説明

容器用のキャップ

【課題】開栓トルクを増大させずにガスバリア性を向上させることができ、開栓性及びガスバリア性とも優れたライナー構造を有するキャップを得る。
【解決手段】キャップ天壁内面に装着されるライナー10を、少なくとも容器口頂部の厚さ方向外側寄りの箇所に接する部分が滑り性のよい第1ライナー材で形成されている第1ライナー部11と、容器口開口部の全面を覆い且つ容器口頂部の厚さ方向内側寄りの箇所に接する部分が前記第1ライナー材よりもガスバリア性の高い第2ライナー材で形成されている第2ライナー部12で形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製ボトル・ガラス製ボトル・金属製ボトル等の容器の口部を密封するための合成樹脂製または金属製のキャップに関し、特にキャップ天壁内面にライナーを有し、密封性及びガスバリア性に優れた容器用のキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器用のキャップ(以下、単にキャップという。)の密封性を高める手段としてキャップ天壁内面にライナーを設けてボトル口頂部とライナーが圧接することにより、ボトル口頂部とキャップ天面との隙間を密封し、内容液の漏洩を防ぐと共に内外からのガスの透過を防いでいる。また、特に合成樹脂キャップの場合は、天壁内面全体を覆うようにライナーを設けることによって、キャップ天壁のパネル面からのガスの透過も防止して、密封性・ガスバリア性を高め内容物の劣化を防止している。従来ライナー材として、軟質ポリエチレン等の比較的軟質の合成樹脂が使用されているが、ライナーを設けることによって、容器口頂部とライナーとの摩擦抵抗が強くなり、開栓が困難になるので、従来ライナー材に滑剤を含有させて摩擦抵抗を低減させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。また、最近ではより柔らく滑り性がよいライナー材として、水添スチレン系熱可塑性エストラマーであるSEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン)が、特に炭酸飲料の場合、内圧上昇によるキャップの変形に対する追従性がよく密封性が高く、且つ開栓性が良いライナー材として広く使用されている。しかしながら、SEBS等は、ガスバリア性が低く、ガスバリア性が要求される用途には不向きである。
【0003】
そこで、酸素や炭酸ガスのバリア性を改善したライナー材が、種々提供されている(例えば特許文献2〜4参照)。しかしながら、これらのライナー材は、摩擦係数が大きいために、キャップが閉まり難く、また開け難いという欠点があり、キャップの性能面で問題がある。さらに、例えば現在バスリア性が良いライナー材として開発が行なわれているIBS(ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体)、IIR(イソブチレンイソブレン共重合体)等の場合、網目構造などの分子構造に由来して、滑剤を添加しても滑剤がライナー表面にブリードせず、滑剤によるキャップの締めトルク、開栓トルクを調節できない状況にある。
【特許文献1】特開2002−332059号公報
【特許文献2】特開2002−104485号公報
【特許文献3】特開2006−274056号公報
【特許文献4】特開2007−119528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように従来のキャップは、開栓性とガスバリア性の両方を同時に満足するものはなく、両者は相反する関係にあり、何れかを犠牲にしなければならず、両性能を同時に満足するものは未だ見出されていない。
本発明は、上記実情に鑑み創案されたものであって、開栓トルクを増大させずにガスバリア性を向上させることができ、開栓性及びガスバリア性とも優れたライナー構造を有するキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決する本発明の請求項1に記載の容器用のキャップは、キャップ天壁内面にライナーが装着された容器用のキャップであって、上記ライナーは、少なくとも容器口頂部の厚さ方向外側寄りの箇所に接する部分が滑り性のよい第1ライナー材で形成されている第1ライナー部と、容器口開口部の全面を覆い且つ容器口頂部の厚さ方向内側寄りの箇所に接する部分が前記第1ライナー材よりもガスバリア性の高い第2ライナー材で形成されている第2ライナー部からなることを特徴とするものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のキャップにおいて、前記第1ライナー部は、容器口頂部の厚さ方向外側寄りの箇所に接する部分が厚肉環状に形成された厚肉環状部となっており、該厚肉環状部から内方に延びてキャップ天壁内面を覆う部分が薄肉膜状に形成された薄肉円盤状部となっており、該薄肉円盤状部の内方側に前記第2ライナー部が層状に形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のキャップにおいて、前記第2ライナー部の外周縁直径Dは、当該キャップを装着する容器口頂部の内径をD、容器口頂部の厚さをtとした場合、D<D≦(D+t)の関係を満たすようになっていることを特徴とするものである。
