説明

容器詰め飲料の製造方法および装置

【課題】レトルト殺菌のために複雑な管理条件と制御機構を必要とせず手間と装置費用を低減することができる容器詰め飲料の製造方法および装置を提供する。
【解決手段】容器詰め飲料の製造方法であって、内容物を殺菌する前殺菌工程と、前殺菌工程により殺菌された内容物を容器に充填し密封する充填密封工程と、密封された内容物を容器ととともにレトルト殺菌する後殺菌工程を含み、前殺菌工程における内容物の殺菌値を調整することにより後殺菌工程におけるレトルト殺菌の条件を内容物の種類にかかわらず一定とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器詰め飲料、特にプラスチックボトル詰め飲料の製造方法および装置に関し、特にリシール機能を有するPETボトル詰め飲料の製造に好適な製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来オレンジジュース等の酸性飲料および低酸性飲料中緑茶、ウーロン茶等制菌効果を有する飲料をプラスチックボトル詰め飲料として製造する場合は、内容物を85℃前後の充填温度でボトルに充填することにより内容物およびボトルを殺菌するホットパックと呼ばれる殺菌方法が用いられている。しかしこの殺菌方法は、対象とする飲料の種類が限定されており、低酸性飲料の中でも麦茶、穀類と緑茶の混合茶あるいはミルクコーヒー等についてはこの殺菌方法では所要の殺菌値を満足させることができず、通常缶入り飲料の殺菌方法として使用されるレトルト殺菌と同等の殺菌が必要である。
【0003】
そこで、缶入り飲料と同様にプラスチックボトルに充填密封された飲料をレトルト釜に装入して内容物をプラスチックボトルおよびキャップとともにレトルト殺菌する殺菌方法が考えられる。しかし、レトルト殺菌を缶入り飲料と同様にプラスチックボトル詰め飲料に適用すると次の問題が生じる。
【0004】
レトルト殺菌の場合、レトルト殺菌状態は、プラスチックボトルの中で最も熱が上がり難い部位すなわちコールドスポット(通常ボトルの底から10mm位の部位)において温度の上昇状態を測定することにより行われるが、レトルト殺菌条件には、レトルト釜内の圧力、ボトルの形状および大きさ、内容物の組成や粘度等が影響し、一義的に決めることができず、これら多くの要素を考慮して決定しなければならないので、製品の製造管理条件が複雑であり、管理に大きな手間を必要とする。
【0005】
また、飲料内容物によってこのようなレトルト殺菌条件は異なるので、多種類の内容物を同一のレトルト殺菌装置で殺菌するには、すべての種類の内容物の種々異なるレトルト殺菌条件をすべて満たすことができる複雑な制御機構等が必要となり、装置が複雑化し、高コスト化する。
【0006】
また、最近消費者が飲料を購入してキャップを開栓し内容物の一部を飲んだ後キャップを閉めて保存することができるリシール機能付き容器が盛んに使用されているが、このリシール機能を有する容器詰め飲料を従来の缶入り飲料と同様にレトルト殺菌すると、たとえばPETボトルは高い加熱により変形する結果消費者がPETボトルをリシールする際に必要な開栓トルクが減少し、キャップの締り具合がゆるすぎてしまうという欠点を生じる。また、前記のとおり内容物の種類によってレトルト殺菌条件が異なるので、内容物が異なるとボトルの変形によって生じる開栓トルクの減少度も異なり、開栓トルクのばらつきを生じる。このような開栓トルクのばらつきを防止するにはキャップを締め込んでボトルを密封する時の締め込みトルクを内容物に応じて調節しなければならず、製造管理がいっそう複雑となり面倒である。
【0007】
缶入りコーヒー飲料等の缶入り飲料については、特許文献1は、飲料を約135℃以上の温度に急速加熱し、約2分未満、少なくともF値60を得るために充分な時間保持した後約100℃以下の温度に冷却し、容器に充填し、次いで約F値10までの殺菌値を得る条件でレトルト殺菌する殺菌方法を開示しているが、この殺菌方法は単にレトルト殺菌による缶入り飲料のフレーバーの劣化を防止する目的でなされるものであって、後殺菌を一定とすることに対する示唆がなく、またプラスチックボトル詰め飲料の製造において本発明が直面する上記の課題について、特許文献1はなんら示唆するところがない。
【特許文献1】特開平10−262620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点にかんがみなされたものであって、
