説明

容器用口栓および容器

【課題】大きな力を必要とせずに、容易かつ衛生的に開封することができる容器用口栓を提供する。
【解決手段】液体または粉体の内容物が充填される容器本体10に取り付けられる容器用口栓20は、円筒部23と、円筒部の内腔を塞ぐ封止板部25と、封止板部に突出して設けられ、少なくとも一部が徐々に突出高さが増加するスロープ形状とされたスロープリブ28とを有し、容器本体に取り付けられる第一部材21と、スロープリブを押圧する押圧リブを有し、第一部材に対して、相対回転可能かつ円筒部の軸線方向に相対移動不能に取り付けられた第二部材22とを備え、第二部材を第一部材に対して所定の方向に相対回転させると、押圧リブによりスロープリブが押圧されて封止板部が変位することにより円筒部の内腔が開通することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器用口栓、より詳しくは開封が容易な容器用口栓及びこれを用いた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソース、醤油、ドレッシング、油、だし、たれ、ふりかけ等の様々な液体および粉体の調味料や食品等が、口栓の付いた容器に充填されて流通、販売されている。当該口栓の構造としては、容器に取り付けられた注出口本体と、この注出口本体にネジ嵌合されて開閉可能に注出口を密閉するスクリューキャップとを備えるものが一般的である。
【0003】
上述の口栓においては、充填された内容物を使用時まで品質を落とさずに保持するため、通常注出口本体はプルタブによって閉じられており、使用開始時にこのプルタブを引き抜いて開栓することにより使用可能な状態となる。多くの場合、注出口本体及びプルタブは樹脂等によって一体成型され、開封を可能あるいは容易にするために、両者の境界部にはハーフカット等が施されて肉薄に加工されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4145085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のような注出口においては、プルタブを引きちぎるために、指先のみを使って大きな力を作用させる必要があり、力の弱い女性やこども、高齢者、あるいは指先の不自由な人等には使い勝手がよくないという問題がある。
【0006】
また、プルタブが注出口本体から切り離される際に、プルタブに付着していた内容物が飛散したり容器が揺れたりすることにより、内容物によって周囲が汚れてしまうことがある。
さらに、プルタブに指を掛ける際には、指で注出口の内面に触れてしまう場合が多く、開封後に内容物が当該内面に触れてしまうと衛生面で問題となる場合もある。
加えて、注出口本体から切り離したプルタブは、それ自体が廃棄物となるため、廃棄の手間がかかるという問題もある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大きな力を必要とせずに、容易かつ衛生的に開封することができる容器用口栓を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、大きな力を必要とせずに、容易かつ衛生的に開封することができる容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、液体または粉体の内容物が充填される容器本体に取り付けられる容器用口栓であって、円筒部と、前記円筒部の内腔を塞ぐ封止板部と、前記封止板部に突出して設けられ、少なくとも一部が徐々に突出高さが増加するスロープ形状とされたスロープリブとを有し、前記容器本体に取り付けられる第一部材と、前記スロープリブを押圧する押圧部を有し、前記第一部材に対して、相対回転可能かつ前記円筒部の軸線方向に相対移動不能に取り付けられた第二部材とを備え、前記第二部材を前記第一部材に対して所定の方向に相対回転させると、前記押圧部により前記スロープリブが押圧されて前記封止板部が変位することにより前記円筒部の内腔が開通することを特徴とする。
【0009】
前記スロープ形状は、第一の傾斜角を有する第一領域と、前記第一の傾斜角よりも小さい第二の傾斜角を有する第二領域とを含んでもよい。
また、前記封止板部は薄肉部位を有し、前記スロープリブが押圧されて前記封止板部が変位するときに前記薄肉部位が断裂して複数の封止板に分割されてもよい。
【0010】
