説明

容器搬送装置

【課題】比較的簡素な構成で装置の型替えを自動的に行うことが可能な容器搬送装置を提供する。
【解決手段】第1搬送ホイール12のポケット12aに取り込んだ樽Bをガイド14で案内しつつ第1搬送ホイール12を回転させて樽Bを搬送する容器供給機構10において、容器供給装置10の上流には第1搬送ホイール12の回転速度よりも搬送速度が速い搬送コンベア3が設けられ、曲面S2がポケット12a内に突出する突出位置P1と曲面S2がポケット12a外に後退する後退位置P2との間で移動可能なように設けられた第2搬送ホイール13と、所定の解放トルクが作用するまで第2搬送ホイール13を突出位置P1に維持可能な位置切替機構16とを備え、第2搬送ホイール13には、第2搬送ホイール13が後退位置P2にある場合に第1搬送ホイール12よりも第1搬送ホイール12の回転方向とは逆の方向に突出する羽部15が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ホイールの外周に設けたポケットに容器を取り込み、その状態で搬送ホイール搬送ホイールを回転させて容器を搬送する容器搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スターホイールの外周に設けた複数のポケットに容器を取り込んでそれら容器を搬送する搬送装置が知られている。このような搬送装置では、容器の直径の大きさに応じて搬送に使用するスターホイールを変更する、いわゆる型替えを行っている。例えば、ポケットの大きさが異なる複数のスターホイールを有し、容器のサイズに応じて搬送に使用すべきスターホイールを切り替える搬送装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−46224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、具体的にどのような機構を用いてスターホイールの切り替えを行うか開示も示唆もされていない。アクチュエータや電動モータ等を用いてスターホイールの切り替えを行う場合は、装置の構造が複雑になったりコストが上昇したりするおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、比較的簡素な構成で装置の型替えを自動的に行うことが可能な容器搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の容器搬送装置は、外周に所定の第1曲率半径(Rc1)で凹むポケット(12a)が複数設けられた搬送ホイール(12)と、前記搬送ホイールの周囲に設けられたガイド(14)と、を備え、前記ポケットに取り込んだ容器(B)を前記ガイドで案内しつつ前記搬送ホイールをその中心軸線(Ax)の回りに所定方向に回転させて前記ポケット内の容器を搬送する容器搬送装置(10)において、前記容器搬送装置の上流には、前記搬送ホイールの回転速度よりも速い速度で前記搬送ホイールに容器を送り込むことが可能な搬送コンベア(3)が設けられ、前記第1曲率半径よりも小さい第2曲率半径(Rc2)で形成されて前記所定方向を向くように配置された曲面(S2)を有し、前記曲面が前記ポケット内に突出する突出位置(P1)と前記曲面が前記ポケット外に後退する後退位置(P2)との間で移動可能なように設けられた型替え部材(13;20)と、前記型替え部材に対して前記型替え部材を前記後退位置側に押す所定の大きさの解放トルクが作用するまで前記型替え部材を前記突出位置に維持し、前記型替え部材に前記解放トルク以上のトルクが作用するとその維持を解除する位置切替手段(16)と、を備え、前記型替え部材には、前記型替え部材が前記後退位置にある場合に前記搬送コンベアにて搬送されている容器と衝突するように前記搬送ホイールよりも前記所定方向とは逆の方向に突出する突出部(15)が設けられていることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明の容器搬送装置では、型替え部材が突出位置にある場合は型替え部材の内面が搬送ホイールのポケット内に突出している。そのため、ポケットの曲率半径と半径が同じ容器がポケット内に取り込まれると、その容器が型替え部材を所定方向と逆方向に押す。そして、型替え部材に作用するトルクが解放トルク以上になると型替え部材が後退位置に移動する。この場合、容器は搬送ホイールのポケットにて搬送される。一方、型替え部材が後退位置にある場合は突出部が搬送ホイールよりも所定方向とは逆の方向に突出する。また、容器搬送装置の上流にある搬送コンベアの搬送速度は搬送ホイールの回転速度よりも遅い。そのため、型替え部材が後退位置にある場合は、搬送コンベア上の容器が型替え部材を所定方向に押し、これにより型替え部材が突出位置に移動する。そして、突出位置に移動した型替え部材は、位置切替手段によって解放トルク以上のトルクが作用するまで突出位置に維持される。そのため、ポケット内に突出した型替え部材によって容器を搬送することができる。