レトルト殺菌のために複雑な管理条件と制御機構を必要とせず手間と装置費用を低減することができる容器詰め飲料の製造方法および装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記本発明の目的を達成するため鋭意研究と実験を重ねた結果、従来の缶入り飲料のレトルト殺菌方法のように内容物を充填密封したプラスチックボトルをレトルト釜に装入してレトルト殺菌するかわりに、まず内容物のみを前殺菌し、容器に充填し密封した後レトルト釜に装入して軽度のレトルト殺菌を行うことにより、内容物の種類にかかわらず常に一定のレトルト殺菌条件でレトルト殺菌を行うことができ、上記課題を解決することができることを発見し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち、上記目的を達成する本発明の容器詰め飲料の製造方法は、内容物を殺菌する前殺菌工程と、該前殺菌工程により殺菌された内容物を容器に充填し密封する充填密封工程と、該密封された内容物を容器ととともにレトルト殺菌する後殺菌工程を含み、該前殺菌工程における内容物の殺菌値を調整することにより該後殺菌工程におけるレトルト殺菌の条件を内容物の種類にかかわらず一定とすることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の1側面において、該容器はプラスチック容器である。
本発明の1側面において、本発明のキャップ付き容器詰め飲料の製造方法は、内容物を殺菌する前殺菌工程と、該前殺菌工程により殺菌された内容物を容器に充填しキャップで密封する充填密封工程と、該密封された内容物を容器およびキャップとともにレトルト殺菌する後殺菌工程を含み、該前殺菌工程における内容物の殺菌値を調整することにより該後殺菌工程におけるレトルト殺菌の条件を内容物の種類にかかわらず一定とすることを特徴とする。
【0012】
本発明の1側面において、該プラスチック容器はポリエステル樹脂製ボトルである。ポリエステル樹脂としては、たとえばPETやポリ乳酸を使用することができる。
【0013】
本発明の1側面において、該後殺菌工程における該一定の条件は110℃〜115℃、10分〜30分である。
【0014】
本発明の他の側面において、前殺菌工程を高温短時間殺菌によりF値3.1以上の殺菌処理を60秒以内に行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の目的を達成する容器詰め飲料の製造方法は、内容物を高温短時間殺菌する内容物前殺菌装置と、該前殺菌された内容物を容器に充填する充填装置と、該内容物が充填された容器を密封する密封装置と、該密封された内容物を容器とともに内容物の種類にかかわらず一定の条件でレトルト殺菌する後殺菌装置とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の1側面において、該容器はプラスチック容器であることを特徴とする。
本発明の1側面において、本発明のプラスチック容器詰め飲料製造装置は、内容物を高温短時間殺菌する内容物前殺菌装置と、該前殺菌された内容物をプラスチック容器に充填する充填装置と、該内容物が充填されたプラスチック容器をキャップで密封するキャッパーと、該密封された内容物をプラスチック容器およびキャップとともに内容物の種類にかかわらず一定の条件でレトルト殺菌する後殺菌装置とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の1側面において、該プラスチック容器はポリエステル樹脂製ボトルである。ポリエステル樹脂としてはPETやポリ乳酸を使用することができる。
【0018】
本発明の1側面において、該後殺菌装置における該一定の条件は110℃〜115℃、10分〜30分である。
【0019】
本発明の他の側面において、この装置は、高温短時間殺菌を60秒以内に行うことによりF値3.1以上の殺菌処理を行う。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、殺菌工程を内容物のみを殺菌する前殺菌工程と、内容物と容器を同時にレトルト殺菌する後殺菌工程の組み合わせとし、前殺菌工程における内容物の殺菌値を調整することにより、後殺菌工程におけるレトルト殺菌の条件を内容物の種類にかかわらず常に一定とすることが可能となり、設備を簡略化することができる。
【0021】
前殺菌工程における内容物の前殺菌は、プレート式熱交換機等による高温短時間殺菌法(UHT)により行うことができるので、内容物の殺菌状態はプレート式熱交換機の熱水または蒸気配管の温度を測定するだけで一義的に測定することができ、また後殺菌においては、内容物の種類にかかわらず常に一定のレトルト殺菌条件で殺菌を行えばよいので、製造管理条件は単純化され管理に大きな手間を必要とせず、複雑な制御機構も必要としない。また、レトルト殺菌装置がさらに簡素化され、コスト低減を図ることができる。
【0022】