本発明の第二の態様は、本発明の容器用口栓と、前記容器本体とを備えることを特徴とする容器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の容器用口栓および容器によれば、大きな力を必要とせずに、容易かつ衛生的に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態の容器の分解斜視図である。
【図2】同容器の開口部周辺の断面図である。
【図3】同容器の容器用口栓における第一部材の平面図および断面図である。
【図4】同第一部材の円筒部および封止板部を第一端部側から見た図である。
【図5】同封止板部におけるスロープリブのスロープ形状を展開して示す図である。
【図6】同容器用口栓における第二部材の底面図および平面図、並びに断面図である。
【図7】同容器の開封時における同封止板部および押圧リブの動きを示す図である。
【図8】同容器の開封時の動作を一部断面で示す図である。
【図9】同容器の開封時の動作を一部断面で示す図である。
【図10】同容器の開封時の動作を一部断面で示す図である。
【図11】開封された状態の同容器の開口部周辺の断面図である。
【図12】(a)および(b)は、封止板部の形状の他の例を示す図である。
【図13】封止板部の形状の他の例を示す図である。
【図14】本発明の第2実施形態の容器の分解斜視図である。
【図15】同容器の開口部周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1実施形態について、図1から図13を参照して説明する。
図1は、本実施形態の容器1の全体構成を示す図である。容器1は、本発明の容器用口栓を備えるものであり、ソース、醤油、ドレッシング、油、だし、たれ、ふりかけ等の液体または粉体の各種食品や調味料等の内容物が充填されて使用されるものである。
【0014】
図1に示すように、液体用容器1は、内容物が充填される容器本体10と、容器本体10の開口部に取り付けられた容器用口栓20と、容器用口栓20を覆うように容器本体10に対して着脱自在に取り付けられたキャップ70とを備えている。
【0015】
容器本体10は樹脂やガラス等で形成された公知の構成を有し、その形状に特に制限はない。キャップ70も樹脂等で形成された公知の構成を有する。本実施形態のキャップ70は、図2に断面で示すように、容器本体10に形成されたスクリュー11と係合することで、容器本体10に対して着脱自在に取り付けられているが、容器本体10とキャップ70とを着脱自在とする構造については特に制限はなく、公知の各種機構を適宜採用することができる。
キャップ70は、保管時等において容器用口栓20を覆って密閉し、充填された内容物を保護したり、容器本体10内への異物の侵入を防いだりする。
【0016】
容器用口栓20は、容器本体10の上部に形成された開口部12に取り付けられており、容器1の開封前においては、内容物を保護したり容器本体10内への異物の侵入を防いだりする。容器1の開封後においては、内容物を注ぎ出すための注出口として機能する。
【0017】
容器用口栓20は、開口部12に取り付けられる第一部材21と、第一部材に取り付けられる第二部材22とを備えている。
図3の上側は第一部材21の平面図であり、下側は当該平面図のA−A線における断面図である。第一部材21は樹脂等で形成されており、略円筒状の円筒部23と、容器本体10に係合させるための係合部24とを備えている。
【0018】
円筒部23は、その内腔が容器用口栓20の開封後に内容物の流路となる。円筒部23の略円筒形状の軸線方向端部のうち、容器本体10に取り付けられる側の第一端部23A側には、開封時まで容器本体10を密封するための封止板部25が形成されており、円筒部23の内腔を塞いでいる。
【0019】
図4は、円筒部23と封止板部25とを第一端部23A側から見た状態を示す図である。図4に示すように、封止板部25と円筒部23との境界となる封止板部25の周縁には、第一端部23A側からハーフカットとしてのV溝26Aが形成されており、後述する開封操作によって容易に封止板部25と円筒部23とが切り離される薄肉部位25C(図3参照)が形成されている。封止板部25の周縁のうち、円筒部の軸線を挟んで対向する2箇所にはV溝26Aが形成されておらず、容器用口栓20の開封後も封止板部25と円筒部23との接続状態を保持する連結部27となっている。封止板部25には、2箇所の連結部27を結ぶように略サインカーブ状のV溝26Bが形成され、薄肉部位25Dが形成されている。V溝26Aおよび26Bが設けられていることにより、封止板部25は、容器用口栓20の開封時に2つの封止板25Aおよび25Bに分割される。
