料の染色処理が行われる(染色処理工程)。染色処理が行われると、衣料の後処理が行われた後(後処理工程)、容器Pから染液および衣料が排出されて(衣料・染液回収処理工程)、容器Pの洗浄処理が行われる(洗浄処理工程)。この洗浄処理工程では、詳細な説明は省略するが、洗浄装置10により、容器Pの内壁面および外壁面が洗浄液を用いて洗浄された後、付着する水滴が除去される。そして、洗浄装置10の図示しない駆動装置により、容器Pの下部を洗浄装置10から持ち上げて回転させることで、隣接する保持台3上に洗浄後の容器Pが上下反転した状態で載置されて、染色処理ラインから処理済みの容器Pを受け取るようになっている。
【0020】
支持装置4は、図1および図4〜図6に示すように、左右一対のL字型の側板40A,40Bからなる支持体40を備えており、各側板40A,40Bの前後がそれぞれ連結板41A,41Bにより連結された構成になっている。そして、各側板40A,40BのL字の水平な長辺部に、保持台3を構成する各ポリアセタール板30A,30Bがそれぞれ水平に固定されている。
【0021】
支持体40は、モータ43を駆動源とする駆動装置42によって、上下方向(図1のTU方向)に移動可能になっており、これにより、保持台3が支持体40により支持された状態で上下動するようになっている。駆動装置42は、モータ43と、駆動プーリ44と、従動プーリ45と、駆動プーリ44と従動プーリ45との間に掛け渡されたベルト46とを備えている。
【0022】
モータ43は、枠体11に設けられており、モータ43の回転軸(図示せず)に、駆動プーリ44が装着されている。従動プーリ45は、支持体40の下方において、枠体11に設けられた支軸(図示せず)に回動自在に支持されている。ベルト46は、その一部分において、連結部材47を介して支持体40の後方の連結板41Bに連結されており、モータ43の回転により駆動プーリ44が一体に回転すると、ベルト46が上方向または下方向に駆動されるので、支持体40が上方向または下方向へ移動するようになっている。なお、支持体40の各側板40A,40B(L字の垂直な短辺部)には、その上下位置に、一対のガイドスリーブ48,48が取り付けられている。これらのガイドスリーブ48は、枠体11に取り付けられた上下に伸びる2本のガイドロッド49,49にそれぞれ上下動自在に挿通されており、これにより、支持体40は各ガイドロッド49に案内(ガイド)されてほぼ真っ直ぐに上下動する。
【0023】
搬送装置5は、図1および図4〜図7に示すように、左右一対の板状の把持部材50,50と、両把持部材50を前後方向に移動させる移動装置51と、両把持部材50の前端部を上下方向に傾動させる傾動装置52とで構成されている。移動装置51は、駆動源として周知構造のロッドレスシリンダなどで構成されたアクチュエータ53を備えている。アクチュエータ53は、保持台3の2枚のポリアセタール板30A,30Bの間を、前後方向(後述する容器収納部2に向かった方向)に沿って延びるシリンダガイド53Aと、シリンダガイド53Aに沿って移動可能なピストン部材53Bとから構成されている。シリンダガイド53Aは、その前端部および後端部が、支持体40の前後の連結板41A,41Bにそれぞれ固定部材67A,67Bを介して固定されており、その上方は、1枚のカバー板66により覆われている。
【0024】
各把持部材50は、それぞれ平板状のものであり、その略中央部が連結棒54Aにより連結されているとともに、その後端部が連結軸54Bにより連結されている。連結軸54Bは、ピストン部材53Bに取り付けられた軸受55に回転自在に支持されており、これにより、各把持部材50がピストン部材53Bと一体になって、シリンダガイド53Aに沿って前後方向(図1のXY方向)へ移動するようになっている。
【0025】
また、連結軸54Bには、レバー56の一端部が固定されており、このレバー56の他端部には、傾動装置52を構成する傾動シリンダ57のロッド57aの先端が揺動自在に取り付けられている。傾動シリンダ57は、ピストン部材53Bに取り付けられた固定板58に揺動自由に取り付けられており、ロッド57aの進退によって、レバー56が回転することで、連結軸54Bが回転し、これにより、両把持部材50が後端部を中心にして前端部が上下方向に傾動可能になっている。