また、プラスチックボトルがリシール機能を有するPETボトル等である場合は、後殺菌工程におけるレトルト殺菌が比較的ゆるやかな条件で行われるので、PETボトルの加熱温度も比較的に低い温度となり、したがってPETボトルとキャップの熱変形も少なくてすむ結果消費者にとって適度な開栓トルクを維持でき、また流通時にキャップが開かない程度の開栓トルクを維持でき、PETボトルは充分にリシール機能を発揮することができる。また、レトルト殺菌条件が常に一定であるので、内容物の種類にかかわらず開栓トルクも一定に保つことができ、内容物によって密封時の締め込みトルクを調節する手間が不要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の製造方法の1実施形態を示すフロー図、図2は本発明の方法を実施するための装置の1実施形態の要部を示す説明図である。
【0024】
本発明の方法が適用されるプラスチックボトル詰め飲料の内容物となる調合液に対しては前殺菌工程として高温短時間加熱殺菌(UHT殺菌)が行われる。高温短時間加熱殺菌はプレート式熱交換機、管状熱交換機等公知の熱交換機を使用して行うことができる。このような熱交換機により調合液を100℃以上で短時間保持することにより調合液の種類によって異なる前殺菌工程における必要量の殺菌値を得る。本発明においては、後殺菌工程におけるレトルト殺菌条件が内容物の種類にかかわらず一定であるので、前殺菌における内容物の殺菌値は、この内容物にとって必要な全体の殺菌値からこの一定のレトルト殺菌によって得られる殺菌値を差し引いた値である。すなわち、前殺菌工程における内容物の殺菌値は、予め定められているレトルト殺菌による一定の殺菌値に応じて調整されるのである。
【0025】
高温短時間殺菌における殺菌値の測定は、プレート式熱交換機を使用する場合は、熱交換器に熱水または蒸気を供給する配管の温度を測定することによって行う。
【0026】
前殺菌工程における高温短時間殺菌を終了した調合液は100℃以下好ましくは5〜95℃に冷却された後充填密封工程に送られる。まず調合液は充填装置に供給され、充填装置においては、内外面を洗浄されたプラスチックボトルが供給され、各プラスチックボトルに5〜95℃に保持された調合液が充填される。調合液が充填されたプラスチックボトルはキャッパーに移送される。キャッパーにはキャップ供給装置からの整列されたキャップが順次供給され、プラスチックボトルをこのキャップで巻締め密封する。プラスチックボトルがリシール機能を有するPETボトルである場合は、一定のレトルト殺菌条件に応じた最適の開栓トルクを提供することができる一定の締め込みトルクでキャップをPETボトルに締め込む。
【0027】
充填密封工程はクリーンルーム等の無菌空間その他菌の侵入を防止する措置を施した外環境制御空間内において実施することが後殺菌の安定化のためには望ましい。
【0028】
外環境制御空間は、例えばクラス10万〜クラス21万のクリーンルームで囲うか、あるいは水洗可能で入出時に靴を履き替える等のゾーニングを実施し、衛生的な管理を行う管理空間が挙げられる。
【0029】
充填密封工程において調合液が充填されキャップで密封されたプラスチックボトルはレトルト殺菌装置に移送され、後殺菌工程であるレトルト殺菌に付される。このレトルト殺菌は内容物の種類にかかわらず常に一定の加熱温度・時間で行われるように設定されている。レトルト殺菌は調合液およびプラスチックボトル、キャップならびに充填環境において付着した菌に対して同一殺菌値で行われるが、レトルト殺菌条件が内容物の種類にかかわらず一定であるので、殺菌値も常に一定である。本発明においては、前殺菌工程を高温短時間殺菌によりF値3.1以上の殺菌処理を60秒以内、好ましくは30秒以内に行うことにより製品のフレーバーを良好なものに維持することができる。
レトルト殺菌終了後プラスチックボトル詰め飲料は冷却され、製品として排出される。
【0030】
上記本発明にかかる製造方法を実施するための装置の1実施形態の要部を図1に示す。この装置は、前殺菌工程において内容物を高温短時間殺菌する内容物高温短時間殺菌装置1、前殺菌された内容物をプラスチックボトルに充填する充填装置2、内容物が充填されたプラスチックボトルをキャップで密封するキャッパー3および後殺菌工程において内容物をプラスチックボトルおよびキャップとともにレトルト殺菌するレトルト殺菌装置4からなるものであり、その動作は本発明の方法についての説明において前述したとおりである。
【0031】
本発明は、特にプラスチックボトル詰め飲料の製造に好適であるが、紙パック、ガラスびん、ヒートシールカップ、パウチ、袋等他の容器詰め飲料の製造にも適用することができる。
【実施例】
【0032】
実施例1