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のキャップにおいて、前記第1ライナー部は、キャップ天壁内面に圧縮成形により前記厚肉環状部と前記薄肉円盤状部とを成形し、前記第2ライナー部を前記第1ライナー部の前記薄肉円盤状部の内方側に圧縮成形により形成してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明は、容器口開口部を全面を覆い且つ容器口頂部の厚さ方向内側寄りの箇所に接する部分がガスバリア性の高い第2ライナー材で形成されているので、容器口頂部と圧着している第1ライナー部へのガス透過経路を第2ライナー部で遮蔽することができる。したがって、容器口頂部とライナーとの圧着部でのライナー材を介してのガスの透過を防ぐとともに、キャップ天壁を通してのガスの透過も防ぐことができ、高度のガスバリア性を得ることができる。しかも、第2ライナー部が容器口頂部と圧接するのは、容器口頂部の内側寄りの一部であるから、第2ライナー部が摩擦係数の高い材料で形成されていても、開栓性に与える影響は少なく、良好な開栓性を維持することができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明の効果に加えて、第1ライナー部及び第2ライナー部とも少なくとも容器口頂部に接する部分が厚肉環状部となっているので、最もガス透過及び内容液漏洩に影響を与える部分のバリア性をより高度に確保することができ、且つガス透過率の少ない天壁パネル面に接する部分を薄肉円盤状に形成したので、経済的に且つ効果的にガスバリア性を確保することができる。また、第1ライナー部は薄肉円盤状部を有しているので、第1ライナー部を安定してキャップ天壁内面に成形装着することができ、且つ第2ライナー部の成形も容易である。
また、請求項3の発明は、第2ライナー部の外周縁直径Dは、当該キャップを装着する容器口頂部の内径をD、容器口頂部の厚さをtとした場合、D<D≦(D+t)の関係を満たすようにすることによって、請求項1及び請求項2に記載の効果をより効率よく達成することができる。第2ライナー部の外周縁直径DがD>(D+t)の関係になると、容器口頂部と第2ライナー部の接触面積が増大し、ガスバリア性は高めることができても開栓トルクが増大し、逆にD>Dであると、後述するガス透過経路Aを有効に遮断することができず、開栓性は向上してもガスバリア性の向上を図ることができないので、上記範囲が好ましい。
さらに、請求項4の発明によれば、上記キャップのライナーをより確実に成形することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面を基に詳細に説明する。
本発明の実施形態を説明する前に、従来のライナー付きキャップにおけるガスの透過構造について考察する。図4は、従来のライナーをキャップ天壁内面に装着した合成樹脂製のネジキャップ1Aをボトルの口部に螺合して密封した状態の断面図を示している。図において、ライナー10Aは、容器口頂部31に圧接している肉厚環状部10A−1とその内周面に容器開口部を覆う肉薄円盤部10A−2を有して、キャップ本体2の天壁3の内面に装着されている。
【0010】
このような合成樹脂キャップ10Aにおいて、容器口部30に螺合して容器口頂部31にライナーが圧着した状態での容器内外とのガスの透過経路は、ライナー10Aの肉厚環状部10A−1と容器口頂部31との接触面間及び肉厚環状部10A−1内を通ってキャップ本体2の筒壁4の内周面と容器口部30の外周面の螺合隙間に通じる経路Aと、ライナー肉薄円盤部10A−2及びキャップ天壁3のパネル面を貫通して外部に通じる経路Bである。一方、内容液の漏洩経路は、ライナーと容器口頂部との接触面間を通ってキャップの筒壁内周面と容器口部外周面の螺合隙間へと通じる経路のみである。また、蓋の開栓及び閉栓トルクへの影響は、容器口頂部とライナーとの接触摩擦力、特に密封力に影響して強く圧着している容器口頂部外周面と該箇所に圧着しているライナーとの摩擦力によるところが最も大きい。
【0011】