【0026】
各把持部材50の上面には、上方に突き出る2つの鉤部材59A,59Bが前後方向に間隔をあけて設けられている。この2つの鉤部材59A,59Bは、前方に設けられた第1の鉤部材59Aの方が後方に設けられた第2の鉤部材59Bよりも、上面からの高さが低く形成されている。
【0027】
各把持部材50は、常時は、ロッドレスシリンダが収縮していることで、保持台3の後端部側に位置しているとともに、傾動シリンダ57のロッド57aが伸長していることで、その前端部が下方に傾動して前方の鉤部材59Aが容器Pよりも下方に位置した状態となっている。この状態で、ロッドレスシリンダを伸長させる(ピストン部材53Bを前方に移動させる)と、容器Pは、各把持部材50の後方の鉤部材59Bによってその外周面を後ろから押されて保持台3上から前方へ押し出される。これにより、保持台3の前方に配置された容器収納部2に容器Pを収納することができる。一方、このロッドレスシリンダおよび傾動シリンダ57のロッド57aが伸長した状態で、傾動シリンダ57のロッド57aを収縮させると、各把持部材50の前端部が上方に傾動して前方の鉤部材59Aが容器Pの内部に位置した状態となる。この状態で、ロッドレスシリンダを収縮させる(ピストン部材53Bを後方に移動させる)と、容器Pは、各把持部材50の前方の鉤部材59Aによってその内周面が引っ掛けられて容器収納部2から引き出される。これにより、容器収納部2から保持台3上に容器Pを取り出すことができるようになっている。
【0028】
送出装置6は、容器収納部2から保持台3上に取り出した容器Pを染色処理ラインに送り出すためのものであり、図1に示すように、保持台3が染色処理ラインから処理済みの容器Pを受け取る位置(図1では、後述する容器収納部2でいうところの下から2段目の位置)よりも高い位置(下から3段目の位置)に設けられている。この送出装置6は、枠体11に水平に設けられたエアシリンダなどのシリンダ装置60と、シリンダ装置60のロッド(図示せず)の先端に取り付けられた水平な水平板61と、水平板61の両端から垂下する左右一対の垂直板62,62の下端部にそれぞれ取り付けられた左右一対の送出板63,63とからなる。水平板61は、シリンダ装置60のロッドの伸縮により往復動(図1では前後方向XYと直交する左右方向VW)するようになっている。水平板61の両端には左右一対のガイド棒64,64が、シリンダ装置60をその間に挟んだ状態で、シリンダ装置60と平行に取り付けられている。各ガイド棒64は、軸受65などによって水平に保持されており、これにより、水平板61は各ガイド棒64によって案内(ガイド)されてほぼ真っ直ぐに往復動する。
【0029】
各送出板63は互いに平行であり、送出板63間の間隔は、容器Pの外径よりも小さく設定されている。常時では、シリンダ装置60のロッドは収縮しており、両送出板63は容器Pの右側方(図1のW方向)に位置している。この状態から、シリンダ装置60のロッドが伸長することにより、水平板61が左方向(図1のV方向)へ移動して、各送出板63の先端が容器Pの外周面に当接すると、容器Pは各送出板63により保持台3上から左側方へ押し出される。これにより、保持台3の左側方に配置されたベルトコンベヤ(図示せず)上に容器Pを送出することができ、新たな容器Pが染色処理ラインに供給されるようになっている。なお、この送出装置6および新たな容器Pが染色処理ラインに供給する前記ベルトコンベヤの位置が、保持台3が染色処理ラインから処理済みの容器Pを受け取る位置よりも高い位置に設けられていることで、作業者は前記ベルトコンベヤの下をとおって染色処理ライン内に入りやすくなっており、システムのメンテナンスなどを行う際にこれを行いやすくなっている。
【0030】
容器収納部2は、複数の容器Pを個別に収納するためのものであり、本実施形態においては、図1に示すように、容器Pを個別に収納可能な容器収納室200が上下方向(図1のTU方向)に複数段(図示例では5段)配置されたものを1つの容器収納空間20とし、各容器収納空間20が回転軸21を中心とした円周状に並べられていることで、全ての容器収納室200が回転軸21を中心に回転可能に配置されている。