【0020】
封止板部25のうち、第一端部23Aと反対側の第二端部23B側の面には、円筒部23と平行に突出するスロープリブ28が設けられている。スロープリブ28は、封止板25Aおよび25Bにそれぞれ1つずつ設けられており、薄肉部位25Cよりも内側でかつ封止板部25の周縁に沿うように、円筒部23の軸線方向から見てそれぞれ概ね半円の円弧状に形成されている。
【0021】
図5は、スロープリブ28の形状を展開して示す図である。スロープリブ28は、各封止板25A、25Bにおいて、連結部27から最も離れた第一端部28Aから連結部27に向かって徐々に突出高さが増加するスロープ形状を有するように形成されている。スロープリブ28は、図5に示すように、第一端部28A側から始まり、所定の傾斜角(第一の傾斜角)を有する第一領域29と、第一領域29よりも小さい傾斜角(第二の傾斜角)を有して第一領域29に続く第二領域30との2つのスロープ形状と、第二領域30より一段低くなり略平坦に形成された第三領域31とを有する。
【0022】
係合部24は、円筒部23の外周面に設けられたフランジ部32と、フランジ部32から第一端部23A側に延びる略円筒状の係合筒部33とを備えている。
フランジ部32のうち、係合筒部33が延びる側と反対側の上面には、一対のストッパー34が設けられている。一対のストッパー34は、係合筒部33の軸線を挟んで対向する位置であって、各スロープリブ28の第三領域31に対応する位相の位置に形成されている。係合筒部33には、内腔に突出する係合突起33Aが周方向にわたって形成されており、図2に示すように、容器本体10の開口部12において径方向外側に突出した被係合部12Aと係合することにより、第一部材21が容器本体10に対して係合固定されている。
係合筒部33の外周面には、径方向外側に突出した凸部33Bが周方向にわたって形成されている。凸部33Bは、第一部材21と第二部材22とを嵌合させるために用いられる。
【0023】
図6の上側は、第二部材22の底面図および平面図、下側は上側図におけるB−B線における断面図である。
第二部材22は樹脂等で形成されており、注出口35が形成された筒状部36と、第一部材21に嵌合させるための嵌合部37と、容器用口栓の開封時に封止板部25を押圧する押圧リブ(押圧部)38とを備えている。
【0024】
筒状部36は、円筒部39と、円筒部39の第一端部39Aに接続されたテーパー状の縮径部40とを有する。縮径部40によって円筒部39の径よりも小さい径となった筒状部36の端部の開口に、注出口35が形成されている。
【0025】
嵌合部37は、円筒部39と縮径部40との接続部位の稜線から円筒部39の径方向外側に突出するフランジ部41と、フランジ部41の周縁から注出口35と反対側に延びる略円筒状の嵌合筒部42とを有する。
略円盤状のフランジ部41のうち、嵌合筒部42が延びる裏面には、円筒部39を囲むように略円筒状の支持壁43が形成されている。支持壁43と嵌合筒部42との間であって、円筒部39の軸線を挟んで対向する位置には、一対のスペーサー44が設けられている。
【0026】
嵌合筒部42の内面には、第一部材21の凸部33Bに対応した形状の凹部45と、凹部45よりもフランジ部41から離れた位置に設けられ、径方向内側に突出する嵌合突起46とがそれぞれ周方向にわたって設けられている。嵌合筒部42の外面には、嵌合筒部42の軸線方向に延びる複数のリブ47が周方向に等間隔で形成されている。リブ47は、第二部材22の回転操作時(後述)における滑り止めとして機能する。
【0027】
押圧リブ38は、円筒部39の内面から円筒部39の軸線に向かって延び、かつ縮径部40と直角をなす板状の部材であり、円筒部39の軸線を挟んで対向するように一対設けられている。各押圧リブ38は、円筒部39および縮径部40によって支持されており、円筒部39の第二端部39Bから突出して延びている。
図6の底面図に示すように、各スペーサー44は、各押圧リブ38とほぼ同一の位相であるが、少し左回りに位相がずれた位置に形成されている。
【0028】
第一部材21と第二部材22とは、円筒部39の軸線方向から見たときに、封止板部25の各連結部27と各押圧リブ38とが重なるように位置決めされた状態で互いに嵌合されている。図2に示すように、第一部材21と第二部材22とが嵌合した状態において、第一部材21の凸部33Bは第二部材22の凹部45内に位置し、円筒部23は、第一端部23Aと反対側の第二端部23Bが円筒部39と支持壁43との間に収容されている。これにより、第一部材21と第二部材22とは、略同軸に嵌合されており、円筒部23の軸線方向における相対移動が不能、かつ当該軸線を中心に相対回転可能となっている。