以上のことを考慮すると、ライナーのキャップパネル面に接触する部分をガスバリア性の高い材料で形成することによって、上記経路Bを遮断することができる。また、容器口頂部と接触する部分もガスバリア性の材料で形成すれば、ガス透過経路Aによるガス透過も防ぐことができる。しかしながら、その場合開栓トルクが高くなり開栓性を阻害する。本発明者は、前記ガス透過経路Aについて、ライナ−10の肉厚環状部10A−1が容器口頂部に追従して確実に圧着されておれば、該圧着面を通してのガス透過量はごく僅かであり、多くはライナー材内部を通過しての透過であるという知見を基に、開栓性を阻害しないでガスバリア性を高める方策について種々研究した結果、容器口頂部に強く圧着する部分を柔らかく滑り性のよいライナー材で形成し、且つ該ライナー材の内部を透過するガスを遮断することができれば、開栓性を阻害しないでガスバリア性を高めることができることを着想した。そして、種々実験した結果、ライナーの少なくとも容器口頂部の内周面寄りの箇所に接触する部分をガスバリア性の高いライナー材で形成して、それに続く容器口頂部の中央部から外周縁部に接触する部分を柔らく滑り性がよいライナー材で構成すれば、ガスの透過経路A及び内容液の漏洩経路を効果的に遮断することができ、且つ開栓性も良好に維持できることを見出し本発明に到達したものである。
【0012】
図1は、本実施形態に係るキャップをボトルに装着した断面を示し、図2はその要部を反転して拡大した状態で示したものである。図において、1はキャップであり、本実施形態では合成樹脂製ネジキャップ本体(以下、単にキャップ本体という)2とライナー10で構成されている。キャップ本体2は、天壁3、筒壁4、タンパーエビデントバンド5を有しているが、その構造は任意の従来のものが採用でき特に限定されないので、その詳細な構成の説明は省略する。ライナー10はキャップ本体2の天壁3の内面に一体に装着され、図示のように、キャップ1が容器の口部30に螺着された状態で、ライナー10の外周部近傍と容器口頂部31が圧着され、密封が図れるようになっている。
【0013】
本発明では、上記ライナー10が、容器口頂部31の少なくとも中央より外側に接する部分が滑り性のよい第1ライナー材で形成されている第1ライナー部11と、容器口開口部の全面を覆い且つ容器口頂部の中央より内側に接する部分が前記第1ライナー材よりもガスバリア性の高い第2ライナー材で形成された第2ライナー部12とから構成されている。本実施形態では、前記第1ライナー部11は、図1及び図2に示すように、容器口頂部31の外周面側から少なくとも容器口頂部幅の1/2幅以上に接する部分が厚肉環状に形成された厚肉環状部11−1となっており、該厚肉環状部から内方に延びてキャップ天壁パネル内面を覆う部分が薄肉パネル状に形成された薄肉円盤状部11−2となっており、該薄肉円盤状部11−2の内方側に前記第2ライナー部12が層状に形成されている。しかしながら、第1ライナー部の薄肉円盤状部11−2は必ずしも形成する必要はなく、厚肉環状部11−1のみでリング状に構成してもよい。その場合は、第2ライナー部12は、直接キャップの天壁内面に貼着される。
【0014】
第1ライナー部11は比較的柔らく変形し易いゴム状の材料で形成され、その厚肉環状部11−1が、図1に示すように、キャップ1を容器口部30に螺合した状態で少なくとも容器口頂部の幅(肉厚)をtとすると、外周側から(1/2)t以上容器口頂部に圧接し、且つ該容器口頂部から延びて容器口外周面に所定高さh(略0.5〜4mm)圧接するように、断面略鉤状の肉厚環状に形成され、キャップ1を容器口部30に巻締することによって、図1に示すように断面略鉤状が容器口部の形状に沿って変形して、容器口頂部31から外周面上部にかけて圧接して、容器を密封する機能を果たす。したがって、このキャップにおける内容液に対する密封構造は、第1ライナー部11が容器口頂部から外周面上部にかけて圧接することによって構成される。薄肉円盤状部11−2は、厚肉環状部11−1の内周縁からキャップ本体の天壁内面に接するように段差面となっている円盤状に形成され、該段差面に第2ライナー部12が接着されている。
【0015】
第2ライナー部12は、図1及び図2に示すように、その外周縁から後述する所定幅が第1ライナー部の薄肉円盤状部11−2に装着された状態で肉厚環状部11−1と略同じ厚さとなるように厚肉に形成されて容器口頂部の中央より内側に圧接する厚肉環状部分12−1となっており、その内側部が薄肉円盤状部12−2となっており、第1ライナー部11の環状薄肉部11−2と層状に重なった状態に一体化されている。第2ライナー部12の厚肉環状部分12−1は、前記ガス透過経路Aを遮断する機能を果たすものであり、ガスバリア性の高いライナー材で形成された厚肉環状部分12−1が少なくとも容器口頂部の内側の一部と環状に圧接することによって、容器口頂部とライナーとの圧接部のライナーに通じる容器内からの入口部がガスバリア材で遮蔽されることになるので、容器口頂部と圧接する部分全体をガスバリア材で構成しなくてもガス透過経路Aからのガスの透過を効果的に防止することができる。