【0031】
この容器収納部2は、図2および図3に示すように、垂直方向に延びる丸棒状の1本の回転軸21と、枠体11内に回転軸21と一体に回転可能に設けられた回転枠33とを備えている。回転枠33は、回転軸21の上端部および下端部において、回転軸21から放射状に延びる断面視コ字状の複数(図示例では6つ)の水平フレーム22と、上下の対向する水平フレーム22同士を連結する複数の角棒状の垂直フレーム24とを含んでいる。回転軸21の上端部および下端部には、水平な円板23,23が固定されており、この各円板23に、各水平フレーム22の一端部が固定されている。垂直フレーム24は、各水平フレーム22の略中央部および他端部の2箇所にそれぞれ設けられており、この垂直フレーム24により、容器収納部2に、回転軸21を中心として放射状に区画された複数(図示例では6つ)の容器収納空間20が区画形成されている。
【0032】
垂直フレーム24のうち、外側に配置された6つの垂直フレーム24には、それぞれ左右の隣り合う垂直フレーム24との間に、角棒状の水平ビーム25が上下方向に複数(図示例では5つ)、水平に架け渡されている。この水平ビーム25により、各容器収納空間20は、上下複数段(図示例では5段)の容器収納室200に仕切られている。なお、本実施形態では、各容器収納室200が上下方向に5段、円周方向に6列配置された5段×6列の配置構成になっているが、必ずしもこれに限られるものではなく、任意の配置構成(m段×n列)とすることができる。
【0033】
各水平ビーム25上には、間隔をあけて2本の角棒状の支持部材26が水平に設けられている。各支持部材26は互いに平行であって、2つの支持部材26間の間隔は容器Pの外径よりも小さく設定されており、各容器収納室200は、この2本の支持部材26上に容器Pを載置するように構成されている。加えて、2つの支持部材26間の間隔は、上記した搬送装置5の搬送部材53間の間隔よりも大きく設定されている。これにより、容器Pを保持台3から容器収納部2に収納する際には、各搬送部材53が2つの支持部材26の間の隙間を通って、容器Pを各支持部材26上に載置するようになっている。なお、支持部材26の数は、本実施形態では2つになっているが、必ずしもこれに限られるものではなく、これよりも多く支持部材26を設けてもよい。
【0034】
各支持部材26は、図8に示すように、その上面に凹溝27が設けられており、縦断面視形状が凹状となっている。この支持部材26の上面には、例えばゴムなどからなる滑り止め部材28が設けられており、支持フレーム26上に載置された容器Pが支持部材26上から容易に滑り落ちないようになっている。この滑り止め部材28は、支持部材26上面の凹溝27に係合する凸部29を有しており、縦断面視形状が凸状となっている。この滑り止め部材28の凸部29を支持部材26の凹溝27に係合させることで、滑り止め部材28は支持部材26上に固定される。なお、支持部材26に凸部を、滑り止め部材28に凹溝を、それぞれ設けるように構成することも可能である。また、支持部材26および滑り止め部材28に必ずしも凸部および溝を設ける必要はなく、支持部材26の平滑な面上に滑り止め部材28を接着などにより固定するように構成してもよい。
【0035】
図2および図3に戻って、各円板23から突き出た回転軸21の上端および下端は、それぞれ枠体11に取り付けられた軸受31,32に回転可能に支持されており、回転軸21は、サーボモータ70を駆動源とする回転駆動装置7によって、回転駆動される。回転軸21の上端には、サーボモータ70により駆動される駆動ギア(図示せず)に噛み合う従動ギア(図示せず)が装着されており、駆動ギアが回転すると、従動ギアを介して回転軸21が回転し、これと一体に回転枠33も回転する結果、各容器収納室200が回転する。なお、サーボモータ70は、枠体11上に配設されている。
【0036】