【0008】
このように本発明の容器搬送装置によれば、搬送コンベアの搬送速度と搬送ホイールの回転速度との差を利用して型替え部材を後退位置から突出位置に移動させることができる。また、搬送ホイールのポケット内に取り込ませた容器によって型替え部材を突出位置から後退位置に移動させることができる。そのため、アクチュエータ等の駆動源を新に設ける必要がない。従って、簡素な構成で容器搬送装置の型替えを自動的に行うことができる。また、この容器搬送装置では、装置を停止させることなく型替えを行うことができる。さらに装置の型替えに要する時間をほぼ0にすることができる。そして、本発明の容器搬送装置では、型替え時に作業者が作業を行う必要がないので、作業者の負担を軽減できる。
【0009】
本発明の容器搬送装置の一形態において、前記位置切替手段は、前記搬送ホイールの径方向に延びるように設けられて前記搬送ホイールと一体に回転する磁石(17a)と、前記型替え部材が前記突出位置にある場合に前記磁石と接触するように前記型替え部材に設けられた磁性材料製の磁化部材(18a)と、を備えていてもよい。この場合、例えば磁石の磁力を解放トルクよりも若干小さくすることにより、解放トルクを条件とした型替え部材の位置の切り替えを容易に行うことができる。
【0010】
本発明の容器搬送装置の一形態においては、前記型替え部材として、内面の一部に前記曲面が設けられたポケットを前記搬送ホイールのポケットと同数外周に有するとともに前記搬送ホイールと同軸、かつ前記搬送ホイールに対して相対回転可能に設けられた型替えホイール(13)を備えていてもよい。この形態によれば、各ポケットの型替えを同時に行うことができる。
【0011】
本発明の容器搬送装置の一形態において、前記容器搬送装置では、半径が第1半径(R1)の第1容器(B1)と、半径が前記第1半径よりも小さい第2半径(R2)の第2容器(B2)とが搬送され、前記第1曲率半径は前記第1半径であり、前記第2曲率半径は前記第2半径であってもよい。このように各曲率半径を設定することにより、搬送ホイールのポケットで第1容器を適切に搬送できるとともに型替え部材の内面で第2容器を適切に搬送することができる。
【0012】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0013】
以上に説明したように、本発明の容器搬送装置によれば、搬送コンベアの搬送速度と搬送ホイールの回転速度との差、及び容器の直径の差を利用して型替え部材を切り替えることができる。そのため、簡素な構成で容器搬送装置の型替えを自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一形態に係る容器搬送装置が組み込まれた飲料充填システムの概略構成を示す図。
【図2】図1の飲料充填システムで飲料が充填される樽の一例を示す図。
【図3】容器供給装置の斜視図。
【図4】容器供給装置の上面概略図。
【図5】第2搬送ホイールが突出位置にある場合の容器供給装置を示す図。
【図6】第2搬送ホイールが後退位置にある場合の容器供給装置を示す図。
【図7】他の形態の容器供給装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一形態に係る容器搬送装置が組み込まれた飲料充填システムの概略構成を示している。この飲料充填システム1は、容器としての樽Bに飲料を充填する充填装置2と、充填装置2の側方に設けられた搬送コンベア3とを備えている。飲料としては、ビール等が充填される。搬送コンベア3は、充填装置2に供給すべき空の樽Bを搬送したり、充填装置2で飲料が充填された樽Bを次工程に搬送したりする。充填装置2と搬送コンベア3との間には、搬送コンベア3から充填装置2に空の樽Bを供給する容器搬送装置としての容器供給装置10と、充填装置2から搬送コンベア3に飲料が充填された樽Bを排出する容器排出装置4とが設けられている。なお、充填装置2、搬送コンベア3、及び容器排出装置4については、飲料充填システムに設けられる公知のものと同じでよいため、詳細な説明を省略する。
【0016】