【0016】
したがって、第2ライナー部の厚肉部は必ずしも容器口頂部全面に圧接する必要はなく、容器口頂部の内側1/2幅以下、少なくとも環状に所定幅だけ圧接すれば十分にその機能を果たすことができる。本実施形態では、第2ライナー部12の外周縁直径Dは、当該キャップを装着する容器口頂部の内径をD、容器口頂部の厚さをtとした場合、D<D≦(D+t)の関係を満たすようになっている。第2ライナー部の外周縁直径DがD>(D+t)の関係になると、容器口頂部と第2ライナー部の接触面積が増大し、ガスバリア性は高めることができても開栓トルクが増大し、上記の目的を達成することはできない。逆にD>Dであると、前記ガス透過経路Aを有効に遮断することができず、開栓性は向上してもガスバリア性の向上を図ることができず、上記目的は達成できない。
【0017】
上記第1ライナー部及び第2ライナー部を構成する第1ライナー材及び第2ライナー材としては、例えば次の合成樹脂が採用できる。
第1ライナー材:
・オレフィン系
低密度ポリエチレン
線状低密度ポリエチレン
・スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)エラストマー
・エチレンビニルアルコール共重合体
・ポリブテン−1
・エチレン−ブテン−1共重合体
・プロピレン−ブテン−1共重合体
・エラストマー系
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマー
水素化エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマー
スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)エラストマー
スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)エラストマー
スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)エラストマー
第2ライナー材(バリア材):
・ブチルゴム(IIR)
・エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)
・スチレン−イソブチレン−スチレン(SIBS)
なお、第2ライナー材は、第1ライナー材と接着しやすくするために、少量の第1ライナー材とのブレンドで使用するのが望ましい。
【0018】
図3は、本発明の他の実施形態に係るキャップを容器(ボトル)に巻締した状態の断面を示している。図1及び図2に示すものと同じ構成の部材に対しては図1及び図2と同一符号を付し、相違点のみについて説明する。
本実施形態では、図1に示す実施形態のキャップと比較して、ライナー10の第1ライナー部11の厚肉環状部11−1の内周縁11−3と、第2ライナー部12の厚肉環状部12−1の外周縁12−3との間に直径方向に若干の隙間を介して、装着されている点が相違している。該隙間はキャップの性能上からは必ずしも設ける必要はないが、ライナーの成形上の容易さから設けたものである。
【0019】
上記隙間は必ず容器口頂部の上に位置するように設けられるので、隙間があっても内容液密封性・ガスバリア性の性能になんら影響を与えることがなく、むしろ第1ライナー部の厚肉環状部と第2ライナーの厚肉環状部との境界が確実で両者が干渉することがないので、第1ライナー部による開栓トルクの低減効果が確実に維持されるとともに、第2ライナー部によるガスバリア効果も確実に維持される効果がある。
【0020】
図1又は図3に示すライナー10は、予め第1ライナー部と第2ライナー部を別途成形して一体に構成されたものを、キャップ本体2に嵌合して天壁3の内方側に装着することも可能であるが、製造工程の効率化の点でキャップ本体に天壁内方側を第1ライナー部の成形の型として、直接キャップ本体の内側に溶融樹脂を供給して、第1ライナー部及び第2ライナー部を順に圧縮成形又は射出成形によって形成するのが望ましい。
【0021】