上記した容器収納装置1の各構成要素の作動は、制御装置(図示せず)により行われる。前記制御装置が、支持装置4を駆動して保持台3の上下動を制御するとともに、回転駆動装置7を駆動して回転枠33の回転を制御することにより、保持台3を所望の容器収納室200に対向させることができ、そして、搬送装置7の駆動を制御することにより、所望の容器収納室200に対して容器Pの出し入れを行うことが可能になっている。
【0037】
また、枠体11上部の水平枠部材12には、図1に示すように、回転枠33の回転時に、容器収納部2のどの容器収納空間20が保持台3と対向しているのかを検出するためのセンサSが設けられている。このセンサSは、例えば、反射型の光電センサにより構成されており、回転枠33の上方の各水平フレーム22には、図1および図2に示すように、センサSを駆動させるための金属板などの検知部材34が取り付けられている。回転枠33の回転時に検知部材34がセンサS前を通過すると、センサSがこれを順次検知して検知信号を制御装置に出力する。これにより、制御装置は、現在、容器収納部2のどの容器収納空間20が保持台3と対向しているのかを検出し、回転駆動装置7の作動を適宜停止させて回転枠33の回転動作を止めることで、所望の容器収納室200が含まれている容器収納空間20を保持台3に対向させることが可能になっている。
【0038】
さらに、枠体11前方部の左右の垂直枠部材12には、図3に示すように、容器収納部2の各容器収納室200における容器Pの収納状態を検出するためのセンサHが、容器収納室200の段数に応じて、上下に複数個(本実施形態では5個)、並べて設けられている。これらのセンサHは、例えば、投光部H1と受光部H2とが対向する透過型の光電センサで構成することができる。容器Pが各容器収納室200に収納されていると、センサHの投受光部間は容器Pにより遮光されるので、該当する段に配置されているセンサHは、これを検出して制御装置に検出信号を出力する。一方、容器Pが各容器収納室200に収納されていないと、センサHの投受光部間は遮光されないので、該当する段に配置されているセンサHは、これを検出して制御装置に検出信号を出力する。これらの検出信号が制御装置に出力されると、制御装置は、現在、保持台3と対向しているのが容器収納部2のどの容器収納空間20であるかの検出結果と合わせることで、全ての容器収納室200について容器Pの収納状態を把握することが可能となっている。なお、本実施形態では、センサHとして、透過型の光電センサを用いているが、これに限られるものではなく、反射型の光電センサを用いてもよい。この場合には、枠体11前方部の左右の垂直枠部材12のうちの一方の垂直枠部材12に、投光部および受光部を備える光電センサを設けるとともに、他方の垂直枠部材12に光電センサからの光を反射させる反射板を設け、光電センサの反射光の受光状態により、各容器収納室200について容器Pが収納されているかどうかが検出される。
【0039】
上記した構成のセンサHを枠体11前方部の左右の垂直枠部材12に設けることで、例えば、何らかの理由で作業者が本実施形態の容器収納装置の稼働中に、いずれかの容器収納室200から容器Pを手作業で取り出したとしても、保持台3と該容器収納室200を含む容器収納空間20が対峙した時点で、該容器収納室200と同じ高さに設けられたセンサHが、該容器収納室200の容器Pの有無(容器無し)を検出する。該センサHからの検出信号を制御装置が受信することで、制御装置は、いずれの容器収納室200において容器Pの取り出しが行われたのかを判別可能であり、その都度、記憶手段(図示せず)中の各容器収納室200の容器有無についての情報を書き換えることで、正しい情報に更新することができる。また、作業者が、空きの容器収納室200に、手作業で容器Pを収納した場合にも、同様に、保持台3と該容器収納室200を含む容器収納空間20が対峙した時点で、該容器収納室200と同じ高さに設けられたセンサHが、該容器収納室200について容器Pの有無を検出することで、制御装置は、従来、「容器無し」と記憶されていた記憶手段(図示せず)中の該容器収納室200についての情報を、「容器有り」と書き換えることができ、正しい情報に更新することができる。
【0040】