本発明の方法によりPETボトル詰めミルクコーヒーを作成した。このミルクコーヒーの目標殺菌値はF値40である。ミルクコーヒー調合液をプレート式熱交換機を使用して136.8℃で60秒間UHT殺菌により前殺菌した。この前殺菌によるF値は37.2である。次いでこの調合液を23℃まで冷却し、実施例3に後述の耐熱結晶化PCO口部と特開2003−291205号公報表1の実施例4記載の胴部を有するPETボトル(東洋製罐株式会社製)に充填し、ポリプロピレン製キャップ(日本クラウンコルク株式会社製NC−FLAP−HOT)で密封した。後殺菌工程として、この調合液を充填密封したPETボトルをレトルト殺菌釜に装入し、115℃で13分間レトルト殺菌した。後殺菌による殺菌値は調合液、PETボトル、充填環境から散来してボトル内に侵入した菌に対してF値3.2である。したがって、調合液に対しては前殺菌と後殺菌で合計F値40.4の殺菌が行われ、目標殺菌値F値40を達成することができた。
【0033】
比較例1
実施例1と同一のミルクコーヒー調合液を実施例1と同一のPETボトルに充填し、実施例1と同一のキャップで密封した後レトルト殺菌釜に装入し、125℃で16.3分間レトルト殺菌を行うことにより、F値40を達成した。
【0034】
実施例2
本発明の方法によりPETボトル詰め麦茶を作成した。この麦茶の目標殺菌値はF値10である。麦茶調合液をプレート式熱交換機を使用して129.5℃で60秒間UHT殺菌により前殺菌した。この前殺菌によるF値は6.9である。次いでこの調合液を23℃まで冷却し、実施例3に後述の耐熱結晶化PCO口部と特開2003−291205号公報表1の実施例4記載の胴部を有するPETボトル(東洋製罐株式会社製)に充填し、ポリプロピレン製キャップ(日本クラウンコルク株式会社製NC−FLAP−HOT)で密封した。後殺菌工程として、この調合液を充填密封したPETボトルをレトルト殺菌釜に装入し、115℃で13分間レトルト殺菌した。後殺菌による殺菌値は調合液、PETボトル、充填環境から散来してボトル内に侵入した菌に対しF値3.2である。したがって、調合液に対しては前殺菌と後殺菌で合計F値10.1の殺菌が行われ、目標殺菌値F値10を達成することができた。
【0035】
比較例2
実施例2と同一の麦茶調合液を実施例2と同一のPETボトルに充填し、実施例2と同一のキャップで密封した後レトルト殺菌釜に装入し、120℃で13分間レトルト殺菌を行うことにより、F値10.1を達成した。
【0036】
実施例1、2と比較例1、2を比較すれば、内容物が異なり、その目標とする殺菌値がそれぞれ異なっても、前殺菌による内容物の殺菌値を調整することにより、レトルト殺菌工程におけるレトルト殺菌条件は内容物の種類にかかわらす常に一定(上記の実施例ではF値3.2)とすることができることがわかる。
【0037】
実施例3
リシール機能を有するPETボトルを使用する場合のレトルト殺菌条件と開栓トルクの関係を調べた。PETボトルとして、口部にはφ28耐熱結晶化PCO(plastic closure only)(ノズル口部外径24.9mm、口部内径20.6mm)を有し、胴部は特開2003−29120号公報表1の実施例4記載の条件で成形した東洋製罐株式会社製ボトルを使用し、キャップとして日本クラウンコルク株式会社製NC−FLAP−HOT(加温販売対応オレンジキャップ、サイズφ28)を使用した。巻締め条件として、品温23℃の液体を充填したボトルに品温23℃のキャップを巻締トルク2.80N・m、巻締角をキャップ天面接触時より+50°として巻締めネジピッチは3.175mmであるので、3.175×50/360≒0.44mmだけキャップ内天面がボトルノズル天面に圧縮された状態となっている。
【0038】
調査の結果を下表1に示す。
表1

温度(℃) 時間(分) F値 開栓トルク
110 10 0.8 1.38
115 10 2.5 1.19
120 10 7.8 0.86
125 10 24.5 0.89
110 30 2.3 1.40
115 30 7.4 1.27
120 30 23.3 0.80
125 30 73.6 0.85
【0039】
流通時のキャップの緩みによる密封不良防止と消費者の開栓しやすさを両立する開栓トルクは約1.4〜1.0N・mであり、したがって115℃以内で10分〜30分程度のレトルト殺菌条件がリシール機能を有するPETボトルにとっては適していることがわかる。
【0040】
実施例4
上記実施例1、2および比較例1、2の実験結果につき、内容物の殺菌値とフレーバーの関係について20名の専門パネラーによる官能テストを行った。テスト法として3点識別法と3点嗜好法を用いた。
【0041】