【0029】
上記のように構成された本実施形態の容器1の使用時の動作について説明する。
容器1に内容物が充填された食品の製造時においては、開口部12から容器本体10内に内容物を充填後、容器用口栓20を開口部12に取り付け、キャップ70を締めることにより完成する。その後、キャップ70が輸送中に外れないように必要に応じてシュリンクフィルム等で覆う等してから出荷される。
【0030】
容器1の開封前においては、容器用口栓に形成された封止板部25によって円筒部23の内腔が塞がれているため、容器本体10が密封されている。
容器1の開封時は、使用者はキャップ70を取り外し、容器本体10を保持しながら、容器用口栓20の第二部材22を所定の方向(本実施形態では注出口35側から見て右回り)に回転させる。すると、容器本体10に固定された第一部材21に対して、第二部材22が当該所定の方向に相対回転する。
【0031】
図7は、容器1の開封時における封止板部25および押圧リブ38の動きを示す図である。第二部材22の回転操作により、各押圧リブ38は、図7に示す矢印の方向に移動し、それぞれ各スロープリブ28に乗り上げていく。スロープリブ28に乗り上げた押圧リブ38および第二部材22には、容器本体10から離間する方向に移動しようとする力が作用するが、第一部材21と第二部材22とは、軸線方向にほとんど相対移動できないように互いに嵌合されているため、封止板部25の薄肉部位25C、25Dが断裂されることにより、各封止板25A、25Bに分割されつつ容器本体10の内部に向かって変位するように押し込まれる。
【0032】
押圧リブ38がスロープリブ28に乗り上げる際、まず傾斜角度が相対的に大きい第一領域29に乗り上げる。これにより、少ない回転量でも大きな力が発生して封止板部25が押し込まれ、図8に示すように、封止板部25が2枚の封止板に分かれていくきっかけとなる亀裂が、薄肉部位25Cと薄肉部位25Dとの接続部位付近に形成される。
【0033】
使用者がさらに第二部材22を回転させると、図9に示すように、押圧リブ38は、第一領域29を乗り越えて第二領域30上を移動する。これにより、上述した亀裂が発生した部位から徐々に薄肉部位25C、25Dが切り裂かれていき、塞がれていた円筒部23の内腔に徐々に開口が形成されていく。
【0034】
さらに第二部材22を回転させ、回転量が半回転ほどになると、押圧リブ38は第二領域30を乗り越えて第三領域31上に移動する。それとともに、第二部材22のスペーサー44と第一部材のストッパー34とが接触し、それ以上第二部材22を回転させることができなくなる。この状態において、封止板部25は2枚の封止板25A、25Bに分割され、図10および図11に示すように、押圧リブ38に押し込まれた状態で保持される。こうして、円筒部23の内腔が開通される。
この時点で押圧リブ38が接触する第三領域31は、第二領域30よりも一段低くなっているため、第二部材22が逆回転する等により押圧リブ38が再び第二領域30に移動する事態は発生しにくい。その結果、押圧リブ38による封止板部25の押し込み状態が保持され、容器1の開封状態が保持される。
なお、連結部27における各封止板25A、25Bと円筒部23との接続は、容器1の開封後も維持されるため、開封によって各封止板25A、25Bが液体容器10内に落下することはない。
【0035】
容器用口栓20が開封されたあと、使用者は容器本体10を傾けることにより、注出口35から内容物を注ぎ出すことができる。使用後は、キャップ70を装着することにより、図11に示すように、キャップ70の内面に設けられた略円筒状の封止栓71が注出口35にはまり込んで容器本体10が密閉される。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の容器用口栓20および容器1によれば、第二部材22を把持して所定の方向に回転させるだけで容易に開封することができる。したがって、力の弱い女性やこども、高齢者等でも大きな力を必要とせずに容易に開封して内容物を利用することができる。
また、内容物の流路となる円筒部23および39の内面等に触れることなく開封することができるため、衛生面でも優れている。
さらに、プルタブタイプの口栓および容器と異なり、開封時に内容物のはね等が生じにくく、切り離された廃棄物が発生しないため、環境への負荷が少なく、取り扱いが容易な容器とすることができる。
【0037】