なお、容器収納部2の各容器収納室200にセンサを取り付け、各容器収納室200に対する容器Pの収納および取り出しをセンサで検出して、検出信号を制御装置に出力するように構成することにより、制御装置が、全ての容器収納室200について容器Pの収納状態を把握できるように構成することも可能である。ただし、センサの設置数を少なくすることができる点を考慮すると、本実施形態のほうが好ましい。
【0041】
次に、上記構成を備える容器収納装置1の作動について説明する。まず、染色処理ラインから処理済の容器Pを回収する場合には、制御装置は、支持装置4の作動により、保持台3を上下動させて、染色処理ラインから容器Pを受け取ることが可能な位置(本実施形態では容器保持部2の下から2段目の位置)まで保持台3を移動させる。この状態において、容器Pが洗浄装置10から上下反転した状態で保持台3上に載置されると、制御装置は、当該容器Pを受け入れることが可能な容器収納室200を検出していずれかを選択し、その検出した容器収納室200を含む容器収納空間20が保持台3と対向するよう、回転駆動装置7を作動して回転枠33を回転動作させる。これと同時に、制御装置は、支持装置4の作動により保持台3を上下動させて、選択した容器収納室200の高さまで保持台3を移動させることで、保持台3を選択した容器収納室200と対向させる。
【0042】
保持台3が選択した容器収納室200と対向すると、制御装置は、移動装置51の作動により両把持部材50を前方に移動させることによって、容器Pの外周面を両把持部材50の後方の鉤部材59Bにより後ろから押して、容器Pを保持台3上から前方に押し出す。これにより、容器Pが容器収納室200の両支持部材26上に載置されて容器収納部2に収納される。容器収納室200に容器Pが収納されると、制御装置は、移動装置51の作動により両把持部材50を後方に移動させることで、容器Pの収納作業を終了する。なお、各把持部材50は、常時は、その前端部が下方に傾動して前方の鉤部材59Aが容器Pよりも下方に位置しているので、両把持部材50を後方に移動させる際に、前方の鉤部材59Aが容器Pに引っ掛かるおそれはない。
【0043】
次に、染色処理ラインに容器Pを供給する場合には、制御装置は、容器Pを収納している容器収納室200を検出していずれかを選択し、その検出した容器収納室200を含む容器収納空間20が保持台3と対向するよう、回転駆動装置7を作動して回転枠33を回転動作させる。これと同時に、制御装置は、支持装置4の作動により保持台3を上下動させて、選択した容器収納室200の高さまで保持台3を移動させることで、保持台3を選択した容器収納室200と対向させる。
【0044】
保持台3が選択した容器収納室200と対向すると、制御装置は、移動装置51の作動により両把持部材50を前方に移動させた後、傾動装置52の作動により両把持部材50の前端部を上方に傾動させることで、両把持部材50の前方の鉤部材59Aを容器Pの内部に位置させる。そして、制御装置は、移動装置51の作動により両把持部材50を後方に移動させることによって、両把持部材50の前方の鉤部材59Aによって容器Pの内周面が引っ掛けて、容器Pを容器収納室200から引き出す。これにより、容器Pが保持台3上に載置されて容器収納部2から容器Pが取り出される。容器収納部2から容器Pが取り出されると、制御装置は、傾動装置52の作動により両把持部材50の前端部を下方に傾動させることで、両把持部材50の前方の鉤部材59Aを容器Pの下方に位置させる。
【0045】
その後、制御装置は、支持装置4の作動により保持台3を上下動させて、染色処理ラインに容器Pを供給することが可能な位置(本実施形態では容器保持部2の下から3段目の位置)まで保持台3を移動させる。そして、制御装置は、送出装置6のシリンダ装置60を駆動させて、水平板61を左方向(図1のV方向)へ移動させ、両送出板63の先端で容器Pの外周面を側方より押すことで、容器Pを保持台3上から左側方へ押し出す。これにより、保持台3の左側方に配置されたベルトコンベヤ(図示せず)上に容器Pが送り出される結果、新たな容器Pが染色処理ラインに供給されて、容器Pの供給作業を終了する。