この飲料充填システム1では、図2に一例を示したように互いに直径が異なる複数(図2では2つのみを示す。)の種類の樽B1、B2に飲料が充填される。この図に示したように第1樽B1及び第2樽B2の形状は、それぞれ略円筒形状である。第2樽B2の直径D2(半径R2)は、第1樽B1の直径D1(半径R1)よりも小さい。なお、以降においても第1樽B1と第2樽B2とを区別する必要がない場合は単に樽Bと記述する。
【0017】
図3〜図6を参照して容器供給装置10について説明する。図3は容器供給装置10の斜視図を示している。また、図4は容器供給装置10の上面概略図を示している。容器供給装置10は、軸線Axを中心として回転する回転軸11と、第1樽B1を搬送するための第1搬送ホイール12と、第2樽B2を搬送するための型替えホイールとしての第2搬送ホイール13と、これら搬送ホイール12、13の周囲に設けられたガイド14とを備えている。なお、便宜上図4〜図6においては第2搬送ホイール13を破線で示している。図4に示したように第1搬送ホイール12及び第2搬送ホイール13は、回転軸11と同軸になるように回転軸11に設けられている。容器供給装置10は、第1又は第2搬送ホイール12、13のポケット12a、13aに取り込んだ樽Bをガイド14のガイド面14aで案内しつつ搬送ホイール12、13を左回りに回転させることによって樽Bを搬送する。回転軸11は、不図示の駆動源、例えば電動モータにて回転駆動される。この際、回転軸11は、図4に矢印で示したように左回りに回転駆動される。なお、以降では回転軸11が回転駆動される方向を正転方向と称し、正転方向と反対の方向を逆転方向と称する。また、回転軸11は、その回転速度が搬送コンベア3の搬送速度よりも遅くなるように回転駆動される。そのため、搬送コンベア3は、搬送ホイール12、13の回転速度よりも速い速度で樽Bを搬送ホイール12、13に送り込むことができる。
【0018】
第1搬送ホイール12は、回転軸11と一体に回転するように回転軸11に取り付けられている。図4に示したように第1搬送ホイール12の外周には、4つのポケット12aが設けられている。これら4つのポケット12aは、周方向に等間隔で設けられている。また、これらの4つのポケット12aは、それぞれ外周から第1曲率半径Rc1で凹むように設けられている。第1曲率半径Rc1は、第1樽B1の半径R1と同じ値である。
【0019】
ガイド14は、この第1搬送ホイール12のポケット12a内に第1樽B1が取り込まれた場合にその第1樽B1の外周面が接触する位置に設けられている。言い換えると、ガイド14は、図6に示したようにポケット12aの内面において最も軸線Axに近い位置とガイド面14aとの距離L1が第1樽B1の直径D1とほぼ同じになる位置に設けられている。ガイド14のガイド面14aには、樽Bを搬送ホイール12、13側に寄せるための複数の補助ガイド14bが設けられている。
【0020】
第2搬送ホイール13は、回転軸11に回転自在に取り付けられている。すなわち、第2搬送ホイール13は、回転軸11及び第1搬送ホイール12のそれぞれに対して相対回転可能に設けられている。図3及び図4に示したように第2搬送ホイール13は、第1搬送ホイール12の上側に重なるように設けられている。これらの図から明らかなように第2搬送ホイール13の直径は、第1搬送ホイール12の直径よりも大きい。第2搬送ホイール13の外周にも4つのポケット13aが設けられている。図4に示すようにポケット13aの内面Sには、第1曲率半径Rc1で凹む第1内面S1と、第2曲率半径Rc2で凹む曲面としての第2内面S2とが設けられている。なお、第2曲率半径Rc2は、第2樽B2の半径R2と同じ値である。この図に示すように第2内面S2は、正転方向を向くようにポケット13aの内面Sに設けられている。また、第2内面S2は、この第2内面S2で第2樽B2を搬送しているときにその第2樽B2の中心と軸線Axとの間の距離A2(図5参照)が、第1搬送ホイール12のポケット12aで第1樽B1を搬送しているときの第1樽B1の中心と軸線Axとの間の距離A1(図6参照)と同じになる位置に設けられている。
【0021】