また、第一部材21および第二部材22にストッパー34およびスペーサー44が設けられており、スロープリブ28に第二領域30より一段低い第三領域31が設けられているため、開封後の第二部材22は、ストッパー34と第二領域30との間(図3に示す範囲R1)でしか相対回転できず、実質的にほぼ位置決めされる。したがって、押圧リブ38が封止板部25を押し込んだ開封状態が好適に維持され、封止板部25が再び円筒部23の内腔を塞いでしまう等の不具合の発生を防止することができる。
【0038】
さらに、封止板部25にV溝26Bが形成されているため、開封後に封止板部は2枚の封止板25Aおよび25Bに分割されて容器本体10内部に向かって押し込まれる。その結果、円筒部23の内腔は、図10および図11に示すように、封止板25Aによって規定される第一流路C1と、封止板25Bによって規定される第二流路C2との2つの流路に概ね分割される。このため、内容物が粘度の高い液体等であっても各封止板により好適に注出口35へ導かれる。加えて、容器本体10の内外における流体の入れ替えが第一流路C1および第二流路C2によりスムーズに行われ、容器本体10内に空気が進入しにくいことによる注出不良や、逆に一気に空気が進入して多量の内容物が一度に注ぎ出される「脈流」と呼ばれる現象を起こしにくい。したがって、常に安定して内容物を注出することができる容器とすることができる。
【0039】
本実施形態では、封止板部を複数の封止板に分割させる薄肉部位25Dが、略サインカーブ状のV溝26Bにより形成された例を説明したが、薄肉部位の態様はこれには限定されない。例えば、図12(a)に示すような直線状の薄肉部位50Aでもよいし、図12(b)に示すような、直線が複数の屈曲点で屈曲された薄肉部位50Bであってもよい。さらに、図13に示すように、封止板部25が3つの封止板に分割されるように薄肉部位50Cが形成されてもよい。このようにすると、第二部材を3分の1回転させることで容器用口栓を開封することができ、操作量を低減してより操作しやすくすることができる。このように、封止板部が開封時に分割される封止板の数は適宜設定されてよい。
また、薄肉部位を形成するV溝は、第二端部23B側の面に設けられてもよい。
【0040】
また、スロープリブ28においては、第一領域29を第二領域30および第三領域31よりも肉厚に形成してもよい。これは、開封操作の当初において、第一領域29に最も大きな力が加わるためであり、肉厚に形成することで、スロープリブの保形性を好適に維持して確実に開封操作を行うことができる。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態について、図14および図15を参照して説明する。本実施形態の液体用容器81と第1実施形態の液体用容器1との異なるところは、第一部材および第二部材の形状である。なお、以降の説明において、既に説明したものと同様の構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0042】
図14は、液体用容器81の分解斜視図である。容器用口栓82は、第一部材83と第二部材84とからなる。
図15は、液体用容器81上部の断面図である。第一部材83は、概ね第一部材21と同様の構造を備えているが、封止板部85にはV溝26Bはなく、V溝26Aが第二端部23B側の面に設けられている。またスロープリブ28に代えて、スロープリブ86が設けられている。スロープリブ86は、封止板部85の平面視において、封止板部85の中心を通り径方向に延びる平坦な板状に形成されている。また、そのスロープには第一領域や第二領域等はなく、概ね単純なスロープ形状となっている。封止板部85と円筒部23とを接続する連結部27は、スロープリブ86の突出高さが最も高くなる部位またはその周辺に設けられている。
【0043】
第二部材84も概ね第二部材22と同様の構造を備えているが、一対の押圧リブに代えて、押圧筒部(押圧部)87を備えている点が異なっている。押圧筒部87は、縮径部40から円筒部39と同じ方向に略円筒状に突出して形成されている。押圧筒部87の端面87Aは、押圧筒部87の軸線に対して傾斜するようにカットされて斜面となっている(以下、端面87Aを「斜面87A」と称することがある。)。
【0044】
上記のように構成された第一部材83と第二部材84とが、押圧筒部87の最突出部87Bがスロープリブ86の最も低い部位に位置するように位置決めされて一体に嵌合されると、未開封状態の容器用口栓82が完成する。
【0045】