実施例1と比較例1との比較では、3点識別法で20名中12名が正答し、危険率5%の範囲内で両者を識別可能であった。また、正答した12名中9名が実施例を好ましいと選択し、実施例1を好んだ嗜好差は危険率5%の範囲内で有意であった。また、実施例2と比較例2との比較では、3点識別法で20名中11名が正答し、危険率5%の範囲内で両者を識別可能であった。また、正答した11名中8名が実施例を好ましいと選択し、実施例2を好んだ嗜好差は危険率5%の範囲内で有意であった。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の製造方法の1実施形態を示すフロー図である。
【図2】上記方法の実施のための装置の1実施形態の要部を示す説明図である。
【図3】耐熱結晶化PCOノズルを示す側面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 内容物高温短時間殺菌装置
2 充填装置
3 キャッパー
4 レトルト殺菌装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を殺菌する前殺菌工程と、該前殺菌工程により殺菌された内容物を容器に充填し密封する充填密封工程と、該密封された内容物を容器ととともにレトルト殺菌する後殺菌工程を含み、該前殺菌工程における内容物の殺菌値を調整することにより該後殺菌工程におけるレトルト殺菌の条件を内容物の種類にかかわらず一定とすることを特徴とする容器詰め飲料の製造方法。
【請求項2】
該容器はプラスチック容器であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
内容物を殺菌する前殺菌工程と、該前殺菌工程により殺菌された内容物を容器に充填しキャップで密封する充填密封工程と、該密封された内容物を容器およびキャップとともにレトルト殺菌する後殺菌工程を含み、該前殺菌工程における内容物の殺菌値を調整することにより該後殺菌工程におけるレトルト殺菌の条件を内容物の種類にかかわらず一定とすることを特徴とするキャップ付き容器詰め飲料の製造方法。
【請求項4】
該容器はポリエステル樹脂製ボトルであることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
前殺菌工程を高温短時間殺菌によりF値3.1以上の殺菌処理を60秒以内に行うことを特徴とする請求項3または4に記載の製造方法。
【請求項6】
該後殺菌工程における該一定の条件が110℃〜115℃、10分〜30分であることを特徴とする請求項3〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
該後殺菌工程における該一定の条件がF値2.5以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
内容物を高温短時間殺菌する内容物前殺菌装置と、該前殺菌された内容物を容器に充填する充填装置と、該内容物が充填された容器を密封する密封装置と、該密封された内容物を容器とともに内容物の種類にかかわらず一定の条件でレトルト殺菌する後殺菌装置とを備えることを特徴とする容器詰め飲料製造装置。
【請求項9】
該容器がプラスチック容器であることを特徴とする請求項8記載の製造装置。
【請求項10】
内容物を高温短時間殺菌する内容物前殺菌装置と、該前殺菌された内容物を容器に充填する充填装置と、該内容物が充填された容器をキャップで密封するキャッパーと、該密封された内容物を容器およびキャップとともに内容物の種類にかかわらず一定の条件でレトルト殺菌する後殺菌装置とを備えることを特徴とするキャップ付き容器詰め飲料製造装置。
【請求項11】
該キャップ付き容器はポリエステル樹脂製ボトルであることを特徴とする請求項10記載の製造装置。
【請求項12】
高温短時間殺菌を60秒以内に行うことによりF値3.1以上の殺菌処理を行うことを特徴とする請求項10または11記載の製造装置。
【請求項13】
該後殺菌装置における該一定の条件が110℃〜115℃、10分〜30分であることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の製造装置。
【請求項14】
該後殺菌装置における該一定の条件がF値2.5以下であることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の製造装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−67939(P2006−67939A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−256770(P2004−256770)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】