第2搬送ホイール13には、第1搬送ホイール12に対する第2搬送ホイール13の相対回転範囲を制限する不図示の可動範囲制限機構が設けられている。可動範囲制限機構は、第1搬送ホイール12に対する第2搬送ホイール13の相対回転範囲を図5に示すように第2内面S2が第1搬送ホイール12のポケット12a内に突出する突出位置P1と、図6に示すように第2内面S2がポケット12a外に後退する後退位置P2との間に制限する。可動範囲制限機構としては、例えば一方の搬送ホイールに周方向に延びる所定の長さの溝を設けるとともに他方の搬送ホイールにその溝に嵌る突起物を設け、その溝の長さにて可動範囲を制限すればよい。図5に示したように各ポケット13aの内面Sは、第2搬送ホイール13が突出位置P1にある場合にポケット13aの内面Sにおいて最も軸線Axに近い位置とガイド面14aとの距離L2が第1樽B1の直径D1より小さく、かつ第2樽B2の直径D2より大きくなるように設けられている。
【0022】
図4に示したように第2搬送ホイール13には、突出部としての羽部15が設けられている。羽部15は、各ポケット13aの一方の端にそれぞれ設けられている。また、羽部15は、第2搬送ホイール13の外周から逆転方向に延びるように設けられている。羽部15の大きさは、図6に示すように第2搬送ホイール13が後退位置P2にある場合に第1搬送ホイール12よりも逆転方向に突出して搬送コンベア3上の樽Bと接触し、図5に示すように第2搬送ホイール13が突出位置P1にある場合は搬送コンベア3上の樽Bと接触しないように設定されている。
【0023】
容器供給装置10には、位置切替手段としての位置切替機構16が設けられている。位置切替機構16は、回転軸11に取り付けられた第1係合部材17と、第2搬送ホイール13に取り付けられた4つの第2係合部材18とを備えている。第1係合部材17は、回転軸11と一体に回転するように回転軸11に取り付けられている。第1係合部材17は、4つの磁石17aを備えている。各磁石17aは、回転軸11から径方向外側にそれぞれ延びるように設けられている。これら4つの磁石17aは、周方向に等間隔で配置されている。第2係合部材18は磁化部材としての保持部材18aをそれぞれ備えている。保持部材18aは、鉄等の磁性材料で構成されている。各第2係合部材18は、第2搬送ホイール13が突出位置P1に移動した場合に保持部材18aが磁石17aと接触するように第2搬送ホイール13にそれぞれ固定されている。磁石17aの磁力Fは、所定の第1トルクT1より大きく、かつ所定の第2トルクT2より小さくなるように、すなわちT1<F<T2の関係になるように設定されている。第1トルクT1としては、図5に示すように突出位置P1にある第2搬送ホイール13で第2樽B2を搬送しているときに第2搬送ホイール13に掛かるトルクが設定される。第2トルクT2としては、図6に示すようにガイド14に押された第1樽B1が第1搬送ホイール12のポケット12a内に入り込もうとして突出位置P1の第2搬送ホイール13を押したときに第2搬送ホイール13に掛かるトルクが設定される。
【0024】
次に図5及び図6を参照して容器供給装置10の動作について説明する。まず、図6を参照して第1樽B1を搬送する場合について説明する。なお、第1樽B1が搬送コンベア3から容器供給装置10に供給され始めた時点において第2搬送ホイール13は突出位置P1(図5参照)にあるものとする。このような状態の容器供給装置10に搬送コンベア3から第1樽B1が送り込まれると、その第1樽B1は第2搬送ホイール13のポケット13a内に取り込まれる。しかしながら、上述したように第2搬送ホイール13が突出位置P1にある場合の距離L2は第1樽B1の直径D1よりも小さい。そのため、ガイド面14aに押されて第1樽B1がポケット13a内に押し込まれると第2搬送ホイール13が第1樽B1によって逆転方向に押される。
【0025】
そして、第2搬送ホイール13に掛かるトルクが第2トルクT2以上になると保持部材18aが磁石17aから外れて第2搬送ホイール13が後退位置P2に移動する。これにより容器供給装置10が図6に示した状態に切り替わる。この状態においては、第2搬送ホイール13の内面Sが第1搬送ホイール12上に移動する。そのため、第1樽B1は、第1搬送ホイール12のポケット12a内に取り込まれて搬送される。なお、この状態になると第2搬送ホイール13の羽部15が第1搬送ホイール12よりも逆転方向に突出して搬送コンベア3上の第1樽B1にて押されるが、ポケット12a内には第1樽B1が取り込まれているので、第2搬送ホイール13は後退位置P2に維持される。このように容器供給装置10においては、第2搬送ホイール13が突出位置P1にある状態のまま第1樽B1の搬送を開始しても第1樽B1の搬送中に第2搬送ホイール13が後退位置P2に移動して樽Bの搬送に使用される搬送ホイールが第1搬送ホイール12に切り替わる。
【0026】