容器用口栓82を備える液体用容器81においては、第一実施形態と同様の操作で第二部材84を回転させると、斜面87Aがスロープリブ86に対して相対回転することにより、徐々に封止板部85が容器本体10の内部に向かって押し込まれ、第二部材84を約半回転させると、最突出部87Bが連結部27付近に移動したところで開封が完了する(図15に二点鎖線で示した状態)。
【0046】
本実施形態の液体用容器81においては、封止板部85が複数の封止板に分割されずに変位して円筒部23の内腔が開通されるが、第1実施形態の液体用容器1と同様に、大きな力を必要とせず、容易かつ衛生的に開封して内容物を利用することができる。
【0047】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各実施形態の構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0048】
例えば、上述の各実施形態では、封止板部にV溝を設けることにより薄肉部位を形成する例を説明したが、他の形状の溝により薄肉部位が形成されてもよい。
【0049】
また、支持壁と嵌合筒部との間に、ストッパー34と干渉し、かつ第二部材の回転操作によりストッパー34が乗り越え可能な突起を形成してもよい。この場合、開封時に所定のタイミング(例えば、スペーサー44がストッパー34に接触する直前等)でクリック感を発生させて、使用者に当該タイミングを認識させることができ、使用感を向上させることができる。
また、キャップ70に代えて、第二部材にヒンジで接続された蓋を設け、この蓋によって容器用口栓開封後の容器の密閉を行ってもよい。
【0050】
また、容器本体に充填される内容物は食品には限定されず、各種の液体や粉体等の内容物の容器に本発明の容器用口栓および容器を適用することができる。
さらに、容器本体として、例えばゲーブルトップ型等の紙製容器が用いられてもよい。本発明の容器用口栓は、プルタブタイプの口栓と異なり、開封時に容器用口栓を容器本体から離間させるような力を作用させる必要がないため、剛性の比較的低い紙製容器にも好適に用いることができる。
【0051】
加えて、内容物が食品でない等の場合、必ずしも封止板部に連結部が設けられなくてもよい。この場合、第二部材の回転操作によって封止板部が円筒部から完全に切り離され、容器本体内に落下する。
【符号の説明】
【0052】
1、81 容器
10 容器本体
20、82 容器用口栓
21、83 第一部材
22、84 第二部材
23 円筒部
25、85 封止板部
25A、25B 封止板
25D、50A、50B、50C 薄肉部位
26、86 スロープリブ
29 第一領域
30 第二領域
38 押圧リブ(押圧部)
87 押圧筒部(押圧部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体または粉体の内容物が充填される容器本体に取り付けられる容器用口栓であって、
円筒部と、前記円筒部の内腔を塞ぐ封止板部と、前記封止板部に突出して設けられ、少なくとも一部が徐々に突出高さが増加するスロープ形状とされたスロープリブとを有し、前記容器本体に取り付けられる第一部材と、
前記スロープリブを押圧する押圧部を有し、前記第一部材に対して、相対回転可能かつ前記円筒部の軸線方向に相対移動不能に取り付けられた第二部材と、
を備え、
前記第二部材を前記第一部材に対して所定の方向に相対回転させると、前記押圧部により前記スロープリブが押圧されて前記封止板部が変位することにより前記円筒部の内腔が開通することを特徴とする容器用口栓。
【請求項2】
前記スロープ形状は、第一の傾斜角を有する第一領域と、前記第一の傾斜角よりも小さい第二の傾斜角を有する第二領域とを含むことを特徴とする請求項1に記載の容器用口栓。
【請求項3】
前記封止板部は薄肉部位を有し、前記スロープリブが押圧されて前記封止板部が変位するときに前記薄肉部位が断裂して複数の封止板に分割されることを特徴とする請求項1または2に記載の容器用口栓。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の容器用口栓と、
前記容器本体と、
を備えることを特徴とする容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−76775(P2012−76775A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222605(P2010−222605)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】