【0046】
上記した構成の容器収納装置1によれば、染色処理終了後の容器Pを自動的に染色処理ラインから回収して容器収納部2に収納することができるので、染色処理終了後、次の染色処理に用いられるまでの順番待ちの容器Pが染色処理ラインに多数貯留するおそれがない。また、染色処理ラインから全ての容器Pを自動的に回収することもできるので、システムのメンテナンスを容易に行うことができる。さらに、新たな容器Pも自動的に染色処理ラインに供給することができるので、効率的である。
【符号の説明】
【0047】
1 容器収納装置
2 容器収納部
3 保持台
4 支持装置
5 搬送装置
6 送出装置
7 回転駆動装置
20 容器収納空間
26 支持部材
28 滑り止め部材
50 把持部材
51 移動装置
52 傾動装置
59 鉤部材
200 容器収納室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被染物の染色処理に用いられる上部に開口を有する複数の容器を収納可能な容器収納部と、
染色処理ライン中で、染色処理ラインに送り出す容器または染色処理ラインから処理済みの容器を受け取ることが可能な保持台と、
前記保持台を上下動可能に支持する支持手段と、
前記保持台に設けられ、前記容器収納部に対して容器を出し入れする搬送手段と、
前記保持台上の容器を染色処理ラインに送り出す送出手段と、
前記容器収納部を回転駆動する回転駆動手段と、
前記支持手段、前記搬送手段、前記送出手段、および前記駆動手段の駆動を制御する制御装置とを備え、
前記容器収納部は、回転軸を中心に放射状に区画された複数の容器収納空間を有し、前記各容器収納空間は、容器を上下方向に複数段配置できるよう複数の容器収納室に仕切られ、前記各容器収納室が前記回転軸を中心に回転可能に配置されており、
前記制御装置は、前記支持手段および前記駆動手段を駆動して前記保持台を所定の容器収納室に対向させることにより、所定の容器収納室に対して容器の出し入れを行う容器収納装置。
【請求項2】
前記各容器収納室は、少なくとも2本の棒状の支持部材上に容器を載置するように構成されており、各支持部材の表面には、滑り止め部材が設けられている請求項1に記載の容器収納装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、上面に上方に突き出る2つの鉤部材が間隔をあけて設けられた少なくとも1つの把持部材と、前記把持部材を前後方向に移動させる移動手段と、前記把持部材の前端部を上下方向に傾動させる傾動手段とを備え、
前記2つの鉤部材は、前方に設けられた第1の鉤部材の方が後方に設けられた第2の鉤部材よりも高さが低く形成されており、前記保持台上に上下反転して設けられた容器に対して、前記第1の鉤部材を容器の下方に位置させて前記第2の鉤部材により容器の外周面を押すことによって、前記容器収納室に容器を収納するとともに、前記第1の鉤部材を容器内に位置させて前記第1の鉤部材により容器の内周面を引っ掛けることによって、前記容器収納室から容器を取り出す請求項1または2に記載の容器収納装置。
【請求項4】
前記送出手段は、前記保持台が染色処理ラインから処理済みの容器を受け取る位置よりも高い位置に設けられている請求項1〜3のいずれかに記載の容器収納装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の容器収納装置であって、
前記容器収納部の前記保持台と対向する位置の前記容器収納空間に収納される容器の有無を検出できるように設けられたセンサをさらに備え、
前記センサは、前記容器収納室の数に応じて上下に複数並べて設けられている容器収納装置。

【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−162832(P2012−162832A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25645(P2011−25645)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】