次に図5を参照して第2樽Bを搬送する場合について説明する。なお、第2樽B2が搬送コンベア3から容器供給装置10に供給され始めた時点において第2搬送ホイール13は後退位置P2(図6参照)にあるものとする。すなわち、この第2樽B2の搬送を始める前まで容器供給装置10では第1樽B1が搬送されていたものとする。また、第1搬送ホイール12の各ポケット12a内には樽Bが取り込まれていない状態とする。上述したように第2搬送ホイール13が後退位置P2にある場合は羽部15が第1搬送ホイール12よりも逆転方向に突出する。また、搬送ホイール12、13の回転速度は搬送コンベア3の搬送速度よりも遅い。そのため、羽部15が搬送コンベア3上の第2樽B2に押され、これにより第2搬送ホイール13が正転方向に回転する。第1搬送ホイール12の各ポケット12a内は空の状態であるため、このように第2搬送ホイール13が正転方向に回転すると第2搬送ホイール13は突出位置P1に移動する。また、これにより保持部材18aが磁石17aに吸着される。そのため、これらの動作により容器供給装置10の状態が図6に示した状態から図5に示した状態に切り替わる。
【0027】
搬送コンベア3上の第2樽B2は、このように羽部15を押して第2搬送ホイール13を突出位置P1に移動させた後、ガイド面14aによって案内されて第2搬送ホイール13のポケット13aに取り込まれる。その後、第2樽B2は、図5に示したように第2搬送ホイール13の第2内面S2に押されて搬送コンベア3から充填装置2に搬送される。なお、上述したように磁石17aの磁力Fは第1トルクT1よりも大きいので、第2搬送ホイール13によってこのように第2樽B2を搬送しても第2搬送ホイール13は突出位置P1に維持される。このように容器供給装置10においては、第2搬送ホイール13が後退位置P2にある状態のまま第2樽B2の搬送を開始しても第2樽B2の搬送中に第2搬送ホイール13が突出位置P1に移動して樽Bの搬送に使用される搬送ホイールが第2搬送ホイール13に切り替わる。
【0028】
以上に説明したように、容器供給装置10では、搬送ホイール12、13の回転速度と搬送コンベア3との搬送速度との差を利用して第2搬送ホイール13を後退位置P2から突出位置P1に移動させることができる。また、このように第2搬送ホイール13が突出位置P1に移動した場合は保持部材18aが磁石17aに吸着されるので、第2搬送ホイール13を突出位置P1に維持することができる。そのため、第2搬送ホイール13が後退位置P2にある状態で第2樽B2の搬送を開始してもこれらの動作によって第2搬送ホイール13の位置を突出位置P1に切り替えることができる。従って、樽Bの搬送に使用される搬送ホイールを第1搬送ホイール12から第2搬送ホイール13に切り替えることができる。
【0029】
一方、第2搬送ホイール13が突出位置P1にある場合にそのポケット13a内に第1樽B1が取り込まれると、第1樽B1に押されて第2搬送ホイール13が後退位置P2に移動する。そのため、第2搬送ホイール13が突出位置P1にある状態で第1樽B1の搬送を開始してもこの動作によって第2搬送ホイール13の位置を後退位置P2に切り替えることができる。従って、樽Bの搬送に使用される搬送ホイールを第2搬送ホイール13から第1搬送ホイール12に切り替えることができる。
【0030】
このように容器供給装置10によれば、第2搬送ホイール13を駆動するためにアクチュエータ等の駆動機構を新たに設ける必要がないので、簡素な構成で型替えを自動的に行うことができる。また、この容器供給装置10においては、容器供給装置10で搬送すべき樽Bの種類が変わってもその樽Bの直径に応じて自動的に搬送に使用される搬送ホイールが切り替わる。そのため、飲料充填システム1を停止させることなく容器供給装置10の型替えを行うことができる。また、容器供給装置10の型替えに要する時間をほぼ0にすることができる。さらに、この型替え時に作業者は作業を行う必要がないので、作業者の負担を軽減できる。
【0031】
本発明は上述した形態に限定されることなく種々の形態にて実施してよい。例えば、上述した形態では、磁石を用いて第2搬送ホイールの位置を突出位置に維持したが、この位置を維持するための機構は磁石を用いたものに限定されない。例えば、第1搬送ホイールと第2搬送ホイールとの間にバネを掛け渡し、このバネによって第2搬送ホイールの位置を突出位置に維持してもよい。この場合、バネの張力には、上述した形態の磁石の磁力と同様に第1トルクT1と第2トルクT2との間の値が設定される。
【0032】