ライナーの成形方法としては、例えば、樹脂キャップの場合、予め圧縮成形又は射出成形にて成形したキャップ本体2を倒立状態に載置し、適宜供給手段で溶融状態の第1ライナー材からなる合成樹脂塊をキャップ天壁内方側に供給した後、所要形状の型押し金型工具により押圧してまず第1ライナー部を成形する。型押し工具としては、例えば第1ライナー部の中央領域の薄肉円板状部を規定するセンターパンチと厚肉環状部を規定する外側スリーブとの組合せからなる第1の型押し工具を採用し、該第1の型押し工具により第1ライナー部を成形する。次に、このように成形された第1ライナー部の上に第2ライナー材よりなる第2ライナー部を第2の型押し工具を使用して圧縮成形する。第2ライナー部を成形する第2の型押し工具は、第1の型押し工具と同様に第2ライナー部の形状に応じて薄肉円盤状部を規定するセンターパンチ部と薄肉環状部を規定する外側スリーブとの組合せからなるが、第2ライナー部の成形に際して第2ライナ−の厚肉環状部を形成する第2ライナー材が既に成形されている第1ライナー部の厚肉環状部に成形圧によりはみ出して第1ライナー部の厚肉環状部を変形させないように、第2ライナー材の第1ライナー部の厚肉環状部への流出を完全に規制することが重要である。それを確実に行うには、例えば第2ライナー部の厚肉環状部の厚さ方向外周縁を規定する環状の規制部材を前記外側スリーブの外周部に一体に設けるか、又は別部材として設けて、該規制部材を第1ライナー部の厚肉環状部の厚さ方向内周縁と接するように位置させた状態で成形して、第2ライナー材が第1ライナー部の厚肉環状部へ影響を及ばさないようにするのが望ましい。その場合、図3に示すように、成形されたライナー10は第1ライナー部の厚肉環状部12−1の内周縁と第2ライナー部12の厚肉環状部の外周縁12−3との間に、前記規制部材由来の僅かな環状隙間が生じる事となる。
なお、上記の場合圧縮成形によって第1ライナー部及び第2ライナー部を成形する場合について説明したが、射出成形する場合も同様のことが言える。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の容器用のキャップは、優れたガスバリア性及び開栓性を有するライナーを備え、合成樹脂製キャップ又は金属製キャップに適用でき、合成樹脂製のボトルやパウチのスパウト等のキャップとして、あるいはガラス製容器、金属製容器のキャップとして利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係るキャップを容器口に巻締した状態での断面図である。
【図2】図1の要部の反転拡大図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係るキャップを容器口に巻締した状態での断面図である。
【図4】従来のライナー付きキャップを容器口に巻締した状態での断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 キャップ 2 キャップ本体
3 天壁 4 筒壁
5 タンパーエビデントバンド 6 環状突条
10 ライナー 11 第1ライナー部
11−1 厚肉環状部 11−2 薄肉円盤状部
11−3 内周縁 12 第2ライナー部
12−1 厚肉環状部 12−2 薄肉円盤状部
12−3 外周縁 30 容器口部
31 容器口頂部
第2ライナー部の外周縁直径
容器口頂部の内径
t 容器口部厚さ(幅)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ天壁内面にライナーが装着された容器用のキャップであって、上記ライナーは、少なくとも容器口頂部の厚さ方向外側寄りの箇所に接する部分が滑り性のよい第1ライナー材で形成されている第1ライナー部と、容器口開口部の全面を覆い且つ容器口頂部の厚さ方向内側寄りの箇所に接する部分が前記第1ライナー材よりもガスバリア性の高い第2ライナー材で形成されている第2ライナー部からなることを特徴とする容器用のキャップ。
【請求項2】
前記第1ライナー部は、容器口頂部の厚さ方向外側寄りの箇所に接する部分が厚肉環状に形成された厚肉環状部となっており、該厚肉環状部から内方に延びてキャップ天壁内面を覆う部分が薄肉膜状に形成された薄肉円盤状部となっており、該薄肉円盤状部の内方側に前記第2ライナー部が層状に形成されている請求項1に記載の容器用のキャップ。
【請求項3】
前記第2ライナー部の外周縁直径Dは、当該キャップを装着する容器口頂部の内径をD、容器口頂部の厚さをtとした場合、D<D≦(D+t)の関係を満たすようになっている請求項1又は2に記載の容器用のキャップ。
【請求項4】
前記第1ライナー部は、キャップ天壁内面に圧縮成形により前記厚肉環状部と前記薄肉円盤状部とを成形し、前記第2ライナー部を前記第1ライナー部の前記薄肉円盤状部の内方側に圧縮成形により形成してなる請求項2又は3に記載の容器用のキャップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−78842(P2009−78842A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249559(P2007−249559)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000228442)日本クラウンコルク株式会社 (382)
【Fターム(参考)】