上述した形態では、第2搬送ホイールにて容器供給装置の型替えを行っているが、図7に示すように第1搬送ホイール12のポケット12a毎に型替え部材20を設け、この型替え部材20で容器供給装置10の型替えを行ってもよい。なお、この図において上述した形態と共通の部分には同一の符号を付して説明を省略する。この図に示したように型替え部材20は、上述した形態において第2搬送ホイール13に設けられていた内面Sを備えている。そして、各型替え部材20は、その内面Sが第1搬送ホイール12のポケット12a内に突出する突出位置P1と内面Sがポケット12a外に後退する後退位置P2との間で移動可能なように設けられている。また、各型替え部材20には、上述した形態において第2搬送ホイール13に設けられていた羽部15がそれぞれ設けられている。これらの羽部15の大きさも上述した形態と同様に型替え部材20が後退位置にある場合に第1搬送ホイール12よりも逆転方向に突出するように設定される。
【0033】
この容器供給装置10においても上述した形態と同様に、第1搬送ホイール12の回転速度と搬送コンベア3との搬送速度との差を利用して各型替え部材20を後退位置から突出位置に移動させることができる。また、第1搬送ホイール12のポケット12a内に第1樽B1を押し込むことにより、各型替え部材20を突出位置から後退位置に移動させることができる。そのため、この形態の容器供給装置10においても、搬送すべき樽Bの種類に応じて自動的に型替えを行わせることができる。
【符号の説明】
【0034】
3 搬送コンベア
10 容器供給装置(容器搬送装置)
12 第1搬送ホイール
12a ポケット
13 第2搬送ホイール(型替えホイール)
13a ポケット
14 ガイド
15 羽部(突出部)
16 位置切替機構(位置切替手段)
17a 磁石
18a 保持部材(磁化部材)
20 型替え部材
B1 第1樽(容器)
R1 第1樽の半径(第1半径)
B2 第2樽(容器)
R2 第2樽の半径(第2半径)
Ax 軸線
S 内面
S2 第2内面
Rc1 第1曲率半径
Rc2 第2曲率半径
P1 突出位置
P2 後退位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に所定の第1曲率半径で凹むポケットが複数設けられた搬送ホイールと、前記搬送ホイールの周囲に設けられたガイドと、を備え、前記ポケットに取り込んだ容器を前記ガイドで案内しつつ前記搬送ホイールをその中心軸線の回りに所定方向に回転させて前記ポケット内の容器を搬送する容器搬送装置において、
前記容器搬送装置の上流には、前記搬送ホイールの回転速度よりも速い速度で前記搬送ホイールに容器を送り込むことが可能な搬送コンベアが設けられ、
前記第1曲率半径よりも小さい第2曲率半径で形成されて前記所定方向を向くように配置された曲面を有し、前記曲面が前記ポケット内に突出する突出位置と前記曲面が前記ポケット外に後退する後退位置との間で移動可能なように設けられた型替え部材と、前記型替え部材に対して前記型替え部材を前記後退位置側に押す所定の大きさの解放トルクが作用するまで前記型替え部材を前記突出位置に維持し、前記型替え部材に前記解放トルク以上のトルクが作用するとその維持を解除する位置切替手段と、を備え、
前記型替え部材には、前記型替え部材が前記後退位置にある場合に前記搬送コンベアにて搬送されている容器と衝突するように前記搬送ホイールよりも前記所定方向とは逆の方向に突出する突出部が設けられていることを特徴とする容器搬送装置。
【請求項2】
前記位置切替手段は、前記搬送ホイールの径方向に延びるように設けられて前記搬送ホイールと一体に回転する磁石と、前記型替え部材が前記突出位置にある場合に前記磁石と接触するように前記型替え部材に設けられた磁性材料製の磁化部材と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の容器搬送装置。
【請求項3】
前記型替え部材として、内面の一部に前記曲面が設けられたポケットを前記搬送ホイールのポケットと同数外周に有するとともに前記搬送ホイールと同軸、かつ前記搬送ホイールに対して相対回転可能に設けられた型替えホイールを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器搬送装置。
【請求項4】
前記容器搬送装置では、半径が第1半径の第1容器と、半径が前記第1半径よりも小さい第2半径の第2容器とが搬送され、
前記第1曲率半径は前記第1半径であり、前記第2曲率半径は前記第2半径であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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